説明

シート小片製造装置

【課題】可食フィルムやフィルム製剤等のシート小片を連続的に効率良く製造することができるフィルムの製造装置を提供する。
【解決手段】長尺シートを所定形状に連続的に切断する切断機10を具備するシート小片製造装置1であって、前記切断機は、回転軸11と、該回転軸を中心として回転可能に設けられ、外表面上に複数のカット刃を有する外筒13と、該外筒の内方側から該外筒に向けて空気を噴射する空気噴出機構と、を具備し、前記空気噴出機構は、回転軸の周方向所定位置において回転軸の軸方向に沿って空気を噴出するようになされており、前記外筒は、外表面に多数の孔が設けられており、該孔は、複数の前記カット刃により区分された複数の区画に少なくとも一つ設けられていることを特徴とするシート小片製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形状の小片となされた可食フィルムやフィルム製剤等のシート小片を効率良く製造することができるシート小片製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム等のシートの製造装置は種々提案されており、たとえば特許文献1及び2において剥離紙上にフィルム原料液を塗布して乾燥させることにより可食フィルムを得ることができる製造方法及びそれに用いる製造装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-201429号公報
【0004】
【特許文献2】特開平11-155499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来提案されているフィルムの製造装置は長尺状のフィルムを製造するためのものに止まっており、小片状のフィルムを連続的に効率良く製造するためのものではない。
通常、プラスチックフィルム、紙、可食フィルム、フィルム製剤などを小さくカットしてシート状小片を製造する場合、所定形状にカットするための刃を有するダイカット方式によりカットする製造装置が用いられている。
しかし、このような製造装置でカットすると切断された小片が刃の中へ食い込んでしまい、連続的な製造が困難となる。例えば1mm×2mm角に小さくカットした場合刃の中へ食い込んだフィルムは、刃と刃の間にスポンジなどを入れて取り出す必要があるが小さすぎる為取り除きにくく、小片が破損しやすいという問題がある。
要するに、小片状のフィルムを連続的に効率良く製造することができる製造装置は、いまだ提案されていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、可食フィルムやフィルム製剤等のシート小片を連続的に効率良く製造することができるフィルムの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、軸を中心として回転する筒状体の表面に刃を設けることで連続的にフィルムを切断できることを見出し、さらに検討を重ねた結果、所定位置のみにおいて該筒状体の内部から空気圧で切断した小片のフィルムを乗り除けば上記目的を達ししうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記発明を提供することにより、上記目的を達成したものである。
1. 長尺シートを所定形状に連続的に切断する切断機を具備するシート小片製造装置であって、
前記切断機は、
回転軸と、
該回転軸を中心として回転可能に設けられ、外表面上に複数のカット刃を有する外筒と、
該外筒の内方側から該外筒に向けて空気を噴射する空気噴出機構と、
を具備し、
前記空気噴出機構は、回転軸の周方向所定位置において回転軸の軸方向に沿って空気を噴出するようになされており、
前記外筒は、外表面に多数の孔が設けられており、該孔は、複数の前記カット刃により区分された複数の区画に少なくとも一つ設けられている
ことを特徴とするシート小片製造装置。
本発明の製造装置に適用される前記長尺シートとしては、プラスチックフィルム、紙、可食フィルム、フィルム製剤等の長尺状物を挙げることができる。特に可食フィルムやフィルム製剤のようにフィルムに粘性があるものに対して好適である。可食フィルムやフィルム製剤の例としては、特開平5−308910号公報や特開2009−96803号公報に記載のフィルムを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0007】
また、本発明は、以下の各発明を提供するものである。
2.カット刃は格子状に設けられており、前記区画が矩形状であることを特徴とする1記載のシート小片製造装置。
3.空気噴出機構は、回転軸と外筒との間に設けられた中空の筒体であり、所定箇所に多数の空気噴出孔を有することを特徴とする1又は2記載のシート小片製造装置。
4.前記筒体は、その内部に所定圧力の空気を導入する空気導入手段に連結されている、3に記載のシート小片製造装置。
5.前記空気噴出孔が、円形である、3記載のシート小片製造装置。
6.前記空気噴出孔が、線状である、3記載のシート小片製造装置。
7.空気噴出機構は、回転軸と外筒との間に設けられた中空管であり、所定箇所に多数の空気噴出孔を有することを特徴とする1又は2記載のシート小片製造装置。
8.前記中空管は、その内部に所定圧力の空気を導入する空気導入手段に連結されている、7に記載のシート小片製造装置。
9.さらに、前記カット刃により所定形状にカットされたシート小片を吸引回収する回収手段が設けられている、1〜8のいずれかに記載のシート小片製造装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシート小片製造装置は、可食フィルムやフィルム製剤等のシート小片を連続的に効率良く製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のシート小片製造装置により製造されるシート小片の1実施態様を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明のシート小片製造装置の全体構造を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す切断機を拡大して模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、図2に示す切断機を矢印IV方向から見た状態を示す模式図である。
【図5】図5は、内筒を示す斜視図(図3相当図)である。
【図6】図6は、本発明の他の態様を示す斜視図(図5相当図)である。
【符号の説明】
【0010】
1 シート小片製造装置、10 切断機、11 回転軸、12 内筒、12a 空気噴出孔、12b 空気噴出部、13 外筒、13a カット刃、13b 孔、13c ギア、14 ギア、15 モータ、20 吸引回収機、21 小片受け部、22 吸引管、23 小片収納部
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のシート小片製造装置について図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1を参照して本発明のシート小片製造装置により得られるシート小片可食フィルムの形態について説明する。
本発明のシート小片製造装置により得られるシート小片について説明すると、本発明の製造装置により得られるシート小片101は、図1に示すように長方形状であり、好ましくは幅1〜15mm、長さ1〜15mm、厚さ0.003〜1mmである。
【0012】
次いで、図2〜5を参照して本発明のシート小片製造装置の1実施形態を説明する。
図2に示す本実施形態のシート小片製造装置1は、シートとしての可食フィルム塗工・乾燥機2により、基体シート上に形成され、コンベア3上を搬送される可食フィルムの長尺フィルムを所定形状に連続的に切断する切断機10を具備するシート小片製造装置である。
そして、シート小片製造装置1において切断機10は、回転軸11と、回転軸11を中心として回転可能に設けられ、外表面上に複数のカット刃13aを有する外筒13と、外筒13の内方側から外筒に向けて空気を噴射する空気噴出機構としての内筒12とを具備する。
【0013】
空気噴出機構としての内筒12は、図3〜図5、特に図5に示すように、外筒13に当接する外周面の周方向一部分に、多数の円形の空気噴出孔12aが設けられて所定の幅を有する空気噴出部12bが形成されて、回転軸11の周方向所定位置において回転軸の軸方向に沿って空気を噴出するようになされている。
空気噴出部12bを設ける位置は、外筒13が回転してシートに当接する点から30〜90°(図5に示すθ)の範囲内とするのが好ましい。また空気噴出部の幅は、所望の小片のサイズに応じて任意であるが、周長さの10〜30%とするのが好ましい。このような構成とすることによりシート小片を効果的にカット刃から離隔させることができる。
内筒12は、回転軸に固定された中空の筒体(図4に示す点線で示す2つの円の間が中空部分)であり、その中空部分は所定圧力の空気を導入する空気導入手段としてのコンプレサー(図示せず)に連結管16を介して連結されて、内筒12の内部に加圧空気が導入されるようになっている。
【0014】
外筒13は、図3に示すように、外表面に多数の円形で且つ厚さ方向に貫通した孔13bが設けられており、孔は、複数のカット刃13aにより区分された複数の区画に少なくとも一つ、本実施形態では4つ設けられている。本実施形態においてカット刃13aは区画が矩形状となるように格子状に設けられている。
本実施形態において各区画はそれぞれ1〜15mm×1〜15mmの大きさである。
外筒13は図2の矢印方向に回転するが、その回転機構は図4に示すように外筒13の一端に円形に設けられたギア13cと、モータ(図示せず)と、モータ15の回転軸先端に配された円錐状のギア14とからなる。ギア13cとギア14とはかさ歯車構造となっており、ギア14が図4の矢印方向Bに回転することにより外筒13が矢印C方向に回転するようになされている。
外筒13の内周面と内筒12の外周面とは摺動可能になされており、本実施形態においても両面は接している。
【0015】
本実施形態においては、さらに、カット刃13aにより所定形状にカットされたシート小片としての可食フィルムを吸引回収する回収手段として、吸引回収機20が設けられている。
吸引回収機20は、外筒13の長さと同じ長さを有し且つ空気噴出部の幅と同じ幅を有し、凹状に形成された小片受け部21と、吸引ポンプ(図示せず)と、小片受け部21及び吸引ポンプを連結すると共に吸引ポンプよりも小片受け部21側に設けられた小片収納部23に吸引した小片を移送する吸引管22とからなる。
回収手段により、空気噴出機構から噴出される空気でカット刃から離別された小片を漏れなく効率的に回収することができる。
【0016】
本実施形態の製造装置は、コンベア3を流れてくる長尺フィルムを、外筒13を図2の矢印方向に回転させて切断し、空気噴出機構としての内筒12に圧縮空気を導入して孔13bを通過する空気により切断された小片を押し出し、吸引回収機20で回収することにより使用することができる。これにより、フィルムの粘性が高い可食フィルムの小片であっても、カット刃にフィルム小片が貼り付いて作業を中断することがなく、効率良く連続的に小片を回収できる。
本実施形態の製造装置により得られるシート小片は、パックフィルム製剤、パックフィルム機能剤、パックフィルム食品、可食フィルム小片、香料含有可食フィルム小片として活用することができる。
【0017】
次いで、図6を参照して、本発明のシート小片製造装置の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、上述の説明と異なる点を中心に説明する。特に説明しない点については上述の実施形態においてした説明が適宜適用される。
図6に示す第2の実施形態は、空気噴出孔が、線状の孔12a’により形成されている。線状の孔12a’の幅は0.1〜2mmとするのが好ましい。
【0018】
なお、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
空気噴出機構は、軸と別体のものを例示して説明したが、回転軸の周方向所定位置に多数の小孔を設けて空気噴出部を形成して構成することもできる。
また、空気噴出機構は、回転軸と外筒との間に設けられた中空管を設け、この中空管の所定箇所に多数の空気噴出孔を形成することにより構成することもできる。この際、中空管は、その内部に所定圧力の空気を導入する上述の空気導入手段に連結されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺シートを所定形状に連続的に切断する切断機を具備するシート小片製造装置であって、
前記切断機は、
回転軸と、
該回転軸を中心として回転可能に設けられ、外表面上に複数のカット刃を有する外筒と、
該外筒の内方側から該外筒に向けて空気を噴射する空気噴出機構と、
を具備し、
前記空気噴出機構は、回転軸の周方向所定位置において回転軸の軸方向に沿って空気を噴出するようになされており、
前記外筒は、外表面に多数の孔が設けられており、該孔は、複数の前記カット刃により区分された複数の区画に少なくとも一つ設けられている
ことを特徴とするシート小片製造装置。
【請求項2】
カット刃は格子状に設けられており、前記区画が矩形状であることを特徴とする請求項1記載のシート小片製造装置。
【請求項3】
空気噴出機構は、回転軸と外筒との間に設けられた中空の筒体であり、所定箇所に多数の空気噴出孔を有することを特徴とする請求項1又は2記載のシート小片製造装置。
【請求項4】
前記筒体は、その内部に所定圧力の空気を導入する空気導入手段に連結されている、請求項3に記載のシート小片製造装置。
【請求項5】
前記空気噴出孔が、円形である、請求項3記載のシート小片製造装置。
【請求項6】
前記空気噴出孔が、線状である、請求項3記載のシート小片製造装置。
【請求項7】
空気噴出機構は、回転軸と外筒との間に設けられた中空管であり、所定箇所に多数の空気噴出孔を有することを特徴とする請求項1又は2記載のシート小片製造装置。
【請求項8】
前記中空管は、その内部に所定圧力の空気を導入する空気導入手段に連結されている、請求項7に記載のシート小片製造装置。
【請求項9】
さらに、前記カット刃により所定形状にカットされたシート小片を吸引回収する回収手段が設けられている、請求項1〜8のいずれかに記載のシート小片製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−55251(P2012−55251A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202638(P2010−202638)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(591091043)株式会社ツキオカ (38)
【Fターム(参考)】