説明

シート状コネクタ、電子部品用ソケット及び電子部品試験装置

【課題】絶縁性シートの有するゴム弾性が失われることなく、ICデバイス等の電子部品の接続端子(外部端子)とコネクタのコンタクトとを確実に接触させることができ、かつICデバイス等の電子部品の種類に応じて簡易に、短時間にかつ低コストで製造することのできるシート状コネクタ、電子部品用ソケット及び電子部品試験装置を提供する。
【解決手段】シート状コネクタ1は、第1の接続対象物と第2の接続対象物とを電気的に接続するために用いられるものであって、第1の接続対象物と電気的に接続される第1の接続端子12と、第2の接続対象物と電気的に接続される第2の接続端子13と、第1の接続端子12及び第2の接続端子13を電気的に接続する配線14とが、ゴム弾性を有する絶縁性シート11の一の表面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状コネクタ、電子部品用ソケット及び電子部品試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICデバイス等の電子部品と回路基板とを電気的に接続し得るコネクタが広く用いられており、このようなコネクタとして種々の形状のものが知られている。例えば、近年、弾性変形可能な絶縁性シートの厚さ方向に導電し得るシート状コネクタが提案されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
例えば、製造されたICデバイス等の電子部品の試験をする場合に、試験すべきICデバイスと試験用回路基板とを接続するために用いられるコネクタとして、絶縁性のエラストマーシートの厚さ方向に内蔵され、両端部が露出した複数の金属細線を有するシート状コネクタが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0161265号明細書
【特許文献2】特開2008−140574号公報
【特許文献3】特開2006−140004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜3に記載されている従来のシート状コネクタにおいては、当該コネクタが弾性変形可能な絶縁性エラストマーシートから構成されることで、当該コネクタ上に載置したICデバイス等の電子部品を押圧して電子部品の接続端子とコネクタのコンタクト(金属細線)とを接触させる際に、当該エラストマーシートが弾性変形することによりそれらを確実に接触させることができる。しかしながら、近年のICデバイス等のファインピッチ化によりICデバイス等の電子部品の接続端子とコネクタのコンタクトとを確実に接触させるためには、金属細線をエラストマーシートに高密度に内蔵させる必要があるが、金属細線が高密度にエラストマーシートに内蔵されると、エラストマーシートの弾性が失われ、ICデバイス等の電子部品の接続端子とコネクタのコンタクトとの接触が不十分となってしまうという問題がある。
【0006】
また、特に特許文献2に記載のシート状コネクタは、絶縁層と複数の金属線からなる層とを積層させてなる積層体を形成し、当該積層体を積層方向にスライスすることにより製造されるものであるが、かかるシート状コネクタの製造に時間、手間及びコストがかかってしまうという問題がある。
【0007】
上記のような問題に鑑みて、本発明は、絶縁性シートの有するゴム弾性が失われることなく、ICデバイス等の電子部品の接続端子(外部端子)とコネクタのコンタクトとを確実に接触させることができ、かつICデバイス等の電子部品の種類に応じて簡易に、短時間にかつ低コストで製造することのできるシート状コネクタ、電子部品用ソケット及び電子部品試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の接続対象物と第2の接続対象物とを電気的に接続するために用いられるシート状コネクタであって、前記第1の接続対象物と電気的に接続される第1の接続端子と、前記第2の接続対象物と電気的に接続される第2の接続端子と、前記第1及び第2の接続端子を電気的に接続する配線とが、ゴム弾性を有する絶縁性シートの一の表面に設けられていることを特徴とするシート状コネクタを提供する(発明1)。
【0009】
上記発明(発明1)によれば、絶縁性シートの一の表面に第1及び第2の接続端子、並びにそれらを電気的に接続する配線が設けられていることで、絶縁性シートのゴム弾性が失われることがないため、第1又は第2の接続対象物としての電子部品(ICデバイス等)とシート状コネクタの第1又は第2の接続端子とを確実に接触させることができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記第2の接続端子が、前記絶縁性シートの周縁部に設けられ、前記第1の接続端子が、前記第2の接続端子よりも前記絶縁性シートの中央側に設けられているのが好ましい(発明2)。かかる発明(発明2)によれば、第1の接続対象物としての電子部品(ICデバイス等)と電気的に接続し得る第1の接続端子が、シート状コネクタを構成する絶縁性シートの中央部に設けられているため、絶縁性シート上に当該電子部品を載置するだけで、電子部品の接続端子とシート状コネクタの第1の接続端子(コンタクト)とを確実に接触させることができる。
【0011】
上記発明(発明2)においては、前記第1の接続端子と、前記第2の接続端子と、前記配線とが、前記絶縁性シートの一の表面に導電性材料を含む導電性インクを用いて印刷されているのが好ましい(発明3)。かかる発明(発明3)によれば、絶縁性シート表面に印刷により第1の接続端子、第2の接続端子及び配線を設けることができるため、例えば、ICデバイス等の電子部品の種類に応じて異なる当該電子部品の接続端子の数や配列等に対応するシート状コネクタを容易に、かつ短時間に製造することができる。
【0012】
上記発明(発明3)においては、前記導電性材料として、金、銀、銅、ニッケル、錫、ステンレス、鉄、パラジウム、これらの金属の化合物、これらの金属のうちの少なくとも2種からなる合金、炭素系材料、その炭素系材料の化学修飾物、イオン液体、導電性高分子、導電性有機化合物、及び磁性材料からなる群より選択される少なくとも一種を用いることができる(発明4)。
【0013】
上記発明(発明4)においては、前記炭素系材料として、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーを用いることができる(発明5)。
【0014】
上記発明(発明5)においては、前記導電性材料の平均粒子径が、1〜500nmであるのが好ましい(発明6)。かかる発明(発明6)によれば、導電性材料の平均粒子径が上記範囲内であることにより、第1の接続端子、第2の接続端子及び配線を絶縁性シートの表面に高密度に印刷することができるため、ファインピッチ化されたICデバイス等の電子部品であっても、当該電子部品の接続端子と第1の接続端子(又は第2の接続端子)とを確実に接触させることができる。
【0015】
上記発明(発明6)においては、前記絶縁性シートとして、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、ウレタン樹脂、又はアクリル樹脂からなるシートを用いることができる(発明7)。
【0016】
また、本発明は、電子部品が着脱自在に保持される電子部品用ソケットであって、上記発明(発明1〜7)に係るシート状コネクタと、前記シート状コネクタの周縁部を被覆するようにして配置されるソケット部材とを備え、前記第2の接続端子は、前記ソケット部材により被覆される前記シート状コネクタの周縁部に設けられ、前記第1の接続端子は、前記第2の接続端子よりも前記絶縁性シートの中央側に設けられていることを特徴とする電子部品用ソケットを提供する(発明8)。
【0017】
上記発明(発明8)においては、前記ソケット部材は、前記電子部品が嵌入し得る開口部を有する枠体形状をなしており、前記第1の接続端子は、前記開口部から臨む前記絶縁性シートの一の表面に設けられているのが好ましい(発明9)。かかる発明(発明9)によれば、ソケット部材が電子部品を嵌入させ得る開口部を有するとともに、第1の接続端子が当該開口部から臨まれる構成となっているため、当該開口部に電子部品を嵌入させるだけで電子部品の位置決めを確実にすることができ、結果として電子部品の接続端子と第1の接続端子とを確実に接触させることができる。
【0018】
さらに、本発明は、被試験電子部品が着脱自在に保持される上記発明(発明8,9)に係る電子部品用ソケットと、前記シート状コネクタが載置され、前記ソケット部材を介して前記第2の接続端子に電気的に接続される回路基板と、前記回路基板及び前記ソケット部材を介して前記第2の接続端子に電気的に接続されている電子部品試験装置本体とを備えることを特徴とする電子部品試験装置を提供する(発明10)。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、絶縁性シートの有するゴム弾性が失われることなく、ICデバイス等の電子部品の接続端子(外部端子)とコネクタのコンタクトとを確実に接触させることができ、かつICデバイス等の電子部品の種類に応じて簡易に、短時間にかつ低コストで製造することのできるシート状コネクタ、電子部品用ソケット及び電子部品試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート状コネクタを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るシート状コネクタを有する電子部品用ソケットを示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における電子部品用ソケットに電子部品が収容された状態を示す部分断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における電子部品試験装置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔シート状コネクタ〕
図1は、本実施形態に係るシート状コネクタを示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るシート状コネクタ1は、ゴム弾性を有する絶縁性シート11の一の表面に、第1の接続対象物に電気的に接続される第1の接続端子12と、第2の接続対象物に電気的に接続される第2の接続端子13と、第1の接続端子12及び第2の接続端子13を電気的に接続する配線14とが設けられてなる。なお、本実施形態において、第1の接続対象物としてICデバイスを、第2の接続対象物として回路基板を例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1及び第2の接続対象物の組み合わせとしては、LSI、CPU等の半導体部品及び回路基板;電気器具及び電源;充電して使用する電気機器及び充電器等が挙げられる。
【0022】
本実施形態に係るシート状コネクタ1を構成する絶縁性シート11としては、ゴム弾性を有するものであればよく、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等からなるシートを用いることができ、特に、シリコーンゴムからなるシートを好適に用いることができる。シリコーンゴムからなるシートを絶縁性シート11として用いることで、柔軟性、非汚染性、耐熱性及び耐低温性に優れたシート状コネクタ1とすることができる。
【0023】
絶縁性シート11の体積抵抗率は、1012Ω・cm以上であるのが好ましく、特に1016Ω・cm以上であるのが好ましい。体積抵抗率が1012Ω・cm未満であると、絶縁破壊を生じるおそれがある。
【0024】
絶縁性シート11の厚さは、0.2〜3mmであるのが好ましく、特に0.5〜2mmであるのが好ましい。絶縁性シート11の厚さが0.2mm未満であると所望のゴム弾性が得られず、ICデバイスの接続端子(外部端子)と第1の接続端子12との接触が不十分になるおそれがあり、3mmを超えると、薄型化された電子機器への配置が困難になるおそれがある。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係るシート状コネクタ1は、第2の接続対象物としての回路基板に電気的に接続される複数(本実施形態では16個)の第2の接続端子13が絶縁性シート11の周縁部に設けられており、ICデバイスの接続端子(外部端子)に電気的に接続される複数(本実施形態では16個)の第1の接続端子12が第2の接続端子13よりも絶縁性シート11における中央側に設けられている。なお、本実施形態において、16ピンのDIP(Dual in-line Package)タイプのICデバイスに対応すべく、第1の接続端子12及び第2の接続端子13がそれぞれ16個ずつ設けられているが、これに限定されるものではなく、ICデバイスの種類(ピン数、ピン配列等)に応じて、第1の接続端子12及び第2の接続端子13の数及び配列を適宜設定することができる。
【0026】
本実施形態に係るシート状コネクタ1は、絶縁性シート11の一の表面に導電性材料を含む導電性インクを用いて第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14を印刷・焼成することにより製造することができる。このようにして第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14を形成することができるため、ICデバイスの種類の変更に伴い、ICデバイスのピン数やピン配列が変更されたとしても、当該変更後のICデバイスの種類に応じて、容易にかつ短時間でシート状コネクタ1を製造することができる。
【0027】
第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14の印刷に用いられる導電性インクに含まれる導電性材料としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、ステンレス、鉄、パラジウム、これらの金属の化合物(例えば、金属酸化物等)及びこれらの金属のうちの少なくとも2種からなる合金(例えば、鉄ニッケル合金、鉄パラジウム合金、銀錫合金等);炭素系材料(例えば、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)及びその炭素系材料の化学修飾物(例えば、カーボンナノチューブ等の炭素系材料の末端をカルボキシル化、エステル化、ポリオール化、エポキシ化、ハロゲン化したもの等);イオン液体、導電性高分子、導電性有機化合物、並びに磁性材料(例えば、フェライト等)からなる群より選択される少なくとも一種を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
導電性材料の平均粒子径(数平均粒子径)は、1〜500nmであるのが好ましく、特に2〜100nmであるのが好ましい。導電性材料の平均粒子径が1nm未満であると、導電性材料同士の凝集が起こり易くなるおそれがあり、500nmを超えると、ICデバイスのファインピッチ化に伴い、当該ICデバイスのピン数が増大したときに、第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14を絶縁性シート11の一の表面上に狭ピッチで形成するのが困難となるおそれがある。
【0029】
上記導電性インクには、バインダー成分、溶剤等が含まれ得る。導電性インクに含まれ得るバインダー成分としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、溶剤としては、例えば、ヘキサノール、シクロヘキサノール等の高級アルコール;ブチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート等のアルキルエーテル等が挙げられる。
【0030】
第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14を絶縁性シート11の一の表面上に印刷する手法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等が挙げられるが、絶縁性シート11上に第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14を印刷し得る限り、公知の印刷手法を採用することができる。
【0031】
第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14を絶縁性シート11上に印刷した後、当該絶縁性シート11を焼成する。これにより、導電性インクに含まれる導電性材料が溶融して、導電性を有する第1の接続端子12、第2の接続端子13及びそれらを電気的に接続する配線14が絶縁性シート11上に固着されることになる。
【0032】
絶縁性シート11の焼成温度は、絶縁性シートを構成する材料の融点以下であって、導電性インクに含まれる導電性材料の融点以上において適宜設定することができ、例えば、絶縁性シート11としてシリコーンゴムからなるシートを用い、導電性材料として銀を用いた場合、100〜300℃で焼成すればよい。
【0033】
上述のようにして得られる本実施形態に係るシート状コネクタ1は、絶縁性シート11の厚さ方向に金属細線等の導電性部材が内蔵されていないため、絶縁性シート11のゴム弾性が失われることがない。そのため、シート状コネクタ1上にICデバイス等を載置することで、ICデバイス等の自重又はわずかな加圧により絶縁性シート11が弾性変形し、ICデバイス等の電子部品の接続端子(外部端子)とシート状コネクタ1の第1の接続端子12とを確実に接触させることができる。特に、ICデバイスのファインピッチ化に対応すべく、第1の接続端子12及び第2の接続端子13の数を増大させたとしても絶縁性シート11のゴム弾性が失われることがないという効果を奏し得る。したがって、後述するように、例えば、電子部品用ソケットとして好適に用いることができる。
【0034】
〔電子部品用ソケット〕
図2は、本実施形態に係るシート状コネクタ1を有する電子部品用ソケットを示す分解斜視図であり、図3は、本実施形態における電子部品用ソケットに電子部品(ICデバイス)が収容された状態を示す部分断面図である。
【0035】
図2に示すように、本実施形態における電子部品用ソケット2は、シート状コネクタ1と、シート状コネクタ1の周縁部を被覆するようにして配置されるソケット部材21とを備える。
【0036】
ソケット部材21は、ICデバイスが嵌入され得る開口部22が形成された枠体形状をなしており、当該開口部22からシート状コネクタ1の第1の接続端子12が臨むように、当該ソケット部材21において開口部22が位置している。
【0037】
開口部22の大きさは、電子部品用ソケット2に収容されるICデバイスの大きさに応じて適宜設定すればよいが、収容されるICデバイスと開口部22の周縁部との間に僅かな遊びを有する大きさであって、かつICデバイスの接続端子(外部端子)とシート状コネクタ1の第1の接続端子12とが確実に電気的に接続され得る大きさである。このような大きさであれば、開口部22内におけるICデバイスの位置決めを用意に行うことができるとともに、ICデバイスを開口部22に容易に嵌入させることができ、また開口部22からの取り外しも容易に行うことができる。なお、本実施形態において、開口部22の形状は平面視略長方形状であるが、これに限定されるものではなく、開口部22に収容されるICデバイスの形状に応じて適宜変更することができる。
【0038】
図3に示すように、ソケット部材21は、シート状コネクタ1の周縁部を被覆する被覆部23と、被覆部23から連続して下方に折曲する周壁部24とを有する。ソケット部材21の被覆部23におけるシート状コネクタ1の表面に対向する面には、シート状コネクタ1の第2の接続端子13と電気的に接続する接続端子25が設けられており、当該接続端子25と例えば回路基板(図示せず)とを電気的に接続する配線(図示せず)が、被覆部23及び周壁部24に設けられている。このようなソケット部材21としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のフィルム上に金属薄膜を形成してなるフレキシブルプリント基板(FPC)等を用いることができる。
【0039】
ソケット部材21の周壁部24は、絶縁性シート11の外周部のすべてと接触するように、被覆部23から連続し、かつ下方に折曲して設けられている。これにより、シート状コネクタ1が、シート状コネクタ1の図3中下側に配置される回路基板(図示せず)とソケット部材21の被覆部23との間に挟持されるとともに、周壁部24により固定されることになる。このため、回路基板上にシート状コネクタ1を載置し、ソケット部材21を、例えばFPCコネクタ等を介して回路基板に取り付けることにより、シート状コネクタ1を回路基板上に固定することができる。
【0040】
なお、本実施形態における電子部品用ソケット2は、開口部22内に嵌入されたICデバイスをシート状コネクタ1側に押圧するとともに固定する固定部材(図示せず)を有するものであってもよい。このような固定部材を有するものであれば、シート状コネクタ1の絶縁性シート11がゴム弾性を有するものであるため、押圧によりシート状コネクタ1(絶縁性シート11)が弾性変形し、ICデバイスの接続端子(外部端子)とシート状コネクタ1の第1の接続端子12とを確実に電気的に接続させることができるとともに、電子部品用ソケット2の開口部22内に嵌入されたICデバイスを確実に保持することができる。
【0041】
上述したような電子部品用ソケット2においては、ソケット部材21の開口部22からシート状コネクタ1の第1の接続端子12が臨むような位置に、当該開口部22が設けられている。そのため、開口部22内にICデバイス30を収容するだけで、収容されたICデバイス30の接続端子31と、シート状コネクタ1の第1の接続端子12とを確実に電気的に接触させることができる。
【0042】
本実施形態における電子部品用ソケット2によれば、第1の接続端子12、第2の接続端子13及び配線14が絶縁性シート11上に印刷されているものであるため、当該電子部品用ソケット2に搭載されるICデバイスの種類(ピン配列、ピン数等)に応じて絶縁性シート11上に第1の接続端子12、第2の接続端子13及び配線14を印刷するだけで、当該ICデバイスに対応する電子部品用ソケット2を簡易に製造することができる。また、本実施形態に係るシート状コネクタ1が絶縁性シート11の表面上に第1の接続端子12、第2の接続端子13及び配線14が印刷されていることで、シート状コネクタ1(絶縁性シート11)のゴム弾性が失われることがないため、ファインピッチ化等によりICデバイスのピン数等が増大したとしても、ICデバイスが搭載されたシート状コネクタ1を弾性変形させることができ、ICデバイスの接続端子(外部端子)と第1の接続端子12とを確実に接触させることができる。
【0043】
したがって、このような構成を有する電子部品用ソケット2は、例えば、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、パソコン等の電子機器等に実装されて用いられ得るが、後述する電子部品試験装置における電子部品用ソケットとして好適に用いることができる。
【0044】
〔電子部品試験装置〕
図4は、本実施形態における電子部品試験装置を示す概略斜視図である。なお、常温よりも高い温度環境下で電子部品の試験を行うバーンイン装置を例に挙げて本実施形態における電子部品試験装置を説明するが、本発明の電子部品試験装置は、かかる装置に限定されるものではない。
【0045】
図4に示すように、本実施形態における電子部品試験装置4は、複数の電子部品用ソケット2と、複数の電子部品用ソケット2が実装されたソケットボード41とを有するテストヘッド42と、テストヘッド42にテスト信号を送り、被試験ICデバイスの試験を行うテスタ43と、電子部品用ソケット2の開口部22に収容された被試験ICデバイスを押圧する押圧部材(図示せず)とを備える。なお、本実施形態における電子部品試験装置4は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、被試験ICデバイスに常温よりも高い温度を印加する恒温槽(図示せず)と、恒温槽からテストヘッド上に搬送され、試験が行われたICデバイスを常温にまで冷却する除熱槽(図示せず)とを備えるものであってもよいし、さらに被試験ICデバイスを取り回すことのできるハンドリング装置を備えるものであってもよい。
【0046】
このような構成を有する電子部品試験装置4においては、恒温槽(図示せず)にて常温よりも高い温度が印加された被試験ICデバイスが、テストヘッド42上に設けられている電子部品用ソケット2の開口部22上に搬送され、当該被試験ICデバイスが開口部22内に収容される。
【0047】
開口部22内に収容された被試験ICデバイスは、押圧部材(図示せず)によりシート状コネクタ1側に押圧され、テスタ43から送られたテスト信号により被試験ICデバイスの試験が行われる。このとき、シート状コネクタ1がゴム弾性を有する絶縁性シート11により構成されており、押圧により弾性変形するため、押圧された被試験ICデバイスの接続端子(外部端子)と、開口部22から臨むシート状コネクタ1の第1の接続端子12とを確実に接触させることができる。
【0048】
この開口部22の大きさは、開口部22に収容される被試験ICデバイスの接続端子(外部端子)とシート状コネクタ1の第1の接続端子12とが確実に電気的に接続し得る程度に、被試験ICデバイスと開口部22の周縁部との間に遊びを有する大きさである。そのため、開口部22内における被試験ICデバイスの位置決めを確実に行うことができる。また、開口部22内に被試験ICデバイスを容易に嵌入させることができ、テストが終了した試験済ICデバイスを開口部22から容易に取り出すことができる。
【0049】
テストが終了した試験済ICデバイスは、除熱槽(図示せず)に搬送され、除熱槽内にて常温に戻される。なお、本実施形態における電子部品試験装置4は、テスタ43による試験結果に応じて試験済ICデバイスを分類する構成を有していてもよい。
【0050】
上述したような電子部品試験装置4によれば、シート状コネクタ1がゴム弾性を有する絶縁性シート11から構成されているため、押圧部材により被試験ICデバイスを押圧することで、シート状コネクタ1(絶縁性シート11)が弾性変形し、被試験ICデバイスの接続端子(外部端子)と第1の接続端子12とを確実に接触させることができる。
【0051】
また、本実施形態における電子部品試験装置4において、被試験ICデバイスの種類の変更に伴い、被試験ICデバイスを収容する電子部品用ソケット2を交換する必要があるが、電子部品用ソケット2のシート状コネクタ1が絶縁性シート11の表面に第1の接続端子12、第2の接続端子13及び配線14を印刷してなるものであるため、電子部品用ソケット2を簡易に製造することができ、被試験ICデバイスの種類の変更に伴う電子部品用ソケット2を短期間で交換することができる。
【0052】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属するすべての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0053】
1…シート状コネクタ
11…絶縁性シート
12…第1の接続端子
13…第2の接続端子
14…配線
2…電子部品用ソケット
21…ソケット部材
22…開口部
23…被覆部
24…周壁部
25…接続端子
30…ICデバイス(電子部品)
31…接続端子
4…電子部品試験装置
41…ソケットボード(回路基板)
42…テストヘッド
43…テスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接続対象物と第2の接続対象物とを電気的に接続するために用いられるシート状コネクタであって、
前記第1の接続対象物と電気的に接続される第1の接続端子と、前記第2の接続対象物と電気的に接続される第2の接続端子と、前記第1及び第2の接続端子を電気的に接続する配線とが、ゴム弾性を有する絶縁性シートの一の表面に設けられていることを特徴とするシート状コネクタ。
【請求項2】
前記第2の接続端子が、前記絶縁性シートの周縁部に設けられ、
前記第1の接続端子が、前記第2の接続端子よりも前記絶縁性シートの中央側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート状コネクタ。
【請求項3】
前記第1の接続端子と、前記第2の接続端子と、前記配線とが、前記絶縁性シートの一の表面に導電性材料を含む導電性インクを用いて印刷されていることを特徴とする請求項2に記載のシート状コネクタ。
【請求項4】
前記導電性材料が、金、銀、銅、ニッケル、錫、ステンレス、鉄、パラジウム、これらの金属の化合物、これらの金属のうちの少なくとも2種からなる合金、炭素系材料、その炭素系材料の化学修飾物、イオン液体、導電性高分子、導電性有機化合物、及び磁性材料からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載のシート状コネクタ。
【請求項5】
前記炭素系材料が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項4に記載のシート状コネクタ。
【請求項6】
前記導電性材料の平均粒子径が、1〜500nmであることを特徴とする請求項5に記載のシート状コネクタ。
【請求項7】
前記絶縁性シートが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、ウレタン樹脂、又はアクリル樹脂からなるシートであることを特徴とする請求項6に記載のシート状コネクタ。
【請求項8】
電子部品が着脱自在に保持される電子部品用ソケットであって、
請求項1〜7のいずれかに記載のシート状コネクタと、
前記シート状コネクタの周縁部を被覆するようにして配置されるソケット部材と
を備え、
前記第2の接続端子は、前記ソケット部材により被覆される前記シート状コネクタの周縁部に設けられ、
前記第1の接続端子は、前記第2の接続端子よりも前記絶縁性シートの中央側に設けられていることを特徴とする電子部品用ソケット。
【請求項9】
前記ソケット部材は、前記電子部品が嵌入し得る開口部を有する枠体形状をなしており、
前記第1の接続端子は、前記開口部から臨む前記絶縁性シートの一の表面に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の電子部品用ソケット。
【請求項10】
被試験電子部品が着脱自在に保持される請求項8又は9に記載の電子部品用ソケットと、
前記シート状コネクタが載置され、前記ソケット部材を介して前記第2の接続端子に電気的に接続される回路基板と、
前記回路基板及び前記ソケット部材を介して前記第2の接続端子に電気的に接続されている電子部品試験装置本体とを備えることを特徴とする電子部品試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−84294(P2012−84294A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228163(P2010−228163)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)