説明

シート切断装置及び切断方法

【課題】切り込み形状の精度を向上させることができるようにすること。
【解決手段】半導体ウエハWFに貼付された接着シートASを切断するカッター刃12と、このカッター刃12を保持して動作することで、接着シートASに切り込みCUを形成可能な多関節ロボット13と、この多関節ロボット13で保持されたカッター刃12の姿勢を検出する検出手段15と、カッター刃12の基準姿勢を記憶可能な制御手段16とを備えてシート切断装置10が構成されている。制御手段16は、検出手段15の検出結果を基に多関節ロボット13を制御することで、基準姿勢にカッター刃12の姿勢を補正可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート切断装置及び切断方法に係り、更に詳しくは、被着体に貼付されたシートを切断することができるシート切断装置及び切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の接着シートを切断する装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。同文献の切断装置は、多関節ロボットの自由端側に着脱自在に支持されたカッター刃を備え、多関節ロボットの動作を制御することで、カッター刃の姿勢を制御して接着シートに予め設定した形状の切り込みを形成できるようになっている。ここで、カッター刃は、切断刃と、当該切断刃を保持し、且つ、多関節ロボットのチャックに装着される刃ホルダとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−62004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記カッター刃にあっては、切断刃が刃ホルダを介して多関節ロボットに間接的に支持される都合上、切断刃の位置や傾きに固有の誤差が生じることとなる。このため、シート切断のための精度が数μmオーダーとなる場合、多関節ロボットが正確に動作しても、実際にシートに形成された切り込み形状が所望の形状と異なる場合があり、切断精度が不十分になるという不都合を招来する。このような不都合は、切断刃を支持する部位が存在すれば必ず起こり得る現象であって、切断刃が刃ホルダを介することなく多関節ロボット等の駆動機器に支持されている場合にでも発生する。
なお、特許文献1において、検査手段により切断刃の検査をしているが、当該検査は、刃縁の欠損や粘着剤の転着状態を検査するものであり、切断刃の姿勢を検出する技術思想の開示はない。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、シートに形成される切り込み形状の精度を向上させることができるシート切断装置及び切断方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、処理能力の向上を図ることができるシート切断装置及び切断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、シートを切断するシート切断装置において、
前記シートを切断するカッター刃と、このカッター刃を保持して動作することで、前記シートに切り込みを形成可能な駆動手段と、この駆動手段で保持されたカッター刃の姿勢を検出する検出手段と、前記各手段を制御可能に設けられるとともに、前記カッター刃の基準姿勢を記憶可能な制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果を基に前記駆動手段を制御することで、前記基準姿勢に前記カッター刃の姿勢を補正可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記基準姿勢は、直交3軸方向の視野であって、前記カッター刃の切断方向正面視、切断方向側面視及び切断方向平面視における正面基準姿勢、側面基準姿勢、平面基準姿勢を含み、
前記検出手段は、前記各基準姿勢に対するカッター刃のずれ量及び傾き角を検出可能に設けられ、
前記制御手段は、前記駆動手段を制御することで、前記各基準姿勢に前記カッター刃の姿勢を補正可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【0008】
また、前記基準姿勢からの補正量を記憶可能な補正量記憶手段が設けられ、
前記補正量記憶手段に記憶された補正量を読み取り可能な読取手段を含み、
前記制御手段は、前記読取手段で読み取った補正量を基に前記駆動手段を制御することで、カッター刃の位置を補正可能に設けられる、という構成を採ってもよい。
【0009】
更に、前記補正量記憶手段に前記補正量を記憶させる書込手段を備えるとよい。
【0010】
また、本発明の切断方法は、シートを切断するシート切断方法において、
駆動手段で保持されたカッター刃の姿勢を検出する検出手段の検出結果を基に前記駆動手段を制御し、前記基準姿勢に前記カッター刃の姿勢を補正する工程と、
前記駆動手段を動作することで、カッター刃により前記シートを切断して切り込みを形成する工程とを備える、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カッター刃の姿勢を検出し、この検出結果を基にして基準姿勢にカッター刃の姿勢を補正可能としたので、カッター刃の位置精度を向上させることができ、ひいては、シートに形成される切り込み形状の高精度化を図ることが可能となる。特に、直交3軸方向からの各基準姿勢に対するカッター刃のずれ量及び傾き角を検出して補正を行った場合には、カッター刃の位置精度をより一層高めることができる。
【0012】
また、カッター刃固有の補正量を補正量記憶手段に記憶させておくことにより、その補正量を読取手段で読み取ることでカッター刃の姿勢を補正でき、カッター刃の姿勢を検出する工程を省略して処理能力の向上を図ることが可能となる。
【0013】
更に、書込手段によって補正量を補正量記憶手段に書き込み可能とすることで、1のカッター刃に対して検出手段による姿勢検出を少なくとも1回行うことにより、当該カッター刃固有の補正量を記憶させることができる。これにより、複数のカッター刃を持ち替えて利用する場合、姿勢検出済みのカッター刃は、持ち替えを行う度に姿勢検出を行わなくてよくなり、これによっても、処理能力向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るシート切断装置の概略斜視図。
【図2】(A)〜(I)は、検出手段で検出するカッター刃の補正過程を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1及び図2において、シート切断装置10は、被着体としての半導体ウエハWF(以下、単に、「ウエハ」と称する場合がある)を載置して吸着支持する貼付テーブル11と、ウエハWFに貼付された接着シートASを切断可能なカッター刃12と、このカッター刃12を保持する駆動機器であって駆動手段としての多関節ロボット13と、この多関節ロボット13で保持されたカッター刃12の姿勢を検出可能に設けられた検出手段15と、多関節ロボット13及び検出手段15等を制御可能な制御手段16とを備えて構成されている。シート切断装置10には、複数のカッター刃12を収容するとともに、内部に図示しない洗浄手段が設けられたストック装置18が並設され、収容中のカッター刃12を洗浄するようになっている。多関節ロボット13は、1回の切断動作の度又は、複数回の切断動作の度に別のカッター刃12に持ち替えて切断動作を行うようになっている。
【0017】
前記貼付テーブル11は、Z軸方向上面でウエハWFを保持可能に設けられ、当該ウエハWFの周りにカッター刃12を挿入可能な溝11Aが形成されている。貼付テーブル11上には、接着シートASを繰り出して貼付可能な貼付手段20が設けられている。この貼付手段20は、公知の構造であるので詳細な説明を省略するが、支持軸21に支持された接着シートASを複数のローラ22〜24を介して貼付テーブル11上に繰り出してウエハWFに貼付し、カッター刃12により切断された接着シートASを巻取軸25に巻き取り可能となっている。
【0018】
前記カッター刃12は、多関節ロボット13に装着される刃ホルダ27と、この刃ホルダ27に保持される切断刃28とを備えている。刃ホルダ27のZ軸方向上面には、補正量記憶手段29が設けられ、この補正量記憶手段29としては、RFID(Radio Frequency Identification)、磁気テープ等が例示できる。
【0019】
前記多関節ロボット13は、ベース部30と、当該ベース部30の上面側に配置された第1アーム31〜第6アーム36と、第6アーム36の自由端側に取り付けられた保持チャック37とを含む。第2、第3及び第5アーム32、33、35は、図1に示された状態で、X−Z面内でそれぞれBd、Cd、Ed方向に回転可能に設けられているとともに、第1、第4及び第6アーム31、34、36は、それぞれその軸周り、つまり、Ad、Dd、Fd方向に回転可能に設けられている。これにより、多関節ロボット13は、その動作領域内でX軸、Y軸、Z軸の直交3軸方向及び当該3軸周りに回転するθX、θY、θZ方向において、カッター刃12を何れの位置、何れの方向にも移動可能に設けられている。本実施形態における多関節ロボット13は数値制御(NCコントロール)される。すなわち、対象物(本実施形態ではウエハWF等)に対する各関節の移動量がそれぞれに対応する数値情報で制御され、全てその移動量がプログラムにより制御される。これにより、ウエハWFの大きさや形状に合わせて接着シートASに切り込みCUを形成して切断可能となっている。保持チャック37は、相互に離間接近可能な複数の図示しないチャック爪を備えており、刃ホルダ27を保持して複数のカッター刃12を持ち替え可能に設けられている。
【0020】
第5アーム35には、書込手段及び読込手段を構成するリーダライタ39が設けられている。リーダライタ39は、制御手段16に接続されてカッター刃12に関する補正量等のデータの入出力が行えるようになっている。リーダライタ39は、制御手段16から出力される補正量を補正量記憶手段29に書き込んで記憶、更新可能に設けられるとともに、補正量記憶手段29に記憶された補正量を読み取って制御手段16に出力可能となっている。
【0021】
前記検出手段15は、切断刃28に投光することで写し出される当該切断刃28の投影を検出可能な投影機15Aと、投影機15Aを回転可能な駆動機器としての回動モータ内蔵の回転テーブル15Bとからなり、これにより、切断刃28の姿勢を検出し、その位置(X軸、Y軸、Z軸方向)や向き(θX、θY、θZ方向)の検出結果データを制御手段16に出力可能となっている。
【0022】
前記制御手段16は、シーケンサやパーソナルコンピュータ等で構成することができる。制御手段16には、操作パネル等からなる図示しない入力手段が接続され、この入力手段により多関節ロボット13や貼付手段20等の作動条件やデータ等を入力可能となっている。制御手段16は、カッター刃12における切断刃28の基準姿勢を記憶する機能を備え、この基準姿勢は、図2に示されるように、直交3軸方向の視野であって切断刃28の切断方向正面視、切断方向側面視及び切断方向平面視における正面基準姿勢FP、側面基準姿勢SP、平面基準姿勢を含む。これらの基準姿勢を詳述すると、切断刃28の切断方向をY軸方向(図2(I)参照)とした場合、正面基準姿勢FPは、Y軸方向の視野であって、Z軸及びX軸方向の切断刃28の位置及びθY方向の傾き角により決定される。側面基準姿勢SPは、X軸方向の視野であって、Y軸及びZ軸方向の切断刃28の位置及びθX方向の傾き角により決定され、平面基準姿勢は、Z軸方向の視野であって、X軸及びY軸方向の切断刃28の位置及びθZ方向の傾き角により決定される。また、制御手段16は、検出手段15の検出結果を入力する機能と、当該検出結果と基準姿勢とを比較し、基準姿勢に対するX軸、Y軸、Z軸方向のずれ量及びθX、θY、θZ方向の傾き角を算出する機能と、算出したずれ量及び傾き角を補正するよう多関節ロボット13の動作方向、動作量等の条件を決定して駆動制御する機能と、接着シートAS切断時や切断刃28の検出時等における多関節ロボット13を駆動制御する機能とを備えている。更に、制御手段16は、リーダライタ39による補正量記憶手段29に対する補正量の読み取り及び書き込みを制御する機能も備えている。なお、制御手段16は、図示しないケーブルや、無線構造等により各駆動機器や検出機器等に接続されている。
【0023】
次に、シート切断装置10による接着シートASの切断方法について説明する。
【0024】
ここでは、図1に示されるように、ウエハWFが貼付テーブル11の上面に吸着保持され、当該ウエハWFの上面に帯状の接着シートASが貼付されているものとする。また、カッター刃12は、切断刃28の位置や傾きに固有の誤差が生じているものとする。制御手段16には、切断刃28の基準姿勢が予め記憶され、当該基準姿勢は、図2(A)乃至図2(F)の二点鎖線で示される切断刃28の正面基準姿勢FPと、図2(G)乃至図(I)の二点鎖線で示される切断刃28の側面基準姿勢SPとに設定される。
【0025】
先ず、多関節ロボット13の作動によって、保持チャック37でカッター刃12を保持させ、保持したカッター刃12を検出手段15の所定位置に移動させる。次いで、検出手段15で切断刃28の姿勢が検出され、その検出結果が制御手段16に入力される。制御手段16では、検出手段15の検出結果を基に多関節ロボット13の動作を制御することで、切断刃28の姿勢が基準姿勢に一致するように補正される。
【0026】
ここで、切断刃28の姿勢補正について詳述すると、多関節ロボット13の作動によって、投影面がX−Z平面となっている投影機15Aの所定位置に切断刃28を移動させる。その後、多関節ロボット13が第6アーム36を回動させ、図2(A)に示されるように、切断刃28をθ1方向に所定角度回転させる。そして、切断刃28の外縁形状を検出手段15で検出しながら、多関節ロボット13が第6アーム36を前記とは逆のθ2方向に回動させ、図2(C)に示されるように、切断刃28の厚みが再び大きくなるまで所定角度回転させる。この回転中、検出手段15により投影される切断刃28の厚みを所定周期毎に検出させ、検出手段15の検出結果において、図2(B)に示されるように、切断刃28の厚みが最も小さくなったときの切断刃28のθ2の角度位置を平面基準姿勢として制御手段16で記憶しておく。そして、制御手段16の記憶を基に多関節ロボット13が第6アーム36を回動させ、切断刃28を平面基準姿勢に戻すことで、図2(D)に示されるように、切断刃28のθZ方向の補正が完了する。
【0027】
次いで、切断刃28の先端位置を検出手段15で検出し、正面基準姿勢FPの先端位置に対するX軸及びZ軸方向のずれ量を制御手段16で算出する。そして、それら先端が一致するよう、制御手段16によって多関節ロボット13を制御して切断刃28を図2(D)の矢印方向に移動させることで、図2(E)に示されるように、切断刃28のX軸及びZ軸方向の補正が完了する。
【0028】
次に、切断刃28の側面位置(図2(E)中左側面位置)を検出手段15で検出し、正面基準姿勢FPの側面位置(センターラインCL位置)に対するθY方向の傾き角を制御手段16で算出する。そして、それら側面位置が一致するよう、制御手段16によって多関節ロボット13を制御して、正面基準姿勢FPの先端位置を中心に切断刃28を図2(E)の矢印方向に移動させることで、図2(F)に示されるように、切断刃28のθY方向の補正が完了する。
【0029】
切断刃28のθY方向の補正が完了すると投影機15Aと、回転テーブル15BがZ軸を中心として投影機15Aを90°回転させ、図2(G)に示されるように、切断刃28をY−Z平面に投影させるポジションとなる。この状態で、切断刃28の先端位置を検出手段15で検出し、側面基準姿勢SPの先端位置に対するY軸方向のずれ量を制御手段16で算出する。そして、それら先端が一致するよう、制御手段16によって多関節ロボット13を制御して切断刃28を図2(G)の矢印方向に移動させることで、図2(H)に示されるように、切断刃28のY軸方向の補正が完了する。
【0030】
次に、切断刃28の後面位置(図2(H)中左側面位置)を検出手段15で検出し、側面基準姿勢SPの後面位置(センターラインCL位置)に対するθX方向の傾き角を制御手段16で算出する。そして、それら側面位置が一致するよう、制御手段16によって多関節ロボット13を制御して、側面基準姿勢SPの先端位置を中心に切断刃28を図2(H)の矢印方向に移動させることで、図2(I)に示されるように、切断刃28のθX方向の補正が完了する。以上により、基準姿勢に対する切断刃28のX軸、Y軸、Z軸方向のずれ量及びθX、θY、θZ方向の傾き角が全て補正された状態となる。
【0031】
この状態から、制御手段16を介して多関節ロボット13の動作により、カッター刃12を貼付テーブル11上のウエハWFの外形に合わせて移動させることにより、ウエハWFに貼付された接着シートASに切り込みCUが形成される。切り込みCUの形成後、多関節ロボット13の作動により、貼付テーブル11上からカッター刃12を退避させ、接着シートASが貼付されたウエハWFは、図示しない搬送手段によって貼付テーブル11上から別工程に搬送される。
【0032】
なお、切断刃28の補正を完了した後、当該切断刃28の各方向のずれ量及び傾き角や、それらの補正量をリーダライタ39によって補正量記憶手段29に記憶することができる。これにより、切断刃28の補正を少なくとも1回行ったカッター刃12については、多関節ロボット13から取り外して再装着したときに、補正量記憶手段29に記憶した補正量をリーダライタ39によって読み取ることができる。読み取った補正量は制御手段16に入力され、当該補正量に基づいて多関節ロボット13を駆動制御することでカッター刃12の姿勢を補正可能となる。つまり、1のカッター刃12に対して1度補正量記憶手段29に補正量を記憶することで、次回同じカッター刃12を使用するときに検出手段15による切断刃28の検出を省略して補正を行うことができ、単位時間当たりに接着シートASを切断する処理能力を向上させることができる。
【0033】
従って、このような実施形態によれば、切断刃28の姿勢を検出した結果を基に基準姿勢に補正可能としたので、カッター刃12において切断刃28の姿勢に固有の誤差が生じても、当該誤差を解消でき、切り込みCUの形状を精度良く維持することが可能となる。
【0034】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0035】
例えば、本発明における被着体としては、半導体ウエハに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の被着体も対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコンウエハや化合物ウエハであってもよい。
【0036】
また、刃ホルダ27は、前記実施形態と同様の機能を有する限りにおいて、種々の変更が可能である。
更に、切断刃28が刃ホルダ27を介すことなく多関節ロボット13に直接支持される場合にでも、検出手段15で切断刃28の位置補正を行ってもよい。
【0037】
また、補正量記憶手段29にバーコードや、QRコードを採用してもよく、読取手段が、バーコードや、QRコードから読み取ったデータを基に、制御手段16や上位コンピュータ等の記憶部から補正量を読み取り、制御手段16が多関節ロボット13を制御して切断刃28を基準姿勢に補正するようにすればよい。この場合、補正量記憶手段は、制御手段16や上位コンピュータ等の記憶部を含み、書込手段は、この記憶部に補正量を記憶させる構成となる。
更に、前記読込手段及び書込手段は、独立した別々の装置により構成してもよいし、多関節ロボット13に取り付けることなく他の部位に独立して設置してもよい。
また、回転テーブル15Bを省き、多関節ロボット13の作動により断刃28を90°回転させ、切断刃28の正面基準姿勢FPの検出から側面基準姿勢SPの検出に切り替えるようにしてもよい。
更に、前記各補正の順番は限定されるものではなく、例えば、切断刃28のθZ方向の補正が完了した後、θY方向の補正を行い、その後X軸及びZ軸方向の補正を行うようにしたり、側面基準姿勢SPを補正した後、正面基準姿勢FPを補正したりしてもよい。
また、本発明のシート切断装置は、被着体に貼付されていない接着シートASを切断してもよいし、接着しないシートや紙、樹脂、布等のシートであってよい。
更に、本発明のシート切断装置は、カッター刃12以外に、例えば、ウエハWFを貼付テーブル11上に載置したり、接着シートASが貼付されたウエハWFを別工程に搬送したりする搬送手段を構成する搬送アーム等の他のツールを保持チャック37で持ち変えて使用することもできる。
また、検出手段15は、投影機15A以外に、CCDカメラ、光学センサ、赤外線センサ等の他の検出手段を採用することができる。
更に、多関節ロボット13は、ウエハWFの円周部やVノッチ等の切断部位や、接着シートASの構成や材質に応じて複数のカッター刃12を選択的に持ち替えて使用するように構成してもよい。
また、複数のカッター刃12は、それぞれの形状が異なっていてもよく、この場合、制御手段16は、異なった形状のカッター刃12に対応してそれぞれの基準姿勢を記憶可能とし、多関節ロボット13を制御してそれぞれの姿勢を補正できるようにすればよい。
【0038】
更に、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0039】
10 シート切断装置
12 カッター刃
13 多関節ロボット(駆動手段)
15 検出手段
16 制御手段
29 補正量記憶手段
39 リーダライタ(読込手段、書込手段)
AS 接着シート(シート)
WF 半導体ウエハ(被着体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを切断するシート切断装置において、
前記シートを切断するカッター刃と、このカッター刃を保持して動作することで、前記シートに切り込みを形成可能な駆動手段と、この駆動手段で保持されたカッター刃の姿勢を検出する検出手段と、前記各手段を制御可能に設けられるとともに、前記カッター刃の基準姿勢を記憶可能な制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果を基に前記駆動手段を制御することで、前記基準姿勢に前記カッター刃の姿勢を補正可能に設けられていることを特徴とするシート切断装置。
【請求項2】
前記基準姿勢は、直交3軸方向の視野であって、前記カッター刃の切断方向正面視、切断方向側面視及び切断方向平面視における正面基準姿勢、側面基準姿勢、平面基準姿勢を含み、
前記検出手段は、前記各基準姿勢に対するカッター刃のずれ量及び傾き角を検出可能に設けられ、
前記制御手段は、前記駆動手段を制御することで、前記各基準姿勢に前記カッター刃の姿勢を補正可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシート切断装置。
【請求項3】
前記基準姿勢からの補正量を記憶可能な補正量記憶手段が設けられ、
前記補正量記憶手段に記憶された補正量を読み取り可能な読取手段を含み、
前記制御手段は、前記読取手段で読み取った補正量を基に前記駆動手段を制御することで、カッター刃の位置を補正可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のシート切断装置。
【請求項4】
前記補正量記憶手段に前記補正量を記憶させる書込手段を備えていることを特徴とする請求項3記載のシート切断装置。
【請求項5】
シートを切断するシート切断方法において、
駆動手段で保持されたカッター刃の姿勢を検出する検出手段の検出結果を基に前記駆動手段を制御し、前記基準姿勢に前記カッター刃の姿勢を補正する工程と、
前記駆動手段を動作することで、カッター刃により前記シートを切断して切り込みを形成する工程とを備えていることを特徴とするシート切断方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−22650(P2013−22650A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156671(P2011−156671)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】