説明

シートの搬送装置及び搬送方法

【課題】転写ロールの周面に配置された毎葉のシートを、一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するときに、走行方向の前後において該シート間に位置ズレを生じさせることなく該シートを移載することができるようにすること。
【解決手段】転写ロール22の周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉のシート41を、該転写ロール22の周面に対向して設置され、かつ一方向に走行するコンベアベルト31へと連続的に移載するシートの搬送装置10である。シート41が転写ロール22からコンベアベルト31に移載される位置において、転写ロール22の駆動によってコンベアベルト31を駆動させ、転写ロール22の周速とコンベアベルト31の走行速度とを機械的に同期させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの搬送装置及び搬送方法に関し、更に詳しくは転写ロールからコンベアベルトへシートを移載させるための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転写ロールの周面に保持された状態で移送される毎葉のシートを、該転写ロールに対向して配置されたコンベアベルト上に移載する技術が知られている。例えば本出願人は先に、吸収性物品の表面シートの製造方法を提案した(特許文献1参照)。この方法においては、カッターロール25及び転写ロール26を備えたカットスリップ装置24を用いて長尺帯状の不織布を毎葉のシート12に裁断する。裁断された毎葉のシート12は、転写ロール26から別のロール22に転写され、次いで別の長尺帯状の不織布11上に移載される。この方法によれば、各毎葉のシート12は、長尺帯状の不織布11上に所定の間隔をおいて移載されることになる。
【0003】
吸収性物品の表面シートではないが、長尺帯状のシートに、毎葉のシートを間欠的に配置してラミネート基材貼着フィルムを製造する技術が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−151678号公報
【特許文献2】特開2007−7985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の特許文献1に記載の製造方法によれば、各毎葉のシート12を、長尺帯状の不織布11上に所定の間隔をおいて移載することが可能である。しかし、長尺帯状の不織布11の駆動源と、毎葉のシート12を該不織布11に移載するためのロール22の駆動源が異なるため、不織布11の走行速度とロール22の周速が異なったものとなり、それに起因して、毎葉のシート12の移載位置にずれが生じる場合がある。
【0006】
特許文献2に記載の製造方法は、シートの位置を修正するために、CCDカメラを用いた大掛かりな装置を必要としているので、製造装置が複雑となり、製造経費が高くなってしまう。
【0007】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るシートの搬送装置及び搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、転写ロールの周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉のシートを、該転写ロールの周面に対向して設置され、かつ一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するシートの搬送装置であって、
前記シートが転写ロールからコンベアベルトに移載される位置において、転写ロールの駆動によってコンベアベルトを駆動させ、転写ロールの周速とコンベアベルトの走行速度とを機械的に同期させたシートの搬送装置を提供するものである。
【0009】
また本発明は、転写ロールの周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉のシートを、該転写ロールの周面に対向して設置され、かつ一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するシートの搬送方法であって、
前記シートが転写ロールからコンベアベルトに移載される位置において、転写ロールの駆動によってコンベアベルトを駆動させ、転写ロールの周速とコンベアベルトの走行速度とを機械的に同期させた状態下に、前記シートを転写ロールからコンベアベルトへ移載するシートの搬送方法を提供するものである。
【0010】
更に本発明は、転写ロールの周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉のシートを、該転写ロールの周面に対向して設置され、かつ一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するとともに、該コンベアベルトによって搬送されてきた別のシートと重ね合わせることで複合シートを製造する方法であって、
前記シートが転写ロールからコンベアベルトに移載される位置において、転写ロールの駆動によってコンベアベルトを駆動させ、転写ロールの周速とコンベアベルトの走行速度とを機械的に同期させた状態下に、前記シートを転写ロールからコンベアベルトへ移載して前記別のシートと重ね合わせる複合シートの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、転写ロールの周面に配置された毎葉のシートを、一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するときに、走行方向の前後において該シート間に位置ズレを生じさせることなく該シートを移載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のシート搬送装置の第1実施形態を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示すシート搬送装置を基本構造とする複合シートの製造装置を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明のシート搬送装置の第2実施形態を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明のシート搬送装置の第3実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明のシート搬送装置の第1実施形態が模式的に示されている。図1に示す搬送装置10は、ロータリーダイカッター21及び転写ロール22を具備する裁断部20を備えている。また搬送装置10は、シート搬送部30を備えている。以下、これらの部位についてそれぞれ説明する。
【0014】
裁断部20が具備しているロータリーダイカッター21は、図1中、矢印方向に回転するようになっている。ロータリーダイカッター21は、ロール本体21a及び該ロール本体21aの周面に配置された複数のカット刃21bを備えている。カット刃21bは、ロール本体21の軸線方向に伸びているストレート刃である。ロール本体21aの軸線方向からみたとき、各カット刃21bは、ロール本体21aの半径方向を基準として互いに90度離間して等間隔で配置されている。したがって本実施形態においては4個のカット刃21bを用いている。尤も、カット刃21bの数はこれに限られず1個ないし3個のいずれでもよく、あるいは5個以上でもよい。複数のカット刃21bを用いる場合、各カット刃21bの間隔は、等間隔でもよく、あるいはそうでなくてもよい。またカット刃21bはストレート刃に限られず、斜め刃やジグザグ刃などを用いることもできる。
【0015】
ロータリーダイカッター21に加えて、裁断部20は転写ロール22を備えている。転写ロール22はその軸線が、ロータリーダイカッター21の軸線と平行になるように配置されている。かつ転写ロール22は、その周面が、ロータリーダイカッター21のカット刃21bの先端と当接するか、又は所定のクリアランスをもって離間するような位置関係で配置されている。
【0016】
転写ロール22の周面には、多数の吸引孔(図示せず)が設けられている。各吸引孔は、転写ロール22内に形成されている導管(図示せず)に通じている。この導管は、真空ポンプ(図示せず)等の吸引源に接続されている。吸引源を起動させて吸引を行うと、転写ロール22の周面にシートを吸着させることができ、その吸着状態下に転写ロール22を回転させることが可能になる。
【0017】
本実施形態の搬送装置10は、裁断部20に加えてシート搬送部30を備えている。シート搬送部30は、一方向に走行するコンベアベルトを備えている。具体的には、図1中、矢印方向に周回する無端コンベアベルト31を備えている。コンベアベルト31はその表面が、裁断部20の転写ロール22の周面に当接するような位置関係で配置されている。また、コンベアベルト31は、その走行方向が、裁断部20の転写ロール22の回転方向と同方向になるように配置されている。
【0018】
コンベアベルト31を挟んで転写ロール22と対向する位置には、ニップロール32が設置されている。ニップロール32はその軸線が、転写ロール22の軸線と平行になるように設置されている。またニップロール32は、その周面がコンベアベルト31の裏面に当接するような位置関係で配置されている。
【0019】
シート搬送部30においては、周回するコンベアベルト31の内部に、吸引機構としてのサクションボックス33が設置されている。サクションボックス33は、コンベアベルト31の走行方向に関し、ニップロール32の設置位置よりも下流側に設置されている。またサクションボックス33は、その吸引面が、コンベアベルト31の裏面に対向するような位置関係で設置されている。サクションボックス33は、図示しない吸引源に接続されている。サクションボックス33は、コンベアベルト31によって搬送される搬送対象物を、該コンベアベルト31の表面に吸引固定する目的で用いられる。この目的のために、コンベアベルト31は通気性の素材から構成されていることが好ましい。そのような素材としては、例えば金属製又は合成樹脂製のメッシュベルト等を用いることができる。
【0020】
本実施形態の搬送装置10は、裁断部20における転写ロール22の周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉シートが、転写ロール22からコンベアベルト31に移載される位置、すなわち図1中、符号Aで示す位置において、転写ロール22の駆動によってコンベアベルト31を駆動させる点に特徴の一つを有する。具体的には、転写ロール22とニップロール32とでコンベアベルト31を挟持し、かつ転写ロール22とニップロール32とが同一駆動源(図示せず)によって駆動されるように構成されている。例えば、1つの電動機に取り付けられた回転シャフトによる回転力が回転ベルト等によって分岐されて、転写ロール22及びニップロール32に伝達されるようになっている。このような構成を採用することで、転写ロール22の周速とコンベアベルト31の走行速度とを機械的に同期させることが可能になる。その結果、転写ロール22の周面に配置された毎葉シートを、コンベアベルト31へと連続的に移載するときに、該コンベアベルト31の走行方向の前後において毎葉シート間に位置ズレを生じさせることなく該毎葉シートを移載することができる。
【0021】
本実施形態の搬送装置10の運転のしかたは具体的には次のとおりである。図1に示すように、裁断部20においては、ロータリーダイカッター21と転写ロール22との間に、例えば長尺帯状のシート40が供給されるようになっている。ロータリーダイカッター21と転写ロール22との間に供給されたシート40は、カット刃21bと転写ロール22の周面との挟圧によって幅方向にわたって裁断され、毎葉シート41となる。先に述べたとおり、転写ロール22の周面には吸引孔(図示せず)が設けられており、該吸引孔を通じてロール内部に向けての吸引が行われているので、長尺帯状のシート40が裁断されて形成された毎葉シート41は転写ロール22から脱落することなく、該ロール22の周面に保持された状態で搬送される。また本実施形態においては、各毎葉シート41は、転写ロール22の回転方向において前後して隣接する2枚の毎葉シート41の間に、間隙が実質的に存在していない状態で搬送される。
【0022】
転写ロール22によって搬送されてきた各毎葉シート41は、図1中、符号Aで示す位置においてコンベアベルト31に連続的に移載される。この場合、先に述べたとおり、転写ロール22の周速とコンベアベルト31の走行速度とは同速になっているので、コンベアベルト31上に移載された毎葉シート41は、該コンベアベルト31の走行方向の前後において、該毎葉シート41間に間隙が生じることはない。このように、本実施形態の搬送装置10を用いれば、転写ロール22の周面上での各毎葉シート41の間の間隔を確実に維持したままで、該毎葉シート41を転写ロール22からコンベアベルト31へと移載することができる。移載を一層円滑に行うため、転写ロール22からコンベアベルト31へ毎葉シート41を移載するときには、転写ロール22の内部から外部へ向けて空気を噴射して、転写ロール22の周面からの毎葉シート41の剥離を促進するようにすることが好ましい。この目的のために、先に述べたアンビロール22の吸引孔(図示せず)を利用することができる。具体的には、転写ロール22からコンベアベルト31へ毎葉シート41を移載するときに該吸引孔を高圧空気源(図示せず)に接続し、該高圧空気源から吸引孔へ向けて空気を送出すればよい。この操作を、先に述べたサクションボックス33による毎葉シート41のコンベアベルト31上への吸引保持と組み合わせることで、転写ロール22の周面から剥離した毎葉シート41の受け取りを一層確実にすることができる。
【0023】
コンベアベルト31上に移載された各毎葉シート41は、サクションボックス33による吸引によって、コンベアベルト31上に保持された状態で搬送され、次工程へ供給される。次工程においては、毎葉のシート41に対して各種の加工が行われる。そのような加工としては、例えば、毎葉シート41に薬液を含ませる工程、毎葉シート41にシールを行う工程、毎葉シート41を包装する工程等が挙げられる。
【0024】
以上の構成を有する本実施形態の搬送装置10は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品、発熱体シート、掃除用シート、化粧品シート等
の製造に好適に用いられる。
【0025】
図2には、本実施形態の変形例が示されている。同図は、図1に示すシート搬送装置10を基本構造とした複合シートの製造装置100を示すものである。製造装置100は、図1に示す搬送装置と同様に裁断部20及びシート搬送部30を備えている。裁断部20及びシート搬送部30の構成は、図1に示すシート搬送装置10と同様である。更に製造装置100は、裁断部20とシート搬送部30との間にピッチ変更部50を備えている。
【0026】
ピッチ変更部50は転写ロール22を備えている。転写ロール22は、裁断部20のアンビルロール51と同様に、その周面に多数の吸引孔(図示せず)が設けられており、該周面に毎葉シート41を吸引保持できるようになっている。
【0027】
図2に示す製造装置100においては、図1に示す搬送装置10と異なり、裁断部20がロータリーダイカッター21及びアンビルロール51を具備している。コンベアベルト31は転写ロール22とニップロール32とで挟持されている。また転写ロール22とニップロール32とが同一駆動源(図示せず)によって駆動されるように構成されている。このような構成を採用することで、図1に示す搬送装置10と同様に、転写ロール22の周速とコンベアベルト31の走行速度とを同速にさせることが可能になる。
【0028】
上述のとおり、製造装置100においては、転写ロール22とニップロール32とが同一駆動源によって駆動されるように構成されているところ、裁断部20のアンビルロール51は、転写ロール22及びニップロール32と同一駆動源によって駆動されるように構成されていてもよく、あるいは別の駆動源によって駆動されるように構成されていてもよい。
【0029】
製造装置100においては、裁断部20に備えられたロータリーダイカッター21及びアンビルロール51の周速は同速に設定されている。これに対して、ピッチ変更部に備えられた転写ロール22の周速は、ロータリーダイカッター21及びアンビルロール51の周速よりも高速に設定されている。周速をこのように設定することで、搬送方向の前後において隣り合う毎葉シート41間のピッチを変更することができる。ここで言うピッチとは、搬送方向の前後において隣り合う毎葉シート41における搬送方向中央部間の距離である。具体的な運転のしかたは次のとおりである。
【0030】
図2に示すように、長尺帯状のシート40を裁断部20のロータリーダイカッター21とアンビルロール51との間に供給し、該シート40をその幅方向にわたって裁断して毎葉シート41となす。毎葉シート41は、アンビルロール51の周面に吸引保持された状態で搬送される。この状態においては、搬送方向の前後において隣り合う毎葉シート41の間には間隙が実質的に存在していない。
【0031】
アンビルロール51によって搬送されてきた毎葉シート41は、次いで転写ロール22へ移載される。移載を円滑に行うため、アンビルロール51から転写ロール22への毎葉シート41の移載位置(図2中、符号Bで示す位置)においては、アンビルロール51の周面に設けられた吸引孔(図示せず)から空気を外方へ向けて噴出させ、アンビルロール51の周面からの毎葉シート41の剥離を促進するようにすることが好ましい。一方、転写ロール22は、Bの位置において、その周面に設けられた吸引孔(図示せず)を通じてロール内部へと空気を吸引して、アンビルロール51の周面から剥離した毎葉シート41の受け取りを確実にするようにすることが好ましい。
【0032】
アンビルロール51から転写ロール22への毎葉シート41の移載においては、アンビルロール51の周速V1に対して、転写ロール22の周速V2の方が大きくなっていることに起因して(すなわちV1<V2)、転写ロール22へ連続的に移載される毎葉シート41の間には間隙が生じる。つまり、搬送方向の前後において隣り合う毎葉シート41間のピッチが広がり、ピッチが変更される。そして、転写ロール22においては、各毎葉シート41は、搬送方向の前後において隣り合う毎葉シート41間に一定の間隙を有した状態で搬送される。
【0033】
転写ロール22の周面に搬送されてきた各毎葉シート41は、図2中、符号Aで示される位置において、コンベアベルト31へ移載される。この場合、転写ロール22とニップロール32とが同一駆動源(図示せず)によって駆動されるように構成されているので、各毎葉シート41の移載の前後における各毎葉シート41間のピッチが維持される。
【0034】
図2に示すように、製造装置100においては、通気性を有し、かつ長尺帯状のベースシート42がコンベアベルト31によって搬送されている。したがって、転写ロール22から移載されてきた毎葉シート41は、このベースシート42上に重ね合わされる。ベースシート42上に移載される各毎葉シート41間のピッチP1は、転写ロール22の周面上に吸引保持されている各毎葉シート41間のピッチと同じになっている。
【0035】
このようにして、ベースシート42上に複数の毎葉シート41が所定のピッチP1で間欠配置されてなる複合シート43が得られる。この状態では、ベースシート42と毎葉シート41とは非接合状態になっているので、下流の次工程において両シート41,42を接合してもよい。あるいは、毎葉シート41がベースシート42上に移載されるときに両シート41,42を接合してもよい。後者の場合には、例えば転写ロール22によって搬送されている状態の毎葉シート41の外面に接着剤を塗布することによって、移載時に両シート41,42を接合することができる。
【0036】
このようにして得られた複合シートは、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成部材(表面シート等)、発熱体シートの構成部材(通気シート)等として好適に用いられる。
【0037】
次に、本発明の第2及び第3の実施形態について、図3及び図4を参照しながら説明する。これらの実施形態については、先に述べた図1及び図2に示す実施形態と異なる点について主として説明し、特に説明しない点については、図1及び図2に示す実施形態の説明が適宜適用される。また図3及び図4において、図1及び図2と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0038】
図3に示す搬送装置10は、図1に示す搬送装置と同様にロータリーダイカッター21及び転写ロール22を具備する裁断部20を備えている。しかし、シート搬送部30にニップロールは設けられていない。また、転写ロール22の構造が、図1に示す搬送装置の転写ロールと相違している。更に搬送部30におけるコンベアベルト31の構造も相違している。具体的には以下のとおりである。
【0039】
図3に示す搬送装置10における転写ロール22は、その幅方向の一部に、その周方向にわたって凹凸部22aを有している。詳細には、転写ロール22は、その幅方向の左右の側部に、その周方向にわたってギア歯からなる凹凸部22aを有している。一方、コンベアベルト31は、転写ロール22の凹凸部22aに対向する位置に、該コンベアベルト31の走行方向(図3中、矢印Dで示す方向)に延び、かつ凹凸部22aに噛み合う凹凸部31aを有している。コンベアベルト31の凹凸部31aは、該コンベアベルト31の幅方向の左右の側部に設けられている。この凹凸部31aは、ラック(直線歯車)の形状をしている。転写ロール22の凹凸部22aとコンベアベルト31の凹凸部31aとは、互いに噛み合い形状になっている。
【0040】
本実施形態の搬送装置10においては、転写ロール22の凹凸部22aとコンベアベルト31の凹凸部31aとを噛み合わせた状態下に、転写ロール22を回転させる。この回転力が、互いに噛み合っている凹凸部22a,31aを介してコンベアベルト31に伝達され、該コンベアベルト31が走行するようになっている。このように、本実施形態においても、毎葉シート41が転写ロール22からコンベアベルト31に移載される位置(図3中、符号Aで示される位置)において、転写ロール22の駆動によってコンベアベルト31を駆動させている。その結果、転写ロール22の周速とコンベアベルト31の走行速度とが機械的に同期する。したがって、転写ロール22の周面に配置された毎葉シート41を、コンベアベルト31へと連続的に移載するときに、走行方向の前後において該毎葉シート41間に位置ズレを生じさせることなく該毎葉シート41を移載することができる。
【0041】
なお、図3に示す搬送装置10においては、転写ロール22に設けられた凹凸部22aは、該ロール22の幅方向の左右の側部に位置しているが、凹凸部22aを設ける位置はこれに限られず長尺帯状シート40の搬送や該シート40の裁断を妨げない位置であれば、どの位置でもよい。また、図示されていないが、コンベアベルト31の内部には、図1に示すサクションボックス33と同様の吸引機構が、同図に示す位置に設置されている。
【0042】
図4に示す搬送装置10は転写ロール22及びコンベアベルト31の構造が、図3に示す搬送装置と相違している。具体的には、図4に示す搬送装置10における転写ロール22は、その幅方向の一部に、その周方向にわたって複数の突起部22bを有している。詳細には、転写ロール22は、その幅方向の左右の側部に、その周方向にわたって突起部22bが所定間隔をおいて配列されている。一方、コンベアベルト31は、転写ロール22の突起部22bに対向する位置に、該コンベアベルト31の走行方向(図4中、矢印Dで示す方向)に延び、かつ突起部22bが挿入される多数の孔部31bを有している。各孔部31bは、該コンベアベルト31の幅方向の左右の側部に設けられている。また各孔部31bは、コンベアベルト31の走行方向に沿って列状に配置されている。転写ロール22の各突起部22bは、コンベアベルト31の各孔部31b内に挿入可能になっている。
【0043】
本実施形態の搬送装置10においては、転写ロール22の突起部22bをコンベアベルト31の孔部31bに挿入した状態下に、転写ロール22を回転させる。この回転力がコンベアベルト31に伝達され、該コンベアベルト31が走行するようになっている。このように、本実施形態においても、毎葉シート41が転写ロール22からコンベアベルト31に移載される位置(図4中、符号Aで示される位置)において、転写ロール22の駆動によってコンベアベルト31を駆動させている。その結果、転写ロール22の周速とコンベアベルト31の走行速度とが機械的に同期するので、走行方向の前後において該毎葉シート41間に位置ズレを生じさせることなく該毎葉シート41をコンベアベルト31へ移載することができる。
【0044】
なお、図4に示す搬送装置10においては、転写ロール22に設けられた突起部22bは、該ロール22の幅方向の左右の側部に位置しているが、突起部22bを設ける位置はこれに限られず長尺帯状シート40の搬送や該シート40の裁断を妨げない位置であれば、どの位置でもよい。また、図示されていないが、コンベアベルト31の内部には、図1に示すサクションボックス33と同様の吸引機構が、同図に示す位置に設置されている。
【0045】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記の実施形態に制限されない。例えば図3及び図4に示す実施形態の搬送装置を基本構造として用い、図2に示すような複合シートの製造装置に適用してもよい。
【0046】
また、図1に示す実施形態のコンベアベルトの駆動機構と、図3又は図4に示す実施形態のコンベアベルトの駆動機構とを組み合わせてもよい。
【0047】
また、図2に示す製造装置100においては、通気性のベースシート42上に、毎葉シート41に移載したが、これに代えて非通気性のベースシート上に毎葉シート41を移載してもよい。この場合、ベースシート42を介しての毎葉シート41の吸引固定ができないので、この吸引固定に代えて、毎葉シート41におけるベースシート42との対向面又はベースシート42における毎葉シート41との対向面に接着剤を塗布することによって、該毎葉シートをベースシート上に固定することができる。毎葉シート41のベースシート42への接着は、移載後すぐに、又は移載時に行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
10 シートの搬送装置
20 裁断部
21 ロータリーダイカッター
22 転写ロール
22a 凹凸部
22b 突起部
30 シート搬送部
31 コンベアベルト
31a 凹凸部
31b 孔部
33 サクションボックス
40 長尺帯状のシート
41 毎葉のシート
50 ピッチ変更部
51 アンビルロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写ロールの周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉のシートを、該転写ロールの周面に対向して設置され、かつ一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するシートの搬送装置であって、
前記シートが転写ロールからコンベアベルトに移載される位置において、転写ロールの駆動によってコンベアベルトを駆動させ、転写ロールの周速とコンベアベルトの走行速度とを機械的に同期させたシートの搬送装置。
【請求項2】
コンベアベルトを挟んで転写ロールと対向する位置にニップロールを設置して、該ニップロールと該転写ロールとで該コンベアベルトを挟持し、該ニップロールと該転写ロールとが同一駆動源によって駆動されるように構成されている請求項1に記載のシートの搬送装置。
【請求項3】
コンベアベルトに移載された前記シートを該コンベアベルトの表面に固定するための吸引機構を有する請求項1又は2に記載のシートの搬送装置。
【請求項4】
転写ロールが、その幅方向の一部に、その周方向にわたって凹凸部を有し、
コンベアベルトが、転写ロールの前記凹凸部に対向する位置に、該コンベアベルトの走行方向に延び、かつ前記凹凸部に噛み合う凹凸部を有し、
転写ロールの前記凹凸部とコンベアベルトの前記凹凸部とを噛み合わせた状態下に、転写ロールの回転によってコンベアベルトを走行させるようにした請求項1に記載のシートの搬送装置。
【請求項5】
転写ロールが、その幅方向の一部に、その周方向にわたって複数の突起部を有し、
コンベアベルトが、転写ロールの前記突起部に対向する位置に、該コンベアベルトの走行方向に延び、かつ前記突起部が挿入される孔部を複数有し、
転写ロールの前記突起部をコンベアベルトの前記孔部に挿入した状態下に、転写ロールの回転によってコンベアベルトを走行させるようにした請求項1に記載のシートの搬送装置。
【請求項6】
転写ロールの周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉のシートを、該転写ロールの周面に対向して設置され、かつ一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するシートの搬送方法であって、
前記シートが転写ロールからコンベアベルトに移載される位置において、転写ロールの駆動によってコンベアベルトを駆動させ、転写ロールの周速とコンベアベルトの走行速度とを機械的に同期させた状態下に、前記シートを転写ロールからコンベアベルトへ移載するシートの搬送方法。
【請求項7】
転写ロールの周面に配置された1枚又は2枚以上の毎葉のシートを、該転写ロールの周面に対向して設置され、かつ一方向に走行するコンベアベルトへと連続的に移載するとともに、該コンベアベルトによって搬送されてきた別のシートと重ね合わせることで複合シートを製造する方法であって、
前記シートが転写ロールからコンベアベルトに移載される位置において、転写ロールの駆動によってコンベアベルトを駆動させ、転写ロールの周速とコンベアベルトの走行速度とを機械的に同期させた状態下に、前記シートを転写ロールからコンベアベルトへ移載して前記別のシートと重ね合わせる複合シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−91918(P2012−91918A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241705(P2010−241705)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】