シート搬送装置および記録装置
【課題】記録シートの搬送精度の低下を抑制可能な記録装置を提供する。
【解決手段】記録シートの後端が記録ヘッド上流に配置されたローラ対を抜ける前に剛性が弱い側のローラの圧接力を解除又は減少させることでローラのたわみを減少させる。この結果、記録シートの後端がローラ対によるニップから解放される際の搬送精度の低下を抑制できる。
【解決手段】記録シートの後端が記録ヘッド上流に配置されたローラ対を抜ける前に剛性が弱い側のローラの圧接力を解除又は減少させることでローラのたわみを減少させる。この結果、記録シートの後端がローラ対によるニップから解放される際の搬送精度の低下を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置およびこれを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録シートに画像を記録する記録ヘッドに対して、搬送方向の前後に複数の用紙搬送ローラ対を配置するプリンタ等の記録装置においては、記録シートの後端が記録ヘッド上流に配置されたローラ対を通過する際に、記録シートの搬送精度が低下するという問題がある。これは、記録シートの後端が上流側ローラ対によるニップから解放される際に、搬送ローラに向けて付勢された従動ローラが記録シートの後端を蹴飛ばすからである。特許文献1は、上流側の搬送ローラと下流側の搬送ローラにそれぞれ搬送力を変更する機構を設け、任意の位置で搬送力を変更して搬送を行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−278494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、記録シートの後端がローラ対を通過する際に記録シートの搬送精度が低下する原因の一つとして、上記のローラ対による後端はじき以外に、搬送ローラのたわみの存在がわかってきた。具体的には、記録シートが上流側と下流側とに配置された2つの搬送ローラにより搬送されている際に、これら2つの搬送ローラの速度差によって記録シートを介してこれらに引っ張り力もしくは反発力が発生する。この力によって発生した搬送方向の搬送ローラのたわみが、記録シートの後端がローラ対によるニップから解放され、搬送ローラの復元量だけ記録シートが動いてしまう。
【0005】
本発明は、上記従来に課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、記録シートの搬送精度の低下を抑制可能な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシート搬送装置は、シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持された第1の搬送ローラと、前記第1の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第1の搬送ローラの搬送面に押し付ける第1の従動部材と、シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、前記第1の搬送ローラに対して前記搬送方向の下流側に配置された第2の搬送ローラと、前記第2の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第2の搬送ローラの搬送面に押し付ける第2の従動部材と、を有するシート搬送装置であって、前記第1および第2の搬送ローラのうち、少なくとも剛性の低い搬送ローラの側に設けられ、当該搬送ローラとこれに対応する従動部材との間に作用する圧接力を変更可能な圧接力変更機構と、搬送されるシートが前記第1の搬送ローラおよび従動部材によりニップされるとともに、前記第2の搬送ローラおよび従動部材によりニップされた状態から、当該搬送される記録シートの搬送方向の後端が、前記第1の搬送ローラおよび従動部材によるニップを抜ける状態に移る前に、前記圧接力変更機構を駆動して前記圧接力を一時的に減少又は解除させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの後端がローラ対のニップから解放される前に、圧接力を軽減または解除することにより、シートを搬送するローラに生じたたわみを減少させることができる。この結果、シートの後端がローラ対によるニップから解放される際の搬送精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録装置の機構部の斜視図。
【図2】図1の記録装置の圧接力解除機構部を示した斜視図。
【図3】図1の記録装置の圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図。
【図4】図1の記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図。
【図5】図1の記録装置における記録シートと各搬送機構要素の状態を示した模式図。
【図6】図1の記録装置の制御フローチャート。
【図7】図1の記録装置における各制御動作状態の搬送機構要素の状態を示した模式図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る記録装置の圧接力解除機構部を示した斜視図。
【図9】図8の圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図。
【図10】図8の記録装置における制御フローチャート。
【図11】図8の記録装置の各動作における搬送機構要素の状態を示した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、記録装置の構成について述べる。図1は本発明の第1実施形態における記録装置の機構部の斜視図である。図2は本発明の第1実施形態における圧接力解除機構部を示した斜視図である。図3は本発明の第1実施形態における圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図である。
【0011】
本実施形態の記録装置は、記録シートの搬送方向と直交する方向に走査し、記録シートに画像記録を行う記録部1を有し、搬送機構部による搬送媒体の所定量の搬送動作と、記録部1による記録動作を繰り返し行う事で画像を形成する、インクジェット記録装置である。記録装置には、搬送機構部に記録シートを給紙する給紙部2があり、搬送機構部として給紙部の搬送方向下流側に記録シートの搬送を行うための搬送ローラ3(第1の搬送ローラ)が、さらにその下流側に記録ヘッドを搬送方向に挟むように排紙ローラ4(第2の搬送ローラ)が配置されている。給紙部1と搬送ローラ3の間には記録シートの先端と後端を検知するためのエッジセンサ(不図示)が、搬送ローラ3と排紙ローラ4の間には、記録部1に対して記録シートとの距離を適切に保つためのプラテン12が設けられている。
【0012】
次に、搬送機構部の詳細を説明する。搬送ローラ3は記録シートの搬送方向と直交(交差)する方向に延在し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、記録シートと当接可能な金属軸の表面(搬送面)にセラミックの微小粒をコーティングしたローラである。搬送ローラ3には、従動ローラとしての複数のピンチローラ5(第1の従動部材)が当接して設けられている。ピンチローラ5はピンチローラホルダ7に保持され、ピンチローラバネ8の付勢力で、搬送ローラ3に圧接され、摩擦力により記録シートの搬送力が生み出されている。
【0013】
一方、排紙ローラ4は記録シートの搬送方向と直交(交差)する方向に延在し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、搬送ローラ3の1/2の直径の金属軸に、搬送媒体と接触する複数のゴム部を有している。このゴム部の外周面が記録シートと当接可能な搬送面となっている。ここで排紙ローラ4は搬送ローラ3との直径比によって剛性に寄与する断面2次モーメントが1/8になっており、同一の荷重がかかったときのたわみ量は8倍大きくなっている。また排紙ローラ4は搬送ローラ3に対して単位回転角度あたりの搬送量が小さくなるように設定されている。ここでは説明の為に搬送量が小さくなる設定とするが、これに限定されるわけではない。これは排紙ローラ4の外径を搬送ローラ3の外径よりも小さくするなどの方法をとれば簡単に実施できる。また、搬送ローラ3と排紙ローラ4は同一の幅となるようにそれぞれのローラ端部が支持されている。排紙ローラ4には、複数の拍車6(第2の従動部材)がその外周面に当接して設けられている。拍車6は中心軸に貫通穴を有し、貫通穴には回転支持軸としての機能と圧接力を付与する機能を兼ねたコイルバネ形状の拍車バネ10が挿入されている。拍車6は、拍車バネ10の付勢力で排紙ローラ4に圧接され、記録シートの搬送力が摩擦力により生み出されている。また拍車6の上流には記録シートの浮きを抑えるとともに、記録シートの先端を排紙ローラ4に案内するための押し込み拍車11が設けられている。拍車6と押し込み拍車11のいずれの拍車バネ10も両端部は拍車ホルダ9に保持されており、拍車バネ10を介して、拍車ホルダ9に保持されるよう構成されている。なお、本実施形態では、排紙ローラを1本の構成としたが、記録シートの浮き防止等を目的として、主排紙ローラに対して搬送力を弱くしたアシスト排紙ローラを用いた2本の排紙ローラ構成であってもよい。この場合にはアシスト排紙ローラは、ほとんど記録シートの搬送には寄与しないため、アシスト排紙ローラの圧接力解除の有無は考えなくても良い。
【0014】
次に、圧接解除機構部について説明する。拍車ホルダ9は記録シートの搬送方向に固定されつつ上下動可能なようにガイドされており、拍車ホルダバネ(不図示)によって常に下方に付勢され、記録装置のベースに設けられたストッパ部(不図示)に突き当たることで上下動位置が規制されている。これによって排紙ローラ4との適正な距離が保たれている。拍車ホルダ9には、拍車ホルダカム部91が形成されている。拍車ホルダカム部91の下部には、偏芯カム形状を有した拍車ホルダリフトカム92が設けられている。拍車ホルダリフトカム92は拍車ホルダリフトカムシャフト93に固定されている。同様に拍車ホルダリフトカムシャフト93には、拍車ホルダリフトギア94が固定されている。拍車ホルダリフトカム92は通常の状態では、図3(a)のように拍車ホルダカム部91に当接しないよう構成されている。不図示の駆動部が拍車ホルダリフトギア94を回転させると、拍車ホルダリフトカム92が図3(b)の状態まで回転し、拍車ホルダカム部91に当接することで、拍車ホルダ9を上動させ、拍車6を排紙ローラ4から離間することができる。このような構成をとることで、通常搬送時の拍車6と排紙ローラ4との位置精度を確保しつつ、拍車6が排紙ローラ4から離間する機構を設けることができる。
【0015】
次に、搬送機構部の駆動部について説明する。搬送ローラ3への駆動は、DCモータからなる搬送モータ(不図示)の回転力が搬送ローラ3の軸上に設けた搬送ローラギア13に伝達されることで行われる。また搬送ローラ3の軸上には、搬送コードホイール14が直結されており、記録装置の本体側に設けられたローラエンコーダセンサ(不図示)が搬送コードホイールの回転量を読み取ることで搬送ローラ3の位置検出が行われる。搬送ローラギア13の回転駆動はアイドラギア15を介して、排紙ローラギア15に伝達される。排紙ローラギア15は排紙ローラ4に固定されており、これによって、搬送ローラ3と排紙ローラ4が同時駆動するよう構成されている。
【0016】
図4は本発明の第1実施形態に係る記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。記録装置の制御系は、各部動作やデータの処理などを制御するCPU401、CPU401によって実行されるデータを格納するROM402、CPU401によって実行される処理データおよびホストコンピュータ406からの受信データを記憶するRAM403を搭載している。CPU401、ROM402、RAM403は、搬送モータに代表される複数のモータ404、画像記録を行う記録部1、エッジセンサやローラエンコーダセンサに代表される複数のセンサ405と接続し、記録動作における各部の制御を行う。
【0017】
次に、ローラ間の搬送速度の速度差によるローラのたわみ発生のメカニズムを説明する。図5は本実施形態に係る記録装置における記録シートおよび各搬送機構要素の状態を示した図である。図5(a)は記録シートの先端部を印字する際の状態を、図5(b)は先後端以外のいわゆる通常領域を印字する際の状態を、図5(c)は後端部を印字する際の状態を示す。説明は記録シートの印字の流れに沿って行う。
【0018】
給紙部2によって給紙された記録シートは、まず先端部の印字が実行されるため、図5(a)のような状態で記録が行われる。画像記録が進行し記録シートPの先端が排紙ローラ4に到達すると、図5(b)のように記録シートPは搬送ローラ3と排紙ローラ4による2つの搬送ローラによって搬送されることになる。前述したように2つの搬送ローラにおける記録シートの搬送においてはローラ間の速度差によるローラのたわみが発生する。
【0019】
本実施形態では、搬送ローラ3よりも排紙ローラ4の方が単位回転角度あたりの搬送量が小さくなるよう設定されているので、搬送ローラ3は記録シートを介して排紙ローラ4を搬送方向下流側に押し、排紙ローラ4は搬送ローラ3からのアシスト力を受けることで単位回転角度あたりの搬送量が見かけ上、大きくなる。なお、本実施形態においては、記録シートは、ローラ間で圧縮力を受けても座屈しにくい、写真画紙などの比較的厚いシートを想定している。
【0020】
一方、搬送ローラ3は排紙ローラ4を下流側に押した力とまったく同じ反作用力を反対方向の上流方向に受け、搬送ローラ3は単位回転角度あたりの搬送量が見かけ上、小さくなる。この記録シートを介した力の受け渡しは各搬送ローラの単位回転角度あたりの搬送量が等しくなるまで行われ、最終的に記録シートの搬送量は搬送ローラ3と排紙ローラ4で同一となる。この2つの搬送ローラ間に働く力は、記録シートの幅領域全域の分布荷重として各ローラにかかり、搬送ローラをたわませる。搬送ローラ3と排紙ローラ4には等しい力がかかるが、前述したようにローラ剛性の関係で排紙ローラ4は搬送ローラ3の8倍たわみやすい構成となっているため、図5(b)に示すように、排紙ローラ4に対して搬送ローラ3はほとんどたわみが発生していない状態となる。
【0021】
画像記録が進行し記録シートPの後端が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部に到達すると、記録シートの後端がニップ部をぬけるタイミングで記録シートを介して受け渡されていた力が解放され、2つの搬送ローラのたわみが解放される。このたわみは搬送方向に発生したものであるため、記録シートを搬送方向に動かしてしまう。これが記録シートの後端がニップ部を抜ける時に発生する、ローラのたわみ状態からの復元動作である。
【0022】
後端がニップ部を抜けた記録シートは、図5(c)に示すように、排紙ローラ4のみで搬送され記録作業が行われることになる。当然であるが、このときには搬送ローラ3は記録シートを挟持していないので、ローラにたわみは発生しない。
【0023】
本実施形態では、搬送ローラ3に対して排紙ローラ4の搬送量を小さく設定することで、排紙ローラ4が下流側に向けて突き出すようにたわむ場合について説明した。しかしながら、排紙ローラ4の搬送量を搬送ローラ3に対して大きめに設定すれば、力の方向が逆になり、たわみの方向が変わることは容易に理解できる。また搬送ローラの剛性を変えることで、各搬送ローラのたわみ比を変えることは容易であり、排紙ローラに対して、搬送ローラ側の剛性を低くして、搬送ローラのたわみを大きくするようにしてもよい。ただしその場合には、搬送ローラ側の圧接力を解除する必要がある。
【0024】
次に、本実施形態に係る記録時の制御フローを説明する。図6は本発明の第1実施形態における制御動作のフローチャートである。図7は本発明の第1実施形態における各制御動作状態の搬送機構要素の状態を示した図である。記録命令が下されると、まず給紙部1によって給紙動作が行われる(501)。給紙された記録シートPの先端部がエッジセンサによって検出されると、搬送モータが回転し搬送ローラ3が回転を始める(本実施形態では排紙ローラ4も同時に回転を始める)。記録シートPの先端部が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部に到達すると、所定のレジ取り動作が行われ、記録部1まで記録シートPの先端部が搬送され画像記録作業が開始される。まず記録部1が搬送方向と直交する方向に走査することで記録動作が行われる(502)。その後、画像記録の終了判定(503)と、後端部のニップ部の抜け判定(504)が行われる。ここではまだ画像記録は終了しておらず、記録シートPの後端部も搬送ローラのニップ部に到達していないので、搬送ローラ3による紙送り動作が行われる(505)。画像記録作業は、記録部1による記録動作(503)と、搬送ローラ3(もしくは搬送ローラ3と排紙ローラ4)による紙送り動作(505)を繰り返すことで実行される。画像記録が進行し、記録シートPの後端がエッジセンサに検出され、次回の紙送り動作で記録シートPの後端が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部を抜けることが検知されると(504)、圧接解除動作に移行する。
【0025】
圧接解除動作では、図7(a)から図7(b)に示すように、記録動作後の紙送り動作を一旦停止させ(搬送停止状態)、不図示の駆動部によって拍車ホルダリフトギア94を回転させ、拍車6を排紙ローラ4から離間させる(506)。すなわち、圧接力を一時的に解除する。この作業を行うことによって、2つのローラ間で記録シートPを介して互いに作用していた力が解放され、各ローラのたわみが解放される。この時、記録シートPは搬送ローラ3とピンチローラ5とによりニップされているため、排紙ローラ4のたわみが解放される際に、搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートが動くことはない。また、この時に、搬送ローラ3のたわみも解放されるが、排紙ローラ4に比べて、たわみの量が小さいため、搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートは動かない。
【0026】
たわみの解放が終了すると、図7(b)から図7(c)に示すように、駆動部が拍車ホルダリフトギア94を回転させることで、拍車6を排紙ローラ4に再び圧接させる(507)。拍車6の圧接終了後、通常の紙送り動作に戻り(505)、記録シートPの後端を搬送ローラ3とピンチローラ5とのニップ部を通過させる。記録シートの後端が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部を抜けた後には、排紙ローラ4によって紙送り動作を行い、記録シートの終端まで画像記録が行われる(503)。
【0027】
本実施形態では、排紙ローラ4のたわみが大きくなるよう設定を行ったので、拍車6を離間したが、搬送ローラ3のたわみが大きくなるよう設定し、ピンチローラ5を離間するようにしても良い。
【0028】
また、本実施形態では、圧接力を変更可能な圧接力変更機構として圧接力を解除する構成をとったが、実施の方法としては圧接力を減少させる方法をとってもよい。その場合は、たわみを0にすることはできないが減少させたローラの保持力(静止摩擦力)までローラのたわみを解放することができる。
【0029】
また、本実施形態では、圧接力解除のタイミングを、次回の紙送り動作により記録シートPの後端がニップ部を通過する直前とした。しかしながら、端部がニップ部を抜けるまでに生じるたわみが十分無視できるのであれば、次回の紙送り動作により記録シートPの後端がニップ部を通過する直前よりも前のタイミングで圧接力解除をしてもよい。また、記録シートの搬送中であっても、例えば紙送り動作の停止直前であれば、圧接力解除によるローラ起因の搬送量変化(先のたわみ発生メカニズムで説明したように2軸搬送においては圧接力によって記録シートの速度が変化する)が小さくなるので、紙送り動作中に圧接解除動作を行ってもよい。このようにすればスループットの向上を図ることができる。
【0030】
本実施形態によれば、2つの搬送ローラで記録シートを搬送している際のローラたわみを、搬送ローラのニップ部を記録シートの後端部が抜ける前に減少させることにより、記録倍端の後端がニップ部を抜ける時においても、精度のよい搬送が可能になるができる。
【0031】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対してさらに剛性の高い側のピンチローラ5に対しても圧接力解除機構を設け、たわみ解放と同時に、記録用紙の後端の蹴飛ばしに対する対応も行う。
【0032】
図8は本発明の第2実施形態における圧接力解除機構部を示した斜視図である。図9は本発明の第2実施形態における圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図である。なお、図8および図9において、第1実施形態と同様の構成部分には同一の符号を使用している。ここでは、拍車6に対する圧接力解除機構(第1の圧接力変更機構)は第1実施形態と同じとし、ピンチローラ5に対する圧接力解除機構(第2の圧接力変更機構)のみについて説明を行う。
【0033】
搬送ローラ3に従動するピンチローラ5は、ピンチローラホルダ7に回動可能に支持されている。ピンチローラホルダ7は、図9(a)に示したように記録装置のベース(不図示)に回動可能に支持され、ピンチローラバネ8によってピンチローラ5が搬送ローラ3に圧接されるように付勢されている。ピンチローラホルダ7には、ピンチローラホルダカム部71が形成されている。ピンチローラホルダカム部71の対向部には、偏芯カム形状を有したピンチローラホルダリフトカム72が設けられている。ピンチローラホルダリフトカム72はピンチローラホルダリフトカムシャフト73に固定されている。同様に、ピンチローラホルダリフトカムシャフト73には、ピンチローラホルダリフトギア(不図示)が固定されている。
【0034】
ピンチローラホルダリフトカム72は、通常の状態では、図9(a)に示すように、ピンチローラホルダカム部71に当接しないよう構成されている。不図示の駆動部がピンチローラホルダリフトギア(不図示)を回転させると、ピンチローラホルダリフトカム72が回転し、ピンチローラホルダカム部71に当接し、ピンチローラホルダ7を図9(b)に示す位置まで回動させる。これによってピンチローラ5を搬送ローラ3から離間させることができる。このような構成を採用することで、通常搬送時のピンチローラ5と搬送ローラ3との位置精度を確保しつつ、ピンチローラ5を搬送ローラ3から離間させることができる。
【0035】
次に、記録時の制御フローを説明する。図10は本発明の第2実施形態における制御動作フロー図である。図11は本発明の第2実施形態における各制御動作状態の搬送機構要素の状態を示した図である。記録シートの後端がニップ部を抜ける時の動作以外は第1実施形態と同じであるため、これらの説明を省略し、圧接力の解除動作についてのみ説明を行う。
【0036】
圧接力解除動作では、図11(a)および図11(b)に示すように記録動作後の紙送り動作を一旦停止させ、実施形態1と同様に不図示の駆動部によって拍車ホルダリフトギア94を回転させ、拍車6を排紙ローラ4から離間させる(506)。この作業を行うことによって、2つのローラ間で記録シートPを介して互いに作用していた力が解放され、各ローラのたわみが解放される。この時、記録シートPは搬送ローラ3とピンチローラ5とによりニップされているため、排紙ローラ4のたわみが解放される際に搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートPは動かない。また、この時には搬送ローラ3のたわみも解放されるが、排紙ローラ4に比べて、たわみの量が小さいため、搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートは動かない。
【0037】
たわみの解放が終了すると図11(b)および図11(c)に示すように、駆動部が拍車ホルダリフトギア94を回転させることで、拍車6を排紙ローラ4に再び圧接させる(507)。拍車圧接終了後、不図示の駆動部によってピンチローラホルダリフトギアを回転させ、今度は図11(c)から(d)に示すようにピンチローラ5を搬送ローラ3から離間させる(508)。ピンチローラ5の離間が完了すると図11(e)の状態で通常の紙送り動作に移行し、後端抜けの紙送り動作を実施する(505)。この時には、搬送ローラ3によるニップが解除されているため、記録シートの後端がニップ部を抜ける際の記録シートの後端の蹴飛ばしを抑制できる。記録シートの後端がニップ部を抜けると、記録部1による記録動作と、排紙ローラ4による紙送り動作を繰り返し実施し、記録シートの後端まで画像記録を行い画像記録が終了する。
【0038】
本実施形態では、2つの搬送ローラで記録シートを搬送している際に発生するローラたわみを、記録シートの後端がニップ部を抜ける前で解除し、かつ、ニップ部を抜ける前に後端抜け前に記録用紙の後端側のローラの圧接力を解除する。これにより、ローラのたわみの影響および後端の蹴飛ばしの影響の双方を抑制可能となる。
【0039】
上記第1および第2実施形態では、圧接力解除のために、ピンチローラや拍車を移動させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、搬送ローラ側を移動させることで、圧接力を解除又は減少させることも可能である。
【0040】
上記実施形態では、搬送ローラが搬送方向下流側に向けて突出するようにたわむ場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、搬送ローラが搬送方向上流側に向けて突出するようにたわむ場合にも本発明を適用可能である。
【0041】
上記実施形態では、シート搬送装置を記録装置に適用した場合について説明したが、記録装置以外にも、シートを精度よく搬送する必要のある対象に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0042】
P 記録シート
1 記録部
3 搬送ローラ
4 排紙ローラ
5 ピンチローラ
6 拍車
7 ピンチローラホルダ
8 ピンチローラバネ
9 拍車ホルダ
10 拍車バネ
91 拍車ホルダカム部
92 拍車ホルダリフトカム
93 拍車ホルダリフトシャフト
94 拍車ホルダリフトギア
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置およびこれを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録シートに画像を記録する記録ヘッドに対して、搬送方向の前後に複数の用紙搬送ローラ対を配置するプリンタ等の記録装置においては、記録シートの後端が記録ヘッド上流に配置されたローラ対を通過する際に、記録シートの搬送精度が低下するという問題がある。これは、記録シートの後端が上流側ローラ対によるニップから解放される際に、搬送ローラに向けて付勢された従動ローラが記録シートの後端を蹴飛ばすからである。特許文献1は、上流側の搬送ローラと下流側の搬送ローラにそれぞれ搬送力を変更する機構を設け、任意の位置で搬送力を変更して搬送を行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−278494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、記録シートの後端がローラ対を通過する際に記録シートの搬送精度が低下する原因の一つとして、上記のローラ対による後端はじき以外に、搬送ローラのたわみの存在がわかってきた。具体的には、記録シートが上流側と下流側とに配置された2つの搬送ローラにより搬送されている際に、これら2つの搬送ローラの速度差によって記録シートを介してこれらに引っ張り力もしくは反発力が発生する。この力によって発生した搬送方向の搬送ローラのたわみが、記録シートの後端がローラ対によるニップから解放され、搬送ローラの復元量だけ記録シートが動いてしまう。
【0005】
本発明は、上記従来に課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、記録シートの搬送精度の低下を抑制可能な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシート搬送装置は、シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持された第1の搬送ローラと、前記第1の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第1の搬送ローラの搬送面に押し付ける第1の従動部材と、シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、前記第1の搬送ローラに対して前記搬送方向の下流側に配置された第2の搬送ローラと、前記第2の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第2の搬送ローラの搬送面に押し付ける第2の従動部材と、を有するシート搬送装置であって、前記第1および第2の搬送ローラのうち、少なくとも剛性の低い搬送ローラの側に設けられ、当該搬送ローラとこれに対応する従動部材との間に作用する圧接力を変更可能な圧接力変更機構と、搬送されるシートが前記第1の搬送ローラおよび従動部材によりニップされるとともに、前記第2の搬送ローラおよび従動部材によりニップされた状態から、当該搬送される記録シートの搬送方向の後端が、前記第1の搬送ローラおよび従動部材によるニップを抜ける状態に移る前に、前記圧接力変更機構を駆動して前記圧接力を一時的に減少又は解除させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの後端がローラ対のニップから解放される前に、圧接力を軽減または解除することにより、シートを搬送するローラに生じたたわみを減少させることができる。この結果、シートの後端がローラ対によるニップから解放される際の搬送精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録装置の機構部の斜視図。
【図2】図1の記録装置の圧接力解除機構部を示した斜視図。
【図3】図1の記録装置の圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図。
【図4】図1の記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図。
【図5】図1の記録装置における記録シートと各搬送機構要素の状態を示した模式図。
【図6】図1の記録装置の制御フローチャート。
【図7】図1の記録装置における各制御動作状態の搬送機構要素の状態を示した模式図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る記録装置の圧接力解除機構部を示した斜視図。
【図9】図8の圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図。
【図10】図8の記録装置における制御フローチャート。
【図11】図8の記録装置の各動作における搬送機構要素の状態を示した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、記録装置の構成について述べる。図1は本発明の第1実施形態における記録装置の機構部の斜視図である。図2は本発明の第1実施形態における圧接力解除機構部を示した斜視図である。図3は本発明の第1実施形態における圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図である。
【0011】
本実施形態の記録装置は、記録シートの搬送方向と直交する方向に走査し、記録シートに画像記録を行う記録部1を有し、搬送機構部による搬送媒体の所定量の搬送動作と、記録部1による記録動作を繰り返し行う事で画像を形成する、インクジェット記録装置である。記録装置には、搬送機構部に記録シートを給紙する給紙部2があり、搬送機構部として給紙部の搬送方向下流側に記録シートの搬送を行うための搬送ローラ3(第1の搬送ローラ)が、さらにその下流側に記録ヘッドを搬送方向に挟むように排紙ローラ4(第2の搬送ローラ)が配置されている。給紙部1と搬送ローラ3の間には記録シートの先端と後端を検知するためのエッジセンサ(不図示)が、搬送ローラ3と排紙ローラ4の間には、記録部1に対して記録シートとの距離を適切に保つためのプラテン12が設けられている。
【0012】
次に、搬送機構部の詳細を説明する。搬送ローラ3は記録シートの搬送方向と直交(交差)する方向に延在し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、記録シートと当接可能な金属軸の表面(搬送面)にセラミックの微小粒をコーティングしたローラである。搬送ローラ3には、従動ローラとしての複数のピンチローラ5(第1の従動部材)が当接して設けられている。ピンチローラ5はピンチローラホルダ7に保持され、ピンチローラバネ8の付勢力で、搬送ローラ3に圧接され、摩擦力により記録シートの搬送力が生み出されている。
【0013】
一方、排紙ローラ4は記録シートの搬送方向と直交(交差)する方向に延在し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、搬送ローラ3の1/2の直径の金属軸に、搬送媒体と接触する複数のゴム部を有している。このゴム部の外周面が記録シートと当接可能な搬送面となっている。ここで排紙ローラ4は搬送ローラ3との直径比によって剛性に寄与する断面2次モーメントが1/8になっており、同一の荷重がかかったときのたわみ量は8倍大きくなっている。また排紙ローラ4は搬送ローラ3に対して単位回転角度あたりの搬送量が小さくなるように設定されている。ここでは説明の為に搬送量が小さくなる設定とするが、これに限定されるわけではない。これは排紙ローラ4の外径を搬送ローラ3の外径よりも小さくするなどの方法をとれば簡単に実施できる。また、搬送ローラ3と排紙ローラ4は同一の幅となるようにそれぞれのローラ端部が支持されている。排紙ローラ4には、複数の拍車6(第2の従動部材)がその外周面に当接して設けられている。拍車6は中心軸に貫通穴を有し、貫通穴には回転支持軸としての機能と圧接力を付与する機能を兼ねたコイルバネ形状の拍車バネ10が挿入されている。拍車6は、拍車バネ10の付勢力で排紙ローラ4に圧接され、記録シートの搬送力が摩擦力により生み出されている。また拍車6の上流には記録シートの浮きを抑えるとともに、記録シートの先端を排紙ローラ4に案内するための押し込み拍車11が設けられている。拍車6と押し込み拍車11のいずれの拍車バネ10も両端部は拍車ホルダ9に保持されており、拍車バネ10を介して、拍車ホルダ9に保持されるよう構成されている。なお、本実施形態では、排紙ローラを1本の構成としたが、記録シートの浮き防止等を目的として、主排紙ローラに対して搬送力を弱くしたアシスト排紙ローラを用いた2本の排紙ローラ構成であってもよい。この場合にはアシスト排紙ローラは、ほとんど記録シートの搬送には寄与しないため、アシスト排紙ローラの圧接力解除の有無は考えなくても良い。
【0014】
次に、圧接解除機構部について説明する。拍車ホルダ9は記録シートの搬送方向に固定されつつ上下動可能なようにガイドされており、拍車ホルダバネ(不図示)によって常に下方に付勢され、記録装置のベースに設けられたストッパ部(不図示)に突き当たることで上下動位置が規制されている。これによって排紙ローラ4との適正な距離が保たれている。拍車ホルダ9には、拍車ホルダカム部91が形成されている。拍車ホルダカム部91の下部には、偏芯カム形状を有した拍車ホルダリフトカム92が設けられている。拍車ホルダリフトカム92は拍車ホルダリフトカムシャフト93に固定されている。同様に拍車ホルダリフトカムシャフト93には、拍車ホルダリフトギア94が固定されている。拍車ホルダリフトカム92は通常の状態では、図3(a)のように拍車ホルダカム部91に当接しないよう構成されている。不図示の駆動部が拍車ホルダリフトギア94を回転させると、拍車ホルダリフトカム92が図3(b)の状態まで回転し、拍車ホルダカム部91に当接することで、拍車ホルダ9を上動させ、拍車6を排紙ローラ4から離間することができる。このような構成をとることで、通常搬送時の拍車6と排紙ローラ4との位置精度を確保しつつ、拍車6が排紙ローラ4から離間する機構を設けることができる。
【0015】
次に、搬送機構部の駆動部について説明する。搬送ローラ3への駆動は、DCモータからなる搬送モータ(不図示)の回転力が搬送ローラ3の軸上に設けた搬送ローラギア13に伝達されることで行われる。また搬送ローラ3の軸上には、搬送コードホイール14が直結されており、記録装置の本体側に設けられたローラエンコーダセンサ(不図示)が搬送コードホイールの回転量を読み取ることで搬送ローラ3の位置検出が行われる。搬送ローラギア13の回転駆動はアイドラギア15を介して、排紙ローラギア15に伝達される。排紙ローラギア15は排紙ローラ4に固定されており、これによって、搬送ローラ3と排紙ローラ4が同時駆動するよう構成されている。
【0016】
図4は本発明の第1実施形態に係る記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。記録装置の制御系は、各部動作やデータの処理などを制御するCPU401、CPU401によって実行されるデータを格納するROM402、CPU401によって実行される処理データおよびホストコンピュータ406からの受信データを記憶するRAM403を搭載している。CPU401、ROM402、RAM403は、搬送モータに代表される複数のモータ404、画像記録を行う記録部1、エッジセンサやローラエンコーダセンサに代表される複数のセンサ405と接続し、記録動作における各部の制御を行う。
【0017】
次に、ローラ間の搬送速度の速度差によるローラのたわみ発生のメカニズムを説明する。図5は本実施形態に係る記録装置における記録シートおよび各搬送機構要素の状態を示した図である。図5(a)は記録シートの先端部を印字する際の状態を、図5(b)は先後端以外のいわゆる通常領域を印字する際の状態を、図5(c)は後端部を印字する際の状態を示す。説明は記録シートの印字の流れに沿って行う。
【0018】
給紙部2によって給紙された記録シートは、まず先端部の印字が実行されるため、図5(a)のような状態で記録が行われる。画像記録が進行し記録シートPの先端が排紙ローラ4に到達すると、図5(b)のように記録シートPは搬送ローラ3と排紙ローラ4による2つの搬送ローラによって搬送されることになる。前述したように2つの搬送ローラにおける記録シートの搬送においてはローラ間の速度差によるローラのたわみが発生する。
【0019】
本実施形態では、搬送ローラ3よりも排紙ローラ4の方が単位回転角度あたりの搬送量が小さくなるよう設定されているので、搬送ローラ3は記録シートを介して排紙ローラ4を搬送方向下流側に押し、排紙ローラ4は搬送ローラ3からのアシスト力を受けることで単位回転角度あたりの搬送量が見かけ上、大きくなる。なお、本実施形態においては、記録シートは、ローラ間で圧縮力を受けても座屈しにくい、写真画紙などの比較的厚いシートを想定している。
【0020】
一方、搬送ローラ3は排紙ローラ4を下流側に押した力とまったく同じ反作用力を反対方向の上流方向に受け、搬送ローラ3は単位回転角度あたりの搬送量が見かけ上、小さくなる。この記録シートを介した力の受け渡しは各搬送ローラの単位回転角度あたりの搬送量が等しくなるまで行われ、最終的に記録シートの搬送量は搬送ローラ3と排紙ローラ4で同一となる。この2つの搬送ローラ間に働く力は、記録シートの幅領域全域の分布荷重として各ローラにかかり、搬送ローラをたわませる。搬送ローラ3と排紙ローラ4には等しい力がかかるが、前述したようにローラ剛性の関係で排紙ローラ4は搬送ローラ3の8倍たわみやすい構成となっているため、図5(b)に示すように、排紙ローラ4に対して搬送ローラ3はほとんどたわみが発生していない状態となる。
【0021】
画像記録が進行し記録シートPの後端が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部に到達すると、記録シートの後端がニップ部をぬけるタイミングで記録シートを介して受け渡されていた力が解放され、2つの搬送ローラのたわみが解放される。このたわみは搬送方向に発生したものであるため、記録シートを搬送方向に動かしてしまう。これが記録シートの後端がニップ部を抜ける時に発生する、ローラのたわみ状態からの復元動作である。
【0022】
後端がニップ部を抜けた記録シートは、図5(c)に示すように、排紙ローラ4のみで搬送され記録作業が行われることになる。当然であるが、このときには搬送ローラ3は記録シートを挟持していないので、ローラにたわみは発生しない。
【0023】
本実施形態では、搬送ローラ3に対して排紙ローラ4の搬送量を小さく設定することで、排紙ローラ4が下流側に向けて突き出すようにたわむ場合について説明した。しかしながら、排紙ローラ4の搬送量を搬送ローラ3に対して大きめに設定すれば、力の方向が逆になり、たわみの方向が変わることは容易に理解できる。また搬送ローラの剛性を変えることで、各搬送ローラのたわみ比を変えることは容易であり、排紙ローラに対して、搬送ローラ側の剛性を低くして、搬送ローラのたわみを大きくするようにしてもよい。ただしその場合には、搬送ローラ側の圧接力を解除する必要がある。
【0024】
次に、本実施形態に係る記録時の制御フローを説明する。図6は本発明の第1実施形態における制御動作のフローチャートである。図7は本発明の第1実施形態における各制御動作状態の搬送機構要素の状態を示した図である。記録命令が下されると、まず給紙部1によって給紙動作が行われる(501)。給紙された記録シートPの先端部がエッジセンサによって検出されると、搬送モータが回転し搬送ローラ3が回転を始める(本実施形態では排紙ローラ4も同時に回転を始める)。記録シートPの先端部が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部に到達すると、所定のレジ取り動作が行われ、記録部1まで記録シートPの先端部が搬送され画像記録作業が開始される。まず記録部1が搬送方向と直交する方向に走査することで記録動作が行われる(502)。その後、画像記録の終了判定(503)と、後端部のニップ部の抜け判定(504)が行われる。ここではまだ画像記録は終了しておらず、記録シートPの後端部も搬送ローラのニップ部に到達していないので、搬送ローラ3による紙送り動作が行われる(505)。画像記録作業は、記録部1による記録動作(503)と、搬送ローラ3(もしくは搬送ローラ3と排紙ローラ4)による紙送り動作(505)を繰り返すことで実行される。画像記録が進行し、記録シートPの後端がエッジセンサに検出され、次回の紙送り動作で記録シートPの後端が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部を抜けることが検知されると(504)、圧接解除動作に移行する。
【0025】
圧接解除動作では、図7(a)から図7(b)に示すように、記録動作後の紙送り動作を一旦停止させ(搬送停止状態)、不図示の駆動部によって拍車ホルダリフトギア94を回転させ、拍車6を排紙ローラ4から離間させる(506)。すなわち、圧接力を一時的に解除する。この作業を行うことによって、2つのローラ間で記録シートPを介して互いに作用していた力が解放され、各ローラのたわみが解放される。この時、記録シートPは搬送ローラ3とピンチローラ5とによりニップされているため、排紙ローラ4のたわみが解放される際に、搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートが動くことはない。また、この時に、搬送ローラ3のたわみも解放されるが、排紙ローラ4に比べて、たわみの量が小さいため、搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートは動かない。
【0026】
たわみの解放が終了すると、図7(b)から図7(c)に示すように、駆動部が拍車ホルダリフトギア94を回転させることで、拍車6を排紙ローラ4に再び圧接させる(507)。拍車6の圧接終了後、通常の紙送り動作に戻り(505)、記録シートPの後端を搬送ローラ3とピンチローラ5とのニップ部を通過させる。記録シートの後端が搬送ローラ3とピンチローラ5のニップ部を抜けた後には、排紙ローラ4によって紙送り動作を行い、記録シートの終端まで画像記録が行われる(503)。
【0027】
本実施形態では、排紙ローラ4のたわみが大きくなるよう設定を行ったので、拍車6を離間したが、搬送ローラ3のたわみが大きくなるよう設定し、ピンチローラ5を離間するようにしても良い。
【0028】
また、本実施形態では、圧接力を変更可能な圧接力変更機構として圧接力を解除する構成をとったが、実施の方法としては圧接力を減少させる方法をとってもよい。その場合は、たわみを0にすることはできないが減少させたローラの保持力(静止摩擦力)までローラのたわみを解放することができる。
【0029】
また、本実施形態では、圧接力解除のタイミングを、次回の紙送り動作により記録シートPの後端がニップ部を通過する直前とした。しかしながら、端部がニップ部を抜けるまでに生じるたわみが十分無視できるのであれば、次回の紙送り動作により記録シートPの後端がニップ部を通過する直前よりも前のタイミングで圧接力解除をしてもよい。また、記録シートの搬送中であっても、例えば紙送り動作の停止直前であれば、圧接力解除によるローラ起因の搬送量変化(先のたわみ発生メカニズムで説明したように2軸搬送においては圧接力によって記録シートの速度が変化する)が小さくなるので、紙送り動作中に圧接解除動作を行ってもよい。このようにすればスループットの向上を図ることができる。
【0030】
本実施形態によれば、2つの搬送ローラで記録シートを搬送している際のローラたわみを、搬送ローラのニップ部を記録シートの後端部が抜ける前に減少させることにより、記録倍端の後端がニップ部を抜ける時においても、精度のよい搬送が可能になるができる。
【0031】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対してさらに剛性の高い側のピンチローラ5に対しても圧接力解除機構を設け、たわみ解放と同時に、記録用紙の後端の蹴飛ばしに対する対応も行う。
【0032】
図8は本発明の第2実施形態における圧接力解除機構部を示した斜視図である。図9は本発明の第2実施形態における圧接力解除機構部の圧接・圧接解除状態を示した断面図である。なお、図8および図9において、第1実施形態と同様の構成部分には同一の符号を使用している。ここでは、拍車6に対する圧接力解除機構(第1の圧接力変更機構)は第1実施形態と同じとし、ピンチローラ5に対する圧接力解除機構(第2の圧接力変更機構)のみについて説明を行う。
【0033】
搬送ローラ3に従動するピンチローラ5は、ピンチローラホルダ7に回動可能に支持されている。ピンチローラホルダ7は、図9(a)に示したように記録装置のベース(不図示)に回動可能に支持され、ピンチローラバネ8によってピンチローラ5が搬送ローラ3に圧接されるように付勢されている。ピンチローラホルダ7には、ピンチローラホルダカム部71が形成されている。ピンチローラホルダカム部71の対向部には、偏芯カム形状を有したピンチローラホルダリフトカム72が設けられている。ピンチローラホルダリフトカム72はピンチローラホルダリフトカムシャフト73に固定されている。同様に、ピンチローラホルダリフトカムシャフト73には、ピンチローラホルダリフトギア(不図示)が固定されている。
【0034】
ピンチローラホルダリフトカム72は、通常の状態では、図9(a)に示すように、ピンチローラホルダカム部71に当接しないよう構成されている。不図示の駆動部がピンチローラホルダリフトギア(不図示)を回転させると、ピンチローラホルダリフトカム72が回転し、ピンチローラホルダカム部71に当接し、ピンチローラホルダ7を図9(b)に示す位置まで回動させる。これによってピンチローラ5を搬送ローラ3から離間させることができる。このような構成を採用することで、通常搬送時のピンチローラ5と搬送ローラ3との位置精度を確保しつつ、ピンチローラ5を搬送ローラ3から離間させることができる。
【0035】
次に、記録時の制御フローを説明する。図10は本発明の第2実施形態における制御動作フロー図である。図11は本発明の第2実施形態における各制御動作状態の搬送機構要素の状態を示した図である。記録シートの後端がニップ部を抜ける時の動作以外は第1実施形態と同じであるため、これらの説明を省略し、圧接力の解除動作についてのみ説明を行う。
【0036】
圧接力解除動作では、図11(a)および図11(b)に示すように記録動作後の紙送り動作を一旦停止させ、実施形態1と同様に不図示の駆動部によって拍車ホルダリフトギア94を回転させ、拍車6を排紙ローラ4から離間させる(506)。この作業を行うことによって、2つのローラ間で記録シートPを介して互いに作用していた力が解放され、各ローラのたわみが解放される。この時、記録シートPは搬送ローラ3とピンチローラ5とによりニップされているため、排紙ローラ4のたわみが解放される際に搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートPは動かない。また、この時には搬送ローラ3のたわみも解放されるが、排紙ローラ4に比べて、たわみの量が小さいため、搬送精度に大きな影響を与えるほど、記録シートは動かない。
【0037】
たわみの解放が終了すると図11(b)および図11(c)に示すように、駆動部が拍車ホルダリフトギア94を回転させることで、拍車6を排紙ローラ4に再び圧接させる(507)。拍車圧接終了後、不図示の駆動部によってピンチローラホルダリフトギアを回転させ、今度は図11(c)から(d)に示すようにピンチローラ5を搬送ローラ3から離間させる(508)。ピンチローラ5の離間が完了すると図11(e)の状態で通常の紙送り動作に移行し、後端抜けの紙送り動作を実施する(505)。この時には、搬送ローラ3によるニップが解除されているため、記録シートの後端がニップ部を抜ける際の記録シートの後端の蹴飛ばしを抑制できる。記録シートの後端がニップ部を抜けると、記録部1による記録動作と、排紙ローラ4による紙送り動作を繰り返し実施し、記録シートの後端まで画像記録を行い画像記録が終了する。
【0038】
本実施形態では、2つの搬送ローラで記録シートを搬送している際に発生するローラたわみを、記録シートの後端がニップ部を抜ける前で解除し、かつ、ニップ部を抜ける前に後端抜け前に記録用紙の後端側のローラの圧接力を解除する。これにより、ローラのたわみの影響および後端の蹴飛ばしの影響の双方を抑制可能となる。
【0039】
上記第1および第2実施形態では、圧接力解除のために、ピンチローラや拍車を移動させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、搬送ローラ側を移動させることで、圧接力を解除又は減少させることも可能である。
【0040】
上記実施形態では、搬送ローラが搬送方向下流側に向けて突出するようにたわむ場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、搬送ローラが搬送方向上流側に向けて突出するようにたわむ場合にも本発明を適用可能である。
【0041】
上記実施形態では、シート搬送装置を記録装置に適用した場合について説明したが、記録装置以外にも、シートを精度よく搬送する必要のある対象に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0042】
P 記録シート
1 記録部
3 搬送ローラ
4 排紙ローラ
5 ピンチローラ
6 拍車
7 ピンチローラホルダ
8 ピンチローラバネ
9 拍車ホルダ
10 拍車バネ
91 拍車ホルダカム部
92 拍車ホルダリフトカム
93 拍車ホルダリフトシャフト
94 拍車ホルダリフトギア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持された第1の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第1の搬送ローラの搬送面に押し付ける第1の従動部材と、
シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、前記第1の搬送ローラに対して前記搬送方向の下流側に配置された第2の搬送ローラと、
前記第2の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第2の搬送ローラの搬送面に押し付ける第2の従動部材と、を有するシート搬送装置であって、
前記第1および第2の搬送ローラのうち、少なくとも剛性の低い搬送ローラの側に設けられ、当該搬送ローラとこれに対応する従動部材との間に作用する圧接力を変更可能な圧接力変更機構と、
搬送されるシートが前記第1の搬送ローラおよび従動部材によりニップされるとともに、前記第2の搬送ローラおよび従動部材によりニップされた状態から、当該搬送される記録シートの搬送方向の後端が、前記第1の搬送ローラおよび従動部材によるニップを抜ける状態に移る前に、前記圧接力変更機構を駆動して前記圧接力を一時的に減少又は解除させる制御手段と、を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1の搬送ローラに対して前記第2の搬送ローラのほうがが低い剛性を有し、
前記第1の搬送ローラおよび従動部材の間の圧接力を変更する第1の圧接力変更機構と、
前記第2の搬送ローラおよび従動部材の間の圧接力を変更する第2の圧接力変更機構と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記記録シートの後端が前記第1の搬送ローラと前記第1の従動部材によるニップを抜ける前に、前記第2の圧接力変更機構に前記第2の搬送ローラへの圧接力を一時的に減少又は解除させ、その後に、前記第1の圧接力変更機構に前記第1の搬送ローラと第1の従動部材との間の圧接力を一時的に減少又は解除させる、ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録シートの搬送停止状態において、圧接力を一時的に減少又は解除させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記搬送停止状態は、前記記録シートの後端が前記第1の搬送ローラと前記第1の従動部材によるニップを抜ける直前の停止状態であることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1の搬送ローラおよび前記第2の搬送ローラの搬送速度の間には速度差がある、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項6】
搬送機構により記録シートを搬送しつつ当該記録シートに画像を記録する記録装置であって、
前記搬送機構は、シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持された第1の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第1の搬送ローラの搬送面に押し付ける第1の従動部材と、
シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、前記第1の搬送ローラに対して前記搬送方向の下流側に配置された第2の搬送ローラと、
前記第2の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第2の搬送ローラの搬送面に押し付ける第2の従動部材と、を有し、
前記第1および第2の搬送ローラのうち、少なくとも剛性の低い搬送ローラの側に設けられ、当該搬送ローラとこれに対応する従動部材との間に作用する圧接力を変更可能な圧接力変更機構と、
搬送されるシートが前記第1の搬送ローラおよび従動部材によりニップされるとともに、前記第2の搬送ローラおよび従動部材によりニップされた状態から、当該搬送される記録シートの搬送方向の後端が、前記第1の搬送ローラおよび従動部材によるニップを抜ける状態に移る前に、前記圧接力変更機構を駆動して前記圧接力を一時的に減少又は解除させる制御手段と、を有することを特徴とする記録装置。
【請求項1】
シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持された第1の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第1の搬送ローラの搬送面に押し付ける第1の従動部材と、
シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、前記第1の搬送ローラに対して前記搬送方向の下流側に配置された第2の搬送ローラと、
前記第2の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第2の搬送ローラの搬送面に押し付ける第2の従動部材と、を有するシート搬送装置であって、
前記第1および第2の搬送ローラのうち、少なくとも剛性の低い搬送ローラの側に設けられ、当該搬送ローラとこれに対応する従動部材との間に作用する圧接力を変更可能な圧接力変更機構と、
搬送されるシートが前記第1の搬送ローラおよび従動部材によりニップされるとともに、前記第2の搬送ローラおよび従動部材によりニップされた状態から、当該搬送される記録シートの搬送方向の後端が、前記第1の搬送ローラおよび従動部材によるニップを抜ける状態に移る前に、前記圧接力変更機構を駆動して前記圧接力を一時的に減少又は解除させる制御手段と、を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1の搬送ローラに対して前記第2の搬送ローラのほうがが低い剛性を有し、
前記第1の搬送ローラおよび従動部材の間の圧接力を変更する第1の圧接力変更機構と、
前記第2の搬送ローラおよび従動部材の間の圧接力を変更する第2の圧接力変更機構と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記記録シートの後端が前記第1の搬送ローラと前記第1の従動部材によるニップを抜ける前に、前記第2の圧接力変更機構に前記第2の搬送ローラへの圧接力を一時的に減少又は解除させ、その後に、前記第1の圧接力変更機構に前記第1の搬送ローラと第1の従動部材との間の圧接力を一時的に減少又は解除させる、ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録シートの搬送停止状態において、圧接力を一時的に減少又は解除させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記搬送停止状態は、前記記録シートの後端が前記第1の搬送ローラと前記第1の従動部材によるニップを抜ける直前の停止状態であることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1の搬送ローラおよび前記第2の搬送ローラの搬送速度の間には速度差がある、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項6】
搬送機構により記録シートを搬送しつつ当該記録シートに画像を記録する記録装置であって、
前記搬送機構は、シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持された第1の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第1の搬送ローラの搬送面に押し付ける第1の従動部材と、
シートの搬送方向と交差する方向に延在し、シートに当接可能な搬送面を有し、所定の回転軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、前記第1の搬送ローラに対して前記搬送方向の下流側に配置された第2の搬送ローラと、
前記第2の搬送ローラの搬送面に向けて付勢され、シートを前記第2の搬送ローラの搬送面に押し付ける第2の従動部材と、を有し、
前記第1および第2の搬送ローラのうち、少なくとも剛性の低い搬送ローラの側に設けられ、当該搬送ローラとこれに対応する従動部材との間に作用する圧接力を変更可能な圧接力変更機構と、
搬送されるシートが前記第1の搬送ローラおよび従動部材によりニップされるとともに、前記第2の搬送ローラおよび従動部材によりニップされた状態から、当該搬送される記録シートの搬送方向の後端が、前記第1の搬送ローラおよび従動部材によるニップを抜ける状態に移る前に、前記圧接力変更機構を駆動して前記圧接力を一時的に減少又は解除させる制御手段と、を有することを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−236670(P2012−236670A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106155(P2011−106155)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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