説明

シート材給送装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】シート材間の吸着力を減退させる十分な効果を安定して得ることである。
【解決手段】給紙カセット15に収容されたシート束Sの上面に対向する位置に設けられた無端状の誘電体ベルト33の表面に、互いに極性が異なる電位をもつ電位部同士が互いに隣り合うように配置された複数の電位部からなる電位パターンを形成して、その電位パターンの作用で誘電体ベルト表面にシート束の最上位シートS1を吸着させて送り出すもので、シート束先端面に当接するさばき部材16とシート束とを相対移動させる。このさばき部材のシート当接面には突起部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体ベルト表面上に形成される電位パターンによる電界の作用によって誘電体ベルト表面にシート束の最上位シート材を吸着させ、その誘電体ベルトの表面移動により当該最上位シート材を送り出すシート材給送装置、及び、これを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式、インクジェット方式等の各種画像形成装置において、画像を記録する記録材(シート材)を給送する給紙装置としては、そのシート材に対して高い最大静止摩擦係数(以下、単に「摩擦係数」という。)が得られるゴム等の材料で作られたローラやベルト等のピックアップ部材をシート束の最上位シート材に当接させ、シート束から最上位シート材をピックアップする摩擦給送方式が広く採用されている。摩擦給送方式は、構成が簡素であるが、ピックアップ部材とシート材との間で大きな摩擦力を得るために、バネ等の付勢手段によりピックアップ部材をシート面に対して強く圧接させることを必要とする。このようなバネ等の付勢手段は、通常、経時劣化によりその付勢力が経時的に減少するので、経時的にも安定した給送性能を得ることが難しい。また、ゴム等からなるピックアップ部材は、経時的に又は環境に応じて劣化し、シート材に対する摩擦係数が低下するので、この点でも安定した給送性能を得ることが難しい。
【0003】
また、ユーザーの多様化により、画像を記録する記録材としては、普通紙だけでなく、コート紙やラベル紙など、様々な機能・用途をもつシート材が用いられることが多くなってきている。記録材として用いられるシート材の種類は、今後も増加することが予想される。特殊な機能や用途をもつシート材は、ピックアップ部材に対する摩擦係数が極端に小さいものがあり、このようなシート材は、摩擦給送方式により安定してピックアップすることが難しい。また、粘着ラベル等のようにシート材表面部がシート材本体から剥離しやすいシート材は、ピックアップ部材とシート材との間の摩擦力によりシート材表面部がシート材本体から剥離してしまい、摩擦給送方式により安定してピックアップすることが難しい。
【0004】
このような特殊な機能や用途をもつシート材であっても安定したピックアップが可能なものとして、静電給送方式がある。静電給送方式では、誘電体ベルト表面上に形成される電位パターンにより誘電体ベルト表面とシート束上面との界面に不平等電界を生じさせることで発生する、マクスウェルの応力に基づく当該界面の法線方向における吸着力によって誘電体ベルト表面にシート束の最上位シート材を吸着させ、その誘電体ベルトの表面移動により当該最上位シート材を送り出す。このような静電給送方式を採用した画像形成装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【0005】
特許文献1には、シート束を載置したシートトレイを誘電体ベルトに対して上下動させる構成を有し、シートトレイを上昇させて誘電体ベルトにシート束の上面を接触させた後、シートトレイの位置を固定したままトレイ底板を下降させて最上位シート材のみを誘電体ベルトに吸着させ、誘電体ベルトの表面移動により最上位シート材を送り出す画像形成装置が記載されている。シートトレイには、シート束のシート材給送方向上流端(後端)に当接する後端規制部材が設けられている。この後端規制部材は、トレイ底板に固定されており、トレイ底板と一緒に移動する。後端規制部材の当接面は、その下側から上側に向かうにつれてシート材給送方向下流側に傾斜している。シート束の後端が後端規制部材の当接面に揃うようにシート束をセットすることで、シート束の後端はシート積載方向下側から上側に向かうにつれてシート材給送方向下流側に傾斜した状態となる。その結果、シート束の先端も、シート積載方向下側から上側に向かうにつれてシート材給送方向下流側に傾斜した状態となる。一方、シートトレイにセットされたシート束のシート材給送方向下流端(先端)に対向する位置には、先端規制部材が設けられている。この先端規制部材は、上下動することはないが、シート束の先端に対して水平方向へ進退移動する構成となっている。先端規制部材の当接面も、その下側から上側に向かうにつれてシート材給送方向下流側に傾斜している。このような構成において、シートトレイを上昇させて誘電体ベルトにシート束の上面を接触させた後、先端規制部材の当接面がシート束の先端に接触するように水平方向へ移動させ、その後、シートトレイの位置を固定したままトレイ底板を下降させる。すると、このシート束の先端が先端規制部材の当接面に当接しながらその当接面に対して相対移動し、これによりその当接面の傾斜形状に倣って反ることになる。これにより、シート束の各シート材の先端位置が互いにずれるので、新品のシート束を用いる場合でも、そのシート束の裁断時におけるバリによるシート材同士の付着力を減退させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
静電給送方式においては、一般に、摩擦給送方式と比較して、シート束のバリによるシート材同士の付着力が重送に与える影響が強い。よって、上記特許文献1に記載された画像形成装置のように、先端規制部材によりシート束の先端を変形させてバリによる付着力を減退させることは、特に静電給送方式において有用な技術である。
【0007】
ところで、上記特許文献1には、先端規制部材の当接面の表面形状についての記載は全くない。しかしながら、本発明者による研究の結果、この当接面の表面形状は、シート束のバリによるシート材同士の付着力だけでなく、シート材間に働く他の付着力(機械的な付着力や静電的な吸着力)をも減退させる上では非常に重要な要素であることが判明した。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、シート束のバリによる付着力だけでなく、シート材間に働く他の付着力をも減退させることが可能なシート材給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート材が複数積載されたシート束を収容するシート収容部材と、該シート収容部材に収容されているシート束の上面に対向する位置に設けられ、表面移動する無端状の誘電体ベルトと、互いに極性が異なる電位をもつ電位部同士が互いに隣り合うように配置された複数の電位部からなる電位パターンを、上記誘電体ベルトの表面に形成する電位パターン形成手段とを有し、上記誘電体ベルトの表面に形成される電位パターンにより該誘電体ベルトの表面と上記シート束の上面との界面に不平等電界を生じさせることで発生する、マクスウェルの応力に基づく該界面の法線方向における吸着力によって、該誘電体ベルトの表面に該シート束の最上位シート材を吸着させ、該誘電体ベルトの表面移動により該最上位シート材を送り出すシート材給送装置において、上記シート収容部材に収容されているシート束のシート材給送方向先端面に当接する先端面当接部材と、該シート収容部材に収容されているシート束及び該先端面当接部材を互いに該シート束の積載方向に沿って相対移動させる相対移動手段とを有し、シート束のシート材給送方向先端面が当接する上記先端面当接部材の当接面に、突起部を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシート材給送装置において、上記誘電体ベルトの表面と上記シート束の上面とを接離させる接離手段を有し、上記電位パターン形成手段により上記誘電体ベルトの表面に電位パターンを形成した後、上記接離手段により電位パターンが形成された誘電体ベルトの表面部分と上記シート束の上面とを接触させて該シート束の最上位シート材を該表面部分に吸着させ、その後、該接離手段により誘電体ベルトの該表面部分と該シート束の上面とを離間させ、該誘電体ベルトの表面移動により該最上位シート材を送り出すものであり、上記相対移動手段は、上記接離手段の接離動作により、上記シート束と上記先端面当接部材とを相対移動させるものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のシート材給送装置において、上記接離手段は、上記シート束を移動させて上記誘電体ベルトの表面に対して該シート束の上面を接離させるものであり、上記先端面当接部材は、上記接離手段により移動しない部材に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート材給送装置において、上記シート収容部材に収容されているシート束のシート材給送方向後端に当接して、該シート束における最上位シート材のシート材給送方向先端がその積載方向下側のシート材のシート材給送方向先端よりもシート材給送方向下流側に位置するように、該シート束の積載状態を規制するシート束規制手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のシート材給送装置において、上記シート束規制手段は、シート束のシート材給送方向後端に当接する当接面とシート束が載置されるシート載置面とのなす角度が、上記シート収容部材に上記シート束を収容する前は90度以上であり、該シート収容部材に該シート束を収容した後は90度未満となるように、構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート材給送装置において、上記先端面当接部材は、装置本体に対して着脱自在に構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、シート材給送装置により送り出されるシート材上に画像を形成する画像形成装置において、上記シート材給送装置として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート材給送装置を用いることを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、シート収容部材に収容されているシート束のシート材給送方向先端面に当接する先端面当接部材とシート束とをシート束積載方向に相対移動させると、シート束の各シート材先端がその相対移動方向上流側に反るように変形する。これにより、各シート材間の先端位置を互いにずらすことができ、シート束の先端におけるバリの付着力を解除することができる。
しかも、本発明では、先端面当接部材の当接面には突起部が設けられているため、その突起部に各シート材の先端を引っ掛かけながら、先端面当接部材とシート束とを相対移動させることができる。これにより、各シート材の先端が突起部を乗り越える際に、各シート材の先端部間に一時的な隙間を作り出すことが可能となる。各シート材の先端部間に一時的にでも隙間が形成されると、その隙間に空気が入り込み、シート材間の密着性が解除され、機械的な付着力や静電的な吸着力が減退する。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明によれば、シート束のバリによる付着力だけでなく、シート材間に働く他の付着力をも減退させることができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る複写機を示す模式図である。
【図2】同複写機における給紙部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】同給紙部に設けられるシート分離給紙装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】同シート分離給紙装置の変形例を示す斜視図である。
【図5】実施形態に係るシート分離給紙装置の構成を説明するための説明図である。
【図6】(a)及び(b)は、それぞれ、同シート分離給紙装置に設けられるさばき部材の当接面に設けられる突起部の構成例を示す斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、最上位シートの送り出し動作における状況を、時系列に沿って示した説明図である。
【図8】(a)は、重送が起きやすいシート束の状態を示す説明図であり、(b)は重送が起きにくいシート束の状態を示す説明図である。
【図9】エンドフェンスの変形例を示す説明図である。
【図10】電位パターン形成手段の他の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機に適用した一実施形態について説明する。
なお、本発明は、本実施形態の画像形成装置に限らず、例えばインクジェット方式の画像形成装置などにも適用することができることは言うまでもない。
【0014】
図1は、本実施形態に係る複写機10を示す模式図である。
この複写機10は、原稿トレイ11aに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して原稿読取部12上のコンタクトガラスに自動給紙する自動原稿搬送装置11と、自動原稿搬送装置11によってコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取る原稿読取部12と、給紙部13から給紙された記録材シート(シート材)に対して、原稿読取部12によって読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成部14とを備えている。給紙部13は、複数枚のシートが積層されたシート束Sを収容していて、このシート束Sからその最上位に位置する最上位シートS1を画像形成部14に給紙する。なお、本実施形態では、画像形成部14と給紙部13とは分割可能となっている。
【0015】
画像形成部14は、主に、イエロー(以下「Y」と記載し、イエロー用の部材の符号には色別符号として「Y」を付す。シアン、マゼンタ、ブラックについても同様。)用の作像部23Y、C(シアン)用の作像部23C、M(マゼンタ)用の作像部23M、BK(ブラック)用の作像部23BKの4つの作像部と、中間転写材である中間転写ベルト24と、潜像形成手段としての露光装置25とから構成されている。
【0016】
露光装置25は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等から入力される色分解された画像データや、原稿読取部12によって読み取った原稿の画像データを、光源駆動用の信号に変換し、それに従い各レーザ光源ユニット内の半導体レーザを駆動して光ビームを出射するようになっている。
【0017】
各作像部23Y,23C,23M,23BKは、それぞれ、回転駆動される潜像担持体としての感光体26Y,26C,26M,26BK、それぞれの感光体26Y,26C,26M,26BKの周囲に配置される帯電部27、現像部28、クリーニング部29等により構成されている。感光体26Y,26C,26M,26BKは、円筒状に形成された感光体ドラムであり、図示しない駆動源により回転駆動される。各帯電部27は、それぞれ対応する感光体26Y,26C,26M,26BKの表面を所定電位となるように一様帯電するものである。本実施形態の帯電部27は、帯電ローラ等の帯電部材を感光体26Y,26C,26M,26BKの表面に接触又は近接させて帯電処理する接触帯電方式のものを採用しているが、これに限られない。露光装置25から出射された破線で示す光ビームが帯電部27により一様帯電された各感光体26Y,26C,26M,26BKの表面にスポット照射されることにより、各感光体表面にはそれぞれの画像情報に応じた静電潜像が書き込まれる。各現像部28は、感光体26Y,26C,26M,26BK上の静電潜像にトナーを付着させることにより、その静電潜像をトナー像として顕像化させるもので、感光体26Y,26C,26M,26BKに対して非接触状態でトナーを供給する非接触現像方式のものが採用されている。各クリーニング部29は、感光体26Y,26C,26M,26BKの表面に付着している転写残トナー等の不要物を除去するもので、感光体表面にブラシを接触させてクリーニングするブラシ接触方式のものが採用されている。
【0018】
中間転写ベルト24は、樹脂フィルムまたはゴムを基体として形成された無端状ベルトから構成されており、各感光体26Y,26C,26M,26BK上に形成された各色トナー像が互いに重なり合うように転写される。このように重なった中間転写ベルト24上の画像は、転写ローラ19によってシートS1に転写される。
画像が転写されたシートS1は、その後に定着器20に搬送され、熱と圧力によって画像がシートS1に定着される。その後、シートS1は、排紙ローラ対21により排紙トレイ22へ排出される。
【0019】
図2は、給紙部13の概略構成を示す斜視図である。
給紙部13は、複数枚のシートを積載して収容するシート材収容部としての給紙カセット15と、給紙カセット15上の複数枚のシートからなるシート束Sから最上位に位置する最上位シートS1を分離して搬送するシート材給送装置としてのシート分離給紙装置30とを含んで構成されている。シート分離給紙装置30によって分離給紙されたシートS1は、搬送路17に送り出される。そして、レジストローラ対18により所定のタイミングで転写ローラ19による転写位置へ搬送される。
【0020】
シート分離給紙装置30は、積載可能用紙幅に対して短く、中心付近に配置されているが、これは、積載可能用紙幅に対して、同等もしくは長くても問題ない。また、本実施形態では、シート給紙方向に対して直交する方向(幅方向)の中心付近にシート分離給紙装置30を1つ設けた構成であるが、幅方向に複数個のシート分離給紙装置30を配置してもよい。
【0021】
図3は、シート分離給紙装置30の概略構成を示す斜視図である。
シート分離給紙装置30は、駆動ローラ31と従動ローラ32とに巻掛けられた無端状の誘電体ベルト33を備えている。この誘電体ベルト33の表面には、誘電体ベルト33の表面に所定の電位パターンを形成するための電位パターン形成手段としての帯電用電極ローラ34が当接している。なお、本実施形態では、電位パターン形成手段として帯電用電極ローラ34を用いているが、図4に示すようなブレード状の帯電部材134を用いてもよい。
【0022】
図5は、シート分離給紙装置30の構成を説明するための説明図である。
本実施形態の誘電体ベルト33は、体積抵抗率が108Ω・cm以上の誘電体(例えば、厚さ100μm程度のポリエチレンテレフタレート等のフィルム)からなる表層33aと、体積抵抗率が106Ω・cm以下の導体からなる裏層33bとを有する2層構造となっている。なお、誘電体ベルト33の構成は、これに限らず、単層構造であってもよいし、3層以上の層構造を有するものでもよい。帯電用電極ローラ34は、誘電体ベルト33の表層33aに接した位置であればどこに設けてもよい。また、シート束Sに対する誘電体ベルト33の位置は、シート束Sを吸着する誘電体ベルト33の表面部分(吸着面)の面積が十分に取れる位置であれば、どこに設けても良い。
【0023】
駆動ローラ31の表面は、体積抵抗率が106Ω・cm程度の導電性ゴム層で構成され、従動ローラ32の表面は金属で構成されている。駆動ローラ31および従動ローラ32はいずれも接地されている。駆動ローラ31の径は、誘電体ベルト33から最上位シートS1を、その駆動ローラ31に巻き付いたベルト部分の曲率により分離するのに適した小さな径をもつように設定となっている。すなわち、駆動ローラ31の径を小さく設定して曲率を大きくすることにより、誘電体ベルト33に吸着されて分離搬送された最上位シートS1が、駆動ローラ31に巻回された部分で誘電体ベルト33の表面から離れ、ガイド部材により形成される搬送路17に入ることができるようになっている。
【0024】
帯電用電極ローラ34は、本実施形態では、誘電体ベルト33が駆動ローラ31に巻回された位置の近くで誘電体ベルト33の表面(外周面)に接するように配置されている。帯電用電極ローラ34は、交流を発生する交流電源35に接続されている。帯電用電極ローラ34に印加する電圧は、交番電圧であれば、正弦波交流電圧であっても、直流電圧を高低交互の電位に変化させたような電圧でもなんでもよい。本実施形態では、交流電源35により4kVの振幅を持った交流電圧を印加している。
また、帯電用電極ローラ34に対して誘電体ベルト33の表面移動方向上流側であって、シートS1と誘電体ベルト33との分離位置よりも下流側には、誘電体ベルト33を除電する除電手段としての除電ブラシ36が設けられている。
【0025】
本実施形態のシート分離給紙装置30は、誘電体ベルト33とシート束Sの上面とを接離させる接離手段としての接離機構40を備えている。本実施形態において、この接離機構40は、本実施形態では相対移動手段としても機能する。接離機構40は、シート束Sが載置されたトレイ底板15bを上下動させるものであり、シート分離給紙装置30はシート束Sに対して変位しない。もちろん、誘電体ベルト33及びこれを巻回する駆動ローラ31及び従動ローラ32並びに帯電用電極ローラ34を、一体的に、シート束Sに対して上下動させる接離機構40を用いてもよいし、両者を上下動させる接離機構40であってもよい。このような接離機構40を用いることで、本実施形態の誘電体ベルト33は、駆動ローラ31と従動ローラ32との間に張架されたベルト部分のうち、シート束Sの上面と対面する側のベルト張架部分(以下「下側ベルト張架部分」という。)Bの表面がシート束Sの上面と平行を保ちながら接離する。なお、接離機構40は、その離間時に誘電体ベルト33とシート束Sの上面とを完全に離間させるものである必要はなく、両者の一部(例えばシート材給送方向上流側の端部)が接触した状態であっても、シート給送方向下流側(先端側)部分が離間していればよい。
【0026】
本実施形態において、シート束Sを収容する給紙カセット15は、図5に示すように、そのシート給送方向先端側の先端規制壁15aが、下から上に向かってシート給送方向下流側へ傾斜した構成となっている。また、給紙カセット15は、シート束Sのシート給送方向後端に位置するように設けられたエンドフェンス15cも備えている。このエンドフェンス15cも、下から上に向かってシート給送方向下流側へ傾斜した構成となっている。この給紙カセット15に対し、エンドフェンス15cの傾斜した壁面にシート束Sのシート給送方向後端面が合うようにシート束Sをトレイ底板15bの上に載置すると、そのシート束Sのシート給送方向先端面が先端規制壁15aの傾斜した壁面に沿うように、シート束Sがセットされる。
【0027】
ここで、本実施形態においては、シート束Sの先端面が当接する先端規制壁15aの壁面に、先端面当接部材としてのさばき部材16が設けられている。このさばき部材16は、シート束Sの先端面が当接する当接面が、先端規制壁15aの傾斜した壁面に倣って
下から上に向かってシート給送方向下流側へ傾斜した構成となっている。よって、給紙カセット15にセットされたシート束Sの先端面は、このさばき部材16の当接面に沿うように揃うことになる。また、このさばき部材16の当接面には、突起部が形成されている。この突起部は、給紙カセット15にシート束Sをセットするときや、接離機構40によりトレイ底板15bが上昇又は下降するときのように、さばき部材16とシート束Sの先端面とが相対移動する際に、そのシート束Sの先端面に当接することで、各シート材の先端部間に一時的な隙間を効果的に作り出す、いわゆるさばき動作を行うためのものである。このようなさばき動作によりシート束Sを構成する各シート材の先端部間に一時的にでも隙間が形成されると、何らかの原因によってシート材同士が吸着している場合の付着力を減退させることができる。特に、新品のシート束を用いる場合には、そのシート束の裁断時におけるバリによる付着力が各シート材の先端部間に働くことがあり、この付着力を減退させるのに効果的である。
【0028】
本実施形態において、さばき部材16の当接面に設けられる突起部の構成としては、図6(a)に示すように、その当接面の傾斜方向に沿って階段状に連続する階段状突起部や、図6(b)に示すように、その当接面が分布する複数の小突起からなる小突起群、当接面をシボ形状としたものなどの構成が挙げられる。さばき部材16の当接面に設ける突起部は、1つの突起で構成されるものであってもよいし、複数の突起で構成されるものでもよい。
また、さばき部材16は、先端規制壁15aとは別部材で構成し、これを先端規制壁15aの壁面に取り付けるものであっても、先端規制壁15aの壁面それ自体で構成されたものでもよい。前者の場合、劣化等によりさばき部材16の交換が必要な場合に、給紙カセットとは別にさばき部材16だけを交換することが可能となる点で、優れている。この場合、さばき部材の材質としては、例えばスポンジのような発泡材、ゴムのような材料、表面性の粗さのある樹脂材質などが考えられる。一方、後者の場合、製造コストが低く抑えられる点で優れている。
【0029】
次に、最上位シートS1の送り出し動作について詳述する。
図7(a)〜(c)は、最上位シートS1の送り出し動作における状況を、時系列に沿って示した説明図である。
本複写機の図示しない本体制御部から給送信号が出されると、駆動ローラ31の駆動伝達系に設けられた電磁クラッチがONになり、駆動ローラ31に駆動力が伝達されて駆動ローラ31が回転駆動を開始する。これにより表面移動を開始した誘電体ベルト33には、交流電源35が接続された帯電用電極ローラ34から交番電圧が印加される。その結果、誘電体ベルト33の表面には交流電源35の周波数と誘電体ベルト33の表面移動速度とに応じた間隔で、プラス極性の電位部とマイナス極性の電位部が誘電体ベルト33の表面移動方向に沿って交互に配列された電位パターンあるいは電荷パターンが形成される。互いに隣り合う2つの電位部からなる1組の電位部組間のピッチは、2mm〜15mm程度が好ましく、2mm〜4mmがより好ましい。
【0030】
少なくともシート束Sの上面と接触する誘電体ベルト33の表面部分(下側ベルト張架部分)Bについて電位パターンが形成されたら、一旦、電磁クラッチをOFFにして駆動ローラ31の回転駆動を停止させる。そして、図7(a)に示すように、表面移動が停止した状態の誘電体ベルト33に接離機構40によりシート束Sの上面を接触させる。
【0031】
このとき、図8(a)に示すように、最上位シートS1のシート材給送方向先端(図中左側端部)がその積載方向下側のシート(第二位シートS2以下のシート)のシート材給送方向先端よりもシート材給送方向上流側(図中右側)に位置する場合、誘電体ベルト33の下側ベルト張架部分Bには、最上位シートS1だけでなく、最上位シートS1の先端よりもシート材給送方向下流側に突出した第二位シートS2などの他のシートが吸着する場合がある。この場合、最上位シートS1の給送に伴って第二位シートS2などの他のシートも給送されてしまい、重送の問題が発生しやすい。
一方、図8(b)に示すように、最上位シートS1のシート材給送方向先端がその積載方向下側のシートのシート材給送方向先端よりもシート材給送方向下流側(図中左側)に位置する場合、誘電体ベルト33の下側ベルト張架部分Bには、最上位シートS1だけが吸着し、他のシートは吸着しない。よって、下側ベルト張架部分Bに最上位シートS1以外の他のシートが吸着することによる重送の問題は発生しない。
【0032】
本実施形態では、エンドフェンス15cや先端規制壁15aにより、給紙カセット15にセットされたシート束Sは、図8(b)に示すように、最上位シートS1のシート材給送方向先端がその積載方向下側のシートのシート材給送方向先端よりもシート材給送方向下流側に位置する状態となる。よって、下側ベルト張架部分Bに最上位シートS1以外の他のシートが吸着することによる重送の問題は発生しない。
【0033】
電位パターンが形成された誘電体ベルト33の下側ベルト張架部分Bがシート束Sの上面に接触すると、誘電体である最上位シートS1には、下側ベルト張架部分Bの表面上の電位パターンにより形成される不平等電界によりMaxwellの応力が働き、最上位シートS1が下側ベルト張架部分Bに吸着して保持される。電位パターンによる誘電体ベルト33側への吸着力は、シートが吸着した瞬間からある一定時間は上から2枚目の第二位シートS2、場合によってはその下以降のシートにも発生する。しかし、この吸着力は、一定時間経過した後は、最上位シートS1にしか生じず、第二位シートS2以下のシートには生じなくなることが知られている。
【0034】
そこで、本実施形態においては、誘電体ベルト33をシート束Sの上面に接触させてから一定時間待った後、図7(b)に示すように、接離機構40により、誘電体ベルト33からシート束Sを離間させる。これにより、誘電体ベルト33の下側ベルト張架部分Bには、最上位シートS1だけが吸着し、第二位シートS2以下のシートは束のまま誘電体ベルト33から離間する。その後、再び、電磁クラッチをONにして駆動ローラ31を回転駆動させ、交流電源35により電位パターンを形成しながら、誘電体ベルト33を表面移動させる。これにより、先端側部分が誘電体ベルト33に吸着した最上位シートS1は、図7(c)に示すように、その表面移動に伴い、下側ベルト張架部分Bに沿ってシート給送方向へ送り出される。
【0035】
以上、本実施形態に係る複写機は、シート材給送装置としてのシート分離給紙装置30により送り出されるシート材としてのシートS1上に画像を形成する画像形成装置であり、そのシート分離給紙装置30は、シートが複数積載されたシート束Sを収容するシート収容部材としての給紙カセット15と、給紙カセット15に収容されているシート束Sの上面に対向する位置に設けられ、表面移動する無端状の誘電体ベルト33と、互いに極性が異なる電位をもつ電位部同士が互いに隣り合うように配置された複数の電位部からなる電位パターンを誘電体ベルト33の表面に形成する電位パターン形成手段としての帯電用電極ローラ34及び交流電源35とを有し、誘電体ベルト33の表面に形成される電位パターンにより誘電体ベルト表面とシート束Sの上面との界面に不平等電界を生じさせることで発生する、マクスウェルの応力に基づく該界面の法線方向における吸着力によって、誘電体ベルト33の表面にシート束Sの最上位シートS1を吸着させ、誘電体ベルト33の表面移動により最上位シートS1を送り出す。そして、このシート分離給紙装置30は、給紙カセット15に収容されているシート束Sのシート材給送方向先端面に当接する先端面当接部材としてのさばき部材16と、給紙カセット15に収容されているシート束S及びさばき部材16をシート束積載方向に相対移動させる相対移動手段としての接離機構40とを有し、シート束Sのシート材給送方向先端面が当接するさばき部材16の当接面に、図6(a)や図6(b)に示すような突起部を設けた。これにより、この当接面が平坦な面である場合と比較して、いわゆるさばき動作により形成される各シート材の先端部間に一時的な隙間を安定かつ確実に作り出すことができる。
また、本実施形態は、誘電体ベルト33の表面とシート束Sの上面とを接離させる接離手段としての接離機構40を有し、上記電位パターン形成手段により誘電体ベルト33の表面に電位パターンを形成した後、接離機構40により電位パターンが形成された誘電体ベルト33の表面部分(下側ベルト張架部分B)とシート束Sの上面とを接触させてシート束Sの最上位シートS1を下側ベルト張架部分Bに吸着させ、その後、接離機構40により誘電体ベルト33の下側ベルト張架部分Bとシート束Sの上面とを離間させ、誘電体ベルト33の表面移動により最上位シートS1を送り出すものであり、シート束Sとさばき部材16とを相対移動させる相対移動手段が、接離機構40の接離動作によりシート束Sとさばき部材16とを相対移動させるものである。これにより、部品点数を削減でき、省スペース化、低コスト化を実現できる。
また、本実施形態において、接離機構40は、シート束Sを移動させて誘電体ベルト33の表面に対してシート束Sの上面を接離させるものであり、さばき部材16は、接離機構40により移動しない給紙トレイ15の先端規制壁15aに配置されている。これにより、より簡易な構成を実現できる。
また、本実施形態においては、給紙カセット15に収容されているシート束Sのシート材給送方向後端に当接して、シート束Sにおける最上位シートS1のシート材給送方向先端がその積載方向下側のシートのシート材給送方向先端よりもシート材給送方向下流側に位置するように、シート束Sの積載状態を規制するシート束規制手段としてのエンドフェンス15cが設けられている。これにより、下側ベルト張架部分Bに最上位シートS1以外の他のシートが吸着することによる重送を防止することができる。
この場合、エンドフェンス15cを、シート束Sのシート材給送方向後端に当接する当接面とシート束Sが載置されるトレイ底板15bの上面(シート載置面)とのなす角度が、給紙カセット15にシート束Sを収容する前は90度以上であり、給紙カセット15にシート束Sを収容した後は90度未満となるように、図9に示すような構成としてもよい。エンドフェンス15cが給紙カセット15にシート束Sを収容する前から傾斜していると、ユーザーが給紙カセット15にシート束Sをセットしにくい。図9に示す構成であれば、ユーザーによるシート束セット時には、トレイ底板15bの上面に対してエンドフェンス15cが直立した状態であるため、エンドフェンス15cがユーザーによるシート束セットを特に妨げることはない。シート束のセット後にエンドフェンスを傾ける構成としては、例えば、給紙カセット15を載置本体へ押し込む動作に連動してエンドフェンスが傾く構成などが挙げられる。
また、本実施形態において、さばき部材16を装置本体に対して着脱自在に構成すれば、劣化等によりさばき部材16の交換が必要な場合に、給紙カセット15とは別にさばき部材16だけを交換することが可能となる点で有利である。
【0036】
また、本実施形態では、誘電体ベルト3333の表面をその表面外部から帯電させて電位パターンを形成する例について説明したが、例えば、図10に示すような構成を採用してもよい。
図10に示す構成は、電源235Aからプラス極性の電圧が印加される櫛歯状のプラス電位部PAと、電源235Bからマイナス極性の電圧が印加される櫛歯状のマイナス電位部PBとを、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように、誘電体ベルト33233の表面又は内部に配置し、誘電体ベルト33233の表面に、プラス電位部PAとマイナス電位部PBとがシート材給送方向に交互に配列されるようにしたものである。この誘電体ベルト33233の表面上には、その幅方向端部領域に、それぞれ、プラス電位部PAとマイナス電位部PBにそれぞれの電源235A,235Bから給電を行うための被給電部233cが露出しており、この被給電部233cを通じて各電源235A,235Bからの電圧をプラス電位部PA及びマイナス電位部PBに印加する。
【符号の説明】
【0037】
10 複写機
13 給紙部
15 給紙カセット
15a 先端規制壁
15b トレイ底板
15c エンドフェンス
16 さばき部材
17 搬送路
30 シート分離給紙装置
31 駆動ローラ
32 従動ローラ
33,233 誘電体ベルト33
34 帯電用電極ローラ
35 交流電源
36 除電ブラシ
134 帯電部材
235A,235B 電源
B 下側ベルト張架部分
S シート束S
S1 最上位シート
S2 第二位シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特開2004−26314号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材が複数積載されたシート束を収容するシート収容部材と、
該シート収容部材に収容されているシート束の上面に対向する位置に設けられ、表面移動する無端状の誘電体ベルトと、
互いに極性が異なる電位をもつ電位部同士が互いに隣り合うように配置された複数の電位部からなる電位パターンを、上記誘電体ベルトの表面に形成する電位パターン形成手段とを有し、
上記誘電体ベルトの表面に形成される電位パターンにより該誘電体ベルトの表面と上記シート束の上面との界面に不平等電界を生じさせることで発生する、マクスウェルの応力に基づく該界面の法線方向における吸着力によって、該誘電体ベルトの表面に該シート束の最上位シート材を吸着させ、該誘電体ベルトの表面移動により該最上位シート材を送り出すシート材給送装置において、
上記シート収容部材に収容されているシート束のシート材給送方向先端面に当接する先端面当接部材と、
該シート収容部材に収容されているシート束及び該先端面当接部材を互いに該シート束の積載方向に沿って相対移動させる相対移動手段とを有し、
シート束のシート材給送方向先端面が当接する上記先端面当接部材の当接面に、突起部を設けたことを特徴とするシート材給送装置。
【請求項2】
請求項1のシート材給送装置において、
上記誘電体ベルトの表面と上記シート束の上面とを接離させる接離手段を有し、
上記電位パターン形成手段により上記誘電体ベルトの表面に電位パターンを形成した後、上記接離手段により電位パターンが形成された誘電体ベルトの表面部分と上記シート束の上面とを接触させて該シート束の最上位シート材を該表面部分に吸着させ、その後、該接離手段により誘電体ベルトの該表面部分と該シート束の上面とを離間させ、該誘電体ベルトの表面移動により該最上位シート材を送り出すものであり、
上記相対移動手段は、上記接離手段の接離動作により、上記シート束と上記先端面当接部材とを相対移動させるものであることを特徴とするシート材給送装置。
【請求項3】
請求項2のシート材給送装置において、
上記接離手段は、上記シート束を移動させて上記誘電体ベルトの表面に対して該シート束の上面を接離させるものであり、
上記先端面当接部材は、上記接離手段により移動しない部材に配置されていることを特徴とするシート材給送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート材給送装置において、
上記シート収容部材に収容されているシート束のシート材給送方向後端に当接して、該シート束における最上位シート材のシート材給送方向先端がその積載方向下側のシート材のシート材給送方向先端よりもシート材給送方向下流側に位置するように、該シート束の積載状態を規制するシート束規制手段を有することを特徴とするシート材給送装置。
【請求項5】
請求項4のシート材給送装置において、
上記シート束規制手段は、シート束のシート材給送方向後端に当接する当接面とシート束が載置されるシート載置面とのなす角度が、上記シート収容部材に上記シート束を収容する前は90度以上であり、該シート収容部材に該シート束を収容した後は90度未満となるように、構成されていることを特徴とするシート材給送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート材給送装置において、
上記先端面当接部材は、装置本体に対して着脱自在に構成されていることを特徴とするシート材給送装置。
【請求項7】
シート材給送装置により送り出されるシート材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記シート材給送装置として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート材給送装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−57444(P2011−57444A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212580(P2009−212580)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】