説明

シート状細胞培養物の製造方法、シート状細胞培養物形成用基材の製造方法、気泡の除去方法および気体の検出システム

【課題】 欠点の発生が抑制された均一なシート状細胞培養物を製造することのできるシート状細胞培養物の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のシート状細胞培養物の製造方法は、生物材料を含む液体を基材上に付与する第1の工程と、基材上の液体における気泡を検出する第2の工程と、生物材料を基材に固定する第3の工程と、基材上に細胞を播種する第4の工程と、細胞を培養してシート状細胞培養物を形成する第5の工程と、を含み、第2の工程において、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは前記液体を基材から除去して第1の工程を再度行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状細胞培養物の製造方法、シート状細胞培養物形成用基材の製造方法、気泡の除去方法および気体の検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、ES細胞等の利用が試みられている。これらを用いて、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた。
【0003】
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用などの検討が進められている。
【0004】
また、心筋組織に適用可能なシート状細胞培養物については、組織工学を応用した温度応答性培養皿を用いた3次元組織構造物としてのシート状細胞培養物と、その製造方法が提供された(例えば、特許文献1参照)。
さらに、培養基材を血清で被覆し、当該培養基材上に細胞を播種、培養する、製造工程由来不純物を含まないシート状細胞培養物の製造方法が提供された(特許文献2参照)。
【0005】
このようなシート状細胞培養物を、目的とする患部(移植部位)に移植するには、例えば、シート状細胞培養物の端部を移植デバイス等で把持し、シート状細胞培養物を包装容器から取り出し、患部まで移送し、その患部に移植(貼付)するといった一連の操作が必要となる。しかしながら、上述したようなシート状細胞培養物は、比較的薄く、また絶対的な物理的強度が低いため、破れ、破損などが生じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−528755号公報
【特許文献2】特開2010−226991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、上記問題を鑑み、鋭意検討を行う中で、シート状細胞培養物上に孔等の欠点が生じた場合、当該欠点を基点として破れや破損などが生じやすい点を見出した。そして、例えば、培養基材と細胞との密着性を高めてシート状細胞培養物を均一に製造する際において、培養基材上に血清等の生物材料をコーティングした時に、気泡等が培養基材上に存在することによりコーティングが不完全となり、この結果、培養基材の一部において細胞と十分に密着できない部分が生じることによって、欠点が生じやすいことを、本発明者は見出した。
【0008】
したがって、本発明は、孔等の欠点の発生が抑制された、均一なシート状細胞培養物を製造することのできる、シート状細胞培養物の製造方法、シート状細胞培養物形成用基材の製造方法、ならびにこれらの方法に好適に適用可能な気泡の除去方法および気体の検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究をさらに重ねた結果、生物材料を培養基材上にコーティングする際に、培養基材上の気泡を検出して、気泡を除去または生物材料を含む液体を再度培養基材上に付与することにより、培養基材上に生物材料を均一に付与でき、この結果、欠点の発生が抑制された均一なシート状細胞培養物を製造できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
したがって、本発明は、以下の(1)〜(8)に示されるものである。
(1) 生物材料を含む液体を基材上に付与する第1の工程と、
基材上の液体における気泡を検出する第2の工程と、
生物材料を基材に固定する第3の工程と、
基材上に細胞を播種する第4の工程と、
細胞を培養してシート状細胞培養物を形成する第5の工程と、を含み、
第2の工程において、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは前記液体を基材から除去して第1の工程を再度行うシート状細胞培養物の製造方法。
(2) 第4の工程における細胞の播種が、細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で行われる、(1)に記載の方法。
(3) 生物材料が、タンパク質を含む組成物であり、かつ、当該組成物のタンパク質の基材への固定をプレインキュベートによって行う、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 生物材料は血清である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 気泡の検出を、液体に超音波を照射した際の超音波の透過率を測定することによって行う、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) シート状細胞培養物形成用基材の製造方法であって、
生物材料を含む液体を基材上に付与する第1の工程と、
基材上の液体における気泡を検出する第2の工程と、
生物材料を基材に固定する第3の工程と、を含み、
第2の工程において、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは前記液体を基材から除去して第1の工程を再度行う前記方法。
(7) シート状細胞培養物の製造時において、生物材料を含む液体を基材上に付与した後、かつ生物材料を基材に固定する前に、基材上の液体における気泡を検出する工程を含み、
気泡が検出された場合には、当該気泡を吸引または破壊することにより除去するまたは前記液体を基材から除去して新たな生物材料を含む液体を基材上に付与する気泡の除去方法。
(8) (7)に記載の気泡の除去方法を実行するための気体の検出システムであって、
基材上に付与された生物材料を含む液体における気泡を検出するための気泡検出手段と、
気泡検出手段の検出結果に基づいて気泡の有無を判定する判定手段とを含むことを特徴とする、前記システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法およびシステムにより、コーティング時において培養基材にある気泡を検出、除去することができ、培養基材表面を生物材料で均一に被覆(コーティング)することができる。この結果、培養基材表面がむらなく細胞との密着性に優れたものとなり、欠点の発生が抑制された均一なシート状細胞培養物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施態様に係る本発明の好適な実施態様に係る気泡検出システムの一例のブロック図である。
【図2】本発明の好適な実施態様に係る気体の除去方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施態様に基づいて本発明を説明する。
本発明のシート状細胞培養物の製造方法は、生物材料を含む液体を基材(以下、培養基材ともいう)上に付与する第1の工程と、基材上の液体における気泡を検出する第2の工程と、生物材料を基材に固定する第3の工程と、基材上に細胞を播種する第4の工程と、細胞を培養してシート状細胞培養物を形成する第5の工程と、を含み、第2の工程において、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは前記液体を基材から除去して第1の工程を再度行うものである。
また、本発明のシート状細胞培養物形成用基材の製造方法は、前記第1の工程と、第2の工程と、第3の工程とを含み、第2の工程において、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは前記液体を基材から除去して第1の工程を再度行うものである。
【0014】
さらに、本発明の気泡の除去方法は、シート状細胞培養物の製造時において、生物材料を含む液体を基材上に付与した後、かつ生物材料を基材に固定する前に、基材上の液体における気泡を検出する工程を含み、気泡が検出された場合には、当該気泡を吸引または破壊することにより除去するまたは前記液体を基材から除去して新たな生物材料を含む液体を基材上に付与するものである。
【0015】
以下、上記本発明の各工程について説明する。
まず、第1の工程では、生物材料を含む液体を培養基材上に付与する。
【0016】
本発明において、「培養基材」は、細胞がその上で細胞培養物を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、種々の材質の容器、容器中の固形もしくは半固形の表面などを含む。
容器は、培養液などの液体を透過させない構造・材料が好ましい。かかる材料としては、限定することなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記培養基材は、種々の形状であってもよいが、少なくとも1つの平坦な面を有することが好ましい。かかる容器の例としては、限定することなく、例えば、細胞培養皿、細胞培養ボトルなどが挙げられる。
また、容器は、平坦であることが好ましい。また、その面積は特に限定されないが、典型的には、1〜200cm、好ましくは2〜100cm、より好ましくは3〜50cmである。
また、容器は、その内部に固形もしくは半固形の表面を有してもよい。固形の表面としては、上記のごとき種々の材料のプレートや容器などが、半固形の表面としては、ゲル、軟質のポリマーマトリクスなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
培養基材は、刺激、例えば、温度や光に応答して物性が変化する材料で表面が被覆されていてもよい。かかる材料としては、限定されずに、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド等)、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等)、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)−モルホリン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−モルホリン等)、またはビニルエーテル誘導体(例えば、メチルビニルエーテル)のホモポリマーまたはコポリマーからなる温度応答性材料、アゾベンゼン基を有する光吸収性高分子、トリフェニルメタンロイコハイドロオキシドのビニル誘導体とアクリルアミド系単量体との共重合体、および、スピロベンゾピランを含むN−イソプロピルアクリルアミドゲル等の光応答性材料などの公知のものを用いることができる(例えば、特開平2−211865、特開2003−33177参照)。これらの材料に所定の刺激を与えることによりその物性、例えば、親水性や疎水性を変化させ、同材料上に付着した細胞培養物の剥離を促進することができる。
【0018】
また、本工程において、用いることのできる生物材料は、培養基材と細胞との親和性を調整するものであり、このような目的に用いることができれば限定されず、例えば、タンパク質、脂質、糖質等を含む組成物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
上述した中でも、生物材料として、タンパク質を含む組成物を用いることが細胞機能の観点から、好ましい。このようなタンパク質を含む組成物としては、コラーゲン、血清、血漿、細胞外マトリクス、成長因子等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることが出来る。これらの中でも、血清を用いることが、細胞の性質維持の観点から好ましい。
血清としては、異種血清および同種血清を用いることができる。異種血清は、細胞培養物を移植する場合、レシピエントとは異なる種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ウシやウマに由来する血清、例えば、ウシ胎仔血清(FBS、FCS)、仔ウシ血清(CS)、ウマ血清(HS)などが異種血清に該当する。また、「同種血清」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト血清が同種血清に該当する。同種血清は、自己血清、すなわち、レシピエントに由来する血清を含む。
このような血清は、市販されているか、または、所望の生物から採取した血液から定法により調製することができる。具体的には、例えば、採取した血液を室温で20〜60分程度放置して凝固させ、これを1000〜1200×g程度で遠心分離し、上清を採取する方法などが挙げられる。
また、本明細書において、「成長因子」は、細胞の増殖を、それがない場合に比べて促進する任意の物質を意味し、例えば、上皮細胞成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)などを含む。
【0020】
また、本工程において、生物材料は、それが液体である場合にはそのまま(例えば、原液のまま)用いても良いし、下記の液体で希釈して用いてもよい。また、生物材料が固体である場合には、下記の液体に、分散、溶解させて用いる。
生物材料の希釈、分散、溶解に用いることの出来る液体としては、任意の媒体、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7、DMEM/F12など)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
本工程における、培養基材上に付与する液体中における生物材料の濃度は、その用いられる種類によって異なり、特に限定されないが、例えば、1〜1000μg/mLとすることができ、好ましくは、10〜100μg/mLである。
また、生物材料が血清である場合、その希釈濃度は、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、0.5〜90%(v/v)、好ましくは1〜60%(v/v)、より好ましくは5〜40%(v/v)である。
【0022】
また、本工程における培養基材上に付与する液体は、その他の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ステロイド剤、ビタミン剤、抗生物質等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、液体中にかかる成分が含まれる場合、その液体中における濃度は、例えば、0.1μg/mL〜100μg/mL、好ましくは0.4μg/mL〜40μg/mL、より好ましくは1μg/mL〜10μg/mLとすることができる。
【0023】
本工程において、生物材料を含む液体を培養基材上に付与する方法としては、特に限定されず、例えば、ピペット等の供給手段を用いて行うことができる。
【0024】
次に第2の工程では、培養基材上の液体の気泡を検出する。
培養基材上の液体に気泡が存在する場合、後述する第3の工程において、生物材料が培養基材の表面に均一に固定されず、培養基材の一部において生物材料が付着しにくい部分が生じる場合がある。このような場合には、生物材料が十分に付着していない部分には、シート状細胞培養物が形成されず、結果としてシート状細胞培養物に孔等の欠点が生じる場合がある。このため、本発明においては、本工程において上記気泡を検出して、その気泡を除去または液体の入れ替えを行うことにより、上記問題を防止している。
【0025】
気泡を検出するための方法としては、特に限定されず、例えば、超音波等の振動、可視光、赤外光、紫外光等の電磁波を用いて、これらを培養基材上の液体に照射し、その透過率、反射率等を測定すること、CCDカメラ、CMOSカメラ等の撮像手段によって培養基材を撮像し画像解析を行うこと等により、行うことができる。
上述した中でも、培養基材上の液体に超音波を照射し、その透過率を測定することによって、気泡を検出することが好ましい。これにより、比較的精度よく、液体中の気泡を検出することができる。なお、気泡が存在すると、超音波の透過率が低下するため、一定以上の値の透過率を示した場合を、気泡がないものとし、それより低い値の透過率を示した場合、気泡が存在するものとして取り扱うことができる。
【0026】
そして、本工程において、気泡の有無を判断し、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは液体を培養基材から除去して新たな生物材料を含む液体を培養基材上に付与する。好ましくは、作業容易性の観点から、図1にもあるように、液体を培養基材から除去して、新たな生物材料を含む液体を培養基材上に付与する。
気泡の除去方法としては、特に限定されず、例えば、超音波等の振動または針等で気泡に刺激を与えることにより気泡を破壊する方法、ピペット等の吸引手段により気泡を吸引する方法、培養基材を振動させて気泡を除去する方法等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、液体を培養基材から除去して新たな生物材料を含む液体を培養基材上に付与する方法としては、特に限定されず、例えば、吸引手段等により液体を吸引しまたはデカンテーション等により培養基材上から液体を除去し、上記第1の工程と同様に液体を培養基材上に付与する方法が挙げられる。
また、気泡が検出されない場合には、次の第3の工程を行う(エンド)。
【0028】
第3の工程においては、生物材料を培養基材に固定する。すなわち、培養基材の表面を生物材料でコート(被覆)する。これにより、本発明のシート状細胞培養物形成用基材が得られる。本発明においては、第2の工程において、培養基材上の液体から気泡が除去されていることにより、培養基材の表面に均一に生物材料が固定されることができる。なお、「生物材料でコートされている」とは、培養基材の表面に生物材料の成分が付着している状態を意味する。
【0029】
このような生物材料の培養基材への固定は、当該生物材料の種類によって異なるが、例えば、生物材料がタンパク質を含む組成物である場合、培養基材を生物材料を含む液体とともにプレインキュベートすることにより行うことができる。
プレインキュベート時間は、生物材料の成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、1〜72時間、好ましくは4〜48時間、より好ましくは5〜24時間、さらに好ましくは6〜12時間である。
また、プレインキュベート温度も、生物材料の成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、0〜60℃、好ましくは4〜45℃、より好ましくは室温〜40℃である。
【0030】
また、プレインキュベート後の培養基材上の液体は、そのまま細胞の培養に用いるものであってもよいが、廃棄することが好ましい。このような液体の廃棄手法としては、ピペットなどによる吸引や、デカンテーションなどの慣用の液体廃棄手法を用いることができる。本発明の好ましい態様においては、液体廃棄後に、培養基材を洗浄液で洗浄してもよい。
洗浄液としては、培養基材に付着した生物材料の成分に悪影響を与えない液体媒体であれば特に限定されず、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7、DMEM/F12など)等で行うことができる。
洗浄手法としては、慣用の培養基材洗浄手法、例えば、限定することなく、培養基材上に洗浄液を加えて所定時間(例えば、5〜60秒間)攪拌後、廃棄する手法などを用いることができる。
【0031】
培養基材は、生物材料でコートした後直ちに細胞を播種してもよいし、コートした後に保存しておき、その後細胞を播種することもできる。コートした基材は、例えば4℃以下、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−80℃以下に保つことにより長期間保存することができる。
【0032】
第4の工程では、培養基材上に細胞を播種する。
本発明に用いることの出来る細胞としては、細胞培養物、特にシート状の細胞培養物を形成し得る任意の細胞が含まれる。かかる細胞の例としては、限定されずに、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞)、心筋細胞、線維芽細胞、滑膜細胞、上皮細胞(例えば、角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞)、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、歯根膜細胞、皮膚細胞などが含まれる。これらのうち、本発明においては、単層の細胞培養物を形成するもの、例えば、筋芽細胞が好ましい。ここで、単層の細胞培養物とは、細胞から形成される層が1つであることを意味する。そして、このような層は、細胞が垂直方向に1つしかない状態で平面上に広がった状態のみならず、垂直方向に複数個の細胞が存在するような厚みを有するように形成された状態をも含んでいる。
細胞は、細胞培養物による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物には、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。
また、本発明の方法に用いる細胞は1種類のみであってもよいが、2種類以上の細胞を用いることもできる。本発明の好ましい態様において、細胞培養物を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の比率(純度)は、細胞培養物製造終了時において、65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
【0033】
また、本発明の好ましい態様において、細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で、細胞を播種する。「実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度」とは、成長因子を含まない非増殖系の培養液で培養した場合に、シート状細胞培養物を形成することができる細胞密度を意味する。例えば、骨格筋芽細胞の場合、成長因子を含む培養液を用いる従来法では、シート状細胞培養物を形成するために、約6,500個/cmの密度の細胞をプレートに播種するが(例えば、特許文献1参照)、かかる密度の細胞を、成長因子を含まない培養液で培養してもシート状の細胞培養物を形成することはできない。したがって、本態様における細胞密度は、成長因子を含む培養液を用いる従来法におけるものよりも高いものである。具体的には、例えば、骨格筋芽細胞については、かかる密度は典型的には300,000個/cm以上である。細胞密度の上限は、細胞培養物の形成が損なわれず、細胞が分化に移行しなければ特に制限されないが、骨格筋芽細胞については、例えば、1,000,000個/cmである。
【0034】
上述したような、密度で播種された場合、細胞は実質的に増殖しないため、一旦、培養基材表面に細胞が付着していない部分が形成されると、その部分においては、形成されるシート状細胞培養物において、孔等の欠点が発生しやすくなる。しかしながら、本発明では、培養基材上に生物材料が均一に被覆されているため、培養基材上に均一に細胞が付着することができ、このような欠点の発生が抑制されている。
【0035】
また、本実施態様においては、細胞は、細胞培養液に含まれた状態で播種される。
培養に用いる細胞培養液(単に「培養液」もしくは「培地」と呼ぶ場合もある)は、細胞の生存を維持できるものであれば特に限定されないが、典型的には、アミノ酸、ビタミン類、電解質を主成分としたものが利用できる。本発明の一態様において、培養液は、細胞培養用の基礎培地をベースにしたものである。かかる基礎培地には、限定されずに、例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7などが含まれる。これらの基礎培地の多くは市販されており、その組成も公知となっている。
【0036】
基礎培地は、標準的な組成のまま(例えば、市販されたままの状態で)用いてもよいし、細胞種や細胞条件に応じてその組成を適宜変更してもよい。したがって、本発明に用いる基礎培地は、公知の組成のものに限定されず、1または2以上の成分が追加、除去、増量もしくは減量されたものを含む。
【0037】
細胞培養液は、上記のほか、血清、成長因子、ステロイド剤成分、セレン成分などの1種または2種以上の添加物を含んでもよい。しかし、後工程でのこれらの除去の煩雑さを考慮すると、本発明の好ましい態様において、細胞培養液は、これらの添加物の少なくとも1種の有効量を含まない。また、本発明のより好ましい態様において、細胞培養液は、これらの添加物の少なくとも1種を実質的に含まない。さらに、本発明の特に好ましい態様において、細胞培養液は、添加物を実質的に含まない。したがって、細胞培養液は、基礎培地のみを含んでもよい。
【0038】
また、本工程において、細胞を播種後、必要に応じて細胞を均一に分散させるために、培養基材上の培地を撹拌してもよい。
【0039】
次に、第5の工程においては、細胞を培養して、シート状細胞培養物を形成する。
これにより、シート状細胞培養物が得られる。播種された細胞は、培養基材の表面に付着してこれらが連結することにより、シート状細胞培養となる。本発明においては、培養基材の表面は、生物材料が均一に固定されているため、細胞と培養基材との間の親和性がむらなく調節されており、得られるシート状細胞培養物は、孔等の欠点の発生が抑制された均一なものとなる。
【0040】
本明細書において、「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいい、典型的には1つの細胞層からなるものであるが、2以上の細胞層から構成されるものも含む。細胞同士は、直接および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも機械的に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも機械的に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。
【0041】
シート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールド(支持体)を含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本発明の細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができる。また、本発明の細胞培養物は、好ましくは、細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
【0042】
また、細胞の培養は、対象となる細胞がシート状の細胞培養物を形成するのに適した条件で行われ、当該技術分野で通常なされている条件で行うことができる。例えば、典型的な培養条件としては、37℃、5%COでの培養が挙げられる。
また、細胞の培養は、所定の期間内、好ましくは、細胞が分化に移行しない期間内に行われる。したがって、この態様において、細胞は、培養期間中、未分化の状態に維持される。細胞の分化への移行は、当業者に知られた任意の方法で評価することができる。例えば、骨格筋芽細胞の場合は、MHCの発現や、細胞の多核化を分化の指標とすることができる。本発明の好ましい態様において、培養期間は48時間以内、より好ましくは40時間以内、さらに好ましくは24時間以内である。
【0043】
培養は任意の大きさおよび形状の容器で行うことができる。特に、細胞は実質的に増殖しない濃度で細胞を播種した場合、細胞培養物が所望の大きさに成長するのを待つことなく、所望の大きさおよび形状の細胞培養物を短期間で得ることが可能となる。細胞培養物の大きさや形状は、培養容器の細胞付着面の大きさ・形状を調整すること、または、培養容器の細胞付着面に、所望の大きさ・形状の型枠を設置し、その内部で細胞を培養することなどにより任意に調節することができる。
【0044】
本方法は、細胞培養物を培養基材から単離する工程をさらに含んでもよい。細胞培養物の基材からの単離は、細胞培養物が少なくとも部分的に、シート構造を保ったまま、足場となっている基材から遊離できれば特に限定されず、例えば、蛋白分解酵素、例えばトリプシン等による酵素処理および/またはピペッティングなどの機械的処理によって行うことができる。また、細胞を、刺激、例えば、温度や光に応答して物性が変化する材料で表面を被覆した培養基材上で培養して細胞培養物を形成させることにより、所定の刺激を加えることで、形成された細胞培養物を非酵素的に遊離することもできる。
【0045】
上述したようなシート状細胞培養物は、心筋組織、皮膚、胃、気管、食道、角膜などの疾病、傷病の治療に用いることができる。例えば、骨格筋芽細胞による細胞培養物は、心疾患、例えば、心筋梗塞、拡張型心筋症などに、移植片などの形態で用いることができる。
【0046】
次に、上述したような本発明のシート状細胞培養物の製造方法、シート状細胞培養物形成用基材の製造方法および気泡の除去方法に好適に用いることのできる、本発明の気泡検出システムについて説明する。図1は、本発明の好適な実施態様に係る気泡検出システムの一例のブロック図である。
気泡検出システム1は、キャビネット2と、トレー3と、気泡検出手段4と、制御部5と液体供給回収手段6を有している。
【0047】
キャビネット2は、基材101とこれに坦持される生物材料を含む液体100とを収納可能な空間21を有し、かつ、空間21と外部とを遮断してシート状培養物100の外部からの汚染を保護するケーシングである。また、キャビネット2は、図示せぬ雰囲気調整手段が備えられており、制御部5の指示に従って、空間21の温度および雰囲気が調整される。
また、キャビネット2は、空間21においてプレインキュベートを実施することが可能なように構成されている。したがって、気泡検出システム1は、気泡の検出、除去、プレインキュベートを当該装置内で、基材101を移動させることなく実施することが可能である。
【0048】
トレー3は、平板状をなし、キャビネット2の空間21の下方に設けられている。トレー3は、液体100および基材101を担持する。
また、トレー3の中央付近には、基材101の設置部位において、基材101の底面の形状に対応した形状の貫通孔が設けられており、当該貫通孔には、後述する超音波照射手段41が設置される。
【0049】
気泡検出手段4は、超音波照射手段41と超音波測定手段42とを有している。
超音波照射手段41は、基材101の設置部位に対応して、トレー3の貫通孔に配置されている。超音波照射手段41は、制御部5の指示に応じて超音波を基材101上にある液体100に照射する。
超音波測定手段42は、基材101の超音波照射手段41とは反対側の面側、すなわち、基材101の上側に設置され、基材101および液体100を通過した超音波を検出し、その量を測定するものである。そして、その測定値は、制御部5に送信される。
また、超音波測定手段42は、上下に移動可能であり、例えば、上側に移動した際には、超音波測定手段42と超音波照射手段41との間に形成される空間において、基材101の設置、設置された基材101への液体の供給、回収等が可能となるように構成されている。
【0050】
制御部5は、気泡検出システム1の各部と接続されており、これら各部の制御を行うものである。
制御部5は、判定手段51と、記憶部52とを有している。
判定手段51は、気泡検出手段4の検出結果に基づいて気泡の有無を判定するものであり、超音波照射手段41から照射した超音波の照射量に対する、基材101および液体100を通過した超音波の検出量を計算することにより、基材101および液体100の超音波の透過率を算出する。判定手段51は、透過率が設定値未満である場合には、気泡が検出されたものとして判定し、後述する出力手段54にその旨出力する。一方、判定手段51は、透過率が設定値以上である場合には、気泡が検出されないものとして判定し、後述する出力手段54にその旨出力する。
【0051】
記憶部52は、気泡検出手段4において取得された情報や、その他本システム1に必要な情報を蓄積する。また、これらの情報は、必要に応じて、記憶部52から判定手段51等の他の要素へ送信可能である。
このような制御部5は、例えば、公知の中央演算処理装置、内部記憶装置、外部記憶装置等を用いて構成されることが出来る。
【0052】
また、制御部5には、入力手段53と、出力手段54とが接続されている。
入力手段53は、例えば、キーボード、マウス、タブレット等であり、使用者が気泡検出システム1の操作を行う際に、制御部5へ指示を入力、送信することが出来る。
出力手段54は、例えば、ディスプレイ、プリンタ等であり、例えば得られた気泡の検出結果や、気泡検出システム1の操作に必要な情報等を表示することが出来る。
【0053】
液体供給回収手段6は、いわゆるサンプラーであり、制御部5の指示に従って、基材101へ液体を供給する。液体供給回収手段6は、貯留部61と、供給手段62と、回収手段63とを備えている。
貯留部61は、基材101へ供給する液体100(本実施態様では液体培地)を貯留する。
供給手段62は、貯留部61と連通しており、貯留部61にある液体100を基材101上に供給する。
回収手段63は、基材101上にある液体100を吸引することにより回収する。回収された液体100は、図示せぬ排出手段によって、気泡検出システム1の系外へ排出される。
【0054】
また、これら供給手段62および回収手段63は、それぞれ、基材101に対し、液体を供給、回収するために、かつ、気泡検出時に超音波測定手段42の基材101上への配置を妨げないように、図示せぬ移動手段により上下方向および水平方向に移動可能に構成されている。
このような供給手段62および回収手段63は、例えば、可撓性を有するチューブと、その先端に接続されかつチューブと反対側に向けて縮経した円筒状の供給部または回収部とをそれぞれ備え、供給部および回収部が上記移動手段により移動可能となることにより、構成される。
【0055】
以上のような、気泡検出システム1によれば、上述したような本発明の気泡の検出方法を容易に実施可能であり、また、上述したようなシート状細胞培養物の製造方法、シート状細胞培養物形成用基材の製造方法および気泡の除去方法に好適に適用可能である。
【0056】
次に、上述した気泡検出システム1を用いた気泡の除去方法の一例を図2に基づいて説明する。図2は、本発明の好適な実施態様に係る気体の除去方法の一例を示すフローチャートである。
【0057】
本システムは、例えば、入力手段53に気泡の検出開始指示が入力されることにより、作動し(スタート)、供給手段62により基材101へ生物材料を含む培地(液体100)が添加される(S−1)。本実施態様において、基材101は、温度に応答して物性が変化する材料で表面が被覆された、温度応答性培養基材である。
【0058】
次に、超音波測定手段42を基材101に密着するように移動させる。そして、超音波照射手段41により、液体100が坦持された基材101に対して超音波を照射し、液体100を通過した超音波を超音波測定手段42で測定することにより、基材101の液体100中にある気泡の検出を行う(S−2)。超音波測定手段42により測定された数値は、制御部5において照射された超音波の透過率の計算に用いられるとともに、制御部5を介して出力手段54に表示される。
【0059】
次に、判定手段51により、気泡検出手段4の検出結果に基づいて気泡の有無を判定する(S−3)。照射された超音波の透過率が設定値未満である場合には、気泡が検出されたものとして判定され、照射された超音波の透過率が設定値以上である場合には、気泡が検出されなかったものとして判定される。また、この判定結果は、出力手段54に表示される。
【0060】
判定手段51により、気泡が検出されなかったものとして判定された場合、制御部5の指示により、図示せぬ雰囲気調整手段は、空間21内の温度、雰囲気を所定時間一定に維持して、プレインキュベートを行う(S−4)。これにより、基材101上に生物材料が固定されたシート状細胞培養物形成用基材が得られる(エンド)。
【0061】
判定手段51により、気泡が検出されたものとして判定された場合、制御部5は、基材101への液体100の供給回数が予め規定された回数を超えたか否かを判断する(S−5)。
供給回数が上記回数を超えていない場合には、液体供給回収手段6の回収手段63により培養液が回収され、培養液は、基材101上から除去されて図示せぬ排出手段を介して判定システム1の系外に排出される(S−6)。さらに、S−1のステップに戻り、基材101へ培養液(液体100)が再度付与される。
一方、供給回数が上記回数を超えた場合には、出力手段54に、エラーの旨の表示を行い(S−7)、終了する(エンド)。
【0062】
以上、本発明について好適な実施態様に基づき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 気泡検出システム
2 キャビネット
21 空間
3 トレー
4 気泡検出手段
41 超音波照射手段
42 超音波測定手段
5 制御部
51 判定手段
52 記憶部
53 入力手段
54 出力手段
6 液体供給回収手段
61 貯留部
62 供給手段
63 回収手段
100 液体
101 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物材料を含む液体を基材上に付与する第1の工程と、
基材上の液体における気泡を検出する第2の工程と、
生物材料を基材に固定する第3の工程と、
基材上に細胞を播種する第4の工程と、
細胞を培養してシート状細胞培養物を形成する第5の工程と、を含み、
第2の工程において、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは前記液体を基材から除去して第1の工程を再度行うシート状細胞培養物の製造方法。
【請求項2】
第4の工程における細胞の播種が、細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生物材料が、タンパク質を含む組成物であり、かつ、当該組成物のタンパク質の基材への固定をプレインキュベートによって行う、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
生物材料は血清である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
気泡の検出を、液体に超音波を照射した際の超音波の透過率を測定することによって行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
シート状細胞培養物形成用基材の製造方法であって、
生物材料を含む液体を基材上に付与する第1の工程と、
基材上の液体における気泡を検出する第2の工程と、
生物材料を基材に固定する第3の工程と、を含み、
第2の工程において、気泡が検出された場合には、気泡を除去するまたは前記液体を基材から除去して第1の工程を再度行う前記方法。
【請求項7】
シート状細胞培養物の製造時において、生物材料を含む液体を基材上に付与した後、かつ生物材料を基材に固定する前に、基材上の液体における気泡を検出する工程を含み、
気泡が検出された場合には、当該気泡を吸引または破壊することにより除去するまたは前記液体を基材から除去して新たな生物材料を含む液体を基材上に付与する気泡の除去方法。
【請求項8】
請求項7に記載の気泡の除去方法を実行するための気体の検出システムであって、
基材上に付与された生物材料を含む液体における気泡を検出するための気泡検出手段と、
気泡検出手段の検出結果に基づいて気泡の有無を判定する判定手段とを含むことを特徴とする、前記システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−152154(P2012−152154A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15083(P2011−15083)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】