説明

シリルテール基を有する液晶材料

1以上の他の成分に添加された場合に、過冷却され得る混合物を形成する添加液晶化合物が提供される。添加液晶化合物の1つのクラスは、シリル含有液晶化合物である。また、本明細書中に記載される1以上のシリル含有液晶化合物、および必要に応じて1以上の他の成分を備えるデバイスが提供される。本発明はまた、シリル含有液晶化合物を含む液晶混合物を使用して、液晶セルにおいてそれらの混合物の結晶点より下の温度でのこれらの混合物の結晶化を抑制する方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2004年2月11日に出願された米国仮特許出願第60/543,624号(これは参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
液晶化合物の混合物の低温安定性は、有用な特性である。液晶混合物を備えるデバイスは、その混合物が低温である期間結晶化せずに残存し(survive)得る場合、より丈夫なもの(robust)である。当該分野において、過冷却され得る液晶混合物に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
1以上の他の成分に添加された場合に、過冷却され得る混合物を形成する添加液晶化合物(additive liquid crystalline compound)が提供される。添加液晶化合物の1つのクラスは、本明細書にさらに記載されるようなシリル含有液晶化合物である。さらに、本明細書に記載される1以上のシリル含有液晶化合物を含む化合物と、1以上の他の液晶化合物との混合物が提供される。1つの実施形態において、これらの混合物は過冷却され得る。また、本明細書に記載される1以上のシリル含有液晶化合物、および必要に応じて1以上の他の成分を備えるデバイスが提供される。本発明は、混合物の低温安定性を増大させる方法を包含する。1つの実施例において、混合物の低温安定性を増大させる方法は、本明細書に記載される1以上のシリル含有液晶化合物をその混合物に添加する工程を包含する。本発明はまた、シリル含有液晶化合物を含む液晶混合物を使用して、液晶セルにおいて、結晶点より下の温度でのこれらの混合物の結晶化を抑制する方法を包含する。本発明はまた、混合物中の本発明の1以上のシリル含有液晶化合物を使用して、低温安定性を提供する方法を包含する。混合物およびデバイスを作製する方法は、当業者に公知である。
【0004】
本発明のシリル含有液晶化合物の1つのクラスは、式(I):
【0005】
【化7】

によって与えられ、ここで:
は、2〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝の(1以上の不斉炭素原子を含むかもしくは含まない)アルキル基またはアルケニル基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−で置換され得、そして1以上の水素は、フッ素で置換され得;
、A、Aは、同じであっても異なっていてもよく、1,4−フェニレン、ナフト−2,6−ジイル、1,4−ジヒドロナフト−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−2,6−ジイル、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシル、1,2−シクロヘキセン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3,4−ディスジアゾール(thisdiazol)−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリジジン−3,6−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、およびチオフェン−2,5−ジイルからなる群より選択され、基A、A、Aの各々で独立して、1または2つの水素は、フッ素またはメチルで置換され得;
、Mは、同じであっても異なっていてもよく、−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、および−O−CH2−からなる群より選択され;
Gは、単結合であるか、あるいは1〜16個の炭素原子を含む直鎖のアルキレン基またはアルケニレン基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、SiがGの炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、または−O−CO−で置換され得;
、R、Rは、同じであっても異なっていてもよく、1〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基またはアルケニル基、あるいはシクロアルカンまたはシクロアルケンであり、1〜3個の隣接していない−CH2−基は、−Si(Me2)−のSiが炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(Me2)−で置換され得、そして炭素上の水素原子のいずれかまたはすべては、フッ素で置換され得;
Bは、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−、−CO−、−S−CO−、−CO−S−、あるいは単結合であり;
a、b、c、d、e、fは、a+c+eが1、2または3であるという条件で、0または1である。
【0006】
式(I)において、グルーピング(grouping) (−A(−M(A(−M(−A− は、コアを表す。コアのいくつかの例としては:
【0007】
【化8】

が挙げられる。
【0008】
本発明に包含される他のコアとしては、スキーム1:
【0009】
【化9】

【0010】
【化10】

【0011】
【化11】

【0012】
【化12】

【0013】
【化13】

【0014】
【化14】

のコアが挙げられる。
【0015】
本発明の化合物の1つのクラスは、コアとSiとが直接結合するようにGが単結合であり、かつfが0である化合物が挙げられる。
【0016】
本発明のシリル含有液晶化合物の特定のクラスは、アリールコアに直接結合するトリメチルシリルアルキルテールを含む液晶化合物、テルフェニルコアに直接結合するかまたはエーテル結合を介して結合するトリメチルシリルアルキルテールを含む液晶化合物、およびシリル含有テール(ここで、このシリル含有テール中の1以上の官能基がアルケン基または分枝した基のいずれかを含む)を含む液晶化合物である。
【0017】
本発明のシリル含有液晶化合物の1つのクラスは、1つのシリル含有テール基、1つのシリル基を含まないテール基、およびコアを有する液晶化合物である。本発明のシリル含有液晶化合物の1つのクラスは、シリル含有テールが分枝のアルキル鎖またはアルケン基のいずれかを含む液晶化合物(シリルアルキル化合物またはシリルアルケニル化合物)である。この型の化合物の特定の例は、実施例1〜9に与えられる。本発明のシリル含有液晶化合物は、混合物の低温安定化、および低温スイッチング速度を犠牲にすることなく混合物のA−C遷移温度を上昇させるのに有効である。これらのパラメーターは当該分野で公知である。約2モルパーセントを超えて本発明のシリル含有液晶化合物を添加することによって、液晶化合物の混合物に対して所望の低温安定性が得られる。混合物に用いられるシリル含有液晶化合物の量は、種々の因子(所望の低温安定化の程度が挙げられる)によって決定される。低温安定性は、本明細書に記載される方法および当業者に公知の方法によって容易に測定され得る。当業者によって決定されるように、使用され、混合物の所望の特性に左右され得る本発明のシリル含有液晶化合物の量に関する上限は存在しない。混合物に使用されるシリル含有液晶化合物の量の特定の範囲は、すべて2モルパーセントを上回る中間範囲(intermediate range)である。
【0018】
本発明の化合物の非シリルテールのいくつかの例は、実施例および本明細書で開示される参考文献(それらは本明細書の開示と矛盾しない程度に参考として援用される)に記載される。
【0019】
置換基の群が本明細書で開示される場合、それらの群の個々のすべてのメンバーならびにその置換基を用いて形成され得る化合物のすべてのサブグループおよびクラスが別々に開示されることが理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下の非限定的な実施例および説明を参照して、さらに理解され得る。
【0021】
液晶化合物にシリル基を含ませることにより、その液晶化合物および1以上のそのシリル含有液晶化合物を含む混合物の低温安定性が驚くほど増大する。具体的には、低温安定性の増大とは、1以上のシリル含有液晶化合物を含む混合物が、シリル含有液晶化合物を含まない混合物よりも、低温(多くの場合、その結晶化温度より下)でより長い間結晶化せずに残存し得る(すなわち、過冷却状態にある)ことを意味する。少量のシリル含有液晶化合物を含む液晶セルは、そのセルがシリル含有液晶化合物を含まないセルよりも、液晶の結晶化温度より下の数種の異なる温度で、より長い間(いくつかの場合においては何日間も)残存し得るように、結晶化に対して減少された傾向を有する。「少量」とは、測定可能な効果を提供する最低限の量を意味する。代表的には、少量とは、少なくとも約2モルパーセントを意味する。所望の特性を与える個々のすべての値、および最も低いシリル含有液晶化合物の割合から最も高いシリル含有液晶化合物の割合までの値の範囲が、本明細書に含まれる。1つの特定の実施例において、少量のシリル含有液晶化合物は、その液晶の結晶化温度より下の5℃、10℃、15℃および20℃で10日間残存し得る。実用的な試験事項として、セルは時折、結晶化せずにより低い温度(例えば、−35℃)に耐え得るが、より高い温度(例えば、−30℃)で結晶化し得る。それゆえ、結晶化傾向は、数種の温度で試験されなければならない。
【0022】
また、本発明のシリル含有液晶化合物、および1以上の本発明のシリル含有液晶化合物を含む混合物は、シリル基を欠く類似化合物およびシリル含有液晶化合物を含まない混合物よりも高いスメクチックC安定性および低い粘性を示す。特に、液晶混合物の粘性が室温よりも低温で測定される場合、1以上の本発明のシリル含有液晶化合物を含む混合物は、シリル含有液晶化合物を含まない混合物の粘性よりも低い粘性を有する。これらの特性は、より高いA−C遷移を有するが0℃より下の温度で受容可能な速いスイッチング速度を保持する混合物を作製するのに有用である。
【0023】
以下の液晶化合物の例において、相マップ(phase map)は、当該分野で公知のように目盛り付きホットステージを備える顕微鏡で光学的に測定される。以下の相の間の相温度は、摂氏(℃)で明記され、そしてこれらの値は、相の例において相表示の間に置かれる:
等方相(I)
ネマチック相(NまたはN
スメクチックC相(SまたはS
スメクチックA相(SまたはS
スメクチックG相(SまたはS)および
結晶相(Cr)。
【0024】
(例1:DTC1560)
【0025】
【化15】

2−(4−デシロキシ−フェニル)−5−[6−(ジメチルビニルシラニル)−ヘキシルオキシ]−ピリミジン
(例2:DCT1561)
【0026】
【化16】

5−デシル−2−{4−[6−(ジメチルビニルシラニル)−ヘキシルオキシ]−フェニル}−ピリミジン
(例3:DTC2040)
【0027】
【化17】

[10−(2,3−ジフルオロ−4”−ヘプチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4−イルオキシ)−デシル]−ジメチルビニルシラン
I134.5 S57 S40 Cr
(例4:DTC2050)
【0028】
【化18】

5−[9−(ジメチル−ビニル−シラニル)−ノニルオキシ]−2−(4’−ヘプチル−ビフェニル−4−イル)−ピリミジン
C 74 S149.7 I
(例5:DTC2066)
【0029】
【化19】

5−[10−(ジメチル−ビニル−シラニル)−デシル]−2−(4’−ヘキシル−ビフェニル−4−イル)−ピリミジン
Cr52 S125.4 I
(例6:DTC2077)
【0030】
【化20】

5−[9−(ジメチル−ビニル−シラニル)−ノニル]−2−(4’−ヘキシル−ビフェニル−4−イル)−ピリミジン
Cr56 S117.4 I
(例7:DTC2105)
【0031】
【化21】

5−[10−(イソプロピル−ジメチル−シラニル)−デシル]−2−(4’−オクチル−ビフェニル−4−イル)−ピリミジン
Cr77 I
(例8:DTC2083)
【0032】
【化22】

5−[8−(ブト−3−エニル−ジメチル−シラニル)−オクチルオキシ]−2−(4’−オクチル−ビフェニル−4−イル)−ピリミジン
(例9:DTC1740)
【0033】
【化23】

2−(4−{10−[ジメチル−(1,1,2−トリメチル−プロピル)−シラニル]−デシルオキシ}−フェニル)−5−ノニル−ピリミジン
(例10:DTC1701)
【0034】
【化24】

[10−(2”,3”−ジフルオロ−4−ヘプチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4”−イルオキシ)−デシル]−トリメチルシラン
(例11:DTC1977)
【0035】
【化25】

2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−イル)−5−[6−(トリメチルシラニル)−ヘキシル]−ピリミジン
(例12:DTC2145)
【0036】
【化26】

5−(2,3−ジフルオロオクチルオキシ)−2−[4’−(11−トリメチルシラニルウンデシル)−ビフェニル−4−イル]−ピリミジン
(例13:DTC2116)
【0037】
【化27】

5−デシル−2−[4−(8−トリエチルシラニルオクチルオキシ)−フェニル]−ピリミジン
(例14:DTC2117)
【0038】
【化28】

2−[4−[(2R,3R)−2,3−ジフルオロオクチルオキシ]−フェニル]−5−(7−トリメチルシラニルヘプチルオキシ)−ピリミジン
(例15:DTC2118)
【0039】
【化29】

2−[4−[(2S)−2−フルオロ−2−メチルヘプチルオキシ]−フェニル]−5−(7−トリメチルシラニルヘプチルオキシ)−ピリミジン
(例16:DTC2033)
【0040】
【化30】

2−(2,3−ジフルオロ−4−ヘキシルオキシフェニル)−5−(4−{6−[ジメチル−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−シラニル]−ヘキシルオキシ}−フェニル)−ピリミジン
(例17:DTC1917)
【0041】
【化31】

5−デシルオキシ−2−{4−[6−(ジメチルトリメチルシラニルメチルシラニル)−ヘキシル]−フェニル}−ピリミジン
(例18:DTC1981)
【0042】
【化32】

5−デシル−2−{4−[6−(ジメチルトリメチルシラニルメチルシラニル)−ヘキシルオキシ]−フェニル}−ピリミジン
(例19:DTC1840)
【0043】
【化33】

2−{4−[2,2−ジフルオロ−2−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ノナフルオロブチルオキシエトキシ)−エトキシ]−フェニル}−5−(10−トリメチルシラニルデシルオキシ)−ピリミジン
【0044】
【化34】

本発明の化合物および本発明の混合物は、本明細書中に開示される方法および当業者に公知の方法を使用して調製され得る。本発明の特定の化合物および化合物の成分を合成する方法は、当該分野において公知であり、そして米国特許第5,106,530号、同第5,158,702号、同第5,188,762号、同第5,210,247号、同第5,277,828号、同第5,348,684号、同第5,399,290号、同第5,106,530号、同第6,413,448号、および欧州特許第0549347号(これらの全ては、本明細書中の開示と矛盾しない程度に参考として援用される)に開示される。本明細書中に引用される特許もまた、コアのさらなる例を提供する。
【0045】
シリル含有テールと芳香族コアとの間に酸素結合を有するシリル含有液晶化合物を、当業者に公知である、スキーム2に概説されそして以下に記載される方法、およびその軽微なバリエーションによって、作製する。
【0046】
7mL ジメチルホルムアミド中の28ミリモルの9−デカノールおよび31ミリモルのtert−ブチルジメチルシリルクロリドの溶液に、56ミリモルのトリエチルアミンおよび2.8ミリモルのジメチルホルムアミドを添加した。この反応を24時間進行させ、その時点で20mLの水を添加し、次いでヘキサン中に抽出した。合わせた有機層を1N HCl溶液で抽出し、次いでブラインで抽出し、次いで減圧中で濃縮した。この物質を70gのシリカゲルを通して濾過し、ヘキサンで溶出させ、そして減圧中で濃縮して、6.78gのtert−ブチル−デカ−9−エニルオキシ−ジメチル−シランを清澄な油状物として得た。
【0047】
高圧ガラスチューブに、7.4ミリモルのtert−ブチル−デカ−9−エニルオキシ−ジメチル−シラン、102ミリモルのクロロジメチルシラン、および0.02ミリモルの水素6塩化白金酸(IV)水和物を加えた。このチューブを101℃で18時間加熱し、次いで室温に冷まし、そして減圧中で濃縮した。次いで、得られたクロロシランを22mLのテトラヒドロフランに添加し、この溶液を−70℃に冷却し、そして臭化ビニルマグネシウムの1M溶液を10ml添加した。これを−70℃で1.5時間撹拌し、次いで徐々に室温まで温めた。この反応物をpH7の緩衝液を用いて中和し、そしてヘキサン−酢酸エチルの混合物を用いて抽出し、そして減圧中で濃縮した。この物質を、シリカゲルおよび19:1のヘキサン:酢酸エチルを用いてクロマトグラフィーにかけ、そして減圧中で濃縮し、1.56gの{[10−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−デシル]−ジメチルシラニル}−エタンを生成した。
【0048】
13mlテトラヒドロフラン中の4.28ミリモルの{[10−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−デシル]−ジメチルシラニル}−エタンの溶液に、テトラヒドロフラン溶液中の4.3mlの1Mのテトラブチルフッ化アンモニウムを添加した。この反応物を1時間撹拌し、30mlの水を添加し、そしてこの反応物をヘキサン−酢酸エチル溶液中に抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧中で濃縮した。得られたオイルをシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにかけて、4:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出させた。これにより、0.82gの10−(ジメチルビニルシラニル)−デカン−1−オールを生成した。
【0049】
1.4mlピリジン中の3.4ミリモルの10−(ジメチルビニルシラニル)−デカン−1−オールの溶液に、3.57ミリモルのトルエンスルホニルクロリドを添加した。この反応物を2時間撹拌し、次いで−20℃で18時間撹拌しないままにした。次いで撹拌し、そして5℃に5時間置いた。次いで、この反応物を濾過し、そしてテトラヒドロフランで洗浄し、アンモニアを添加してあらゆる未反応のトルエンスルホニルクロリドを破壊した。そしてこの反応を水でクエンチし、次いでこれをヘキサンで抽出した。合わせた有機層を、1N HClおよび水で連続的に洗浄し、次いで炭酸カリウムで乾燥させ、そして減圧中で濃縮した。得られたオイルをシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけ、19:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出させ、そして減圧中で濃縮して、1.22gのトルエン−4−スルホン酸10−(ジメチルビニルシラニル)−デシルエステルを生成した。
【0050】
0.53ミリモルのトルエン−4−スルホン酸10−(ジメチルビニルシラニル)−デシルエステル、0.53ミリモルの2,3−ジフルオロ−4”−ヘプチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4−オールおよび0.58ミリモルの炭酸セシウムを収容したフラスコに、5.3mlのジメチルホルムアミドを添加した。この反応物を一晩撹拌し、次いで100℃で1時間加熱した。冷却後、この反応混合物を20mlの水に注ぎ、そしてヘキサンと酢酸エチルとの1:1混合物中に抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで減圧中で濃縮した。次いでこの生成物を、89:10:1のヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチルの混合物を溶離液として使用して、シリカゲルを用いたクロマトグラフィーにかけた。清澄な画分を減圧中で濃縮した後、アセトニトリル:酢酸エチルの65:35混合物より白色固体を再結晶させて、0.19gの[10−2,3−ジフルオロ−4”−ヘプチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4−イルオキシ)デシル]−ジメチル−ビニル−シランを生成した。
【0051】
【化35】

シリル含有テールと芳香族コアとの間に酸素結合を有さないシリル化合物を、当業者に公知である、スキーム3に概説されそして以下に記載される方法、およびその軽微なバリエーションによって、作製する。
【0052】
−70℃に冷却した、30mlテトラヒドロフラン中の3ミリモルの2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−イル)−ピリミジン−5−オールおよび3ミリモルのN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドの溶液に、0.63mlのトリエチルアミンを添加した。この反応物を1時間撹拌し、次いで徐々に室温まで温め、そして12時間撹拌した。この反応混合物を減圧中で濃縮し、シリカゲルを通して濾過し、19:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出し、そして減圧中で濃縮して、0.93gのトリフルオロメタンスルホン酸2−(4’−ヘキシル−ビフェニル−4−イル)−ピリミジン−5−イルエステルを生成した。
【0053】
0℃に冷却した、5mlピリジン中の20ミリモルの8−ノネン−1−オールの溶液に、22ミリモルのトルエンスルホニルクロリドを添加した。この反応物を2時間撹拌し、次いで、−20℃で18時間撹拌せずにおいた。次いで、撹拌し、そして5℃に5時間置いた。次いで、この反応物を濾過し、そしてテトラヒドロフランで洗浄し、アンモニアを添加していずれの未反応のトルエンスルホニルクロリドも破壊した。そしてこの反応を水でクエンチし、次いでこれをヘキサンで抽出した。合わせた有機層を、1N HClおよびブラインで連続的に洗浄し、次いで炭酸カリウムで乾燥させ、そして減圧中で濃縮した。得られたオイルをシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけ、19:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出させ、そして減圧中で濃縮して、4.82gのトルエン−4−スルホン酸ノン−8−エニルエステルを生成した。
【0054】
0℃に冷却した、フラスコ中の3.23ミリモルのトルエン−4−スルホン酸ノン−8−エニルエステルに、テトラヒドロフラン中の6.47mlの9−BBNの溶液を添加した。この反応物を2時間撹拌し、次いで5℃で18時間撹拌せずにおいた。この反応物を再び0℃に冷却し、そして3.25ミリモルの水酸化ナトリウムおよび0.09ミリモルのジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を添加した。この反応物をさらに5分間撹拌し、その時点で、この混合物に、5mlテトラヒドロフラン中の2.16ミリモルのトリフルオロメタンスルホン酸2−(4’−ヘキシル−4−イル)−ピリミジン−5−イルエステルを添加した。この反応混合物を60℃に加熱し、そしてその温度で2時間撹拌した。この反応混合物を室温に冷却し、水に注ぎ、そしてヘキサン/酢酸エチル混合物で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして減圧中で濃縮した。これをアセトニトリルから再結晶させて、0.98gのトルエン−4−スルホン酸9−[2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−イル)−ピリミジン−5−イル]−ノニルエステルを生じた。
【0055】
150ミリモルのマグネシウムを収容した乾燥フラスコに、10mlのテトラヒドロフランを添加した。30分撹拌した後、撹拌板を停止させ、そしてこの反応混合物に0.26mlのジブロモエタンを添加した。この溶液が急速に発泡し終えたら、3ミリモルの乾燥塩化亜鉛を添加した。次いで90mlテトラヒドロフラン中の100ミリモルのビニルクロロメチルジメチルシランの溶液を徐々に添加した。この反応物が冷めたら、次の反応を開始させた。0℃に冷却した、80mlテトラヒドロフラン中の26.9ミリモルのトルエン−4−スルホン酸9−[2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−イル)−ピリミジン−5−イル]−ノニルエステルと1.35ミリモルの塩化第一銅との溶液に、グリニャール溶液を添加した。この反応物を0℃で2時間撹拌し、次いで室温に温め、そしてさらに18時間撹拌した。この反応混合物を希塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、これを連続してヘキサンと酢酸エチルとの混合物で抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして減圧中で濃縮した。得られたオイルを、シリカゲルを用いたクロマトグラフィーにかけ、19:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出した。この清澄な画分を減圧中で濃縮した後、白色固体を、アセトニトリル:酢酸エチルの55:45混合物より再結晶させて、13.5gの5−[10−(ジメチルビニルシラン)−デシル]−2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−ピリミジンを生成した。
【0056】
以下の実施例において、相マップは、1分当たり10℃で加熱する示差走査熱量計で測定される。粘度および分極を、ラビング処理したポリイミド層を組み込んだ、市販の4μmセルを使用する、市販のAPT(Displaytech,Inc.製のAutomated Property Tester)で測定する。これらのセルは、当業者に公知であるように、粘度および分極を測定する前に焼きなましされる。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
a)11個の成分からなる混合物
5−[[(2R,3R)−2,3−ジフルオロオクチル]オキシ]−2−(4−オクチルフェニル)−ピリジン 7.1mol%
5−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチル]オキシ]−2−[4−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチ]オキシ]フェニル]−ピリミジン 1.7mol%
ヘプタノン酸4−(5−オクチルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル
18.4mol%
4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4−(5−デシルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル 10.4mol%
2−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
9.5mol%
5−オクチルオキシ−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン
8.8mol%
2−(4−ノニルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.5mol%
2−(4−ドデシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
7.8mol%
2−(4−デシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.3mol%
5−ヘプチル−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン 9.5mol%
5−[9−(ジメチルビニルシラニル)−ノニルオキシ]−2−(4’−ヘプチルビフェニル−4−イル)−ピリミジン 10mol%
以下の液晶特性を示す:
相マップ:Cr−8.7 S83.6 S91.3 N98.8 I;S−19.3 Cr
0℃における粘度:290ミリパスカル秒
0℃における分極:38.7nC/cm
【0058】
b)比較として、シリル成分を含まない点でのみ上記の混合物と異なる液晶混合物は、以下の特性を有する。
相マップ:Cr0 S76.1 S84.4 N93.1 I;S−14.5 Cr
0℃における粘度:474ミリパスカル秒
0℃における分極:43.5nC/cm
したがって、シランの追加は、その混合物の粘度を低減した。
【0059】
c)別の比較として、シリル成分が同じモル濃度で5−オクチルオキシ−2−{4−[10−(トリメチルシラニル)−デシルオキシ]−フェニル}−ピリミジンと置き換えられる点でのみ混合物1aと異なる液晶混合物(シリル成分はこの特許には包含されない)は、以下の特性を有する:
相マップ:Cr−1.8 S74.0 S85.4 N92.0 I;S−14.0 Cr
0℃における粘度:250ミリパスカル秒
0℃における分極:40.6nC/cm
【0060】
d)別の比較として、シリル成分が同じモル濃度で2−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン(非シリル成分)と置き換えられる点でのみ、混合物1aと異なる液晶混合物は、以下の特性を有する:
相マップ:Cr3.1 S76.2 S84.2 N92.7 I;S−13.3 Cr
0℃における粘度:181ミリパスカル秒
0℃における分極:36.6nC/cm
【0061】
(実施例2)
a)11個の成分からなる混合物
5−[[(2R,3R)−2,3−ジフルオロオクチル]オキシ]−2−(4−オクチルフェニル)−ピリジン 7.1mol%
5−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチル]オキシ]−2−[4−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチ]オキシ]フェニル]−ピリミジン 1.7mol%
ヘプタノン酸4−(5−オクチルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル
18.4mol%
4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4−(5−デシルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル 10.4mol%
2−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
9.5mol%
5−オクチルオキシ−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン
8.8mol%
2−(4−ノニルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.5mol%
2−(4−ドデシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
7.8mol%
2−(4−デシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.3mol%
5−ヘプチル−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン 9.5mol%
5−[10−(イソプロピルジメチルビニルシラニル)−デシル]−2−(4’−オクチルビフェニル−4−イル)−ピリミジン 10mol%
以下の液晶特性を示す:
相マップ:Cr−2.7 S60.9 S66 N88.3 I;S−19.1 Cr
0℃における粘度:430ミリパスカル秒
0℃における分極:33.1nC/cm
【0062】
(実施例3)
a)11個の成分からなる混合物
5−[[(2R,3R)−2,3−ジフルオロオクチル]オキシ]−2−(4−オクチルフェニル)−ピリジン 7.1mol%
5−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチ]オキシ]−2−[4−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチル]オキシ]フェニル]−ピリミジン 1.7mol%
ヘプタノン酸4−(5−オクチルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル
18.4mol%
4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4−(5−デシルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル 10.4mol%
2−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
9.5mol%
5−オクチルオキシ−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン
8.8mol%
2−(4−ノニルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.5mol%
2−(4−ドデシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
7.8mol%
2−(4−デシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.3mol%
5−ヘプチル−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン 9.5mol%
5−[9−(ジメチルビニルシラニル)−ノニル]−2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−イル)−ピリミジン 10mol%
以下の液晶特性を示す:
相マップ:Cr−1.3 S80.2 S87.6 N94.2 I;S−14.0 Cr
0℃における粘度:292ミリパスカル秒
0℃における分極:35.0nC/cm
【0063】
(実施例4)
a)11個の成分からなる混合物
5−[[(2R,3R)−2,3−ジフルオロオクチル]オキシ]−2−(4−オクチルフェニル)−ピリジン 7.1mol%
5−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチル]オキシ]−2−[4−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチ]オキシ]フェニル]−ピリミジン 1.7mol%
ヘプタノン酸4−(5−オクチルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル
18.4mol%
4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4−(5−デシルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル 10.4mol%
2−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
9.5mol%
5−オクチルオキシ−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン
8.8mol%
2−(4−ノニルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.5mol%
2−(4−ドデシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
7.8mol%
2−(4−デシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.3mol%
5−ヘプチル−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン 9.5mol%
2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−イル)−5−[6−(トリメチルシラニル)−ヘキシル]−ピリミジン 10mol%
以下の液晶特性を示す:
相マップ:Cr−2.0 S81.5 S88.0 N94.8 I;S−18.0 Cr
0℃における粘度:278ミリパスカル秒
0℃における分極:37.7nC/cm
【0064】
(実施例5)
a)11個の成分からなる混合物
5−[[(2R,3R)−2,3−ジフルオロオクチル]オキシ]−2−(4−オクチルフェニル)−ピリジン 7.1mol%
5−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチル]オキシ]−2−[4−[[(3S)−3,7−ジメチルオクチ]オキシ]フェニル]−ピリミジン 1.7mol%
ヘプタノン酸4−(5−オクチルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル
18.4mol%
4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4−(5−デシルピリミジン−2−イル)−フェニルエステル 10.4mol%
2−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
9.5mol%
5−オクチルオキシ−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン
8.8mol%
2−(4−ノニルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.5mol%
2−(4−ドデシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
7.8mol%
2−(4−デシルオキシフェニル)−5−オクチルオキシピリミジン
8.3mol%
5−ヘプチル−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリミジン 9.5mol%
[10−(2”,3”−ジフルオロ−4−ヘプチル−[1,1’;4’,1”]テルフェニル−4”−イルオキシ)−デシル]−トリメチルシラン 10mol%
以下の液晶特性を示す:
相マップ:Cr−3.6 S79.0 S86.5 N94.1 I;S−20.0 Cr
0℃における粘度:459ミリパスカル秒
0℃における分極:38.4nC/cm
【0065】
過冷却効果の例は、混合物MX20311において見られた。この混合物は、種々の型の成分のうちの、以下のモル比からなる、28個の成分の混合物である。
【0066】
【化36】

比率は合計で100%を超えることに注意すること。なぜなら、成分は数種のクラスに帰属し得るからである。
【0067】
走査示差熱量計を使用して、MX20311の凝固点を約−27℃と決定した。しかしながら、この物質を0.7ミクロンのセルに入れて、そして−30℃で約264時間維持した場合、結晶は生じなかった。−35℃での11日間、0.7ミクロンセル中のこの物質を同様に処理しても、結晶を生じなかった。MX20311は、以下に示される2.6モルパーセントの1976を含む:
【0068】
【化37】

2−(4’−ヘキシルビフェニル−4−イル)−5−[6−(トリメチルシラニル)−オクチル]−ピリミジン。
【0069】
シリル化テールを有する成分を欠いた他の同様な混合物は、この過冷却効果を示さなかったが、その代わりに−30℃および−35℃の温度に長期間曝した際に、大量の結晶化を示した。
【0070】
置換基の群が本明細書中で開示される場合、これら群および全ての部分群のうちの全ての個々のメンバー(群のメンバーの任意のアイソマーおよびエナンチオマーを含む)ならびにこれらの置換基を使用して形成され得る化合物のクラスは、別々に開示されることが、理解される。ある化合物が特許請求される場合、本明細書中に開示される参考文献に開示される化合物を含む、当該分野で公知の化合物は、含まれることを意図されないことが、理解されるべきである。マーカッシュ(Markush)の群または他の分類(群化)が本明細書中で使用される場合、群の全ての個々のメンバーならびにその群の可能性ある全ての組合せおよび部分的組合せは、本開示中に個々に包含されることが意図される。
【0071】
記載されるかまたは例示される成分についての、あらゆる配合または組合せを使用して、他に示されない限り、本発明を実施し得る。化合物の特定の名称は、例示的であることが意図される。なぜなら、当業者は同じ化合物を異なって命名し得るからである。ある化合物が本明細書中に開示されその結果、この化合物の特定のアイソマーまたはエナンチオマーが、例えば、式名においても化学名においても特定されていない場合、この記載は、個々にまたは任意の組合せにおいて記載される化合物の各々のアイソマーおよびエナンチオマーを含むことが意図される。当業者は、特に例示されたもの以外の方法、デバイス要素、出発物質、および合成方法が、過度の実験に頼らずに本発明の実施で使用され得ることを、理解する。そのような方法、デバイス要素、出発物質、および合成方法のいずれかの当該分野で公知である全ての機能的等価物は、本発明に包含されることが意図される。本明細書中で範囲(例えば、温度範囲、時間範囲、または組成範囲)が与えられる場合は常に、与えられる範囲を含む全ての中間範囲および部分範囲、ならびに全ての個々の値は、本開示中に含まれることが意図される。
【0072】
本明細書中で使用される場合、「〜を含む(comprising)」は、「〜を含む(including)」、「〜を含む(containing)」または「〜によって特徴付けられる」と同義語であり、そして包括的であるかまたは開放的(open−ended)であり、そしてさらなる未記載の要素または方法工程を除外しない。本明細書中で使用される場合、「〜からなる」は、特許請求の範囲の構成要素において特定されていない、いかなる要素、工程、または成分も除外する。本明細書中で使用される場合、「本質的に〜からなる」は、特許請求の範囲の基本的特徴および新規の特徴に実質的に影響しない物質も工程も除外しない。用語「〜を含む」に関する本明細書中の任意の記載は、特に組成物の成分の記載において、またはデバイスの構成要素の記載において、本質的に記載された成分または要素からなる方法および組成物、ならびに記載された成分または要素からなる方法および組成物を包含するように理解される。本明細書中に例示的に記載された発明は、本明細書中に特には開示されない任意の要素、制限の非存在下で適切に実施され得る。
【0073】
使用された用語および表現は、記載の用語として使用され、限定としてではなく、そして示されて記載された特性の任意の等価物またはその一部を除外する用語および表現の使用において、他意はないが、特許請求される本発明の範囲内で種々の変更が可能であることが認識される。従って、本発明は好ましい実施形態および任意の特徴によって特に開示されたが、本明細書中に開示された概念の変更およびバリエーションが、当業者によって使用され得ること、およびこのような変更およびバリエーションが、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内であるとみなされることが、理解されるべきである。
【0074】
一般に、本明細書中で使用される用語および句は、当該分野で認識される意味を有し、この意味は標準的な教本、学術誌引用物および当該分野で公知の文脈によって見出され得る。本明細書中で言及された全ての特許および刊行物は、本発明が関係する分野の当業者の熟練レベルを示す。
【0075】
当業者は、本発明が、目的を達成し、そして言及された目的をおよび利点を得るために良好に適用されることを、容易に理解する。好ましい実施形態の現在の代表のものとして、本明細書中に開示される化合物、組成物、方法および付属的な方法は、例示であって、本発明の範囲の限定としては意図されない。本明細書中の変更および他の用途は、当業者の心に浮かび、これらは本発明の精神の内に包含され、特許請求の範囲によって定義される。
【0076】
本明細書中の記載は多くの具体的なものを含むが、これらは本発明の範囲を制限するものとしてはみなされるべきでなく、本発明のいくつかの実施形態の例示を単に提供するものとしてみなされるべきである。例えば、本明細書中に特に例示されるもの以外のコア、テールおよび置換基は、本発明中に包含される。従って、さらなる実施形態は、本発明の範囲内であり、そして添付の特許請求の範囲内である。本明細書中に記載される全ての参考文献は、本明細書の開示と矛盾しない程度に参考として援用される。本明細書中に適用されるいくつかの参考文献は、さらなる出発物質、さらなる合成方法、さらなる分析方法およびさらなる本発明の使用に関する詳細を提供するため、本明細書中に参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶組成物であって、該組成物は、1以上の液晶化合物および1以上の添加液晶化合物を含み、該組成物は、過冷却され得る、組成物。
【請求項2】
前記添加液晶化合物が、1以上のシリル含有液晶化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1以上のシリル含有液晶化合物が、式(I):
【化1】

を有し、ここで、
は、2〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝の(1以上の不斉炭素原子を含むかもしくは含まない)アルキル基またはアルケニル基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−で置換され得、そして1以上の水素は、フッ素で置換され得;
、A、Aは、同じであっても異なっていてもよく、1,4−フェニレン、ナフト−2,6−ジイル、1,4−ジヒドロナフト−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−2,6−ジイル、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシル、1,2−シクロヘキセン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3,4−ディスジアゾール−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリジジン−3,6−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、およびチオフェン−2,5−ジイルからなる群より選択され、基A、A、Aの各々で独立して、1または2つの水素は、フッ素またはメチルで置換され得;
、Mは、同じであっても異なっていてもよく、−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、および−O−CH2−からなる群より選択され;
Gは、1〜16個の炭素原子を含む直鎖のアルキレン基またはアルケニレン基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、SiがGの炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、または−O−CO−で置換され得;
、R、Rは、同じであっても異なっていてもよく、1〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基またはアルケニル基、あるいはシクロアルカンまたはシクロアルケンであり、1〜3個の隣接していない−CH2−基は、−Si(Me2)−のSiが炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(Me2)−で置換され得、そして炭素上の水素原子のいずれかまたはすべては、フッ素で置換され得;
Bは、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−、−CO−、−S−CO−、−CO−S−、あるいは単結合であり;
a、b、c、d、e、fは、a+c+eが1、2または3であるという条件で、0または1である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記1以上のシリル含有液晶化合物が、前記混合物の少なくとも約2モルパーセントを占める、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、添加液晶化合物を含まない組成物よりも低い粘性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、添加液晶化合物を含まない組成物よりも高いスメクチックC安定性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
液晶混合物の低温安定性を増大させる方法であって、該方法は、1以上のシリル含有液晶化合物を液晶混合物に添加する工程を包含する、方法。
【請求項8】
前記シリル含有液晶化合物が、1以上の式(I):
【化2】

の化合物であり、ここで、
は、2〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝の(1以上の不斉炭素原子を含むかもしくは含まない)アルキル基またはアルケニル基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−で置換され得、そして1以上の水素は、フッ素で置換され得;
、A、Aは、同じであっても異なっていてもよく、1,4−フェニレン、ナフト−2,6−ジイル、1,4−ジヒドロナフト−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−2,6−ジイル、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシル、1,2−シクロヘキセン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3,4−ディスジアゾール−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリジジン−3,6−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、およびチオフェン−2,5−ジイルからなる群より選択され、基A、A、Aの各々で独立して、1または2つの水素は、フッ素またはメチルで置換され得;
、Mは、同じであっても異なっていてもよく、−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、および−O−CH2−からなる群より選択され;
Gは、1〜16個の炭素原子を含む直鎖のアルキレン基またはアルケニレン基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、SiがGの炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、または−O−CO−で置換され得;
、R、Rは、同じであっても異なっていてもよく、1〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基またはアルケニル基、あるいはシクロアルカンまたはシクロアルケンであり、1〜3個の隣接していない−CH2−基は、−Si(Me2)−のSiが炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(Me2)−で置換され得、そして炭素上の水素原子のいずれかまたはすべては、フッ素で置換され得;
Bは、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−、−CO−、−S−CO−、−CO−S−、あるいは単結合であり;
a、b、c、d、e、fは、a+c+eが1、2または3であるという条件で、0または1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シリル含有液晶化合物が、前記混合物の少なくとも約2モルパーセントを占める、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物が過冷却され得る、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
一般式(I):
【化3】

のシリル含有液晶化合物であって、ここで、
は、2〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝の(1以上の不斉炭素原子を含むかもしくは含まない)アルキル基またはアルケニル基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−で置換され得、そして1以上の水素は、フッ素で置換され得;
、A、Aは、同じであっても異なっていてもよく、1,4−フェニレン、ナフト−2,6−ジイル、1,4−ジヒドロナフト−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−2,6−ジイル、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシル、1,2−シクロヘキセン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3,4−ディスジアゾール−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリジジン−3,6−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、およびチオフェン−2,5−ジイルからなる群より選択され、基A、A、Aの各々で独立して、1または2つの水素は、フッ素またはメチルで置換され得;
、Mは、同じであっても異なっていてもよく、−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、および−O−CH2−からなる群より選択され;
Gは、1〜16個の炭素原子を含む直鎖のアルキレン基またはアルケニレン基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、SiがGの炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、または−O−CO−で置換され得;
、R、Rは、同じであっても異なっていてもよく、1〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基またはアルケニル基、あるいはシクロアルカンまたはシクロアルケンであり、1〜3個の隣接していない−CH2−基は、−Si(Me2)−のSiが炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(Me2)−で置換され得、そして炭素上の水素原子のいずれかまたはすべては、フッ素で置換され得;
Bは、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−、−CO−、−S−CO−、−CO−S−、あるいは単結合であり;
a、b、c、d、e、fは、a+c+eが1、2または3であるという条件で、0または1である、化合物。
【請求項12】
一般式(I)において、グルーピング (−A(−M(A(−M(−A− は、
【化4】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
少なくとも1つの一般式(I):
【化5】

のシリル含有液晶化合物、および液晶ホストを含む液晶混合物であって、ここで、
は、2〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝の(1以上の不斉炭素原子を含むかもしくは含まない)アルキル基またはアルケニル基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−で置換され得、そして1以上の水素は、フッ素で置換され得;
、A、Aは、同じであっても異なっていてもよく、1,4−フェニレン、ナフト−2,6−ジイル、1,4−ジヒドロナフト−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−2,6−ジイル、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシル、1,2−シクロヘキセン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3,4−ディスジアゾール−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリジジン−3,6−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、およびチオフェン−2,5−ジイルからなる群より選択され、基A、A、Aの各々で独立して、1または2つの水素は、フッ素またはメチルで置換され得;
、Mは、同じであっても異なっていてもよく、−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、および−O−CH2−からなる群より選択され;
Gは、1〜16個の炭素原子を含む直鎖のアルキレン基またはアルケニレン基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、SiがGの炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、または−O−CO−で置換され得;
、R、Rは、同じであっても異なっていてもよく、1〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基またはアルケニル基、あるいはシクロアルカンまたはシクロアルケンであり、1〜3個の隣接していない−CH2−基は、−Si(Me2)−のSiが炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(Me2)−で置換され得、そして炭素上の水素原子のいずれかまたはすべては、フッ素で置換され得;
Bは、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−、−CO−、−S−CO−、−CO−S−、あるいは単結合であり;
a、b、c、d、e、fは、a+c+eが1、2または3であるという条件で、0または1である、液晶混合物。
【請求項14】
前記シリル含有液晶化合物が、前記混合物の少なくとも約2モルパーセントを占める、請求項13に記載の液晶混合物。
【請求項15】
前記混合物が、前記シリル含有液晶化合物を含まない混合物よりも増大した低温安定性を有する、請求項13に記載の液晶混合物。
【請求項16】
前記混合物が、前記シリル含有液晶化合物を含まない混合物よりも低い粘性を有する、請求項13に記載の液晶混合物。
【請求項17】
前記混合物が、前記シリル含有液晶化合物を含まない混合物よりも高いスメクチックC安定性を有する、請求項13に記載の液晶混合物。
【請求項18】
1以上のシリル含有液晶化合物を含む液晶混合物を備える、電気光学デバイス。
【請求項19】
前記シリル含有液晶化合物が、1以上の式(I):
【化6】

の化合物を含み、ここで、
は、2〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝の(1以上の不斉炭素原子を含むかもしくは含まない)アルキル基またはアルケニル基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−で置換され得、そして1以上の水素は、フッ素で置換され得;
、A、Aは、同じであっても異なっていてもよく、1,4−フェニレン、ナフト−2,6−ジイル、1,4−ジヒドロナフト−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−2,6−ジイル、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシル、1,2−シクロヘキセン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3,4−ディスジアゾール−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリジジン−3,6−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、およびチオフェン−2,5−ジイルからなる群より選択され、基A、A、Aの各々で独立して、1または2つの水素は、フッ素またはメチルで置換され得;
、Mは、同じであっても異なっていてもよく、−CO−O−、−O−CO−、−CH2−O−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、および−O−CH2−からなる群より選択され;
Gは、1〜16個の炭素原子を含む直鎖のアルキレン基またはアルケニレン基であり、1または2つの隣接していない−CH2−基は、SiがGの炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、または−O−CO−で置換され得;
、R、Rは、同じであっても異なっていてもよく、1〜16個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基またはアルケニル基、あるいはシクロアルカンまたはシクロアルケンであり、1〜3個の隣接していない−CH2−基は、−Si(Me2)−のSiが炭素原子にのみ結合するという条件で、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(Me2)−で置換され得、そして炭素上の水素原子のいずれかまたはすべては、フッ素で置換され得;
Bは、−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−、−CO−、−S−CO−、−CO−S−、あるいは単結合であり;
a、b、c、d、e、fは、a+c+eが1、2または3であるという条件で、0または1である、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記シリル含有液晶化合物が、前記混合物の少なくとも約2モルパーセントを占める、請求項18に記載のデバイス。

【公表番号】特表2007−523237(P2007−523237A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553271(P2006−553271)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/004396
【国際公開番号】WO2005/077101
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(593026188)ディスプレイテック,インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】Displaytech, Incorporated
【住所又は居所原語表記】2200 Central Avenue, Suite A, Boulder, Colorado 80301, United States of America
【Fターム(参考)】