説明

シリンダ装置

【課題】 全体重量の増大を回避でき、たとえば、可搬形に設定されるとき、搬送性や取扱性を悪くしない。
【解決手段】 駆動手段Mと、シリンダ1aと、このシリンダ1aから外部に向けて突出するロッド1bとを有して軸線方向に伸縮作動するシリンダ機構1と、筒2aと、この筒2aに対して移動可能とされると共にシリンダ機構1におけるロッド1bに平行する軸2bとを有してシリンダ機構1に同期して作動するガイド機構2と、シリンダ機構1とガイド機構2とを連結する連結手段3とを有し、シリンダ機構1におけるロッド1bの先端部とガイド機構2における軸2bの先端部とが繋ぎ部材4で連結されてなるシリンダ装置において、連結手段3は、シリンダ機構1におけるシリンダ1aのヘッド端部1dに連結される板状体からなる先端側フレーム体31を有し、この先端側フレーム体31がガイド機構2における筒2aを保持してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリンダ装置に関し、特に、軸線方向に伸縮作動するシリンダ機構を有するシリンダ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
軸線方向に伸縮作動するシリンダ機構を有するシリンダ装置としては、たとえば、特許文献1に開示の提案があり、この提案にあって、シリンダ装置は、軸線方向に伸縮作動するシリンダ機構に連結手段を介してガイド機構が連結されてなる。
【0003】
このとき、シリンダ機構にあっては、シリンダから突出するロッドが連結手段に保持される駆動手段の駆動でシリンダに対して出入可能とされ、ガイド機構にあっては、連結手段に連結される筒に対して軸が移動可能とされてなる。
【0004】
そして、シリンダ機構におけるロッドの出入方向とガイド機構における軸の移動方向とが平行し、ロッドの先端部と軸の先端部とが繋ぎ部材で一体的に連結されてなる。
【0005】
それゆえ、この特許文献1に開示の提案にあっては、ガイド機構が横力に対して機能するところによって、シリンダ機構におけるロッドのシリンダに対する進退、すなわち、シリンダ機構における伸縮作動が保障される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−28169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に開示の提案にあっては、ガイド機構によってシリンダ機構における伸縮作動を保障し得る点で、基本的に問題はないが、シリンダ装置における重量を大きくすると指摘される可能性がある。
【0008】
すなわち、上記した特許文献1に開示されているところでは、連結手段は、ブロック状に形成されていて、この連結手段における重量を大きくすることが窺われる。
【0009】
つまり、この連結手段は、シリンダ機構に並列に配設されてシリンダ機構を伸縮作動させる駆動手段を一体的に連結させると共にガイド機構を一体的に連結させる。
【0010】
さらに、この連結手段にあっては、駆動手段における駆動軸と、この駆動軸に連結されるギア機構と、このギア機構に噛合するナット、つまり、シリンダ機構を構成するボールネジ構造にあってロッドを構成するネジ軸に外嵌されるナットをネジ軸と共に収装してなる。
【0011】
それゆえ、この連結手段は、この連結手段に作用する外力、特に、ロッドたるネジ軸を横切る方向の力となる横力によって、ネジ軸とナットとの間に変形などの歪みを発現させないように、つまり、簡単に変形などしないように言わば頑丈に形成される。
【0012】
のみならず、この連結手段には、ガイド機構はともかくとして、並列する駆動手段を一体的に連結させるから、このことを以ってしても、連結手段が頑丈に形成されて重量を大きくする傾向になる。
【0013】
その結果、シリンダ装置における全体重量が大きくなり、たとえば、シリンダ装置が可搬形に設定されるとき、搬送性や取扱性を悪くする危惧がある。
【0014】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、全体重量の増大を回避でき、たとえば、可搬形に設定されるとき、搬送性や取扱性を悪くしないシリンダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するために、この発明によるシリンダ装置の構成を、駆動手段と、この駆動手段に直列されてこの駆動手段の駆動で軸線方向に伸縮作動するシリンダ機構と、このシリンダ機構の作動に同期して作動するガイド機構と、上記シリンダ機構と上記ガイド機構とを連結する連結手段とを有し、上記シリンダ機構は、シリンダと、このシリンダから外部に向けて突出するロッドとを有し、上記ガイド機構は、筒と、この筒に対して移動可能とされると共に上記シリンダ機構におけるロッドに平行する軸とを有し、上記シリンダ機構におけるロッドの先端部と上記ガイド機構における軸の先端部とが繋ぎ部材で連結されてなるシリンダ装置において、上記連結手段は、上記シリンダ機構におけるシリンダのヘッド端部に連結される板状体からなる先端側フレーム体を有し、この先端側フレーム体が上記ガイド機構における筒を保持してなるとする。
【0016】
それゆえ、この発明によるシリンダ装置にあっては、シリンダ機構とガイド機構とを連結する連結手段がシリンダ機構におけるシリンダのヘッド端部に連結される板状体からなる先端側フレーム体を有し、この先端側フレーム体にガイド機構における筒が一体的に保持されるとするから、連結手段がブロック状に形成されてなる場合に比較して、連結手段の軽量化を可能にする。
【発明の効果】
【0017】
その結果、この発明によるシリンダ装置によれば、連結手段を軽量化することができる。
【0018】
このことから、シリンダ装置における全体重量を軽量化することが可能になり、たとえば、可搬形に設定されるとき、搬送性や取扱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明によるシリンダ装置を示す概略図である。
【図2】シリンダ装置を構成するシリンダ機構が電動アクチュエータからなる一例を示す図である。
【図3】この発明の一の実施形態によるシリンダ装置を示す部分側面図である。
【図4】図3中のX−X線位置で示すシリンダ装置の縦断面図である。
【図5】この発明の他の実施形態によるシリンダ装置を示す部分側面図である。
【図6】図5中のY−Y線位置で示すシリンダ装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるシリンダ装置Cは、図1に示すように、シリンダ機構1と、ガイド機構2と、連結手段3と、繋ぎ部材4とを有し、図示しないが、たとえば、振動試験機における加振源として利用される。
【0021】
そして、このシリンダ装置Cにあっては、シリンダ機構1にガイド機構2を連結手段3で連結した後に、シリンダ機構1におけるロッド1bの先端部とガイド機構2における軸2bの先端部とを繋ぎ部材4で連結することで形成される。
【0022】
なお、このシリンダ装置Cにあっては、上記の繋ぎ部材4が、たとえば、振動試験における被試験体(図示せず)に、あるいは、図3中の右側の二点鎖線図で示すように、被試験体を保持するクランプ手段などの連結部材Jに連結される。
【0023】
また、このシリンダ装置Cにあって、図1中で左右方向となるシリンダ機構1における伸縮作動方向、つまり、シリンダ機構1におけるシリンダ1aに対するロッド1bの出入方向が上下方向とされ、あるいは、左右方向とされるかは自由であり、したがって、シリンダ装置Cの伸縮作動方向が斜めになるとしても良い。
【0024】
そして、このシリンダ装置Cにあっては、図示しないが、たとえば、シリンダ機構1におけるシリンダ1aに車輪やローラが設けられ、この車輪やローラを利用してのシリンダ装置Cの移送を可能にするとしても良く、また、利用時には車輪やローラを撤去しあるいは格納して、シリンダ装置Cが固定状態に基盤面や床面などの定着面に定着されるとしても良く、さらには、シリンダ1aにハンドルが設けられ、このハンドルを利用しての人力によるシリンダ装置Cの搬送を可能にする可搬形とされても良い。
【0025】
以上のような前提の下に、このシリンダ装置Cにあって、シリンダ機構1は、シリンダ1aとロッド1bとを有して軸線方向に、すなわち、シリンダ1aに対するロッド1bの出入方向に伸縮作動するように構成される。
【0026】
そして、この発明にあって、シリンダ機構1は、軸線方向に伸縮作動するように構成される限りには、任意の構造に形成されて良く、図示しないが、作動油で代表される作動流体を利用して伸縮作動する流体圧シリンダ構造に形成されても良く、また、同じく図示しないが、ネジ軸をロッド1bにするあるいはネジ軸をロッド1bに有するネジシリンダ構造に形成されても良い。
【0027】
また、この発明にあって、シリンダ装置Cが、たとえば、可搬形の振動試験機における加振源として利用される場合を鑑みると、シリンダ機構1については、いわゆる電源を確保し易いことを鑑みると、これが電動アクチュエータからなるとするのが良く、その場合には、シリンダ機構1がボールネジ構造に形成されるのが良い。
【0028】
シリンダ機構1が電動アクチュエータからなる場合には、シリンダ機構1が流体圧利用で伸縮作動する流体圧シリンダに形成される場合に比較して、流体圧給排源などの装備が不要になり、シリンダ装置C全体の構成の簡素化が可能になる点で有利となる。
【0029】
そして、シリンダ機構がボールネジ構造に形成される場合には、シリンダ1aに対するロッド1bのいわゆるガタのない伸縮作動が可能とされると共に、回転トルクを大きくする利点がある。
【0030】
図2は、ボールネジ構造に形成された電動アクチュエータからなるシリンダ機構1の一例を示すが、この図2に示すところからすると、シリンダ機構1は、駆動手段たるサーボモータMを直列に有する。
【0031】
このサーボモータMは、シリンダ1aの図中で左端となる後端に直列に連結されるケース部1c内にこのケース部1cに対する回転が阻止された固定状態に保持される。
【0032】
そして、このサーボモータMの回転軸たる出力軸M1がシリンダ機構1を構成するネジ軸11に直列に連結される。
【0033】
このように、サーボモータMがいわゆるシリンダに直列に設けられるとする場合には、前記した特許文献1に開示の提案のようにシリンダに並列して駆動手段が設けられる場合に比較して、後述するこの発明の連結手段3における質量をいたずらに増大させないことが可能になる点で有利となる。
【0034】
すなわち、前記したように、特許文献1に開示の提案にあっては、シリンダに駆動手段を並列させるから、この駆動手段をシリンダに一体的に連結する連結手段にあっては、ガイド機構を一体的にシリンダに連結させることもあって、頑丈に形成され、質量をいたずらに増大させる不具合を招く。
【0035】
それに対して、この発明では、駆動手段が後述する連結手段3に連結されるのではなく、シリンダに直列されるとするので、連結手段3をボックス状に形成されるなどして頑丈に形成することを要しないことになり、質量の増大を回避できる。
【0036】
なお、シリンダ機構1において、サーボモータMは、図示しない制御手段からの制御で、いわゆる正転および逆転を自在にするが、このサーボモータMに代わる他の駆動手段が選択されるとき、この他の駆動手段もネジ軸11のいわゆる正転および逆転を自在にするのはもちろんである。
【0037】
一方、このシリンダ機構1にあって、ネジ軸11にはナット12が螺装され、このナット12は、シリンダ1a側にシリンダ1aに対する回転が阻止される状態に保持され、この状態下にシリンダ1aの軸線方向に移動自在とされる。
【0038】
ちなみに、ナット12は、シリンダ1aに対しての回転が阻止された状態にシリンダ1a側に保持されることから、シリンダ機構1にあって、シリンダ1aは、たとえば、内周を円形にしないで、ナット12のシリンダ1aに対する回転を阻止し易いように形状になるように形成されるのが良い。
【0039】
そして、図示するところでは、シリンダ1aが角筒体からなるとし、図示しないが、内周が隅部に丸みを有する四角形になるなどに形成されて、ナット12の回転阻止を効果的に実現できるようにしている。
【0040】
そしてまた、図示するところでは、シリンダ1aが角筒体からなることで、シリンダ機構1を、たとえば、適宜の水平面に置くとき、シリンダ機構1がいたずらに転がるなどの不具合の招来をあらかじめ回避できる。
【0041】
なお、シリンダ1aに対するナット12の回転阻止については、図示しないが、いわゆる異形嵌合構造が利用されるとしても良い。
【0042】
戻って、このシリンダ機構1にあっては、ナット12にロッド1bが連結され、したがって、このロッド1bは、軸芯部に上記のネジ軸11を出入自在に挿通させる。
【0043】
このとき、図示しないが、ナット12は、内周に形成の凹部に嵌入されてネジ軸11に形成の螺条溝11aに嵌入される鋼球からなる複数のボールを有してなる。
【0044】
それゆえ、このネジ軸11,ナット12およびボールを有してなるボールネジ構造にあっては、ボールと螺条溝11aおよびボールと凹部との間におけるいわゆるガタ発生を極力抑えることが可能になり、それゆえ、ネジ軸11に対するナット12のガタのない円滑な移動が実現可能とされる。
【0045】
そして、ナット12のガタのない円滑な移動が実現されることから、ロッド1bのシリンダ1aに対するガタのない円滑な移動が可能になり、ロッド1bは、駆動手段たるサーボモータMの駆動によって図中で左右方向となるシリンダ1aの軸線方向にこの軸線方向を横切る方向となる横方向にガタなくして移動自在となる。
【0046】
このとき、ロッド1bの図中で右側部となる先端側部は、シリンダ1aの開口端部たるヘッド端部1dの軸芯部を貫通してシリンダ1aの外部に突出することになり、このことから、シリンダ1aのヘッド端部1dは、ロッドガイドを兼ねることになる。
【0047】
なお、シリンダ1aのボトム端部1eは、サーボモータMの出力軸M1を軸芯部に貫通させ、このことから、出力軸M1の軸受けとして機能する。
【0048】
ガイド機構2は、上記したシリンダ機構1の作動方向、つまり、シリンダ機構1の軸線方向に沿ってシリンダ機構1の伸縮作動に同期して作動し、基本的な機能としては、シリンダ機構1におけるロッド1bのシリンダ1aに対する出入動作、つまり、シリンダ機構1における伸縮作動を保障する。
【0049】
言い換えれば、たとえば、シリンダ機構1におけるロッド1bにこのロッド1bにおける軸線方向を横切る方向の外力、すなわち、横力が作用するとき、この横力をシリンダ機構1だけで受けるのではなく、ガイド機構2で受ける。
【0050】
これによって、シリンダ機構1に上記の横力に起因する変形、特に、シリンダ機構1がボールネジ構造に形成されてなる場合に、ネジ軸11とナット12との間に歪みが発生しなくなり、ネジ軸11とナット12の間でのボール(図示せず)の転がりが阻害されずして、シリンダ機構1の横方向へのガタのない円滑な伸縮作動を恒久的に保障することが可能になる。
【0051】
このことからすると、シリンダ機構1にガイド機構2を設けることは、シリンダ機構1における曲げに対する剛性をガイド機構2に一部負担させることになり、このことから、たとえば、シリンダ1aの肉厚を薄くするなどで質量を小さくしてシリンダ機構1の全体重量を低減させることも可能になる。
【0052】
以上のことから、図1または図3に示すように、ガイド機構2は、筒2aと、この筒2aからシリンダ機構1におけるロッド1bに平行して外部に向けて突出する軸2bとを有し、たとえば、軸2bへの上記した横力の作用時にこの横力の作用方向たる横方向にいわゆるガタを発現させない構成とされる。
【0053】
この横方向のガタを発生させないためには、ガイド機構2が、たとえば、汎用型のリニアガイド構造からなるとしても良いが、リニアガイド構造において作動方向たる軸線方向に直交することになるいわゆる横方向のガタを皆無にし、あるいは、皆無に近い状態にまでするのは、困難であると周知されている。
【0054】
このことからして、この発明にあって、ガイド機構2は、ボールスプライン構造からなるとしている。
【0055】
このボールスプライン構造は、図示しないが、原理的には、軸線方向に延びるスプライン軸と、このスプライン軸に外嵌される筒体と、スプライン軸の外周に設けられる軸線方向の溝と、筒体の内周に設けられる凹部と、この凹部および上記の溝に嵌入される鋼球からなるボールとを有してなる。
【0056】
このことから、この発明におけるガイド機構2にあっても、筒体たる筒2aと、スプライン軸たる軸2bと、鋼球からなるボール(図示せず)とを有してなる。
【0057】
そして、このガイド機構2にあっても、図示しないが、軸2bの外周に一本あるいは複数本の溝を軸線方向に設け、この溝にボールを嵌入させる。
【0058】
また、このガイド機構2にあっても、図示しないが、筒2aの内周に軸2bの溝に嵌入されたボールを嵌入させる凹部を有し、筒2aと軸2bとの間におけるボールの転がりで、軸2bの筒2aに対する軸線方向の動きを保障する。
【0059】
このとき、筒2aの内周に設けられる凹部とボールとの間における、また、軸2bに設けられる溝とボールとの間におけるいわゆるガタは、殆ど皆無の状態になる。
【0060】
このことから、このガイド機構2にあっては、このガイド機構2の作動方向を横切る方向に外力、すなわち、横力が作用する状況になっても、軸2bと筒2aとの間にガタを発生せずして、筒2aに対する軸2bの円滑な移動を実現し得ることになる。
【0061】
一方、この発明のシリンダ装置Cにあっては、上記のように形成されるシリンダ機構1およびガイド機構2が連結手段3によって一体的に連結される。
【0062】
つまり、上記したように、図示する実施形態にあって、この発明によるシリンダ装置Cは、シリンダ機構1がボールネジ構造に形成されるとき、ガイド機構2がボールスプライン構造に形成されることで、両者におけるいわゆる横方向のガタの発生を危惧させず、したがって、シリンダ機構1におけるロッド1bの出入方向とガイド機構2における軸2bの移動方向とを常に同一方向にすることが可能になる。
【0063】
そこで、常に同一方向となるシリンダ機構1におけるロッド1bの出入方向とガイド機構2における軸2bの移動方向との間にいわゆる狂いを発生させないために、シリンダ機構1とガイド機構2とを一体的に連結することが肝要となり、この発明にあっては、連結手段3がその役を担う。
【0064】
このことからすると、この連結手段3は、シリンダ機構1とガイド機構2とを一体的に連結する限りには、任意の構造に形成されて良いが、その質量が大きくなればなるほど、シリンダ装置C全体の重量を大きくして、このシリンダ装置Cが可搬形に設定される場合に、その重量を大きくして可搬形に形成されるのに向かない。
【0065】
そこで、この発明にあっては、必要な剛性を有してシリンダ機構1とガイド機構2との一体的な連結を実現させるとして、連結手段3が板状体からなる先端側フレーム体31を有してなるとする。
【0066】
すなわち、この発明のシリンダ装置Cにあって、連結手段3は、図3および図4に示すように、シリンダ機構1におけるシリンダ1aのヘッド端部1dに連結される板状体からなる先端側フレーム体31を有し、この先端側フレーム体31がガイド機構2における筒2aを一体的に保持してなる。
【0067】
このとき、先端側フレーム体31は、上方側部がシリンダ機構1におけるシリンダ1aの端部、つまり、シリンダ1aにおけるヘッド端部1dに連結されるのにあって、複数本の六角穴付きボルト32の利用による。
【0068】
なお、図3および図4に示すところにおいて、また、図5および図6に示すところにおいて、ヘッド端部1dは、シリンダ1aにボルトナットNの利用で連結されている。
【0069】
この複数本の六角穴付きボルト32の利用で、先端側フレーム体31の上方側部がシリンダ1aにおけるヘッド端部1dに連結される場合には、先端側フレーム体31の上方側部がシリンダ1aにする一体性が確保され、この先端側フレーム体31に連結されるガイド機構2における筒2aがあたかもシリンダ1aに直接連結されたのと同じ態勢にし得ることになる。
【0070】
このことからすると、連結手段3を構成する先端側フレーム体31がシリンダ機構1におけるシリンダ1aにあらかじめ一体に設けられていて、ガイド機構2における筒2aを連結させるとしても良いと言い得る。
【0071】
しかしながら、連結手段3を構成する先端側フレーム体31がシリンダ機構1におけるシリンダ1aにあらかじめ一体に設けられているとなると、シリンダ機構1の形成にあって、組立性を悪くしたりする不具合の招来が危惧される。
【0072】
そこで、この連結手段3を構成する先端側フレーム体31については、シリンダ機構1におけるシリンダ1aおよびガイド機構2における筒2aから分離されている板状体からなるのが好ましいことになる。
【0073】
戻って、先端側フレーム体31は、下方側部がガイド機構2における筒2aに連結される。
【0074】
すなわち、図示するところにあって、先端側フレーム体31の下方側部は、筒2aの全長に及ぶ程ではないが、上方側部に比較すれば、厚肉に形成されて筒2aを包持するとしている。
【0075】
このように、先端側フレーム体31にあって、下方側部が上方側部より厚肉に形成されてガイド機構2を連結させるから、ガイド機構2が連結手段3に対していわゆる傾斜することなく保持されることになり、ガイド機構2における軸2bのシリンダ機構1におけるロッド1bに対する平行状態を確実に維持できることになる。
【0076】
なお、ガイド機構2における筒2aの連結手段3たる先端側フレーム体31における下方側部への連結は、筒2aに一体に設けられたフランジ部2cを複数本の六角穴付きボルト(図示せず)で連結することによるが、これに代えて、図示しないが、筒2aが先端側フレーム体31における下方側部にその肉厚を貫通するようにして螺着されることで連結されるとしても良い。
【0077】
この螺着による場合には、筒2aおよび先端側フレーム体31における下方側部にいわゆる螺条の形成を要することになるが、複数本の六角穴付きボルトの利用を廃止できるので、部品点数の削減が可能になる点で有利となる。
【0078】
そして、この発明における連結手段3は、シリンダ機構1におけるシリンダ1aとガイド機構2における筒2aとを連結するのみで、前記した特許文献1に開示の提案に比較して、連結手段にシリンダを伸縮作動させる駆動手段を連結させない分、いわゆる頑丈に形成する必要がなく、構成の簡素化が可能になり、したがって、連結手段3における重量の軽減化が可能になる。
【0079】
以上のように、連結手段3によって一体的に連結されるシリンダ機構1およびガイド機構2にあっては、シリンダ機構1におけるロッド1bの先端部とガイド機構2における軸2bの先端部とが繋ぎ部材4で一体的に連結され、この繋ぎ部材4は、図示するところでは、板状体からなる。
【0080】
すなわち、繋ぎ部材4は、第一には、シリンダ機構1におけるロッド1bの先端部とガイド機構2における軸2bの先端部との間の距離を一定に保ち、第二には、被試験体の連結を可能にする。
【0081】
繋ぎ部材4がシリンダ機構1におけるロッド1bの先端部とガイド機構2における軸2bの先端部との間の距離を一定に保つことで、シリンダ機構1におけるロッド1bとガイド機構2における軸2bとの間における平行状態が維持される。
【0082】
繋ぎ部材4によってシリンダ機構1におけるロッド1bとガイド機構2における軸2bとの間における平行状態が維持されることで、シリンダ機構1におけるロッド1bのシリンダ1aに対する支障のない出入作動が保障され、ガイド機構2における軸2bの筒2aに対する支障のない移動が保障される。
【0083】
そして、繋ぎ部材4が被試験体の連結を可能にすることで、このシリンダ装置Cの試験機、つまり、振動試験機への利用を可能にする。
【0084】
なお、上記の繋ぎ部材4については、六角穴付きボルト41でガイド機構2における軸2bに連結されると共に、同じく、六角穴付きボルト42でシリンダ機構1におけるロッド1bに連結される。
【0085】
また、図示しないが、上記の繋ぎ部材4については、これが被試験体に代わるとしても良く、また、クランプ手段などの連結部材J(図3参照)に代わるとしても良い。
【0086】
図5および図6に示すところは、この発明における連結手段3が先端側フレーム体31に加えて後端側支持体33を有してなるとする実施形態を示すもので、その他の構成については、前記した実施形態の場合と同様の構成を有してなる。
【0087】
それゆえ、以下の説明において、その構成が前記した実施形態の場合と同様となるところについては、図中に同一の符号を付するのみとして、その説明を省略する。
【0088】
すなわち、この実施形態にあっては、シリンダ機構1におけるシリンダ1aの外周に後端側支持体33が設けられ、この後端側支持体33が先端側フレーム体31と共にガイド機構2における筒2aをシリンダ機構1におけるシリンダ1aに保持させてなる。
【0089】
このとき、この後端側支持体33は、いわゆる上方側において自身とシリンダ機構1におけるシリンダ1aとの間、および、いわゆる下方側においてシリンダ機構1におけるシリンダ1aとガイド機構2における筒2aとの間にそれぞれ調整用シム34、つまり、シリンダ機構1におけるロッド1bの軸線方向とガイド機構2における軸2bの軸線方向とが平行にならないとき、これを修正するために調整用シム34が上下のいずれか一方に選択的にあるいは上下の両方に配設されるとしている。
【0090】
一方、この後端側支持体33は、シリンダ機構1におけるシリンダ1aを跨ぐように正面視で門形に形成されて配設される上方体33aと、ガイド機構2における筒2aを脇から吊持する下方体33bとからなる。
【0091】
このとき、図示する実施形態では、下方体33bがガイド機構2における筒2bに溶接(図中に符号Mで示す)されてなるとするが、要は、ガイド機構2における筒2bをシリンダ機構1におけるシリンダ1aに密接させるようにし得るものであれば足り、その限りでは、下方体33をガイド機構2における筒2aと一体に形成するなど、任意の構成を選択できる。
【0092】
そして、この後端側支持体33にあって、下方体33bは、上方体33aに挿通されるボルト35の螺着で上方体33aに吊持される。
【0093】
この実施形態による場合には、いわゆる先端側において、シリンダ機構1のシリンダ1aとガイド機構2の筒におけるが先端側フレーム体31で連結されると共に、いわゆる後端側において、ガイド機構2における筒がシリンダ機構1におけるシリンダ1aに後端側支持体33で支持されるから、ガイド機構2先端側フレーム体31のみで連結される場合に比較して、ガイド機構2のシリンダ機構1に対する定着性が向上し、また、定着された際の姿勢の安定が確実に得られる利点がある。
【0094】
前記したところは、シリンダ装置Cにおいて、シリンダ機構1が電動アクチュエータからなるとき、ボールネジ構造に形成されてなるとしたが、振動試験機における加振源とされるとき、被試験体を低速で振幅の大きい周波数の振動に加振しようとする場合には、上記したボールネジ構造、つまり、直動型の電動アクチュエータの利用が好ましいが、被試験体を高速で振幅の小さい周波数の振動に加振しようとする場合には、図示しないが、シリンダ機構1が電磁型に形成されるのが好ましい。
【0095】
そして、シリンダ機構1が直動型に形成され、あるいは、電磁型に形成されるとしても、連結部材3を介してガイド機構2に連結されることで、シリンダ機構1の所定の伸縮作動が円滑に実現されることになる。
【符号の説明】
【0096】
1 シリンダ機構
1a シリンダ
1b ロッド
1c ケース部
1d ヘッド端部
1e ボトム端部
2 ガイド機構
2a 筒
2b 軸
2c フランジ部
3 連結手段
4 繋ぎ部材
11 ネジ軸
11a 螺条溝
12 ナット
31 先端側フレーム体
32,41,42 六角穴付きボルト
33 後端側支持体
33a 上方体
33b 下方体
34 調整用シム
35 ボルト
C シリンダ装置
J 連結部材
M 駆動手段たるサーボモータ
M1 出力軸
N ボルトナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段と、この駆動手段に直列されてこの駆動手段の駆動で軸線方向に軸線方向に伸縮作動するシリンダ機構と、このシリンダ機構の作動に同期して作動するガイド機構と、上記シリンダ機構と上記ガイド機構とを連結する連結手段とを有し、上記シリンダ機構は、シリンダと、このシリンダから外部に向けて突出するロッドとを有し、上記ガイド機構は、筒と、この筒に対して移動可能とされると共に上記シリンダ機構における上記ロッドに平行する軸とを有し、上記シリンダ機構における上記ロッドの先端部と上記ガイド機構における上記軸の先端部とが繋ぎ部材で連結されてなるシリンダ装置において、
上記連結手段は、上記シリンダ機構における上記シリンダのヘッド端部に連結される板状体からなる先端側フレーム体を有し、この先端側フレーム体が上記ガイド機構における上記筒を保持してなることを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
上記ガイド機構は、上記シリンダ機構における上記ロッドに平行して上記筒に対して移動するスプライン軸を有するボールスプライン構造からなる請求項1に記載のシリンダ装置。
【請求項3】
上記シリンダ機構に上記駆動手段が直列されると共に、この駆動手段の駆動で上記シリンダ機構が上記シリンダに対して上記ロッドを進退させる伸縮作動をしてなる請求項1または請求項2に記載のシリンダ装置。
【請求項4】
上記シリンダ機構が上記ロッドとされるネジ軸と、このネジ軸に複数のボールを介して外嵌されて上記シリンダ機構における上記シリンダ側に連結されるナットとを有するボールネジ構造からなる請求項1,請求項2または請求項3に記載のシリンダ装置。
【請求項5】
上記シリンダ機構における上記シリンダの外周に後端側フレーム体が設けられ、この後端側フレーム体が上記先端側フレーム体と共に上記ガイド機構における上記筒を保持してなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のシリンダ装置。
【請求項6】
上記シリンダ機構における上記シリンダと上記ガイド機構における上記筒との間に調整用シムが配設されてなる請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5に記載のシリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−32803(P2013−32803A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168859(P2011−168859)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(304039065)カヤバ システム マシナリー株式会社 (185)
【Fターム(参考)】