説明

シート敷設作業機

【課題】効率的に、溝を被覆するようにシートを敷設する装置が求められている。
【解決手段】ロータリ耕耘機5を備える管理機1と、溝整形器2と、防根透水シート47のシートロール31と、溝40の下面に防根透水シート47を押し付ける転圧輪61・61と、防根透水シート47の両端部を、溝40の左右側方に位置する土壌表面42に押え付ける左右一対のガイドシャフト50・50と、前記土壌表面42・42上に防根透水シート47を挟んで盛土41・41を行なう覆土ディスク70・70と、を備えるシート敷設作業車100であって、溝整形器2に備える側面整形板22L・22Rは側面視で、シートロール31から転圧輪61・61に至る防根透水シート47の中央部の供給経路Pと、重なるように構成され、ガイドシャフト50は、シートロール31より後方に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に形成された溝を被覆するように、シートを圃場の土壌表面に敷設する作業機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、土壌をシートにより区分し、農作物等の植物を植え付ける育成用床をシートの外側の土壌から分離して、植物の育成を行なう栽培法が知られている。
特許文献1には、植物の根の伸張を規制しかつ透水性を有する防根透水シートを基盤土壌(圃場の土壌)に敷設し、この防根透水シート上に盛土を行なって植物育成用床を形成し、基盤土壌と植物育成用床とを区分する技術が開示されている。この植物育成用床は透水性を有するシートにより基盤土壌から分離されているため、殺菌処理や施肥処理、養液濃度の調整などが自在である。
特に、圃場の土壌中に穴状または溝状の凹部を形成して、この凹部上に前記シートを敷設し、そのシートを隔てて凹部内に土壌を載せて埋め戻す方法を用いると、植物育成用床の形成が容易である。水平面に等しい圃場表面にシートを敷設してその上に盛土を行なって植物育成用床を形成する場合は、植物育成用床の形状保持のため、盛土を囲う枠部材なども必要となるが、前述した凹部を形成して埋め戻す方法の場合は、このような資材も必要としない。
【特許文献1】特開平10−136787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した栽培法は新しいものであるため、この栽培法に対応した農業機械は知られていない。
つまり、解決しようとする問題点は、効率的に、溝を被覆するようにシートを敷設する装置が求められている点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、
自走手段と、
耕耘作業を行う耕耘作業機と、
前記耕耘された土壌中を移動して、両側面および下面の三面よりなる溝を整形する溝整形器と、
前記溝を被覆するシートを供給するシート供給装置と、
前記溝の下面にシートを押し付ける溝内シート押圧手段と、
前記溝の左右側方に延出するシートの両端部を、溝の左右側方に位置する土壌表面に押え付ける左右一対のガイドシャフトと、
前記側方に位置する土壌表面上のシートの両端部上に盛土を行なう覆土手段と、
を備えるシート敷設作業車であって、
前記溝整形器は、前記溝の側面を整形する側面整形板と、前記溝の下面を整形する下面整形板と、前記溝の左右側方で前記シートの両端部が敷設される土壌表面を整形する溝外整形板と、を備えると共に、
前記側面整形板は側面視で、前記シート供給装置から前記溝内シート押圧手段のシート押圧部に至るシートの中央部の供給経路と、重なるように構成され、
前記ガイドシャフトは、前記シート供給装置より後方に配置される、ものである。
【0006】
請求項2においては、
前記ガイドシャフトの前記シートとの接触部の少なくとも一部は、前記溝外整形板の土壌との接触面よりも下方に配置される、ものである。
【0007】
請求項3においては、
前記左右一対のガイドシャフトは、後方に向けて、両ガイドシャフト間の間隔が広がるような姿勢に配置される、ものである。
【0008】
請求項4においては、
前記覆土手段は覆土ディスクとすると共に、
左右それぞれにおいて、前記ガイドシャフトの後端が、前後方向および左右方向の双方で、前記覆土ディスクの前端と後端との間に位置するように、前記左右一対のガイドシャフトは配置される、ものである。
【0009】
請求項5においては、
前記ガイドシャフトと前記側面整形板とが、側面視で重なることなく離間した位置に配置される、ものである。
【0010】
請求項6においては、
前記溝内シート押圧手段は、
シートに接触するシート押圧部を左右に備えると共に、各シート押圧部を独立して付勢する付勢手段を備える、ものである。
【0011】
請求項7においては、
前記溝外整形板の土壌との接触面は、その接触面の各部の高さ位置が、前記溝の外側に向かうにつれて低くなるように構成される、ものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、
シートの両端部が盛土により固定され、敷設したシートの溝内への脱落が防止される。また、シートの敷設に際して、シートの左右両端が、溝の側面に接触することがなく、シート敷設による溝の側面の崩れが発生しない。また、シートの供給がスムーズに行なわれる。
【0014】
請求項2においては、請求項1の効果に加えて、
シートが土壌表面上を滑りにくい状態に保たれ、シートの溝の内部への脱落が防止される。
【0015】
請求項3においては、請求項1または請求項2の効果に加えて、
シートが、その敷設時に溝の内部に脱落することもなく、シートの全体が張った状態で敷設される。
【0016】
請求項4においては、請求項1から請求項3のいずれかの効果に加えて、
シートが浮き上がった状態で、盛土の形成が行なわれることがなく、効率的に盛土を形成することが可能である。
【0017】
請求項5においては、請求項1から請求項4のいずれかの効果に加えて、
シートの敷設作業において、シート詰まりなどの不具合が発生しない。
【0018】
請求項6においては、請求項1から請求項5のいずれかの効果に加えて、
溝の下面の傾斜に関わりなく、この下面に沿ってシートを敷設することが可能である。
【0019】
請求項7においては、請求項1から請求項6のいずれかの効果に加えて、
シートの中央部を支持するシート端部が、その敷設面が水平面に形成される場合と比べて、前記周辺部となる土壌表面に、より安定的に支持される。特に、溝の側面と前記土壌表面との合流部の土が崩れることがあっても、シートが傾斜面上に敷設されているため、溝の内側へ落ちにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
これより、本発明の一実施の形態であるシート敷設作業機100を、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、図1を用いて、シート敷設作業機100の全体構成を説明する。
シート敷設作業機100は、ロータリ耕耘機5を備える管理機1と、この管理機1に牽引される次の各種作業装置とを備えている。前記各種作業装置は、溝整形器2、シート供給装置30、左右一対のガイドシャフト50・50、溝内シート押圧装置60、左右一対の覆土ディスク70・70よりなっている。
【0022】
管理機1は、歩行型の作業車両であり、動力源としてのエンジン3および走行手段としての走行輪4・4を備えると共に、この管理機1に固有の作業機として、前記ロータリ耕耘機5を備えている。
走行輪4・4はエンジン3の下方で左右に一つずつ配置され、ロータリ耕耘機5は走行輪4・4の後方に配置されている。
【0023】
本明細書においては、シート敷設作業機100の前後方向を次のように定義している。シート敷設作業機100において、前記各種作業装置の牽引手段は管理機1である。そこで、シート敷設作業機100によるシート敷設作業において管理機1が移動する方向、つまり作業進行方向を前後方向における前方向とし、その逆方向を後方向としている。
【0024】
再び管理機1の説明に戻るが、エンジン3からミッションケース7への動力伝達経路上には、ベルト式の動力伝達機構が内蔵されたベルトカバー6が設けられ、該ミッションケース7は下部に車軸を軸支して車軸両側に走行輪4を取付け、該ミッションケース7には変速機構が内蔵され、走行輪4及びPTO軸に変速して動力を伝達可能としている。
また、ミッションケース7からロータリ耕耘機5への動力伝達経路上には、ベルト式またはチェーン式の動力伝達機構が内蔵された作業伝動ケース8および作業駆動ケース9が設けられている。
【0025】
管理機1の骨格を構成するのは、主としてミッションケース7であり、このミッションケース7に、エンジンフレームを介して、エンジン3やベルトカバー6が支持されている。
【0026】
ミッションケース7の上部にはハンドル台10が設けられており、このハンドル台10にハンドル11が設けられている。このハンドル11は前後振り替え可能に構成されており、オペレーターが後ろを向きながら前進させるので、管理機1の前側に延出するように配置されている。このハンドル11には、管理機1を操作するための各種操作手段が設けられており、オペレーターは、管理機1の前側より操作を行なう。
【0027】
ミッションケース7の後端部には、管理機1に接続される作業機を支持する作業フレーム12が、ヒッチ装置15を介して連結されている。この作業フレーム12には、ロータリ耕耘機5が支持されると共に、前記各種作業装置が支持される第二作業フレーム80が、連結フレーム16を介して支持されている。
【0028】
ロータリ耕耘機5は、水平方向の駆動軸13上に多数の耕耘爪14が放射状に設けられてなるものである。そして、この駆動軸13の回転により耕耘爪14が土壌を掘り起こして、耕耘作業が行なわれる。
また、作業フレーム12の下端には、ロータリ耕耘機5の耕耘カバー29が設けられている。
【0029】
図1、図2を用いて、前記作業フレーム80の構成を説明する。
作業フレーム80は、左右方向に延出する基部柱材81と、基部柱材81の左右両端より後方に延出する側部支持フレーム82L・82Rと、基部柱材81の左右中央部より後方に延出する中央部支持フレーム83と、基部柱材81の左右中央部より下方に延出する連結フレーム16とを、備えている。
この第二作業フレーム80は、管理機1の作業フレーム12に、連結フレーム16を介して連結される。
【0030】
前記作業フレーム80には、前方より後方に向けて、溝整形器2、シート供給装置30、左右一対のガイドシャフト50・50、溝内シート押圧装置60、左右一対の覆土ディスク70・70が支持されている。
より詳しくは、前記各フレームに次の各作業装置が支持されている。連結フレーム16に溝整形器2が支持され、中央部支持フレーム83に溝内シート押圧装置60が支持される。左右の側部支持フレーム82L・82Rにそれぞれガイドシャフト50および覆土ディスク70が支持され、両側部支持フレーム82L・82Rにシート供給装置30が支持される。
【0031】
連結フレーム16は、作業フレーム12に対して上下摺動自在に挿入支持されると共に、図示せぬ止めネジ20により固定・固定解除が可能に構成されている。そして、作業フレーム80に支持される各種作業装置の、圃場表面に対する高さ位置が調節可能となっている。
【0032】
一方、溝整形器2は、その構成については後述するが、粒状化された土壌に沿って牽引されることで、溝を整形する装置である。土壌の粒状化は、例えば、耕耘作業機を用いて耕耘作業を行なうことにより可能である。
本適用例では、溝整形器2を牽引する管理機1が、ロータリ耕耘機5を備える構成である。このため、溝整形器2による溝整形に適した土壌の粒状化と、溝整形器2による溝整形とが、同時に行なわれる。つまり、管理機1の走行に伴って、ロータリ耕耘機5により耕耘作業が行なわれて耕耘爪14の回転により土壌が粒状化されると共に、左右両側へ移動され、ロータリ耕耘機5の後方位置にある溝整形器2により逐次、溝が形成される。
【0033】
図3に示すように、溝整形器2により整形された溝40には、その溝40全体を被覆するように、詳しくは後述するシート供給装置30より巻き出された防根透水シート47が敷設される。この防根透水シート47は、植物の根が通ることはできないが水分や養分は透過できる機能を有するシートであり、布、織物、合成樹脂製の膜などで製造される。
【0034】
防根透水シート47は、溝40の内面だけでなく、溝40の外部で溝40の周辺部となる土壌表面42・42にも渡るように敷設される。このとき、防根透水シート47は、溝内シート押圧装置60による押圧を受けて溝40の下面に押し付けられると共に、ガイドシャフト50・50による押圧を受けて前記土壌表面42・42に押し付けられ、溝40の内面に全面的に密着するように敷設される。
加えて、覆土ディスク70・70により、帯状である防根透水シート47の左右両端部にそれぞれ盛土41が形成される。これらの盛土41・41により、溝40内への防根透水シート47の脱落が防止される。
なお、溝内シート押圧装置60、ガイドシャフト50・50、覆土ディスク70・70についても、詳しくは後述する。
【0035】
次いで、図4に示すように、前記溝40内に土壌が盛られることにより、植物育成用床45が形成されると共に、この植物育成用床45には植物46が植え付けられる。この植物46より伸びる根は、防根透水シート47に阻まれて、植物育成用床45の外側に伸張することはない。
しかし、植物育成用床45で保持できない量の水分や養分は、防根透水シート47を介して外側の土壌中に拡散される。以上構成により、植物46に吸収される水分や養分の全体量を、一定に規制することが可能である。
【0036】
ここで、溝整形器2は、基本的には、植物育成用床45となる土壌を盛り込むための溝40を形成する手段であるが、より詳しくは、前記防根透水シート47の敷設面となる土壌表面を均して、防根透水シート47の敷設を確実とするための手段である。
前述したように、防根透水シート47は、溝40の内面(下面および両側面)だけでなく、溝40の外部で溝40の周辺部となる土壌表面42・42にも渡るように敷設されるため、これらの各面を全て均しておくことで、防根透水シート47の敷設が確実となる。
【0037】
図1、図5、図6、図7を用いて、溝整形器2の構成を説明する。
図6に示すように、溝整形器2は、平面視で牽引方向に対して逆凹字形状となるように板材が連結されて、構成される。前側に配置される板材が排土整形板21であり、この排土整形板21の左右端部より後方に延出する板材がそれぞれ、側面整形板22L・22Rである。また、側面整形板22L・22R間は連結棒23を介して連結されて左右幅を調節できるようにしており、排土整形板21および側面整形板22L・22Rを主構成要素とする溝整形器2の剛性が高められるようにしている。
【0038】
図1に示すように、溝整形器2は、第二作業フレーム80の前端部を構成し上下方向に配置した連結フレーム16に支持されている。
図5、図6に示すように、前記連結フレーム16は、作業フレーム12に上下位置調整可能に取り付けられ、該連結フレーム16の上下中途部に排土整形板21の後面上部の左右中央から後方突設された平面視コ字型の連結受具24を、連結軸17を介して回動自在に取り付けられている。この連結フレーム16の下端部には角度調節ネジ18が螺装されており、この角度調節ネジ18を排土整形板21の後面に固定されているネジ受け19に係合させて、角度調節ネジ18を回動することにより排土整形板21を連結軸17を中心に前後回動して角度変更して土壌への食い込み量を調節できるようにしている。
以上構成により、溝整形器2を管理機1に対して姿勢変更することが可能である。
【0039】
溝整形器2は、前述したように、管理機1のような牽引手段により牽引されることで、ロータリ耕耘機5のような耕耘作業機により粒状化された土壌中に、溝を整形するものである。
ここで、前記排土整形板21は、溝整形器2が牽引されるのに従って、溝整形器2の前側に存在する土壌を、左右側方に排出する手段である。
また、前記排土整形板21と前記側面整形板22L・22Rとは、排土整形板21により、前記粒状化された帯状領域より余分な土壌が排出されるのに従って、その土壌排出により作り出された溝を、整形する手段である。
つまり、排土整形板21は、溝の形成における余剰土壌の排出手段であると共に、溝の整形手段でもある。
【0040】
なお、本明細書において、「溝の形成」とは、帯状の領域の土壌が除去されて凹状の開口領域が形成されたことを意味し、「溝の整形」とは、前記凹状の開口領域の表面が整えられた状態を意味する。
【0041】
図6に示すように、排土整形板21は、平面視で牽引方向に対して凸状となる形状に形成されており、排土整形板21の左右中央位置に突出部21aが形成されている。このため、排土整形板21の前方の土壌が、牽引される溝整形器2の前進に従って、左右に排出される。
なお、排土整形板21の突出部21aの形成部位は、ロータリ耕耘機5に備える耕耘爪14群の左右中央位置とほぼ一致する位置である。つまり、ロータリ耕耘機5により粒状化された帯状領域の中心線上を、排土整形板21の突出部21aは通過するものであり、耕耘爪14の回転により前記粒状化された土壌は両側へ移動されるとともに排土整形板21により左右へ均等に排出される。
【0042】
また、図5に示すように、排土整形板21は、側面視で、ロータリ耕耘機5に備える耕耘爪14群を囲うように湾曲した形状に形成され、排土整形板21の上端と下端21bとが、排土整形板21の中央部よりも前側に突出している。そして、排土整形板21により掬い上げられた土が、排土整形板21の左右側方にのみ排出されるようにしている。
また、ロータリ耕耘機5に備える耕耘爪14群は、その全体形状が円筒状であるので、排土整形板21は、突出部21aの形成部位で最も耕耘爪14群に最も接近する。このため、排土整形板21により掬い上げられた土は、排土整形板21の左右で均等に分けられて、排土整形板21の左右へと排出される。
【0043】
図7に示すように、排土整形板21の下端21bは水平方向の一直線状となる形状に形成されている。このため、溝整形器2が牽引されるのに従って、前記下端21bにより、排土整形板21による土壌排出により形成された溝の下面が均される。つまり、溝整形器2による溝の整形において、排土整形板21により溝の下面が整形される。
なお、側面整形板22L・22Rの下端も、排土整形板21の下端21bと同じ高さとなるように構成されており、これらの下端は同一平面上にすべて位置する。そして、側面整形板22L・22Rにより排土整形板21が浮き上がることなく、下端21bにより溝の下面の整形が確実に行なわれる。
【0044】
図5、図6に示すように、側面整形板22Lの外面は、前後方向に第一整形面22aおよび第二整形面22bの二平面より構成されている。側面整形板22L・22Rは同形状であり、側面整形板22Rの外面も、第一整形面22aおよび第二整形面22bの二平面より構成されている。
第一整形面22aは、溝整形器2において、前側で左右方向内側かつ後側で左右方向外側となるように傾斜した姿勢で配置されている。また、第二整形面22bは、前側で左右方向外側かつ後側で左右方向内側となるように傾斜した姿勢で配置されている。つまり、側面整形板22L・22Rそれぞれの外面は、第一整形面22aと第二整形面22bとの直線状の接続部22cで、最も左右方向外側に突出する構成である。
【0045】
そして、溝整形器2が牽引されるのに従って、排土整形板21による土壌排出により空いた空間の両側面が、側面整形板22L・22Rのそれぞれに備える第一整形面22aにより、徐々に押付けられて、整形される。
一方、第二整形面22bは、溝整形器2の牽引による溝整形には、それほど寄与しないが、左右方向外側への突出部である接続部22cの突出を和らげて、整形された溝の内面が痛むことを防止する。
【0046】
以上のようにして、排土整形板21および側面整形板22L・22Rにより、下面および二つの側面の三平面よりなる溝が整形される。
【0047】
図5、図6、図7に示すように、溝整形器2には、側面整形板22L・22Rの外側にそれぞれ、溝外整形板26が設けられている。溝外整形板26は、溝外の周辺部となる土壌表面を整形する手段である。
この溝外整形板26は、第一整形面22a上に固定される溝外整形ユニット25の一部として構成されている。溝外整形ユニット25には、第一整形面22aに面接触した状態で配置される取付板27と、溝外整形板26と取付板27とを溶着等の接合により連結する一対の連結板28・28とが、備えられている。
取付板27・27は、側面整形板22L・22Rに形成された上下方向の長孔に、ボルト締結により固定される構成である。つまり、溝外整形ユニット25の側面整形板22L・22Rに対する固定位置は、上下方向で調整可能である。
【0048】
溝外整形板26は、大まかには前後方向の中途部で逆へ字状に屈曲した形状の板状部材である。ここで、溝外整形板26のうち、前記屈曲した部位である前記中途部よりも前側の部位および後側の部位のことを、それぞれ溝外整形板26の前部および後部とする。
溝整形器2が牽引される状態において、溝外整形板26の前部は前上方へ延出する姿勢となり、溝外整形板26の後部は、前後左右方向で傾斜しているが、ほぼ水平面と平行な姿勢となる。
この溝外整形板26の前部は、排土整形板21等により溝の外側に排除された土壌が、溝外整形板26の後部の上面に落下することを防止する手段である。
【0049】
図3に示す溝40の周辺部となる土壌表面42は、溝外整形板26の後部により整形される。
図7に示すように、溝外整形板26の後部は、左右方向の中途部で屈曲しており、この屈曲部で分割される二つの部位よりなっている。これらの部位の土壌側の面は、溝整形器2の外側より内側に向けて、覆土部整形面26a、合流部整形面26bである。
前記土壌表面42を主として整形するのは覆土部整形面26aであり、溝40の側面と前記土壌表面42との合流部43は、合流部整形面26bにより整形される。
【0050】
図5、図7に示すように、覆土部整形面26aは平面であるが、溝整形器2が牽引される状態で、溝整形器2の底面に対して、前後方向では後側で低くなるように傾斜すると共に、左右方向では内側で高くなるように傾斜する平面である。
そして、溝整形器2が牽引されるのに従って、前記土壌表面42が前後方向で、覆土部整形面26aにより、徐々に押付けられて、整形される。ここで、覆土部整形面26aが左右方向で傾斜しているため、整形された土壌表面42の形状は、溝の内側で高く外側で低い左右方向の傾斜面となる。
以上のようにして、溝外整形板26により、前記土壌表面42は、溝40の内側で高く、溝40の外側で低い傾斜面に形成される。
【0051】
図3に示すように、溝40の周辺部となる土壌表面42が、溝40の内側で高い傾斜面に形成されるので、両端部が土壌表面42・42に渡る防根透水シート47が脱落しにくくなる。
特に、溝40の側面と前記土壌表面42との合流部43の土が崩れることがあっても、防根透水シート47が傾斜面上に敷設されているため、溝40の内側へ落ちにくい。
【0052】
また、前記合流部整形面26bは、溝40の側面と前記土壌表面42との合流部43(図3)の角を押し付けて平にする手段であり、この合流部整形面26bの底面は平面視三角形状である。この合流部整形面26bの底面は、左右方向では溝整形器2の内側より外側に向けて高くなるように傾斜し、前後方向では、前後方向では後側で低くなるように傾斜している。そして、溝整形器2が牽引されるのに従って、前記合流部43が前後方向で、合流部整形面26bの底面により徐々に押付けられて、角が平に整形される。
このため、防根透水シート47が溝40内に敷設される際に、合流部43の角が防根透水シート47により崩されて、その部位の土が溝40内に落下する不具合がない。
【0053】
図1、図2を用いて、シート供給装置30を説明する。
シート供給装置30は、前記防根透水シート47が筒の外周上に巻回されてなるシートロール31と、シートロール31を第二作業フレーム80に支持する左右一対の支持フレーム32L・32Rと、からなっている。
支持フレーム32Lは前記側部支持フレーム82Lに設けられ、支持フレーム32Rは前記側部支持フレーム82Rに設けられており、これらの支持フレーム32L・32Rにより、シートロール31がその軸方向の両側より、回動自在に支持される。
【0054】
そして、管理機1の走行に伴って、シートロール31より防根透水シート47が繰り出されることで、防根透水シート47がシート供給装置30より供給される構成である。
なお、この繰り出しに際して、予め、シートロール31から引き出された防根透水シート47が、前記溝内シート押圧装置60に備える転圧輪61・61により、溝40内の土壌表面に押し付けられた状態にしておくものとする。
【0055】
図1、図2を用いて、溝内シート押圧装置60を説明する。
溝内シート押圧装置60は、溝40(図3に図示)の下面に防根透水シート47を押し付ける手段である。溝内シート押圧装置60には、左右一対の転圧輪61・61と、転圧輪61・61を前記中央部支持フレーム83に支持する押圧部支持フレーム62と、この押圧部支持フレーム62下部で転圧輪61・61を下方に付勢するスプリング63・63と、が備えられている。
そして、左右の転圧輪61が、それぞれ対応する側のスプリング63により独立して下方に付勢される。
【0056】
図1、図2に示すように、転圧輪61・61は、シート敷設作業機100の作業進行方向において、溝整形器2およびシート供給装置30の後側に位置している。つまり、転圧輪61・61の前側より防根透水シート47が供給されると共に、転圧輪61・61が溝40の幅に合わせて幅方向両側に配置して、防根透水シート47を下面に押圧する溝40の下面は、既に滑らかな平面に均された状態にある。
そして、防根透水シート47は、転圧輪61・61により均された平面である溝40の下面に、全面的に押し付けられることになる。
なお、転圧輪61は、その外周部が円筒状に形成されており、管理機1の走行に伴って転圧輪61が回転することで、転圧輪61の外周面が全面的に防根透水シート47を溝40の下面に押し付けていき、防根透水シート47をシートロール31から引き出すことになる。
【0057】
また、図1には、シートロール31から転圧輪61・61に至る防根透水シート47の供給経路のうち、防根透水シート47の中央部の供給経路(以下、中央供給経路P)を示している。
シートロール31の外周より引き出される防根透水シート47は、障害物がない状態では、転圧輪61・61に向けて、側面視一直線状の経路に沿って供給される。
【0058】
これに対して実際の作業時には、転圧輪61・61は、防根透水シート47を挟んで溝40の下面上を走行するため、防根透水シート47の左右端部が、溝40の側面や溝40の外側の周辺部たる土壌表面42に、接触することになる。
そうすると、防根透水シート47により、前記合流部43を崩してしまう恐れがある。
そこで、前記側面整形板22L・22Rを、前記合流部43と防根透水シート47との接触を防止するためのガイドカバーとして機能させている。このような機能を発揮させるための構成について、以下で説明する。
【0059】
図1に示すように、側面整形板22L・22Rの後上部は、後ろ下がりの斜辺として、側面視で前記中央供給経路Pと重なるように、この中央供給経路Pよりも上方に位置させている。このような状態となるように、側面整形板22L・22Rの大きさや形状、配置位置が設定されている。
つまり、シートロール31から供給される防根透水シート47の左右端部が、側面整形板22L・22Rの後上部に接触して上方に曲げられるようにしている。
このため、供給される防根透水シート47は、前記合流部43に接触することなく、転圧輪61・61へと至る。したがって、防根透水シート47の敷設時に、溝40の側面が崩されることがない。
【0060】
図1、図2を用いて、ガイドシャフト50・50を説明する。
ガイドシャフト50・50は、溝40の外側の周辺部となる土壌表面42・42(図3に図示)にそれぞれ、防根透水シート47の左右端部を押し付ける手段である。
【0061】
ガイドシャフト50は、側面視において略L字状の棒状部材である。ガイドシャフト50において、略L字の縦辺に相当する部位は支持部50aであり、この支持部50aの上部が、左右で対応する側の側部支持フレーム82L・82Rに固定されている。
また、ガイドシャフト50において、略L字の底辺に相当する折れ線状の部位は、防根透水シート47との接触部50bであり、この接触部50bにより、防根透水シート47の左右端部が土壌表面42に押し付けられる。
【0062】
図1に示すように、ガイドシャフト50・50も、前記転圧輪61・61と同様に、シート敷設作業機100の作業進行方向において、溝整形器2およびシート供給装置30の後側に位置している。つまり、ガイドシャフト50・50の前側より防根透水シート47が供給されると共に、ガイドシャフト50・50が防根透水シート47を挟んで押圧する溝40の周辺部たる土壌表面42(図3に図示)は、既に滑らかな平面に均された状態にある。
そして、防根透水シート47は、ガイドシャフト50・50により、均された平面である前記土壌表面42に、押し付けられることになる。
【0063】
なお、接触部50bは、前述したように、折れ線状の部位に形成されているが、その全体形状は弓形であり、接触部50bの前端から後端に向けて、その高さ位置が徐々に低下するようになっている。つまり、ガイドシャフト50・50により押し付けられる防根透水シート47は、接触部50bの前端から後端に向かうにつれて、徐々に下方に押し付けられるものである。
【0064】
敷設される防根透水シート47は、その左右端部が、ガイドシャフト50・50により、溝40の周辺部たる土壌表面42・42に押し付けられ、その中央部が、前記転圧輪61・61により溝40の下面に押し付けられるものである。
つまり、防根透水シート47は、その両端部と中央部とが固定された状態で敷設されるため、溝40の側面にも、防根透水シート47が全面的に接触するように敷設される。
【0065】
加えて、図2に示すように、左右のガイドシャフト50・50は、後方に向けて、両ガイドシャフト間の間隔が広がるような姿勢に配置されており、平面視ハ字状である。
このため、防根透水シート47が、その左右端部が押し広げられるように敷設されることになる。そして、防根透水シート47が、その敷設時に溝40の内部に脱落することもなく、防根透水シート47の全体が張った状態で敷設される。
【0066】
また、図1に示すように、左右それぞれにおいて、ガイドシャフト50と、対応する側の側面整形板22L・22Rとは、側面視で重なることなく離間した位置に配置されている。より詳しくは、ガイドシャフト50・50が上方に位置し、側面整形板22L・22Rが下方に位置している。
このため、シートロール31から供給される防根透水シート47の左右端部が、左右それぞれ、ガイドシャフト50と、対応する側の側面整形板22L・22Rとの間をスムーズに通過する。
【0067】
一方、ガイドシャフト50と、対応する側の側面整形板22L・22Rとが、側面視で重なる状態にあっても、平面視で離間した状態にあれば、シートロール31を転圧輪61・61へ向けて供給することは可能である。
ところがこの場合、防根透水シート47が左右方向で波打つように折り曲げられることになり、通過時の接触抵抗が大きくなり、防根透水シート47のスムーズな通過ができなくなる。
前述した構成のように、ガイドシャフト50と、対応する側の側面整形板22L・22Rとが、側面視で重ならない状態とすることで、このような不具合が防止される。
【0068】
図1、図8に示すように、ガイドシャフト50の接触部50bの後部は、前記溝外整形板26の下面たる覆土部整形面26aよりも、下方に配置されている。
このため、接触部50bは、管理機1の走行に伴って、溝外整形板26により整形された前記土壌表面42よりも下方に突入して、防根透水シート47を土壌表面42に押し付ける。
そして、左右それぞれで、前記土壌表面42には、前記接触部50bにより凹部42aが形成される。ここで、ガイドシャフト50・50は、前述したようにハ字状に配置されているため、接触部50bの全体により形成される凹部42aの幅は、接触部50bの一断面の幅よりも左右方向に長いものとなる。
【0069】
そして、防根透水シート47の左右端部が土壌表面42の内部に埋め込まれる程度に押し付けられるので、土壌表面42から防根透水シート47の左右端部が離れて浮き上がった状態となる。
【0070】
図3に示すように、左右それぞれで、前記凹部42a・42a内には、防根透水シート47を挟んで、詳しくは後述する覆土ディスク70・70により寄せられた土が盛り込まれる。これらの覆土ディスク70・70による土寄せにより、防根透水シート47の左右端部上には盛土41・41が形成されるが、凹部42aに対応する部位では、防根透水シート47が土を抱き込んで、折り返された状態となる。
このため、防根透水シート47が土壌表面42上を滑りにくい状態に保たれ、防根透水シート47の溝40の内部への脱落が防止される。
【0071】
次に、図1、図2、図3を用いて、覆土ディスク70・70を説明する。
図3に示すように、覆土ディスク70・70(図3には図示せず)は、前記溝40の周辺部たる土壌表面42・42上に配置された防根透水シート47の左右端部上に、盛土41・41を形成する覆土手段である。
【0072】
各覆土ディスク70は、略円盤状の部材であるが、より正確には、球殻を一平面で切断してなる椀状の部材である。
覆土ディスク70は、その凹部が左右方向の内側となるように配置されると共に、左右一対の覆土ディスク70・70は平面視で逆ハ字状に配置されており、各覆土ディスク70は、傾斜した姿勢で支持されている。
【0073】
左右それぞれで、覆土ディスク70は、ディスク支持フレーム71を介して、対応する側の側部支持フレーム82L・82Rに支持されている。
ディスク支持フレーム71は、覆土ディスク70の下端位置が前記土壌表面42に近い位置となるように、覆土ディスク70を支持して、この覆土ディスク70により、前記土壌表面42の左右方向外側の土を内側へ寄せるようにしている。ここで、各覆土ディスク70は、前述したように傾斜した姿勢で支持されているため、管理機1の走行に伴って、覆土ディスク70の凹部内に土が掬い取られ、その土により盛土41が形成される。
【0074】
図2を用いて、ガイドシャフト50と覆土ディスク70とのレイアウトについて説明する。
前述したように、覆土ディスク70は平面視で傾斜した姿勢で配置されており、覆土ディスク70は、その前端70aが左右方向の外側に位置し、その後端70bが左右方向の内側に位置する状態となっており、覆土ディスク70の前端70aと後端70bとの間には、左右幅が生じている。また、前後方向でも、覆土ディスク70の前端70aと後端70bとの間には、前後幅が生じている。
そして、ガイドシャフト50の後端50c、つまり接触部50bの後端50cの配置位置が、前後方向および左右方向の双方で、前記覆土ディスク70の前端70aと後端70bとの間に位置するように、左右一対のガイドシャフト50・50は配置されている。
【0075】
このため、防根透水シート47の左右端部上には、ガイドシャフト50の接触部50bにより押え付けられている状態で、覆土ディスク70により盛土41の形成が行なわれる。
したがって、防根透水シート47が浮き上がった状態で、盛土41の形成が行なわれることがなく、効率的に盛土41を形成することが可能となる。
【0076】
本発明のシート敷設作業機をまとめる。
第一の発明たるシート敷設作業機は、次の各装置もしくは手段を備えている。
自走手段と、耕耘作業を行う耕耘作業機と、前記耕耘された土壌中を移動して両側面および下面の三面よりなる溝を整形する溝整形器と、前記溝を被覆するシートを供給するシート供給装置と、前記溝の下面にシートを押し付ける溝内シート押圧手段と、前記溝の左右側方に延出するシートの両端部を、溝の左右側方に位置する土壌表面に押え付ける左右一対のガイドシャフトと、前記側方に位置する土壌表面上のシートの両端部上に盛土を行なう覆土手段と、である。
【0077】
加えて、前記側面整形板は側面視で、前記シート供給装置から前記溝内シート押圧手段のシート押圧部に至るシートの中央部の供給経路と、重なるように構成される。また、前記ガイドシャフトは、前記シート供給装置より後方に配置されるものである。
【0078】
前記自走手段は、本実施の形態では管理機1であるが、駆動源を備える自走手段であれば、他の自走手段であっても良い。また、前記耕耘作業機は、本実施の形態ではロータリ耕耘機5であるが、耕耘可能な作業機であれば、ロータリ式に限定するものではない。また、前記溝内シート押圧手段は、本実施の形態では前記転圧輪61・61を押圧部とし、これらの転圧輪61・61を下方に押し付ける装置としているが、押圧部の構成は車輪に限定するものではなく、シャフトとしても平板としてもよい。また、前記覆土手段は、本実施の形態では、覆土ディスク70・70としているが、自走手段たる管理機1の走行に伴って土寄せを行なう装置に限定されるものではなく、施肥機などと同様に、走行車両に蓄えた土砂を上方より落下させる装置としてもよい。
【0079】
また、前記下面整形板は、本実施の形態では溝整形器2の正面をカバーする排土整形板21であり、前方の土壌を側方に排出する作用を有する板材である。排土を行なう手段と、溝の下面の整形を行なう手段とは、別であってもよく、それぞれに対応する板材を設けるものとしても良い。
【0080】
また、本実施の形態であるシート敷設作業機100により敷設されるシートとしては、前述では、植物の根の伸張を規制しかつ透水性を有する防根透水シート47としているが、この防根透水シート47に限定されるものではない。なんらかの用途のために、圃場に形成された溝を被覆するように敷設されるシートであれば、他のシートであっても良い。
【0081】
以上構成により、溝を被覆するシートの敷設作業が自動的に行なわれる。また、シートの左右両端がガイドシャフトにより前記土壌表面に押さえつけられた状態で、覆土手段により盛土が行なわれる。さらに、シートの敷設に際して、側面整形板によりシートの両端部が、シートの中央部よりも上方に曲げられる。加えて、シート供給装置からガイドシャフトへ向けて、作業進行方向の前側から後側へと、シートが送られる。
このため、シートの両端部が盛土により固定され、敷設したシートの溝内への脱落が防止される。また、シートの敷設に際して、シートの左右両端が、溝の側面に接触することがなく、シート敷設による溝の側面の崩れが発生しない。また、シートの供給がスムーズに行なわれる。
【0082】
第二の発明たるシート敷設作業機は、前記第一の発明の構成に加えて、次の構成を備えるものとなっている。
前記ガイドシャフトの前記シートとの接触部の少なくとも一部は、前記溝外整形板の土壌との接触面よりも下方に配置されるものである。
【0083】
本実施の形態では、前記接触部は、略L字状の棒状部材に形成されるガイドシャフト50において、略L字の底辺に相当する折れ線状の部位である接触部50bとしている。一方、前記溝外整形板の土壌との接触面は、本実施の形態では、前記覆土部整形面26aである。
図1に示すように、接触部50bの後部は、前記覆土部整形面26aよりも、下方に配置されている。
【0084】
以上構成により、前記接触部は溝外整形板により整形された前記土壌表面よりも下方に突入して、シートを前記土壌表面に押し付け、覆土手段による盛土により、シートが土を抱き込んで折り返された状態となる。
このため、シートが土壌表面上を滑りにくい状態に保たれ、シートの溝の内部への脱落が防止される。
【0085】
第三の発明たるシート敷設作業機は、前記第一または第二の発明の構成に加えて、次の構成を備えるものとなっている。
前記左右一対のガイドシャフトは、後方に向けて、両ガイドシャフト間の間隔が広がるような姿勢に配置されるものである。
【0086】
以上構成により、シートは、その左右端部が押し広げられるように敷設される。
このため、シートが、その敷設時に溝の内部に脱落することもなく、シートの全体が張った状態で敷設される。
【0087】
第四の発明たるシート敷設作業機は、前記第一から第三のいずれかの発明の構成に加えて、次の構成を備えるものとなっている。
前記覆土手段は覆土ディスクとすると共に、左右それぞれにおいて、前記ガイドシャフトの後端が、前後方向および左右方向の双方で、前記覆土ディスクの前端と後端との間に位置するように、前記左右一対のガイドシャフトは配置されるものである。
【0088】
以上構成により、シートの左右端部上には、ガイドシャフトにより押え付けられている状態で、覆土ディスクにより盛土の形成が行なわれる。
したがって、シートが浮き上がった状態で、盛土の形成が行なわれることがなく、効率的に盛土を形成することが可能である。
【0089】
第五の発明たるシート敷設作業機は、前記第一から第四のいずれかの発明の構成に加えて、次の構成を備えるものとなっている。
前記ガイドシャフトと前記側面整形板とが、側面視で重なることなく離間した位置に配置されるものである。
【0090】
以上構成により、シート供給装置から供給されるシートの左右端部が、左右それぞれで、ガイドシャフトと、対応する側の側面整形板との間をスムーズに通過する。
このため、シートの敷設作業において、シート詰まりなどの不具合が発生しない。
【0091】
第六の発明たるシート敷設作業機は、前記第一から第五のいずれかの発明の構成に加えて、次の構成を備えるものとなっている。
前記溝内シート押圧手段は、シートに接触するシート押圧部を左右に備えると共に、各シート押圧部を独立して付勢する付勢手段を備えるものである。
【0092】
以上構成により、本体たるシート敷設作業機が傾斜しても、左右のシート押圧部が独立して溝の下面に追従する。
このため、溝の下面の傾斜に関わりなく、この下面に沿ってシートを敷設することが可能である。
【0093】
第七の発明たるシート敷設作業機は、前記第一から第六のいずれかの発明の構成に加えて、次の構成を備えるものとなっている。
前記溝外整形板の土壌との接触面は、その接触面の各部の高さ位置が、前記溝の外側に向かうにつれて低くなるように構成されるものである。
【0094】
本実施の形態では、前記溝外整形板は、前記土壌と面領域で接触する溝外整形板26であり、土壌と接触する接触面に相当するのは覆土部整形面26aである。
この覆土部整形面26aの高さ位置は、前記溝の外側に向かうにつれて低くなるように構成されている。
【0095】
なお、前記溝外整形板における接触部としては、本実施の形態のように板状部材上に形成される平面の傾斜面に限定されるものではなく、湾曲した板状部材上に形成される曲面であってもよい。つまり、溝外整形板における土壌との接触面の高さ位置が、前記溝の外側に向かうにつれて低くなるように構成されるものであればよい。
また、溝外の整形手段として、溝内整形板のような板状部材を用いる代わりに、棒状部材や枠状部材を用いるものとし、これらの部材の土壌との接触部の高さ位置が、前記溝の外側に向かうにつれて低くなるように構成されるものとしてもよい。
【0096】
以上構成により、整形対象の溝の周辺部となる土壌表面が、溝の内側で高い傾斜面に形成される。
このため、シートの中央部を支持するシート端部が、その敷設面が水平面に形成される場合と比べて、前記周辺部となる土壌表面に、より安定的に支持される。特に、溝の側面と前記土壌表面との合流部の土が崩れることがあっても、シートが傾斜面上に敷設されているため、溝の内側へ落ちにくい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】シート敷設作業車を示す側面図である。
【図2】各種作業装置のレイアウトを示す平面図である。
【図3】シート敷設作業車による防根透水シートの敷設作業の終了状態を示す溝の断面図である。
【図4】植物育成用床が形成された状態を示す溝の断面図である。
【図5】溝整形器の側面図である。
【図6】溝整形器の平面図である。
【図7】溝整形器の後部断面図である。
【図8】防根透水シートが敷設された状態を示す溝の断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 管理機(自走手段)
2 溝整形器
5 ロータリ耕耘機(耕耘作業機)
21 排土整形板(下面整形板)
22L・22R 側面整形板
26 溝外整形板
26b 後部下面(接触面)
30 シート供給装置
47 防根透水シート
50 ガイドシャフト
50c 後端
60 溝内シート押圧装置(溝内シート押圧手段)
61 転圧輪(シート押圧部)
63 スプリング(付勢手段)
70 覆土ディスク(覆土手段)
100 シート敷設作業車
P 中央供給経路(シート中央部の供給経路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走手段と、
耕耘作業を行う耕耘作業機と、
前記耕耘された土壌中を移動して、両側面および下面の三面よりなる溝を整形する溝整形器と、
前記溝を被覆するシートを供給するシート供給装置と、
前記溝の下面にシートを押し付ける溝内シート押圧手段と、
前記溝の左右側方に延出するシートの両端部を、溝の左右側方に位置する土壌表面に押え付ける左右一対のガイドシャフトと、
前記側方に位置する土壌表面上のシートの両端部上に盛土を行なう覆土手段と、
を備えるシート敷設作業車であって、
前記溝整形器は、前記溝の側面を整形する側面整形板と、前記溝の下面を整形する下面整形板と、前記溝の左右側方で前記シートの両端部が敷設される土壌表面を整形する溝外整形板と、を備えると共に、
前記側面整形板は側面視で、前記シート供給装置から前記溝内シート押圧手段のシート押圧部に至るシートの中央部の供給経路と、重なるように構成され、
前記ガイドシャフトは、前記シート供給装置より後方に配置される、
ことを特徴とするシート敷設作業機。
【請求項2】
前記ガイドシャフトの前記シートとの接触部の少なくとも一部は、前記溝外整形板の土壌との接触面よりも下方に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート敷設作業機。
【請求項3】
前記左右一対のガイドシャフトは、後方に向けて、両ガイドシャフト間の間隔が広がるような姿勢に配置される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート敷設作業機。
【請求項4】
前記覆土手段は覆土ディスクとすると共に、
左右それぞれにおいて、前記ガイドシャフトの後端が、前後方向および左右方向の双方で、前記覆土ディスクの前端と後端との間に位置するように、前記左右一対のガイドシャフトは配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート敷設作業機。
【請求項5】
前記ガイドシャフトと前記側面整形板とが、側面視で重なることなく離間した位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のシート敷設作業機。
【請求項6】
前記溝内シート押圧手段は、
シートに接触するシート押圧部を左右に備えると共に、各シート押圧部を独立して付勢する付勢手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のシート敷設作業機。
【請求項7】
前記溝外整形板の土壌との接触面は、その接触面の各部の高さ位置が、前記溝の外側に向かうにつれて低くなるように構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のシート敷設作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−129813(P2006−129813A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324184(P2004−324184)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【出願人】(000204239)株式会社 太陽 (21)
【出願人】(591039425)高知県 (51)
【Fターム(参考)】