シート処理装置及び画像形成装置
【課題】針屑を収納する収納箱の切り替えと、トレイの切り替えとを、同時に行えるようにして、ステイプラの針綴じ動作の停止を回数少なくすること。
【解決手段】シート処理装置は、ステイプラ50と、シート束に対して余剰となる針の余剰部を切除するカッタ151と、ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑として収納して排出可能な移動針屑箱51と、ステイプラのホームポジションに設けられて、移動針屑箱51から排出される針屑を収納する固定針屑箱60と、綴じ済みシート束を積載する上積載トレイ41及び下積載トレイ40とを備えている。そして、シート処理装置は、上積載トレイ41と下積載トレイ40との切り替えと同時に、移動針屑箱から固定針屑箱への屑針の排出を行う。
【解決手段】シート処理装置は、ステイプラ50と、シート束に対して余剰となる針の余剰部を切除するカッタ151と、ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑として収納して排出可能な移動針屑箱51と、ステイプラのホームポジションに設けられて、移動針屑箱51から排出される針屑を収納する固定針屑箱60と、綴じ済みシート束を積載する上積載トレイ41及び下積載トレイ40とを備えている。そして、シート処理装置は、上積載トレイ41と下積載トレイ40との切り替えと同時に、移動針屑箱から固定針屑箱への屑針の排出を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステイプラでシート束を綴じる針をシート束の厚みに適した長さに切除したときに生じる針屑を、ステイプラの針綴じ動作に支障を与えないようにして排出するシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のシートを処理トレイ上で整合してシート束にした後、そのシート束に沿って移動するステイプラでシート束を綴じるシート処理装置がある。ステイプラは、コの状(U字状)の針をシート束に貫通させて、シート束から突出し部分を互いに向き合うように折り曲げて、シート束を綴じるようになっている。
【0003】
そして、ステイプラには、同じ長さの針で、厚みの異なるシート束を綴じるものがある。この場合、針の長さに対してシート束の厚みが薄いと、シート束から突出した部分が、互いに向き合うように折り曲げられたとき、重なり合うことがある。そこで、ステイプラには、シート束から突出した部分を、曲げられたとき重なり合わない長さに切除する機能を備えたものがある(特許文献1)。この場合、針の切除された部分は、針屑として、ステイプラに設けられた第1の収納箱に収納されるようになっている。そして、針屑は第1の収納箱に満杯になると、ステイプラのホームポジションに設けられた第2の収納箱に第1の収納箱から排出されるようになっている。第2の収納箱に収納された針屑は、ユーザによって廃棄される。
【0004】
また、シート処理装置は、綴じたシート束をトレイに排出して積載するようになっている。そして、シート処理装置は、トレイにシートが満杯に積載されると、シート束が積載されていない他のトレイに切り替えて、その切り替えたトレイにシート束を引き続いて積載するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−62913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のシート処理装置は、針屑を第1の収納箱から第2の収納箱に排出する針屑排出動作と、トレイを切り替える切替動作と、を別々に行っていたため、シート処理装置の稼働率が低いという解決すべき課題があった。
【0007】
本発明は、針屑を収納する収納箱の切替と、トレイの切替とを、同時に行えるようにして、ステイプラの針綴じ動作の停止を回数少なくし、稼働率を高くしたシート処理装置と、このシート処理装置を備えて稼働率を高くした画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート処理装置は、針でシート束を綴じる綴じ動作を、シート束に対して移動して行うステイプラと、シート束に対して余剰となる前記針の余剰部を切除する切除手段と、前記ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑として収納して排出可能な第1の針屑収納部と、前記ステイプラの移動範囲内の所定の位置に設けられて、前記ステイプラの移動により前記所定の位置に移動した第1の針屑収納部から排出される針屑を収納する第2の針屑収納部と、綴じ済みシート束を排出する排出部と、前記排出部に対して昇降して、前記排出部から排出された綴じ済みシート束を積載する複数のシート積載手段と、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と、前記第1の針屑収納部の針屑排出制御と、前記排出部に対する複数の前記シート積載手段の切替昇降制御とを行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記シート積載手段の切替昇降制御時に、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と前記第1の針屑収納部の針屑排出制御とを行う、ことを特徴としている。
【0009】
本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、画像を形成されたシートを処理する上記のシート処理装置と、を備え、前記シート処理装置は、前記シート積載手段の切替昇降中に前記画像形成部から送られてきたシートを貯留するシート貯留部を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート処理装置は、シート積載手段の切替時に、第1の針屑収納部の針屑を第2の針屑収納部に排出する動作と、シート積載手段を切り替える動作とを同時に行いので、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくして、稼働率を高くすることができる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくしたシート処理装置を備えているので、シート処理装置へのシートの供給動作の停止回数が少なくなり、稼働率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の装置本体とシート処理装置とのシート搬送方向に沿った断面概略図である。
【図2】本発明の実施形態のシート処理装置のステイプラ、移動針屑箱及び固定針屑箱をシート処理装置の手前側から見た概略図である。(A)は、移動針屑箱に針屑が収納されていない図である。(B)は、移動針屑箱から固定針屑箱に針屑が排出された図である。
【図3】ステイプラの移動動作説明用の平面概略図である。(A)はシート束の2箇所綴じをするときの図である。(B)はステイプラがホームポジションにいるときの図である。
【図4】針の余剰部を切除する切除機構の概略図である。(A)は切除機構のカッタで針の余剰部を切除するときの図である。(B)は、(A)を右側から見た図である。
【図5】シート処理装置の制御ブロック図である。
【図6】シート処理装置の針綴じ処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】針屑量のカウント処理動作説明用のフローチャートである。
【図8】針屑の排出処理動作説明用のフローチャートである。
【図9】シート束を綴じるときの全体の動作説明用のフローチャートである。
【図10】積載トレイの切替時間を利用して針屑を廃棄する場合の動作説明用のフローチャートである。
【図11】積載トレイ切替動作に要する時間を示す図である。(A)は、上積載トレイにシート束が積載されているときの図である。(B)は、上積載トレイから下積載トレイに切り替えたときの図である。(C)は、トレイ切替時にシート間隔をあける時間を示す図である。
【図12】ステイプル針屑捨て処理を示す図である。(A)は、ステイプラがシート束を綴じ位置にいるときの図である。(B)は、ステイプラがホームポジションに移動したときの図である。(C)は、針屑を捨てるときに、シート間隔をあけるのに要する時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態のシート処理装置とこのシート処理装置を備えた画像形成装置とを図に基づいて説明をする。なお、本実施の形態において示す数値は、本実施の形態を理解しやすくための参考数値であって、本発明を限定する数値ではない。
【0014】
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置の装置本体とシート処理装置とのシート搬送方向に沿った断面概略図である(装置本体とシート処理装置とを、シート搬送方向と交差する方向から見た断面概略図である)。
【0015】
画像形成装置1は、装置本体1Aと、シート処理装置10とで構成されている。シート処理装置10は、装置本体1Aにオプションとして着脱自在に接続されるようになっているが、装置本体1A内に一体に組み込まれていても良い。画像形成装置1は、装置本体1Aでシートにトナー画像を形成して、シート処理装置10でシートを束状にして針で綴じるようになっている。
【0016】
画像形成装置1の装置本体1Aは、給紙部2、感光ドラム3、定着部4、排出ローラ対5等を備えている。給紙部2から分離されて給送されたシートSは、画像形成部としての円筒状の感光ドラム3から転写器7によってトナー画像が転写される。トナー画像が転写されたシートは、定着部4によりトナー画像が定着された後、排出ローラ対5によりシート処理装置10に搬送される。
【0017】
(シート処理装置)
シート処理装置10は、バッファローラ22、処理トレイ25、揺動ガイド26、後端整合部材30、側端整合部32、下積載トレイ40、上積載トレイ41、排出部42、ステイプラ50、移動針屑箱51及び固定針屑箱60等を備えている。
【0018】
シート処理装置10は、装置本体1Aから搬送されてきたシートを、搬送ローラ対21、シート貯留部としてのバッファローラ22及び従動ローラ23で搬送して、下排出ローラ対24から処理トレイ25に排出する。
【0019】
処理トレイ25にシートが排出されるとき、上束排出ローラ29が設けられた揺動ガイド26は、揺動支点27を中心にして矢印a方向に上昇回転して、上束排出ローラ29を下束排出ローラ28から離間させている。これによって、上束排出ローラ29が、処理トレイ25に排出されて落下されるシートの落下排出の邪魔をしないようにしている。
【0020】
処理トレイ25は、下流側(図1の左側)を上方とし、上流側(図1の右側)を下方として傾斜したトレイである。下排出ローラ対24に搬送されたシートは、シートの自重とパドル31の左回転とにより、処理トレイ25上を滑走して、処理トレイ25の下方の端部に配設された後端整合部材30に当接させられて、後端を整合させられる。
【0021】
また、処理トレイ25には、側端整合部32が設けられている。側端整合部32は、装置手前側と装置奥側とに独立してシート搬送方向に交差する方向(シートの幅方向、図1の紙面と交差する方向)に移動可能な手前整合部材と奥整合部材とで、シート搬送方向に沿ったシートの両側端を整合する。なお、装置手前側とは、ユーザが画像形成装置を操作するとき画像形成装置に立つ側であり、装置の操作部等が配置された操作側である。
【0022】
このようにして、処理トレイ25に積載されて、後端整合部材30によって後端を整合され、両側端を側端整合部32によって幅整合されたシートは、所定枚数重ねられて束状になると、後述するステイプラ50によって綴じられる。
【0023】
その後、揺動ガイド26が下降回転する。すると、上束排出ローラ29が下束排出ローラ28に接近して、下束排出ローラ28とで処理トレイ25上で綴じられた綴じ済みシート束を挟む。そして、下束排出ローラ28が駆動回転して、綴じ済みシート束を下積載トレイ40と上積載トレイ41とのうち、一方に排出する。
【0024】
下積載トレイ40と上積載トレイ41は、それぞれ、下積載トレイ用モータM40と上積載トレイ用モータM41とによって、シート処理装置10の装置本体10Aに沿って昇降するようになっている。すなわち、複数のシート積載手段としての下積載トレイ40と上積載トレイ41は、排出部42を形成する上束排出ローラ29と下束排出ローラ28とに対して昇降して、排出部42から排出された綴じ済みシート束を積載するようになっている。
【0025】
下積載トレイ40は、例えば、コピー出力或いはプリント出力されたシートを積載するのに使用される。上積載トレイ41は、例えば、サンプル印刷をされたシート、割り込み時にコピーされたシート、下積載トレイ40を積載オーバするシート、ファンクション仕分け(例えばFAX受信)されたシート及び複数ジョブの混載時のシート等を積載するのに使用される。
【0026】
なお、シート処理装置10の動作モードがカスケード積載モードに設定されたとき、下積載トレイ40を下方に退避させておき、上積載トレイ41に綴じ済みシート束を積載する。
【0027】
シート処理装置10の装置本体10Aには、下積載トレイ40と上積載トレイ41との位置と、積載された最上部のシートの位置とを検知する検知部(不図示)が配設されている。制御部201は、これらの検知部によって、下積載トレイ40と上積載トレイ41との位置と、積載オーバとが検知されるようになっている。上積載トレイ41が積載オーバ状態に近くなったとき、或いは積載オーバした場合、シート処理装置10の制御部201(図5)から画像形成装置1の装置本体1A内の制御部203に、上積載トレイ41の積載オーバが通知される。また、この際、シート処理装置10の制御部201は、排出トレイ切替フラグをセットする。このとき、画像形成装置1の装置本体1Aは、画像形成動作をすぐに停止させず、シート処理装置10で形成中の1束分のシートの残りの枚数だけ画像を形成し、シート処理装置10に排出する。
【0028】
その後、上積載トレイ41が排出部42より上方の待避位置に上昇し、綴じ済みシート束が積載されていない下積載トレイ40が上昇する。下積載トレイ40は、排出部42から排出される綴じ済みシート束を積載できる位置に上昇する。そして、画像形成装置1の装置本体1Aは、画像形成動作を再開し、シート処理装置10にシートを排出し、シート処理装置10はシートを処理して下積載トレイ40に処理済みシートを排出する。このように、シート処理装置10は、上積載トレイ41と下積載トレイ40とを切替昇降させることで、上積載トレイ41と下積載トレイ40との両方を使用して、大量のシートを積載するカスケード積載モードを実行することができる。
【0029】
次に、ステイプラ50、切除機構150、移動針屑箱51及び固定針屑箱60等を説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施形態のシート処理装置のステイプラ、移動針屑箱及び固定針屑箱をシート処理装置の手前側から見た概略図である(処理トレイ25に排出されたシートのシート面と交差する方向から見た概略図である)。(A)は、移動針屑箱に針屑が収納されていない図である。(B)は、移動針屑箱から固定針屑箱に針屑が排出された図である。図3は、ステイプラの移動動作説明用の平面概略図である。(A)はシート束の2箇所綴じをするときの図である。(B)はステイプラがホームポジションにいるときの図である。図4は、針の余剰部を切除する切除機構の概略図である。(A)は切除機構のカッタで針の余剰部を切除するときの図である。(B)は、(A)を右側から見た図である。
【0031】
ガイドレール97(図3)は、後端整合部材30(図1)のシートの後端と当接する当接面に沿って平行に配設されている。ステイプラ50は、ガイドレール97(図3)上をシート処理装置の手前側と奥側とに移動(後端整合部材30に後端が当接したシート束の後端に沿って移動)して、処理トレイ25に積載されて整合されたシート束の後端を針Nで綴じるようになっている。ステイプラ50は、ステイプラ用モータM50(図1、DCブラシモータ)により駆動され、針でシート束を綴じるようになっている。そして、ステイプラ50は、ステイプラ移動モータM51(図5)により、シート束SW(図3)の2箇所の綴じ位置H1,H2と、シート束SWの角の1箇所の綴じ位置HCに選択的に移動可能に構成されている。ステイプラ50は、シート束の綴じ動作を行わないとき、図3(B)に示すホームポジションに待機している。
【0032】
ステイプラ50は、針Nでシート束SWを綴じたとき、シート束SWに対して余剰となる針の余剰部(針屑NW)を切除する切除手段としての切除機構150を備えている。
【0033】
ステイプラ50の後部(図2において右側)には、ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑NWとして収納して排出可能な第1の針屑収納部としての移動針屑箱51が付設されている。
【0034】
ステイプラ50のホームポジション(所定の位置)には、ステイプラの移動によりホームポジションに移動した移動針屑箱51から排出される針屑を収納する第2の針屑収納部としての固定針屑箱60が設けられている。ステイプラのホームポジションは、ガイドレール97に沿った、ステイプラ50の移動範囲内に位置している。
【0035】
ステイプラ50のホームポジションと固定針屑箱60の位置は、シート処理装置の装置本体10Aの手前側の不図示の開閉扉の近くである。これによって、ステイプラ50のメンテナンスを容易に行うことができる。また、固定針屑箱60は、ユーザが装置本体10Aから容易に取り出して、針屑を容易に廃棄することができるようになっている。固定針屑箱60は、固定針屑箱センサS60によって、装置本体10Aに装備されているか否かを検知されるようになっている。
【0036】
移動針屑箱51は、切除機構150によって切除された針の余剰部である針屑NWを収納できるように箱状に形成されている。針屑NWは、切除機構150から不図示の移動経路に案内されて移動針屑箱51に流入するようになっている。移動針屑箱51の底部は、開閉自在な開閉蓋52になっている。通常、開閉蓋52は、引張ばね53に引っ張られて、移動針屑箱51の底部を閉じている。また、開閉蓋52は、プランジャPL51によって回転する開閉リンク54に押されて、矢印C方向に回転して、移動針屑箱51の底部を開くようになっている。開閉リンク54は、移動針屑箱51に設けられた軸55に回転自在に設けられており、一端は、プランジャPL51に連結され、他端は、開閉蓋52を押すようになっている。なお、引張ばね53、プランジャPL51及び開閉リンク54は、移動針屑箱51の外側に設けられている。引張ばね53と開閉リンク54は、開閉蓋52が移動針屑箱51の外側に突出した部分に接続されている。
【0037】
移動針屑箱51に収納される針屑の量は、針屑量検知手段としての針屑量検知部220(図5)によって検知される。針屑量検知部220は、ステイプラの針綴じ動作回数をカウントする計数部211のカウント数と、針の長さ及びシート束の厚みから算出した針屑の長さとの積によって、移動針屑箱51に現在収納されている針屑の量を算出できるようになっている。また、針屑量検知部220は、移動針屑箱51に収納される最大針屑量と、移動針屑箱51に現在収納されている針屑の量との差によって、移動針屑箱51に現在収納可能な針屑量を算出できるようになっている。
【0038】
ステイプラ50の切除機構150の概略構成を図4に基づいて説明する。
【0039】
ステイプラ50は、切除機構150を備えている。切除機構150は、カッタ151と、カッタ151を移動させるカッタ用プランジャPL151とを備えている。
【0040】
処理トレイ25に所定枚数のシートからなるシート束SWが積載されると、ステイプラ50によりシート束に針Nが打ち込まれ、図4(A)に示すように、針Nの先端部がシート束より飛び出た状態になる。このとき、針NにおけるラインZ部より上の部分は、針Nの針足を折り曲げる工程で余剰部となるので、カッタ用プランジャPL151の作動によって、カッタ151により切除される。カッタ151は、矢印Y方向へ移動することにより、ラインZよりはみ出た余剰部を切除する。ステイプラ50がシート束を綴じる場合、カッタ151は2本の余剰部をほぼ同時に切除する。
【0041】
切除された針足は、ステイプラ50に付設された移動針屑箱51に収納される。カッタ151が針Nの針足を切除した後、ステイプラ50は、残りの針足を折り曲げてシート束を綴じる。針Nの打ち込み及び針足折り曲げは、ステイプラ用モータM50で行われる。また、ステイプラ50のシート束に沿った移動は、ステイプラ移動モータM51により行われる。
【0042】
図5は、シート処理装置10の制御ブロック図である。
【0043】
制御手段としての制御部201は、CPU、プログラムや後述する重み付けテープルを格納するROM、一時的にデータ記憶等に使用するRAM(以上不図示)等から構成されている。そして、制御部201は、上記プログラムに基づいて後述の各フローチャートに示す処理を実行するようになっている。制御部201は、通信制御部202を介して画像形成装置の装置本体の制御部203と制御信号、センサ信号等の授受を行うようになっている。シート処理装置の制御部201と画像形成装置の装置本体1Aの制御部203は、いずれか一方が他方に組み込まれていてもよい。
【0044】
制御部201には、プランジャPL51、下積載トレイ用モータM40、上積載トレイ用モータM41、ステイプラ用モータM50、カッタ用プランジャPL151、ステイプラ移動モータM51が接続されている。また、制御部201には、計数部211、針屑量検知部220及び針屑量算出部221、固定針屑箱センサS60等も接続されている。
【0045】
針屑量算出手段としての針屑量算出部221は、切り替え前の上積載トレイ41(又は下積載トレイ40)に積載される予定の綴じ済みシート束の数に応じた針屑量を算出するようになっている。針屑量算出部は、下積載トレイ又は上積載トレイに積載される綴じ済みシート束の数に基づいた針の数と、針の長さとシート束の厚みとから算出した針屑の長さとの積によって、下積載トレイ又は上積載トレイに積載される綴じ済みシート束の針屑量を算出できる。
【0046】
次に、シート処理装置の針綴じ処理を図6のフローチャートに基づいて説明をする。
【0047】
シート処理装置の制御部201は、処理トレイ25上のシートの後端を後端整合部材30へ突き当てる後端整合と、手前整合部材及び奥整合部材からなる側端整合部32によるシート束の幅整合とによって、シートの整合処理を行う(S401)。制御部201は、後述するプレレジオン信号による綴じ箇所数情報が1箇所綴じか、2箇所綴じかを判断する(S403)。
【0048】
制御部201は、1箇所綴じの場合、ステイプラ50をシート束の1箇所の綴じの位置HC(図3)に移動させて(S405)、ステイプラ50に針綴じ動作をさせる(S407)。制御部201は、2箇所綴じの場合、ステイプラ50をシート束の1箇所目の綴じの位置H1(図3)に移動させて(S411)、ステイプラ50に1箇所目の針綴じ動作をさせる(S413)。そして、制御部201は、ステイプラ50をシート束の2箇所目の綴じの位置H2(図3)に移動させて(S415)、ステイプラ50に2箇所目の針綴じ動作をさせる(S417)。
【0049】
最後、制御部201は、手前整合部材及び奥整合部材からなる側端整合部32によるシート束の幅整合を解除して(S419)、針綴じ処理を終了する。
【0050】
次に、針の余剰部の処理動作を説明する。
【0051】
針屑の量は、針屑量検知部220が、ステイプラの針綴じ動作回数をカウントする計数部211のカウント数と、針の長さ及びシート束の厚みから算出した針屑の長さとの積によって、針屑の長さを算出するようになっている。しかし、説明を簡略化するため、針の長さ及びシート束の厚みから算出した針屑の長さは、全て同じとして、計数部211のカウント数だけで、針屑の量を検知するものとする。そして、「針屑」のことを「針足」とする。
【0052】
本実施形態において、移動針屑箱51の針足の最大収納量は、例えば「220針足」分に設定されているものとする。従って、2箇所綴じ処理モードの場合で110束分のシート束の針足、1箇所綴じ処理モードの場合で220束分のシート束の針足を移動針屑箱51に収納することができるものとする。
【0053】
図7は、針屑量のカウント処理動作説明用のフローチャートである。
【0054】
制御部201は、ステイプラ50に、処理トレイ25に積載されたシート束を針により綴じる動作をさせる(S501でYES)。制御部201は、ステイプラ50によるステイプル回数(綴じ回数)を計数するステイプルカウンタを計数部211にインクリメントする(S503)。次に、制御部201は、後述するプレレジオン信号による数だけのシート束を綴じる当該ジョブが終了したか否かを判断する(S505)。制御部201は、当該ジョブが終了していなければ(S505でNO)、計数部211のカウント数が220回に達したかどうかを判断する(S507)。
【0055】
制御部201は、計数部211のカウント数が220回未満であると判断した場合(S507でNO)、処理S501に戻る。制御部201は、計数部211のカウント数が220回に達したと判断した場合、移動針屑箱51に収納された針足(針屑)を固定針屑箱60に捨てる処理(図2(B))を行う(S509)。針足を捨てる処理が終了すると、S501に戻る。
【0056】
そして、制御部201は、後述するプレレジオン信号による数だけのシート束を綴じるジョブが終了したと判断したとき(S505でYES)、針屑量のカウント処理動作を終了する。
【0057】
図8は、針屑の排出処理動作説明用のフローチャートである。
【0058】
制御部201は、ステイプラ50をホームポジション(図3、待機位置)に移動させて、移動針屑箱51を固定針屑箱60の真上に位置させる(S511)。ホームポジションは、シート処理装置のメンテナンス用ドアに対応する最も手前側の位置に設定されている。
【0059】
次に、制御部201は、プランジャPL51を作動させて(ONにして)開閉蓋52を開放させる(S513)。制御部201は、移動針屑箱51から針足が固定針屑箱60へ落下終了するまで所定時間(例えば2秒)、開閉蓋52の開放状態を維持して(S515)、所定時間経過するとプランジャPL51をOFFにして、開閉蓋52を閉じる(S517)。
【0060】
そして、制御部201は、ステイプラ50をステイプル位置(綴じ位置)へ再度移動させて(S519)、計数部211のステイプルカウンタを0クリアし(S521)、後続のステイプルジョブに備えて、本処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、シート処理装置は、針屑の量が、移動針屑箱51の針屑の収納量を超える前に針屑を排出するので、移動針屑箱51から針屑が溢れるのを防止することができる。なお、シート処理装置は、ジョブが終了する度に、ステイプラ50をホームポジションに戻し、移動針屑箱51に溜まった針足を固定針屑箱60に排出して、次のジョブに備えることができるようになっている。この処理により、次のジョブ開始前には移動針屑箱51を空にすることができる。また、このときにステイプルカウンタを0クリアする。
【0062】
次に、下積載トレイ40と上積載トレイ41とを、排出部42に選択的に位置させる切替動作の時間を利用して、針屑を移動針屑箱51から固定針屑箱60に排出する動作を説明する。
【0063】
図9は、シート束を綴じるときの全体の動作説明用のフローチャートである。図10は、積載トレイの切替時間を利用して針屑を廃棄する場合の動作説明用のフローチャートである。図11は、積載トレイ切替動作に要する時間を示す図である。(A)は、上積載トレイにシート束が積載されているときの図である。(B)は、上積載トレイから下積載トレイに切り替えたときの図である。(C)は、トレイ切替時にシート間隔をあける時間を示す図である。図12は、積載トレイ切替動作に要する時間と、ステイプル針足捨て処理を示す図である。(A)は、ステイプラがシート束を綴じ位置にいるときの図である。(B)は、ステイプラがホームポジションに移動したときの図である。(C)は、針屑を捨てるときに、シート間隔をあけるのに要する時間を示す図である。
【0064】
上積載トレイ41と下積載トレイの両方を使うカスケード積載モードについては、既に述べているとおりであるが、上積載トレイ41から下積載トレイ40にトレイを移動させているときには、画像形成装置から出力されるシートの間隔を開けなければならない。
【0065】
具体的に開ける時間は、前のシートの先端通過から次のシートの先端通過までの時間として10秒である。一方、ステイプル針足捨て処理の動作を行うときも、画像形成装置から出力されるシートの間隔を開けなければならない。このときは、前のシートの先端通過から次のシートの先端通過までの時間として12秒である。どちらも、シートの間隔を開ける量が大きいため、生産性が大きく低下してしまう要因になっている。
【0066】
画像形成装置の装置本体とシート処理装置とで交わされる主な4つの信号を説明する(図1)。
【0067】
4つの信号は、1枚のシートを画像形成装置1の給紙部2から給紙して画像形成装置1の装置本体1Aからシート処理装置10へ受け渡し、排出部42からシート束を排出するまでの区間において順番に送受信される信号である。
【0068】
(プレレジオン信号)
プレレジオン信号は、シート情報、ステイプルやパンチなど動作モード情報、排紙トレイなど積載位置情報等であり、画像形成装置1の給紙のタイミングで画像形成装置1の装置本体1Aの制御部203からシート処理装置10の制御部201へ送信される。シート処理装置の制御部201は、プレレジオン信号に基づいたシート処理時間を制御部203に返信するようになっている。
【0069】
シート処理時間とは、シート処理装置10がシートを処理(シート整合処理、ステイプル処理等)するために必要な時間である。すなわち、シート処理時間とは、該当するシート(画像形成装置1が排出するシート)を、シート処理装置10が受け取ることができるタイミングより早くならないように規制するための時間である。具体的には、画像形成装置からシート処理装置10に前のシートが受け渡される受け渡しタイミングから、シート処理装置がシートを受け取り可能な状態になり画像形成装置1からシート処理装置に該当シートが受け渡される受け渡しタイミングまでの時間である。
【0070】
(レジオン信号)
画像形成装置1のレジストローラ対6でシートの一時停止から再起動をする際に転写器7等に通知されるタイミング信号である。
【0071】
(排紙信号)
画像形成装置1からシート処理装置10へシートを受け渡す直前に、装置本体1Aの制御部203からシート処理装置の制御部201に通知されるタイミング信号である。前のシートの通知から該当シートの通知までの間隔は、前に述べたシート処理時間よりも短くならないようにしなければならない。
【0072】
(ソータ排紙信号)
シート処理装置10の排出部42からシート束を排出したタイミングで、シート処理装置10の制御部201から画像形成装置1の装置本体1Aの制御部203に通知されるタイミング信号である。
【0073】
以上の4つの信号は、あくまでも1枚のシート、或いはシート束に対する信号のタイミングであり、実際は複数のシートを並行して処理している。どのシートに対する信号であるかは、IDを付与して通知しているので、複数のシートが並行処理されても管理できるようになっている。
【0074】
なお、シート処理装置10の制御部201は、前述したように、排出部42からシート束を排出して積載トレイ上にシート束が大量に積載されている場合、積載オーバを検知できるようになっている。このとき、シート処理装置10の制御部201から画像形成装置1の装置本体1Aの制御部203へ積載オーバが通知されて、装置本体1Aが以後の画像形成動作を停止する。しかし、装置本体1Aは、給紙部2から送り出されたシートが有る場合、そのシートに画像を形成する動作を継続する。よって、シート処理装置10は、積載オーバを検知してもすぐには停止せず、1束分のシートの残りの枚数、処理トレイ25に積載されると、そのシート束SWを綴じて排出する。
【0075】
制御部201は、プレレジオン信号に基づいたシートの処理(プレレジオン処理)を行う(図9)。制御部201は、プレレジオン信号に基づいて、シートサイズ、シート束枚数、シート束綴じ箇所数等のシートに関する情報を取得する(S701,S703)。また、制御部201は、シート束を下積載トレイ40と、上積載トレイ41との何れに排出するのか排紙トレイ情報も取得する(S705)。
【0076】
制御部201は、現在、排出部42から排出されたシート束を積載できる位置にいる積載トレイと、プレレジオン信号に基づいて指定された積載トレイとが同じであるか否かを判断する(S707)。異なる場合(S707でNO)、制御部201は、積載トレイの切り替えが必要であると判断し、排紙トレイ切替フラグをセットしトレイ切り替えが発生する予定であることを記憶する(S709)。積載トレイが同じである場合(S707でYES)、また、S709の処理でフラグをセットした後、制御部201は、プレレジオン信号に基づいて、ステイプルモード情報(ステイプルモードを実行するか否かを示す情報)を取得する(S711)。
【0077】
ステイプルモードが指定されていない場合(S713でNO)、制御部201がシート束の針綴じ処理を行わないので、ステイプラはホームポジションにいることになる。この場合、針足(針屑)が移動針屑箱51から固定針屑箱60に排出されて、移動針屑箱51は空になっており、移動針屑箱51の針屑空き容量は最大になっている。このため、制御部201は、計数部211の針屑空き容量カウントを220にセットする(S715)。
【0078】
処理S713でステイプル指定がある場合、制御部201がシート束の針綴じ処理を行うことになるので、移動針屑箱51に針足が溜まることを意味する。よって、制御部201は、綴じ処理を行うと、1箇所綴じの場合、計数部211の針屑空き容量カウントを1つ減算し、2箇所綴じの場合、2つ減算することになる(S717,S719,S721)。
【0079】
その後、制御部201は、図10、図11に基づいて後述する針屑捨てと積載トレイ切り替え判定処理を行って、積載トレイの切替時間を利用して、針屑を移動針屑箱51から固定針屑箱60に排出して(S723)、一連の処理を終了する。
【0080】
次に、図10に基づいて、処理S723のサブルーチンを説明する。
【0081】
制御部201は、計数部211の針屑空き容量カウントが「0」か、否かを判断して(S801)、「0」でない場合(S801でNO)、排紙トレイ切替フラグがセットされているか否を判断する(S803)。なお、計数部211の針屑空き容量カウントは、処理S715,S719,S721において入力されている。また、排紙トレイ切替フラグのセットは、処理S709において行われている。
【0082】
制御部201は、排紙トレイ切替フラグがセットされていないと判断した場合(S803でNO、カスケード処理を行わない)、移動針屑箱51から固定針屑箱60への針屑の排出と、積載トレイの切り替えとを行わない(S805)。この場合、シート処理装置の針屑排出時間は、0秒である(S807)。制御部201は、さらに、綴じ処理するシート束がある場合には、処理S801に戻り、綴じ処理するシート束がなければ、ステイプラによる綴じ処理動作を終了する。
【0083】
制御部201は、処理S803において、排紙トレイ切替フラグがセットされていると判断した場合(S803でYES)、カスケード処理を行うため、積載トレイの切り替えを行う必要がある。この場合、制御部201は、針屑量検知部220(図5)によって検知された移動針屑箱内に収納できる針屑の量と、針屑量算出部221によって算出された針屑の算出量とを比較する(S811)。つまり、排出トレイ切替フラグがセットされている状態(現在排出中の排出トレイが積載オーバであると制御部が判断した状態)で、かつ、この排出トレイに排出予定のシートをシート処理装置が整合処理等をしている際に、制御部は、S811の比較を行う。制御部は、針屑量検知部220の残針屑容量が、針屑量算出部221の現在積載中の排出トレイの最後に積載されるシート束に対して施される針に対応する針屑量よりも多い場合には、移動針屑箱51に針屑を収納する余裕があるため、針屑の排出を行わない。このため、制御部201は、現在の積載トレイのシート束が満杯になると、他の積載トレイへの切り替えのみ行う(S813)。例えば、図11(A),(B)に示すように、上積載トレイ41から下積載トレイ40にシート束の積載の切り替えが行われる。制御部201は、積載トレイの切り替えを行っている間(約10秒)、シート束を積載トレイに排出することができないので、ステイプラの綴じ動作を一旦停止させる(S815)。このため、画像形成装置の装置本体1Aからシート処理装置10のステイプラ部には、シートを送り込まない。積載トレイが切り替わったとき、画像形成装置の装置本体1Aからシートを、ステイプラ部に送り込む。したがって、積載トレイの切り替えが行われている間(積載トレイの切替昇降中)、ステイプラ部に送り込まれるシートの間隔は、図11(C)に示すように、約10秒間に相当するシート搬送距離分だけ空くことになる。
【0084】
処理S811において、針屑量検知部220の針屑の量が、針屑量算出部221の針屑量以下の場合(S811でNO)、切り替えた積載トレイにシート束を排出している間に移動針屑箱51が満杯になることになる。仮に、満杯になったとき、シート処理装置10は、針屑を移動針屑箱から固定針屑箱への針屑の排出処理を、積載トレイの切り替えを行うときとは別の時間に行う必要があり、稼働率が低くなる。このため、制御部201は、針屑の排出処理を積載トレイの切り替えを行うとき、同時に行う(S817)。この場合、図12(A)、(B)に示すように、ステイプラ50をホームポジションに移動させて、排出処理を行うので、ステイプラを約12秒停止させておく必要がある(S819)。また、図12(C)に示すように、シートの間隔を約12秒間に相当するシート搬送距離分だけ空ける必要がある。
【0085】
このように、針屑の排出処理を積載トレイの切り替えと同時に行うと、シート処理装置は、停止回数が従来よりも少なくなり、稼働率を高めることができる。
【0086】
処理S801において、計数部211の針屑空き容量カウントが「0」の場合(S801でYES)、移動針屑箱51は、針屑で満杯になっていることになる。そこで、制御部201は、排紙トレイ切替フラグがセットされているか否を判断する(S821)。制御部201は、排紙トレイ切替フラグがセットされていれば(S821でYES)、シート束の綴じ処理を行うことなく、針屑の排出処理と積載トレイの切り替えとを同時行う(S823)。
【0087】
また、処理821において、排紙トレイ切替フラグがセットされていない場合(S821でNO)、制御部201は、現在の積載トレイのシート束が積載オーバしているか否かを判断する(S825)。制御部201は、シート束が積載オーバしている場合(S825でYES)、制御部201は、この後、直ぐに積載トレイ切替動作が入るか、ジョブが停止するかのいずれかになるため、ここで直ぐに針屑の排出動作を行わない(S827、S829)。シート束が積載オーバしていない場合(S825でNO)、制御部201は、針屑排出動作のみ行い(S831)、必要処理時間を12秒とする処理を行う(S833)。
【0088】
以上説明したように、シート処理装置は、制御部201が、上積載トレイ及び下積載トレイの切替昇降制御時に、移動屑針箱をホームポジションに移動させるステイプラの移動制御と移動針屑箱の針屑排出制御とを行うようになっている。このため、シート処理装置は、積載トレイの昇降切替中に、移動針屑箱の針屑を固定針屑箱に排出する動作を同時に行うので、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくして、稼働率を高くすることができる。また、別の実施形態として、図10のS803のステップにおいて、排紙トレイ切替フラグがセットされている場合は、該排紙トレイの切替時に針屑の排出を毎回行うようにしてもよい。
【0089】
また、画像形成装置は、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくしたシート処理装置を備えているので、シート処理装置へのシートの供給動作の停止回数が少なくなり、稼働率を高くすることができる。
【符号の説明】
【0090】
S:シート、SW:シート束、N:針、NW:針屑、針足(針の余剰部)、H:2箇所綴じ、HC:1箇所の綴じ位置、
1:画像形成装置、1A:画像形成装置の装置本体、3:感光ドラム(画像形成部)、10:シート処理装置、10A:シート処理装置の装置本体、22:バッファローラ(シート貯留部)、25:処理トレイ、30:後端整合部材、40:下積載トレイ(シート積載手段)、41:上積載トレイ(シート積載手段)、42:排出部、50:ステイプラ、51:移動針屑箱(第1の針屑収納部)、52:開閉蓋、60:固定針屑箱(第2の針屑収納部)、150:切除機構(切除手段)、カッタ151、201:制御部(制御手段)、203:画像形成装置の制御部、211:計数部、220:針屑量検知部(針屑量検知手段)、221:針屑量算出部(針屑量算出手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステイプラでシート束を綴じる針をシート束の厚みに適した長さに切除したときに生じる針屑を、ステイプラの針綴じ動作に支障を与えないようにして排出するシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のシートを処理トレイ上で整合してシート束にした後、そのシート束に沿って移動するステイプラでシート束を綴じるシート処理装置がある。ステイプラは、コの状(U字状)の針をシート束に貫通させて、シート束から突出し部分を互いに向き合うように折り曲げて、シート束を綴じるようになっている。
【0003】
そして、ステイプラには、同じ長さの針で、厚みの異なるシート束を綴じるものがある。この場合、針の長さに対してシート束の厚みが薄いと、シート束から突出した部分が、互いに向き合うように折り曲げられたとき、重なり合うことがある。そこで、ステイプラには、シート束から突出した部分を、曲げられたとき重なり合わない長さに切除する機能を備えたものがある(特許文献1)。この場合、針の切除された部分は、針屑として、ステイプラに設けられた第1の収納箱に収納されるようになっている。そして、針屑は第1の収納箱に満杯になると、ステイプラのホームポジションに設けられた第2の収納箱に第1の収納箱から排出されるようになっている。第2の収納箱に収納された針屑は、ユーザによって廃棄される。
【0004】
また、シート処理装置は、綴じたシート束をトレイに排出して積載するようになっている。そして、シート処理装置は、トレイにシートが満杯に積載されると、シート束が積載されていない他のトレイに切り替えて、その切り替えたトレイにシート束を引き続いて積載するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−62913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のシート処理装置は、針屑を第1の収納箱から第2の収納箱に排出する針屑排出動作と、トレイを切り替える切替動作と、を別々に行っていたため、シート処理装置の稼働率が低いという解決すべき課題があった。
【0007】
本発明は、針屑を収納する収納箱の切替と、トレイの切替とを、同時に行えるようにして、ステイプラの針綴じ動作の停止を回数少なくし、稼働率を高くしたシート処理装置と、このシート処理装置を備えて稼働率を高くした画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート処理装置は、針でシート束を綴じる綴じ動作を、シート束に対して移動して行うステイプラと、シート束に対して余剰となる前記針の余剰部を切除する切除手段と、前記ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑として収納して排出可能な第1の針屑収納部と、前記ステイプラの移動範囲内の所定の位置に設けられて、前記ステイプラの移動により前記所定の位置に移動した第1の針屑収納部から排出される針屑を収納する第2の針屑収納部と、綴じ済みシート束を排出する排出部と、前記排出部に対して昇降して、前記排出部から排出された綴じ済みシート束を積載する複数のシート積載手段と、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と、前記第1の針屑収納部の針屑排出制御と、前記排出部に対する複数の前記シート積載手段の切替昇降制御とを行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記シート積載手段の切替昇降制御時に、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と前記第1の針屑収納部の針屑排出制御とを行う、ことを特徴としている。
【0009】
本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、画像を形成されたシートを処理する上記のシート処理装置と、を備え、前記シート処理装置は、前記シート積載手段の切替昇降中に前記画像形成部から送られてきたシートを貯留するシート貯留部を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート処理装置は、シート積載手段の切替時に、第1の針屑収納部の針屑を第2の針屑収納部に排出する動作と、シート積載手段を切り替える動作とを同時に行いので、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくして、稼働率を高くすることができる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくしたシート処理装置を備えているので、シート処理装置へのシートの供給動作の停止回数が少なくなり、稼働率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の装置本体とシート処理装置とのシート搬送方向に沿った断面概略図である。
【図2】本発明の実施形態のシート処理装置のステイプラ、移動針屑箱及び固定針屑箱をシート処理装置の手前側から見た概略図である。(A)は、移動針屑箱に針屑が収納されていない図である。(B)は、移動針屑箱から固定針屑箱に針屑が排出された図である。
【図3】ステイプラの移動動作説明用の平面概略図である。(A)はシート束の2箇所綴じをするときの図である。(B)はステイプラがホームポジションにいるときの図である。
【図4】針の余剰部を切除する切除機構の概略図である。(A)は切除機構のカッタで針の余剰部を切除するときの図である。(B)は、(A)を右側から見た図である。
【図5】シート処理装置の制御ブロック図である。
【図6】シート処理装置の針綴じ処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】針屑量のカウント処理動作説明用のフローチャートである。
【図8】針屑の排出処理動作説明用のフローチャートである。
【図9】シート束を綴じるときの全体の動作説明用のフローチャートである。
【図10】積載トレイの切替時間を利用して針屑を廃棄する場合の動作説明用のフローチャートである。
【図11】積載トレイ切替動作に要する時間を示す図である。(A)は、上積載トレイにシート束が積載されているときの図である。(B)は、上積載トレイから下積載トレイに切り替えたときの図である。(C)は、トレイ切替時にシート間隔をあける時間を示す図である。
【図12】ステイプル針屑捨て処理を示す図である。(A)は、ステイプラがシート束を綴じ位置にいるときの図である。(B)は、ステイプラがホームポジションに移動したときの図である。(C)は、針屑を捨てるときに、シート間隔をあけるのに要する時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態のシート処理装置とこのシート処理装置を備えた画像形成装置とを図に基づいて説明をする。なお、本実施の形態において示す数値は、本実施の形態を理解しやすくための参考数値であって、本発明を限定する数値ではない。
【0014】
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置の装置本体とシート処理装置とのシート搬送方向に沿った断面概略図である(装置本体とシート処理装置とを、シート搬送方向と交差する方向から見た断面概略図である)。
【0015】
画像形成装置1は、装置本体1Aと、シート処理装置10とで構成されている。シート処理装置10は、装置本体1Aにオプションとして着脱自在に接続されるようになっているが、装置本体1A内に一体に組み込まれていても良い。画像形成装置1は、装置本体1Aでシートにトナー画像を形成して、シート処理装置10でシートを束状にして針で綴じるようになっている。
【0016】
画像形成装置1の装置本体1Aは、給紙部2、感光ドラム3、定着部4、排出ローラ対5等を備えている。給紙部2から分離されて給送されたシートSは、画像形成部としての円筒状の感光ドラム3から転写器7によってトナー画像が転写される。トナー画像が転写されたシートは、定着部4によりトナー画像が定着された後、排出ローラ対5によりシート処理装置10に搬送される。
【0017】
(シート処理装置)
シート処理装置10は、バッファローラ22、処理トレイ25、揺動ガイド26、後端整合部材30、側端整合部32、下積載トレイ40、上積載トレイ41、排出部42、ステイプラ50、移動針屑箱51及び固定針屑箱60等を備えている。
【0018】
シート処理装置10は、装置本体1Aから搬送されてきたシートを、搬送ローラ対21、シート貯留部としてのバッファローラ22及び従動ローラ23で搬送して、下排出ローラ対24から処理トレイ25に排出する。
【0019】
処理トレイ25にシートが排出されるとき、上束排出ローラ29が設けられた揺動ガイド26は、揺動支点27を中心にして矢印a方向に上昇回転して、上束排出ローラ29を下束排出ローラ28から離間させている。これによって、上束排出ローラ29が、処理トレイ25に排出されて落下されるシートの落下排出の邪魔をしないようにしている。
【0020】
処理トレイ25は、下流側(図1の左側)を上方とし、上流側(図1の右側)を下方として傾斜したトレイである。下排出ローラ対24に搬送されたシートは、シートの自重とパドル31の左回転とにより、処理トレイ25上を滑走して、処理トレイ25の下方の端部に配設された後端整合部材30に当接させられて、後端を整合させられる。
【0021】
また、処理トレイ25には、側端整合部32が設けられている。側端整合部32は、装置手前側と装置奥側とに独立してシート搬送方向に交差する方向(シートの幅方向、図1の紙面と交差する方向)に移動可能な手前整合部材と奥整合部材とで、シート搬送方向に沿ったシートの両側端を整合する。なお、装置手前側とは、ユーザが画像形成装置を操作するとき画像形成装置に立つ側であり、装置の操作部等が配置された操作側である。
【0022】
このようにして、処理トレイ25に積載されて、後端整合部材30によって後端を整合され、両側端を側端整合部32によって幅整合されたシートは、所定枚数重ねられて束状になると、後述するステイプラ50によって綴じられる。
【0023】
その後、揺動ガイド26が下降回転する。すると、上束排出ローラ29が下束排出ローラ28に接近して、下束排出ローラ28とで処理トレイ25上で綴じられた綴じ済みシート束を挟む。そして、下束排出ローラ28が駆動回転して、綴じ済みシート束を下積載トレイ40と上積載トレイ41とのうち、一方に排出する。
【0024】
下積載トレイ40と上積載トレイ41は、それぞれ、下積載トレイ用モータM40と上積載トレイ用モータM41とによって、シート処理装置10の装置本体10Aに沿って昇降するようになっている。すなわち、複数のシート積載手段としての下積載トレイ40と上積載トレイ41は、排出部42を形成する上束排出ローラ29と下束排出ローラ28とに対して昇降して、排出部42から排出された綴じ済みシート束を積載するようになっている。
【0025】
下積載トレイ40は、例えば、コピー出力或いはプリント出力されたシートを積載するのに使用される。上積載トレイ41は、例えば、サンプル印刷をされたシート、割り込み時にコピーされたシート、下積載トレイ40を積載オーバするシート、ファンクション仕分け(例えばFAX受信)されたシート及び複数ジョブの混載時のシート等を積載するのに使用される。
【0026】
なお、シート処理装置10の動作モードがカスケード積載モードに設定されたとき、下積載トレイ40を下方に退避させておき、上積載トレイ41に綴じ済みシート束を積載する。
【0027】
シート処理装置10の装置本体10Aには、下積載トレイ40と上積載トレイ41との位置と、積載された最上部のシートの位置とを検知する検知部(不図示)が配設されている。制御部201は、これらの検知部によって、下積載トレイ40と上積載トレイ41との位置と、積載オーバとが検知されるようになっている。上積載トレイ41が積載オーバ状態に近くなったとき、或いは積載オーバした場合、シート処理装置10の制御部201(図5)から画像形成装置1の装置本体1A内の制御部203に、上積載トレイ41の積載オーバが通知される。また、この際、シート処理装置10の制御部201は、排出トレイ切替フラグをセットする。このとき、画像形成装置1の装置本体1Aは、画像形成動作をすぐに停止させず、シート処理装置10で形成中の1束分のシートの残りの枚数だけ画像を形成し、シート処理装置10に排出する。
【0028】
その後、上積載トレイ41が排出部42より上方の待避位置に上昇し、綴じ済みシート束が積載されていない下積載トレイ40が上昇する。下積載トレイ40は、排出部42から排出される綴じ済みシート束を積載できる位置に上昇する。そして、画像形成装置1の装置本体1Aは、画像形成動作を再開し、シート処理装置10にシートを排出し、シート処理装置10はシートを処理して下積載トレイ40に処理済みシートを排出する。このように、シート処理装置10は、上積載トレイ41と下積載トレイ40とを切替昇降させることで、上積載トレイ41と下積載トレイ40との両方を使用して、大量のシートを積載するカスケード積載モードを実行することができる。
【0029】
次に、ステイプラ50、切除機構150、移動針屑箱51及び固定針屑箱60等を説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施形態のシート処理装置のステイプラ、移動針屑箱及び固定針屑箱をシート処理装置の手前側から見た概略図である(処理トレイ25に排出されたシートのシート面と交差する方向から見た概略図である)。(A)は、移動針屑箱に針屑が収納されていない図である。(B)は、移動針屑箱から固定針屑箱に針屑が排出された図である。図3は、ステイプラの移動動作説明用の平面概略図である。(A)はシート束の2箇所綴じをするときの図である。(B)はステイプラがホームポジションにいるときの図である。図4は、針の余剰部を切除する切除機構の概略図である。(A)は切除機構のカッタで針の余剰部を切除するときの図である。(B)は、(A)を右側から見た図である。
【0031】
ガイドレール97(図3)は、後端整合部材30(図1)のシートの後端と当接する当接面に沿って平行に配設されている。ステイプラ50は、ガイドレール97(図3)上をシート処理装置の手前側と奥側とに移動(後端整合部材30に後端が当接したシート束の後端に沿って移動)して、処理トレイ25に積載されて整合されたシート束の後端を針Nで綴じるようになっている。ステイプラ50は、ステイプラ用モータM50(図1、DCブラシモータ)により駆動され、針でシート束を綴じるようになっている。そして、ステイプラ50は、ステイプラ移動モータM51(図5)により、シート束SW(図3)の2箇所の綴じ位置H1,H2と、シート束SWの角の1箇所の綴じ位置HCに選択的に移動可能に構成されている。ステイプラ50は、シート束の綴じ動作を行わないとき、図3(B)に示すホームポジションに待機している。
【0032】
ステイプラ50は、針Nでシート束SWを綴じたとき、シート束SWに対して余剰となる針の余剰部(針屑NW)を切除する切除手段としての切除機構150を備えている。
【0033】
ステイプラ50の後部(図2において右側)には、ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑NWとして収納して排出可能な第1の針屑収納部としての移動針屑箱51が付設されている。
【0034】
ステイプラ50のホームポジション(所定の位置)には、ステイプラの移動によりホームポジションに移動した移動針屑箱51から排出される針屑を収納する第2の針屑収納部としての固定針屑箱60が設けられている。ステイプラのホームポジションは、ガイドレール97に沿った、ステイプラ50の移動範囲内に位置している。
【0035】
ステイプラ50のホームポジションと固定針屑箱60の位置は、シート処理装置の装置本体10Aの手前側の不図示の開閉扉の近くである。これによって、ステイプラ50のメンテナンスを容易に行うことができる。また、固定針屑箱60は、ユーザが装置本体10Aから容易に取り出して、針屑を容易に廃棄することができるようになっている。固定針屑箱60は、固定針屑箱センサS60によって、装置本体10Aに装備されているか否かを検知されるようになっている。
【0036】
移動針屑箱51は、切除機構150によって切除された針の余剰部である針屑NWを収納できるように箱状に形成されている。針屑NWは、切除機構150から不図示の移動経路に案内されて移動針屑箱51に流入するようになっている。移動針屑箱51の底部は、開閉自在な開閉蓋52になっている。通常、開閉蓋52は、引張ばね53に引っ張られて、移動針屑箱51の底部を閉じている。また、開閉蓋52は、プランジャPL51によって回転する開閉リンク54に押されて、矢印C方向に回転して、移動針屑箱51の底部を開くようになっている。開閉リンク54は、移動針屑箱51に設けられた軸55に回転自在に設けられており、一端は、プランジャPL51に連結され、他端は、開閉蓋52を押すようになっている。なお、引張ばね53、プランジャPL51及び開閉リンク54は、移動針屑箱51の外側に設けられている。引張ばね53と開閉リンク54は、開閉蓋52が移動針屑箱51の外側に突出した部分に接続されている。
【0037】
移動針屑箱51に収納される針屑の量は、針屑量検知手段としての針屑量検知部220(図5)によって検知される。針屑量検知部220は、ステイプラの針綴じ動作回数をカウントする計数部211のカウント数と、針の長さ及びシート束の厚みから算出した針屑の長さとの積によって、移動針屑箱51に現在収納されている針屑の量を算出できるようになっている。また、針屑量検知部220は、移動針屑箱51に収納される最大針屑量と、移動針屑箱51に現在収納されている針屑の量との差によって、移動針屑箱51に現在収納可能な針屑量を算出できるようになっている。
【0038】
ステイプラ50の切除機構150の概略構成を図4に基づいて説明する。
【0039】
ステイプラ50は、切除機構150を備えている。切除機構150は、カッタ151と、カッタ151を移動させるカッタ用プランジャPL151とを備えている。
【0040】
処理トレイ25に所定枚数のシートからなるシート束SWが積載されると、ステイプラ50によりシート束に針Nが打ち込まれ、図4(A)に示すように、針Nの先端部がシート束より飛び出た状態になる。このとき、針NにおけるラインZ部より上の部分は、針Nの針足を折り曲げる工程で余剰部となるので、カッタ用プランジャPL151の作動によって、カッタ151により切除される。カッタ151は、矢印Y方向へ移動することにより、ラインZよりはみ出た余剰部を切除する。ステイプラ50がシート束を綴じる場合、カッタ151は2本の余剰部をほぼ同時に切除する。
【0041】
切除された針足は、ステイプラ50に付設された移動針屑箱51に収納される。カッタ151が針Nの針足を切除した後、ステイプラ50は、残りの針足を折り曲げてシート束を綴じる。針Nの打ち込み及び針足折り曲げは、ステイプラ用モータM50で行われる。また、ステイプラ50のシート束に沿った移動は、ステイプラ移動モータM51により行われる。
【0042】
図5は、シート処理装置10の制御ブロック図である。
【0043】
制御手段としての制御部201は、CPU、プログラムや後述する重み付けテープルを格納するROM、一時的にデータ記憶等に使用するRAM(以上不図示)等から構成されている。そして、制御部201は、上記プログラムに基づいて後述の各フローチャートに示す処理を実行するようになっている。制御部201は、通信制御部202を介して画像形成装置の装置本体の制御部203と制御信号、センサ信号等の授受を行うようになっている。シート処理装置の制御部201と画像形成装置の装置本体1Aの制御部203は、いずれか一方が他方に組み込まれていてもよい。
【0044】
制御部201には、プランジャPL51、下積載トレイ用モータM40、上積載トレイ用モータM41、ステイプラ用モータM50、カッタ用プランジャPL151、ステイプラ移動モータM51が接続されている。また、制御部201には、計数部211、針屑量検知部220及び針屑量算出部221、固定針屑箱センサS60等も接続されている。
【0045】
針屑量算出手段としての針屑量算出部221は、切り替え前の上積載トレイ41(又は下積載トレイ40)に積載される予定の綴じ済みシート束の数に応じた針屑量を算出するようになっている。針屑量算出部は、下積載トレイ又は上積載トレイに積載される綴じ済みシート束の数に基づいた針の数と、針の長さとシート束の厚みとから算出した針屑の長さとの積によって、下積載トレイ又は上積載トレイに積載される綴じ済みシート束の針屑量を算出できる。
【0046】
次に、シート処理装置の針綴じ処理を図6のフローチャートに基づいて説明をする。
【0047】
シート処理装置の制御部201は、処理トレイ25上のシートの後端を後端整合部材30へ突き当てる後端整合と、手前整合部材及び奥整合部材からなる側端整合部32によるシート束の幅整合とによって、シートの整合処理を行う(S401)。制御部201は、後述するプレレジオン信号による綴じ箇所数情報が1箇所綴じか、2箇所綴じかを判断する(S403)。
【0048】
制御部201は、1箇所綴じの場合、ステイプラ50をシート束の1箇所の綴じの位置HC(図3)に移動させて(S405)、ステイプラ50に針綴じ動作をさせる(S407)。制御部201は、2箇所綴じの場合、ステイプラ50をシート束の1箇所目の綴じの位置H1(図3)に移動させて(S411)、ステイプラ50に1箇所目の針綴じ動作をさせる(S413)。そして、制御部201は、ステイプラ50をシート束の2箇所目の綴じの位置H2(図3)に移動させて(S415)、ステイプラ50に2箇所目の針綴じ動作をさせる(S417)。
【0049】
最後、制御部201は、手前整合部材及び奥整合部材からなる側端整合部32によるシート束の幅整合を解除して(S419)、針綴じ処理を終了する。
【0050】
次に、針の余剰部の処理動作を説明する。
【0051】
針屑の量は、針屑量検知部220が、ステイプラの針綴じ動作回数をカウントする計数部211のカウント数と、針の長さ及びシート束の厚みから算出した針屑の長さとの積によって、針屑の長さを算出するようになっている。しかし、説明を簡略化するため、針の長さ及びシート束の厚みから算出した針屑の長さは、全て同じとして、計数部211のカウント数だけで、針屑の量を検知するものとする。そして、「針屑」のことを「針足」とする。
【0052】
本実施形態において、移動針屑箱51の針足の最大収納量は、例えば「220針足」分に設定されているものとする。従って、2箇所綴じ処理モードの場合で110束分のシート束の針足、1箇所綴じ処理モードの場合で220束分のシート束の針足を移動針屑箱51に収納することができるものとする。
【0053】
図7は、針屑量のカウント処理動作説明用のフローチャートである。
【0054】
制御部201は、ステイプラ50に、処理トレイ25に積載されたシート束を針により綴じる動作をさせる(S501でYES)。制御部201は、ステイプラ50によるステイプル回数(綴じ回数)を計数するステイプルカウンタを計数部211にインクリメントする(S503)。次に、制御部201は、後述するプレレジオン信号による数だけのシート束を綴じる当該ジョブが終了したか否かを判断する(S505)。制御部201は、当該ジョブが終了していなければ(S505でNO)、計数部211のカウント数が220回に達したかどうかを判断する(S507)。
【0055】
制御部201は、計数部211のカウント数が220回未満であると判断した場合(S507でNO)、処理S501に戻る。制御部201は、計数部211のカウント数が220回に達したと判断した場合、移動針屑箱51に収納された針足(針屑)を固定針屑箱60に捨てる処理(図2(B))を行う(S509)。針足を捨てる処理が終了すると、S501に戻る。
【0056】
そして、制御部201は、後述するプレレジオン信号による数だけのシート束を綴じるジョブが終了したと判断したとき(S505でYES)、針屑量のカウント処理動作を終了する。
【0057】
図8は、針屑の排出処理動作説明用のフローチャートである。
【0058】
制御部201は、ステイプラ50をホームポジション(図3、待機位置)に移動させて、移動針屑箱51を固定針屑箱60の真上に位置させる(S511)。ホームポジションは、シート処理装置のメンテナンス用ドアに対応する最も手前側の位置に設定されている。
【0059】
次に、制御部201は、プランジャPL51を作動させて(ONにして)開閉蓋52を開放させる(S513)。制御部201は、移動針屑箱51から針足が固定針屑箱60へ落下終了するまで所定時間(例えば2秒)、開閉蓋52の開放状態を維持して(S515)、所定時間経過するとプランジャPL51をOFFにして、開閉蓋52を閉じる(S517)。
【0060】
そして、制御部201は、ステイプラ50をステイプル位置(綴じ位置)へ再度移動させて(S519)、計数部211のステイプルカウンタを0クリアし(S521)、後続のステイプルジョブに備えて、本処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、シート処理装置は、針屑の量が、移動針屑箱51の針屑の収納量を超える前に針屑を排出するので、移動針屑箱51から針屑が溢れるのを防止することができる。なお、シート処理装置は、ジョブが終了する度に、ステイプラ50をホームポジションに戻し、移動針屑箱51に溜まった針足を固定針屑箱60に排出して、次のジョブに備えることができるようになっている。この処理により、次のジョブ開始前には移動針屑箱51を空にすることができる。また、このときにステイプルカウンタを0クリアする。
【0062】
次に、下積載トレイ40と上積載トレイ41とを、排出部42に選択的に位置させる切替動作の時間を利用して、針屑を移動針屑箱51から固定針屑箱60に排出する動作を説明する。
【0063】
図9は、シート束を綴じるときの全体の動作説明用のフローチャートである。図10は、積載トレイの切替時間を利用して針屑を廃棄する場合の動作説明用のフローチャートである。図11は、積載トレイ切替動作に要する時間を示す図である。(A)は、上積載トレイにシート束が積載されているときの図である。(B)は、上積載トレイから下積載トレイに切り替えたときの図である。(C)は、トレイ切替時にシート間隔をあける時間を示す図である。図12は、積載トレイ切替動作に要する時間と、ステイプル針足捨て処理を示す図である。(A)は、ステイプラがシート束を綴じ位置にいるときの図である。(B)は、ステイプラがホームポジションに移動したときの図である。(C)は、針屑を捨てるときに、シート間隔をあけるのに要する時間を示す図である。
【0064】
上積載トレイ41と下積載トレイの両方を使うカスケード積載モードについては、既に述べているとおりであるが、上積載トレイ41から下積載トレイ40にトレイを移動させているときには、画像形成装置から出力されるシートの間隔を開けなければならない。
【0065】
具体的に開ける時間は、前のシートの先端通過から次のシートの先端通過までの時間として10秒である。一方、ステイプル針足捨て処理の動作を行うときも、画像形成装置から出力されるシートの間隔を開けなければならない。このときは、前のシートの先端通過から次のシートの先端通過までの時間として12秒である。どちらも、シートの間隔を開ける量が大きいため、生産性が大きく低下してしまう要因になっている。
【0066】
画像形成装置の装置本体とシート処理装置とで交わされる主な4つの信号を説明する(図1)。
【0067】
4つの信号は、1枚のシートを画像形成装置1の給紙部2から給紙して画像形成装置1の装置本体1Aからシート処理装置10へ受け渡し、排出部42からシート束を排出するまでの区間において順番に送受信される信号である。
【0068】
(プレレジオン信号)
プレレジオン信号は、シート情報、ステイプルやパンチなど動作モード情報、排紙トレイなど積載位置情報等であり、画像形成装置1の給紙のタイミングで画像形成装置1の装置本体1Aの制御部203からシート処理装置10の制御部201へ送信される。シート処理装置の制御部201は、プレレジオン信号に基づいたシート処理時間を制御部203に返信するようになっている。
【0069】
シート処理時間とは、シート処理装置10がシートを処理(シート整合処理、ステイプル処理等)するために必要な時間である。すなわち、シート処理時間とは、該当するシート(画像形成装置1が排出するシート)を、シート処理装置10が受け取ることができるタイミングより早くならないように規制するための時間である。具体的には、画像形成装置からシート処理装置10に前のシートが受け渡される受け渡しタイミングから、シート処理装置がシートを受け取り可能な状態になり画像形成装置1からシート処理装置に該当シートが受け渡される受け渡しタイミングまでの時間である。
【0070】
(レジオン信号)
画像形成装置1のレジストローラ対6でシートの一時停止から再起動をする際に転写器7等に通知されるタイミング信号である。
【0071】
(排紙信号)
画像形成装置1からシート処理装置10へシートを受け渡す直前に、装置本体1Aの制御部203からシート処理装置の制御部201に通知されるタイミング信号である。前のシートの通知から該当シートの通知までの間隔は、前に述べたシート処理時間よりも短くならないようにしなければならない。
【0072】
(ソータ排紙信号)
シート処理装置10の排出部42からシート束を排出したタイミングで、シート処理装置10の制御部201から画像形成装置1の装置本体1Aの制御部203に通知されるタイミング信号である。
【0073】
以上の4つの信号は、あくまでも1枚のシート、或いはシート束に対する信号のタイミングであり、実際は複数のシートを並行して処理している。どのシートに対する信号であるかは、IDを付与して通知しているので、複数のシートが並行処理されても管理できるようになっている。
【0074】
なお、シート処理装置10の制御部201は、前述したように、排出部42からシート束を排出して積載トレイ上にシート束が大量に積載されている場合、積載オーバを検知できるようになっている。このとき、シート処理装置10の制御部201から画像形成装置1の装置本体1Aの制御部203へ積載オーバが通知されて、装置本体1Aが以後の画像形成動作を停止する。しかし、装置本体1Aは、給紙部2から送り出されたシートが有る場合、そのシートに画像を形成する動作を継続する。よって、シート処理装置10は、積載オーバを検知してもすぐには停止せず、1束分のシートの残りの枚数、処理トレイ25に積載されると、そのシート束SWを綴じて排出する。
【0075】
制御部201は、プレレジオン信号に基づいたシートの処理(プレレジオン処理)を行う(図9)。制御部201は、プレレジオン信号に基づいて、シートサイズ、シート束枚数、シート束綴じ箇所数等のシートに関する情報を取得する(S701,S703)。また、制御部201は、シート束を下積載トレイ40と、上積載トレイ41との何れに排出するのか排紙トレイ情報も取得する(S705)。
【0076】
制御部201は、現在、排出部42から排出されたシート束を積載できる位置にいる積載トレイと、プレレジオン信号に基づいて指定された積載トレイとが同じであるか否かを判断する(S707)。異なる場合(S707でNO)、制御部201は、積載トレイの切り替えが必要であると判断し、排紙トレイ切替フラグをセットしトレイ切り替えが発生する予定であることを記憶する(S709)。積載トレイが同じである場合(S707でYES)、また、S709の処理でフラグをセットした後、制御部201は、プレレジオン信号に基づいて、ステイプルモード情報(ステイプルモードを実行するか否かを示す情報)を取得する(S711)。
【0077】
ステイプルモードが指定されていない場合(S713でNO)、制御部201がシート束の針綴じ処理を行わないので、ステイプラはホームポジションにいることになる。この場合、針足(針屑)が移動針屑箱51から固定針屑箱60に排出されて、移動針屑箱51は空になっており、移動針屑箱51の針屑空き容量は最大になっている。このため、制御部201は、計数部211の針屑空き容量カウントを220にセットする(S715)。
【0078】
処理S713でステイプル指定がある場合、制御部201がシート束の針綴じ処理を行うことになるので、移動針屑箱51に針足が溜まることを意味する。よって、制御部201は、綴じ処理を行うと、1箇所綴じの場合、計数部211の針屑空き容量カウントを1つ減算し、2箇所綴じの場合、2つ減算することになる(S717,S719,S721)。
【0079】
その後、制御部201は、図10、図11に基づいて後述する針屑捨てと積載トレイ切り替え判定処理を行って、積載トレイの切替時間を利用して、針屑を移動針屑箱51から固定針屑箱60に排出して(S723)、一連の処理を終了する。
【0080】
次に、図10に基づいて、処理S723のサブルーチンを説明する。
【0081】
制御部201は、計数部211の針屑空き容量カウントが「0」か、否かを判断して(S801)、「0」でない場合(S801でNO)、排紙トレイ切替フラグがセットされているか否を判断する(S803)。なお、計数部211の針屑空き容量カウントは、処理S715,S719,S721において入力されている。また、排紙トレイ切替フラグのセットは、処理S709において行われている。
【0082】
制御部201は、排紙トレイ切替フラグがセットされていないと判断した場合(S803でNO、カスケード処理を行わない)、移動針屑箱51から固定針屑箱60への針屑の排出と、積載トレイの切り替えとを行わない(S805)。この場合、シート処理装置の針屑排出時間は、0秒である(S807)。制御部201は、さらに、綴じ処理するシート束がある場合には、処理S801に戻り、綴じ処理するシート束がなければ、ステイプラによる綴じ処理動作を終了する。
【0083】
制御部201は、処理S803において、排紙トレイ切替フラグがセットされていると判断した場合(S803でYES)、カスケード処理を行うため、積載トレイの切り替えを行う必要がある。この場合、制御部201は、針屑量検知部220(図5)によって検知された移動針屑箱内に収納できる針屑の量と、針屑量算出部221によって算出された針屑の算出量とを比較する(S811)。つまり、排出トレイ切替フラグがセットされている状態(現在排出中の排出トレイが積載オーバであると制御部が判断した状態)で、かつ、この排出トレイに排出予定のシートをシート処理装置が整合処理等をしている際に、制御部は、S811の比較を行う。制御部は、針屑量検知部220の残針屑容量が、針屑量算出部221の現在積載中の排出トレイの最後に積載されるシート束に対して施される針に対応する針屑量よりも多い場合には、移動針屑箱51に針屑を収納する余裕があるため、針屑の排出を行わない。このため、制御部201は、現在の積載トレイのシート束が満杯になると、他の積載トレイへの切り替えのみ行う(S813)。例えば、図11(A),(B)に示すように、上積載トレイ41から下積載トレイ40にシート束の積載の切り替えが行われる。制御部201は、積載トレイの切り替えを行っている間(約10秒)、シート束を積載トレイに排出することができないので、ステイプラの綴じ動作を一旦停止させる(S815)。このため、画像形成装置の装置本体1Aからシート処理装置10のステイプラ部には、シートを送り込まない。積載トレイが切り替わったとき、画像形成装置の装置本体1Aからシートを、ステイプラ部に送り込む。したがって、積載トレイの切り替えが行われている間(積載トレイの切替昇降中)、ステイプラ部に送り込まれるシートの間隔は、図11(C)に示すように、約10秒間に相当するシート搬送距離分だけ空くことになる。
【0084】
処理S811において、針屑量検知部220の針屑の量が、針屑量算出部221の針屑量以下の場合(S811でNO)、切り替えた積載トレイにシート束を排出している間に移動針屑箱51が満杯になることになる。仮に、満杯になったとき、シート処理装置10は、針屑を移動針屑箱から固定針屑箱への針屑の排出処理を、積載トレイの切り替えを行うときとは別の時間に行う必要があり、稼働率が低くなる。このため、制御部201は、針屑の排出処理を積載トレイの切り替えを行うとき、同時に行う(S817)。この場合、図12(A)、(B)に示すように、ステイプラ50をホームポジションに移動させて、排出処理を行うので、ステイプラを約12秒停止させておく必要がある(S819)。また、図12(C)に示すように、シートの間隔を約12秒間に相当するシート搬送距離分だけ空ける必要がある。
【0085】
このように、針屑の排出処理を積載トレイの切り替えと同時に行うと、シート処理装置は、停止回数が従来よりも少なくなり、稼働率を高めることができる。
【0086】
処理S801において、計数部211の針屑空き容量カウントが「0」の場合(S801でYES)、移動針屑箱51は、針屑で満杯になっていることになる。そこで、制御部201は、排紙トレイ切替フラグがセットされているか否を判断する(S821)。制御部201は、排紙トレイ切替フラグがセットされていれば(S821でYES)、シート束の綴じ処理を行うことなく、針屑の排出処理と積載トレイの切り替えとを同時行う(S823)。
【0087】
また、処理821において、排紙トレイ切替フラグがセットされていない場合(S821でNO)、制御部201は、現在の積載トレイのシート束が積載オーバしているか否かを判断する(S825)。制御部201は、シート束が積載オーバしている場合(S825でYES)、制御部201は、この後、直ぐに積載トレイ切替動作が入るか、ジョブが停止するかのいずれかになるため、ここで直ぐに針屑の排出動作を行わない(S827、S829)。シート束が積載オーバしていない場合(S825でNO)、制御部201は、針屑排出動作のみ行い(S831)、必要処理時間を12秒とする処理を行う(S833)。
【0088】
以上説明したように、シート処理装置は、制御部201が、上積載トレイ及び下積載トレイの切替昇降制御時に、移動屑針箱をホームポジションに移動させるステイプラの移動制御と移動針屑箱の針屑排出制御とを行うようになっている。このため、シート処理装置は、積載トレイの昇降切替中に、移動針屑箱の針屑を固定針屑箱に排出する動作を同時に行うので、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくして、稼働率を高くすることができる。また、別の実施形態として、図10のS803のステップにおいて、排紙トレイ切替フラグがセットされている場合は、該排紙トレイの切替時に針屑の排出を毎回行うようにしてもよい。
【0089】
また、画像形成装置は、ステイプラの針綴じ動作の停止回数を少なくしたシート処理装置を備えているので、シート処理装置へのシートの供給動作の停止回数が少なくなり、稼働率を高くすることができる。
【符号の説明】
【0090】
S:シート、SW:シート束、N:針、NW:針屑、針足(針の余剰部)、H:2箇所綴じ、HC:1箇所の綴じ位置、
1:画像形成装置、1A:画像形成装置の装置本体、3:感光ドラム(画像形成部)、10:シート処理装置、10A:シート処理装置の装置本体、22:バッファローラ(シート貯留部)、25:処理トレイ、30:後端整合部材、40:下積載トレイ(シート積載手段)、41:上積載トレイ(シート積載手段)、42:排出部、50:ステイプラ、51:移動針屑箱(第1の針屑収納部)、52:開閉蓋、60:固定針屑箱(第2の針屑収納部)、150:切除機構(切除手段)、カッタ151、201:制御部(制御手段)、203:画像形成装置の制御部、211:計数部、220:針屑量検知部(針屑量検知手段)、221:針屑量算出部(針屑量算出手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針でシート束を綴じる綴じ動作を、シート束に対して移動して行うステイプラと、
シート束に対して余剰となる前記針の余剰部を切除する切除手段と、
前記ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑として収納して排出可能な第1の針屑収納部と、
前記ステイプラの移動範囲内の所定の位置に設けられて、前記ステイプラの移動により前記所定の位置に移動した第1の針屑収納部から排出される針屑を収納する第2の針屑収納部と、
綴じ済みシート束を排出する排出部と、
前記排出部に対して昇降して、前記排出部から排出された綴じ済みシート束を積載する複数のシート積載手段と、
前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と、前記第1の針屑収納部の針屑排出制御と、前記排出部に対する複数の前記シート積載手段の切替昇降制御とを行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記シート積載手段の切替昇降制御時に、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と前記第1の針屑収納部の針屑排出制御とを行う、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記第1の針屑収納部に現在収納可能な針屑量を検知する針屑量検知手段と、綴じ済みシート束が積載されていない切り替え前の前記シート積載手段に積載される綴じ済みシート束の数に応じた針屑量を算出する針屑量算出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記針屑量検知手段が検知した現在収納可能な針屑量が、前記針屑量算出手段が算出した算出量より少ない場合、切り替え前の前記シート積載手段の切替昇降制御時に、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と前記第1の針屑収納部の針屑排出制御とを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
シートに画像を形成する画像形成部と、
画像を形成されたシートを処理する請求項1又は2に記載のシート処理装置と、を備え、
前記シート処理装置は、前記シート積載手段の切替昇降中に前記画像形成部から送られてきたシートを貯留するシート貯留部を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
針でシート束を綴じる綴じ動作を、シート束に対して移動して行うステイプラと、
シート束に対して余剰となる前記針の余剰部を切除する切除手段と、
前記ステイプラと一体に移動し、かつ切除された針の余剰部を針屑として収納して排出可能な第1の針屑収納部と、
前記ステイプラの移動範囲内の所定の位置に設けられて、前記ステイプラの移動により前記所定の位置に移動した第1の針屑収納部から排出される針屑を収納する第2の針屑収納部と、
綴じ済みシート束を排出する排出部と、
前記排出部に対して昇降して、前記排出部から排出された綴じ済みシート束を積載する複数のシート積載手段と、
前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と、前記第1の針屑収納部の針屑排出制御と、前記排出部に対する複数の前記シート積載手段の切替昇降制御とを行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記シート積載手段の切替昇降制御時に、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と前記第1の針屑収納部の針屑排出制御とを行う、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記第1の針屑収納部に現在収納可能な針屑量を検知する針屑量検知手段と、綴じ済みシート束が積載されていない切り替え前の前記シート積載手段に積載される綴じ済みシート束の数に応じた針屑量を算出する針屑量算出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記針屑量検知手段が検知した現在収納可能な針屑量が、前記針屑量算出手段が算出した算出量より少ない場合、切り替え前の前記シート積載手段の切替昇降制御時に、前記第1の針屑収納部を前記所定の位置に移動させる前記ステイプラの移動制御と前記第1の針屑収納部の針屑排出制御とを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
シートに画像を形成する画像形成部と、
画像を形成されたシートを処理する請求項1又は2に記載のシート処理装置と、を備え、
前記シート処理装置は、前記シート積載手段の切替昇降中に前記画像形成部から送られてきたシートを貯留するシート貯留部を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−100158(P2013−100158A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244303(P2011−244303)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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