説明

シート搬送装置、画像形成装置

【課題】記録媒体等のシートに画像が転写される前に紙粉等の異物を除去する。
【解決手段】記録媒体Sの搬送方向で画像が転写される転写部前側に紙粉除去機構を設けて画像転写前に記録媒体S上の異物を取り除き、シート搬送方向で紙粉除去機構より下流側の装置構成要素への異物の付着を防止する。紙粉除去機構は、静電吸着ベルト機構部101とエア搬送部201から構成され、静電吸着ベルト部は静電吸着ベルト102、静電吸着ベルト動作手段103、静電吸着ベルト異物除去機構104から構成される。印刷動作時、搬送されてきた記録媒体Sは吸引部から吸引されるエアにより搬送ベルト202部へと吸いつけられ搬送される。エア搬送部201の上側に位置する静電吸着ベルト機構部101は、エア搬送部201上の記録媒体Sから静電吸着により、異物を吸い上げて除去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体等のシート上の紙粉やホコリ等の異物を除去するシート搬送装置と、これを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置においては、トナー像が記録紙などのシートに転写され、定着装置によりそのシートを加熱して画像を定着させた後、シートを排出する。
【0003】
このような画像形成装置で使用する記録媒体等のシートには紙粉やホコリ等の異物が付着していることがある。給紙部から画像形成部に給紙及び搬送される記録媒体に紙粉等の異物が付着していると、その異物により画像の形成不良や画像汚れ等の不具合を生じさせることがある。また記録媒体の搬送路に沿って位置している、レジストローラや搬送ローラ、転写ローラ、定着ローラ、加圧ローラ等も搬送されている記録媒体に付着している紙粉等で汚染されていき、その汚れに起因する画像品質の低下や記録材搬送不良等の不具合が生じることがある。
【0004】
すなわち、記録媒体等のシートには紙粉やホコリ等の異物が付着していることがあり、これを除去することが重要である。そのため、紙粉等の異物をスクレーパ等で掻き落とす紙粉除去装置が提案されている(特許文献1等参照)。特許文献1には、除去ローラあるいはブラシローラにより紙粉を取り除くようにした紙粉除去装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようにシートをローラで搬送するのではなく、静電吸着機構1とローラ対2、2を用いてシートSをエア搬送する構成の装置が提案されている。このような装置構成(図1参照)では、シートSの先端貼り付きもしくは後端張り付きが生じやすくなり、ジャムとなってしまうおそれがある。また図1のような構成とした場合は、静電吸着機構1の前後にある搬送ローラ対2でシートSを保持している時(図2参照)のみ、静電吸着機構1にて紙粉等の異物除去を行うことは可能になるが、この場合、シートSの先端及び後端では異物が除去されない。なお図中4は静電吸着機構1の動作を制御する制御部である。
【0006】
静電吸着機構1とシートSの間に穴の開いたガイド板等を用いることにより、静電吸着機構1へのシートSの貼り付きを抑制できるが、ガイド板へシートが貼り付いてしまうことや、ガイド板の穴からしか紙粉等の異物の除去ができないため、異物除去性能が低下することが考えられる。
【0007】
さらに、静電吸着機構1の直下にローラ対を複数配置することでもガイド板と同様に静電吸着機構1へのシートSの貼り付きを抑制できるが、シートSと静電吸着機構1の距離をあまり離すことができないため、ローラ対に使用できるローラはごく小径のものとなり、実際的に異物除去機能を満足できる装置構成が難しい。
【0008】
そこで本発明においては、上述したような紙粉等の異物による画像不良を解消するために効果的な、異物除去機構を有するシート搬送装置と、これを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシート搬送装置のうち請求項1に係るものは、エア吸引装置を有するシート搬送装置において、搬送されるシートを挟んで前記エア吸引装置に対向させて静電吸着ベルトを配置したことを特徴とする。
【0010】
同請求項2に係るものは、請求項1のシート搬送装置において、前記エア吸引装置がエア搬送手段を備えることを特徴とする。
【0011】
同請求項3に係るものは、エア吸引式の搬送装置を有するシート搬送装置において、前記エア吸引式の搬送装置に対向させて静電吸着ベルトを配置し、該静電吸着ベルトにより搬送されるシートに付着しているホコリや紙粉等の異物の吸着除去を行うことを特徴とする。
【0012】
同請求項4に係るものは、請求項3のシート搬送装置において、前記静電吸着ベルトの記録媒体吸引力よりも前記搬送装置のエアの吸引力が大きくなるように前記静電吸着ベルトを制御する手段を備えることを特徴とする。
【0013】
同請求項5に係るものは、請求項3または4のシート搬送装置において、前記シートの搬送方向を、前記搬送装置と前記静電吸着ベルトとで逆方向としたことを特徴とする。
【0014】
同請求項6に係る画像形成装置は、シート状の記録媒体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記記録媒体に形成されたトナー像を定着する定着手段とを有する画像形成装置において、請求項1から5のいずれかに記載のシート搬送装置を、前記記録媒体の搬送方向で前記像形成手段による像形成部位よりも上流側に備えて記録媒体を搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、記録媒体等のシートに画像が転写される前に紙粉等の異物を除去することにより、転写前にシート上の異物を取り除き、シートの搬送方向で下流側に異物が付着することを防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】静電吸着機構を用いてエア搬送する装置の構成例を示す概念図
【図2】図1の装置で静電吸着機構の前後にある搬送ローラ対でシートを保持している状態を示す概念図
【図3】本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の要部を示す概念図
【図4】図3の画像形成装置で採用可能な本発明の実施例に係る紙粉除去機構の一例の構成を示す概念図
【図5】図3の紙粉除去機構の動作状態を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0018】
<実施例1>
図3は本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の要部を示す概念図である。図中10は記録媒体Sの給紙のためのバンク、11は記録媒体の搬送経路、12は画像形成部13における画像の転写部、14は記録媒体Sに熱と圧力によりトナー画像を定着させる定着部、15は排紙経路である。搬送経路11は複数のローラ対2を含んでいる。
【0019】
バンク10から給紙された記録媒体Sは搬送経路11を搬送され、転写部12を通り、画像形成部13において記録媒体S上にトナー画像を形成し、定着部14にてトナー画像を加熱・加圧して記録媒体S上に定着させ、その後、排紙経路15に排出する。
【0020】
このような画像形成の一連の流れにおいて、記録媒体Sに付着した紙粉等の異物が搬送経路2にある各ローラへ付着することがある。ローラに付着した異物は印字不良などの画像不良の原因となってしまう。また、記録媒体S上に異物がある場合においても異物による画像不良が発生してしまう。
【0021】
そこで本実施例は、記録媒体Sの搬送方向で画像が転写される転写部12前側に紙粉除去機構20を設け、トナー画像の記録媒体Sへの転写前に記録媒体S上の異物を紙粉除去機構20により取り除き、シート搬送方向で紙粉除去機構20より下流側の装置構成要素への異物の付着を防止するものである。
【0022】
図4は紙粉除去機構20の一例の構成を示す概念図である。図示の紙粉除去機構20は、静電吸着ベルト機構部101とエア搬送部201から構成され、静電吸着ベルト部は静電吸着ベルト102、静電吸着ベルト動作手段103、静電吸着ベルト異物除去機構104から構成される。また、エア搬送部201は搬送ベルト202及びエア吸引部203からなる。
【0023】
図示の紙粉除去機構20は、印刷動作において、図5に示すように、搬送されてきた記録媒体Sは、エア搬送部201においては吸引部203から吸引されるエアにより搬送ベルト203部へと吸いつけられ搬送される。図中、矢印に「エア吸引力」と記載して示す。このエア搬送部201の上側に位置する静電吸着ベルト機構部101は、エア搬送部201上の記録媒体Sから静電吸着により、異物を吸い上げて除去を行う。図中矢印に「静電吸着力」と記載して示す。
【0024】
この時、エア搬送部201の吸引力を静電吸着ベルト102の吸着力より強くすることで、記録媒体S自体は静電吸着ベルト102に吸着されずに搬送することが可能となる。すなわち図5に示すように、エア吸引力を静電吸着より大きくしていることで、静電吸着ベルト機構部101への記録媒体Sの貼り付きは生じないと考えられる。また、このエア吸引力は記録媒体S自体に働いているため、記録媒体Sの上面に載っている紙粉にはほとんど影響せず、紙粉には静電吸着力のみが働くものと考えられる。
【0025】
また、静電吸着ベルト102の回転方向を記録媒体Sの進行方向に対して逆方向とすることで、静電吸着ベルト102の通過面積が増えるため、積極的に静電吸着ベルト102へ異物を吸着させることが可能となる。また上述の構成において、エアの吸引力と静電吸着力を可変とすることにより、記録媒体Sの紙厚、紙種に合わせた異物除去も可能となる。
【0026】
<実施例2>
なお図示は省略するが、他の実施形態として、静電吸着ベルト、エア吸引装置及びローラ搬送装置をすべて備えた構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0027】
1:静電吸着機構
2:複数のローラ対
4:静電吸着機構の制御部
10:バンク
11:記録媒体の搬送経路
12:転写部
13:画像形成部
14:定着部
15:排紙経路
20:紙粉除去機構
101:静電吸着ベルト機構部
102:静電吸着ベルト
103:静電吸着ベルト動作手段
104:静電吸着ベルト異物除去機構
201:エア搬送部
202:搬送ベルト
203:エア吸引部
S:記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開平9−35038号公報
【特許文献2】特開平10−09774号公報
【特許文献3】特開平10−94503号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア吸引装置を有するシート搬送装置において、
搬送されるシートを挟んで前記エア吸引装置に対向させて静電吸着ベルトを配置した
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート搬送装置において、
前記エア吸引装置がエア搬送手段を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
エア吸引式の搬送装置を有するシート搬送装置において、
前記エア吸引式の搬送装置に対向させて静電吸着ベルトを配置し、
該静電吸着ベルトにより搬送されるシートに付着しているホコリや紙粉等の異物の吸着除去を行う
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項3のシート搬送装置において、
前記静電吸着ベルトの記録媒体吸引力よりも前記搬送装置のエアの吸引力が大きくなるように前記静電吸着ベルトを制御する手段を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項3または4のシート搬送装置において、
前記シートの搬送方向を、前記搬送装置と前記静電吸着ベルトとで逆方向としたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
シート状の記録媒体上にトナー像を形成する像形成手段と、
前記記録媒体に形成されたトナー像を定着する定着手段とを有する画像形成装置において、
請求項1から5のいずれかに記載のシート搬送装置を、前記記録媒体の搬送方向で前記像形成手段による像形成部位よりも上流側に備えて記録媒体を搬送することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131587(P2012−131587A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283135(P2010−283135)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】