説明

シングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法

【課題】品種のキャブチルト型トラックに追加のキャブを容易に増設することができるシングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法を提供すること。
【解決手段】既設キャブ2の背面部を開口させ、当該開口部3の周囲に気密部材5を配置する工程と、一側面に乗降用のドア9を前面側に既設キャブ2に連通する開口部8をそれぞれ有するキャブユニット7を新たに用意する工程と、運転時の姿勢において互いに連通するキャブユニット7を既設キャブ2の背面側に取り付けるキャブユニット取付工程と、キャブユニット7の後方に積荷室4’を設置する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法に関し、詳しくは、車両に具備された既設キャブの後方に、新たなキャブを増設するためのシングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、運転席の後方を延ばし座席を設けたダブルキャブチルト型車両が提供されている。このように一台の車両に複数列の座席を有していれば、多くの人を輸送したり、運転席後方で仮眠したりすることができる。
【0003】
一方、このように広げたキャブスペース部分に2列以上キャブを配置したダブルキャブ型車両は車種が少ないため、ユーザーは少ない選択肢の中から選ばねばならないという不都合がある。
【0004】
このような現状で、キャンピングカーあるいは特種車両などに、2列目あるいは3列目のキャブを増設する要求が多い。そこで、キャブの増設を容易に行う手法を見出せば、様々な車両を市場に提供することができ、一般ユーザーの要求に答えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑み、多品種のシングルキャブチルト型及びキャブ固定型トラックに二列目以上のキャブを容易に増設することができるシングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、
シングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法であって、
既設キャブの背面部を開口させ、当該開口部の周囲に気密部材を配置する工程と、
一側面に乗降用のドアを前面側に既設キャブに連通する開口部をそれぞれ有するキャブユニットを新たに用意する工程と、
運転時の姿勢において互いに連通する前記キャブユニットを前記既設キャブの背面側に取り付けるキャブユニット取付工程と、
前記キャブユニットの後方に積荷室を設置する工程と、を有することを特徴としている。
【0007】
このような方法であれば、多種多様なキャブチルト型トラックの既設キャブの後方に、新たなキャブを増設することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャンピングカーは勿論のこと様々なキャブチルト型及びキャブ固定型の特装車両に、キャブを増設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は従来から提供されているトラックメーカー標準のキャブ付シャーシの一部を示した側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例における増設方法を実施するにあたり、既設キャブに開口部を設けた場合の斜視図である。
【図3】図3は、図1に示した既設キャブの背面側にキャブユニットを設置した時の側面図である。
【図4】図4は、キャブユニットを前面側から見た斜視図である。
【図5】図5は、設置したキャブユニットの後方に積荷室を設けた時の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施例に係るキャブチルト型車両におけるキャブ増設方法について説明する。
図1は、トラックメーカーから提供されているキャブ付シャーシ1の側面図である。なお市場には、キャブ付シャーシ1の後方に、図2に示したように、ボックス状の積荷室4が配置されることにより、積荷用トラック10として出荷されている。
【0011】
一方、キャンピングカーあるいは特種車両などを製造する車両の二次メーカーは、このようなキャブ付シャーシ1をトラックメーカーから購入し、このキャブ付シャーシ1に所望の設備を搭載することにより、ユーザーの要求に答えたキャンピングカー、特殊車両などを提供している。
【0012】
ところで、図1に示したキャブ付シャーシ1では、鉄製のキャブ(運転席)2が、図中二点鎖線で示したように、キャブチルト可能に形成されている。
このようなキャブ付シャーシ1に、新たなキャブを増設するには、先ず、図2に仮想線で示したようにキャブ2の背面部に開口部3を形成する。この開口部3は、後述するキャブユニット7との間のウォークスルー用の通路あるいは会話用開口部を構成するもので、開口部3の大きさは適宜調整される。
【0013】
そして、この既設キャブ2に設けた開口部3に、図3に示したように、ウェザーストリップ5を先端部に設けた通路構成体6を取り付ける。なお、この通路構成体6は、既設キャブ2の開口部3の形状に対応しており、本実施例では角筒体が採用されている。
【0014】
一方、本実施例では、図4に示したように、既設キャブ2の後方に接続する新たなキャブユニット7が用意される。
このキャブユニット7は、FRP樹脂などにより製造されたものであり、既設キャブ2の開口部3に連通する開口部8を前面側に有し、かつ車体の一側面(左側面)に乗降用のドア9が具備されている。
【0015】
このように増設用のキャブユニット7が予め用意されるとともに、そのキャブユニット7が図3あるいは図5に示したように既設キャブ2の背面側であって、かつキャブチルトしない車体後部側の基本シャーシ1に固定される。
【0016】
このとき、図3あるいは図5に示したようにトラックの基本シャーシ1にあおり板11が具備されている場合、あおり板11の前方部分を切除すれば、このあおり板11が邪魔になることはない。
【0017】
キャブユニット7を設置した状態から、キャブチルトした姿勢の既設キャブ2を元の走行姿勢に戻せば、図5に示したように、ウェザーストリップ5をキャブユニット7の開口部8の周囲に押し当てることができる。これにより、雨仕舞いをすることができる。
【0018】
残りのあおり板11は補強用としても良い。そして、このあおり板11を外した場合は、図5に示したように当初の長さより短く設定された積荷室4’をキャブユニット7の後方に設置する。
【0019】
これにより、所望とするキャンピングカーあるいは特装車両などを概ね構築することができる。
このように、本発明の方法によれば、キャブチルト型のどのような車種であっても、既設キャブ2の後方に、新たなキャブを容易に増設することができ、しかも既設キャブ2の開口部3と、新たに設けたキャブユニット7の開口部8との間に連通路構成体6を設け、この通路構成体6を介して前後方向をウォークスルーとすることができる。勿論、既設のキャブチルト機構はそのまま残すことができる。
【0020】
以上、本発明の一実施例に係るキャブチルト型車両におけるキャブ増設方法について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。
例えば、本発明は、キャブチルトしないキャブ固定型のトラックにも適用することができる。
【0021】
また、上記実施例では、シングルキャブの後方に、新たにキャブユニット7を設ける例を説明したが、シングルキャブに限定されず、ダブルキャブの後方にキャブユニット7を設けることもできる。
【0022】
また、上記実施例では、キャブユニット7の内部の詳細な構造については説明していないが、キャブユニット7内には、人を輸送するための座席を設けることの他、簡易ベッドあるいは家具など適宜な部材を設置することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 キャブ付シャーシ
2 既設キャブ
3 開口部
4,4’ 積荷室
5 ウェザーストリップ
6 通路構成体
7 キャブユニット
11 あおり板
8 開口部
9 乗降用のドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法であって、
既設キャブの背面部を開口させ、当該開口部の周囲に気密部材を配置する工程と、
一側面に乗降用のドアを前面側に既設キャブに連通する開口部をそれぞれ有するキャブを新たに用意する工程と、
運転時の姿勢において互いに連通する前記キャブユニットを前記既設キャブの背面側に取り付けるキャブユニット取付工程と、
前記キャブユニットの後方に積荷室を設置する工程と、を有することを特徴とするシングルキャブチルト型及びキャブ固定型車両におけるキャブ増設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−18473(P2013−18473A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−220095(P2011−220095)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(593157622)株式会社ヨコハマ・モーターセールス (6)