説明

シート搬送装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】構造簡単で低コストでありながら、シートのスタック性を確保しつつ、腰付けローラによる搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に搬送されたシートの異常音の発生を、搬送ローラの回転方向に拘わらず抑制できるシート搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の第1搬送ローラ31,…と複数の第2搬送ローラ32,…とを備えたシート搬送装置30は、第1及び第2搬送ローラ(31,…),(32,…)のうち少なくとも一方の搬送ローラ32,…と同軸上に配設され、かつ、搬送ローラ32,…の径よりも大きい径を有する腰付けローラ34,…を備え、腰付けローラ34,…は、シートPに搬送力を付与する第1腰付けローラ34a,…と、シートPへの搬送力が第1腰付けローラ34a,…のシートPへの搬送力より小さい第2腰付けローラ34b,…とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に適用できるシート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に備えられるシート搬送装置では、該画像形成装置で画像読取処理又は画像形成処理が終了後に処理された原稿や記録用紙等のシートを排出トレイに搬送する場合、該シートを排出トレイにスタック性よく搬送するために、シートが揃った状態で排出トレイに積載させることが要求される。
【0003】
図9は、スタック性が低下する従来のシート搬送装置A1の一例を説明するための説明図である。図9(a)は、排出トレイB4に搬送されたシートPの排出状態を搬送ローラ(B1,…),(B2,…)の軸線方向Xから視た概略側面図である。図9(b)は、シートPの搬送状態をシートPの搬送方向Yから視た概略側面図である。
【0004】
図9に示すシート搬送装置A1は、同軸上に配設された複数の第1搬送ローラB1,…と、複数の第1搬送ローラB1,…にそれぞれ対向して同軸上に配設された複数の第2搬送ローラB2,…とを備え、回転駆動される第1搬送ローラ(駆動ローラ軸E1に固定された駆動ローラ)B1,…と第1搬送ローラB1,…の回転に伴い従動回転する第2搬送ローラ(従動ローラ軸E2に固定された従動ローラ)B2,…との間でシートPを挟持しつつ搬送するようになっている。
【0005】
かかる従来のシート搬送装置A1では、シートPを搬送方向Yの一方側Y1に搬送するときにシートPにおける搬送方向Yの一方側Y1の下流側端(先端)P1が垂れ下がって先端P1が早めに排出トレイB4に接触したり、また、シートPの先端P1の排出トレイB4への早めの接触によってシートPが搬送された後に搬送方向Yの一方側Y1の上流側端(後端)P2が第2搬送ローラB2,…に引っかかったままになったりといった不都合(いわゆる後端残り(図9(a)のα部分参照))が発生しやすい。或いは、定着工程でカールが付与されたシートPによってスタック性が低下する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−151617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、シート搬送装置A1からシートPを搬送方向Yの一方側Y1に搬送するときにシートPの先端P1がすぐに垂れ下がることがないように、また、シートPの後端P2が搬送ローラB2に引っかかって後端残りが生じないように、或いは、定着工程で付与されたシートPのカールを抑制できるように、第1及び第2搬送ローラ(B1,…),(B2,…)のうち少なくとも一方の搬送ローラ(後述する図10に示す例では上側の第1搬送ローラB1,…)と同軸上に配設され、かつ、ローラB1,…より大きな径を有する腰付けローラB3,…(図10参照)が設けられることがある。
【0008】
図10は、腰付けローラB3,…が設けられた従来のシート搬送装置A2の一例を説明するための説明図である。図10(a)は、排出トレイB4に搬送されたシートPの排出状態を搬送ローラ(B1,…),(B2,…)の軸線方向Xから視た概略側面図である。
図10(b)は、シートPの搬送状態をシートPの搬送方向Yから視た概略側面図である。
【0009】
図10に示すシート搬送装置A2は、図9に示すシート搬送装置A1において、第1搬送ローラB1,…に対して腰付けローラB3,…が同軸上に配設されている。腰付けローラB3,…は、第1搬送ローラB1,…の径よりも大きい径を有しており、第1搬送ローラB1,…と一体的に回転する構成(図示例では駆動ローラ軸E1に固定)されている。すなわち、個々の腰付けローラB3,…の全部に対してシートPに搬送力を付与する構成とされている。
【0010】
かかる従来のシート搬送装置A2では、シートPを搬送方向Yの一方側Y1に搬送するときに、腰付けローラB3,…によって、シートPに軸線方向Xにおける波打ち形状を付与し、シートPに腰を付けてシートPの搬送姿勢をできるだけ維持することで、シートPの先端P1の早期垂れ下がりや、シートPの後端残り、或いは、シートPの定着カールを防止できるようになっている。
【0011】
ところが、このような従来のシート搬送装置A2では、腰付けローラB3,…により、シートPの先端P1の早期垂れ下がりや、シートPの後端残り、或いは、シートPの定着カールを防止できるものの、腰付けローラB3,…によるシートPの波打ちに関する不都合、特に、シートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路D(後述する図11参照)に案内される場合には、軸線方向Xに波打ったシートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路Dに搬送されることによる異常音が発生するという不都合がある。
【0012】
図11は、従来のシート搬送装置A2の一例において軸線方向Xに波打ったシートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路Dに搬送される状態を軸線方向Xから視た概略断面図である。
【0013】
図11に示すように、スイッチバック機能で逆回転された搬送ローラ(B1,…),(B2,…)にて搬送方向Yの他方側Y2に搬送(スイッチバック)されたシートPが湾曲搬送経路D(この例では、両面画像を形成する際にシートPの表裏を反転させるための反転搬送経路)に案内されると、腰付けローラB3,…にて軸線方向Xに波打ったシートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路Dに沿って強制的に湾曲されて波打ちが元に戻るときに異常音(具体的にはバリバリといった音)が生じることがある。つまり、腰付けローラB3,…と第1搬送ローラB1,…とで径の違いによる周速度の違いによって単位時間あたりのシートPの搬送量が異なることから、この搬送量の差によってシートPの波打ちの振幅が大きくなり、それだけ異常音が発生しやすくなる。
【0014】
このことは、特に、シートPの波打ちが比較的大きい状態のままでシートPが湾曲搬送経路Dに移行する構成(具体的には、腰付けローラB3,…と湾曲搬送経路Dとの距離が比較的短い距離の小型化された画像形成装置)において顕著となる。
【0015】
この点に関し、特許文献1には、腰付けローラが、通常の排紙状態である正転時には搬送ローラに固定され一体となって回転し記録材を搬送し、反転時には搬送ローラへのロックが解除され、搬送される記録材によって従動回転する構成が開示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、腰付けローラの構造が複雑化し、それだけコスト高を招く上、正転方向へ搬送されるシートの波打ちに関しては何ら考慮されていない。
【0017】
そこで、本発明は、構造簡単で低コストでありながら、シートのスタック性を確保しつつ、腰付けローラによるシートの波打ちに関する不都合(特に、搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に搬送されたシートの異常音)の発生を、搬送ローラの回転方向に拘わらず抑制できるシート搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、従来の構成の如く、個々の腰付けローラの全部に対してシートに搬送力を付与する構成とすると、腰付けローラによるシートの波打ちに関する不都合(特に、搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に搬送されたシートの異常音)が発生する一方で、個々の腰付けローラの全部に対してシートに搬送力を付与しない構成とする場合には、該波打ちに関する不都合を解消できるものの、該シートへの搬送力が低下するため、該シートの後端残りが発生し、該シートのスタック性を確保できないという知見を得た。
【0019】
本発明者は、この点に着目し、個々の腰付けローラの一部に対してシートに搬送力を付与しない、或いは、低下させた構成とすれば、構造簡単で低コストでありながら、シートの後端残りの発生を回避でき、従って、シートのスタック性を確保しつつ、シートの波打ちの振幅を小さくでき、これにより、該波打ちに関する不都合(特に、搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に搬送されたシートの異常音)の発生を、搬送ローラの回転方向に拘わらず抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
すなわち、本発明は、同軸上に配設された複数の第1搬送ローラと、該複数の第1搬送ローラにそれぞれ対向して同軸上に配設された複数の第2搬送ローラとを備え、回転される前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間でシートを挟持しつつ搬送するシート搬送装置であって、前記第1及び第2搬送ローラのうち少なくとも一方の搬送ローラと同軸上に配設され、かつ、該搬送ローラの径よりも大きい径を有する腰付けローラを備え、前記腰付けローラは、シートに搬送力を付与する第1腰付けローラと、シートへの搬送力が前記第1腰付けローラのシートへの搬送力より小さい第2腰付けローラとを含み、前記第1腰付けローラ及び前記第2腰付けローラは、該第1及び第2腰付けローラと同軸上の搬送ローラの軸線方向に互いに離間した状態で該搬送ローラに対して一体的に回転し、かつ、該第1腰付けローラの表面の摩擦係数よりも該第2腰付けローラの表面の摩擦係数を小さくした構成とされていることを特徴とするシート搬送装置を提供する。
【0021】
ここで、前記第2腰付けローラにいう「シートへの搬送方向が前記第1腰付けローラのシートへの搬送力より小さい」とは、シートに搬送力を付与しない場合も含む概念である。
【0022】
また、本発明は、前記本発明に係るシート搬送装置と、シートの搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路とを備え、前記シート搬送装置から前記湾曲搬送経路へ向けてシートを搬送する構成とされていることを特徴とする画像形成装置も提供する。
【0023】
本発明によれば、前記腰付けローラが前記第1腰付けローラと前記第2腰付けローラとを含む構成とされているので、構造が簡単であり、それだけコストを低く抑えることができる。また、前記腰付けローラによってシート(具体的には記録用紙や原稿)に軸線方向における波打ち形状を付与することができ、さらに前記腰付けローラがシートに搬送力を付与する前記第1腰付けローラを含むので、該シートの後端残りの発生を回避することができ、これにより該シートのスタック性を確保することができる。しかも、前記腰付けローラは、個々の腰付けローラの全部に対してシートに搬送力を付与する構成とするのではなく、シートに搬送力を付与する前記第1腰付けローラに加えて、シートへの搬送力が前記第1腰付けローラのシートへの搬送力より小さい前記第2腰付けローラを含むので、前記第1及び第2搬送ローラの回転方向に関係なく、前記腰付けローラと該腰付けローラと同軸上の搬送ローラとの周速度の違いによる単位時間あたりのシートの搬送量の差を小さくでき、ひいては、シートの波打ちの振幅を小さくでき、これにより、該波打ちに関する不都合(特に、搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路、例えば、本発明に係る画像形成装置における前記湾曲搬送経路に搬送されたシートの異常音)の発生を抑制することができる。
【0024】
しかも、同軸上の前記搬送ローラに対して一体的に回転する前記第1腰付けローラ及び前記第2腰付けローラが、該第1腰付けローラの表面の摩擦係数よりも該第2腰付けローラの表面の摩擦係数を小さくした構成とされているので、該第1腰付けローラよりも該第2腰付けローラでシートが滑りやすくなる。これにより、前記第1腰付けローラでのシートへの搬送力よりも前記第2腰付けローラでのシートへの搬送力が小さくなることから、それだけ、前記腰付けローラと該腰付けローラと同軸上の搬送ローラとの周速度の違いによる単位時間あたりのシートの搬送量の差を小さくすることが可能となる。なお、前記第2腰付けローラの表面の摩擦係数をシートへの搬送力を付与しない摩擦係数にしてもよい。
【0025】
本発明において、前記腰付けローラ及び該腰付けローラと同軸上の搬送ローラは、該搬送ローラの軸線方向においてセンター基準で対称に配設されている態様を例示できる。
【0026】
この特定事項では、前記腰付けローラ及び該腰付けローラと同軸上の搬送ローラが前記軸線方向においてセンター基準で対称に配設されているので、シートにセンター基準で対称に搬送力を与えることができる。これにより、スキュー(斜め送り)の発生を防止することが可能となる。この態様では、センター基準のシート搬送の構成に好適に用いることができる。
【0027】
本発明において、前記腰付けローラのうち、前記軸線方向において中央部が前記第1腰付けローラとされ、両端部が前記第2腰付けローラとされている態様を例示できる。
【0028】
この特定事項では、前記腰付けローラのうち、前記軸線方向において中央部が前記第1腰付けローラとされ、両端部が前記第2腰付けローラとされているので、前記軸線方向における中央部で安定したシートの搬送を実現しつつ該シートの波打ちに関する不都合の発生を抑制することができる。
【0029】
本発明において、前記腰付けローラのうち、前記軸線方向においてセンター位置より一番近い腰付けローラは、前記第1腰付けローラとされている態様を例示できる。
【0030】
この特定事項では、前記腰付けローラのうち、前記軸線方向においてセンター位置より一番近い腰付けローラが前記第1腰付けローラとされているので、該センター位置付近で搬送力を付与することができ、複数種類のサイズのシートを用いる場合でも最大サイズよりも小さいサイズのシートを確実に搬送することができる。
【0031】
本発明において、前記腰付けローラのうち、前記軸線方向においてセンター位置より一番近い腰付けローラは、当該シート搬送装置が備えられる画像形成装置で使用可能な最小サイズのシートを搬送可能な構成とされている態様を例示できる。
【0032】
この特定事項では、前記腰付けローラのうち、前記軸線方向においてセンター位置より一番近い腰付けローラが、当該シート搬送装置が備えられる画像形成装置で使用可能な最小サイズのシートを搬送可能な構成とされているので、センター基準のシート搬送の構成において、最小サイズのシートであっても、該最小サイズのシートを確実に搬送することが可能となる。この場合、前記センター位置より一番近い腰付けローラを、使用可能な最小サイズのシートを搬送できる位置に設けることができる。
【0033】
本発明において、前記腰付けローラは、該腰付けローラと同軸上の搬送ローラの軸に設けられていてもよいし、該搬送ローラ自身に設けられていてもよい。
【0034】
例えば、前記腰付けローラは、該腰付けローラと同軸上の搬送ローラの前記軸線方向における片側端部に設けられている態様を例示できる。
【0035】
この特定事項では、前記腰付けローラが該腰付けローラと同軸上の搬送ローラの前記軸線方向における片側端部に設けられているので、前記腰付けローラが同軸上の前記搬送ローラから前記軸線方向に離れている場合(例えば、隣り合う搬送ローラ間の中央に設けられている場合)に比べてシートの波打ちの最大振幅が同じでも前記腰付けローラの径の前記搬送ローラの径との差に対する振幅割合を大きくすることができ、それだけ材料コストを低く抑えることができる。さらに、前記腰付けローラと前記搬送ローラとを一つの組立部品とすることができ、該腰付けローラ及び該搬送ローラの組み付け工程の短縮化を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように、本発明によると、前記腰付けローラは、シートに搬送力を付与する前記第1腰付けローラと、シートへの搬送力が前記第1腰付けローラのシートへの搬送力より小さい前記第2腰付けローラとを含むので、構造簡単で低コストでありながら、シートのスタック性を確保しつつ、腰付けローラによるシートの波打ちに関する不都合(特に、搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に搬送されたシートの異常音)の発生を、搬送ローラの回転方向に拘わらず抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ート搬送装置を備えた画像形成装置を正面より視た概略断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置における搬送経路を示す概略断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置におけるシート搬送装置を用紙の搬送方向から視た概略側面図である。
【図4】第1実施形態の第1及び第2腰付けローラ及びその周辺部分の概略構成図であって、(a)は、第1腰付けローラ部分を搬送方向から視た概略側面図であり、(b)は、第1腰付けローラ部分を軸線方向から視た概略側面図であり、(c)は、第2腰付けローラ部分を搬送方向から視た概略側面図であり、(d)は、第2腰付けローラ部分を軸線方向から視た概略側面図である。
【図5】第2実施形態の第1及び第2腰付けローラ及びその周辺部分の概略構成図であって、(a)は、第1腰付けローラ部分を搬送方向から視た概略側面図であり、(b)は、第1腰付けローラ部分を軸線方向から視た概略側面図であり、(c)は、第2腰付けローラ部分を搬送方向から視た概略側面図であり、(d)は、第2腰付けローラ部分を軸線方向から視た概略側面図である。
【図6】画像形成装置の仕向地の違いによる腰付けローラの位置関係と外径の大きさとを示す表である。
【図7】比較例1、2及び実施例の結果を示す表である。
【図8】比較例1及び実施例において用紙の種類の違いによる反転搬送経路での異常音の発生について調べた結果を示す表であって、(a)は、比較例1の用紙サイズ別の結果を示す表であり、(b)は、実施例の用紙サイズ別の結果を示す表である。
【図9】スタック性が低下する従来のシート搬送装置の一例を説明するための説明図であって、(a)は、排出トレイに搬送されたシートの排出状態を搬送ローラの軸線方向から視た概略側面図であり、(b)は、シートの搬送状態をシートの搬送方向から視た概略側面図である。
【図10】腰付けローラが設けられた従来のシート搬送装置の一例を説明するための説明図であって、(a)は、排出トレイに搬送されたシートの排出状態を搬送ローラの軸線方向から視た概略側面図であり、(b)は、シートの搬送状態をシートの搬送方向から視た概略側面図である。
【図11】従来のシート搬送装置の一例において軸線方向に波打ったシートが搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に搬送される状態を軸線方向から視た概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0039】
(画像形成装置の全体構成の説明)
図1は、シート搬送装置30を備えた画像形成装置100を正面より視た概略断面図である。
【0040】
図1に示す画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙等のシート(以下、用紙という。)Pに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置である。画像形成装置100は、原稿読取装置108と、装置本体110とを備えており、装置本体110には、画像形成部102とシート搬送系103とが設けられている。
【0041】
画像形成部102は、露光ユニット1、複数の現像ユニット2,…、複数の感光体ドラム3,…、複数のクリーニング部4,…、複数の帯電器5,…、中間転写ベルトユニット6、複数のトナーカートリッジユニット21,…及び定着ユニット7を備えている。
【0042】
また、シート搬送系103は、給紙トレイ81及び手差し給紙トレイ82を含む給紙部80、後述する搬送経路(主搬送経路76、反転搬送経路77)及び排出トレイ91を備えている。
【0043】
装置本体110の上部には、原稿(シート)が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の下部には原稿を読み取るための光学ユニット90が設けられている。また、原稿載置台92の上側には原稿読取装置108が設けられている。原稿読取装置108は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、原稿読取装置108は、装置本体110に対して前側開きで回動自在に取り付けられており、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで載置できるようになっている。
【0044】
原稿読取装置108は、自動的に搬送される原稿又は原稿載置台92上に載置された原稿を読み取ることができる。原稿読取装置108で読み取られた原稿の画像全体は、画像データとして画像形成装置100の装置本体110へと送られ、装置本体110において画像データに基づき形成された画像が用紙Pに記録される。
【0045】
画像形成装置100において扱われる画像データは、複数色(ここではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色)を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像ユニット2,…、感光体ドラム3,…、クリーニング部4,…、帯電器5,…及びトナーカートリッジユニット21,…は、各色に応じた複数種類(ここでは4種類)の画像を形成するようにそれぞれ複数個(ここでは4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)に設定され、これらによって複数(ここでは4つ)の画像ステーションが構成されている。
【0046】
帯電器5,…は、感光体ドラム3,…の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器を用いることができる。
【0047】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成されている。露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、このポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3,…に導くためのレンズやミラー等の光学素子とが設けられている。また、露光ユニット1としては、この他にも、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)やLED(発光ダイオード)等の発光素子をアレイ状に並べた書込みヘッドを用いる手法を採用することもできる。
【0048】
露光ユニット1は、入力された画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3,…をそれぞれ露光することにより、画像データに応じた静電潜像をそれぞれの感光体ドラム3,…の表面に形成する。
【0049】
トナーカートリッジユニット21,…は、トナーを収容するユニットであり、現像ユニット2,…の現像槽へトナーが供給されるようになっている。画像形成装置100の装置本体110において、トナーカートリッジユニット21,…から現像ユニット2,…の現像槽へ供給されるトナーは、該現像槽における現像剤のトナー濃度が一定になるように制御される。
【0050】
現像ユニット2,…は、それぞれの感光体ドラム3,…上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーニング部4,…は、現像及び画像転写後における感光体ドラム3,…上の表面に残留したトナーを除去、回収する。
【0051】
感光体ドラム3,…の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写体として作用する中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、複数の中間転写ローラ64,…及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。
【0052】
中間転写ローラ64,…は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ62は、中間転写ベルト従動ローラ63及び中間転写ローラ64,…と共に中間転写ベルト61を張架し、回転駆動されることで、中間転写ベルト61が移動方向(図1中矢印M方向)に周回移動され、それに伴い従動ローラ63及び中間転写ローラ64,…が従動回転される。
【0053】
各中間転写ローラ64,…は、感光体ドラム3,…上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスが印加される。
【0054】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3,…に接触するように設けられている。中間転写ベルト61は、感光体ドラム3,…に形成された各色のトナー像を順次重ねて転写されることによって、表面にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト61は、例えば、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いた無端状のものとされている。
【0055】
感光体ドラム3,…から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64,…によって行われる。中間転写ローラ64,…には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。中間転写ローラ64,…は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)や発泡ウレタン等の樹脂材料)により覆われているローラである。中間転写ローラ64,…は、この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加する転写電極とされている。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状の転写電極を使用しているが、それ以外に、ブラシなどの転写電極を用いることが可能である。
【0056】
既述のとおり、各感光体ドラム3,…上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は、中間転写ベルト61上で積層される。中間転写ベルト61上で積層されたトナー像は、中間転写ベルト61の周回移動によって、用紙Pと中間転写ベルト61との接触位置に配置された二次転写機構部を構成する転写ローラ10によって用紙P上に転写される。但し、二次転写機構部の構成としては、転写ローラに限らず、コロナチャージャや転写ベルト等の転写構成を用いることが可能である。
【0057】
このとき、転写ローラ10は、中間転写ベルト61との間で転写ニップが形成された状態で、トナーを用紙Pに転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62が互いに圧接されることで転写ローラ10と中間転写ベルト61との間には転写ニップが形成される。転写ニップを定常的に得るために、転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62のうち何れか一方が硬質材料(金属等)で構成された硬質ローラとされ、他方が軟質材料(弾性ゴムや発泡性樹脂等の樹脂材料)で構成された弾性ローラとされている。
【0058】
転写ローラ10による中間転写ベルト61上から用紙P上へのトナー像の転写にあたり、用紙P上に転写されずに中間転写ベルト61上にトナーが残存することがある。中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルト61上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去、回収される。具体的には、中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触するクリーニング部材(例えばクリーニングブレード)が備えられている。従動ローラ63は、中間転写ベルト61を内側(裏側)から支持しており、クリーニング部材は、外側から従動ローラ63に向けて押圧するように中間転写ベルト61に接触している。
【0059】
給紙トレイ81は、画像形成(印刷)される用紙Pを予め収容しておくトレイであり、装置本体110における露光ユニット1の下方に設けられている。また、手差し給紙トレイ82には、画像形成(印刷)される用紙Pが載置される。排出トレイ91は、装置本体110における画像形成部102の上方に設けられており、画像形成(印刷)済みの用紙Pをフェイスダウンで集積する。
【0060】
また、装置本体110には、給紙トレイ81及び手差し給紙トレイ82から送られてきた用紙Pを転写ローラ10及び定着ユニット7を経て、排出トレイ91に送るための主搬送経路76が設けられている。主搬送経路76の近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の(ここでは第1及び第2)搬送ローラ12a,12b、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72が配置されている。反転搬送経路77の近傍には、複数の(ここでは第3及び第4)搬送ローラ12c,12dが配置されている。
【0061】
第1から第4搬送ローラ12a〜12dは、用紙Pの搬送を促進、補助するための小型のローラである。また、ピックアップローラ11aは、給紙トレイ81の用紙供給側の近傍に備えられ、給紙トレイ81から用紙Pを1枚ずつピックアップして主搬送経路76に供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙トレイ82の用紙供給側の近傍に備えられ、手差し給紙トレイ82から用紙Pを1枚ずつピックアップして主搬送経路76に供給する。
【0062】
また、レジストローラ13は、主搬送経路76において搬送されている用紙Pを一旦保持するものである。そして、レジストローラ13は、感光体ドラム3,…上のトナー像の先端と用紙Pの搬送方向Yの一方側Y1の下流側端(以下、先端という。)P1を合わせるタイミングで用紙Pを転写ローラ10に搬送する。
【0063】
定着ユニット7は、未定着トナー像を用紙Pに定着するものであり、定着ローラとして作用するヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71は、回転駆動されることで、従動回転される加圧ローラ72と共に用紙Pを挟持しつつ用紙Pを搬送するようになっている。また、ヒートローラ71は、内側に設けられたヒータ71aによって加熱され、温度検出器71bからの信号に基づき所定の定着温度に維持されるようになっている。ヒータ71aにより加熱されたヒートローラ71は、加圧ローラ72と共に用紙Pに転写された多色トナー像を用紙Pに熱圧着することにより、多色トナー像を溶融、混合、圧接して用紙Pに対して熱定着させる。
【0064】
(搬送経路について)
図2は、図1に示す画像形成装置100における搬送経路76,77を示す概略断面図である。
【0065】
図1及び図2に示すように、画像形成装置100は、既述のとおり、用紙Pが搬送される搬送経路として、主搬送経路76と、反転搬送経路77とを備えており、センター基準のシート搬送の構成とされている。反転搬送経路77は、搬送方向Yに湾曲しており、湾曲搬送経路を構成している。
【0066】
主搬送経路76は、給紙部80とシート搬送装置30との間で用紙Pを搬送する搬送経路とされている。
【0067】
反転搬送経路77は、搬送方向Yの一方側Y1とは逆方向の他方側Y2に搬送される用紙Pを搬送する搬送経路であって、シート搬送装置30から定着ユニット7とシート搬送装置30との間の分岐部Saまでの主搬送経路76の一部を経て、画像形成部102と給紙部80との間の主搬送経路76との接続部Sb(図1参照)に接続された搬送経路とされている。従って、主搬送経路76及び反転搬送経路77において、シート搬送装置30と分岐部Saとの間は共通の搬送経路とされている。
【0068】
分岐部Saには、分岐爪84が配設されている。分岐爪84は、定着ユニット7からの用紙Pをシート搬送装置30の方に導く第1姿勢(図2の実線で示す姿勢)と、シート搬送装置30における後述する搬送ローラ31,32の逆回転(図2中の矢印A2方向の回転)により搬送方向Yの一方側Y1とは逆方向の他方側Y2に搬送される用紙Pを反転搬送経路77側に導く第2姿勢(図2の2点鎖線で示す姿勢)をとるように構成されている。
【0069】
かかる構成を備えた画像形成装置100では、各給紙トレイ81,82から供給された用紙Pは、主搬送経路76に沿って設けられた第1搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、用紙Pの先端P1と中間転写ベルト61上のトナー像の先端を整合するタイミングで転写ローラ10によって搬送され、用紙P上にトナー像が転写される。その後、用紙Pは定着ユニット7を通過することによって用紙P上の未定着トナーが熱で溶融、固着される。
【0070】
そして、分岐爪84が第1姿勢にされ、用紙Pの片面画像の印刷が行われる場合は、定着ユニット7からの用紙Pが第2搬送ローラ12bを経て正回転(図2中の矢印A1方向に回転)された搬送ローラ31,32に搬送されて排出トレイ91に排出される。
【0071】
また、用紙Pの両面に印刷が行われる場合は、定着ユニット7を通過した用紙Pの先端P1側が一旦外部に移送されて用紙Pの搬送方向Yの一方側Y1の上流側端(以下、後端という。)P2が分岐部Saを通過した後、分岐爪84が第2姿勢にされ、搬送ローラ31,32が逆回転されることによって用紙Pが搬送方向Yの他方側Y2に搬送(スイッチバック)され、反転搬送経路77に沿って表裏が反転されつつ第3及び第4搬送ローラ12c,12dにて接続部Sbに搬送される。そして、レジストローラ13を経て転写ニップに搬送されてきた用紙Pは、裏面に印刷された後、正回転された搬送ローラ31,32に搬送されて排出トレイ91に排出される。
【0072】
(シート搬送装置について)
図3は、図1に示す画像形成装置100におけるシート搬送装置30を用紙Pの搬送方向Yから視た概略側面図である。
【0073】
図2及び図3に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置100は、用紙Pを搬送するシート搬送装置30と、回転駆動部40とを備えている。
【0074】
シート搬送装置30は、複数の(ここでは4つの)第1排出ローラ(第1搬送ローラの一例)31,…と、複数の(ここでは4つの)第2排出ローラ(第2搬送ローラの一例)32,…とを備えている。第1排出ローラ31,…は、互いに同径とされ、何れも同軸上に配設されている。第2排出ローラ32,…は、互いに同径とされ、第1排出ローラ31,…にそれぞれ対向して同軸上に配設されている。そして、シート搬送装置30は、回転駆動される第1排出ローラ(駆動ローラ)31,…と、第1排出ローラ31,…の駆動回転に伴い従動回転される第2排出ローラ(従動ローラ)32,…との間で用紙Pを挟持しつつ搬送するようになっている。具体的には、シート搬送装置30は、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)が正回転するときには用紙Pを排出トレイ91の方へ搬送する一方、逆回転するときには用紙Pを反転搬送経路77の方へ搬送する。
【0075】
シート搬送装置30は、駆動ローラ軸31a及び従動ローラ軸32aをさらに備えている。第1排出ローラ31,…は、駆動ローラ軸31aに固定されている。第2排出ローラ32,…は、従動ローラ軸32aに第1排出ローラ31,…に対向して固定されている。また、シート搬送装置30は、第2排出ローラ32,…を第1排出ローラ31,…に向けて付勢する付勢部材(ここでは巻きバネ)33をさらに備えている。
【0076】
第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)並びに付勢部材33は、シート搬送装置30の本体フレーム30aに設けられており、第1排出ローラ31,…が設けられた駆動ローラ軸31aの片方の端部がシート搬送装置30の本体フレーム30aから軸線方向(図3中の矢印X)の外側に突出して設けられている。
【0077】
駆動ローラ軸31aは、ここでは、単一のものとされており、シート搬送装置30の本体フレーム30aに対して軸線回りに回転自在に設けられている。
【0078】
従動ローラ軸32aは、ここでは、軸線方向Xに沿って複数(ここでは2つ)並設されており、それぞれ、複数(ここでは2つ)の第2排出ローラ32,…が固定されている。そして、従動ローラ軸32aは、第2排出ローラ32,…が対応する第1排出ローラ31,…と対峙するように、シート搬送装置30の本体フレーム30aに対して軸線回りに回転自在に、かつ、上下方向(図中矢印Z方向)に沿って往復移動自在に設けられている。そして、シート搬送装置30は、用紙Pが第1排出ローラ31,…と第2排出ローラ32,…との間のニップ部Nにおいて第2排出ローラ32,…にて押圧された状態で挟持されつつ搬送されるようになっている。
【0079】
具体的には、付勢部材33は、第2排出ローラ32,…を第1排出ローラ31,…に向けて付勢するようになっており、ここでは、第2排出ローラ32,…と、シート搬送装置30の本体フレーム30aの第1排出ローラ31,…とは反対側の位置との間に配置されている。なお、付勢部材33による第2排出ローラ32,…の第1排出ローラ31,…への押圧力は、用紙Pが適正に搬送される程度の圧力となっている。
【0080】
シート搬送装置30は、複数の(ここでは4つの)腰付けローラ34,…をさらに備えている。腰付けローラ34,…は、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)のうち少なくとも一方の排出ローラ(ここでは第2排出ローラ32,…)と同軸上に配設され、かつ、第2排出ローラ32,…の径よりも大きい径を有している。なお、腰付けローラ34,…は、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)の何れか一方と同軸上に配設されてもよいし、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)の双方と同軸上に配設されてもよい。第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)の双方に配設される場合には、第1排出ローラ31,…側の腰付けローラ34と第2排出ローラ32,…側の腰付けローラ34とは軸線方向Xにおいてオーバーラップしないように配設される。
【0081】
これにより、シート搬送装置30は、用紙Pを搬送するときに、腰付けローラ34,…によって、用紙Pに軸線方向Xにおける波打ち形状を付与し、用紙Pに腰を付けることで、用紙Pの先端P1の早期垂れ下がりや、用紙Pの後端残り、或いは、用紙Pの定着カールを防止できるようになっている。
【0082】
具体的には、腰付けローラ34,…は、第2排出ローラ32,…に対して軸線方向Xにおける一方側X1の端部又は他方側X2の端部に設けられている。なお、腰付けローラ34,…は、従動ローラ軸32aに対して設けられていてもよい。
【0083】
ここで、腰付けローラ34,…は、第2排出ローラ32,…における個々のローラ32,…の1つ又は複数個おきに1つずつ配置されていてもよいし、第2排出ローラ32,…における個々のローラ32,…の1つ又は複数個おきに複数個ずつ配置されていてもよい。また、これらの配置構成の組み合わせであってもよい。本実施の形態では、両端の二つのローラ32,32と、その内側二つのローラ32,32との間に、それぞれ、2つの腰付けローラ34,…が設けられている。
【0084】
回転駆動部40は、第1排出ローラ31,…が設けられた駆動ローラ軸31aを回転駆動するものであり、搬送駆動モータ41(ここではステッピングモータ)と、搬送駆動モータ41からの回転駆動を駆動ローラ軸31aに伝達する駆動伝達機構42とを備えている。
【0085】
搬送駆動モータ41は、回転軸41aが軸線方向Xに沿うように装置本体110に設けられている。
【0086】
駆動伝達機構42は、ここでは、複数のギアを列設したギア列で構成されており、駆動ギア42a、ローラギア42b及び中間ギア42cを備えている。
【0087】
駆動ギア42aは、搬送駆動モータ41の回転軸41aに連結されている。ローラギア42bは、駆動側ローラ軸31aのシート搬送装置30の本体フレーム30aから軸線方向Xの外側に突出した端部に連結されている。中間ギア42cは、装置本体110に固定された回転軸110aに回転自在に支持されており、駆動ギア42a及びローラギア42bに歯合している。
【0088】
搬送駆動モータ41は、制御部(図示省略)からの駆動信号(ON信号)又は駆動停止信号(OFF信号)が得られるように、該制御部の出力系に電気的に接続されており、回転方向を指示する回転指示信号を搬送駆動モータ41へ送信して搬送駆動モータ41を駆動させることで、第1排出ローラ31,…を一方向A1(搬送方向Yの一方側Y1、図2参照)又は他方向A2(搬送方向Yの他方側Y2、図2参照)へ回転駆動できるようになっている。
【0089】
以上説明したシート搬送装置30では、スイッチバックされた用紙Pが反転搬送経路77に案内されると(図2参照)、腰付けローラ34,…にて軸線方向Xに波打った用紙Pが搬送方向Yに湾曲した反転搬送経路77に沿って強制的に湾曲されて波打ちが戻るときに、腰付けローラ34,…と第2排出ローラ32,…とで周速度の違いによって単位時間あたりの用紙Pの搬送量が異なることから、この搬送量の差によって用紙Pの波打ちの振幅が大きくなり、それだけ異常音が発生しやすくなるところ、本実施の形態では、腰付けローラ34,…は、用紙Pに搬送力を付与する第1腰付けローラ34a,…と、用紙Pへの搬送力が第1腰付けローラ34a,…の用紙Pへの搬送力より小さい(用紙Pへ搬送力を付与しない場合を含む。)第2腰付けローラ34b,…とからなっており、次の第1及び第2実施形態の構成とすることができる。
【0090】
(第1実施形態)
第1実施形態では、第1腰付けローラ34a,…は、軸線方向Xにおいて内側二つの第2排出ローラ32,…と一体的に回転する構成とされている。第2腰付けローラ34b,…は、軸線方向Xにおいて外側二つの第2排出ローラ32,…に対して軸線回りに回転自在な構成とされている。
【0091】
図4は、第1実施形態の第1及び第2腰付けローラ34a,34b及びその周辺部分の概略構成図である。図4(a)は、第1腰付けローラ34a部分を搬送方向Yから視た概略側面図を示している。図4(b)は、第1腰付けローラ34a部分を軸線方向Xから視た概略側面図を示している。図4(c)は、第2腰付けローラ34b部分を搬送方向Yから視た概略側面図を示している。図4(d)は、第2腰付けローラ34b部分を軸線方向Xから視た概略側面図を示している。なお、図4(a)及び図4(b)では、図3に示す二つの第1腰付けローラ34a,…部分を右側の第1腰付けローラ34a部分に代表させて示しており、図4(c)及び図4(d)では、図3に示す二つの第2腰付けローラ34b,…部分を左側の第2腰付けローラ34b部分に代表させて示している。このことは、後述する図5についても同様である。
【0092】
図4に示すように、第2排出ローラ32,…は、軸線方向Xの一方側X1又は他方側X2における片側端部で腰付けローラ取り付け部32bを有している。
【0093】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1腰付けローラ34a,…は、何れも外径が同径とされ、かつ、内径が第2排出ローラ32,…の腰付けローラ取り付け部32bの外径と略同径とされたリング状の形状とされており、内周面341aが第2排出ローラ32,…の腰付けローラ取り付け部32bの外周面321aに接着剤Fによって固定されている。
【0094】
また、図4(c)及び図4(d)に示すように、第2腰付けローラ34b,…は、何れも外径が第1腰付けローラ34a,…の外径と同径とされ、かつ、内径が第2排出ローラ32,…の腰付けローラ取り付け部32bの外径と略同径とされたリング状の形状とされている。そして、第2腰付けローラ34b,…は、内周面341bが第2排出ローラ32,…の腰付けローラ取り付け部32bの外周面321aに摺動するように第2排出ローラ32,…に挿入されている。
【0095】
また、シート搬送装置30の本体フレーム30aには、従動ローラ軸32aを覆うカバー部材36(図4(c)参照)が設けられている。これにより、第2腰付けローラ34b,…は、第1排出ローラ31,…の第2腰付けローラ34bに対向する面32c及びカバー部材36の第2腰付けローラ34bに対向する面36aによって、軸線方向Xの一方側X1及び他方側X2の移動が規制され、第2排出ローラ32,…からの脱落が防止されるようになっている。
【0096】
なお、用紙Pへ波打ち形状を付与する際の用紙Pへの負担(例えば傷付き等の発生)を軽減するために、第1及び第2腰付けローラ(34a,…),(34b,…)は、発泡性樹脂等の弾性部材で構成することができる。
【0097】
発泡性樹脂の材料としては、例えば、ポリウレタン(具体的にはウレタンスポンジ(イノアック社製 ポロン LE−20))、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)などの材料を使用することができる。また、第1及び第2排出ローラ31,32としては、例えば、強度、耐衝撃性に優れたPOM(ポリアセタール)等の樹脂を挙げることができる。
【0098】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1腰付けローラ34a,…及び第2腰付けローラ34b,…は、何れも第2排出ローラ32,…と一体的に回転し、かつ、第1腰付けローラ34a,…の表面の摩擦係数よりも第2腰付けローラ34b,…の表面の摩擦係数を小さくした構成とされている。
【0099】
図5は、第2実施形態の第1及び第2腰付けローラ34a,34b及びその周辺部分の概略構成図である。図5(a)は、第1腰付けローラ34a部分を搬送方向Yから視た概略側面図を示している。図5(b)は、第1腰付けローラ34a部分を軸線方向Xから視た概略側面図を示している。図5(c)は、第2腰付けローラ34b部分を搬送方向Yから視た概略側面図を示している。図5(d)は、第2腰付けローラ34b部分を軸線方向Xから視た概略側面図を示している。
【0100】
図5に示すように、第2排出ローラ32,…は、軸線方向Xの一方側X1又は他方側X2における片側端部で腰付けローラ取り付け部32bを有している。
【0101】
第1腰付けローラ34a,…及び第2腰付けローラ34b,…は、何れも外径が同径とされ、かつ、内径が第2排出ローラ32,…の腰付けローラ取り付け部32bの外径と略同径とされたリング状の形状とされており、内周面341aが第2排出ローラ32,…の腰付けローラ取り付け部32bの外周面321aに接着剤Fによって固定されている。
【0102】
また、図5(c)及び図5(d)に示すように、第2腰付けローラ34b,…の表面は、第1腰付けローラ34a,…の表面の摩擦係数よりも小さい摩擦係数の表面層(ここでは離型性樹脂層)342bで被覆されている。
【0103】
なお、第1実施形態と同様、用紙Pへ波打ち形状を付与する際の用紙Pへの負担(例えば傷付き等の発生)を軽減するために、第1及び第2腰付けローラ(34a,…),(34b,…)は、発泡性樹脂等の弾性部材で構成することができる。
【0104】
発泡性樹脂の材料としては、例えば、ポリウレタン(具体的にはウレタンスポンジ(イノアック社製 ポロン LE−20))、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)などの材料を使用することができる。樹脂層342bとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂材料を使用することができる。また、第1及び第2排出ローラ31,32としては、例えば、強度、耐衝撃性に優れたPOM(ポリアセタール)等の樹脂を挙げることができる。
【0105】
図3に示すように、第1及び第2実施形態において、第2排出ローラ32,…及び腰付けローラ34,…((34a,…),(34b,…))は、軸線方向Xにおいてセンター基準で対称に配設されている。
【0106】
詳しくは、第1及び第2実施形態において、腰付けローラ34,…((34a,…),(34b,…))のうち、軸線方向Xにおいて中央部が第1腰付けローラ34a,…とされ、両端部が第2腰付けローラ34b,…とされている。
【0107】
具体的には、センター基準のシート搬送の構成の軸線方向Xにおいて用紙Pのセンター位置β(図3参照)から外側に向けて一方側X1及び他方側X2(図3に示す左右方向)へ第2排出ローラ32、第1腰付けローラ34a、第2腰付けローラ34b及び第2排出ローラ32がこの順でそれぞれ設けられている。
【0108】
つまり、腰付けローラ34,…((34a,…),(34b,…))のうち、軸線方向Xにおいてセンター位置βより一番近い腰付けローラは、第1腰付けローラ34a,…とされている。
【0109】
そして、腰付けローラ34,…((34a,…),(34b,…))のうち、軸線方向Xにおいてセンター位置βより一番近い腰付けローラは、画像形成装置100で使用可能な最小サイズ(例えばA6サイズといった最小サイズ)の用紙Pを搬送可能な構成とされている。具体的には、センター位置βより一番近い腰付けローラは、使用可能な最小サイズの用紙Pの軸線方向Xの幅よりも小さい間隔で設けられている。
【0110】
以上説明したシート搬送装置30によれば、腰付けローラ34,…が第1腰付けローラ34a,…と第2腰付けローラ34b,…とからなる構成とされているので、構造が簡単であり、それだけコストを低く抑えることができる。また、腰付けローラ34,…によって用紙Pに軸線方向Xにおける波打ち形状を付与することができ、さらに腰付けローラ34,…が用紙Pに搬送力を付与する第1腰付けローラ34a,…を含むので、用紙Pの後端残りの発生を回避することができ、これにより用紙Pのスタック性を確保することができる。しかも、腰付けローラ34,…は、個々の腰付けローラ34,…の全部に対して用紙Pに搬送力を付与する構成とするのではなく、用紙Pに搬送力を付与する第1腰付けローラ34a,…に加えて、用紙Pへの搬送力が第1腰付けローラ34a,…の用紙Pへの搬送力より小さい第2腰付けローラ34b,…を含むので、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)の回転方向A1,A2の向きに関係なく、腰付けローラ34,…と第2排出ローラ32,…との周速度の違いによる単位時間あたりの用紙Pの搬送量の差を小さくでき、ひいては、用紙Pの波打ちの振幅を小さくでき、これにより、該波打ちに関する不都合(特に、反転搬送経路77に搬送された用紙Pの異常音)の発生を抑制することができる。
【0111】
また、第1実施形態では、第1腰付けローラ34a,…が第2排出ローラ32,…と一体的に回転する構成とされていることで、第2排出ローラ32,…が回転すると第1腰付けローラ34a,…も回転する。また、第2腰付けローラ34b,…が第2排出ローラ32,…に対して軸線回りに回転自在な構成とされているので、第2排出ローラ32,…が回転しても第2排出ローラ,…の回転とは拘束されないフリーな状態となる。これにより、第1腰付けローラ34a,…では用紙Pに搬送力を付与するが、第2腰付けローラ34b,…では用紙Pに搬送力を付与することはないことから、それだけ、腰付けローラ34,…((34a,…),(34b,…))と第2排出ローラ32,…との周速度の違いによる単位時間あたりの用紙Pの搬送量の差を小さくすることが可能となる。
【0112】
また、第2実施形態では、第2排出ローラ32,…と一体的に回転する第1腰付けローラ34a,…及び第2腰付けローラ34b,…が、第1腰付けローラ34a,…の表面の摩擦係数よりも前記第2腰付けローラ34b,…の表面の摩擦係数を小さくした構成とされていることで、第1腰付けローラ34a,…よりも第2腰付けローラ34b,…で用紙Pが滑りやすくなる。これにより、第1腰付けローラ34a,…での用紙Pへの搬送力よりも第2腰付けローラ34b,…での用紙Pへの搬送力が小さくなることから、それだけ、腰付けローラ34,…((34a,…),(34b,…))と第2排出ローラ32,…との周速度の違いによる単位時間あたりの用紙Pの搬送量の差を小さくすることが可能となる。
【0113】
また、第1及び第2実施形態では、腰付けローラ34,…((34a,…),(34b,…))及び第2排出ローラ32,…が軸線方向Xにおいてセンター基準で対称に配設されていることで、用紙Pにセンター基準で対称に搬送力を与えることができる。これにより、スキュー(斜め送り)の発生を防止することが可能となる。
【0114】
また、第1及び第2実施形態では、腰付けローラ34,…のうち、軸線方向Xにおいて中央部が第1腰付けローラ34a,…とされ、両端部が第2腰付けローラ34b,…とされていることで、軸線方向Xにおける中央部で安定した用紙Pの搬送を実現しつつ用紙Pの波打ちに関する不都合の発生を抑制することができる。
【0115】
また、第1及び第2実施形態では、腰付けローラ34,…のうち、軸線方向Xにおいてセンター位置βより一番近い腰付けローラが第1腰付けローラ34a,…とされていることで、センター位置β付近で搬送力を付与することができ、A3からA6、B4及びB5といった複数種類のサイズの用紙Pを用いる場合でも最大サイズよりも小さいサイズの用紙Pを確実に搬送することができる。
【0116】
また、第1及び第2実施形態では、腰付けローラ34,…のうち、軸線方向Xにおいてセンター位置βより一番近い腰付けローラ34a,…が、画像形成装置100で使用可能な最小サイズの用紙Pを搬送可能な構成とされていることで、センター基準のシート搬送の構成において、最小サイズの用紙Pであっても、最小サイズの用紙Pを確実に搬送することが可能となる。
【0117】
また、第1及び第2実施形態では、腰付けローラ34,…が腰付けローラ取り付け部32bに設けられていることで、腰付けローラ34,…が第2排出ローラ32,…から軸線方向Xに離れている場合(例えば、隣り合う第2排出ローラ32,…の間の中央において従動ローラ軸32aに設けられている場合)に比べて用紙Pの波打ちの最大振幅が同じでも腰付けローラローラ34,…の径の第2排出ローラ32,…の径との差に対する振幅割合を大きくすることができ、それだけ材料コストを低く抑えることができる。さらに、腰付けローラ34,…と第2排出ローラ32,…とを一つの組立部品とすることができ、腰付けローラ34,…及び第2排出ローラ32,…の組み付け工程の短縮化を実現することが可能となる。
【0118】
なお、本実施の形態では、湾曲搬送経路(ここでは湾曲搬送経路を構成する反転搬送経路77)は、用紙Pを搬送方向Yの他方側Y2に搬送されてスイッチバックする箇所に設けたが、用紙Pを搬送方向Yの一方側Y1に搬送する箇所に設けても同様に用紙Pの波打ちに関する不都合を回避できる。また、シート搬送装置30は、画像が形成される用紙Pを搬送する箇所に設けたが、画像が読み取られる原稿を搬送する箇所に設けても同様に原稿の波打ちに関する不都合を回避できる。
【0119】
(実施例)
次に、第1実施形態の構成に対する実施例について反転搬送経路77での異常音の発生を調べたので、比較例1,2と共に以下に説明する。
【0120】
ここで、比較例1では、図1に示す画像形成装置100において、個々の腰付けローラ34,…の全てを第2排出ローラ32,…と一体回転する構成とした。また、比較例2では、図1に示す画像形成装置100において、個々の腰付けローラ34,…の全てを第2排出ローラ32,…に対して軸線回りに回転自在とする構成とした。
【0121】
図6は、画像形成装置100の仕向地の違いによる腰付けローラ34,…の位置関係と外径の大きさとを示す表である。
【0122】
図6に示すように、日本(センチ)仕様及び米国(インチ)仕様では、腰付けローラ34,…の外径d1〜d4を何れも20mmとした。また、欧州仕様(センチ)仕様では、内側の二つの腰付けローラ34,34の外径d2,d3を21mmとし、外側の二つの腰付けローラ34,34の外径d1,d4を20mmとした。また、何れの第2排出ローラ32,…も外径dを15mmとした。
【0123】
比較例1、2及び実施例の結果を図7に示す。図7において、異常音が発生した場合を「×」とし、異常音が発生しなかった場合を「○」とした。また、後端残りが発生した場合を「×」とし、後端残りが発生しなかった場合を「○」とした。このことは、後述する図8についても同様である。なお、図7中の「ロック」は、第2排出ローラ32と腰付けローラ34とを一体回転する構成を意味し、「フリー」は、第2排出ローラ32に対して腰付けローラ34を回転自在とする構成を意味している。
【0124】
図7に示すように、比較例1のように個々の腰付けローラ34,…の全てに対して用紙Pに搬送力を付与する構成とすると、後端残りが解消できるものの、反転送経路77に搬送された用紙Pの異常音が発生する。一方、比較例2のように個々の腰付けローラ34,…の全てに対して用紙Pに搬送力を付与しない構成とする場合には、反転送経路77に搬送された用紙Pの異常音を解消できるものの、用紙Pへの搬送力が低下するため、用紙Pの後端残りが発生し、用紙Pのスタック性を確保できなかった。
【0125】
この点、実施例のように個々の腰付けローラ34,…の一部に対して用紙Pに搬送力を付与しない構成とすれば、反転送経路77に搬送された用紙Pの異常音を解消できると共に、用紙Pの後端残りの発生も解消でき、用紙Pのスタック性を確保できた。
【0126】
また、比較例1及び実施例において用紙Pの種類の違いによる反転搬送経路77での異常音の発生を調べたので、その結果を図8に示す。
【0127】
図8(a)に示す比較例では、B4サイズ/リーガル(LGL)サイズ、A3サイズ/ダブルレター(WLT)サイズで異常音が多発したのに対して、図8(b)に示す実施例では、何れのサイズも異常音の発生が見られなかった。
【符号の説明】
【0128】
30 シート搬送装置
31 第1排出ローラ
31a 駆動ローラ軸
32 第2排出ローラ
32a 従動ローラ軸
32b 腰付けローラ取り付け部(第2排出ローラの片側端部)
34 腰付けローラ
34a 第1腰付けローラ
34b 第2腰付けローラ
342b 表面層
77 反転搬送経路(湾曲搬送経路の一例)
100 画像形成装置
F 接着剤
P 用紙(シートの一例)
X 軸線方向
Y 搬送方向
Y1 搬送方向の一方側
Y2 搬送方向の他方側
α 後端残り部分
β センター位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配設された複数の第1搬送ローラと、該複数の第1搬送ローラにそれぞれ対向して同軸上に配設された複数の第2搬送ローラとを備え、回転される前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間でシートを挟持しつつ搬送するシート搬送装置であって、
前記第1及び第2搬送ローラのうち少なくとも一方の搬送ローラと同軸上に配設され、かつ、該搬送ローラの径よりも大きい径を有する腰付けローラを備え、
前記腰付けローラは、シートに搬送力を付与する第1腰付けローラと、シートへの搬送力が前記第1腰付けローラのシートへの搬送力より小さい第2腰付けローラとを含み、
前記第1腰付けローラ及び前記第2腰付けローラは、該第1及び第2腰付けローラと同軸上の搬送ローラの軸線方向に互いに離間した状態で該搬送ローラに対して一体的に回転し、かつ、該第1腰付けローラの表面の摩擦係数よりも該第2腰付けローラの表面の摩擦係数を小さくした構成とされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項に記載のシート搬送装置であって、
前記腰付けローラ及び該腰付けローラと同軸上の搬送ローラは、該搬送ローラの軸線方向においてセンター基準で対称に配設されていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項に記載のシート搬送装置であって、
前記腰付けローラのうち、前記軸線方向において中央部が前記第1腰付けローラとされ、両端部が前記第2腰付けローラとされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項に記載のシート搬送装置であって、
前記腰付けローラのうち、前記軸線方向においてセンター位置より一番近い腰付けローラは、前記第1腰付けローラとされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項又は請求項に記載のシート搬送装置であって、
前記腰付けローラのうち、前記軸線方向においてセンター位置より一番近い腰付けローラは、当該シート搬送装置が備えられる画像形成装置で使用可能な最小サイズのシートを搬送可能な構成とされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項までの何れか一つに記載のシート搬送装置であって、
前記腰付けローラは、該腰付けローラと同軸上の搬送ローラの軸線方向における片側端部に設けられていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項までの何れか一つに記載のシート搬送装置と、
シートの搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路とを備え、
前記シート搬送装置から前記湾曲搬送経路へ向けてシートを搬送する構成とされていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−36010(P2012−36010A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231499(P2011−231499)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2010−177576(P2010−177576)の分割
【原出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】