説明

シートベルト装置を用いた乗員保護構造

【課題】簡単な構造で、側面衝突時の二次衝突荷重から乗員を保護するシートベルト装置を用いた乗員保護構造を得る。
【解決手段】ウエビング装着時に、ウエビング24が乗員Pの腰部P1に装着されると、インナパッド44が乗員Pの腰部P1に対応するウエビング24の装着内側に配置され、アウタパッド46が乗員Pの腰部P1に対応するウエビング24の装着外側に配置される。この状態で側面衝突した場合、インナパッド44及びアウタパッド46が変形することで、乗員Pの腰部P1に作用する二次衝突荷重F2が吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側面への衝突時にその衝撃から乗員を保護するシートベルト装置を用いた乗員保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員保護装置においては、側面衝突時の乗員保護を図るために、シートのドア側に腰部サポート部を設けている場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような装置では、ウエビング装着時にアクチュエータが腰部サポート部を上昇させて乗員の腰部を保護した状態としている。
【0003】
この従来の装置では、アクチュエータが必要になり、構造が複雑になる。
【特許文献1】特開平9−39628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、簡単な構造で、側面衝突時の二次衝突荷重から乗員を保護するシートベルト装置を用いた乗員保護構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造は、少なくとも一部が乗員の腰部に装着されるシートベルト装置のウエビングに取り付けられ、乗員の腰部に対応する前記ウエビングの装着内側に配置される内側エネルギー吸収部材を有することを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、ウエビング装着時に、ウエビングが乗員の腰部に装着されると、内側エネルギー吸収部材が乗員の腰部に対応するウエビングの装着内側に配置され、この状態で側面衝突された場合、内側エネルギー吸収部材が変形することで、乗員の腰部に作用する二次衝突荷重が吸収される。
【0007】
請求項2に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造は、請求項1記載の構成において、前記ウエビングに取り付けられて乗員の腰部に対応するウエビングの装着外側に配置される外側エネルギー吸収部材が設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、ウエビング装着時に、ウエビングが乗員の腰部に装着されると、外側エネルギー吸収部材が乗員の腰部に対応するウエビングの装着外側に配置され、この状態で側面衝突された場合、内側エネルギー吸収部材と外側エネルギー吸収部材とがそれぞれ変形することで、乗員の腰部に作用する二次衝突荷重がそれぞれ吸収される。
【0009】
請求項3に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造は、請求項2記載の構成において、前記内側エネルギー吸収部材と前記外側エネルギー吸収部材とが、前記ウエビングを挟んで対向位置に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、内側エネルギー吸収部材と外側エネルギー吸収部材とが、ウエビングを挟んで対向して配置されるので、エネルギー吸収部材の厚さが内側と外側のエネルギー吸収部材を足した厚さになる。これらのエネルギー吸収部材が変形することで、乗員の腰部に作用する二次衝突荷重が吸収される。
【0011】
請求項4に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造は、請求項3記載の構成において、前記内側エネルギー吸収部材と前記外側エネルギー吸収部材とが、互いに連結されることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、ウエビング装着時に側面衝突した場合、内側エネルギー吸収部材と外側エネルギー吸収部材とが、連結された状態で変形することで、乗員の腰部に作用する二次衝突荷重が吸収される。
【0013】
請求項5に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造は、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成において、前記各エネルギー吸収部材は、前記ウエビングの長手方向に沿って移動可能とされることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載する本発明のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、各エネルギー吸収部材がウエビングの長手方向に沿って移動可能となっているので、乗員の体格に応じて各エネルギー吸収部材の配置位置を変えられる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、簡単な構造で、側面衝突時の二次衝突荷重から乗員を保護することができるという優れた効果が得られる。
【0016】
請求項2に記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、二次衝突時のエネルギー吸収量を増加させることができるという優れた効果が得られる。
【0017】
請求項3に記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、内側エネルギー吸収部材と外側エネルギー吸収部材とが対向配置された部分(乗員の腰部側方)において、二次衝突時のエネルギー吸収量を増加させることができるという優れた効果が得られる。
【0018】
請求項4に記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、側面衝突時に内側エネルギー吸収部材と外側エネルギー吸収部材とがずれないので、二次衝突時のエネルギー吸収のロスが少ないという優れた効果が得られる。
【0019】
請求項5に記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造によれば、乗員の体格に応じて適切に衝突時のエネルギーを吸収することができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明におけるシートベルト装置を用いた乗員保護構造の第1の実施形態を図面に基づき説明する。なお、図中の矢印UPは車両の上方向、矢印FRは車両の前方向、矢印INは車幅内側方向をそれぞれ示す。
【0021】
(第1の実施形態)
図1には、シートベルト装置を用いた乗員保護構造の適用される車両の車室内が示されている。図1に示されるフロントシート12は、助手席用とされ、図2に示されるように、サイドドア40におけるドアトリム40Aに近接して設けられる。ドアトリム40A内には、側面衝突状態での衝突荷重を吸収する公知の衝撃吸収部材(図示省略)が配置される。
【0022】
フロントシート12は、シートクッション14を備え、シートクッション14の上面部は、乗員Pが着座する着座部14Aとされている。シートクッション14は、スライド機構(図示省略)によって車両前後方向にスライド移動可能とされている。
【0023】
図1に示されるように、シートクッション14の後端部の上方には、着座した乗員の背中を保持するためのシートバック16が配置されてシート後部を構成している。シートバック16は、シートクッション14との連結部に設けたリクライニング機構(図示省略)により、傾倒角が変えられるようになっている。
【0024】
乗員保護用のシートベルト装置20は、本実施形態では3点式とされる。シートベルト装置20には、ボデーのセンターピラー18の下方部に慣性ロック機構付き巻取装置としてのリトラクタ22が設けられる。このリトラクタ22には、乗員拘束用のウエビング24の一端部が係止されており、リトラクタ22は、ウエビング24を層状に巻き取って収容するようになっている。
【0025】
ウエビング24は、中間部がセンターピラー18の上部に固定されたスルーアンカ26を通って折り返され、他端部がセンターピラー18の下方近くでアンカ部28に固定されている。図3に示されるように、アンカ部28は、アンカプレート30を備え、このアンカプレート30にウエビング24の他端部となる環状のアンカ締結部24Zが係止されている。アンカプレート30は、車体の下部両側(ボデーのフロアパネル29の車幅方向両端部側)に車両前後方向に延設されるボデーのロッカ32にボルト31で固定されている。なお、本実施形態では、アンカプレート30がロッカ32に固定されているが、アンカプレート30は、フロアパネル29に固定されてもよい。また、アンカプレート30及びウエビング24のアンカ締結部24Zは、カバー部材34によって被覆されている。
【0026】
図1に示されるように、ウエビング24のアンカ部28とスルーアンカ26との間における中間部には、タングプレート36が配設されており、このタングプレート36をシートクッション14の側方(シートクッション14を挟んでアンカ部28の反対側)で車幅方向の中央部寄りに配置されたバックル38に係合させることにより、ウエビング24がリトラクタ22から引き出されて装着状態となる。
【0027】
図2に示されるように、この状態では、ウエビング24の一部、すなわち、ウエビング24のスルーアンカ26からタングプレート36(バックル38)にかけての部分(ショルダ部24A)が、フロントシート12に着座した乗員Pの上体に装着され、ウエビング24の他の一部、すなわち、ウエビング24のタングプレート36からアンカ部28にかけての部分(以下、ラップ部24Bという)が、フロントシート12に着座した乗員Pの腰部P1に装着されるようになっている。
【0028】
ウエビング24には、ラップ部24Bの腰部側(装着内側)に内側エネルギー吸収部材としてのインナパッド44が取り付けられ、ラップ部24Bの腰部側の反対側に外側エネルギー吸収材としてのアウタパッド46が取り付けられており、インナパッド44とアウタパッド46とは、ウエビング24を挟んで対向位置に配置される。
【0029】
インナパッド44及びアウタパッド46は、ウレタン等の衝撃吸収が可能な衝撃吸収材(例えば、発泡材等の弾性材)により形成されており、図4に示されるように、略三角柱のブロック状とされてウエビング24の長手方向(矢印X方向)における略同位置の両面(厚さ方向(矢印T方向)両側)に配置され、接着剤等によりウエビング24に固着されている。必要に応じてインナパッド44及びアウタパッド46の周囲には薄カバーを被せてもよい。
【0030】
図2に示されるように、ウエビング24の装着状態では、インナパッド44は、乗員Pの腰部P1に対応するウエビング24の装着内側に配置され、アウタパッド46は、乗員Pの腰部P1に対応するウエビング24の装着外側に配置される。
【0031】
このとき、インナパッド44及びアウタパッド46は、着座部14Aのサイドドア40側の端部114Aの上方にあって、車幅方向に厚みのある略直方体を形成し、乗員Pの腰部P1下部(又は大腿部上部P2)とドアトリム40Aとの間に、壁状に介在される。ここで、側面衝突状態では、インナパッド44及びアウタパッド46が変形することで二次衝突荷重F2を吸収するようになっている。
【0032】
なお、小型車両の場合、サイドドア40内の寸法的制約からサイドドア40内の衝撃吸収部材を厚くすることが難しいが、ウエビング24に取り付けるエネルギー吸収部材(本実施形態では、インナパッド44、アウタパッド46)を厚くすることは容易である。よって、小型車両の場合には、ウエビング24に取り付けるエネルギー吸収部材を厚くすることによって、大きなエネルギー吸収効果を得ることができる。
【0033】
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
【0034】
側面衝突時、車両外方から車両側面のサイドドア40に一次衝突荷重F1が作用する。このとき、サイドドア40のドアアウタパネル(図示省略)及びドアインナパネル(図示省略)が変形することで、一次衝突荷重F1が吸収される。
【0035】
また、側面衝突時における反動で、フロントシート12に着座している乗員Pに対して、ドアトリム40A側へ向けて二次衝突荷重F2が作用する。このとき、インナパッド44及びアウタパッド46は、乗員Pの腰部P1下部(又は大腿部上部P2)とドアトリム40Aとの間で二次衝突荷重F2を受け、この二次衝突荷重F2に応じて圧縮変形する。これによって、インナパッド44及びアウタパッド46が二次衝突荷重F2を吸収する。なお、これに加えて、二次衝突荷重F2は、ドアトリム40A内の衝撃吸収部材(図示省略)によっても吸収される。
【0036】
このように、シートベルト装置を用いた乗員保護構造10によれば、インナパッド44及びアウタパッド46を設けたので、簡単な構造で、かつ、低コストで、側面衝突時の二次衝突荷重F2から乗員Pを保護することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、シートベルト装置を用いた乗員保護構造の第2の実施形態を図5に基づき説明する。第2の実施形態に係るシートベルト装置を用いた乗員保護構造のパッド50は、内側エネルギー吸収部材としてのインナパッド部50Cと外側エネルギー吸収部材としてのアウタパッド部50Dとが互いに連結され、ウエビング24の長手方向(矢印X方向)に沿って移動可能とされる点が特徴である。なお、他の構成については、第1の実施形態とほぼ同様の構成であり、同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
パッド50は、ウレタン等の衝撃吸収が可能な衝撃吸収材により形成され、図5に示されるように、略直方体のブロック状とされる。パッド50には、配置状態(ウエビング24の装着状態)で上面となる面50Aから配置状態(ウエビング24の装着状態)で下面となる面50Bへ向かって斜め方向に貫通するスリット50Sが形成されており、このスリット50Sにウエビング24が挿通されるようになっている。
【0039】
パッド50は、第1実施形態のインナパッド44(図4参照)と同様の役目を果たすインナパッド部50Cと、第1実施形態のアウタパッド46(図4参照)と同様の役目を果たすアウタパッド部50Dと、を備えると共に、インナパッド部50Cとアウタパッド部50Dとをウエビング24の側方で連結する連結部50Eを備える。
【0040】
なお、パッド50は、本実施形態では、インナパッド部50C、アウタパッド部50D、及び、連結部50Eが一体的に成形されているが、これらが別々に成形された後に貼り合わされた構成としてもよい。
【0041】
上記構成によれば、パッド50は、スリット50Sにウエビング24が挿通されることで、ウエビング24の長手方向(矢印X方向)に沿ってスライド移動できるようになっており、乗員の体形が異なっても、乗員の腰部P1下部(又は大腿部上部P2)(図2参照)の位置に合わせてパッド50を配置することができる。また、シートクッション14(図2参照)を高さ方向(車両上下方向)に移動調節可能な車種であっても、パッド50を好ましい位置に配置することができる。
【0042】
ウエビング24の装着状態でパッド50が配置された状態では、パッド50の一部とされるインナパッド部50Cが、図2に示される乗員Pの腰部P1に対応するウエビング24の装着内側に配置され、図5に示されるパッド50の他の一部とされるアウタパッド部50Dが、図2に示される乗員Pの腰部P1に対応するウエビング24の装着外側に配置される。
【0043】
これにより、図5に示されるパッド50は、側面衝突状態ではウエビング24の厚さ方向(矢印T方向)の両側で二次衝突荷重F2(図2参照)を吸収するようになっており、側面衝突時のエネルギー吸収量を増加させることができる。また、側面衝突時にインナパッド部50Cとアウタパッド部50Dとがずれないので、二次衝突時のエネルギー吸収のロスが少ない。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、シートベルト装置を用いた乗員保護構造の第3の実施形態を図6に基づき説明する。第3の実施形態に係るシートベルト装置を用いた乗員保護構造のパッド52は、ウエビング24に対して着脱可能に取り付けられる(アタッチメントとされる)点が特徴である。他の構成については、第1、第2の実施形態とほぼ同様の構成である。
【0045】
パッド52は、スリット50Sに対して直角に切り込まれてスリット50Sの貫通方向に延びる切込部52Aが形成された点を除いて第2の実施形態におけるパッド50(図5参照)とほぼ同様の構成であり、パッド50と同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示されるように、切込部52Aは、スリット50Sの内外を連通しており、ウエビング24が出入り可能となっている。これにより、パッド52がウエビング24に対して着脱できるようになっている。
【0047】
パッド52は、ウエビング24に取り付けられた状態では、ウエビング24の厚さ方向(矢印T方向)の両側に跨がって配置される。これにより、パッド52は、側面衝突状態ではウエビング24の厚さ方向(矢印T方向)の両側で二次衝突荷重F2(図2参照)を吸収するようになっている。
【0048】
ここで、ウエビング24に対して着脱可能なパッド52を複数種類用意しておき、大きさ(例えば、S、M、L、LLの各サイズ等)、硬度の異なるものを適宜選択できるようにしておけば、乗員の体形、年齢、骨の強さ等に合わせたパッド52を適用することが可能となる。
【0049】
また、種々のデザインのパッド52をウエビング24に着脱可能とすることで、車室内の内装等に合ったパッド52を選択してウエビング24に取り付ければ、意匠性やファッション性を高めることもできる。
【0050】
なお、ウエビング24へパッド(内側エネルギー吸収部材、外側エネルギー吸収部材)を着脱するために、パッド(例えば、第1実施形態のインナパッド44、アウタパッド46)の取付面、及び、ウエビング24の取付面の双方に面ファスナーを備えた構成とし、面ファスナー同士を着脱させてもよい。
【0051】
また、パッド(内側エネルギー吸収部材、外側エネルギー吸収部材)にスライドファスナーを備えた開閉取付部を設け、開閉取付部内へのウエビング24の出入れ、及び、スライドファスナーの開閉によって、パッドをウエビング24に着脱する構成としてもよい。
【0052】
また、ウエビング24に着脱可能なパッド(例えば、第3実施形態のパッド52等)を図6の二点鎖線で示されるようなスイングアーム54の先端部に固定すると共に、スイングアーム54の基端部54Aをシートクッション14の側面部14Bに(軸部55回りに)回転移動可能に取り付けてもよい。このようにすることで、ウエビング24の非装着時には、パッド52をシートクッション14の側方の退避位置へ退避させることができ、また、ウエビング24の装着時には、パッド52をウエビング24への取付位置へ移動させることができる。
【0053】
さらに、ウエビング24へ伸縮性のあるパッド用ケースを取り付けておき、このパッド用ケース内に複数種類のパッド(内側エネルギー吸収部材、外側エネルギー吸収部材)の中から適宜選択したパッドを収容できるようにして図1〜図4に示されるような配置としてもよい。
【0054】
なお、各エネルギー吸収部材の形状は、上記実施形態に示された形状に限定されず、円柱状等の他の形状であってもよい。また、各エネルギー吸収部材を車両前後方向に拡大して乗員保護範囲を拡大してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、パッド(内側エネルギー吸収部材、外側エネルギー吸収部材)がブロック状とされる場合について説明したが、パッドは、例えば、予め流体が注入された袋状等とされるような他の形態であってもよい。
【0056】
さらに、上記実施形態では、インナパッド部50C(内側エネルギー吸収部材)とアウタパッド部50D(外側エネルギー吸収部材)とが互いに連結されたパッド50、52が、ウエビング24の長手方向(矢印X方向)に沿ってスライド移動可能とされる場合について説明したが、例えば、図4に示されるインナパッド44(内側エネルギー吸収部材)、アウタパッド46(外側エネルギー吸収部材)をウエビング24の長手方向Xに沿ってスライド移動可能とする構成にしてもよい。また、ウエビング24の長手方向Xに沿った各エネルギー吸収部材の移動は、例えば、ローラによる移動等のような他の移動であってもよい。
【0057】
さらにまた、上記実施形態では、助手席用のフロントシート12に着座する乗員Pを二次衝突荷重F2から保護する構造を例に挙げて具体的に説明したが、運転席用のフロントシートや2列目や3列目のシートに同様に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシートベルト装置を用いた乗員保護構造が適用される車室内を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るシートベルト装置を用いた乗員保護構造を正面から示す概略構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるインナパッド、アウタパッド、及びウエビングのアンカ部を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるインナパッド及びアウタパッドを示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるパッドのウエビングへの取付状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態におけるパッドのウエビングへの取付状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
10 シートベルト装置を用いた乗員保護構造
20 シートベルト装置
24 ウエビング
44 インナパッド(内側エネルギー吸収部材)
46 アウタパッド(外側エネルギー吸収部材)
50C インナパッド部(内側エネルギー吸収部材)
50D アウタパッド部(外側エネルギー吸収部材)
X ウエビングの長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が乗員の腰部に装着されるシートベルト装置のウエビングに取り付けられ、乗員の腰部に対応する前記ウエビングの装着内側に配置される内側エネルギー吸収部材を有することを特徴とするシートベルト装置を用いた乗員保護構造。
【請求項2】
前記ウエビングに取り付けられて乗員の腰部に対応するウエビングの装着外側に配置される外側エネルギー吸収部材が設けられることを特徴とする請求項1記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造。
【請求項3】
前記内側エネルギー吸収部材と前記外側エネルギー吸収部材とが、前記ウエビングを挟んで対向位置に配置されることを特徴とする請求項2記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造。
【請求項4】
前記内側エネルギー吸収部材と前記外側エネルギー吸収部材とが、互いに連結されることを特徴とする請求項3記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造。
【請求項5】
前記各エネルギー吸収部材は、前記ウエビングの長手方向に沿って移動可能とされることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシートベルト装置を用いた乗員保護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−145115(P2007−145115A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340342(P2005−340342)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】