シートの搬送機構、該搬送機構を有する記録装置、およびシートの搬送方法
【課題】ロール状に巻かれたシートの巻き癖の矯正効果を均一化する。
【解決手段】ロール状に巻かれたシート410を引き出して搬送する搬送機構は、シート410が巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部621を含む搬送路620を有する。また、搬送機構は、シートの先端部410aが曲部621を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が曲部621を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御する制御部を有する。
【解決手段】ロール状に巻かれたシート410を引き出して搬送する搬送機構は、シート410が巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部621を含む搬送路620を有する。また、搬送機構は、シートの先端部410aが曲部621を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が曲部621を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御する制御部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたシートの搬送機構、該搬送機構を有する記録装置、およびシートの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばデジタルカメラのような撮像装置によって取得された画像データを取り込み、印画紙等の記録媒体に記録する記録装置が広く普及している。このような記録装置では、インクリボンと印画紙とをセットしておけば、画像データを取り込み、記録指示を与えるだけで簡単に記録を行うことができる。このような記録装置の一例として、インクリボンと印画紙とを収納するカートリッジを備えたプリンタが挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
カートリッジに収納される印画紙としては、帯状の印画紙をローラに巻いたロール状の紙(ロール紙)を用いてもよい。印画紙としてロール紙を用いた場合、省スペースのカートリッジに多量の印画紙を保持でき、印刷サイズの異なるカートリッジであっても搬送機構を共有化できるというメリットがある。
【0004】
ロール紙はカールされた状態で保持されているため、記録装置はロール紙の巻き癖を矯正する機構を有する必要がある。特許文献1には、巻き癖を矯正する機構として、カール取りローラが記載されている。カール取りローラは、軟質ゴムによって構成され、対向する位置に配された硬質のカール取り従動ローラと圧接する。ロール紙は両ローラの間を通過する際に、ロール紙の進行方向が約90度曲げられる。このような構成により、ロール紙が、ロール紙の巻かれた方向と反対方向にしごかれて、ロール紙の巻き癖が解消される。
【0005】
また、特許文献2には、ロール紙のカール補正手段として、ロール状の記録用紙の外周面に圧接し、当該記録用紙の円周面と反対の曲率を有する搬送路が記載されている。記録用紙は、この搬送路内で、巻かれていた方向と逆方向にしごかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−229896号公報
【特許文献2】特開平5−16476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の巻き癖を矯正する機構では、ロール紙のカールをとるために、搬送路に2つのローラを配置する必要があり、ロール紙の搬送機構が大型化してしまう。
【0008】
特許文献2に記載されたように、カール補正手段として曲率を有する搬送路を用いる場合、ロール紙の巻き癖の矯正の効果が、ロール紙の場所によって異なるという課題がある。たとえば、ロール紙から引き出された部分の長さ方向の中央部が搬送路の曲率部分に到達しているとき、曲率部分よりも搬送方向の上流側のロール紙は、装置の一部材に狭持される。この状態で、搬送方向の下流側からロール紙を引っ張ると、ロール紙には張力がかかり、ロール紙から引き出された部分の長さ方向の中央部近傍は搬送路の内壁に密着する。このように、ロール紙がしごかれることで、巻き癖の矯正効果が向上する。
【0009】
しかし、ロール紙の先端部が搬送路を通過するときには、ロール紙の先端部に張力がかからない。これは、ロール紙を送り出す場合には、ロール紙の下流側を引っ張ることができず、ロール紙を巻き戻す場合には、ロール紙の下流側を狭持することができないためである。したがって、どちらの場合においても、ロール紙の先端部は、搬送路の内壁に密着しない。このように、ロール紙に張力が働いて、ロール紙が搬送路に密着して搬送されるときと、ロール紙に張力が働かず、ロール紙が搬送路に密着せずに搬送されるときとで、巻き癖の矯正効果が変わってしまう。特に、上述したように、ロール紙の先端部は巻き癖の矯正効果が小さくなる。したがって、ロール紙の矯正効果が不均一になってしまい、印画物として品質が低下してしまうという課題がある。このような課題は、ロール紙を引き出して搬送する場合に限らず、ロール状に巻かれたシートを引き出して搬送する場合に対しても生じ得る。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ロール状に巻かれたシートの巻き癖の矯正効果を均一化することができる、搬送機構、該搬送機構を有する記録装置および搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明は、ロール状に巻かれたシートを引き出して搬送し、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路を有する搬送機構において、前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の記録装置は、上記の搬送機構を有し、前記搬送機構が搬送するシートに記録を行う。
【0013】
さらに、本発明は、ロール状に巻かれたシートを引き出して、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路にシートを搬送する搬送方法において、前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
ロール状に巻かれたシートの巻き癖の矯正効果を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る印刷装置およびカートリッジを示す斜視図。
【図2】図1に示すカートリッジの分解斜視図。
【図3】図2に示すカートリッジが有するシートユニットの斜視図。
【図4】(a)〜(c)は、分離部材の機能を説明する模式図である。
【図5】図3のシートユニットが有するフランジの斜視図。
【図6】(a)および(b)は、シートユニットの動作を説明するための模式図である。
【図7】カートリッジが装着された印刷装置の模式的断面図。
【図8】図1の印刷装置の機能構成を示すブロック図。
【図9】第1の実施形態における印刷処理の工程を示すフローチャート。
【図10】搬送中のシートの先端部の位置を説明するための模式図。
【図11】搬送中のシートの先端部の位置を説明するための模式図。
【図12】搬送中のシートの先端部の位置を説明するための模式図。
【図13】(a)および(b)は、シートの巻き癖の矯正を説明するための模式図。
【図14】シートの往復搬送の回数の一例を示す表。
【図15】インクリボンの表面を示す模式図。
【図16】(a)はインクリボンユニットの斜視図であり、(b)はインクリボンユニットが有するボビン周辺の拡大斜視図である。
【図17】(a)および(b)は、インクリボンの巻き取り速度を説明する模式図である。
【図18】第2の実施形態における印刷処理の工程を示すフローチャート。
【図19】搬送路の曲部を通過する、シートの先端部付近を示す模式図。
【図20】(a)は往復搬送にともなうシート検出のタイミングを示す模式図であり、(b)はシート検出にかかる時間間隔と往復搬送の回数との関係を示すグラフである。
【図21】第3の実施形態における印刷処理の工程を示すフローチャート。
【図22】シートを搬送するモータの駆動速度の時間依存性を示すグラフ。
【図23】(a)および(b)は、それぞれ、シート搬送の停止時間および停止回数の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下では、ロール状のシートとインクリボンとを収納するカートリッジが着脱可能に構成された印刷装置を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明は、ロール状のシートを搬送する搬送機構および搬送方法に関する。さらに、当該搬送機構は、シートに記録をする記録装置全般に好適に適用することができる。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る印刷装置100および該印刷装置100に用いられるカートリッジ110の外観構成を示す模式図である。図1に示すように、印刷装置100は、側面が開閉し、カートリッジ110を矢印120方向に着脱可能な筐体101を備えている。筐体101の上部には、表示部102と操作部103とが配されている。
【0018】
表示部102は、例えばLCDのような表示画面から構成され、印刷される画像データを表示したり、印刷に必要な設定データを入力するためのメニューを表示したりする。
【0019】
操作部103は、印刷装置100の電源のON/OFFを指示する電源スイッチ104と、表示部102に表示される各種メニューを選択するための選択スイッチ105と、を備える。更に、選択スイッチ105の周囲には、表示部102に表示されるカーソルを所定の位置に移動させる、左右キー106および上下キー107が配されている。
【0020】
カートリッジ110には、インクが塗布されているインクリボンと、画像が形成される媒体としてシートと、が収納される。当該シートは、ロール状に巻かれている。カートリッジ110を印刷装置100に装着する前の状態では、シートはハウジング111により覆われており、ユーザがシートに直接触れることがない。このようにして、カートリッジ110内への異物の混入が回避される。印刷時には、シートがカートリッジ110から引き出され、インクリボンに塗布されているインクが、印刷装置100が有するサーマルヘッドによりシートに転写される。
【0021】
次に、カートリッジ110の詳細構成について説明する。図2は、カートリッジ110の分解斜視図である。カートリッジ110は、ハウジング111と、上部ハウジング401と、インクリボンユニット402と、シートユニット404と、を有する。
【0022】
上部ハウジング401は、ハウジング111に置かれたインクリボンユニット402の上部をカバーする。インクリボンユニット402は、インクリボン420を保持し、使用前のインクリボン420が巻き回された供給ローラ406と、使用済みのインクリボンが巻き取られる巻き取りローラ407と、を備える。供給ローラ406はハウジング111に支持され、回転軸113を中心に回動自在になっている。巻き取りローラ407は、ハウジング111により、回転軸114を中心に回動自在に支持される。巻き取りローラ407の回転軸114は、カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、印刷装置100が有するインクリボン巻上げモータによって回転駆動される。ガイドローラ403は、使用済みのインクリボンに対して、巻き取りローラ407が巻き取る際のインクリボン420の搬送経路を規定する。ガイドローラ403は、ハウジング111により回動自在に支持される。
【0023】
シートユニット404は、ローラ408と、フランジ409と、を備える。ローラ408にはシート410が巻きまわされ、シート410はロール状になっている。ローラ408は、ハウジング111の側面に位置する側面ハウジング405とハウジング111とにより、回動自在に支持される。カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、シート410が巻き回されたローラ408の回転軸112は、印刷装置100が有する給送モータによって回転駆動される。
【0024】
側面ハウジング405は、ハウジング111に収納されたシートユニット404の側面をカバーし、ローラ408を回転自在に支持する。また、側面ハウジング405は、ローラ408に巻き回されたシート410の先端部を、ピックアップするための分離部材411を備える。
【0025】
次に、図3を参照して、シートユニット404の詳細を説明する。ローラ408の両端には弾性部材からなるフランジ409が設けられている。フランジ409は、シート410が幅方向Wにずれることを防いでいる。また、フランジ409はツバ部503を有している。ツバ部503は、シート410の剛性により、シート410が放射方向に広がるのを防いでいる。ツバ部503には、シート410の先端部の両端を把持するための切り欠き部501が形成されている。
【0026】
次に、カートリッジ110の側面ハウジング405に設けられている分離部材411について、図4を参照して説明する。図4(a)〜(c)は、分離部材411とシートユニット404との関係を示した模式図である。
【0027】
シートユニット404のローラ408が回転することで、シートユニット404がローラ408の回転方向と同じ方向へ回転する。シートユニット404がシート給送方向Tに回転すると、フランジ409に保持されているシートの先端部410aは、分離部材411にガイドされてカートリッジ110のシート出口へ導かれる。図4(a)に示すように、フランジ409に保持されたシートの先端部410aは、図4(b)に示すように分離部材411にガイドされる。更にシートユニット404が回転すると、シートの両側に設けられたフランジ409が弾性変形し、シートユニット404内のシートが繰り出され、シートの先端部410aは分離部材411上を進んでいく(図4(c)参照。)。
【0028】
図5は、フランジ409の斜視図である。フランジ409のツバ部503に形成された切欠き部501からシートが出ているとき、フランジ409は変形していない状態にある。シート410がフランジ409を弾性変形させ、シート410がフランジ409の外側にでている様子が図6に示されている。シート410が送り出される際、シート410はフランジ409を押し広げて進む。図6(a)では、フランジ409に規制されているシート410が、フランジ409の切り欠き部501から出ている状態が示されている。このとき、フランジ409は変形しておらず、シートの先端部410aは、フランジ409のツバ部503の外側に出ている。そして、シート給送方向Tにシートユニット404が回転すると、前述したように、分離部材411によってシートの先端部410aはすくい上げられる(図6(b)参照。)。
【0029】
図6(b)では、矢印6Bに示す方向にフランジ409が弾性変形しており、シート410の幅方向の両側は、フランジのツバ部503で挟まれている。シート410の両端に設けられているフランジ409の間隔がシート410の幅に近くなるところで、シート410はツバ部503を乗り越えて、フランジ409の外へ出る。このように、シート410の両端が保持されている部分が移動するため、シートユニット404が回転すると、シート410が送り出される。また、シートユニット404の回転が停止すると、シート410を保持した状態でシートユニット404は待機する。
【0030】
図7は、カートリッジ110が装着された印刷装置100の模式的断面図である。カートリッジ110は、カートリッジ110に収納されたシート410が送り出される給送路601を有する。給送路601の下流には、カートリッジ110のシート出口602がある。シートユニット404のローラ408に巻かれているシートの先端部410aは、分離部材411により分離され、シート出口602に向けて給送路601を通過する。
【0031】
印刷装置100は、シートを搬送する搬送機構を有する。搬送機構は、ピンチローラ604aと、グリップローラ604bと、搬送路620と、を含む。シート410を挟持した状態で、グリップローラ604bが回転することにより、一対のローラ604a,604bは精度良くシート410を搬送する。グリップローラ604bが、図中の時計回りに回転することで、カートリッジ110から送りだされたシート410が、印刷装置100の印画位置611に向かって搬送される。
【0032】
カートリッジ110のシート出口602と印刷装置の印画位置611との間は、シート410を搬送する搬送路620で連結されている。この搬送路620は曲部621を有しており、曲部621はデカール用の案内部材603によって規定されている。曲部621は、シート410が巻かれた方向と反対側に曲げられている。シート410がこの曲部621を通過することで、シート410の巻き癖が矯正(デカール)される。
【0033】
印刷装置100は、サーマルヘッド227と、プラテンローラ605と、を有する。プラテンローラ605は、印画位置611においてシートを410保持する。サーマルヘッド227とプラテンローラ605との間で、インクリボン420とシート410とは互いに重なった状態で維持される。
【0034】
プラテンローラ605よりもシートの搬送方向の下流側には排送ローラ606があり、排送ローラ606はシート410を印刷装置100の外部へ排送する。また、排送ローラ606と従動する従動ローラ607が設けられており、両ローラ606,607は図示しない駆動機構により圧接および離間するようになっている。そして、排送ローラ606と従動ローラ607とがシート410を挟持した状態で回転して、シート410を排送する。
【0035】
印刷装置100は、シート410を切断するカッターユニット710を有することが好ましい。カッターユニット710は、カッター刃609とカッター受け刃610とを有する。この場合、印刷装置100は、カッターモータ221と、カッターモータ221の動作をカッターユニット710に伝達するギア列608と、をさらに有する。カッター刃609とカッター受け刃610は、シート410の搬送路を挟んで、互いに対向した位置に配置されている。カッター刃609とカッター受け刃610は、ギア列608により駆動され、上下の刃がすりあわされる。これにより、シート410が切断される。
【0036】
図8は、印刷装置100の構成を示すブロック図である。印刷装置100は、印刷装置100の動作を制御するメインコントローラ201を有する。メインコントローラ201は、シートの搬送を制御する制御部としても機能し、当該制御部は本実施形態の搬送機構に含まれる。また、本実施形態において、印刷装置100は、搬送モータ212,213と、給送モータ215と、インクリボン巻き上げモータ217と、ヘッドアップダウンモータ219と、カッターモータ221と、を有する。
【0037】
印刷装置100は、上記モータの駆動を制御するドライバとして、搬送モータドライバ211、給送モータドライバ214、インクリボン巻き上げモータドライバ216、ヘッドアップダウンモータドライバ218、カッターモータドライバ220、を有する。
【0038】
搬送モータドライバ211は、搬送モータ212、213を駆動する。搬送モータ212、213は、回転機構を介して、グリップローラ604bや排送ローラ606等に駆動力を伝達して、これらのローラを駆動する。これにより、シートが搬送される。
【0039】
給送モータドライバ214は、給送モータ215の回転を制御する。カートリッジ110が印刷装置100に装着された状態においては、給送モータ215が、カートリッジ110内のシートを巻きまわす。シートが巻かれる、シートユニット404のローラ408は、給送モータ215と回転機構を介して連結されている。給送モータドライバ214により、ローラ408の回転が制御される。
【0040】
インクリボン巻上げモータドライバ216は、インクリボン巻上げモータ217の回転を制御する。カートリッジ110が印刷装置100に装着された状態では、インクリボンの巻き取りローラ407とインクリボン巻上げモータ217とが回転機構を介して連結される。したがって、インクリボン巻上げモータドライバ216により、インクリボンの巻き取り、巻き上げが制御される。
【0041】
ヘッドアップダウンモータドライバ218は、サーマルヘッド227の昇降を行うヘッドアップダウンモータ219の回転を制御する。これにより、サーマルヘッド227が印画位置611と退避位置(印画位置から退避した位置)との間を移動する。また、カッターモータドライバ220は、上述のカッターモータ221を制御する。
【0042】
カートリッジ110は、終端検知センサ204を有することが好ましい。終端検知センサ204は、カートリッジ110のローラ408に配され、ローラ408に巻かれているシートの残量が、1巻き未満になった場合に、これを検知する。シートの終端が検知されると、印刷装置100の表示部102に、シートの残量が少ない旨のメッセージが表示される。
【0043】
また、印刷装置100は、シート検出センサ206を有することが好ましい。シート検出センサ206は、プラテンローラ605とグリップローラ604bとの間の搬送路620であって、曲部621または曲部近傍に配される。シート検出センサ206は、カートリッジ110から引き出されたシートの先端部410aがグリップローラ604bの搬送方向下流側を通過したことを検出する。
【0044】
さらに、印刷装置100はリボン頭出しセンサ207を有し、各色のインクリボンの先端部に塗布された識別帯を検出する。インクリボン巻上げモータ217によるインクリボンの巻き上げ動作は、リボン頭出しセンサ207の検出結果に基づいて制御される。
【0045】
また、印刷装置100は、シート410の搬送を制御するための情報を記憶する記憶手段230を有することが好ましい。記憶手段としては、例えばメモリが用いられる。また、表示部102に表示される情報は、表示制御部222に制御されている。
【0046】
次に、本実施形態における印刷装置の印刷処理について説明する。図9は印刷処理の詳細を示すフローチャートである。図9には、印刷開始から印刷終了までのステップが示されており、図10から図14を参照して詳細に説明する。
【0047】
まず、ロール状に巻かれたシート410をカートリッジ110から引き出し、印画位置611まで搬送する動作について説明する。印刷開始の時点では、シートの先端部410aがカートリッジ110内にある。
【0048】
シート先端検出ステップS101では、シートユニット404のローラ408がシート410を送り出す方向へ回転し、シート410をシート出口602に送り出す。そして、シートの先端部410aはグリップローラ604bとピンチローラ604aとの間を通過し、シート410はグリップローラ604bとピンチローラ604aとに狭持された状態になる(図10参照。)。グリップローラ604bに設けられた突起がシート410の裏面に刺さることにより、シート410は精度良く搬送される。シートの先端部410aが図10に示す位置まで進むと、案内部材603と対向する位置に設けられたシート検出センサ206により、シートの先端部410aが検出される。
【0049】
シート先端検出ステップS101が完了すると、シート往復搬送ステップS102を行う。シート往復搬送ステップS102として、まず、図11に示すように、シートの先端部410aが搬送路620の曲部621を通過するまで、シート410を進める。図11に示す位置までシートを搬送すると、シートの先端部410a付近は、案内部材603に規制されて、ハウジング111に収納されていたときと逆向きに曲げられる。したがって、搬送路620の曲部621を通過したシートの先端部付近の巻き癖が矯正される。
【0050】
次に、シートの先端部410aを逆方向(シートを巻き取る方向)に搬送し、図12に示すように、シートの先端部410aが案内部材603から抜けた状態にする。その後、再び図11に示すように、シートの先端部410aが搬送路620の曲部621を通過するまで、シート410を搬送する。このように、シート410を往復搬送して、シートの巻き癖が残りやすいシートの先端部付近の巻き癖を矯正する。
【0051】
ここで、図13を用いて巻き癖の矯正(デカール)について詳細に説明する。図13は、搬送路620の曲部近傍を模式的に示した断面図であり、サーマルヘッド227と案内部材603とグリップローラ604bとが示されている。
【0052】
巻き癖の矯正の効果が最も効果的であるのは、シートに印画している最中である。そのときの様子が図13(a)に示されている。シートに印画している時、サーマルヘッド227は、図中の矢印13Aで示す方向に付勢されて、プラテンローラ605に押し付けられている。そして、サーマルヘッド227とプラテンローラ605との間にシート410とインクリボン420とが挟持されている。図13ではインクリボン420は省略している。印画中には、グリップローラ604bは矢印13Bの方向に回転しており、シート410を矢印13Cの方に送っている。このためシートには、グリップローラ604bでシート410を搬送しようとする搬送力と、サーマルヘッド227とプラテンローラと605で挟んでいることによって生じる搬送抵抗(矢印13D)が作用する。これにより、シート410に張力がかかり、案内部材603付近のシート410は搬送路の内壁(矢印13Eに示す方向)に押し付けられる。このようにシート410が案内部材603に密着することで、シート410は案内部材603に沿って曲げられ、しごかれる。これにより、印画中には、シート410の巻き癖が効果的に矯正される。
【0053】
図13(b)は、シート410の先端部410aの巻き癖について説明するための模式図である。図13(b)は、シートを印画位置611に搬送する直前、またはシートに印画した直後の状態を示している。このとき、シート410は、サーマルヘッド227とプラテンローラ605に挟まれていないため、シート410に張力がかからない。このため、シートの先端部410aは、図中の矢印13Fに示す方向に浮き上がり、案内部材603に密着しなくなる。したがって、シートの先端部410aは、シートの中央部(巻かれたシートから引き出された部分の長さ方向の中央部)と比較して、巻き癖の矯正効果が小さくなりがちである。
【0054】
本実施例では、上述のように、シート往復搬送ステップS102において、シートの先端部410aを、搬送路620の曲部621を少なくとも1回往復させるように制御する。このように、シートの先端部410aの巻き癖が複数回矯正されるため、巻き癖の矯正効果は増大する。このときの矯正は、シートの先端部410aが、サーマルヘッド227とプラテンローラ605とに挟まれるまで行う。シートの往復搬送が繰り返されることで、シートの先端部410a付近が徐々にデカールされる。シートの先端部410aが曲部621を通過する回数が、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が曲部を通過する回数よりも大きくすることで、シート全体のデカールの効果を均一化することができる。また、シートの先端部410aの巻き癖が低減することで、装置内の部品にひっかかることなく、シート410を搬送することができる。
【0055】
ところで、ロール状に巻かれたシートの外周部と内周部とでは、巻き癖の状態が異なる。すなわち、残りの印画可能なシートの枚数に応じて、シートの先端部410aの巻き癖の状態が異なる。そのため、シートの巻き癖の状態に合わせて、シートの往復搬送の回数を設定することが好ましい。この目的のため、印刷装置100の搬送機構は、シートの残量を測定する残量測定手段を有することが好ましい。残量測定手段の一例として、インクリボン420の残量を測定して、その残量から印画可能なシートの枚数を算出する手段がある。これにより、メインコントローラ201は残りの印画可能枚数に応じて往復搬送の回数を設定することができる。
【0056】
残量測定手段は、上記例に限らず様々なものを用いることができる。例えば、残量測定手段は、ロール状に巻かれたシートの径を測定し、当該径からシートの残量を計測する手段であっても良い。
【0057】
図14は往復回数の設定の一例を示している。このように、カートリッジ内で巻かれているシート410の残量が大いときに往復搬送回数を少なくすることが好ましい。これにより、シートの残量が少ないときと多いときとで、シートの巻き癖の矯正効果を均一にすることができる。
【0058】
シート往復搬送ステップS102が終わると、シート搬送ステップS103を行い、シートの先端部410aから図ってシート1枚分の長さに相当する位置が印画位置611に達するまで、シートを搬送する。上述のように、あらかじめシートの先端部410aを部分的にデカールすることによって、印画後のシートの巻き癖が均一化され、印画物(シート)の品質が向上する。
【0059】
次に印画動作について説明する。印画動作は、図9に示すフローチャートのインクリボン頭だしステップS903と、印画ステップとS904、リターンステップS905と、印画完了判定S906と、有する。
【0060】
インクリボン頭だしステップS903では、カートリッジ110に収納されているインクリボン420が巻き上げられる。インクリボン420は印刷装置100に具備されているインクリボン巻上げモータ217ならびに該モータに接続されたギア列を介して、巻き上げられる。
【0061】
ここで図15を用いてインクリボン420のマーカーの説明をする。図15において、インクリボン420には、イエローのインク面2402、マゼンタのインク面2403、シアンのインク面2404およびオーバーコート層2405の各面の頭出し位置に帯状にマーカー2401が塗布されている。マーカー2401は黒色の線であり、リボン頭だしセンサ207によって検知される。イエローのインク面2402の先頭部分にはマーカー2401が2本塗布されており、他の色の先頭部分を示すマーカー2401が1本であることと区別されている。これらの区別は、リボン頭出しセンサ207において識別され、識別結果がメインコントローラ201に送信される。これにより、メインコントローラ201は、最初に印画するイエローのインク面2402の頭だし位置を認識することができる。
【0062】
リボン頭出しセンサ207がイエローのインク面2402に対するマーカー2401を検知すると、メインコントローラ201はインクリボン巻上げモータ217を停止する。これにともない、サーマルヘッド227の昇降を行うヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を印画位置611まで移動させる。
【0063】
サーマルヘッド227は、印刷装置100のベースフレームにヘッドレバー612を介して回動可能に配されている。ヘッドアップダウンモータ219は、ヘッドレバー612を駆動してサーマルヘッド227を印画位置611まで回動させる。サーマルヘッド227が印画位置611に到達すると、グリップローラ604bによりシート410を送り、イエロー、マゼンタ、シアン、オーバーコート層の順にインクを重ねて転写する。このとき、シート410は巻き戻される方向に送られる。
【0064】
印画中に行なわれる検出動作の一例として、インクリボン420の残量の検出がある。図16(a)は、インクリボンユニット402の模式図であり、インクリボン420とボビンと駆動用のジョイントとの関係を示している。インクリボンユニット402は、未仕様のインクリボン420が巻かれている供給側のボビン301と、使用済みのインクリボンが巻かれる巻き取り側のボビン302と、を有する。各々のボビン301,302は、ジョイント部303,304によって、回転自在に保持される。
【0065】
図16(b)は、供給側のボビン301の一部を拡大した斜視図である。インクリボンの残量検知は、供給側のボビン301の回転数を計測することによって行なわれる。供給側のジョイント部303には、回転数を計測するために、スリット305を設けた円盤306が取り付けられている。円盤306は、ジョイント部303と一体に回転する。円盤306に設けたスリット305を検出可能な場所に、透過型のフォトセンサ307が配置されている。フォトセンサ307は、円盤306に設けられたスリット305によって、光の透過状態および遮蔽状態を検出する。そして、単位時間あたりのパルスを数えることによって、供給側のジョイント部303の回転速度が算出される。
【0066】
印画中の供給側のジョイント部303の回転速度の変化を、図17(a)および図17(b)を用いて説明する。印画中のインクリボン420の搬送速度Vは一定である。このため、ボビン301,302に巻かれたインクリボン420の最外周の周速も一定である。このため、図17(a)に示すように、供給側のボビン301に巻かれたインクリボン420の径が大きいとき、供給側のボビン301の回転速度は遅い。一方、図17(b)に示すように、供給側のボビン301に巻かれたインクリボンの径が小さいとき、供給側のボビン301の回転速度は速くなる。この回転速度の差を用いて、インクリボン420の残量を検知することができる。
【0067】
また、本実施形態のように、一体型のカートリッジの場合、インクリボン420とロール状に巻かれたシート410の残量(残りの印画可能枚数)は等しい。したがって、インクリボン420の残量から、シート410の残量を算出することが可能である。
【0068】
また、巻き取り側のジョイント部304の回転速度を計測することによっても、同様に、インクリボン420の残量を算出することができる。さらに、インクリボンの残量の算出は、上記方法によらず様々な方法を用いることができる。
【0069】
シート410への印画が完了すると、ヘッドアップダウンモータ219が駆動し、ヘッドレバー612を回動させ、サーマルヘッド227を所定の位置に退避させる。また、このとき、インクリボン420を少し巻き上げて、インクリボン420のたるみをとることが好ましい。
【0070】
印画完了後、所望の距離だけシート410を搬送し、シート410を切り離した後、シート410排出する。これは、図9のフローチャートにおける、カット前搬送ステップS907、シートカットステップS908、排送ステップS909にあたる。
【0071】
カット前搬送ステップS907では、シート410が排送方向へ搬送される。このとき、シート410の印画領域と未印画領域との境界がカッターユニット710の切断位置にくるまで、シートが搬送される。本ステップにおいて、グリップローラ604bとピンチローラ604aはシート410を狭持したままであり、グリップローラ604bを所定量回転させることで、シート410が所定量搬送される。
【0072】
シートカットステップS908では、カッターユニット710によって、シート410が切断される。切断されたシート410は、排送ローラ606によって排送方向に搬送される(排送ステップS909)。ここで、カートリッジ110内に収納されたシート410と連結している方のシートの先端部も、排送方向に進む。この結果、印画済みのシートは、上流側から来た未印画のシートの先端部に押し出されて、装置外部に排出される。
【0073】
排送ステップS909の後、未印画のシート410は、巻き取られる(シート収納ステップS910)。これにより、シートがカートリッジ110内に収納されて、カートリッジ110が着脱可能な状態になる。
【0074】
シート収納ステップS910において、シートの巻き取りは、グリップローラ604bとローラ408とを回転させることで行なわれる。シート検出センサ206を用いて、シートが検出されない状態に変わるところまでシートを収納した後、さらに所定量、グリップローラ604bとローラ408を駆動することで精度よくシートをカートリッジ110に収納できる。
【0075】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。印刷装置100の構成は、第1の実施形態と同様である。図18には本実施形態の、印刷開始から印刷終了までのフローチャートが示されている。
【0076】
印刷開始の時点では、シートの先端部410aがカートリッジ110に収納されている。シート先端検出ステップS101は、第1の実施形態と同様に行われるため、その説明を省略する。
【0077】
シート先端検出ステップS101の後、シート往復搬送ステップS202を行う。本ステップにおいて、シートの搬送は、第1の実施形態と同様に行われる。ただし、本実施形態では、シート検出センサ206によって、搬送路620の曲部621にシート410が有るか無いかを検出しながら、シートを往復搬送する。シートの往復搬送にともない、シート検出センサ206は、複数回シートを検出することになる。このとき、シートを検出した時間間隔の変化によって、シートの先端部の巻き癖の矯正が完了したかを判定する(ステップS203)。
【0078】
ここで、シートの巻き癖の状態と、往復搬送に伴うシート検出の時間間隔の変化量と、の関係について説明する。図19は、搬送路620内の曲部621付近を示す断面図であり、搬送路620内のシートの状態を示している。巻き癖の大きいシート922は、巻き癖の小さいシート921と比較して、シートの先端部がシート検出センサ206側へ浮き上がってしまう。そのため、巻き癖の大きいシート922は、シート検出センサ206にたどり着くまでに必要な搬送距離が長くなる。
【0079】
次に、図20(a)を用いて、シート往復搬送ステップS202において、シートを巻き戻した後に再びシートを順方向(排送する方向)に搬送し始めた時から、シート検出センサ206がシートを検出する時までの時間について説明する。図20(a)では、巻き癖の大きいシート922または巻き癖の小さいシート921を搬送した際の、シート検出の様子を示している。上述のように、巻き癖の大きいシート922では、シート検出までの搬送距離が長くなるため、シート検出までの時間は長い。一方、巻き癖の小さいシート921では、シート検出までの時間は短い。このように、往復搬送を繰り返し、シートの巻き癖が小さくなるとともに、シート検出の時間は短くなっていく。さらに、図20(b)に示すように、往復搬送の繰り返し回数が増えていくと、シートの巻き癖が矯正され、それ以上の矯正効果がなくなっていき、シート検出までの時間が変化しなくなる。この時間の変化がなくなった時点で、巻き癖の矯正が完了したと判定(ステップS203)することができる。
【0080】
上記のように、シートの先端部が曲部621を通過したことを検出した第1の時間を記憶した後、シートを巻き戻して、再びシートを搬送する。その後、シートの先端部が曲部621を通過したことを検出した第2の時間を記憶し、第1および第2の時間を比較することで、シートの先端部付近の巻き癖の矯正が終了したか否かを判定することができる。第1および第2の時間は、記憶手段230によって記憶される。
【0081】
巻き癖矯正の判定S203により、巻き癖の矯正が完了したと判定されると、シート搬送ステップS103を行う。シート搬送ステップS103以降の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0082】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について、説明する。印刷装置100の構成は第1の実施形態と同様である。図21には、本実施形態において、シートの印刷開始から印刷終了までのフローチャートが示されている。
【0083】
図21の印刷開始の時点では、シートの先端部410aがハウジング111に収納されている。シート先端検出ステップS101は、第1の実施形態と同様であり、その説明を省略する。
【0084】
シート先端検出ステップS101の後、巻き癖を矯正するために、所定量シートを送る(シート送りステップS302)。このとき、シートの先端部410a付近が、搬送路620の曲部621によって曲げられた状態になるまで、シート410を搬送する(図10参照。)。この状態で、シートの搬送を所定の時間停止する(搬送停止ステップS303)。
【0085】
このように、シートの搬送を停止して、シートの屈曲状態を維持することによって、シートの巻き癖を矯正する効果を向上させる。そして、シートの先端部410a付近の所定の領域が、搬送路620の曲部621を通過するまで、シート送りステップS302と搬送停止ステップS303とを繰り返す。このように、シートは所定の回数停止し、シートの先端部410a付近の巻き癖の矯正を効果的に行う。このように、断続的にシートを停止させながら搬送する工程は、シートの先端部410aが、搬送方向下流側のプラテンローラ605とサーマルヘッド227との間に狭持されるまで行うことが好ましい。このように、予めシートの先端部410aの巻き癖を矯正することで、シート全体の巻き癖の均一化を図ることができる。
【0086】
搬送の時刻と搬送速度との関係の一例が図22に示されている。図22では、モータの駆動速度によって搬送の速度が間接的に示されている。図22に示すように、断続的にシートを搬送することにより、シートの先端部410a付近の巻き癖が効果的に強制される。これにより、シートが装置本体内の部品にひっかかることなく、シートを搬送することができる。
【0087】
また、第1の実施形態と同様に、シートの残量(残りの印画枚数)に応じて、シートの搬送を制御することが好ましい。図23(a)には、シートを停止した回数の一例が示されており、図23(b)には、シートの停止時間の一例が示されている。このように、シートの残量が少ないほど、シートの停止時間もしくは停止回数を増やすように設定する。これによって、ハウジング111内で巻かれたシートの径が大きいときと、シートの径が小さいときとで、巻き癖の矯正効果が同等になるように設定されている。
【0088】
シートの停止回数が設定値に達するかどうか判断し(ステップS304)、設定値に達した場合には、シート搬送ステップS103を行う。シート搬送ステップS103以降のステップは、第1の実施形態と同様である。
【0089】
第3の実施形態では、シートの先端部410aを搬送路620の曲部621で停止させたが、完全に停止させず、搬送路620の曲部621をゆっくり搬送させても良い。結果的に、シートの先端部410aが曲部621を通過する合計時間が、シートが引き出された部分の長さ方向の中央部が曲部を通過する合計時間よりも大きくなれば良い。
【0090】
以上、本発明の望ましい実施形態について提示し、詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更及び修正が可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0091】
100 印刷装置
201 メインコントローラ
410 シート
410a シートの先端部
620 搬送路
621 曲部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたシートの搬送機構、該搬送機構を有する記録装置、およびシートの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばデジタルカメラのような撮像装置によって取得された画像データを取り込み、印画紙等の記録媒体に記録する記録装置が広く普及している。このような記録装置では、インクリボンと印画紙とをセットしておけば、画像データを取り込み、記録指示を与えるだけで簡単に記録を行うことができる。このような記録装置の一例として、インクリボンと印画紙とを収納するカートリッジを備えたプリンタが挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
カートリッジに収納される印画紙としては、帯状の印画紙をローラに巻いたロール状の紙(ロール紙)を用いてもよい。印画紙としてロール紙を用いた場合、省スペースのカートリッジに多量の印画紙を保持でき、印刷サイズの異なるカートリッジであっても搬送機構を共有化できるというメリットがある。
【0004】
ロール紙はカールされた状態で保持されているため、記録装置はロール紙の巻き癖を矯正する機構を有する必要がある。特許文献1には、巻き癖を矯正する機構として、カール取りローラが記載されている。カール取りローラは、軟質ゴムによって構成され、対向する位置に配された硬質のカール取り従動ローラと圧接する。ロール紙は両ローラの間を通過する際に、ロール紙の進行方向が約90度曲げられる。このような構成により、ロール紙が、ロール紙の巻かれた方向と反対方向にしごかれて、ロール紙の巻き癖が解消される。
【0005】
また、特許文献2には、ロール紙のカール補正手段として、ロール状の記録用紙の外周面に圧接し、当該記録用紙の円周面と反対の曲率を有する搬送路が記載されている。記録用紙は、この搬送路内で、巻かれていた方向と逆方向にしごかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−229896号公報
【特許文献2】特開平5−16476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の巻き癖を矯正する機構では、ロール紙のカールをとるために、搬送路に2つのローラを配置する必要があり、ロール紙の搬送機構が大型化してしまう。
【0008】
特許文献2に記載されたように、カール補正手段として曲率を有する搬送路を用いる場合、ロール紙の巻き癖の矯正の効果が、ロール紙の場所によって異なるという課題がある。たとえば、ロール紙から引き出された部分の長さ方向の中央部が搬送路の曲率部分に到達しているとき、曲率部分よりも搬送方向の上流側のロール紙は、装置の一部材に狭持される。この状態で、搬送方向の下流側からロール紙を引っ張ると、ロール紙には張力がかかり、ロール紙から引き出された部分の長さ方向の中央部近傍は搬送路の内壁に密着する。このように、ロール紙がしごかれることで、巻き癖の矯正効果が向上する。
【0009】
しかし、ロール紙の先端部が搬送路を通過するときには、ロール紙の先端部に張力がかからない。これは、ロール紙を送り出す場合には、ロール紙の下流側を引っ張ることができず、ロール紙を巻き戻す場合には、ロール紙の下流側を狭持することができないためである。したがって、どちらの場合においても、ロール紙の先端部は、搬送路の内壁に密着しない。このように、ロール紙に張力が働いて、ロール紙が搬送路に密着して搬送されるときと、ロール紙に張力が働かず、ロール紙が搬送路に密着せずに搬送されるときとで、巻き癖の矯正効果が変わってしまう。特に、上述したように、ロール紙の先端部は巻き癖の矯正効果が小さくなる。したがって、ロール紙の矯正効果が不均一になってしまい、印画物として品質が低下してしまうという課題がある。このような課題は、ロール紙を引き出して搬送する場合に限らず、ロール状に巻かれたシートを引き出して搬送する場合に対しても生じ得る。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ロール状に巻かれたシートの巻き癖の矯正効果を均一化することができる、搬送機構、該搬送機構を有する記録装置および搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明は、ロール状に巻かれたシートを引き出して搬送し、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路を有する搬送機構において、前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の記録装置は、上記の搬送機構を有し、前記搬送機構が搬送するシートに記録を行う。
【0013】
さらに、本発明は、ロール状に巻かれたシートを引き出して、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路にシートを搬送する搬送方法において、前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
ロール状に巻かれたシートの巻き癖の矯正効果を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る印刷装置およびカートリッジを示す斜視図。
【図2】図1に示すカートリッジの分解斜視図。
【図3】図2に示すカートリッジが有するシートユニットの斜視図。
【図4】(a)〜(c)は、分離部材の機能を説明する模式図である。
【図5】図3のシートユニットが有するフランジの斜視図。
【図6】(a)および(b)は、シートユニットの動作を説明するための模式図である。
【図7】カートリッジが装着された印刷装置の模式的断面図。
【図8】図1の印刷装置の機能構成を示すブロック図。
【図9】第1の実施形態における印刷処理の工程を示すフローチャート。
【図10】搬送中のシートの先端部の位置を説明するための模式図。
【図11】搬送中のシートの先端部の位置を説明するための模式図。
【図12】搬送中のシートの先端部の位置を説明するための模式図。
【図13】(a)および(b)は、シートの巻き癖の矯正を説明するための模式図。
【図14】シートの往復搬送の回数の一例を示す表。
【図15】インクリボンの表面を示す模式図。
【図16】(a)はインクリボンユニットの斜視図であり、(b)はインクリボンユニットが有するボビン周辺の拡大斜視図である。
【図17】(a)および(b)は、インクリボンの巻き取り速度を説明する模式図である。
【図18】第2の実施形態における印刷処理の工程を示すフローチャート。
【図19】搬送路の曲部を通過する、シートの先端部付近を示す模式図。
【図20】(a)は往復搬送にともなうシート検出のタイミングを示す模式図であり、(b)はシート検出にかかる時間間隔と往復搬送の回数との関係を示すグラフである。
【図21】第3の実施形態における印刷処理の工程を示すフローチャート。
【図22】シートを搬送するモータの駆動速度の時間依存性を示すグラフ。
【図23】(a)および(b)は、それぞれ、シート搬送の停止時間および停止回数の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下では、ロール状のシートとインクリボンとを収納するカートリッジが着脱可能に構成された印刷装置を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明は、ロール状のシートを搬送する搬送機構および搬送方法に関する。さらに、当該搬送機構は、シートに記録をする記録装置全般に好適に適用することができる。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る印刷装置100および該印刷装置100に用いられるカートリッジ110の外観構成を示す模式図である。図1に示すように、印刷装置100は、側面が開閉し、カートリッジ110を矢印120方向に着脱可能な筐体101を備えている。筐体101の上部には、表示部102と操作部103とが配されている。
【0018】
表示部102は、例えばLCDのような表示画面から構成され、印刷される画像データを表示したり、印刷に必要な設定データを入力するためのメニューを表示したりする。
【0019】
操作部103は、印刷装置100の電源のON/OFFを指示する電源スイッチ104と、表示部102に表示される各種メニューを選択するための選択スイッチ105と、を備える。更に、選択スイッチ105の周囲には、表示部102に表示されるカーソルを所定の位置に移動させる、左右キー106および上下キー107が配されている。
【0020】
カートリッジ110には、インクが塗布されているインクリボンと、画像が形成される媒体としてシートと、が収納される。当該シートは、ロール状に巻かれている。カートリッジ110を印刷装置100に装着する前の状態では、シートはハウジング111により覆われており、ユーザがシートに直接触れることがない。このようにして、カートリッジ110内への異物の混入が回避される。印刷時には、シートがカートリッジ110から引き出され、インクリボンに塗布されているインクが、印刷装置100が有するサーマルヘッドによりシートに転写される。
【0021】
次に、カートリッジ110の詳細構成について説明する。図2は、カートリッジ110の分解斜視図である。カートリッジ110は、ハウジング111と、上部ハウジング401と、インクリボンユニット402と、シートユニット404と、を有する。
【0022】
上部ハウジング401は、ハウジング111に置かれたインクリボンユニット402の上部をカバーする。インクリボンユニット402は、インクリボン420を保持し、使用前のインクリボン420が巻き回された供給ローラ406と、使用済みのインクリボンが巻き取られる巻き取りローラ407と、を備える。供給ローラ406はハウジング111に支持され、回転軸113を中心に回動自在になっている。巻き取りローラ407は、ハウジング111により、回転軸114を中心に回動自在に支持される。巻き取りローラ407の回転軸114は、カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、印刷装置100が有するインクリボン巻上げモータによって回転駆動される。ガイドローラ403は、使用済みのインクリボンに対して、巻き取りローラ407が巻き取る際のインクリボン420の搬送経路を規定する。ガイドローラ403は、ハウジング111により回動自在に支持される。
【0023】
シートユニット404は、ローラ408と、フランジ409と、を備える。ローラ408にはシート410が巻きまわされ、シート410はロール状になっている。ローラ408は、ハウジング111の側面に位置する側面ハウジング405とハウジング111とにより、回動自在に支持される。カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、シート410が巻き回されたローラ408の回転軸112は、印刷装置100が有する給送モータによって回転駆動される。
【0024】
側面ハウジング405は、ハウジング111に収納されたシートユニット404の側面をカバーし、ローラ408を回転自在に支持する。また、側面ハウジング405は、ローラ408に巻き回されたシート410の先端部を、ピックアップするための分離部材411を備える。
【0025】
次に、図3を参照して、シートユニット404の詳細を説明する。ローラ408の両端には弾性部材からなるフランジ409が設けられている。フランジ409は、シート410が幅方向Wにずれることを防いでいる。また、フランジ409はツバ部503を有している。ツバ部503は、シート410の剛性により、シート410が放射方向に広がるのを防いでいる。ツバ部503には、シート410の先端部の両端を把持するための切り欠き部501が形成されている。
【0026】
次に、カートリッジ110の側面ハウジング405に設けられている分離部材411について、図4を参照して説明する。図4(a)〜(c)は、分離部材411とシートユニット404との関係を示した模式図である。
【0027】
シートユニット404のローラ408が回転することで、シートユニット404がローラ408の回転方向と同じ方向へ回転する。シートユニット404がシート給送方向Tに回転すると、フランジ409に保持されているシートの先端部410aは、分離部材411にガイドされてカートリッジ110のシート出口へ導かれる。図4(a)に示すように、フランジ409に保持されたシートの先端部410aは、図4(b)に示すように分離部材411にガイドされる。更にシートユニット404が回転すると、シートの両側に設けられたフランジ409が弾性変形し、シートユニット404内のシートが繰り出され、シートの先端部410aは分離部材411上を進んでいく(図4(c)参照。)。
【0028】
図5は、フランジ409の斜視図である。フランジ409のツバ部503に形成された切欠き部501からシートが出ているとき、フランジ409は変形していない状態にある。シート410がフランジ409を弾性変形させ、シート410がフランジ409の外側にでている様子が図6に示されている。シート410が送り出される際、シート410はフランジ409を押し広げて進む。図6(a)では、フランジ409に規制されているシート410が、フランジ409の切り欠き部501から出ている状態が示されている。このとき、フランジ409は変形しておらず、シートの先端部410aは、フランジ409のツバ部503の外側に出ている。そして、シート給送方向Tにシートユニット404が回転すると、前述したように、分離部材411によってシートの先端部410aはすくい上げられる(図6(b)参照。)。
【0029】
図6(b)では、矢印6Bに示す方向にフランジ409が弾性変形しており、シート410の幅方向の両側は、フランジのツバ部503で挟まれている。シート410の両端に設けられているフランジ409の間隔がシート410の幅に近くなるところで、シート410はツバ部503を乗り越えて、フランジ409の外へ出る。このように、シート410の両端が保持されている部分が移動するため、シートユニット404が回転すると、シート410が送り出される。また、シートユニット404の回転が停止すると、シート410を保持した状態でシートユニット404は待機する。
【0030】
図7は、カートリッジ110が装着された印刷装置100の模式的断面図である。カートリッジ110は、カートリッジ110に収納されたシート410が送り出される給送路601を有する。給送路601の下流には、カートリッジ110のシート出口602がある。シートユニット404のローラ408に巻かれているシートの先端部410aは、分離部材411により分離され、シート出口602に向けて給送路601を通過する。
【0031】
印刷装置100は、シートを搬送する搬送機構を有する。搬送機構は、ピンチローラ604aと、グリップローラ604bと、搬送路620と、を含む。シート410を挟持した状態で、グリップローラ604bが回転することにより、一対のローラ604a,604bは精度良くシート410を搬送する。グリップローラ604bが、図中の時計回りに回転することで、カートリッジ110から送りだされたシート410が、印刷装置100の印画位置611に向かって搬送される。
【0032】
カートリッジ110のシート出口602と印刷装置の印画位置611との間は、シート410を搬送する搬送路620で連結されている。この搬送路620は曲部621を有しており、曲部621はデカール用の案内部材603によって規定されている。曲部621は、シート410が巻かれた方向と反対側に曲げられている。シート410がこの曲部621を通過することで、シート410の巻き癖が矯正(デカール)される。
【0033】
印刷装置100は、サーマルヘッド227と、プラテンローラ605と、を有する。プラテンローラ605は、印画位置611においてシートを410保持する。サーマルヘッド227とプラテンローラ605との間で、インクリボン420とシート410とは互いに重なった状態で維持される。
【0034】
プラテンローラ605よりもシートの搬送方向の下流側には排送ローラ606があり、排送ローラ606はシート410を印刷装置100の外部へ排送する。また、排送ローラ606と従動する従動ローラ607が設けられており、両ローラ606,607は図示しない駆動機構により圧接および離間するようになっている。そして、排送ローラ606と従動ローラ607とがシート410を挟持した状態で回転して、シート410を排送する。
【0035】
印刷装置100は、シート410を切断するカッターユニット710を有することが好ましい。カッターユニット710は、カッター刃609とカッター受け刃610とを有する。この場合、印刷装置100は、カッターモータ221と、カッターモータ221の動作をカッターユニット710に伝達するギア列608と、をさらに有する。カッター刃609とカッター受け刃610は、シート410の搬送路を挟んで、互いに対向した位置に配置されている。カッター刃609とカッター受け刃610は、ギア列608により駆動され、上下の刃がすりあわされる。これにより、シート410が切断される。
【0036】
図8は、印刷装置100の構成を示すブロック図である。印刷装置100は、印刷装置100の動作を制御するメインコントローラ201を有する。メインコントローラ201は、シートの搬送を制御する制御部としても機能し、当該制御部は本実施形態の搬送機構に含まれる。また、本実施形態において、印刷装置100は、搬送モータ212,213と、給送モータ215と、インクリボン巻き上げモータ217と、ヘッドアップダウンモータ219と、カッターモータ221と、を有する。
【0037】
印刷装置100は、上記モータの駆動を制御するドライバとして、搬送モータドライバ211、給送モータドライバ214、インクリボン巻き上げモータドライバ216、ヘッドアップダウンモータドライバ218、カッターモータドライバ220、を有する。
【0038】
搬送モータドライバ211は、搬送モータ212、213を駆動する。搬送モータ212、213は、回転機構を介して、グリップローラ604bや排送ローラ606等に駆動力を伝達して、これらのローラを駆動する。これにより、シートが搬送される。
【0039】
給送モータドライバ214は、給送モータ215の回転を制御する。カートリッジ110が印刷装置100に装着された状態においては、給送モータ215が、カートリッジ110内のシートを巻きまわす。シートが巻かれる、シートユニット404のローラ408は、給送モータ215と回転機構を介して連結されている。給送モータドライバ214により、ローラ408の回転が制御される。
【0040】
インクリボン巻上げモータドライバ216は、インクリボン巻上げモータ217の回転を制御する。カートリッジ110が印刷装置100に装着された状態では、インクリボンの巻き取りローラ407とインクリボン巻上げモータ217とが回転機構を介して連結される。したがって、インクリボン巻上げモータドライバ216により、インクリボンの巻き取り、巻き上げが制御される。
【0041】
ヘッドアップダウンモータドライバ218は、サーマルヘッド227の昇降を行うヘッドアップダウンモータ219の回転を制御する。これにより、サーマルヘッド227が印画位置611と退避位置(印画位置から退避した位置)との間を移動する。また、カッターモータドライバ220は、上述のカッターモータ221を制御する。
【0042】
カートリッジ110は、終端検知センサ204を有することが好ましい。終端検知センサ204は、カートリッジ110のローラ408に配され、ローラ408に巻かれているシートの残量が、1巻き未満になった場合に、これを検知する。シートの終端が検知されると、印刷装置100の表示部102に、シートの残量が少ない旨のメッセージが表示される。
【0043】
また、印刷装置100は、シート検出センサ206を有することが好ましい。シート検出センサ206は、プラテンローラ605とグリップローラ604bとの間の搬送路620であって、曲部621または曲部近傍に配される。シート検出センサ206は、カートリッジ110から引き出されたシートの先端部410aがグリップローラ604bの搬送方向下流側を通過したことを検出する。
【0044】
さらに、印刷装置100はリボン頭出しセンサ207を有し、各色のインクリボンの先端部に塗布された識別帯を検出する。インクリボン巻上げモータ217によるインクリボンの巻き上げ動作は、リボン頭出しセンサ207の検出結果に基づいて制御される。
【0045】
また、印刷装置100は、シート410の搬送を制御するための情報を記憶する記憶手段230を有することが好ましい。記憶手段としては、例えばメモリが用いられる。また、表示部102に表示される情報は、表示制御部222に制御されている。
【0046】
次に、本実施形態における印刷装置の印刷処理について説明する。図9は印刷処理の詳細を示すフローチャートである。図9には、印刷開始から印刷終了までのステップが示されており、図10から図14を参照して詳細に説明する。
【0047】
まず、ロール状に巻かれたシート410をカートリッジ110から引き出し、印画位置611まで搬送する動作について説明する。印刷開始の時点では、シートの先端部410aがカートリッジ110内にある。
【0048】
シート先端検出ステップS101では、シートユニット404のローラ408がシート410を送り出す方向へ回転し、シート410をシート出口602に送り出す。そして、シートの先端部410aはグリップローラ604bとピンチローラ604aとの間を通過し、シート410はグリップローラ604bとピンチローラ604aとに狭持された状態になる(図10参照。)。グリップローラ604bに設けられた突起がシート410の裏面に刺さることにより、シート410は精度良く搬送される。シートの先端部410aが図10に示す位置まで進むと、案内部材603と対向する位置に設けられたシート検出センサ206により、シートの先端部410aが検出される。
【0049】
シート先端検出ステップS101が完了すると、シート往復搬送ステップS102を行う。シート往復搬送ステップS102として、まず、図11に示すように、シートの先端部410aが搬送路620の曲部621を通過するまで、シート410を進める。図11に示す位置までシートを搬送すると、シートの先端部410a付近は、案内部材603に規制されて、ハウジング111に収納されていたときと逆向きに曲げられる。したがって、搬送路620の曲部621を通過したシートの先端部付近の巻き癖が矯正される。
【0050】
次に、シートの先端部410aを逆方向(シートを巻き取る方向)に搬送し、図12に示すように、シートの先端部410aが案内部材603から抜けた状態にする。その後、再び図11に示すように、シートの先端部410aが搬送路620の曲部621を通過するまで、シート410を搬送する。このように、シート410を往復搬送して、シートの巻き癖が残りやすいシートの先端部付近の巻き癖を矯正する。
【0051】
ここで、図13を用いて巻き癖の矯正(デカール)について詳細に説明する。図13は、搬送路620の曲部近傍を模式的に示した断面図であり、サーマルヘッド227と案内部材603とグリップローラ604bとが示されている。
【0052】
巻き癖の矯正の効果が最も効果的であるのは、シートに印画している最中である。そのときの様子が図13(a)に示されている。シートに印画している時、サーマルヘッド227は、図中の矢印13Aで示す方向に付勢されて、プラテンローラ605に押し付けられている。そして、サーマルヘッド227とプラテンローラ605との間にシート410とインクリボン420とが挟持されている。図13ではインクリボン420は省略している。印画中には、グリップローラ604bは矢印13Bの方向に回転しており、シート410を矢印13Cの方に送っている。このためシートには、グリップローラ604bでシート410を搬送しようとする搬送力と、サーマルヘッド227とプラテンローラと605で挟んでいることによって生じる搬送抵抗(矢印13D)が作用する。これにより、シート410に張力がかかり、案内部材603付近のシート410は搬送路の内壁(矢印13Eに示す方向)に押し付けられる。このようにシート410が案内部材603に密着することで、シート410は案内部材603に沿って曲げられ、しごかれる。これにより、印画中には、シート410の巻き癖が効果的に矯正される。
【0053】
図13(b)は、シート410の先端部410aの巻き癖について説明するための模式図である。図13(b)は、シートを印画位置611に搬送する直前、またはシートに印画した直後の状態を示している。このとき、シート410は、サーマルヘッド227とプラテンローラ605に挟まれていないため、シート410に張力がかからない。このため、シートの先端部410aは、図中の矢印13Fに示す方向に浮き上がり、案内部材603に密着しなくなる。したがって、シートの先端部410aは、シートの中央部(巻かれたシートから引き出された部分の長さ方向の中央部)と比較して、巻き癖の矯正効果が小さくなりがちである。
【0054】
本実施例では、上述のように、シート往復搬送ステップS102において、シートの先端部410aを、搬送路620の曲部621を少なくとも1回往復させるように制御する。このように、シートの先端部410aの巻き癖が複数回矯正されるため、巻き癖の矯正効果は増大する。このときの矯正は、シートの先端部410aが、サーマルヘッド227とプラテンローラ605とに挟まれるまで行う。シートの往復搬送が繰り返されることで、シートの先端部410a付近が徐々にデカールされる。シートの先端部410aが曲部621を通過する回数が、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が曲部を通過する回数よりも大きくすることで、シート全体のデカールの効果を均一化することができる。また、シートの先端部410aの巻き癖が低減することで、装置内の部品にひっかかることなく、シート410を搬送することができる。
【0055】
ところで、ロール状に巻かれたシートの外周部と内周部とでは、巻き癖の状態が異なる。すなわち、残りの印画可能なシートの枚数に応じて、シートの先端部410aの巻き癖の状態が異なる。そのため、シートの巻き癖の状態に合わせて、シートの往復搬送の回数を設定することが好ましい。この目的のため、印刷装置100の搬送機構は、シートの残量を測定する残量測定手段を有することが好ましい。残量測定手段の一例として、インクリボン420の残量を測定して、その残量から印画可能なシートの枚数を算出する手段がある。これにより、メインコントローラ201は残りの印画可能枚数に応じて往復搬送の回数を設定することができる。
【0056】
残量測定手段は、上記例に限らず様々なものを用いることができる。例えば、残量測定手段は、ロール状に巻かれたシートの径を測定し、当該径からシートの残量を計測する手段であっても良い。
【0057】
図14は往復回数の設定の一例を示している。このように、カートリッジ内で巻かれているシート410の残量が大いときに往復搬送回数を少なくすることが好ましい。これにより、シートの残量が少ないときと多いときとで、シートの巻き癖の矯正効果を均一にすることができる。
【0058】
シート往復搬送ステップS102が終わると、シート搬送ステップS103を行い、シートの先端部410aから図ってシート1枚分の長さに相当する位置が印画位置611に達するまで、シートを搬送する。上述のように、あらかじめシートの先端部410aを部分的にデカールすることによって、印画後のシートの巻き癖が均一化され、印画物(シート)の品質が向上する。
【0059】
次に印画動作について説明する。印画動作は、図9に示すフローチャートのインクリボン頭だしステップS903と、印画ステップとS904、リターンステップS905と、印画完了判定S906と、有する。
【0060】
インクリボン頭だしステップS903では、カートリッジ110に収納されているインクリボン420が巻き上げられる。インクリボン420は印刷装置100に具備されているインクリボン巻上げモータ217ならびに該モータに接続されたギア列を介して、巻き上げられる。
【0061】
ここで図15を用いてインクリボン420のマーカーの説明をする。図15において、インクリボン420には、イエローのインク面2402、マゼンタのインク面2403、シアンのインク面2404およびオーバーコート層2405の各面の頭出し位置に帯状にマーカー2401が塗布されている。マーカー2401は黒色の線であり、リボン頭だしセンサ207によって検知される。イエローのインク面2402の先頭部分にはマーカー2401が2本塗布されており、他の色の先頭部分を示すマーカー2401が1本であることと区別されている。これらの区別は、リボン頭出しセンサ207において識別され、識別結果がメインコントローラ201に送信される。これにより、メインコントローラ201は、最初に印画するイエローのインク面2402の頭だし位置を認識することができる。
【0062】
リボン頭出しセンサ207がイエローのインク面2402に対するマーカー2401を検知すると、メインコントローラ201はインクリボン巻上げモータ217を停止する。これにともない、サーマルヘッド227の昇降を行うヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を印画位置611まで移動させる。
【0063】
サーマルヘッド227は、印刷装置100のベースフレームにヘッドレバー612を介して回動可能に配されている。ヘッドアップダウンモータ219は、ヘッドレバー612を駆動してサーマルヘッド227を印画位置611まで回動させる。サーマルヘッド227が印画位置611に到達すると、グリップローラ604bによりシート410を送り、イエロー、マゼンタ、シアン、オーバーコート層の順にインクを重ねて転写する。このとき、シート410は巻き戻される方向に送られる。
【0064】
印画中に行なわれる検出動作の一例として、インクリボン420の残量の検出がある。図16(a)は、インクリボンユニット402の模式図であり、インクリボン420とボビンと駆動用のジョイントとの関係を示している。インクリボンユニット402は、未仕様のインクリボン420が巻かれている供給側のボビン301と、使用済みのインクリボンが巻かれる巻き取り側のボビン302と、を有する。各々のボビン301,302は、ジョイント部303,304によって、回転自在に保持される。
【0065】
図16(b)は、供給側のボビン301の一部を拡大した斜視図である。インクリボンの残量検知は、供給側のボビン301の回転数を計測することによって行なわれる。供給側のジョイント部303には、回転数を計測するために、スリット305を設けた円盤306が取り付けられている。円盤306は、ジョイント部303と一体に回転する。円盤306に設けたスリット305を検出可能な場所に、透過型のフォトセンサ307が配置されている。フォトセンサ307は、円盤306に設けられたスリット305によって、光の透過状態および遮蔽状態を検出する。そして、単位時間あたりのパルスを数えることによって、供給側のジョイント部303の回転速度が算出される。
【0066】
印画中の供給側のジョイント部303の回転速度の変化を、図17(a)および図17(b)を用いて説明する。印画中のインクリボン420の搬送速度Vは一定である。このため、ボビン301,302に巻かれたインクリボン420の最外周の周速も一定である。このため、図17(a)に示すように、供給側のボビン301に巻かれたインクリボン420の径が大きいとき、供給側のボビン301の回転速度は遅い。一方、図17(b)に示すように、供給側のボビン301に巻かれたインクリボンの径が小さいとき、供給側のボビン301の回転速度は速くなる。この回転速度の差を用いて、インクリボン420の残量を検知することができる。
【0067】
また、本実施形態のように、一体型のカートリッジの場合、インクリボン420とロール状に巻かれたシート410の残量(残りの印画可能枚数)は等しい。したがって、インクリボン420の残量から、シート410の残量を算出することが可能である。
【0068】
また、巻き取り側のジョイント部304の回転速度を計測することによっても、同様に、インクリボン420の残量を算出することができる。さらに、インクリボンの残量の算出は、上記方法によらず様々な方法を用いることができる。
【0069】
シート410への印画が完了すると、ヘッドアップダウンモータ219が駆動し、ヘッドレバー612を回動させ、サーマルヘッド227を所定の位置に退避させる。また、このとき、インクリボン420を少し巻き上げて、インクリボン420のたるみをとることが好ましい。
【0070】
印画完了後、所望の距離だけシート410を搬送し、シート410を切り離した後、シート410排出する。これは、図9のフローチャートにおける、カット前搬送ステップS907、シートカットステップS908、排送ステップS909にあたる。
【0071】
カット前搬送ステップS907では、シート410が排送方向へ搬送される。このとき、シート410の印画領域と未印画領域との境界がカッターユニット710の切断位置にくるまで、シートが搬送される。本ステップにおいて、グリップローラ604bとピンチローラ604aはシート410を狭持したままであり、グリップローラ604bを所定量回転させることで、シート410が所定量搬送される。
【0072】
シートカットステップS908では、カッターユニット710によって、シート410が切断される。切断されたシート410は、排送ローラ606によって排送方向に搬送される(排送ステップS909)。ここで、カートリッジ110内に収納されたシート410と連結している方のシートの先端部も、排送方向に進む。この結果、印画済みのシートは、上流側から来た未印画のシートの先端部に押し出されて、装置外部に排出される。
【0073】
排送ステップS909の後、未印画のシート410は、巻き取られる(シート収納ステップS910)。これにより、シートがカートリッジ110内に収納されて、カートリッジ110が着脱可能な状態になる。
【0074】
シート収納ステップS910において、シートの巻き取りは、グリップローラ604bとローラ408とを回転させることで行なわれる。シート検出センサ206を用いて、シートが検出されない状態に変わるところまでシートを収納した後、さらに所定量、グリップローラ604bとローラ408を駆動することで精度よくシートをカートリッジ110に収納できる。
【0075】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。印刷装置100の構成は、第1の実施形態と同様である。図18には本実施形態の、印刷開始から印刷終了までのフローチャートが示されている。
【0076】
印刷開始の時点では、シートの先端部410aがカートリッジ110に収納されている。シート先端検出ステップS101は、第1の実施形態と同様に行われるため、その説明を省略する。
【0077】
シート先端検出ステップS101の後、シート往復搬送ステップS202を行う。本ステップにおいて、シートの搬送は、第1の実施形態と同様に行われる。ただし、本実施形態では、シート検出センサ206によって、搬送路620の曲部621にシート410が有るか無いかを検出しながら、シートを往復搬送する。シートの往復搬送にともない、シート検出センサ206は、複数回シートを検出することになる。このとき、シートを検出した時間間隔の変化によって、シートの先端部の巻き癖の矯正が完了したかを判定する(ステップS203)。
【0078】
ここで、シートの巻き癖の状態と、往復搬送に伴うシート検出の時間間隔の変化量と、の関係について説明する。図19は、搬送路620内の曲部621付近を示す断面図であり、搬送路620内のシートの状態を示している。巻き癖の大きいシート922は、巻き癖の小さいシート921と比較して、シートの先端部がシート検出センサ206側へ浮き上がってしまう。そのため、巻き癖の大きいシート922は、シート検出センサ206にたどり着くまでに必要な搬送距離が長くなる。
【0079】
次に、図20(a)を用いて、シート往復搬送ステップS202において、シートを巻き戻した後に再びシートを順方向(排送する方向)に搬送し始めた時から、シート検出センサ206がシートを検出する時までの時間について説明する。図20(a)では、巻き癖の大きいシート922または巻き癖の小さいシート921を搬送した際の、シート検出の様子を示している。上述のように、巻き癖の大きいシート922では、シート検出までの搬送距離が長くなるため、シート検出までの時間は長い。一方、巻き癖の小さいシート921では、シート検出までの時間は短い。このように、往復搬送を繰り返し、シートの巻き癖が小さくなるとともに、シート検出の時間は短くなっていく。さらに、図20(b)に示すように、往復搬送の繰り返し回数が増えていくと、シートの巻き癖が矯正され、それ以上の矯正効果がなくなっていき、シート検出までの時間が変化しなくなる。この時間の変化がなくなった時点で、巻き癖の矯正が完了したと判定(ステップS203)することができる。
【0080】
上記のように、シートの先端部が曲部621を通過したことを検出した第1の時間を記憶した後、シートを巻き戻して、再びシートを搬送する。その後、シートの先端部が曲部621を通過したことを検出した第2の時間を記憶し、第1および第2の時間を比較することで、シートの先端部付近の巻き癖の矯正が終了したか否かを判定することができる。第1および第2の時間は、記憶手段230によって記憶される。
【0081】
巻き癖矯正の判定S203により、巻き癖の矯正が完了したと判定されると、シート搬送ステップS103を行う。シート搬送ステップS103以降の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0082】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について、説明する。印刷装置100の構成は第1の実施形態と同様である。図21には、本実施形態において、シートの印刷開始から印刷終了までのフローチャートが示されている。
【0083】
図21の印刷開始の時点では、シートの先端部410aがハウジング111に収納されている。シート先端検出ステップS101は、第1の実施形態と同様であり、その説明を省略する。
【0084】
シート先端検出ステップS101の後、巻き癖を矯正するために、所定量シートを送る(シート送りステップS302)。このとき、シートの先端部410a付近が、搬送路620の曲部621によって曲げられた状態になるまで、シート410を搬送する(図10参照。)。この状態で、シートの搬送を所定の時間停止する(搬送停止ステップS303)。
【0085】
このように、シートの搬送を停止して、シートの屈曲状態を維持することによって、シートの巻き癖を矯正する効果を向上させる。そして、シートの先端部410a付近の所定の領域が、搬送路620の曲部621を通過するまで、シート送りステップS302と搬送停止ステップS303とを繰り返す。このように、シートは所定の回数停止し、シートの先端部410a付近の巻き癖の矯正を効果的に行う。このように、断続的にシートを停止させながら搬送する工程は、シートの先端部410aが、搬送方向下流側のプラテンローラ605とサーマルヘッド227との間に狭持されるまで行うことが好ましい。このように、予めシートの先端部410aの巻き癖を矯正することで、シート全体の巻き癖の均一化を図ることができる。
【0086】
搬送の時刻と搬送速度との関係の一例が図22に示されている。図22では、モータの駆動速度によって搬送の速度が間接的に示されている。図22に示すように、断続的にシートを搬送することにより、シートの先端部410a付近の巻き癖が効果的に強制される。これにより、シートが装置本体内の部品にひっかかることなく、シートを搬送することができる。
【0087】
また、第1の実施形態と同様に、シートの残量(残りの印画枚数)に応じて、シートの搬送を制御することが好ましい。図23(a)には、シートを停止した回数の一例が示されており、図23(b)には、シートの停止時間の一例が示されている。このように、シートの残量が少ないほど、シートの停止時間もしくは停止回数を増やすように設定する。これによって、ハウジング111内で巻かれたシートの径が大きいときと、シートの径が小さいときとで、巻き癖の矯正効果が同等になるように設定されている。
【0088】
シートの停止回数が設定値に達するかどうか判断し(ステップS304)、設定値に達した場合には、シート搬送ステップS103を行う。シート搬送ステップS103以降のステップは、第1の実施形態と同様である。
【0089】
第3の実施形態では、シートの先端部410aを搬送路620の曲部621で停止させたが、完全に停止させず、搬送路620の曲部621をゆっくり搬送させても良い。結果的に、シートの先端部410aが曲部621を通過する合計時間が、シートが引き出された部分の長さ方向の中央部が曲部を通過する合計時間よりも大きくなれば良い。
【0090】
以上、本発明の望ましい実施形態について提示し、詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更及び修正が可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0091】
100 印刷装置
201 メインコントローラ
410 シート
410a シートの先端部
620 搬送路
621 曲部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたシートを引き出して搬送し、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路を有する搬送機構において、
前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御する制御部と、を有することを特徴とする、搬送機構。
【請求項2】
前記制御部は、前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の時間停止するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の搬送機構。
【請求項3】
前記制御部は、前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の回数停止するように制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の搬送機構。
【請求項4】
前記制御部は、前記シートの先端部が前記曲部を少なくとも1回往復するように制御することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送機構。
【請求項5】
前記搬送路の前記曲部を通過する前記シートの先端部を検出するシート検出センサと、前記シート検出センサが前記シートの先端部を検出した時間を記憶する記憶手段と、をさらに有し、
前記制御部は、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出した第1の時間と、前記シートを巻き戻した後、再び前記シートを搬送して、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出した第2の時間と、を比較して、前記シートの先端部付近の巻き癖の矯正が終了したか否かを判定することを特徴とする、請求項4に記載の搬送機構。
【請求項6】
前記シートの残量を測定する残量測定手段をさらに有し、
前記シートの残量が少なくなるにつれて、前記制御部は、前記シートの先端部が前記曲部を通過する前記回数または前記合計時間を大きくすることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送機構。
【請求項7】
前記残量測定手段は、前記ロール状に巻かれたシートの径を測定し、前記径から前記シートの残量を計測する手段であることを特徴とする、請求項6に記載の搬送機構。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の搬送機構を有し、前記搬送機構が搬送するシートに記録を行う記録装置。
【請求項9】
前記シートにインクを記録するためのインクリボンと、前記曲部よりも搬送方向の上流側に配され、前記シートを挟持する一対のローラと、前記曲部よりも搬送方向の下流側に配され、前記インクリボンおよび前記シートを挟持しながら記録を行うためのサーマルヘッドおよびプラテンローラと、を有する、請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記シートにインクを記録するためのインクリボンと、前記インクリボンおよびロール状に巻かれた前記シートを収納するカートリッジと、を有し、
前記インクリボンの残量から、前記シートの残量を測定する手段を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の記録装置。
【請求項11】
ロール状に巻かれたシートを引き出して、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路にシートを搬送する搬送方法において、
前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御することを特徴とする、搬送方法。
【請求項12】
前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の時間停止するように制御することを特徴とする、請求項11に記載の搬送方法。
【請求項13】
前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の回数停止するように制御することを特徴とする、請求項11または12に記載の搬送方法。
【請求項14】
前記シートの先端部が前記曲部を少なくとも1回往復するように制御することを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載の搬送方法。
【請求項15】
前記シートを搬送して、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出し、検出した第1の時間を記憶するステップと、
前記シートを巻き戻した後、再び前記シートを搬送して、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出し、検出した第2の時間を記憶するステップと、
前記第1の時間と前記第2の時間とを比較して、前記シートの先端部付近の巻き癖の矯正が終了したか否かを判定するステップと、を有することを特徴とする、請求項14に記載の搬送方法。
【請求項16】
前記シートの残量を測定し、前記シートの残量が少なくなるにつれて、前記シートの先端部が前記曲部を通過する前記回数または前記合計時間を大きくすることを特徴とする、請求項11から15のいずれか1項に記載の搬送方法。
【請求項1】
ロール状に巻かれたシートを引き出して搬送し、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路を有する搬送機構において、
前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御する制御部と、を有することを特徴とする、搬送機構。
【請求項2】
前記制御部は、前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の時間停止するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の搬送機構。
【請求項3】
前記制御部は、前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の回数停止するように制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の搬送機構。
【請求項4】
前記制御部は、前記シートの先端部が前記曲部を少なくとも1回往復するように制御することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送機構。
【請求項5】
前記搬送路の前記曲部を通過する前記シートの先端部を検出するシート検出センサと、前記シート検出センサが前記シートの先端部を検出した時間を記憶する記憶手段と、をさらに有し、
前記制御部は、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出した第1の時間と、前記シートを巻き戻した後、再び前記シートを搬送して、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出した第2の時間と、を比較して、前記シートの先端部付近の巻き癖の矯正が終了したか否かを判定することを特徴とする、請求項4に記載の搬送機構。
【請求項6】
前記シートの残量を測定する残量測定手段をさらに有し、
前記シートの残量が少なくなるにつれて、前記制御部は、前記シートの先端部が前記曲部を通過する前記回数または前記合計時間を大きくすることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送機構。
【請求項7】
前記残量測定手段は、前記ロール状に巻かれたシートの径を測定し、前記径から前記シートの残量を計測する手段であることを特徴とする、請求項6に記載の搬送機構。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の搬送機構を有し、前記搬送機構が搬送するシートに記録を行う記録装置。
【請求項9】
前記シートにインクを記録するためのインクリボンと、前記曲部よりも搬送方向の上流側に配され、前記シートを挟持する一対のローラと、前記曲部よりも搬送方向の下流側に配され、前記インクリボンおよび前記シートを挟持しながら記録を行うためのサーマルヘッドおよびプラテンローラと、を有する、請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記シートにインクを記録するためのインクリボンと、前記インクリボンおよびロール状に巻かれた前記シートを収納するカートリッジと、を有し、
前記インクリボンの残量から、前記シートの残量を測定する手段を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の記録装置。
【請求項11】
ロール状に巻かれたシートを引き出して、前記シートが巻かれた方向と反対側に曲げられた曲部を含む搬送路にシートを搬送する搬送方法において、
前記シートの先端部が前記曲部を通過する回数または合計時間を、ロール状に巻かれた前記シートから引き出された部分の長さ方向の中央部が前記曲部を通過する回数または合計時間よりも大きくするように制御することを特徴とする、搬送方法。
【請求項12】
前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の時間停止するように制御することを特徴とする、請求項11に記載の搬送方法。
【請求項13】
前記シートの先端部付近が前記曲部で所定の回数停止するように制御することを特徴とする、請求項11または12に記載の搬送方法。
【請求項14】
前記シートの先端部が前記曲部を少なくとも1回往復するように制御することを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載の搬送方法。
【請求項15】
前記シートを搬送して、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出し、検出した第1の時間を記憶するステップと、
前記シートを巻き戻した後、再び前記シートを搬送して、前記シートの先端部が前記曲部を通過したことを検出し、検出した第2の時間を記憶するステップと、
前記第1の時間と前記第2の時間とを比較して、前記シートの先端部付近の巻き癖の矯正が終了したか否かを判定するステップと、を有することを特徴とする、請求項14に記載の搬送方法。
【請求項16】
前記シートの残量を測定し、前記シートの残量が少なくなるにつれて、前記シートの先端部が前記曲部を通過する前記回数または前記合計時間を大きくすることを特徴とする、請求項11から15のいずれか1項に記載の搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−20769(P2011−20769A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165680(P2009−165680)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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