説明

シロップノズル根元部構造

【課題】ノズルの根元部に水や残滓が溜まりにくいシロップノズル根元部構造を提供する。
【解決手段】水平斜め方向に延在するベース6に吐出方向を略下方向にして並設された複数のシロップノズル2の根元部の構造であって、根元部であるベース下面6aの表面形状を、シロップノズル2の並設方向に段差を有する階段状に形成し、かつ、各シロップノズル2の並設方向下側の側面2aと根元部のベース6表面とのなす角度αを直角ないし鈍角となるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料ディスペンサやカップ式自動販売機などに備わるシロップノズルの根元部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のノズルを近接して並んだ状態に配列して、各ノズルから種類の異なるシロップを吐出可能にしたシロップノズルの構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。図5および図6に示すように、このようなシロップノズル20は、通常、ノズルの根元部である取り付けベース22からの突出長Lが短く、かつ、ノズルの突出方向(吐出方向)とベース22とのなす角度θは側面視で鋭角に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図6に示すように、上記の従来のシロップノズルでは、根元部の鋭角部分24に結露等による水が溜まり易くなっていた。この水が下に垂れるとノズルの側面を濡らすが、ノズルの先端に付着しているシロップの残滓がこの濡れたノズル側面を伝って根元部の鋭角部分24に入り込み、ここに溜まるおそれがあった。また、いったん根元部に溜まった水や残滓がベース表面22aを伝って下側に流れ、他のノズルに付着するおそれがあった。このため、ノズルの根元部に水や残滓が溜まりにくい構造の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ノズルの根元部に水や残滓が溜まりにくいシロップノズル根元部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るシロップノズル根元部構造は、水平斜め方向に延在するベースに吐出方向を略下方向にして並設された複数のシロップノズルの根元部の構造であって、前記根元部である前記ベースの表面形状を、シロップノズルの並設方向に段差を有する階段状に形成し、かつ、各シロップノズルの並設方向下側の側面と根元部の前記ベース表面とのなす角度を直角ないし鈍角となるように構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るシロップノズル根元部構造は、上述した請求項1において、前記ベースからの各シロップノズルの突出長を4mm以上確保したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水平斜め方向に延在するベースに吐出方向を略下方向にして並設された複数のシロップノズルの根元部の構造であって、前記根元部である前記ベースの表面形状を、シロップノズルの並設方向に段差を有する階段状に形成し、かつ、各シロップノズルの並設方向下側の側面と根元部の前記ベース表面とのなす角度を直角ないし鈍角となるように構成したので、結露等による水やノズル先端から根元部に回り込んだシロップの残滓は、直角ないし鈍角の部分に留まらずにベース表面に沿って並設方向下側に流れ易くなるとともに、この流れは段差によって途切れて下方に滴下し易くなる。したがって、シロップノズルの根元部に水や残滓を溜まりにくくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明に係るシロップノズル根元部構造の実施例を示す図である。
【図2】図2は、本発明に係るシロップノズル根元部構造の側面図である。
【図3】図3は、本発明に係るシロップノズル根元部構造の下面図である。
【図4】図4は、図2の概略部分拡大図である。
【図5】図5は、従来のシロップノズル根元部構造を示す断面図である。
【図6】図6は、図5の概略部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るシロップノズル根元部構造の実施の形態を、飲料供給装置に適用する場合を例にとり図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、本発明に係るシロップノズル根元部構造が適用される飲料供給装置について説明する。図1に示すように、この飲料供給装置100は、飲料用のシロップを吐出する複数のシロップノズル2と、これらシロップノズル2の近傍に設けられ、シロップと混合されて飲料となる希釈液を吐出する希釈液ノズル4とを備える。この構成において、各シロップノズル2から吐出されたシロップと希釈液ノズル4から吐出された希釈液とが空中で衝突して混合されて図示しないカップ等にこの飲料が供給されるようになっている。
【0012】
シロップノズル2は、図2および図3に示すように、水平斜め方向に延在するベース6に吐出方向を略下方向にして複数個並設されている。ベース下面6aからは長孔形状の吐出口8が突出している。シロップノズル2のベース6への取り付け角度と吐出口8の高さ位置は各シロップノズルで異なっており、取り付け角度は最上側のシロップノズル2Aが最も鉛直に近く、下側に行くに従い傾斜の度合いが大きくなる。また、吐出口8の高さは最上側のシロップノズル2Aが最も高く、下側に行くに従い低くなる。
【0013】
本発明に係るシロップノズル根元部構造10は、図2および図4に示すように、シロップノズル2の根元部であるベース下面6aの表面形状を、シロップノズル2の並設方向に段差を有する階段状に形成したものである。
【0014】
ベース下面6aは、図4に示すように、平面領域12と、斜面領域14と、これら両領域をスムーズに接続する曲面領域16とにより構成される。シロップノズル2の並設方向下側の各側面2aと根元部の平面領域12(ベース表面)とのなす角度αは直角となるように構成してある。なお、この角度αは鈍角に構成しても構わない。
【0015】
平面領域12(ベース表面)からの各シロップノズル2の突出長Lは、ノズル下端の吐出口8から根元部の直角部分18へのシロップの進入を防ぐために4mm以上確保することが好ましく、例えば7mm程度とすることができる。
【0016】
上記構成の作用について説明する。結露等による水やノズル先端から根元部に回り込んだシロップの残滓は、直角部分18に留まらずに平面領域12および曲面領域16に沿ってシロップノズル2の並設方向下側に向けて流れ易くなるとともに、この流れは斜面領域14から平面領域12に接続する段差によって途切れて下方に滴下し易くなる。
【0017】
このように、根元部が従来のように鋭角θ(図6)ではなく直角部分18であることから、結露水等は溜まりにくく、ノズル側面2a等に水の膜が形成されるのを抑制する。したがって、シロップノズルの根元部に水や残滓を溜まりにくくすることができる。
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、水平斜め方向に延在するベースに吐出方向を略下方向にして並設された複数のシロップノズルの根元部の構造であって、前記根元部である前記ベースの表面形状を、シロップノズルの並設方向に段差を有する階段状に形成し、かつ、各シロップノズルの並設方向下側の側面と根元部の前記ベース表面とのなす角度を直角ないし鈍角となるように構成したので、結露等による水やノズル先端から根元部に回り込んだシロップの残滓は、直角ないし鈍角の部分に留まらずにベース表面に沿って並設方向下側に流れ易くなるとともに、この流れは段差によって途切れて下方に滴下し易くなる。したがって、シロップノズルの根元部に水や残滓を溜まりにくくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように、本発明に係るシロップノズル根元部構造は、飲料ディスペンサやカップ式自動販売機などに備わるシロップノズルに有用であり、特に、複数のノズルを近接して並んだ状態に配列して、各ノズルから種類の異なるシロップを吐出可能にしたシロップノズルに適している。
【符号の説明】
【0020】
2 シロップノズル
2a 側面
6 ベース(根元部)
6a ベース下面
8 吐出口
10 シロップノズル根元部構造
12 平面領域(ベース表面)
14 斜面領域
16 曲面領域
18 直角部分
α 角度
L 突出長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平斜め方向に延在するベースに吐出方向を略下方向にして並設された複数のシロップノズルの根元部の構造であって、前記根元部である前記ベースの表面形状を、シロップノズルの並設方向に段差を有する階段状に形成し、かつ、各シロップノズルの並設方向下側の側面と根元部の前記ベース表面とのなす角度を直角ないし鈍角となるように構成したことを特徴とするシロップノズル根元部構造。
【請求項2】
前記ベースからの各シロップノズルの突出長を4mm以上確保したことを特徴とする請求項1に記載のシロップノズル根元部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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