説明

シートフィーダ装置

【課題】シートフィーダ装置において、引き出されるシートに対して張力を与えるとともに、シートに対して適度な張力が与えられていない場合は装置を稼働させないようにする。
【解決手段】ロールシート10を回転可能に支持するロールシート保持部2と、ロールシート保持部2によって保持されたロールシート10からシート100を引き出すシート引き出し部と、引き出されたシート100に張力を与えるシート張力付与部とを有するシートフィーダ装置1において、ロールシート保持部2は、進退軸220が支持筒20内を作用位置に進出することでロールシート固定部24がロールシート10を固定し、進退軸220が作用位置に進出したことを保持検知センサ28が検知するとシート引き出し部を動作可能とする。ロールシート10が固定されていない状態でシート100が引き出されることがなく、ロールシート10が固定されている状態でのみ装置を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたシートを保持して送り出すシートフィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハメイキング工程では、シリコン等の円柱状のインゴットがワイヤソーによってスライスされ、基板状のウェーハ(ワーク)が形成される。切り出されたワークの両面には、スライス時にうねりや反りが生じるが、片面には液状樹脂が塗布されて平坦面が形成される。そして、液状樹脂が塗布された平坦面には、ワークのハンドリングを容易とするための樹脂製のシートが貼り付けられ、このシート面を基準としてシート面の裏側の面を研削することで、平坦な薄板状に形成される。
【0003】
ワークの片面に樹脂を塗布する貼着装置に対してシートを供給する装置として、ロール状に巻回されたシートを一方向に搬送する構成の装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された装置では、シートの搬送方向の上流側に位置する従動用の回転軸にロール状のシートが取り付けられ、ロールから引き出されたシートの前端が搬送方向下流に位置するモータの回転軸に巻き付けられる。そして、モータの回転軸が回転駆動されることで、シートが貼着装置に搬送されていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−148866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の装置では、搬送中におけるシートの弛みを防止するために、ロール状のシートが取り付けられる従動用の回転軸に対してシートが引き出される方向に反する方向に力を加えることにより、従動用の回転軸に制動力を与えてシートに張力を作用させる必要がある。しかしながら、シートに適度な張力を作用させるためにはロールシートを回転軸に確実に固定する必要があり、ロールシートを確実に固定できていない場合は、装置を稼働させないようにする必要がある。
【0006】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、引き出されるシートに対して張力を与えるとともに、シートに対して適度な張力が与えられていない場合は、装置を稼働させないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シートが筒に巻きつけられて構成されたロールシートの筒の長手方向を回転軸としてロールシートを回転可能に支持するロールシート保持部と、ロールシート保持部によって保持されたロールシートからシートを引き出すシート引き出し部と、引き出されたシートに張力を与えるシート張力付与部とを有するシートフィーダ装置に関するもので、ロールシート保持部は、ロールシートの筒の内部に進入して筒を保持する円筒状の支持筒と、支持筒の一方の端部を回転可能に片持ち状態で支持する支持部と、支持筒に少なくとも2箇所形成され外周面と内周面との間を貫通する貫通孔と、貫通孔から作用点が進退しロールシートの筒の内周面に作用して筒を固定するロールシート固定部と、ロールシート固定部の力点に力を伝達するテーパ部を備え支持筒に挿入された進退軸と、進退軸を進出させテーパ部をロールシート固定部の力点に作用させる作用位置に位置づけるエアピストンと、進退軸が作用位置または退避位置にあるかを検知する保持検知センサとから構成され、保持検知センサからの信号により、進退軸が作用位置に位置づけされた際にシート引き出し部が動作可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、進退軸が支持筒内を作用位置に進出することでロールシート固定部がロールシートを固定し、進退軸が作用位置に進出したことを保持検知センサが検知するとシート引き出し部が動作可能になるため、ロールシートが固定されていない状態でシートが引き出されることがなく、ロールシートが固定されている状態でのみ装置を動作させ、シートに張力を作用させて送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】シートフィーダ装置の一例を示す斜視図である。
【図2】シートフィーダ装置を側面側から表した模式図である。
【図3】第一、第二のエアブロー部を示す拡大図である。
【図4】ロールシート固定部の構造を略示的に示す断面図である。
【図5】ロールシート固定部がロールシートの筒の内周に作用する状態を略示的に示す断面図である。
【図6】ロールシート固定部がロールシートの筒の内周に作用し固定した状態を略示的に示す断面図である。
【図7】シートを引き出す処理の準備段階を側面側から表した模式図である。
【図8】シートを引き出す処理を側面側から表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すシートフィーダ装置1は、ワークに対してシートを貼付するシート貼付装置(図示せず)の前段に配置され、シート貼付装置に対してシートを送り出す装置である。このシートフィーダ装置1は、送り出されるシート100が筒101に巻きつけられて構成されたロールシート10を保持するロールシート保持部2と、ロールシート保持部2によって保持されたロールシート10からシート100の前端部を保持してシートを引き出すシート引き出し部3と、引き出されたシート100に張力を与えるシート張力付与部4とを備えている。シート引き出し部3及びシート張力付与部4は、制御部27によって制御される。なお、シート100は、例えば、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムにより構成され、筒101は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、紙等により形成されている。
【0011】
ロールシート保持部2は、円筒状に形成された支持筒20と、支持筒20の一方の端部を回転可能に片持ち状態で支持する支持部21とを備え、筒101の長手方向を回転軸としてロールシート10を回転可能に支持する。支持筒20の外径は、ロールシート10を構成する筒101の内径より小さく形成されており、支持筒20は、筒101の内周側に進入して筒101を保持することができる。支持部21は、起立した壁部210と、支持筒20の片側を支持する包囲部211とを備えている。
【0012】
支持筒20には、内周面と外周面とを貫通する貫通孔200が複数形成されている。この貫通孔200は、少なくとも2箇所に形成されている。貫通孔200からは、ロールシート10の筒101を固定するためのロールシート固定部24が出没可能となっている。
【0013】
シート張力付与部4は、ロールシート保持部2の支持筒20と連結されたプーリ40と、プーリ40に巻回されたベルト41と、ベルト41を駆動するモータ42とから構成されており、ベルト41を図1における矢印A方向に駆動することにより支持筒20に矢印B方向の回転力を与え、これによってシート100に張力を与えることができる。
【0014】
図2に示すように、シート引き出し部3は、シート100の前端を把持する把持部30と、把持部30をシートの引き出し方向に移動させる引き出し駆動部31とを備えている。引き出し駆動部31は、水平面に対して傾斜する支持台310と、支持台310上においてシートの引き出し方向に延びるガイドレール311と、ガイドレール311上を摺動可能なスライダ312とを有している。スライダ312は、図示しないモータ及びボールネジ等によって駆動されてガイドレール上をスライド可能となっている。
【0015】
スライダ312の上面には、ベースプレート300が取り付けられている。ベースプレート300の一端からは固定プレート301が立ち上がり、その上端部は後方側(ロールシート保持部2側)に屈曲し、さらにその先端部302は下方に向けて屈曲している。また、ベースプレート300には、ロッド303を進退させる駆動部304が固定されており、ロッド303には、ロッド303の進退によって固定プレート301の先端部302に対して接近及び離反する可動プレート305が固定されている。このように構成される把持部30においては、駆動部304がロッド303を上昇させることにより、固定プレート301の先端部302と可動プレート305との間でシートの端部を挟持することができ、その状態からロッド303を降下させることにより、先端部302と可動プレート305とによるシートの挟持状態を解除することができる。
【0016】
また、先端部302と可動プレート305との間でシートの端部を挟持した状態で、シート引き出し部3がシート100に移動方向下流側に移動することにより、ロールシート10からシート100が引き出される。
【0017】
ロールシート保持部2よりもシート100の移動方向の下流側には、シート100の動きをガイドするための第一ローラ50及び第二ローラ51が配設されている。
【0018】
シート100の移動経路における第一ローラ50と第二ローラ51との間には、第一のエアブロー部52及び第二のエアブロー部53が配設されている。第一のエアブロー部52は、シート100の表面に対してエアを吹き付けてシート100の表面側の異物を除去する。他方、第二のエアブロー部53は、シート100の裏面に対してエアを吹き付けてシート100の裏面側の異物を除去する。
【0019】
図3に示すように、第一、第二のエアブロー部52、53は、吹き付け側の流路540と吸引側の流路541とが形成されたブロック54を有している。流路540の吹き出し口540aは、エアの流れの上流側と比較してその内径が急激に狭められており、これによってシート100に吹き付けられる気体の流速を高めている。この流路540の吹き出し口540aの隙間は、50〜500[μm]が好ましく、50〜200[μm]がより好ましい。本実施の形態では、吹き出し口540aの隙間は100[μm]に設定されている。
【0020】
ブロック54は、シート100に近接して配置される。ブローをしていない状態でのブロック54とシート100との隙間は、0〜100[μm]が好ましく、0〜50[μm]がより好ましい。本実施の形態では、ブローをしていない状態でのブロック54とシート100との隙間が0[μm]に設定されている。ブロック54とシート100との隙間が0[μm]に設定された場合でも、ブローを行うことでシート100の張力とブローの風量によってブロック54とシート100との間に一定の隙間が形成され、数十[μm]程度の異物を除去することが可能である。
【0021】
第一、第二のエアブロー部52、53は、吹き付け側の流路540にエアを送り込み、吸引側の流路541からエアを吸引することで、矢印C方向のエアの流れを生じさせる。吹き付け側の流路540から吹き出したエアは、ブロック54とシート100との隙間で異物を取り込みつつ、吸引側の流路541を介して排出される。このようにして、第一、第二のエアブロー部52、53によりシート100の両面が洗浄される。
【0022】
図2に示すように、第二ローラ51の下流側には、挟持部55が配設されている。挟持部55は、上側プレート550と下側プレート551とによりシート100を上下から挟み込むように動作する。上側プレート550は、水平面を有する板材によって形成されており、シート100の上方に位置する駆動部552によって駆動されるロッド553に取り付けられている。下側プレート551は、水平面を有する板材により形成されており、シート100の下方に位置する駆動部554によって駆動されるロッド555に取り付けられている。上側プレート550及び下側プレート551は、ロッド554、555の駆動によりそれぞれ上下動するように構成されている。上側プレート550及び下側プレート551は、シート100の引き出し時と切断時とで、適切な高さに移動する。
【0023】
挟持部55よりもシート100の移動方向下流側には、カット部56が配設されている。カット部56は、シート100を切断するカッター560と、シート100の裏面を吸着保持する保持部561と、カッター560をシート100の移動方向に対して直交する幅方向に移動させるカッター移動部562とを有している。カッター560及び保持部561は、シート100の移動経路を挟んで上下方向に対向するように配置されている。
【0024】
保持部561は、シート100の裏面を吸着保持する保持面561aを有している。保持面561aは、水平に形成されており、挟持部55の下側プレート551の上面と略面一となっている。保持面561aには、カッター560の刃先を逃がす逃げ溝561bが保持部561の延在方向に沿って形成されている。また、保持面561aにおいて逃げ溝561bを挟んだ両側には、複数の吸引部561cが逃げ溝561bに沿って形成されている。複数の吸引部561cは、不図示の流路を介してエアの吸引源及び供給源に接続されている。
【0025】
カット部56においては、引き出されたシート100を複数の吸引部561cにおける吸引によって保持面561aに吸着し、カッター移動部562による駆動によってカッター560の刃先を逃げ溝561bに沿ってスライド移動させることでシート100を切断する。また、カット部56は、シート引き出し時には、複数の吸引部561cからのエアの吹き付けによってシート100と保持面561aとの接触を回避する。このエアの吹き付けにより、シート100の引き出し時におけるシート100と保持面561aとの擦れが防止される。
【0026】
図4に示すように、円筒状の支持筒20の内部には、ロールシート保持部2におけるロールシート10の固定状態と非固定状態とを切り替えることができる切替機構22が挿入されている。
【0027】
この切替機構22は、支持筒20に挿入されその軸心方向に延びる進退軸220と、進退軸220の軸心方向の進退をガイドする進退軸ガイド部221a、221bとを備えている。進退軸220には、大径部220aと、大径部220aより小径に形成された小径部220bとが形成されている。
【0028】
進退軸ガイド部221aは、進退軸220の前進方向(図4における矢印D1方向)先端部を支持し、進退軸ガイド部221bは、進退軸220の後退方向(図4における矢印D2方向)の端部付近を支持している。
【0029】
進退軸220の前進方向の先端部には、終端プレート22aが連結されている。終端プレート22aは、進退軸220の矢印D1方向への前進にともなって支持筒20の外側に突出可能となっている。
【0030】
進退軸220には、前進方向である矢印D1方向に向けて縮径するテーパ部222が形成されている。テーパ部222は、進退軸ガイド部221aと進退軸ガイド部221bとの間の位置に形成されている。
【0031】
進退軸220の外周側と支持筒20の内周側との間の空間には、2つ以上のロールシート固定部24が配設されている。なお、図4,5,6においては、ロールシート固定部24を1つのみ図示している。
【0032】
ロールシート固定部24は、爪状に形成されており、支点部240によって回動可能に支持されている。また、ロールシート固定部24には、進退軸220の大径部220aと小径部220bとの間の段差部分によって係止される係止部241を備えている。
【0033】
ロールシート固定部24は、ローラ25を転動可能に支持している。また、ロールシート固定部24には、ローラ25を転動可能としてローラ25と接する力点部242を備えている。
【0034】
ローラ25の外周面はテーパ部222に接しており、進退軸220の矢印D1方向の前進に応じてローラ25が回転しながら進退軸220の径方向(図4における上下方向)に移動すると、これにともない、ローラ25が力点部242を径方向に押し込み、その力によって、ロールシート固定部24が、支点部240を支点としてローラ25の移動方向と同方向に回動する構成となっている。
【0035】
そして、ロールシート固定部24が回動することにより、その上部が支持筒20に形成された貫通孔200に挿入されロールシート10の筒101に接触して筒101を固定する。このように、ロールシート固定部24においては、力点部242がローラ25に押されることにより筒101に接触する上部が、作用点部243となっている。このように、作用点部243は、貫通孔200を進退可能となっている。
【0036】
進退軸220の基部は、エアピストン260に連結されている。エアピストン260は、エアシリンダ261によって駆動されて、図4における矢印D1またはD2方向に移動可能となっている。エアシリンダ261には、圧縮エア供給部262が接続されており、圧縮エア供給部262にエアが導入されると、エアピストン260が矢印D1方向に移動し、これにともない進退軸220も矢印D1方向に進出する構成となっている。
【0037】
図1に示すように、ロールシート保持部2を構成する支持部21には、圧縮エア供給部262を貫通させた保持検知プレート212を備えている。保持検知プレート212は、図4に示すように、進退軸220に連結されており、進退軸220の移動に伴って保持検知プレート212も同方向に移動する構成となっている。
【0038】
保持検知プレート212の上方には、保持検知センサ28が配設されている。保持検知センサ28は、保持検知センサ28は、例えば光センサにより構成され、制御部27と接続されており、保持検知プレート212の存在を検知するか否かに関する情報を制御部27に通知することができる。保持検知センサ28は、進退軸220がD2方向に後退した状態の保持検知プレート212の直上よりも、D1方向にずれた位置に配設されており、進退軸220がD1方向に進出すると、保持検知プレート212が保持検知センサ28の下方に移動する構成となっている。
【0039】
以上のように構成されるシートフィーダ装置1では、図1に示したように、最初に、ロールシート10の筒101を支持筒20に挿入する。そして、シート100の前端部を、シート引き出し部3の把持部30で把持する。このときは、図4に示したように、進退軸220が後退して最も矢印D2側に位置しており、係止部241が進退軸220の大径部220aと小径部220bとの段差部分に係止されている。このときの進退軸220の位置を退避位置という。また、このとき、ローラ25はテーパ部222の最も下流部分に位置しており、終端プレート22aは支持筒20の内部に収容されている。進退軸220が退避位置にある状態では、保持検知プレート212は、保持検知センサ28よりもD2方向側にあり、保持検知センサ28によって検知されない位置にある。
【0040】
ロールシート10の筒101が支持筒20に挿入されると、次に、図5に示すように、圧縮エア供給部262からエアを導入することによりエアシリンダ261がエアピストン260を駆動し、エアピストン260が進退軸220を矢印D1方向に進出させる。そうすると、テーパ部222のD1方向への移動によって、ローラ25が回動しながらテーパ部222に沿って進退軸220の径方向外側に向けて押され、ローラ25が力点部241を押すため、移動ロールシート固定部24が支点部240を中心として矢印E方向に回動する。かかる回動により、作用点部243は、貫通孔200に入って行く。このように、テーパ部222は、ロールシート固定部24の力点241に力を伝達する役割を果たす。
【0041】
こうして作用点部243が貫通孔200に入っていき、貫通孔200の外側に突出すると、作用点部243が筒101の内周面に作用し、ロールシート固定部24が筒101を固定する。このときの進退軸220の位置が、テーパ部222がロールシート固定部24の力点部242に作用する作用位置である。
【0042】
また、このとき、終端プレート22aが支持筒20から突出するか、または支持筒20の端面20aと面一になるため、このことをオペレータが確認することにより、ロールシート10がロールシート支持部2に固定されたことを確認することができる。このように、終端プレート22aは、保持目視確認プレートとして機能する。
【0043】
図5に示したように、進退軸220がD1方向に進出して作用位置に位置すると、保持検知プレート212が保持検知センサ28の下方に位置する。そうすると、保持検知センサ28は、保持検知プレート212を検知した旨の信号を制御部27に通知する。制御部27では、保持検知プレート212を検知した旨の信号を受けると、シートフィーダ装置1を適正に動作させることが可能になったと判断し、図1及び図2に示したシート引き出し部3及びシート張力付与部4を動作可能とする。
【0044】
図5に示した状態からさらに進退軸220を矢印D1方向に進出させると、図6に示すように、ローラ25がテーパ部222の上流部分に位置するようになり、作用点部243が貫通孔200の外側にさらに突出する。そうすると、作用点部243が筒101の内周面101aに強く作用してロールシート固定部24が筒101をがっちりと固定する。
【0045】
図6に示したように、終端プレート22aが支持筒20から突出した状態から、オペレータによって終端プレート22aを支持筒20の内部に押し込むと、進退軸220が矢印D2方向に後退していく。そして、図4に示したように、進退軸220が退避位置に位置し、保持検知プレート212が保持検知センサ28よりも矢印D2方向側に後退すると、ロールシート保持部24の作用部243が筒101に作用しなくなり、固定状態が解除される。このことを検知した保持検知センサ28は、その情報を制御部27に通知し、制御部27では、シート引き出し部3によるシート100の引き出しを停止するとともに、シート張力付与部4によってシート100に張力を与えるのを停止する。
【0046】
このように、保持検知センサ28は、保持検知プレート212の位置に応じて、ロールシート10がロールシート固定部24によって固定されているかどうかを検知し、制御部27は、その検知結果に応じてシート引き出し部3及びシート張力付与部4を制御するため、ロールシート10がロールシート固定部24によってロールシート保持部2に固定されている場合にのみシート100を引き出しシート100に張力を与えることができ、ロールシート10がロールシート固定部24によって固定されていない場合は、シートフィーダ装置1の動作を停止させることができる。したがって、ロールシート10が固定されていない状態でシート100が引き出されることがなく、ロールシート10が固定されている状態でのみ装置を動作させ、シート100に張力を作用させて送り出すことができる。
【0047】
また、ロールシート固定部24によるロールシート10の固定状態の解除は、オペレータが終端プレート22aを押すことにより行うことができ、オペレータが意図しないロールシート10のアンロックを抑制することができる。
【0048】
ロールシート10がロールシート固定部24によってロールシート保持部2に固定されている状態では、シート張力付与部4によってシート100に適切な張力を与えつつ、シート引き出し部3によってシート100を引き出していき、シート100をカッター560によってカットすることが可能となる。以下では、シート100の引き出し及びカットの動作について説明する。
【0049】
図7(a)に示すように、シート引き出し部3によって引き出されるシート100は、上側プレート550と下側プレート551とによって下段位置570において挟持される。この場合、シート100の前端は、カット部56の保持部561の保持面561a上に位置している。また、把持部30が、先端部302と可動プレート305とを離間させた状態で前方位置580よりも前方に待機している。このとき、把持部30の高さが、下段位置570においてシート100の前端を把持できる高さに合わせられている。
【0050】
次に、図7(b)に示すように、上側プレート550と下側プレート551とによってシート100を挟持した状態で、挟持部55が上段位置571に向かって矢印F1方向に移動する。これにより、シート100の前端が保持面561aの上方に移動する。
【0051】
そして、図7(c)に示すように、把持部30が、後方位置581に向かって斜め上方(矢印F2方向)に向けて移動する。そして、先端部302と可動プレート305との間にシート100の前端が位置付けされる。
【0052】
次に、図8(a)に示すように、可動プレート305が矢印F3方向に上昇することにより固定プレート301の先端部302に接近させ、先端部301と可動プレート305とによりシート100の前端が把持される。このように、後方位置581では、把持部30の高さが、上段位置571でシート100を把持可能な高さに合わせられる。
【0053】
次に、図8(b)に示すように、下側プレート551が下段位置570に向かって矢印F4方向に移動することでシート100の挟持が解除されるとともに、把持部30が前方位置580に向かって斜め下方(矢印F5方向)に移動することで、シート100が引き出される。このとき、把持部30は、シート100の把持位置の高さを上段位置571から下段位置570まで変えながら移動する。また、シート100の引き出し時には、保持面561aに形成された複数の吸引口561cからシート100に対してエアが吹き付けられる。このエアの吹き付けによってシート100の引き出し時におけるシート100と保持面561aとの擦れが防止される。
【0054】
次に、図8(c)に示すように、シート100の引き出しが完了すると、複数の吸引口561cにより保持面561aにシート100が吸着され、シート搬送部59が把持部30と保持面561aとの間に引き出されたシート100を上方から保持する。そして、シート搬送部59によってシート100が保持された状態で、カッター560が保持面561aに形成された逃げ溝561bに沿ってスライドし、シート100の搬送方向に対して直交する幅方向にシート100を切断する。逃げ溝561bに沿って逃げ溝561bを挟んで両側に形成された複数の吸引口561cがシート100を保持した状態で切断を行うため、安定した切断が可能となる。
【0055】
このようにしてシート100が切断されると、把持部30によるシート100の把持が解除され、シート搬送部59によってシート100が図示しないシート貼付装置に搬送される。このとき、上側プレート550が下段位置570に移動することでシート100が挟持され、図7(a)に示した状態に戻る。
【0056】
このように、把持部30が斜め前方に移動することで、シート100が高さを変えながら引き出される。よって、把持部30を斜め方向の1軸方向に移動させればよく、前後方向及び上下方向の2軸方向に移動させる構成と比較して、安価かつ簡易な構成によりシート100を引き出すことができる。
【符号の説明】
【0057】
10:ロールシート 100:シート 101:筒
1:シートフィーダ装置
2:ロールシート保持部
20:支持筒 200:貫通孔
21:支持部 210:壁部 211:包囲部 212:保持検知プレート
22:切替機構 220:進退軸 220a:大径部 220b:小径部
221a,221b:進退軸ガイド部 22a:終端プレート
222:テーパ部
24:ロールシート固定部
240:支点部 241:係止部 242:力点部 243:作用点部
25:ローラ
260:エアピストン 261:エアシリンダ 262:圧縮エア供給部
27:制御部
28:保持検知センサ
3:シート引き出し部
30:把持部
300:ベースプレート 301:固定プレート 302:先端部
303:ロッド 304:駆動部 305:可動プレート
31:引き出し駆動部 310:支持台 311:ガイドレール 312:スライダ
4:シート張力付与部 40:プーリ 41:ベルト 42:モータ
50:第一ローラ 51:第二ローラ
52:第一のエアブロー部 53:第二のエアブロー部
54:ブロック 540,541:流路 540a:噴出し口
55:挟持部
550:上側プレート 551:下側プレート 552:駆動部 553:ロッド
554:駆動部 555:ロッド
56:カット部
560:カッター
561:保持部 561a:保持面 561b:逃げ溝 561c:吸引部
562:カッター移動部
59:シート搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが筒に巻きつけられて構成されたロールシートの該筒の長手方向を回転軸として該ロールシートを回転可能に支持するロールシート保持部と、
該ロールシート保持部によって保持された該ロールシートからシートを引き出すシート引き出し部と、
引き出されたシートに張力を与えるシート張力付与部と、
を有するシートフィーダ装置であって、
該ロールシート保持部は、
該ロールシートの該筒の内部に進入して該筒を保持する円筒状の支持筒と、
該支持筒の一方の端部を回転可能に片持ち状態で支持する支持部と、
該支持筒に少なくとも2箇所形成され外周面と内周面との間を貫通する貫通孔と、
該貫通孔から作用点が進退し該ロールシートの該筒の内周面に作用して該筒を固定するロールシート固定部と、
該ロールシート固定部の力点に力を伝達するテーパ部を備え、該支持筒に挿入された進退軸と、
該進退軸を進出させ、該テーパ部を該ロールシート固定部の力点に作用させる作用位置に位置づけるエアピストンと、
該進退軸が作用位置または退避位置にあるかを検知する保持検知センサと、
から構成され、
該保持検知センサからの信号により、該進退軸が該作用位置に位置づけされた際に該シート引き出し部が動作可能となることを特徴とするシートフィーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−254843(P2012−254843A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128078(P2011−128078)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】