説明

シートカット装置、シートカット方法およびシートカット装置の制御プログラム

【課題】本発明は、搬送速度に追随しながら、基材形状に合わせてカットすることができるシートカット装置、シートカット方法およびシートカットプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】所定寸法の基材3とシート材1とを貼り合わせたラミネート状部材27を形成し、ラミネート状部材27における基材3間のシート材1を切断するシートカット装置Uにおいて、搬送される基材3またはシート材1の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出手段6と、検出手段6によって検出された搬送速度に対応させて、ラミネート状部材27における基材3間のシート材1を切断する切断部7,8,9,10を移動させる移動手段11,12とを備えることを特徴とする構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する基材の間のシート材を切断するシートカット装置、シートカット方法およびシートカット装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定寸法の基材とウエブ状のフィルム等のシート材とをラミネートし、フィルムを基材片面に接着させ、フィルムと貼り合わせたラミネート品を形成(ラミネートされた基材は連結した状態)し、これを所定寸法にフィルムを切断する装置において、従来は、ラミネート後のフィルムの切断は汎用的に使用されるギロチン、ロータリシャー、フライングカッター、あるいは人手によりカッター等の刃物で切断していた。
【0003】
しかし、ギロチンは、連続搬送される基材に対して、カットできないため、間欠的にカットすることになり、非効率である。さらに、フィルムに接着剤を塗布する工程と、基材を貼り合わせるラミネート工程とをインライン化する場合には、その後工程にあたるカット工程で、ギロチンなどを用いて一時停止してカットすると、接着剤の塗布ムラとなるため、アキュームなどの機構が必要となる。また、アキュームなどを用いた場合でも、基材との貼り合せ時間の変動による接着不良を生じる可能性がある。
【0004】
そこで、フィルムに接着剤を塗布する工程と、基材を貼り合わせるラミネート工程とをインライン化する場合には、後工程にあたるカット工程で、連続カット可能な装置の使用が望ましく、そのような装置として、ロータリシャー、フライングカッターなどがある。
【0005】
ロータリシャー25は、ロール状の切断部(カッター、プレス)が連続搬送されるフィルム20であるシート材を搬送速度と同期して(センサ23および24によって検知する)切断する装置であり、搬送中の基材に追従、連続的にカット可能であるが、基材と刃との干渉を防ぐため、基材隙間を狭めてフィルムを切断することができなかった。すなわち、ロータリシャー25の回転半径が隣接する基材間の寸法(一例として数ミリメートル)に比べて大きいので、ロータリシャー25の刃によってフィルムが切断される前に切断部分前後のフィルムを傷つけてしまうことがあった。また、バリ(基材からはみ出たフィルム)が駆動ローラに巻き込まれてしまうというトラブルも発生していた(図6(A)参照)。
【0006】
フライングカッターは、ボールねじ、チェーンなどの切断とカット部28(カッターなど)で構成され、カット部が連続搬送されるフィルム27、シート材とある角度(旋回角度(切断軸29との角度))をもって、フィルム27、シート材の搬送速度と一定比率で送り切断する装置であり、一定速度で搬送された基材に対しては追従し、連続的にカット可能であるが、カット中の速度変動までは追従できないため、この場合に、所定寸法を得られないカット不良(基材端面から所定寸法をおいた位置をカットできない)、カット寸法のばらつき、あるいは、切断面の不良などカット精度低下の問題が発生していた(図6(B)参照)。
【0007】
他に、シート材を支持可能にする、通気性を具備する支持テーブルと、この支持テーブル下方に設けられた吸引装置と、支持テーブル上方に設けられたカット部と、カット部を平面移動させる移動手段とを有したものがある(例えば、特許文献1参照)。特に、シート材の支持テーブルはベルトコンベアに置換え可能であり、カット部を平面移動させる手段が、ベルトコンベアの搬送速度に同期する場合においては、連続的に切断可能である。
【特許文献1】特許番号第2966409号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、カット部に対応して、支持テーブル下方に設けられた吸引装置は、ブロア等が必要であり、設備が大型化することおよび吸引することによるランニングコストが高くなるという問題がある。
【0009】
また、寸法精度の良好な製品を得るため、基材端面からの切断距離などのカット精度を向上しなければならず、カット中の搬送速度の変化に追従する必要がある。
【0010】
そこで、本発明は上記事情を考慮してなされたもので、搬送速度に追随しながら、基材形状に合わせてカットすることができるシートカット装置、シートカット方法およびシートカットプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0012】
すなわち、請求項1に係る発明は、所定寸法の基材(3)とシート材(1)とを貼り合わせたラミネート状部材(27)を形成し、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断するシートカット装置(U)において、搬送される前記基材(3)または前記シート材(1)の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出手段(6)と、前記検出手段(6)によって検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断する切断部(7,8,9,10)を移動させる移動手段(11,12)と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のシートカット装置(U)において、前記移動手段(11,12)は前記切断部(7,8,9,10)を前記搬送速度とおおよそ同じ速度で、前記ラミネート状部材(27)の搬送方向へ移動させることを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のシートカット装置(U)において、前記切断部(7,8,9,10)には回転刃(7)が取り付けられ、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)は回転する前記回転刃(7)によって切断されることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項4に係る発明は、請求項3に記載のシートカット装置(U)において、前記移動手段(11,12)には、切断方向スライダー部(11)と走行方向スライダー部(12)が含まれ、前記切断部(7,8,9,10)は前記ラミネート状部材(27)の搬送方向とおおよそ垂直な方向へ移動する前記切断方向スライダー部(11)に固定されており、前記切断方向スライダー部(11)は前記ラミネート状部材(27)の搬送方向に移動する前記走行方向スライダー部(12)に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項5に係る発明は、請求項4に記載のシートカット装置(U)において、前記走行方向スライダー部(12)および前記切断方向スライダー部(11)は、前記基材(3)の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って前記切断部(7,8,9,10)を移動させることを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項6に係る発明は、請求項5に記載のシートカット装置(U)において、前記走行方向スライダー部(12)の走行方向の速度と前記切断方向スライダー部(11)の切断方向の速度との比を変更することにより前記基材(3)の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って前記シート材(1)を切断することを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項7に係る発明は、所定寸法の基材(3)とシート材(1)とを貼り合わせたラミネート状部材(27)を形成し、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断するシートカット切断方法において、搬送される前記基材(3)または前記シート材(27)の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出工程と、前記検出工程において検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断する切断部(7,8,9,10)を移動させる移動工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項8に係る発明は、所定寸法の基材(3)とシート材(1)とを貼り合わせたラミネート状部材(27)を形成し、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断するシートカット装置(U)に含まれるコンピュータを、搬送される前記基材(3)または前記シート材(1)の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出手段(6)、前記検出手段(6)によって検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断する切断部(7,8,9,10)を移動させる移動手段(11,12)、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、所定寸法の基材(3)とシート材(1)とを貼り合わせたラミネート状部材(27)を形成し、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断するシートカット装置(U)において、搬送される前記基材(3)または前記シート材(1)の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出手段(6)と、前記検出手段(6)によって検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断する切断部(7,8,9,10)を移動させる移動手段(11,12)とを備えるので、フィルムに接着剤を塗布する工程と、基材を貼り合わせるラミネート工程とをインライン化する場合には、その後工程にあたるカット工程で、一時停止してカットすると、接着剤塗布工程、ラミネート工程においてトラブルが発生する可能性があるが、この発明の構成によれば連続的なカットが可能になった。
【0021】
また、搬送速度に対応(搬送速度とおおよそ同じ、または搬送速度の変化に追随する)させて切断部が移動するので、切断部に対応したブロア等の吸引装置が必要なくなり、設備が小型化することが可能になり、またブロア等のために吸引する必要がなくなったのでランニングコストが小さくなった。
【0022】
さらに、カット中の搬送速度の変化に追従することが可能になったので、寸法精度の良好な製品を得られるようになり、カット精度を向上することができるようになった。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のシートカット装置(U)において、前記移動手段(11,12)は前記切断部(7,8,9,10)を前記搬送速度とおおよそ同じ速度で、前記ラミネート状部材(27)の搬送方向へ移動させるので、カット中の搬送速度が早い場合における搬送速度の微少な変化にも追従することが可能となった。そして、シート材のカット寸法精度が一層良好な製品を得られるようになり、カット精度を向上することができるようになった。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載のシートカット装置(U)において、前記切断部(7,8,9,10)には回転刃(7)が取り付けられ、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)は回転する前記回転刃(7)によって切断されるので、隣接する基材間の距離が小さい場合であっても、基材と切断刃との干渉が無いので基材を損傷させることなく基材間のシート材を切断することが可能になった。また、回転刃によって構成されているので、ロータリシャーの場合のようにバリ(基材からはみ出たシート材)が駆動ローラに巻き込まれるトラブルが発生しなくなった。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載のシートカット装置(U)において、前記移動手段(11,12)には、切断方向スライダー部(11)と走行方向スライダー部(12)が含まれ、前記切断部(7,8,9,10)は前記ラミネート状部材(27)の搬送方向とおおよそ垂直な方向へ移動する前記切断方向スライダー部(11)に固定されており、前記切断方向スライダー部(11)は前記ラミネート状部材(27)の搬送方向に移動する前記走行方向スライダー部(12)に取り付けられているので、切断方向と走行方向との速度を別々に制御することが可能になり、シート材の切断制御が容易になった。また、搬送方向の搬送速度とおおよそ同じ速度で走行方向スライダー部が移動するので、切断方向スライダー部を一定速度(若しくは速度を変化させてもよい)で切断方向へ移動させればシート材を搬送方向と直角に容易に、精度よく、かつ切断面をきれいに切断することが可能となる。また、シート材の切断面をよりきれいにするためには切断方向スライダー部の移動速度を遅くすることで、シート材切断面をよりきれいにすることが可能になる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載のシートカット装置(U)において、前記走行方向スライダー部(12)および前記切断方向スライダー部(11)は、前記基材(3)の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って前記切断部(7,8,9,10)を移動させるので、基材の寸法精度が良好でない場合には搬送中の基材寸法がばらつき、一定にならない可能性があるが、これに対しても前記切断方向スライダー部は前記ラミネート状部材の搬送方向に移動する前記走行方向スライダー部の速度を調整することによって連続カット中に搬送中の基材形状に追従することができるので、カット精度を向上することができるようになった。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載のシートカット装置(U)において、前記走行方向スライダー部(12)の走行方向の速度と前記切断方向スライダー部(11)の切断方向の速度との比を変更することにより前記基材(3)の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って前記シート材(1)を切断するので、走行方向スライダー部の走行方向の速度と前記切断方向スライダー部の切断方向の速度との比を一定とすることによって、シート材の搬送方向に特定の角度を持つ基材の搬送方向前端および/または搬送方向後端と平行にシート材を切断することが可能となる。また、走行方向スライダー部の走行方向の速度と前記切断方向スライダー部の切断方向の速度との比を変化させることで、基材の搬送方向前端および/または搬送方向後端が自由曲線を有する場合にも、基材の搬送方向前端および/または搬送方向後端の自由曲線に沿って搬送中のシート材を精度よく切断することが可能となった。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、所定寸法の基材(3)とシート材(1)とを貼り合わせたラミネート状部材(27)を形成し、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断するシートカット切断方法において、搬送される前記基材(3)または前記シート材(27)の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出工程と、前記検出工程において検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断する切断部(7,8,9,10)を移動させる移動工程とを備えることを特徴とする。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、所定寸法の基材(3)とシート材(1)とを貼り合わせたラミネート状部材(27)を形成し、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断するシートカット装置(U)に含まれるコンピュータを、搬送される前記基材(3)または前記シート材(1)の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出手段(6)、前記検出手段(6)によって検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材(27)における前記基材(3)間の前記シート材(1)を切断する切断部(7,8,9,10)を移動させる移動手段(11,12)、として機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0031】
<実施形態1>
図1は、実施形態1のシートカット装置(U)の正面図である。図2は、図1のシートカット装置(U)の平面図である。
【0032】
図1および2において、本実施形態に係わるシートカット装置(U)は、検出手段としての検出センサ6、切断手段としての(回転刃7、刃回転部8、刃旋回部9および刃昇降部10)、移動手段であって切断方向スライダーとしての切断軸スライダー11および、移動手段であって走行方向スライダーとしての走行軸スライダー12を含んで構成される。
【0033】
実施形態1のラミネート状部材27は、鋼材を矩形の板状に形成した基材3に対し、フィルム1を貼り付ける(ラミネートする)ものである。この鋼板は、例えば、家電製品の外装材として使用される。
【0034】
フィルム1は、その一方の面部に粘着剤が設けられたシート材であり、シートカット装置の切断対象物である。
【0035】
このフィルム1の種類、用途は、特に限定されず、例えば、鋼板の表面に傷が付くことを防止するための保護用のものや、予め模様等が印刷された装飾用のものであってもよい。
【0036】
フィルム1は、帯状に形成され、その長手方向の一端に巻取軸(図示せず)が設けられている。フィルム1は、この巻取軸を中心に巻き取られることによってロール状に加工されている。
【0037】
基材3である鋼板は、所定の搬送方向(図において矢印D1で示す方向)に沿って複数枚が並べられた状態で搬送され、フィルム1は、その長手方向とこれらの基材3の搬送方向とが平行とされた状態でこのフィルムロールから巻き出される。
【0038】
搬送部は、複数の基材3を所定の搬送方向D1に搬送するものであり、ベルト、コンベアロール4および5を備えている。
【0039】
ベルト、コンベアローラ4および5は、基材3を略同じ水平面内において、直線的に搬送するようになっている。これらのベルト、コンベアローラ4および5は、それぞれ図示しない駆動装置を備え、基材3の搬送速度は、例えば、40m/minとなっている。
【0040】
ベルトは、帯状に形成されたゴムシートの両端部を接続して環状に形成し、このベルトに載せた搬送対象物を搬送する公知の搬送装置である。このベルトは、基材3の搬送経路のうち、基材3及びフィルム1を挟んで対向する領域に配置されている。
【0041】
コンベアローラ4および5は、その軸線回りに回転させることによって、これらのコンベアローラ4および5に載せられた搬送対象物を搬送する公知の搬送装置である。
【0042】
検出センサ6は、後述する切断部よりも基材3の搬送方向上流側に設けられ、この位置において基材3の搬送方向D1に沿った端部の位置および基材である基材3またはシート材であるフィルム1(ラミネート状部材27も含む)の速度を検出するものである。
【0043】
ここで、シートカット装置Uは、図示しないコントローラを備えている。このコントローラは、シートカット装置Uを構成する搬送部、貼付部、切断部、移動手段等の各要素を統括的に制御するものであり、検出センサ6はこのコントローラに信号を出力する。
【0044】
コントローラは、検出センサ6から出力された信号によって移動手段を移動制御する。このコントローラが行う移動手段の運転制御については、後に説明する。
【0045】
貼付部は搬送部の上方に配置され、切断部は搬送部中に配置され基材3の搬送方向D1に沿ってこの順番に配列されている。
【0046】
貼付部は、フィルム支持部(図示省略)、ガイドローラ28、ニップロール2を備え、ガイドローラ28及びニップロール2の回転軸線は、基材3の搬送方向D1に対し直交している。
【0047】
フィルム支持部(図示せず)は、フィルム1のロールの巻取軸を支持する部分であり、巻取軸(図示せず)は、その回転軸線が基材3の搬送方向D1に対し直交した状態で支持されている。
【0048】
ガイドローラ28は、フィルム支持部とニップロール2との間に設けられている。ガイドローラ28は、フィルム1の長手方向の中間部分であって、粘着剤が設けられていない側の面(以下、フィルム1の「表面」という)に接触してフィルム1を屈曲させ、これによって、フィルム1に張力を付与し、フィルム1にしわやたるみが発生するのを防止するものである。
【0049】
ニップロール2は、このニップロール2と搬送部との間を搬送される基材3に対しフィルム1を貼付する部分である。このニップロール2は、搬送部の上方にベルトコンベアに対向して設けられている。
【0050】
このニップロール2は、フィルム1の表面に接触して回転することによってフィルムのロールからフィルム1を巻き出すとともに、このフィルム1を基材3に対して押圧して接着させるようになっている。
【0051】
切断部は、前述のように貼付部に対し基材3の搬送方向D1の下流側に設けられ、図2に示すように、回転刃7、刃回転部8、刃旋回部9および刃昇降部10を備えている。この切断部の具体的な配置位置については、後に説明する。
【0052】
回転刃7は、刃回転部8の刃軸(図示せず)に取り付けられており、刃回転部8の刃軸が回転すると回転刃7が回転する。回転方向は任意に設定することが可能である。
【0053】
また、回転刃7と回転部8とは刃旋回部9に取り付けられている。刃旋回部9の動作については図4および図5において詳述する。
【0054】
また、刃旋回部9は刃昇降部10に固定されている。刃昇降部10は第2の駆動部である駆動装置(図示せず)によってフィルム1と基材3とが接着されたラミネート状部材27に対して上下方向に直交するように往復移動可能に設けられている。
【0055】
従って、刃昇降部10が下降するとラミネート状部材27に近づき、ラミネート状部材27のフィルム1を切断することが可能となる。また、刃昇降部10が上昇するとラミネート状部材27から遠ざかり、ラミネート状部材27のフィルム1を間違って切断することがなくなる。
【0056】
また、刃昇降部10は切断軸スライダー11に取り付けられている。
【0057】
切断軸スライダー11は、その長手方向が基材3の搬送方向D1に直交して配置された梁状の部材である。
【0058】
この切断軸スライダー11に固定された刃昇降部10は、第1の駆動部である駆動装置(図示せず)によって切断軸スライダー11の長手方向(D1方向と直交する方向)に往復移動可能に設けられている。この駆動装置の種類は、特に限定されないが、一例として、ベルト駆動式のアクチュエータ等が使用できる。
【0059】
ここで、切断軸スライダー11の長手方向は、基材3の搬送方向D1に直交しているので、刃昇降部10の回転刃7は、基材3の搬送方向D1に直交する方向(図2において矢印D2で示す方向)、すなわち、フィルム1の幅方向に往復移動可能になっている。
【0060】
さらに、切断軸スライダー11は走行軸スライダー12に取り付けられている。
【0061】
走行軸スライダー12は、その長手方向が基材3の搬送方向D1とほぼ平行に配置された梁状の部材である。
【0062】
この走行軸スライダー12に固定された切断軸スライダー11は、第2の駆動部である駆動装置(図示せず)によって走行軸スライダー12の長手方向(D1方向と平行する方向)に往復移動可能に設けられている。この駆動装置の種類は、特に限定されないが、一例として、ベルト駆動式のアクチュエータ等が使用できる。
【0063】
図示しない前述したコントローラは、走行軸スライダー12および走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11を、搬送中のラミネート状部材27において隣接する基材3間のフィルム1を基材3の端面に沿って回転刃7によって正確に精度よく切断できるように移動制御する。
【0064】
次に図3のフローチャートを用いて、実施形態1に係わる動作について説明する。
【0065】
ステップS1において、検出センサ6が基材3の基材端を検出したか否かを判断する。検出センサ6が基材3の基材端を検出した場合(スッテップS1:YES)には、ステップS2に進み、検出センサ6が基材3の基材端を検出しない場合(スッテップS1:NO)には、ステップS1に進む。なお、検出センサ6は、基材3の端部に限らず、基材3、フィルム1またはラミネート状部材27に予め付けられたマーク等を検出するようにしてもよい。
【0066】
またコントローラは、検出センサ6が基材3の基材端を検出した後に、この出力、基材3の寸法、及び、基材3のもう一方の基材端を検出することによって搬送速度を演算する。なお、検出センサを2次元センサとすることで、コントローラがラミネート状部材27の画像情報から搬送速度を演算することもできる。この場合には、ラミネート状部材27の搬送速度の細かな変化(一枚の基材3に隣接するフィルム1が切断されている最中における搬送速度の変化)に対しても回転刃7の移動速度を追随させることが可能となる。
【0067】
ステップS2において、刃昇降部10はラミネート状部材27側へ下降し、下限リードスイッチ(図示せず)がONになるまで下降を続ける。
【0068】
ステップS3において、刃回転部8が回転し、回転刃7を回転駆動させる。
【0069】
ステップS4において、ステップS3において刃回転部8の回転が安定したことを示す信号をコントローラが受信すると、ラミネート状部材27に接着された基材3の搬送方向D1側の前端または後端の基材端辺が搬送方向D1となす角に刃旋回部9が開く。
【0070】
ステップS5において、ステップS4においてラミネート状部材27に接着された基材3の搬送方向D1側の前端または後端の基材端辺が搬送方向D1となす角に刃旋回部9が開いたことを示す信号をコントローラが受信すると、コントローラは第1の駆動部である駆動装置および第2の駆動部である駆動装置を駆動することによって走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10(刃昇降部10には刃旋回部9が取り付けられ、刃旋回部9には刃回転部8および回転刃7が取り付けられているので、刃昇降部10を移動させると回転刃7が移動する。)を移動させる。
【0071】
ステップS6において、走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10が、それぞれ走行軸スライダー12に取り付けられたリミットスイッチ(図示せず)または切断軸スライダー11に取り付けられたリミットスイッチ(図示せず)をONしたか否かがコントローラによって判断される。リミットスイッチ(図示せず)がONされるまでに回転刃7がフィルム1を切断する。すなわち、フィルム1の切断が終了したか否かをリミットスイッチ(図示せず)のON動作によってコントローラが判断する。また、リミットスイッチの取り付け位置は任意に設定可能であるのでフィルム1を切断した後も回転刃7が回転している場合もある。
【0072】
走行軸スライダー12に取り付けられたリミットスイッチまたは切断軸スライダー11に取り付けられたリミットスイッチがON状態になった場合(スッテップS6:YES)には、ステップS7に進み、走行軸スライダー12に取り付けられたリミットスイッチまたは切断軸スライダー11に取り付けられたリミットスイッチがON状態にならない場合(スッテップS6:NO)には、ステップS6に進む。
【0073】
なお、ステップS2からステップS4までの動作がそれぞれ単独に時系列的に実施されるように説明したが、本実施形態ではこれに限定されるわけではなく、ステップS2、ステップS3およびステップS4を同時に実施してもよく、ステップS2、ステップS3およびステップS4のいずれか二つを同時に実施してもよく、ステップS2、ステップS3およびステップS4の実施タイミングは任意に選択することが可能である。
【0074】
ステップS7において、刃昇降部10はラミネート状部材27側から上昇し、上限リードスイッチ(図示せず)がONになるまで上昇を続ける。
【0075】
ステップS8において、刃回転部8が回転を中止することにより、回転刃7の回転を停止させる。
【0076】
ステップS9において、ステップS8において刃回転部8の回転が停止したことを示す信号をコントローラが受信すると、ラミネート状部材27に接着された基材3の搬送方向D1側の前端または後端の基材端辺が搬送方向D1となす角(図2において、回転刃7が上側(D3方向)にラミネート状部材27のシート材であるフィルム1を切断した場合には、走行軸スライダー12に近い側における基材3の搬送方向D1側の前端または後端の基材端辺が搬送方向D1となす角)に開いていた刃旋回部9が閉じる。または、刃旋回部9はシート材であるフィルム1を切断した直後の旋回角度を維持してもよい。
【0077】
ステップS10において、コントローラは第1の駆動部である駆動装置および第2の駆動部である駆動装置によって走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10(刃昇降部10には刃旋回部9が取り付けられ、刃旋回部9には刃回転部8および回転刃7が取り付けられているので、刃昇降部10を移動させると回転刃7が移動する。)を駆動し移動させ、ステップS5を実行する前に走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10が位置していた場所に、切断軸スライダー11および刃昇降部10をそれぞれ移動させる(原点位置移動)。
【0078】
なお、ステップS10において、走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10を原点位置へ移動させることなく、ステップS1に進み、ラミネート状部材27のシート材であるフィルム1を反対側から切断するように動作させることも可能である。
【0079】
ステップS11において、コントローラが走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10を原点位置に戻ったことを示す信号を受信する(スッテップS11:YES)とステップS12に進む。またコントローラが走行軸スライダー12に取り付けられた切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10を原点位置に戻ったことを示す信号を受信しない場合(スッテップS11:NO)にはステップS11を繰り返す。
【0080】
ステップS12において、コントローラは次に切断すべきシート材があるか否かを判断する。この判断は、ユーザがパネル装置等の入力装置(図示せず)に情報を入力することによってコントローラが判断するように構成することができる他に、予めユーザが切断枚数をコントローラに入力することによってもできる。次に切断すべきシート材がある場合(スッテップS12:YES)にはステップS1に進み、次に切断すべきシート材がない場合(スッテップS12:NO)には動作を終了する。
【0081】
<実施形態2>
次に図5および図6を用いて、基材3の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って切断部(7,8,9,10)を移動させてシート材を切断する場合および走行軸スライダーの走行方向の速度と切断軸スライダーの切断方向の速度との比を変更することにより基材の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って前記シート材を切断する場合について詳しく説明する。なお、前記実施の形態1と同一又は対応する部分には、同一の符号を付して説明をする。
【0082】
図5において、フィルム1の貼付対象物である鋼板である基材3は、搬送部の上流側の端部近傍に載せられる。搬送部では、複数の基材3を並べて貼付部に搬送する。以下、隣接する2枚の基材3のうち、先行する基材3を「基材3a」、この基材3aに続いて貼付部に供給される後続の基材3を「基材3b」と称して説明する。
【0083】
なお、この基材3bを搬送部に載せる際、基材3bの搬送方向D1前端部と基材3aの搬送方向D1後端部との間隔は、特に決まっていない。
【0084】
図5においては、基材3aは基材3aの搬送方向D1前端部と搬送方向D1となす角が角度Aである平行四辺形となっており、基材3aに続く基材3bも基材3bの搬送方向D1前端部と搬送方向D1となす角が角度Aである平行四辺形となっている。
【0085】
この場合に、図5の下部円内に示したように、回転刃7が搬送方向D1と直交する方向D3に進むと、基材3aおよび基材3bは搬送方向D1と直交する方向D3に切断されてしまうので、切断された基材3bの搬送方向D1前端部と切断された基材3aの搬送方向D1後端部からはみ出しているフィルムの長さが一様ではなくなり、また基材3aまたは基材3bの一部が切断されてしまう場合もあり得る。
【0086】
そこで、刃旋回部9は切断軸スライダー11となす角が角度Aになるように開き、回転刃7の回転面が搬送方向D1と角度Aの角度を持つ(基材3aの搬送方向D1前端部および基材3bの搬送方向D1前端部と回転刃7の回転面とが平行となる)ようになる(図5の下部円内)。このように回転刃7の回転面が基材3の端部と平行になるので、ラミネート状部材の切断端面は基材3の前端部および後端部に対してきれいな端面をもつように切断されることになる。
【0087】
次に、回転刃7はD4方向にラミネート状部材のフィルム1を切断しながら移動する。
【0088】
回転刃7のD4方向への移動は回転刃7が取り付けられている、切断軸スライダー11および切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10の速度との合成によって決定される。
【0089】
基材3の搬送方向D1前端部および後端部と搬送方向D1となす角が直角である場合には切断軸スライダー11は走行軸スライダー12を介して搬送方向D1と平行な走行方向D2にラミネート状部材のフィルム1の移動速度に同期して(ほぼフィルム1(基材3およびラミネート状部材)の速度と同一速度であることを意味し、フィルム1(基材3およびラミネート状部材)に速度の変動が生じた場合にはそれに追随して速度が変動する)移動する。しかし、基材3の搬送方向D1前端部および後端部と搬送方向D1となす角が角度A(直角以外)の場合には、切断軸スライダー11のフィルム1の移動速度に回転刃7がフィルム1を角度A方向に進むように速度が演算される(フィルム1の移動速度に回転刃7がフィルム1を角度A方向に進む速度が加減演算される。(詳細は後述する。))。
【0090】
また、刃昇降部10は、フィルム1に接着された基材1を一枚づつ分離できる(切断軸スライダー11が走行軸スライダー12上を搬送方向D1に移動する時間内)のに十分な速度でフィルム1の搬送方向1と直交する方向に往復運動を繰り返す。
【0091】
次に図6を用いて基材3の搬送方向D1前端部と搬送方向D1後端部が搬送方向D1と直交していない場合について詳細に説明する。
【0092】
図6(A)は、図5で説明したように基材3が基材3の搬送方向D1前端部(基材3の上辺13)と搬送方向D1(基材3の左辺13)とのなす角が角度Aである平行四辺形の場合を示している。
【0093】
回転刃7がD4方向へ進むためには、図6(A)左端の直角三角形で示したように、搬送方向D1と平行な走行方向D2にX1進む間に、搬送方向D1と直交する走行方向D3にY1進む必要がある。
【0094】
すなわち、切断軸スライダー11の速度をV1とし、切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10の速度をV2とした場合に、(切断軸スライダー11の速度をV1):(刃昇降部10の速度をV2)(速度比)がX1:Y1となった場合に回転刃7がD4方向に移動し、基材3の搬送方向D1前端辺および搬送方向D1後端辺と平行して回転刃7が移動してフィルム1を切断するので、(ラミネート状部材の)切断辺も平行四辺形となることが分かる。
【0095】
ただし、基材3の搬送方向D1前端部の角度によって速度を調整するとともに基材3(フィルム1およびラミネート状部材27)の搬送方向D1の搬送速度も考慮に入れなければならないので、切断軸スライダー11の速度は切断軸スライダー11の速度V1に搬送速度を演算(加減算)することが必要になる。すなわち、(基材3の搬送方向D1前端部(または後端部)の角度に対応する切断軸スライダー11の速度V1D)=(搬送方向D1の搬送速度)+(切断軸スライダー11の速度V1)ということになる。従って、(切断軸スライダー11の速度をV1D):(刃昇降部10の速度をV2)(速度比)が実際に搬送方向1の搬送速度を考慮に入れた切断軸スライダー11および刃昇降部10の速度比となる。
【0096】
図6(B)は、基材3が基材3の搬送方向D1前端部と搬送方向D1となす角が角度Bおよび角度Cという二つの角度を持つ屈曲点19がある場合を示している。
【0097】
回転刃7が基材3の搬送方向D1前端部(基材3の左辺下側18)と搬送方向D1(基材3の下辺17)とのなす角が角度BとなるD6方向へ進むためには、図6(B)左端下の直角三角形で示したように、搬送方向D1と平行な走行方向D2にX2進む間に、搬送方向D1と直交する走行方向D3にY2進む必要がある。
【0098】
すなわち、切断軸スライダー11の速度をV3とし、切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10の速度をV4とした場合に、(切断軸スライダー11の速度をV3):(刃昇降部10の速度をV4)(速度比)がX2:Y2となった場合に回転刃7がD6方向に移動し、基材3の搬送方向D1前端辺および搬送方向D1後端辺と平行して回転刃7が移動して図5(B)における基材3の下辺18から、屈曲点19から搬送方向D1の延長線上にあるフィルム1の屈曲点まで切断することができる。また、この場合には、刃旋回部9は回転刃7の回転面が基材3の左辺下側18と平行になるように旋回した状態で切断を開始する。
【0099】
ただし、基材3の搬送方向D1前端部の角度によって速度を調整するとともに基材3(フィルム1およびラミネート状部材27)の搬送方向D1の搬送速度も考慮に入れなければならないので、切断軸スライダー11の速度は切断軸スライダー11の速度V3に搬送速度を演算(加減算)することが必要になる。すなわち、(基材3の搬送方向D1前端部(または後端部)の角度に対応する切断軸スライダー11の速度V3D)=(搬送方向D1の搬送速度)+(切断軸スライダー11の速度V4)ということになる。従って、(切断軸スライダー11の速度をV3D):(刃昇降部10の速度をV2)(速度比)が実際に搬送方向1の搬送速度を考慮に入れた切断軸スライダー11および刃昇降部10の速度比となる。この場合、速度V4の向きが搬送方向D1と反対になる場合もある。
【0100】
次に、回転刃7が基材3の搬送方向D1前端部(基材3の左辺上側16)と搬送方向D1(基材3の上辺15)とのなす角が角度CとなるD5方向へ進むためには、図6(B)左端下の直角三角形で示したように、搬送方向D1と平行な走行方向D2にX3進む間に、搬送方向D1と直交する走行方向D3にY3進む必要がある。
【0101】
すなわち、切断軸スライダー11の速度をV5とし、切断軸スライダー11に取り付けられた刃昇降部10の速度をV6とした場合に、(切断軸スライダー11の速度をV5):(刃昇降部10の速度をV6)(速度比)がX3:Y3となった場合に回転刃7がD5方向に移動し、基材3の搬送方向D1前端辺および搬送方向D1後端辺と平行して回転刃7が移動して基材3における屈曲点19から搬送方向D1の延長線上にあるフィルム1の屈曲点からフィルム1の上端まで切断することができる。また、この場合には、刃旋回部9は回転刃7の回転面が基材3の左辺上側16と平行になるように旋回している。
【0102】
ただし、基材3の搬送方向D1前端部の角度によって速度を調整するとともに基材3(フィルム1およびラミネート状部材27)の搬送方向D1の搬送速度も考慮に入れなければならないので、切断軸スライダー11の速度は切断軸スライダー11の速度V5に搬送速度を演算(加減算)することが必要になる。すなわち、(基材3の搬送方向D1前端部(または後端部)の角度に対応する切断軸スライダー11の速度V5D)=(搬送方向D1の搬送速度)+(切断軸スライダー11の速度V5)ということになる。従って、(切断軸スライダー11の速度をV5D):(刃昇降部10の速度をV2)(速度比)が実際に搬送方向1の搬送速度を考慮に入れた切断軸スライダー11および刃昇降部10の速度比となる。
【0103】
また、隣接する基材3の間隔は任意に設定できるが、間隔を大きくとると、フィルム1の無駄となる部分が増えてしまうので、一例として数ミリメートルとしている。基材3の搬送方向の長さは一例として数百センチメートルとしているので、隣接する基材3の切断は正確に実施される必要があるが、本実施形態1および2によれば非常に正確に切断されるのでこの要求が満たされる。
【0104】
なお、図3における動作手順を、ハードディスク等の記録媒体に予め記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して予め記録しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該汎用のマイクロコンピュータ等を実施形態に係わるCPUとして機能させることも可能である。
【0105】
さらに、本発明は上記実施の形態1及び2に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【0106】
さらに、本明細書に記載および図示されている実施形態は具体例としてのものであるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではないと理解すべきである。本発明の精神および範囲にしたがって上述以外の変更および修正を施すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態1に係るシートカット装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るシートカット装置の平面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るシートカット装置の動作あらわすフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態2に係る概略図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る切断方法を示し、(A)は実施例1、(B)は実施例2である。
【図6】従来例を示し、(A)はロータリシャー、(B)はフライングカッターである。
【符号の説明】
【0108】
1…フィルム
3…基材
4、5…コンベアロール
6…検出センサ
7…回転刃
8…刃回転部
9…刃旋回部
10…刃昇降部
11…切断軸スライダー
12…走行軸スライダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定寸法の基材とシート材とを貼り合わせたラミネート状部材を形成し、前記ラミネート状部材における前記基材間の前記シート材を切断するシートカット装置において、
搬送される前記基材または前記シート材の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材における前記基材間の前記シート材を切断する切断部を移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とするシートカット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシートカット装置において、
前記移動手段は前記切断部を前記搬送速度とおおよそ同じ速度で、前記ラミネート状部材の搬送方向へ移動させることを特徴とするシートカット装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシートカット装置において、
前記切断部には回転刃が取り付けられ、前記ラミネート状部材における前記基材間の前記シート材は回転する前記回転刃によって切断されることを特徴とするシートカット装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシートカット装置において、
前記移動手段には、切断方向スライダー部と走行方向スライダー部が含まれ、前記切断部は前記ラミネート状部材の搬送方向とおおよそ垂直な方向へ移動する前記切断方向スライダー部に固定されており、前記切断方向スライダー部は前記ラミネート状部材の搬送方向に移動する前記走行方向スライダー部に取り付けられていることを特徴とするシートカット装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシートカット装置において、
前記走行方向スライダー部および前記切断方向スライダー部は、前記基材の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って前記切断部を移動させることを特徴とするシートカット装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシートカット装置において、
前記走行方向スライダー部の走行方向の速度と前記切断方向スライダー部の切断方向の速度との比を変更することにより前記基材の搬送方向前端または搬送方向後端の少なくとも一方の形状に沿って前記シート材を切断することを特徴とするシートカット装置。
【請求項7】
所定寸法の基材とシート材とを貼り合わせたラミネート状部材を形成し、前記ラミネート状部材における前記基材間の前記シート材を切断するシートカット切断方法において、
搬送される前記基材または前記シート材の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出工程と、
前記検出工程において検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材における前記基材間の前記シート材を切断する切断部を移動させる移動工程と、
を備えることを特徴とするシートカット切断方法。
【請求項8】
所定寸法の基材とシート材とを貼り合わせたラミネート状部材を形成し、前記ラミネート状部材における前記基材間の前記シート材を切断するシートカット装置に含まれるコンピュータを、
搬送される前記基材または前記シート材の少なくとも一方の搬送速度を検出する検出手段、
前記検出手段によって検出された前記搬送速度に対応させて、前記ラミネート状部材における前記基材間の前記シート材を切断する切断部を移動させる移動手段、
として機能させることを特徴とするシートカット装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−23141(P2010−23141A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184966(P2008−184966)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)