説明

シート搬送装置及び画像形成装置

【課題】小型化が可能で、かつローラ痕等を発生させることなくシートを搬送することのできるシート搬送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】FU搬送路26及びFD反転搬送路25の合流部Jに排紙ローラ対27a,27bを設け、ガイド部材40により、FU搬送路26及びFD反転搬送路25を通過するシートを排紙ローラ対27a,27bの圧接部に案内する。そして、ガイド部材40を、FU搬送路26から合流部Jに進入するシートに押圧されてシートを排紙ローラ対27a,27bの圧接部に所定範囲内の進入角度で進入させる第1位置及びFD反転搬送路25から合流部Jに進入するシートに押圧されてシートを排紙ローラ対27a,27bの圧接部に所定範囲内の進入角度でさせる第2位置の一方に移動するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関し、特にシート搬送路の合流部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、画像形成部に設けられた像担持体である感光体ドラムに形成されたトナー像をシートに転写した後、シートを定着部に搬送するようにしている。そして、この定着部において、シートを加熱及び加圧することにより、トナー像がシートに定着され、この後、トナー像が定着されたシートを排出部に排出するようにしている。
【0003】
なお、このようにシートを排出する際、シートを、画像形成面を上にして排出するフェイスダウン(FD)排出の他、シートを、画像形成面を下にして排出するフェイスアップ(FU)排出により排出するようにしたものがある(特許文献1参照)。そして、このようにフェイスアップ(FU)でシートを排出することにより、連続排紙ページ揃えに対応することができる。
【0004】
ところで、このような従来の画像形成装置の一例としてデスクトップタイプのプリンタがあり、このデスクトップタイプのプリンタは設置面積を出来るだけ少なくするように小型化が図られている。
【0005】
図7は、このような従来のデスクトップタイプのプリンタの構成を示す図であり、図7の(a)及び(b)において、501はプリンタ本体である。そして、このプリンタ本体501には、図7の(b)に示すようにシートSを収納する給紙カセット502、不図示の感光体ドラムを含むカートリッジ504、シート上の未定着像を定着させる定着部506等が設けられている。
【0006】
そして、画像を形成する際は、給紙カセット502に収納されたシートSを給紙ローラ503により給送し、このシート上に感光体ドラム上のトナー像を転写した後、定着部506によりトナー像を定着させる。
【0007】
なお、このようにトナー像が定着されたシートSを、フェイスダウン排出(以下、FD排出という)する場合には、FD/FU切換部材511の切換により、FD排出ローラ対507の方向に搬送する。そして、この後、シートSをFD排出ローラ対507により、FD排紙積載部508に排出する。
【0008】
またフェイスアップ(FU)排出(以下、FU排出という)する場合には、FD/FU切換部材511を切り換える。これにより、シートSをFU排出ローラ対509の方向に搬送し、この後、シートSをFU排出ローラ対509により、プリンタ本体501に開閉自在に設けられると共に予め開放されたFU排出トレイ510に排出する。
【0009】
このプリンタは、図8に示すように定着後のシートを反転させてシート裏面に印字させる両面ユニット520をプリンタ本体後部に着脱自在に装着することができるようになっている。なお、この両面ユニット520は、FU排紙部を利用してプリンタ本体501に装着するように設計されており、FU排紙する場合、あるいは裏面に印字する場合は、シートをFU排紙ローラ対509により、両面ユニット520に導くようにしている。
【0010】
そして、そのままシートをFU排紙する場合は、シートを両面ユニット側に設けられたFU排紙ローラ522によりFU排紙トレイ530に排紙積載する。一方、両面印字する場合は、シートをFU排紙ローラ対522により所定位置まで搬送した後、FU排紙ローラ対522を逆転させることにより反転搬送する。このとき、反転切換部材521が所定のタイミングにて切り換えられることにより、シートは両面搬送路523を通り、再給紙ローラ524によりプリンタ本体側の再給紙搬送路525を通って再び画像形成部へと給送される。
【0011】
ところで、このプリンタは装置前面(FRONT)から給紙カセット502を着脱可能に装着するようにしており、またカートリッジ504を着脱可能に装着するためのカートリッジ着脱用開閉ドア512も装置前面側に設けられている。つまり、給紙カセット502の着脱等は装置前面の方向から行うように構成されている。さらに、このプリンタは図7に示すように、フェイスダウン(FD)排出口520、フェイスアップ(FU)排出口521が別々になっている。
【0012】
しかし、このようにプリンタを構成した場合、FU排出時のペーパーハンドリングや、拡張オプション系、例えば図8に示す両面ユニット520やシート処理装置等を本体後部に装着した場合、操作性が低下する。
【0013】
一方、図9は、シートをFD排出及びFU排出にかかわらずプリンタ本体側面に配された排紙トレイ658に排出するようにした従来のプリンタの他の構成を示している。そして、このようにプリンタを構成した場合には、排紙オプション系の拡張形態を含めハンドリング面において有効となる。
【0014】
図9(a)及び(b)において、601はプリンタ本体である。そして、このプリンタ本体601には、シートSを収納する給紙カセット602、感光体ドラム610を含むカートリッジ609、シート上の未定着像を定着させる定着部611等が設けられている。
【0015】
そして、画像を形成する際は、給紙カセット602に収納されたシートSを給紙ローラ603により給送し、このシート上に感光体ドラム上のトナー像を転写した後、定着部611によりトナー像を定着させる。
【0016】
ここで、このプリンタにはシートの排出をFU排出からFD排出に切り換えるためのシート反転機構612が、プリンタ本体601の側部に設けられる排紙部657を構成する排紙ローラ対657a,657bの近傍に設けられている。なお、このシート反転機構612は、FD/FU切換部材651、反転搬送ローラ対652a,652b、FD搬送路653a,653b、FU搬送路654、搬送ローラ対655a,655bを備えている。さらに、反転切換部材656、反転センサ659及び排紙センサ660を備えている。
【0017】
そして、このようなシート反転機構612により定着後のシートは、FU排紙の場合は、FD/FU切換部材651の切り換えにより、FU搬送路654を経由して排紙ローラ対657a,657bからプリンタ本体側面に配された排紙トレイ658に排出される。
【0018】
また、FD排紙の場合はFD搬送路653a,653bを経由して排紙ローラ対657a,657bから排紙トレイ658に排出される。なお、このように排紙トレイ658をプリンタ本体側面に配することにより、プリンタ本体601の高さを低く抑えることができ、またプリンタ本体上部に画像読取装置を追加してプリンタを多機能化することも可能である。
【0019】
【特許文献1】特開2007−183571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、このようにシートを側面に配された排紙トレイに排出するようにした従来のシート搬送装置及びプリンタ(画像形成装置)の場合、横方向の寸法が大きくなり、装置が大型化する。そこで、例えば、図10の(b)に示すように排紙ローラ対657a,657bをFD搬送路653bとFU搬送路654の合流部J付近に配置することにより、図10の(a)に示す従来のものに比べてL1分だけ横寸法を小さくすることができる。
【0021】
しかし、このように排紙ローラ対657a,657bをFD搬送路653bとFU搬送路654の合流部J付近にまで近づけた場合、FD搬送路653b及びFU搬送路654と排紙ローラ対657a,657bとの間隔が短くなる。この場合、FD搬送路653b及びFU搬送路654を通過してきたシートの、排紙ローラ対657a,657bに対する突入角度が異なるようになる。
【0022】
例えば、図11の(a)に示すように、FD排紙する際、シートSがFD搬送路653bから搬送速度V1で搬送されると、シートSは排紙ローラ657a(下側)の軸芯に対し浅い角度α1で突入する。このため、シート搬送速度の搬送方向成分Vsinα1≪V1となり、シート搬送速度が一時的に減速する。また、この角度α1が大きい場合には、シート面上にローラ痕が発生したり、排紙ローラ657aの回転トルクが一時的に上昇したり、シート先端に打痕等が発生する。
【0023】
また、図11の(b)に示すように、FU排紙する際、シートSがFU搬送路654から搬送速度V2で搬送されると、シートSは排紙ローラ657b(上側)の軸芯に対し浅い角度α2で突入する。この場合も、シート搬送速度が一時的に減速する。また、この角度α2が大きい場合には、シート面上にローラ痕が発生したり、排紙ローラ657bの回転トルクが一時的に上昇したり、シート先端に打痕等が発生する。
【0024】
なお、従来のプリンタにおいて、シート収納部に収納されたシートを搬送するシート搬送路と、手差しシートを搬送する手差しシート搬送路と、装置本体に選択的に装着される補助シート給送部からのシートを搬送する補助シート搬送路とを備えたものがある。
【0025】
そして、このようなシート搬送路、手差しシート搬送路及び補助シート搬送路の合流部においても、これらのシート搬送路から合流部に進入したシートを搬送する搬送ローラ対が設けられている。ここで、プリンタの高さ方向の寸法を小さくするため、すなわち装置を小型化するため搬送ローラ対を合流部付近に配置した場合にも、同様の不具合が発生する。
【0026】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、小型化が可能で、かつローラ痕等を発生させることなくシートを搬送することのできるシート搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、シートを搬送する第1シート搬送路と、前記第1シート搬送路と合流する第2シート搬送路とを備えたシート搬送装置において、前記第1シート搬送路及び前記第2シート搬送路の合流部に設けられ、前記第1シート搬送路及び前記第2シート搬送路から前記合流部に進入したシートを搬送する搬送ローラ対と、前記第1シート搬送路及び前記第2シート搬送路を通過するシートを前記搬送ローラ対の圧接部に案内するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記第1シート搬送路から前記合流部に進入するシートに押圧されてシートを前記搬送ローラ対の圧接部に所定範囲内の進入角度で進入させる第1位置及び前記第2シート搬送路から前記合流部に進入するシートに押圧されてシートを前記搬送ローラ対の圧接部に所定範囲内の進入角度で進入させる第2位置の一方に移動することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のように、ガイド部材をシートにより移動させ、シートを合流部に設けた搬送ローラ対の圧接部に所定範囲内の進入角度で進入させることにより、小型化が可能で、かつローラ痕等を発生させることなくシートを搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。図1において、1は装置本体であるプリンタ本体、2は給紙カセット、3は給紙ローラ、4a,4bは分離・搬送ローラ、5〜7は搬送経路、8はレジストローラである。また、9は画像形成部を構成する感光体ドラム10を備えたプロセスカートリッジ、11は定着部を構成する加熱定着器である。また、27は、シートをプリンタ本体1の側面に配された排紙トレイ29に排出する排出部であり、この排出部27は排紙ローラ対27a,27bにより構成されている。
【0031】
また、12は定着排紙部であり、この定着排紙部12は定着排紙ローラ12a及び定着排紙コロ12bにより構成されている。また、20は連続排紙ページ揃えに対応するため、定着排紙部12を抜けたシートSを反転させてシートSの排出をFU排出からFD排出に切り替えるためのシート反転機構であり、このシート反転機構20は、排出部近傍に設けられている。
【0032】
このシート反転機構20は、FU排出、FD排出を適宜切り換えるFD/FU切換部材21、反転搬送ローラ対22a,22b、シートを反転排出させるシート反転排出路であるFD反転搬送路23〜25、反転切換部材28を備えている。
【0033】
なお、FD反転搬送路24には正逆転可能な反転ローラ対31が設けられており、この反転ローラ対31を反転センサ30による検知に基づき逆転することにより、シートが反転搬送される。また、反転切換部材28は軽負荷によりFD反転搬送路23側を塞ぐように構成されており、このため定着排紙部12からのシートは、この反転切換部材28を持ち上げる形で通過する。
【0034】
また、シート反転機構20は、シートを搬送する第1シート搬送路であるFU搬送路26、排紙センサ32、反転センサ30を備えている。ここで、反転センサ30は、FD反転搬送路23を通過したシートを反転させてFD反転搬送路24に導くタイミングをとるためのものであり、排紙センサ32はシートの通過の有無を検知するためのものである。
【0035】
そして、このようにシート反転機構20を構成することにより、定着後のシートは、FU排紙の場合はFU搬送路26より、FD排紙の場合はFD反転搬送路25より本体側部に設けられる排紙ローラ対27a,27bから排紙トレイ29に排出される。
【0036】
ところで、図2に示すように、搬送ローラ対である排紙ローラ対27a,27bは第1シート搬送路であるFU搬送路26と、このFU搬送路26と合流する第2シート搬送路であるFD反転搬送路25の合流部Jの近傍に配置されている。また、排紙ローラ対27a,27bの近傍にはFD反転搬送路25及びFU搬送路26を通過したシートを排紙ローラ対27a,27bのニップ(圧接部)に案内するガイド部材40が軸部40aを中心に中間搬送ガイド部材41に回動可能に軸支されている。
【0037】
そして、本実施の形態において、このガイド部材40により、FD反転搬送路25及びシート排出路であるFU搬送路26からのシートを、排紙ローラ対27a,27bのニップに所定角度範囲内で進入するようにガイド(案内)している。
【0038】
なお、排紙ローラ対27a,27bは、幅方向に所定の間隔を設けて配された複数のローラ本体を有している。そして、ガイド部材40は、先端を排紙ローラ対27a,27bの軸方向に並ぶローラ本体間に進入させた状態で、ニップ中心付近にまで伸びている。すなわち、ガイド部材40は、一端を排紙ローラ対27a,27bの側方に延在させた状態で中間搬送ガイド部材41に回動可能に軸支されている。また、ガイド部材40は、FD排紙されるシート及びFU排紙されるシートをそれぞれガイドするように、上面及び下面をシートガイド面としている。
【0039】
一方、本実施の形態において、中間搬送ガイド部材41のガイド部材40の軸部40aの近傍には、ガイド部材40と当接し、ガイド部材40の回動量を規制する移動規制部である第1規制部41aと第2規制部41bが形成されている。ここで、第1規制部41aは、シートをFD排出する際、ガイド部材40を、ガイド部材40の上面がFD反転搬送路25を通過するシートを排紙ローラ対27a,27bのニップ近傍に導くような位置とする位置に形成されている。
【0040】
また、第2規制部41bは、シートをFU排出する際、ガイド部材40を、ガイド部材40の下面がFU搬送路26を通過するシートを排紙ローラ対27a,27bのニップ近傍に導くような位置とする位置に形成されている。なお、この第1及び第2規制部41a,41bの位置については、シート材質や、排紙ローラの材質、駆動モータの補償トルク等の条件によって適宜設定される。
【0041】
図3の(a)は、このように構成されたシート反転機構20の、シートがFD反転搬送路25を搬送してきたときの状態を示す図である。この場合、ガイド部材40はFD反転搬送路25を通過してきたシートSに押圧されて第1規制部41aに当接し、回動(移動)が規制される。
【0042】
ここで、このように第1規制部41aに当接することにより、回動が規制されたガイド部材40の上面に沿ってシートSの先端は、排紙ローラ対27a,27bのニップに所定範囲内の進入角度α3で進入する。なお、本実施の形態において、このシートの所定範囲内の進入角度α3、すなわちシート先端がローラ面に突入する位置における接線方向(搬送方向)との間の角度α3は、45°以下となっている。
【0043】
そして、このようにシートSの先端を所定範囲内の進入角度α3で排紙ローラ対27a,27bのニップに進入させることにより、シートの進入速度の7割以上をシート搬送方向に分化でき、シート搬送速度の一時的な減速を低減することができる。また、シート面上にローラ痕が発生したり、排紙ローラ57bの回転トルクが一時的に上昇したり、シート先端に打痕等が発生する等の不具合の発生を防ぐことができる。
【0044】
また、図3の(b)は、シート反転機構20の、シートがFU搬送路26を搬送してきたときの状態を示す図である。この場合、ガイド部材40はFU搬送路26を通過してきたシートに押圧されて第2規制部41bに当接し、回動(移動)が規制される。
【0045】
ここで、このように第2規制部41bに当接することにより、回動が規制されたガイド部材40の下面に沿ってシートSの先端は、排紙ローラ対27a,27bのニップに所定範囲内の進入角度α4で進入する。なお、本実施の形態において、このシートの所定範囲内の進入角度α4、すなわちシート先端がローラ面に突入する位置における接線方向(搬送方向)との間の角度α4は、45°以下となっている。
【0046】
そして、このようにシートSの先端を所定範囲内の進入角度α4で排紙ローラ対27a,27bのニップに進入させることにより、シートの進入速度の7割以上をシート搬送方向に分化でき、シート搬送速度の一時的な減速を低減することができる。また、シート面上にローラ痕が発生したり、排紙ローラ57bの回転トルクが一時的に上昇したり、シート先端に打痕等が発生する等の不具合の発生を防ぐことができる。
【0047】
このように、本実施の形態において、ガイド部材40を、FD反転搬送路25から合流部Jに進入するシートに押圧されることにより、シートを排紙ローラ対27a,27bのニップに所定範囲内の進入角度で進入させる第2位置に移動させるようにしている。また、ガイド部材40を、FU搬送路26から合流部Jに進入するシートに押圧されることにより、シートを排紙ローラ対27a,27bのニップに所定範囲内の進入角度で進入させる第1位置に移動させるようにしている。これにより、シートのローラ突入時におけるシート面上のローラ痕の発生、排紙ローラ対27a,27bの回転トルクの一時的上昇、シート先端打痕等の弊害を防止することができる。
【0048】
つまり、合流部Jに設けたガイド部材40をシートにより移動させ、シートを排紙ローラ対27a,27bのニップに所定範囲内の進入角度で進入させることにより、ローラ痕等を発生させることなくシートを搬送することができる。
【0049】
なお、本実施の形態においては、ガイド部材40の回動量を規制する第1規制部41aと第2規制部41bを中間搬送ガイド部材41に設けたが、本発明は、これに限らない。例えば、図4に示すように、排紙ローラ対27a,27bのローラ軸50a,51aに、摺動性のある下軸リング50、上軸リング51を緩嵌し、この下軸リング50、上軸リング51にガイド部材40を当接させるようにしても良い。
【0050】
即ち、FD排紙の場合は、シートに押圧されて第2位置に移動するガイド部材40を、下軸リング50に接触規制するようにし、FU排紙の場合は、シートに押圧されて第1位置に移動するガイド部材40を、上軸リング51に接触規制するようにしても良い。
【0051】
ここで、このように構成する場合、下軸リング50及び上軸リング51の各リング厚はFD、FU各搬送面がシート先端を排紙ローラ対27a,27bのニップ近傍に導く位置をとるように設定する。また、ガイド部材先端の延在位置も、ガイド部材40が上下方向に回動した際、下軸リング50及び上軸リング51に確実に当接するように設定する。
【0052】
また、例えば排紙ローラ対27a,27bがシート幅方向で互い違いに配置し、所定のオーバーラップ量を設けることにより、搬送するシートをシート幅方向で波打たせ、排出するシートに腰をつける櫛歯状ローラ対である場合がある。この場合は、ガイド部材40を所定のオーバーラップ量に応じた波形形状を有するようにする。
【0053】
ところで、これまでの説明においては、FD反転搬送路及びFU搬送路を有する排紙部の合流部の構成について述べてきたが、本発明は、これに限らず、排紙部ローラ以外の合流部にも応用できる。
【0054】
次に、このような排紙部以外の合流部にも応用した本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0055】
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を説明する図である。なお、図5において、既述した図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0056】
図5において、65、66は搬送経路5及び搬送経路と6の中間に位置する搬送ローラ対である中間搬送ローラ対である。本実施の形態では、給紙パス(給紙系統)を複数備えている。即ち、シート収納部である給紙カセット2から送り出されたシートを搬送するシート搬送路である搬送経路5、プリンタ本体1の下方に選択的に装着される不図示の補助シート給送部からのシートを搬送する補助シート搬送路である給紙パス60を備えている。
【0057】
また、第2マルチトレイ62上に手差しされたシートを搬送する手差しシート搬送路である第2マルチパス64を備えている。なお、図5において、61は第2マルチ給紙トレイ62に手差しされたシートを給送する第2マルチ給紙ローラ、63は第2マルチ給紙ローラに圧接し、シートを分離する第2マルチ分離パッドである。
【0058】
図6は、このような複数の給紙パス5,60,64の合流部J付近を拡大したものである。図6において、67は搬送経路5及び給紙パス60のガイド面を形成する給紙ガイドであり、この給紙ガイド67の先端には、可撓性を有するガイド部材(可撓性部材)である板状の第1合流切換部材70が、取付部70aを介して取り付けられている。なお、この第1合流切換部材70の先端は中間搬送ローラ対65,66のニップ近傍まで延伸されている。
【0059】
また、68は第2マルチパス64と給紙パス60のガイド面を形成する給紙ガイドであり、この給紙ガイド68の先端には、可撓性を有するガイド部材(可撓性部材)である板状の第2合流切換部材71が、取付部71aを介して取り付けられている。なお、中間搬送ローラ対65,66の軸部には、各軸に対して遊合状態で摺動性のある左軸リング72、右軸リング73が装着されている。
【0060】
図6の(a)は、シートSが給紙カセット2から給送され、搬送経路5を経由して合流部Jに進入する様子を示すものであり、このとき、第1合流切換部材70及び第2合流切換部材71はシートSにより押圧されて撓み、右軸リング73に当接する。
【0061】
そして、このように第1及び第2合流切換部材70,71が搬送経路5(第1シート搬送路)からのシートSに押圧されて右軸リング73に当接することにより、第1合流切換部材70の回動が規制される。これにより、第1合流切換部材70に沿って搬送経路5からのシートSは、中間搬送ローラ対65,66のニップに所定範囲内の進入角度で進入する。
【0062】
つまり、第1及び第2合流切換部材70,71は搬送経路5から合流部Jに進入するシートSにより押圧されて撓みながら、シートSを中間搬送ローラ対65,66のニップに所定範囲内の進入角度で進入させる第1位置に移動する。これにより、ローラ痕等を発生させることなくシートSを搬送することができる。
【0063】
なお、第2マルチパス64(第2シート搬送路)からのシートが合流部Jに進入する際は、第1合流切換部材70がシートSにより押圧されて撓んで左軸リング72に当接し、第2合流切換部材71がシートSにより押圧されて撓んで右軸リング73に当接する。これにより、第1及び第2合流切換部材70,71に沿って第2マルチパス64からのシートSは、中間搬送ローラ対65,66のニップに所定範囲内の進入角度で進入する。
【0064】
つまり、第1及び第2合流切換部材70,71は第2マルチパス64から合流部Jに進入するシートSにより押圧されて撓みながら、シートSを中間搬送ローラ対65,66のニップに所定範囲内の進入角度で進入させる第2位置に移動する。これにより、ローラ痕等を発生させることなくシートを搬送することができる。
【0065】
また、図6の(b)は、シートが第2マルチ給紙トレイ62から給送され、第2マルチパス64を経由して合流部Jに進入する様子を示すものであり、このとき、第1及び第2合流切換部材70,71はシートSにより押圧されて撓み、左軸リング72に当接する。
【0066】
そして、このように第1及び第2合流切換部材70,71が第2マルチパス64(第1シート搬送路)からのシートSに押圧されて左軸リング72に当接することにより、第2合流切換部材71の回動が規制される。これにより、第2合流切換部材71に沿って第2マルチパス64からのシートSは、中間搬送ローラ対65,66のニップに所定範囲内の進入角度で進入する。
【0067】
つまり、第1及び第2合流切換部材70,71は第2マルチパス64から合流部Jに進入するシートSにより押圧されて撓みながら、シートSを中間搬送ローラ対65,66のニップに所定範囲内の進入角度で進入させる第1位置に移動する。これにより、ローラ痕等を発生させることなくシートを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記プリンタに設けられたシート反転機構の構成を説明する図。
【図3】上記シート反転機構のシートをFD排出及びFU排出するときの状態を示す図。
【図4】上記シート反転機構の他の構成を説明する図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るプリンタの概略構成を示す図。
【図6】上記プリンタに設けられた複数の給紙パスの合流部付近の構成を説明する図。
【図7】従来のデスクトップタイプのプリンタの構成を示す図。
【図8】上記従来のデスクトップタイプのプリンタに両面ユニットを装着した状態を示す図。
【図9】従来のプリンタの他の構成を示す図。
【図10】上記プリンタの横方向の寸法を小さくするための構成を説明する図。
【図11】上記プリンタの不具合を説明する図。
【符号の説明】
【0069】
1 プリンタ本体
2 給紙カセット
5 搬送経路
20 シート反転機構
23〜25 FD反転搬送路
26 FU搬送路
27 排出部
27a,27b 排紙ローラ対
40 ガイド部材
41a 第1規制部
41b 第2規制部
50a,51a ローラ軸
50 下軸リング
51 上軸リング
60 給紙パス
62 第2マルチトレイ
64 第2マルチパス
65,66 中間搬送ローラ対
70 第1合流切換部材
71 第2合流切換部材
72 左軸リング
73 右軸リング
J 合流部
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1シート搬送路と、前記第1シート搬送路と合流する第2シート搬送路とを備えたシート搬送装置において、
前記第1シート搬送路及び前記第2シート搬送路の合流部に設けられ、前記第1シート搬送路及び前記第2シート搬送路から前記合流部に進入したシートを搬送する搬送ローラ対と、
前記第1シート搬送路及び前記第2シート搬送路を通過するシートを前記搬送ローラ対の圧接部に案内するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材は、前記第1シート搬送路から前記合流部に進入するシートに押圧されてシートを前記搬送ローラ対の圧接部に所定範囲内の進入角度で進入させる第1位置及び前記第2シート搬送路から前記合流部に進入するシートに押圧されてシートを前記搬送ローラ対の圧接部に所定範囲内の進入角度で進入させる第2位置の一方に移動することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記合流部に進入するシートにより押圧される前記ガイド部材と当接し、前記第1位置及び前記第2位置に移動した前記ガイド部材の移動を規制する移動規制部を備えたことを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記移動規制部は前記搬送ローラ対のローラ軸に緩嵌されたリングであり、
前記合流部に進入するシートにより押圧された際、前記リングと当接するよう前記ガイド部材の一端を前記搬送ローラ対の圧接部の側方に延在させることを特徴とする請求項2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド部材を、前記合流部に進入するシートにより押圧されて前記第1位置及び前記第2位置に移動するよう回動可能に設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド部材を、前記合流部に進入するシートにより押圧されて撓みながら前記第1位置及び前記第2位置に移動するよう可撓性部材により形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像が形成されたシートを排出する排紙部と、シートを搬送する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート搬送装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記第1シート搬送路及び前記第2シート搬送路は、前記排紙部に設けられたシート排出路及びシートを反転排出させるシート反転排出路であることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
シート収納部から送り出されたシートを搬送するシート搬送路と、
手差しされたシートを搬送する手差しシート搬送路と、
装置本体に選択的に装着される補助シート給送部からのシートを搬送する補助シート搬送路と、を備え、
前記第1シート搬送路は、前記シート搬送路、前記手差しシート搬送路及び前記補助シート搬送路のうちの1つであり、前記第2シート搬送路は他の2つのうちの1つであることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−83643(P2010−83643A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256332(P2008−256332)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】