説明

シートカバー

【課題】シートへの着脱が容易で、かつ、リバーシブルに使用できるシートカバーを提供する。
【解決手段】カバー本体21の連結部28に、シートバックとシートクッションとの間に挿入係止することでカバー本体21をシートに着脱可能に係止するストッパ22,22を設ける。シートに対してシートカバー11を容易に着脱できる。カバー本体21の連結部28に、ストッパ22,22を挿脱することでストッパ22,22をカバー本体21の表面21a側に突出する位置と裏面21b側に突出する位置とに移動可能とする開口部23,23を設ける。カバー本体21の表面21aと裏面21bとのいずれを用いる場合でも、開口部23,23によって裏面21b側あるいは表面21a側に移動させて突出させたストッパ22,22によってカバー本体21をシートに着脱可能に係止できるため、表面21aと裏面21bとでリバーシブルに使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに着脱可能なシートカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車などの車両の運転席、あるいは助手席などのシートの着座面を着脱可能に覆うシートカバーが知られている。このシートカバーは、着座者の背部を支持する背当部であるシートバックを覆う背カバー部及び着座者の臀部を支持する着座部であるシートクッションを覆う座カバー部を有するカバー本体を備えており、このカバー本体がシートに対して係止されることで着座者の着座などによってずれないように構成されている。
【0003】
そして、このようなシートカバーの着脱をより容易で迅速に行えるようにするために、カバー本体の背カバー部と座カバー部とが連結する部分に係止部を突設し、この係止部をシートバックとシートクッションとで挟持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−24089号公報(第2−3頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、使用者の嗜好の多様化などに対応するために、シートカバーの一主面である表面と他主面である裏面との色柄や素材を異ならせ、シートカバーをリバーシブルに使用できることが望まれている。
【0006】
しかしながら、上述のシートカバーの構成では、シートカバーの表面を着座者側として使用するためには係止部をシート側である裏面に突設する必要がある。そのため、シートカバーの裏面を着座側として使用するときには係止部が着座者側に位置するので、この係止部をシートバックとシートクッションとの間に挟持できない問題がある。
【0007】
この点、係止部をカバー本体の表裏両面に設けることなども考えられるものの、着座者側に位置して使用されない係止部は着座者側に突出することとなり、シートカバーの見栄えや座り心地を考慮すると好ましくない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、シートへの着脱が容易で、かつ、リバーシブルに使用できるシートカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のシートカバーは、着座者の背部を支持する背当部及びこの背当部の下端部に位置し着座者の臀部を支持する着座部を有するシートに着脱可能なシートカバーであって、前記背当部を覆う背カバー部、前記着座部を覆う座カバー部、及び、これら背カバー部と座カバー部とを連結する連結部を備えたカバー本体と、このカバー本体の前記連結部に突設され、前記背当部と前記着座部との間に挿入係止されることで前記カバー本体を前記シートに着脱可能に係止する係止部と、前記カバー本体の前記連結部に設けられ、前記係止部を挿脱することでこの係止部を前記カバー本体の一主面側に突出する位置と他主面側に突出する位置とに移動可能とする開口部とを具備したものである。
【0010】
請求項2記載のシートカバーは、請求項1記載のシートカバーにおいて、カバー本体は、背カバー部の座カバー部と反対側の端部に、シートの背当部の上端に位置し着座者の頭部を支持する頭支持部を挿通可能な挿通開口部を備えているものである。
【0011】
請求項3記載のシートカバーは、請求項1または2記載のシートカバーにおいて、カバー本体は、座カバー部の背カバー部と反対側の端部の両側に、シートの着座部の前部両側が挿入係止される挿入係止開口部を備えているものである。
【0012】
請求項4記載のシートカバーは、請求項1ないし3いずれか一記載のシートカバーにおいて、カバー本体は、色柄と素材との少なくともいずれかが一主面と他主面とで異なっているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、カバー本体の背カバー部と座カバー部とを連結する連結部に、背当部と着座部との間に挿入係止されることでカバー本体をシートに着脱可能に係止する係止部を突設することにより、シートに対してシートカバーを容易に着脱できるとともに、この係止部を挿脱することでカバー本体の一主面側に突出する位置と他主面側に突出する位置とに移動可能とする開口部を連結部に設けることにより、カバー本体の一主面と他主面とのいずれを用いる場合でも、開口部によって他主面側あるいは一主面側に移動させて突出させた係止部によってカバー本体をシートに着脱可能に係止できるため、一主面と他主面とでリバーシブルに使用できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、カバー本体の背カバー部の座カバー部と反対側の端部に、シートの背当部の上端に位置する頭支持部を挿通可能な挿通開口部を設けることにより、リバーシブルな使用を妨げることなく、カバー本体の背カバー部側をより確実に、かつ、頭支持部を背当部から取り外したりすることなく容易にシートに着脱可能に係止できる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、カバー本体の座カバー部の背カバー部と反対側の端部の両側に、シートの着座部の前部の両側が挿入係止される挿入係止開口部を設けることにより、リバーシブルな使用を妨げることなく、カバー本体の座カバー部側をより確実に、かつ、容易にシートに着脱可能に係止できる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、色柄と素材との少なくともいずれかをカバー本体の一主面と他主面とで異ならせることにより、カバー本体の一主面を用いる場合と他主面を用いる場合とで異なる嗜好や用途に容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態のシートカバーを示す平面図である。
【図2】同上シートカバーの係止部と開口部との位置関係を示し、(a)はシートカバーの一主面を使用する状態の説明断面図、(b)はシートカバーの他主面を使用する状態の説明断面図である。
【図3】(a)は同上シートカバーの一主面を使用する状態を模式的に示す側面図、(b)は同上シートカバーの他主面を使用する状態を模式的に示す側面図である。
【図4】同上シートカバーを取り付けるシートの着座部近傍を示す斜視図である。
【図5】同上シートカバー及びこれを取り付けるシートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
【0019】
図5において、10はシートであり、このシート10は例えば自動車の運転席、あるいは助手席に用いられる自動車用(車両用)シートである。そして、このシート10には、シートカバー11及びヘッドカバー12が着脱可能に取り付けられる。
【0020】
シート10は、図1ないし図5に示すように、着座者の背部を支持する背当部(背凭れ部)であるシートバック14、着座者の臀部を支持する着座部であるシートクッション15、及び、着座者の頭部を支持する頭支持部であるヘッドレスト16などを備えている。
【0021】
シートバック14は、上下方向に沿って長手状となっており、下端部がシートクッション15の後端部の両側の位置で回動可能に軸支され、ヘッドレスト16とともに、シートクッション15に対して相対的に前後方向に回動(リクライニング)可能となっている。
【0022】
また、シートクッション15は、前後方向に沿って形成されており、後端部がシートバック14の下端部に位置している。さらに、このシートクッション15の後端部とシートバック14の下端部とは、ほぼ隙間なく、あるいはわずかな間隙を介して隣接している。
【0023】
また、ヘッドレスト16は、シートバック14の上端部に位置しており、下端部に棒状の連結軸16a,16aが突設されている。これら連結軸16a,16aは、シートバック14の上端部に形成された図示しない孔部に挿脱可能に取り付けられてシートバック14の上端部と連結され、シートバック14に対して相対的に上下方向に沿って移動可能となっている。
【0024】
また、シートカバー11は、シート10のシートバック14からシートクッション15に亘る着座面を覆うカバー本体21を備えており、このカバー本体21には、複数、例えば一対の係止部であるストッパ22,22と、これらストッパ22,22に対応する複数、例えば一対の開口部23,23とがそれぞれ形成されている。
【0025】
カバー本体21は、シートバック14を覆う背カバー部であるバックカバー部26と、シートクッション15を覆う座カバー部であるクッションカバー部27と、これらバックカバー部26とクッションカバー部27とを連結する連結部28とを一体に有している。そして、このカバー本体21は、例えば発泡性ウレタンなどの緩衝部材によりシート状に形成され、一主面である表面21aと他主面である裏面21bとが、互いに異なる色柄に形成されている。なお、以下、異なる色柄とは、同じ模様で少なくとも一部の配色のみが異なる場合、模様のみが異なる場合、あるいは、配色及び模様がともに異なる場合をそれぞれ含むものとする。
【0026】
バックカバー部26は、背カバー部本体である長手状のバックカバー部本体26aと、このバックカバー部本体26aの両側に突出する背カバー部突出部であるバックカバー突出部26b,26bとを一体に有している。そして、バックカバー部本体26aのクッションカバー部27(連結部28)と反対側の端部、すなわちストッパ22,22と反対側の端部には、挿通開口部31が形成されている。
【0027】
挿通開口部31は、ヘッドレスト16を挿通することでバックカバー部26の上端部をシート10に対して係止するものである。
【0028】
また、クッションカバー部27は、座カバー部本体である長手状のクッションカバー部本体27aと、このクッションカバー部本体27aの両側に突出する座カバー部突出部であるクッションカバー突出部27b,27bとを一体に有している。そして、クッションカバー部本体27aのバックカバー部26(連結部28)と反対側の端部、すなわちストッパ22,22と反対側の端部の両側には、挿入係止開口部33,33が形成されている。
【0029】
各挿入係止開口部33は、クッションカバー部27を表面側から裏面側に亘って貫通して形成されており、シート10のシートクッション15の前部両側の各角部15aが挿入されることにより、シート10のクッションカバー部27がシート10(のシートクッション15)に対して係止されるように構成されている。
【0030】
そして、連結部28は、シート10に取り付けた状態でシートバック14とシートクッション15との間に挟み込まれる部分であり、バックカバー部本体26aとクッションカバー部本体27aとを連結している。
【0031】
また、ストッパ22,22は、それぞれ連結部28に突設されており、左右幅方向に互いに離間されて並んで配置されている。各ストッパ22は、柔軟性を有し袋状に縫製された係止部基布36内に、弾性を有する緩衝体37が封止されて構成されている。この緩衝体37は、例えば発泡ウレタン製であり、左右幅方向に長手状の棒状に形成されており、各ストッパ22の先端側に位置している。したがって、各ストッパ22は、先端側が基端側に対して膨らんだ抜け止め部22aとなっている。
【0032】
また、開口部23,23は、それぞれ連結部28に形成されており、左右幅方向に互いに離間されて並んで配置されている。各開口部23は、カバー本体21の連結部28を表面21aから裏面21bに貫通して例えば横長の四角形状に形成されており、これら開口部23の下側の縁部に各ストッパ22が例えば縫製などによって接合されている。本実施の形態では、各ストッパ22は、例えばカバー本体21の表面21a側に接合されているが、裏面21b側に接合してもよいし、開口部23内に接合してもよい。そして、各開口部23は、各ストッパ22が挿脱可能な大きさ、本実施の形態では各ストッパ22より平面視で若干小さく、各ストッパ22の係止部基布36を変形させながら挿脱可能な大きさとなっており、各ストッパ22を表面21a側、あるいは裏面21b側へと移動可能とするように構成されている。
【0033】
また、ヘッドカバー12は、ヘッドレスト16の前後を覆う一方及び他方のカバー部41,42と、これらカバー部41,42を連結しヘッドレスト16の上部を覆うカバー連結部43とを一体に有している。本実施の形態では、例えば一方のカバー部41と他方のカバー部42とは基本的に同形状に形成されている。そして、このヘッドカバー12は、一主面である表面12aと他主面である裏面12bとが、互いに異なる色柄に形成されている。これら表面12aと裏面12bとの色柄は任意に設定できるが、例えばシートカバー11のカバー本体21の表面21aと裏面21bとの色柄に対応させた色柄とすることが好ましい。
【0034】
そして、一方及び他方のカバー部41,42には、それぞれ係合部としてのヘッドカバー面ファスナ44(一方のみ図示)が配置されている。これらヘッドカバー面ファスナ44は、一方がループ部材で、他方がフック部材であり、ヘッドレスト16の連結軸16a,16a間でかつシートバック14とヘッドレスト16との間の位置で互いに係合されることで、ヘッドカバー12をヘッドレスト16に対して係止するものである。なお、本実施の形態では、一方のヘッドカバー面ファスナ44がヘッドカバー12の表面12aに取り付けられ、他方のヘッドカバー面ファスナ44がヘッドカバー12の裏面12bに取り付けられている。
【0035】
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
【0036】
シートカバー11によりシート10を覆う際には、カバー本体21の表面21aを着座者側として用いる場合と裏面21bを着座者側として用いる場合とがある。
【0037】
例えば表面21aを着座者側として用いる場合(裏面21bをシート10側として用いる場合)には、挿通開口部31に対してヘッドレスト16を挿通し、バックカバー部26をシートバック14に沿わせるとともに、連結部28において、各ストッパ22を各開口部23に挿入してカバー本体21の裏面21b側へと突出させ(図2(a))、これらストッパ22をシートバック14とシートクッション15との間に押し込んで挿入する。このとき、各ストッパ22の抜け止め部22a(緩衝体37)及びシートバック14の下端部などを弾性的に変形させつつ、各ストッパ22を押し込んでシートバック14の後部及びシートクッション15の後部へと貫通させることで、復帰変形した緩衝体37により各ストッパ22の先端部(後端部)の抜け止め部22aが膨らみ、これらシートバック14の後部及びシートクッション15の後部に係止される(図3(a))。そして、クッションカバー部27をシートクッション15に沿わせ、クッションカバー部27の前端の両側の挿入係止開口部33,33に対してシートクッション15の前端部の両側の角部15a,15aを挿入することで、クッションカバー部27がシートクッション15を覆った状態でシート10に係止固定される(図4)。
【0038】
一方、裏面21bを着座者側として用いる場合(表面21aをシート10側として用いる場合)には、挿通開口部31に対してヘッドレスト16を挿通し、バックカバー部26をシートバック14に沿わせるとともに、連結部28において、各ストッパ22を各開口部23から引き出してカバー本体21の表面21a側へと突出させ(図2(b))、これらストッパ22をシートバック14とシートクッション15との間に押し込んで挿入する。このとき、各ストッパ22の抜け止め部22a(緩衝体37)及びシートバック14の下端部などを弾性的に変形させつつ、各ストッパ22を押し込んでシートバック14の後部及びシートクッション15の後部へと貫通させることで、復帰変形した緩衝体37により各ストッパ22の先端部(後端部)の抜け止め部22aが膨らみ、これらシートバック14の後部及びシートクッション15の後部に係止される(図3(b))。そして、クッションカバー部27をシートクッション15に沿わせ、クッションカバー部27の前端の両側の各挿入係止開口部33,33に対してシートクッション15の前端部の両側の角部15a,15aを挿入することで、クッションカバー部27がシートクッション15を覆った状態でシート10に係止固定される(図4)。
【0039】
また、ヘッドカバー12は、一方及び他方のカバー部41,42によってヘッドレスト16を前後に挟むようにヘッドレスト16に対して上側から被せるように取り付けた後、ヘッドカバー面ファスナ44,44を互いに係合させてヘッドレスト16に係止する。なお、ヘッドカバー12によりヘッドレスト16を覆う際には、例えばシートカバー11のカバー本体21の表面21a、あるいは裏面21bのいずれを使用するかに対応して、表面12aを着座者側とするか、裏面12bを着座者側とするかを適宜決定すればよいが、例えば本実施の形態では、シートカバー11のカバー本体21の表面21aを着座者側とする場合にはヘッドカバー12の表面12aを着座者側とし、シートカバー11のカバー本体21の裏面21bを着座者側とする場合には裏面12bを着座者側とする。
【0040】
また、シートカバー11をシート10から取り外す際には、上記の取り付け作業と反対の手順で作業を行う。すなわち、まず、挿入係止開口部33,33からシートクッション15の前端部の両側の角部15a,15aを抜き取り、クッションカバー部27などを引っ張ることで各ストッパ22をシートバック14とシートクッション15との間から引き出し、さらにバックカバー部26を持ち上げて挿通開口部31をヘッドレスト16から抜き取る。同様に、ヘッドカバー12は、ヘッドカバー面ファスナ44,44の係合を解除することでヘッドレスト16から取り外す。
【0041】
上述したように、上記一実施の形態によれば、カバー本体21のバックカバー部26とクッションカバー部27とを連結する連結部28に、シートバック14とシートクッション15との間に挿入係止されることでカバー本体21をシート10に着脱可能に係止するストッパ22,22を突設することにより、ストッパ22,22をシートバック14とシートクッション15との間に挿入したりこの間から抜き取ったりするだけでシート10に対してシートカバー11を容易に着脱できる。しかも、各ストッパ22は、先端側が基端側に対して膨らんだ抜け止め部22aとなっているので、シートバック14とシートクッション15との間に挿入した状態でシートカバー11をシート10に確実に係止できる。
【0042】
また、ストッパ22,22を挿脱することでカバー本体21の表面21a側に突出する位置と裏面21b側に突出する位置とに移動可能とする開口部23,23を連結部28に設けることにより、カバー本体21の表面21aと裏面21bとのいずれを用いる場合でも、開口部23,23によって裏面21b側あるいは表面21a側に移動させて突出させたストッパ22,22によってカバー本体21をシート10に着脱可能に係止できるため、表面21aと裏面21bとでリバーシブルに使用できる。すなわち、ストッパ22,22をシートバック14とシートクッション15との間に挿入係止することでカバー本体21をシート10に着脱可能とする構成の場合、ストッパ22,22を単に表面21a、あるいは裏面21bに突出させただけでは、シートカバー11を表裏反転させたときにストッパ22,22を用いることができない。そこで、開口部23,23を設けることでストッパ22,22を表面21a側と裏面21b側とで移動自在とすることにより、シートカバー11を表裏反転させても同じストッパ22,22をカバー本体21のシート10への係止に用いることができるので、リバーシブルなシートカバー11に対応できる。
【0043】
さらに、カバー本体21のバックカバー部26のクッションカバー部27と反対側の端部に、シート10のシートバック14の上端に位置するヘッドレスト16を挿通可能な挿通開口部31を設けることにより、シートカバー11のリバーシブルな使用を妨げることなく、カバー本体21のバックカバー部26の両端側に位置する挿通開口部31とストッパ22,22とによって、このバックカバー部26をより確実に、かつ、ヘッドレスト16をシートバック14から取り外したりすることなく容易にシート10に着脱可能に係止できる。
【0044】
また、カバー本体21のクッションカバー部27のバックカバー部26と反対側の端部の両側に、シート10のシートクッション15の前部の両側の角部15a,15aを挿入係止する挿入係止開口部33,33を備えることにより、シートカバー11のリバーシブルな使用を妨げることなく、カバー本体21のクッションカバー部27の両端側に位置する挿入係止開口部33,33とストッパ22,22とによって、このクッションカバー部27をより確実に、かつ、容易にシート10に着脱可能に係止できる。しかも、挿入係止開口部33,33に対してシートクッション15の前部の両側の角部15a,15aを挿入係止するだけでシート10に対して固定できるので、例えばクッションカバー部27に配置した面ファスナなどによってシート10に対してクッションカバー部27をシート10(シートクッション15)に固定する場合と比較して、作業性が良好であるとともに、低コスト化できる。
【0045】
さらに、各開口部23及び各ストッパ22を形成した連結部28は、シートバック14とシートクッション15との間に挿入されて着座者側に露出しないので、見栄えが低下することもない。
【0046】
そして、カバー本体21の表面21aと裏面21bとで色柄を異ならせることにより、カバー本体21の表面21aを用いる場合と裏面21bを用いる場合とで異なる嗜好や用途に容易に対応できる。
【0047】
なお、上記一実施の形態において、シートカバー11のカバー本体21は、互いに異なる素材によって表面21aと裏面21bとを構成し、これらを縫製などによって接合して一体化して形成してもよい。この場合には、カバー本体21の表面21aを用いる場合と裏面21bを用いる場合とで異なる嗜好や用途に容易に対応できる。
【0048】
また、ストッパ22は、カバー本体21をシート10に係止できれば、2つに限らず、3つ以上でもよいし、1つでもよい。さらに、開口部23は、ストッパ22の個数に対応させてそれぞれ設けてもよいし、例えば複数のストッパ22を同時に挿脱できる長孔状などに形成すれば、ストッパ22の個数に必ずしも対応させなくてもよい。
【0049】
さらに、挿入係止開口部33に代えて、例えば面ファスナなどを用いてシート10に対してクッションカバー部27を係止固定する構成などとしてもよい。
【0050】
そして、シート10は、必ずしも自動車用(車両用)シートでなくてもよく、シートバック14とシートクッション15とが別体で構成された一般的なシートであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 シート
11 シートカバー
14 背当部であるシートバック
15 着座部であるシートクッション
16 頭支持部であるヘッドレスト
21 カバー本体
21a 一主面である表面
21b 他主面である裏面
22 係止部であるストッパ
23 開口部
26 背カバー部であるバックカバー部
27 座カバー部であるクッションカバー部
28 連結部
31 挿通開口部
33 挿入係止開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の背部を支持する背当部及びこの背当部の下端部に位置し着座者の臀部を支持する着座部を有するシートに着脱可能なシートカバーであって、
前記背当部を覆う背カバー部、前記着座部を覆う座カバー部、及び、これら背カバー部と座カバー部とを連結する連結部を備えたカバー本体と、
このカバー本体の前記連結部に突設され、前記背当部と前記着座部との間に挿入係止されることで前記カバー本体を前記シートに着脱可能に係止する係止部と、
前記カバー本体の前記連結部に設けられ、前記係止部を挿脱することでこの係止部を前記カバー本体の一主面側に突出する位置と他主面側に突出する位置とに移動可能とする開口部と
を具備したことを特徴とするシートカバー。
【請求項2】
カバー本体は、背カバー部の座カバー部と反対側の端部に、シートの背当部の上端に位置し着座者の頭部を支持する頭支持部を挿通可能な挿通開口部を備えている
ことを特徴とする請求項1記載のシートカバー。
【請求項3】
カバー本体は、座カバー部の背カバー部と反対側の端部の両側に、シートの着座部の前部両側が挿入係止される挿入係止開口部を備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載のシートカバー。
【請求項4】
カバー本体は、色柄と素材との少なくともいずれかが一主面と他主面とで異なっている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のシートカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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