説明

シート切断具とそれを用いるシート収納容器

【課題】薄板シートを切断する切断板を幾通りにも使用できる切断具を提供すると共にシートの使用終了後、何度も使用可能な収納容器を提供する。
【解決手段】一方の側端縁或は両側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる切断板と、その切断板が固定され且つ前記両鋸歯状刃の切断動作に妨げとならない程度に切断板より幅狭く形成された補強板と、その補強板が着脱自在に取付けられる基台部とからシート切断具を構成し、基台部に対して補強板を前後逆に、裏表逆に、或は上下逆に取り付け、鋸歯状刃を幾通りにも有効に使用する。シート収納容器を合成樹脂等の強固な材料で構成することにより、巻回シート終了後も収納容器を使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート切断具とそれを用いるシート収納容器に関するものである。更に詳述すると、合成樹脂製のラップシート、アルミフォイル、合成樹脂製テープ等の薄い可撓性シートを容易且つ綺麗に切断できるシート切断具を提供すると共に、薄板シートの筒状巻回体が回転自在に収納でき、然も前記切断具を用いて筒状に巻回されたシートを容易に切断出来るようになされたシート収納容器を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状(ロール状)に巻回されたラップシートは一側面が開放された紙製の直方体収納容器に収納されて使用されるが、その収納容器の前記一側面の開口端にはアルミ等の金属製の鋸歯状刃が配設されている。収納容器の開口端から外方に引き出されたシートはその鋸歯状刃で切断される。その際、収納容器は水濡れや紙の経時劣化により型崩れしやすく、また、鋸歯状刃は金属板の側縁に直線状に配設されているので、シートを切断する際、外部から加わる力は鋸歯状刃全体に分散されることになり、切断には強い力が必要となる。そこで、シートを外方に強く引っ張り、且つシートを少し捻り、シートの端縁に力が集中して加わるようにして、シートの幅方向の一端から他端まで順次に切断するようにしなければ、うまく切断出来ないし、また、一端から他端まで順次に切断して行くには時間を要するという問題がある。また、シートを外方に強く引っ張り、且つシートを少し捻って一端から他端まで順次に切断するので、切断し終わった途端に、シートの端が跳ね返り、シートの他の面に付着して、付着をはがすのに手間がかかり、シートの重なった部分を時には廃棄してしまわなければならないという問題があった。
【0003】
従来、ラップシートは塩化ビニールで作られていたので、切断しやすく、且つこの材質は伸展性があるので、ラップ用の材料としては好適であった。しかし、塩化ビニールは燃焼させると、ダイオキシンが発生するので、外気環境を非常に悪くする。そこで、最近は塩化ビニールの代わりにポリプロピレンが使用されるようになったが、この材料は外気環境には良いが、丈夫なため切断し難いという欠点がある。そのため、上述のような問題が更に強く現れるようになっている。
【0004】
このような問題を解決するために、同一平面上に且つ突形状に鋸歯状刃を金属板の側縁に設けるという技術がある。例えば、特公平4−19092号には直方体の収納ケースの開口部に接合された蓋体の前端部には掩蓋片が設けられ、更に掩蓋片の裏面には突形状の金属製切断部材が設けられたラップシートの紙製収納ケースが開示されている。この従来例では、シートを外方に引っ張る力の掛け具合によりシートの切断個所が直線状にならないという問題がある。また、前述の如く、収納ケースは紙製であるので、型崩れを起こすという問題がある。
【0005】
また上述のような従来例では巻回されたラップシートを使い終わると、紙製の収納容器を捨ててしまっている。ラップシートは多くの家庭で使用されるので、全国では収納容器の使用個数は莫大な個数となり、通常はこの大量の収納容器を塵として燃焼させており、大事な資源を無駄に浪費することになり、しかも収納容器の燃焼により地球環境を悪くしてしまうという問題が発生する。
【0006】
上述のように従来例では、鋸歯状刃が直線状に配設されているので、ラップシートを切断する際、シートを外方に強く引っ張り、且つシートを少し捻って一端から他端まで順次に切断するようにしなければ、うまく切断出来ない。また、一端から他端まで順次に切断するので、切断に時間を要するという問題がある。これらの問題をすべて解決するため、本発明者は先に特願2003−432320号「シート切断具とそれを用いるシート収納容器」を提供した。即ち、この先願発明は新しいシート切断具を提供するものであり、少しの力で然も瞬時にシートを切断できるので、シート切断直後にシートが跳ね返るという問題も解決し、更に、シートの収納容器はロール状に巻回されたシートを使い終えても、その収納容器にロール状に巻回された新たなシートを装着して何度でも使用できる技術を提供した。そして、従来では、帯状の幅狭のアルミ板等の金属板の一方の側縁にのみ鋸歯状刃が設けられているが、シートを何回も切断している中に刃がなまってしまって切れなくなっても、どうすることも出来ず、シートの収納容器もろともに廃棄せざるを得ず、資源を無駄にしていた。
【0007】
【特許文献1】特公平4−19092号
【特許文献2】特願2003−432320号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように従来例では、鋸歯状刃は帯状の金属板の片方だけの側縁に設けられているので、その刃が切れなくなると、廃棄処分にしていた。本発明はこのような問題を解決できる新しいシート切断具を提供するものであり、金属等の堅固材よりなる堅固板の両側端縁に鋸歯状刃を形成し、シートを切断している間に一方の刃がなまって切れなくなっても、他方の刃が使用できるように簡単な操作で出来るようにする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のシート切断具は、側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる切断板と、その切断板が溶着、接着、締付等により固定され且つ前記両鋸歯状刃の切断動作に妨げとならない程度に切断板より幅狭く形成された合成樹脂等よりなる補強板と、その補強板が着脱自在に取付けられる基台部とを備えている。
【0010】
また、請求項2に記載のシート切断具は、両側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる切断板と、その切断板が溶着、接着、締付等により固定され且つ前記両鋸歯状刃の切断動作に妨げとならない程度に切断板より幅狭く形成された合成樹脂等よりなる補強板と、その補強板が着脱自在に取付けられる基台部とを備えている。
【0011】
更に、請求項3に記載のシート切断具は、請求項2において、前記切断板が平面で且つ少なくとも一側端縁はV字状に形成され、そのV字状の側縁に沿って前記鋸歯状刃が形成されている。
【0012】
更にまた、請求項4に記載のシート切断具は、請求項2において、切断板が、両側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる第1及び第2基板を長手方向に対して垂直方向に変移するように所定の角度をもって山形状に連接されている。
【0013】
また、請求項5に記載のシート切断具は、請求項4において、補強板が、前記第1及び第2基板が長手方向に対して垂直方向に変移するように所定の角度をもって山形状に形成された切断板に沿うような形状にされている。
【0014】
請求項6に記載のシート切断具は、請求項4において、基台部が、前記第1及び第2基板が長手方向に対して垂直方向に変移するように所定の角度をもって山形状に形成された切断板に沿うような形状にされている。
【0015】
請求項7に記載のシート切断具は、請求項2において、基台部が開閉等の移動自在の押圧板に固定或は一体成型される。
【0016】
また、請求項8に記載のシート収納容器は、その収納容器に装着され且つ請求項1、2,3,4,5,6,7に記載のいずれかのシート切断具とを備えている。
【0017】
請求項9に記載のシート収納容器は、シートが収納される筒状の収納容器と、その収納容器の一部に収納容器の長軸と垂直方向に移動自在に設けられ、且つ収納容器の表面に接近させた際、その表面に沿うように設けられた押圧具とを備え、更にその押圧具の先端に請求項1、2,3,4,5,6,7に記載のいずれかのシート切断具とを備え、シートが前記収納容器から取り出される際、前記押圧具の先端に配設されたシート切断具によりシートが切断されるシート収納容器。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシート切断具は、一方の側端縁或は両側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる切断板と、その切断板が固定され且つ前記両鋸歯状刃の切断動作に妨げとならない程度に切断板より幅狭く形成された補強板と、その補強板が着脱自在に取付けられる基台部とから構成されているので、基台部に対して補強板を前後逆に取り付けたり、更に補強板を裏表逆に取り付けることにより、鋸歯状刃がなまっても最大4通りも切断板の鋸歯状刃が使用可能となり、従来の如く鋸歯状刃を1通りだけしか使用しない構成の切断板と比較して、切断板を極めて有効且つ資源を無駄に消費することなく、有効に使用できる。
【0019】
更にシート収納容器に対してこのシート切断具を着脱自在に取付けられるし、また、シート収納容器の押圧具と一体成型でシート切断具の基台部を構成出来るので、このシート収納容器を合成樹脂等の強固な材料で構成することにより、シート切断具及び紙製のシート収納容器を1度限り使用するだけの従来のシート収納容器と鋸歯状刃の切断板に比較して、シート収納容器及び鋸歯状刃の切断板の資源を無駄に消費することなく、極めて有効に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明のシート切断具の一部分解斜視図である。同図において切断板1はアルミやステンレス等の金属板や硬質合成樹脂等よりなる帯状に形成されている。この帯状の切断板1の両側縁には鋸歯状刃P及びQが刻設されており、且つ切断板1は折り曲げられて、第1基板Aと第2基板Bを構成している。この第1基板Aと第2基板Bは長手方向Rに対して垂直方向に変移するように所定の角度をもって山形状に折り曲げられている。なお、この実施例では切断板1の横幅(W)は8mm、鋸歯状刃P及びQの刃の高さ(H)はそれぞれ1.5mmであり、切断板1の肉厚(D)は0.25mmである。補強板2は合成樹脂等からなり、その横幅(w)は鋸歯状刃P及びQの切断動作に妨げとならない程度に切断板の横幅(W)よりも幅狭く形成されており、この実施例では5mmよりも少許狭く形成されている。また、補強板2の切断板1に当接する側の形状は、切断板1の山形状1aに折り曲げられた形状に沿うような山形状2aに形成されている。補強板2には突起部3a、3b,3c,3d,3e,3fが設けられており、然も,その位置は切断板1の固定用孔4a、4b,4c,4d,4e,4fに挿入できるように設定されている。そして補強板2の突起部3a、3b,3c,3d,3e,3fをそれぞれ切断板1の固定用孔4a、4b,4c,4d,4e,4fに挿入した後、突起部の先端を加熱して溶着固定する。なお、切断板1を補強板2に固定するにはネジによる締付固定、接着剤による接着固定等の手段を用いても良いことは言うまでもない。なおまた、図1において丸枠内には補強板2の端縁部を拡大した図を示している。
【0021】
図2は本発明のシート切断具の分解斜視図とシート切断具をシート収納容器に装着する様子を示す分解斜視図である。同図において切断板1を補強板2に下方から載置し、補強板2に溶着固定後、補強板2を基台部5に圧入して装着する様子を示す。基台部5は合成樹脂より成る断面がコの字状に形成された補強板2を嵌合挟持する保持部6が設けられ、保持部6を構成する保持片6aには透孔6b、6b'が設けられている。補強板2を基台部5の保持部6の保持片6aの弾性挟持力に抗して圧入すると、補強板2に設けられた抜止め防止突起7a及び7bがそれぞれ保持片6aの透孔6b、6b'に挿入嵌合され、補強板2が基台部5から抜け落ちることはない。また、補強板2の長手方向の両端縁には係合用突起部2bが設けられ、また、その突起部2bと係合する係合孔5bが基台部5に設けられている。基台部5の保持部6の切断板1に当接する側の形状は、切断板1の山形状に折り曲げられた形状に沿うような山形状に形成されている。なお、基台部5はシート収納容器8に装着され且つ開閉等移動自在の合成樹脂製の押圧板9に固定しても良いし、また押圧板9と一体成型しても良い。なおまた、収納容器8に収納され且つロール状に巻回されたシート(図示せず)は長孔スリット8aから引き出され、シート支持部10と基台部5との間に挟まれるような状態で引き出される。シート取出用切欠孔10aはシートを手指で引き出し安いように設けたものである。
【0022】
図3及び図4は本発明の他の実施例を示す。
図3において、切断板1は平面で且つ両側端縁に鋸歯状刃が形成されており、補強板2に固定されている。この場合、矢印m方向に切断板1を前後に180度回転させて、基台部5の保持部5に圧入装着すると、前側の鋸歯状刃P及び後側の鋸歯状刃Qの双方が使える。また、矢印n方向に切断板1を裏表に180度回転させて、基台部5の保持部5に圧入装着すると、それぞれP及びQの表側縁と裏側縁の刃先が使える。こうして4通りの使い方が出来ることになる。また、切断板1の一方の側端縁に鋸歯状刃を形成した場合、矢印l(エル)方向に切断板1の中央部を中心に上下に180度回転させて、基台部5の保持部5に圧入装着すると、鋸歯状刃1の表側縁と裏側縁の刃先が使える。この場合は2通りの使い方が出来ることになる。
【0023】
図4において、切断板1は平面で且つ両側端縁に鋸歯状刃が形成されており、補強板2に固定されている。この場合、矢印m方向に切断板1を前後に180度回転させて、基台部5の保持部5に圧入装着すると、前側の鋸歯状刃P及び後側の鋸歯状刃Qの双方が使える。また、矢印n方向に切断板1を裏表に180度回転させて、基台部5の保持部5に圧入装着すると、それぞれP及びQの表側縁と裏側縁の刃先が使える。こうして4通りの使い方が出来ることになる。また、また、切断板1の一方の側端縁に鋸歯状刃を形成した場合、矢印l(エル)方向に切断板1の中央部を中心に上下に180度回転させて、基台部5の保持部5に圧入装着すると、鋸歯状刃1の表側縁と裏側縁の刃先が使える。この場合は2通りの使い方が出来ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態を示すシート切断具の一部分解斜視図。
【図2】同シート切断具の分解斜視図とシート切断具をシート収納容器に装着する様子を示す分解斜視図。
【図3】同他の実施形態を示すシート切断具の一部の要部斜視図。
【図4】同他の実施形態を示すシート切断具の一部の要部斜視図。
【符号の説明】
【0025】
1 切断板
2 補強板
3a、3b,3c,3d 突起部
4a、4b,4c,4d 固定用孔
5 基台部
6 保持部
6a 保持片
8 収納容器
9 押圧板
10 シート支持部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる切断板と、該切断板が溶着、接着、締付等により固定され且つ前記両鋸歯状刃の切断動作に妨げとならない程度に切断板より幅狭く形成された合成樹脂等よりなる補強板と、該補強板が着脱自在に取付けられる基台部とを備えるシート切断具。
【請求項2】
両側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる切断板と、該切断板が溶着、接着、締付等により固定され且つ前記両鋸歯状刃の切断動作に妨げとならない程度に切断板より幅狭く形成された合成樹脂等よりなる補強板と、該補強板が着脱自在に取付けられる基台部とを備えるシート切断具。
【請求項3】
前記切断板は平面で且つ少なくとも一側端縁はV字状に形成され、該V字状の側縁に沿って前記鋸歯状刃が形成された請求項2に記載のシート切断具。
【請求項4】
前記切断板は、両側端縁に鋸歯状刃が形成された金属等の堅固材よりなる第1及び第2基板を長手方向に対して垂直方向に変移するように所定の角度をもって山形状に連接された請求項2に記載のシート切断具。
【請求項5】
前記補強板は、前記第1及び第2基板が長手方向に対して垂直方向に変移するように所定の角度をもって山形状に形成された切断板に沿うような形状にされている請求項4に記載のシート切断具。
【請求項6】
前記基台部は、前記第1及び第2基板が長手方向に対して垂直方向に変移するように所定の角度をもって山形状に形成された切断板に沿うような形状になされている請求項4に記載のシート切断具。
【請求項7】
前記基台部は開閉等の移動自在の押圧板に固定或は一体成型される請求項2に記載のシート切断具。
【請求項8】
シートが収納される筒状の収納容器と、該収納容器に装着され且つ請求項1、2,3,4,5,6,7に記載のいずれかのシート切断具とを備えるシート収納容器。
【請求項9】
シートが収納される筒状の収納容器と、該収納容器の一部に該収納容器の長軸と垂直方向に移動自在に設けられ、且つ該収納容器の表面に接近させた際、該表面に沿うように設けられた押圧具とを備え、更に該押圧具の先端に請求項1、2,3,4,5,6,7に記載のいずれかのシート切断具とを備え、シートが前記収納容器から取り出される際、前記押圧具の先端に配設されたシート切断具によりシートが切断されるシート収納容器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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