説明

シリンジ用プランジャー、シリンジおよびプレフィルドシリンジ

【課題】ガスケットへのプランジャー本体の螺合装着時における装着抵抗が少なく、装着作業が容易であり、装着作業時におけるガスケットの回転を防止するシリンジ用プランジャーを提供する。
【解決手段】シリンジ用プランジャー1は、内腔部21を有するガスケット2と、プランジャー本体3とを備える。プランジャー本体3は、本体部30に設けられた平板部36と、ガスケット2の内腔部21に収納可能な先端部31と、先端部31の外面に設けられたプランジャ側螺合部32と、平板部に設けられた先端方向に突出する回転規制用リブ35とを備える。ガスケットは、内腔部の内面に設けられ、螺旋状リブと螺合するための螺旋状螺合部24と、回転規制用リブ35を収容可能なリブ収納用凹部25と、リブ収納用凹部の側部に設けられた易変形部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットからのプランジャー本体外れ防止機構を備えるシリンジ用プランジャー、それを用いたシリンジおよびプレフィルドシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、予め薬液が充填されたプレフィルドシリンジが、多く利用されている。プレフィルドシリンジにおけるガスケット挿入は、先端開口がシールされた外筒内に薬剤を充填した状態とし、減圧下雰囲気(真空下雰囲気)にて、ガスケットを外筒の開口部に配置し、その後、常圧状態とすることにより、ガスケットを外筒内に挿入させるといういわゆる真空打栓といわれる方法を用いるのが一般的である。プランジャーが装着済みでは、外筒の開口部へのガスケットの配置が困難であるため、ガスケット単体にて上記の打栓作業が行われる。このため、プレフィルドシリンジとしては、その後のプランジャー装着作業を必要とするのが一般的である。そして、ガスケットへのプランジャー装着作業を容易なものとし、かつ、装着作業時における液漏れ発生防止、内部圧の上昇抑制を少ないものとするために、プランジャーに雄ねじ部、ガスケットに雌ねじ部を設け、両者の螺合による装着機構を有するものが一般的となっている。
しかしながら、従来の螺合による結合は、製造時におけるネジの寸法差や、組立機の締め付けトルクの誤差などが原因で結合が緩くなる場合がある。この場合、運搬中などに付与される振動等により、プランジャーが回転して、ガスケットより、脱落することがあった。
そのようなガスケットからの離脱を防止することができるプランジャーとして、特開2007−111547号公報(特許文献1)が提案されている。特許文献1のプランジャーは、オネジ21を設けた天面22を有するプランジャーロッド20と、このオネジ21と螺合するメネジ11を設けたガスケット10を含んでなり、前記プランジャーロッド20の天面22には、先端方向に突出する凸部23が設けられると共に、ガスケット10にはこの凸部23と係合する凹部12が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−111547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のものでは、緩み止めとしては、十分な機能を備えている。しかし、ガスケットへのプランジャー装着時に、プランジャーロッド20の天面22に設けられた凸部23が、ガスケット10の凹部12付近に圧接し、その圧接により、ガスケットを回転させることがあった。ガスケットの回転は、プレフィルドシリンジでは、液漏れを生じさせることがある。また、上記のプランジャーロッド20の天面22に設けられた凸部23とガスケット10の凹部12付近との圧接は、高い装着抵抗を生じさせるものであった。
本発明の目的は、ガスケットへのプランジャー本体の螺合装着時における装着抵抗が少なく、装着作業が容易であり、かつ、装着作業時におけるガスケットの回転を防止し、ガスケットの回転に起因する液漏れを防止することができるシリンジ用プランジャー、それを用いたシリンジおよびプレフィルドシリンジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 先端が閉塞し後端が開口し、内部に内腔部を有するガスケットと、該ガスケットに装着されたまたは装着可能なプランジャー本体とを備えるシリンジ用プランジャーであって、
前記プランジャー本体は、本体部と、前記本体部に設けられた平板部と、前記平板部より、前方に突出し、前記ガスケットの前記内腔部に収納可能な先端部と、該先端部の外面に設けられたプランジャ側螺合部と、前記平板部に設けられ、先端方向に突出する回転規制用リブとを備え、
前記ガスケットは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、前記内腔部の内面に設けられ、前記プランジャー本体の前記プランジャ側螺合部と螺合するための螺旋状螺合部と、基端面に設けられるとともに、前記プランジャー本体の前記回転規制用リブを収容可能なリブ収納用凹部とを備え、
さらに、前記ガスケットは、前記リブ収納用凹部の側部であり、かつ前記ガスケットへの前記プランジャー本体の装着時に前記プランジャー本体の前記回転規制用リブが摺接する部分が、易変形部となっているシリンジ用プランジャー。
【0006】
(2) 前記易変形部は、前記ガスケットの前記リブ収納用凹部の側部となる位置に設けられた1または複数のスリットを備え、前記スリットは、前記ガスケットの底面周縁部に設けられるとともに、前記内腔部より前記ガスケットの外側面方向に延びかつ前記外側面に到達しないものとなっている上記(1)に記載のシリンジ用プランジャー。
(3) 前記易変形部は、前記リブ収納用凹部の側面から周方向に延び、前記スリットと連通する周方向切り込みを備えている上記(2)に記載のシリンジ用プランジャー。
(4) 前記易変形部は、前記ガスケットへの前記プランジャー本体の装着時に前記プランジャー本体の前記回転規制用リブが摺接する部分に設けられ、かつ、前記リブ収納用凹部に向かって徐々に深くなる誘導用凹部と、前記リブ収納用凹部と前記誘導用凹部間に位置し、かつ、前記誘導用凹部側が前記リブ収納用凹部側に傾斜した傾斜面となっている乗り上げ可能な壁部とにより形成されている上記(1)に記載のシリンジ用プランジャー。
(5) 前記回転規制用リブは、前記回転規制用リブの頂点方向に向かって肉薄となるとともに、前記ガスケットへの前記プランジャー本体の装着時における前記ガスケットの回転方向となる面が、前記回転規制用リブの頂点に向かって傾斜する傾斜面となっている上記(1)または(4)のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
(6) 前記回転規制用リブは、前記プランジャー本体の中心軸に対して等角度となるように、2以上設けられており、前記リブ収納用凹部も前記回転規制用リブに対応するように、前記ガスケットの中心軸に対して等角度となるように、2以上設けられている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
(7) 前記プランジャ側螺合部は、螺旋状リブである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
(8) 前記ガスケットに、前記プランジャー本体が装着された状態となっている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のシリンジ用プランジャーと、前記ガスケットを摺動可能に収納する外筒とを備えるシリンジ。
(10) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のシリンジ用プランジャーと、前記ガスケットを摺動可能に収納する外筒と、前記外筒の先端開口部を封止する封止部材と、前記外筒内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤とからなるプレフィルドシリンジ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシリンジ用プランジャーは、先端が閉塞し後端が開口し、内部に内腔部を有するガスケットと、ガスケットに装着されたまたは装着可能なプランジャー本体とを備える。プランジャー本体は、本体部と、本体部に設けられた平板部と、平板部より、前方に突出し、ガスケットの内腔部に収納可能な先端部と、該先端部の外面に設けられたプランジャ側螺合部と、平板部に設けられ、先端方向に突出する回転規制用リブとを備え、ガスケットは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、内腔部の内面に設けられ、プランジャー本体のプランジャ側螺合部と螺合するための螺旋状螺合部と、基端面に設けられるとともに、プランジャー本体の回転規制用リブを収容可能なリブ収納用凹部とを備える。そして、ガスケットは、リブ収納用凹部の側部であり、かつガスケットへのプランジャー本体の装着時にプランジャー本体の回転規制用リブが摺接する部分が、易変形部となっている。このため、ガスケットへのプランジャー本体の螺合装着時において、高い摺接抵抗が発生しやすいリブ収納用凹部の側部が、易変形部となっているため、ガスケットへのプランジャー本体の螺合装着時における装着抵抗が少なく、装着作業が容易であるとともに、装着作業時におけるガスケットの回転を防止し、ガスケットの回転に起因する液漏れを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例のシリンジ用プランジャーの正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、図1に示すシリンジ用プランジャーに用いられているガスケットの底面図である。
【図4】図4は、図3に示すガスケットのB−B線縦断面図である。
【図5】図4は、図1に示すシリンジ用プランジャーに用いられているプランジャー本体の正面図である。
【図6】図6は、本発明のシリンジ用プランジャーにおけるガスケットとプランジャー本体の装着状体を説明するための説明図である。
【図7】図7は、図5に示したプランジャー本体の先端部の拡大正面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施例のシリンジ用プランジャーに用いられるガスケットの底面図である。
【図9】図9は、図8に示したガスケットのC−C線断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例のプレフィルドシリンジの縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジの縦断面図である。
【図12】図12は、図10および図11のプレフィルドシリンジに用いられる外筒の正面図である。
【図13】図13は、図10および図11のプレフィルドシリンジに用いられる封止部材の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のシリンジ用プランジャー、それを用いたシリンジ及びプレフィルドシリンジについて、図示する実施例を用いて説明する。
本発明のシリンジ用プランジャー1は、先端が閉塞し後端が開口し、内部に内腔部21を有するガスケット2と、ガスケット2に装着されたまたは装着可能なプランジャー本体3とを備える。プランジャー本体3は、本体部30と、本体部30に設けられた平板部36と、平板部36より前方に突出し、ガスケット2の内腔部21に収納可能な先端部31と、先端部31の外面に設けられたプランジャ側螺合部32と、平板部36に設けられ、先端方向に突出する回転規制用リブ35とを備える。ガスケット2は、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、内腔部21の内面に設けられ、プランジャー本体3のプランジャ側螺合部32と螺合するための螺旋状螺合部24と、基端面に設けられるとともに、プランジャー本体3の回転規制用リブ35を収容可能なリブ収納用凹部25とを備える。さらに、ガスケット2は、リブ収納用凹部25の側部であり、かつガスケット2へのプランジャー本体3の装着時にプランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する部分が、易変形部26となっている。
シリンジ用プランジャー1は、図1に示すように、ガスケット2とプランジャー本体3からなる。
【0010】
この実施例のガスケット2は、図1ないし図4に示すように、閉塞した先端と、後端開口を有する筒状体である。ガスケット2は、本体部20と、本体部20の先端側に設けられ先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部22を有する。また、ガスケット2は、先端側部に設けられ、外筒内面と摺接する先端側摺接部23aと後端側部分に設けられた後端側摺接部23bを備えている。また、先端側摺接部23aは、軸方向の中央付近の径が大きくなっていることが好ましい。具体的に、先端側摺接部23aは若干太鼓胴部状に形成されていることが好ましい。このような構成により、プランジャー押圧時に先端側摺接部23aが外筒の内面から離間しにくくなるので薬液が漏れにくくなる。また、先端側摺接部23aは、図1および図4に示すように、軸方向に幅広に形成されていることが好ましい。
【0011】
そして、ガスケット2は、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、内腔部21の内面に設けられ、プランジャー本体3のプランジャ側螺合部32と螺合するための螺旋状螺合部24と、基端面に設けられるとともに、プランジャー本体3の回転規制用リブ35を収容可能なリブ収納用凹部25と、リブ収納用凹部25の側部であり、かつガスケット2へのプランジャー本体3の装着時にプランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する部分に形成された易変形部26とを備える。
そして、この実施例のガスケット3では、上述したリブ収納用凹部25より先端側となる部分の内腔部21の内面に、螺旋状螺合部24が形成されている。
螺旋状螺合部24は、一本もしくは複数本のねじ山により形成されており、ねじ山間により形成される螺旋状空間29をプランジャー本体3のプランジャ側螺合部32が進行する。また、リブ収納用凹部25が形成されている部分の内腔部21の内面には、螺旋状螺合部24は、形成されていない。また、この実施例では、螺旋状螺合部24は、後述するするプランジャー本体3のプランジャ側螺合部32に対応するように、二条(二本)の螺旋状螺合部24となっている。なお、上記のような複数(具体的には、二条)の螺旋状螺合部を備えることが好ましいが、螺旋状螺合部(螺旋状突起)は、一条(一本)のみであってもよい。
また、この実施例のガスケット2では、ガスケット2の内腔部21の先端部内面は、ガスケット2の先端に向かって縮径している。そして、先端内面の中央部には、突起部が設けられている。
【0012】
そして、ガスケット3は、内腔部21を有する。そして、内腔部21の内面には、プランジャー本体3のプランジャ側螺合部32と螺合するための螺旋状螺合部24と、螺旋状螺合部24より後端側でありかつガスケット3の後端面に形成されたリブ収納用凹部25を備えている。さらに、ガスケット3の底面視において、リブ収納用凹部25の反時計回りとなる側部(具体的には、リブ収納用凹部25の左側部)には、易変形部26が形成されている。この易変形部26が形成されている部分は、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時に、プランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接(圧接)する部分であり、この部分を通過することにより、プランジャー本体3の回転規制用リブ35は、リブ収納用凹部25に収納される。
【0013】
この実施例のガスケット2では、リブ収納用凹部25は、ガスケット2の底面部に形成されるとともに、外周面より若干中心側となる位置に始端を有し、内腔部21に到達するものとなっている。言い換えれば、リブ収納用凹部25は、ガスケット2の側面に到達していない。このため、ガスケット2は、リブ収納用凹部25とガスケットの外周面間に、凹部非形成部を有するものとなっている。後述するプランジャー本体3の回転規制用リブ35は、プランジャー本体3の中心軸に対して等角度となるように、2以上設けられており、ガスケット2のリブ収納用凹部25も回転規制用リブ35に対応するように、ガスケット2の中心軸に対して等角度となるように、2以上設けられている。また、リブ収納用凹部25は、ガスケット2の中心軸に対して等角度となるように、2以上、特に、2〜6個設けることが好ましい。また、この実施例のガスケット2では、図3に示すように、リブ収納用凹部25の内腔部21側の2つのエッジ25a、25bは、丸みを帯びたもの(面取りされたもの)となっている。また、リブ収納用凹部25の易変形部26側の側面は、起立面となっており、後述する回転規制用リブ35の側面と当接する。
【0014】
この実施例のガスケット2では、易変形部26は、ガスケット2のリブ収納用凹部25の側部(具体的には、リブ収納用凹部25の左側部、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時に、プランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する部分)となる位置に設けられた1または複数のスリット27を備える。スリット27は、ガスケット2の底面周縁部に設けられるとともに、内腔部21よりガスケット2の外側面方向に延びかつ外側面に到達しないものとなっている。
具体的に説明すると、図3および図4に示すように、易変形部26は、ガスケット2のリブ収納用凹部25の側部(リブ収納用凹部25の左側部)となる位置に設けられたスリット27により形成されている。このスリット27を備えることにより、易変形部26は、リブ収納用凹部25側への変形(言い換えれば、傾倒)が容易となり、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時におけるガスケット2の底面周縁部とプランジャー本体3の回転規制用リブ35の摺接抵抗が、少なくなり、装着が容易になるとともに、ガスケットが予め外筒内に収納されているプレフィルドシリンジの場合に、外筒内でのガスケットの回転を防止する。
【0015】
スリット27は、ガスケット2の底面部に形成されるとともに、外周面より若干中心側となる位置に始端を有し、内腔部の中央方向に延び、内腔部21に到達するものとなっている。言い換えれば、スリット27は、ガスケット2の側面に到達していない。
さらに、この実施例のガスケット2では、リブ収納用凹部25の反時計回りとなる側部(具体的には、リブ収納用凹部25の左側部、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時に、プランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する部分)には、複数のスリット27が形成されている。このため、リブ収納用凹部25の側部に形成された易変形部26の側部(左側側部、リブ収納用凹部25と反対側の側部)が第2易変形部となっており、第2易変形部の側部(左側側部、易変形部26と反対側の側部)が第3の易変形部となっている。このように、複数の易変形部を設けることにより、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時におけるガスケット2の底面周縁部とプランジャー本体3の回転規制用リブ35の摺接抵抗が、より少なくなる。また、スリット27の深さは、リブ収納用凹部25の深さとほぼ同じであることが好ましいが、若干深いものまたは若干浅いものであってもよい。
【0016】
さらに、この実施例のガスケット2では、図3に示すように、易変形部26は、リブ収納用凹部25の側面(具体的には、リブ収納用凹部25の左側面、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時に、プランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する側の側面)から周方向に延び、スリット27と連通する周方向切り込み28を備えている。この実施例では、周方向切りこみ28は、短い円弧状のものとなっている。そして、切りこみ28は、すべてのスリット27に到達するように、リブ収納用凹部25の左側面から、反時計回り方向に延びている。このような、周方向切りこみ28を設けることにより、易変形部26の変形抵抗がより少なくなり、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時におけるガスケット2の底面周縁部とプランジャー本体3の回転規制用リブ35の摺接抵抗もより少ないものとなる。そして、周方向切りこみ28の深さは、スリット27の深さとほぼ同じであることが好ましいが、若干深いものまたは若干浅いものであってもよい。
そして、上述したように、この実施例のガスケット2では、リブ収納用凹部25が複数設けられており、そのすべての側部(具体的には、リブ収納用凹部25の左側面、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時に、プランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する側の側面)には、上述した易変形部26が形成されている。
【0017】
なお、本発明における易変形部とは、ガスケットの一部を物理的に変形しやすい形状とすることにより、プランジャ本体の回転規制用リブの摺接抵抗を少なくする、言い換えれば、回転規制用リブの摺接による押圧力が付加された場合に、その応力が低減されるよう構成された部分をいう。易変形部は、上述したように、スリットにより形成することが好ましいが、図8および図9に示すガスケット2aのように、凹部により形成してもよい。
この実施例のガスケット2aでは、易変形部は、ガスケット2aへのプランジャー本体3の装着時にプランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する部分に設けられ、かつ、リブ収納用凹部25に向かって徐々に深くなる誘導用凹部61と、リブ収納用凹部25と誘導用凹部61間に位置し、かつ、誘導用凹部側がリブ収納用凹部側に傾斜した傾斜面61bとなっている乗り上げ可能な壁部62とにより形成されている。この壁部62が、易変形部となっている。
この実施例のガスケット2aでは、易変形部は、ガスケット2aのリブ収納用凹部25の側部(具体的には、リブ収納用凹部25の左側部、ガスケット2aへのプランジャー本体3の装着時に、プランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接する部分)となる位置に設けられた壁部62とその側部(左側側部、易変形部26と反対側の側部)に設けられた誘導用凹部61により構成されている。誘導用凹部61は、壁部62に向かって凹部61が深くなるように傾斜する第1の傾斜面61aを有している。このため、ガスケット2aへのプランジャー本体3の装着時において、ガスケット2aの底面周縁部とプランジャー本体3の回転規制用リブ35が摺接しにくく、摺接抵抗もより少ないものとなり、ある程度の勢いを持った状態にて、回転規制用リブ35を誘導用凹部61の第2の傾斜面61b(すなわち、壁部62)に当接させることができる。さらに、この第2の傾斜面61bは、リブ収納用凹部25側に傾斜しているため、回転規制用リブ35の壁部62の通過、言い換えれば、壁部62の変形を容易なものとしている。
【0018】
ガスケット2、2aは、本体部60の直径が5〜30mm、全長が5〜30mm、テーパー部22の傾きについては、テーパー角が1〜5°であることが好ましい。
ガスケット2,2aの構成材料としては、従来からシリンジ用ガスケットに使用されている公知のものが使用できる。例えば、ゴム、エラストマー、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムが好ましく、特に、加硫処理したものが好ましい。エラストマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー及びこれらの混合物が好ましい。上記ゴム、エラストマーの中でも、特に、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系エラストマーが、好適な硬度、弾性特性を有し、γ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌などの各種滅菌方法が採用可能であることから好ましい。
また、シリンジ用ガスケットの先端側部分に低薬剤吸着性物質等を被覆したものであってもよい。
【0019】
低薬物吸着層の材質としては、従来からシリンジ用ラミネートガスケットに使用されている公知のものが使用できる。低薬物吸着層の材質としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。具体的に、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン等が好ましく、フッ素系樹脂としては、四フッ化エチレン−パーフルオロエトキシエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が好ましい。
また、ガスケット2の先端側摺接部23a、後端側摺接部23bの両者もしくは少なくとも一方の表面に潤滑剤等を被覆してもよい。潤滑剤としては、シリコーンオイルが好適である。
【0020】
プランジャー本体3は、図1、図2、図5および図6に示すように、ガスケット2の基端面を押圧可能な平板部36を先端側に有する本体部30と、本体部30より、前方に突出し、ガスケット2の内腔部21内に収納可能な先端部31とを有する。
本体部30は、断面十字状に形成されたシャフト部37を備え、その先端に平板部36が設けられている。また、シャフト部37の基端には、プランジャー押圧部39が設けられている。
先端部31は、平板部36より先端方向に突出する筒状部であり、ガスケット2の螺旋状螺合部24と螺合可能なプランジャ側螺合部を備えている。また、平板部36には、平板部36の先端側表面より、先端方向に突出する回転規制用リブ35を備えている。
【0021】
この実施例のプレフィルドシリンジ1では、プランジャ4のプランジャ側螺合部は、螺旋状リブ32により構成されている。プランジャ側螺合部は、螺旋状リブであることが好ましいが、上述したガスケットの螺旋状螺合部と螺合可能なものであればよく、例えば、ラグ(複数の突出部により構成される)であってもよい。ラグとしては、プランジャの先端部31の外面の同一円周部に部分的な突出部を形成したものが例示される。例えば、プランジャの先端部31の先端部外周に、複数、例えば、向かい合うように2個設けたものが考えられる。
この実施例では、プランジャ側螺合部は、螺旋状リブ32であり、螺旋状リブ32は、装着用先端部31を形成する筒状部の先端部の外面に形成されている。また、このプランジャー本体3では、上述したガスケット2の螺旋状螺合部24に対応するように、二条(二本)の螺旋状リブを備えている。このような複数(具体的には、二条)の螺旋状リブを備えることが好ましいが、螺旋状リブは、一条(一本)のみであってもよい。
回転規制用リブ35は、平板部36の周縁側の端部が、上述したガスケット2のリブ収納用凹部25に収納可能な大きさおよび形状のものとなっている。この実施例では、図6に示すように、回転規制用リブ35は、平板部36の上面に設けられるとともに、平板部36の外周縁より、若干中心側となる位置に始端を有し、先端部31の中心方向に延びるものとなっている。
また、回転規制用リブ35は、プランジャー本体3の中心軸(筒状先端部31の中心軸)に対して等角度となるように、2以上設けられている。また、上述したように、リブ収納用凹部25も回転規制用リブ35に対応するように、ガスケット2の中心軸に対して等角度となるように、2以上設けられている。特に、2〜6個設けることが好ましい。そして、図6に示すように、ガスケット2にプランジャー本体3が装着された状態において、ガスケット2のリブ収納用凹部25の易変形部26側の側面と当接する回転規制用リブ35の側面は、起立面となっている。これにより、装着後において、プランジャー本体3にガスケット2より離脱する方向への回転が付与された場合、両者が確実に当接し、離脱を抑制する。また、上述したガスケット2の易変形部26は、リブ収納用凹部25方向への変形は容易であるが、反対方向には、難変形のものとなっている。
【0022】
さらに、図7に示す実施例のプランジャー本体3aのように、回転規制用リブ35は、回転規制用リブ35の頂点方向に向かって肉薄となるとともに、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時におけるガスケット2の回転方向となる面が、回転規制用リブ35の頂点に向かって傾斜する傾斜面35aとなっていてもよい。このようにすることにより、ガスケット2へのプランジャー本体3の装着時におけるガスケット2の底面周縁部とプランジャー本体3の回転規制用リブ35の摺接抵抗も少ないものとなる。
プランジャー本体3、3aの構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
本発明のシリンジ用プランジャーとしては、図1および図2に示すように、ガスケット2にプランジャー本体3が装着された状態のものに限定されるものではなく、使用時に、ガスケットにプランジャー本体を装着するタイプのものであってもよい。
【0023】
次に、本発明のシリンジおよびプレフィルドシリンジについて実施例を用いて説明する。
本発明のシリンジは、上述したシリンジ用プランジャー1と、ガスケット2を摺動可能に収納する外筒4とを備える。
また、本発明のプレフィルドシリンジは、上述したシリンジ用プランジャー1と、ガスケット2を摺動可能に収納する外筒4と、外筒4の先端開口部を封止する封止部材5と、外筒4内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤8とからなる。
具体的には、本発明のプレフィルドシリンジ10は、プレフィルドシリンジ本体20と、プレフィルドシリンジ本体20のガスケット2に装着可能もしくは装着されたプランジャー本体3とからなる。
なお、図10に示すプレフィルドシリンジ10では、プレフィルドシリンジ本体20のガスケット2にプランジャー本体3が装着されておらず、使用時に装着するものとなっている。また、図11に示すプレフィルドシリンジ10aでは、プレフィルドシリンジ本体20のガスケット2にプランジャー本体3が装着されたものとなっている。なお、両者の相違は、プランジャー本体3がガスケットに装着されているか否かの相違のみである。
そして、上記のプレフィルドシリンジ10,10aには、上述したシリンジ用プランジャー1が用いられている。シリンジ用プランジャー1およびそれを構成するガスケットならびにプランジャー本体としては、上述したすべてのものを用いることができる。
プレフィルドシリンジ本体10aは、外筒4と、外筒4内に摺動可能に収納されたガスケット2と、外筒4の先端開口部を封止する封止部材5と、外筒4内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤8とからなる。
【0024】
外筒4は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
外筒4は、図10、図11および図12に示すように、ノズル部42と、カラー43とを備える。
ノズル部42は、外筒4の先端に設けられており、外筒内の薬液等を排出するための先端開口部を備えるとともに先端に向かってテーパー状に縮径するように形成されている。カラー43は、ノズル部42を取り囲むようにノズル部42と同心的に円筒状に形成されている。また、カラー43は、先端が開口しており、カラー43の内径および外径は基端から先端までほぼ同一径となっている。また、カラー43の先端開口からはノズル部42の先端部が突出しており、ノズル部42およびカラー43の先端部は、ノズル部42およびカラー43を封止部材(シールキャップ)5内に収納しやすくするため面取り加工されている。
カラー内周面には、後述する封止部材(シールキャップ)5のノズル収納部53に形成されたネジ山(キャップ側螺合部)54と螺合するためのネジ溝(外筒側螺合部)45が形成されている。これにより、外筒4とシールキャップ5はカラー内周面とノズル収納部外周面との間で螺合する。また、ネジ溝(外筒側螺合部)45は、シールキャップ5を外筒から取り外した後注射針(注射針のハブ)を取り付ける部分となる。
【0025】
外筒は、図10、図11および図12に示すように、フランジ44を有する。フランジ44は、外筒4の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ44は、図10、図11および図13に示すように向かい合う幅広となった2つの把持部を備え、さらに、把持部の先端面側には、複数のリブが形成されている。
外筒4の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0026】
封止部材であるシールキャップ5は、図10、図11および図13に示すように、閉塞端51と、ノズル収納部53とカラー収納部52を備えている。
ノズル収納部53は、シールキャップ5の中央部に設けられ、先端が閉塞し円筒状である。ノズル収納部53の内径は、ノズル部42より若干大きく作製され、先端から基端まで基端に向かって若干テーパー状に拡径しており、基端開口からノズル部全体を収納するものとなっている。
ノズル収納部53の内側閉塞面(閉塞端51の内面)には、外筒4の先端開口部を液密に密封するためのシール部材55が収納されている。シール部材55としては、外筒4の先端開口部を液密に密封可能なように弾性部材であることが好ましい。シール部材の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。
また、ノズル収納部53の外面には、外筒4のカラー43の内面に形成されたネジ溝(外筒側螺合部)45と螺合するためのネジ山(キャップ側螺合部)54が形成されている。これにより、外筒4とシールキャップ5は、ノズル収納部の外面とカラーの内面との間で螺合する。
【0027】
カラー収納部52は、ノズル収納部53を取り囲むように形成され先端が閉塞した円筒状体であり、カラー収納部の内面とノズル収納部の外面との間にカラー43を収納する。また、円筒状に形成されたカラー収納部52は、ノズル収納部53と同心状となっており、カラー収納部52の内径は、先端から基端までほぼ同一径となっている。
また、図13に示すようにシールキャップ5の外側面(カラー収納部52の外周面)には、シールキャップを回転させる時指等が滑らないようにするために縦方向に刻み加工が施されている。
シールキャップの形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0028】
そして、本発明のプレフィルドシリンジ1では、図10および図11に示すように、外筒内に形成された薬剤収納部に薬剤8が充填されている。
薬剤8としては、どのような薬剤でもよいが、例えば、シクロスポリン、ベンゾジアゼピン系薬剤、塩化ナトリウム注射液、ビタミン剤、ミネラル類などの薬液、さらには、抗生物質、タンパク製剤等の粉末状もしくは凍結乾燥薬剤あるいは液剤が使用される。本発明のプレフィルドシリンジは、特にシリンジポンプを用いて投与するタイプのプレフィルドシリンジに適しているので、充填される薬剤としてはそのような投与手段を用いることに適した薬剤であることが好ましく、ニトログリセリン注射液、硝酸イソソルビド注射液、ドパミン塩酸塩(塩酸ドパミン)注射液、ドブタミン塩酸塩注射液、塩酸モルヒネ注射液、などが挙げられる。
【0029】
次に、本発明のプレフィルドシリンジ1の作用を図10、図6を用いて説明する。
プレフィルドシリンジ本体20は、外筒4の基端部内にガスケット2を収納した状態となっている。プランジャー本体3を先端部31からガスケット2内に回転させながら進入させる。これにより、ガスケット2の螺旋状螺合部24と、プランジャー本体3の先端部31の螺旋状リブ32が螺合する。螺合が進行すると、プランジャー本体3の平板部36の回転規制用リブ35が、ガスケット2の底面周縁部に接触し、さらに、螺合を進行させると、ガスケット2の易変形部26に摺接し、易変形部26を押し倒すように変形させた後、図6に示すように、プランジャー本体3の平板部36の回転規制用リブ35の端部は、ガスケット2のリブ収納用凹部25内に収納され、プランジャー本体3のガスケット2への装着操作が完了する。
【符号の説明】
【0030】
1 シリンジ用プランジャー
2、2a ガスケット
3 プランジャー本体
4 外筒
5 封止部材
8 薬剤
25 リブ収納用凹部
26 易変形部
27 スリット
28 周方向切りこみ
10、10a プレフィルドシリンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が閉塞し後端が開口し、内部に内腔部を有するガスケットと、該ガスケットに装着されたまたは装着可能なプランジャー本体とを備えるシリンジ用プランジャーであって、
前記プランジャー本体は、本体部と、前記本体部に設けられた平板部と、前記平板部より、前方に突出し、前記ガスケットの前記内腔部に収納可能な先端部と、該先端部の外面に設けられたプランジャ側螺合部と、前記平板部に設けられ、先端方向に突出する回転規制用リブとを備え、
前記ガスケットは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、前記内腔部の内面に設けられ、前記プランジャー本体の前記プランジャ側螺合部と螺合するための螺旋状螺合部と、基端面に設けられるとともに、前記プランジャー本体の前記回転規制用リブを収容可能なリブ収納用凹部とを備え、
さらに、前記ガスケットは、前記リブ収納用凹部の側部であり、かつ前記ガスケットへの前記プランジャー本体の装着時に前記プランジャー本体の前記回転規制用リブが摺接する部分が、易変形部となっていることを特徴とするシリンジ用プランジャー。
【請求項2】
前記易変形部は、前記ガスケットの前記リブ収納用凹部の側部となる位置に設けられた1または複数のスリットを備え、前記スリットは、前記ガスケットの底面周縁部に設けられるとともに、前記内腔部より前記ガスケットの外側面方向に延びかつ前記外側面に到達しないものとなっている請求項1に記載のシリンジ用プランジャー。
【請求項3】
前記易変形部は、前記リブ収納用凹部の側面から周方向に延び、前記スリットと連通する周方向切り込みを備えている請求項2に記載のシリンジ用プランジャー。
【請求項4】
前記易変形部は、前記ガスケットへの前記プランジャー本体の装着時に前記プランジャー本体の前記回転規制用リブが摺接する部分に設けられ、かつ、前記リブ収納用凹部に向かって徐々に深くなる誘導用凹部と、前記リブ収納用凹部と前記誘導用凹部間に位置し、かつ、前記誘導用凹部側が前記リブ収納用凹部側に傾斜した傾斜面となっている乗り上げ可能な壁部とにより形成されている請求項1に記載のシリンジ用プランジャー。
【請求項5】
前記回転規制用リブは、前記回転規制用リブの頂点方向に向かって肉薄となるとともに、前記ガスケットへの前記プランジャー本体の装着時における前記ガスケットの回転方向となる面が、前記回転規制用リブの頂点に向かって傾斜する傾斜面となっている請求項1または4のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
【請求項6】
前記回転規制用リブは、前記プランジャー本体の中心軸に対して等角度となるように、2以上設けられており、前記リブ収納用凹部も前記回転規制用リブに対応するように、前記ガスケットの中心軸に対して等角度となるように、2以上設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
【請求項7】
前記プランジャ側螺合部は、螺旋状リブである請求項1ないし6のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
【請求項8】
前記ガスケットに、前記プランジャー本体が装着された状態となっている請求項1ないし7のいずれかに記載のシリンジ用プランジャー。
【請求項9】
前記請求項1ないし8のいずれかに記載のシリンジ用プランジャーと、前記ガスケットを摺動可能に収納する外筒とを備えることを特徴とするシリンジ。
【請求項10】
前記請求項1ないし8のいずれかに記載のシリンジ用プランジャーと、前記ガスケットを摺動可能に収納する外筒と、前記外筒の先端開口部を封止する封止部材と、前記外筒内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤とからなるプレフィルドシリンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−70789(P2013−70789A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211203(P2011−211203)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】