説明

シート給送装置および画像形成装置

【課題】 カールが生じているシートを確実に給送することができるシート給送装置を提供する。
【解決手段】 トレイに支持されたシートの最上位のシートの上面を検知するシート面検知機構は、吸着搬送機構よりもシート搬送方向上流側に配置されたセンサ部と、センサ部をON/OFFするセンサレバーと、一端側がセンサレバーに接続され、他端側がシート搬送方向下流側に延設された検知部を備え、検知部は、シート搬送方向の下流側に、下方向に突出し前記昇降トレイに支持された最上位のシートと当接可能な突出部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置および画像形成装置に関し、特にシートにエアを吹き付けることによりシートを分離給送するシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、シートにエアを吹き付けて浮上させ、吸着搬送ベルトにシートを吸着して搬送する、エア給送方式のシート給送装置を備えた画像形成装置が提案されている。
【0003】
ところで、シートの搬送方向下流側の端部が上方に反るようにカール(以下、上カールという。)したシートに対して、確実に給送することができるシート給送装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のシート給送装置を図11(a)に基づいて説明する。シート面検知機構49による最上位のシートの位置検知に基づいて、吸着搬送ベルト21と最上位のシートとの距離が適正範囲S1になるように紙面制御が行われる。エア吹き付け部30の近傍であるシートの搬送方向下流側端部において、最上位のシートの吸着搬送ベルト21からの距離が範囲S1内となるように紙面制御を行われる。これにより、エア吹き付け部30によるエアの吹き付けと、吸着搬送ベルト21による吸着搬送を適正に行う。
【0005】
このシート給送装置は、センサ部(第1シート面センサ54および第2シート面センサ55)をON/OFFするセンサレバー52に接続された検知部61がシート搬送方向下流側に延設されている。そして、検知部61が昇降トレイに積載されたシートの最上面に当接し、センサ部のON/OFFにより昇降トレイを昇降させて積載されているシートの最上位のシートが適正範囲内に位置するように紙面制御がされる。
【0006】
図11(a)に示すように、上カールしたシートに対して、シートの搬送方向下流側端部において、最上位のシートと検知部61が当接し、最上位のシートの吸着搬送ベルト21からの距離を範囲S1内となるように紙面制御が行われる。その結果、エア吹き付け部30によるエアの吹き付けと、吸着搬送ベルト21による吸着搬送を適正に行うことができ、シートを確実に分離して給送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−276910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のシート給送装置には、シートの搬送方向下流側の端部が下方にカール(以下、下カールという)している場合に、改良の余地があった。
【0009】
特許文献1のシート給送装置では、図11(b)に示すように、下カールしたシートに対しても、最上位のシートが範囲S1内に位置するように紙面制御が行われる。しかし、この場合の検知部61と最上位のシートの当接位置は、エア吹き付け部30から給送方向の上流側に離れた位置になる。そのため、エア吹き付け部30の近傍であるシートの搬送方向下流側端部における最上位のシートと吸着搬送ベルト21との距離はS2となってしまい、適正範囲S1から大きく外れてしまう。
【0010】
その結果、シートを吸着搬送しようとしても吸着が不完全となり給送されるシートの先端が下流のガイドに衝突して紙詰まり(ジャム)を発生させたり、シートと吸着搬送ベルトとの間隔が開き過ぎてシートを吸着搬送できなかったりするという問題が生じる。
【0011】
そこで、本発明は、上カールまたは下カールが生じたシートに対して、確実に給送することができるシート給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、シートを支持して昇降可能な昇降トレイと、
前記昇降トレイに支持されたシートにエアを吹き付けてシートを浮上させるエア吹き付け部と、
前記エア吹き付け部により吹きつけられたエアにより浮上したシートの最上位のシートを吸着して搬送する吸着搬送機構と、
前記昇降トレイに支持されたシートの最上位のシートの上面を検知するシート面検知機構と、を備え、
前記シート面検知機構は、前記吸着搬送機構よりもシート搬送方向上流側に配置されたセンサ部と、前記センサ部をON/OFFするセンサレバーと、一端側が前記センサレバーに接続され、他端側がシート搬送方向下流側に延設された検知部を備え、
前記検知部は、シート搬送方向の下流側に、下方向に突出し前記昇降トレイに支持された最上位のシートと当接可能な突出部を有することを特徴とするシート給送装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、シート面検知機構の検知部がシート搬送方向の下流側において、下方向に突出した突出部を有するので、適正な紙面制御を行うことができ、下カールしたシートに対して、シートを確実に給送することができる。また、本発明によれば上カールしたシートやカールが生じていないシートに対しても、シートを確実に給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの全体構成を示す図
【図2】本発明に係るシート給送装置の構成を示す図
【図3】本発明に係るシート給送装置のシート給送動作を説明する図
【図4】本発明に係るシート給送装置のシート給送動作を説明する図
【図5】本発明に係るシート給送装置の検知部を示す図
【図6】本発明に係るシート給送装置の紙面制御動作を説明する図
【図7】本発明に係るシート給送装置の紙面制御動作を説明する図
【図8】上カールが生じたシートの場合の本発明に係るシート給送装置の状態を示す断面図
【図9】本発明が適用されたシート給装装置の第2の実施形態を示す図
【図10】本発明が適用されたシート給装装置の第3の実施形態を示す図
【図11】従来のシート給送装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に説明する。
図1は、本発明に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの全体構成を示している。
図1において、100はプリンタ、101はプリンタ本体である。このプリンタ本体101の上部には、自動原稿給送装置120より送られる原稿Dをプラテンガラス120a上で読み取る画像読み取り部130が設けられている。また、画像読み取り部130の下方には画像形成部102と、画像形成部102にシートSを給送するシート給送装置103が設けられている。
【0016】
ここで、画像形成部102には、感光ドラム112、現像器113、レーザースキャナーユニット111、転写帯電器118、定着部114等が設けられている。また、シート給送装置103は、OHT等のシートSを収容して装置本体101に着脱可能な複数のシート収納部115及びシート収納部115に収納されたシートSを送り出す吸着搬送ベルト21等を備えている。
【0017】
次に、このような構成のプリンタ100の画像形成動作について説明する。
装置本体101に設けられている不図示の制御装置から画像読取部130に画像読取信号が出力されると、画像読取部130により画像が読み取られる。この後、レーザースキャナーユニット111から、この電気信号に対応したレーザ光が感光ドラム112上に照射される。
【0018】
このとき感光ドラム112は、予め帯電されおり、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いで静電潜像を現像器113によって現像することにより、感光ドラム上にトナー像が形成される。
【0019】
一方、制御装置から給紙信号がシート給送装置103に出力されると、シート収納部115からシートSが給送される。給送されたシートSは、レジストローラ117により感光ドラム上のトナー画像と同期を取って、感光ドラム112と転写帯電器118とにより構成される転写部に送られる。
【0020】
次に、転写部に送られたシートSは、トナー像が転写され、この後、定着部114に搬送される。定着部114により加熱及び加圧されることにより、シートSに未定着転写画像が定着される。画像が定着されたシートSは、排出ローラ116により装置本体101から排紙トレイ119に排出される。
【0021】
続いて、本発明が適用されたシート給送装置103の構成を図2の模式図に基づいて説明する。
【0022】
図2において、11はシートを収納する収納庫、12はシートを支持して不図示の駆動手段によって昇降可能な昇降トレイである。収納庫11は、シートSの給送方向上流側(後側)を規制する後端規制板13と、シートSのシート給送方向と直交する幅方向の位置を規制する側端規制板14を備えている。なお、後端規制板13及び側端規制板14は、収納されるシートのサイズによって位置を任意に変えられるように構成されている。また、この収納庫11は、スライドレール15によりプリンタ本体101から引き出し可能となっている。
【0023】
さらに、このシート給送装置103は、昇降トレイ12に支持されたシートSにエアを吹き付けて、シートを浮上させるエア吹き付け部30と、浮上したシートの最上位のシートを吸着して搬送する吸着搬送機構50を備えている。
【0024】
エア吹き付け部30は、収納されているシートSの上端部にエアを吹き付けるための捌きノズル33及び分離ノズル34と、分離ファン31と、各ノズル33,34に分離ファン31からエアを送る分離ダクト32を備えている。
【0025】
吸着搬送機構50は、ベルト駆動ローラ41に掛け渡されると共にシートSを吸着して図中右方向に搬送する吸着搬送ベルト21を備えている。また、吸着搬送機構50は、シートSを吸着搬送ベルト21に吸着させるための負圧を発生する吸着ファン36と、吸着搬送ベルト21の内側に配置され、吸着搬送ベルト21に形成されている吸引穴を介してエアを吸引するための吸引ダクト51を備えている。吸着ファン36と吸引ダクト51との間には、吸着搬送ベルト21の吸着動作をON/OFFする吸着シャッタ37が配置されている。
【0026】
なお、本実施の形態において、吸着搬送ベルト21は、シート搬送方向と直交する幅方向に所定の間隔を持って複数(3個)配置されており、それぞれの吸着搬送ベルト21には吸引穴が形成されている。
【0027】
次に、このように構成されたシート給送装置103のシート給送動作について説明する。
まず、ユーザーが収納庫11を引き出して昇降トレイ12上にシートSの束をセットし、この後、画像形成装置内の所定の位置に格納すると、駆動手段によって昇降トレイ12が上昇し始める。昇降トレイ12に支持されたシートSの最上位のシートと吸着搬送ベルト21との距離が所定の位置に達すると、不図示の制御装置は、この位置で昇降トレイ12を一旦停止させる。この後、シートの給送を開始するためのシート給送信号に備える。
【0028】
次に、不図示の制御装置がシート給送信号を検知すると、制御装置は分離ファン31を作動させ、矢印C方向へエアを吸い込み、このエアは分離ダクト32を介して捌きノズル33、分離ノズル34からそれぞれ矢印DおよびE方向からシートに吹き付けられる。これにより、昇降トレイ12に支持されたシートのうちの上位の数枚のシートが浮上する。また、制御装置は吸着ファン36を作動させ、図中F方向にエアを吐き出す。この際、吸着シャッタ37はまだ閉じられている。
【0029】
次に、図3に示すように、上位の複数枚のシートの浮上が安定したところで、制御装置は吸着シャッタ37を矢印G方向に回転させ、吸着搬送ベルト21に設けられた吸引穴から吸引力を発生させる。そして、この吸着力と、分離ノズル34からの分離エアにより、最上部のシートSaのみが吸着搬送ベルト21に吸着される。
【0030】
続いて、図4においてベルト駆動ローラ41を矢印J方向に回転させることで、吸着搬送ベルト21に吸着された状態で最上位のシートSaが矢印K方向に搬送され、この後、矢印L、M方向に回転する引き抜きローラ対42により画像形成部に向けて送られる。
【0031】
<第1の実施形態>
次に、本発明の特徴部分であるシート面検知機構について説明する。図5(a)は、本発明が適用されたシート給送装置の第1の実施形態を示し、図5(b)は、シート面検知機構の要部拡大図であり、後述した下カールのシートの検知状態を示している。なお、図7(a)中の各符号は、図2に示す符号で示す部材と同じ部材を示している。 シート面検知機構49は、図5(a)に示すように、シート搬送方向上流側に配置されたセンサ部(第1シート面センサ54および第2シート面センサ55)49と、センサレバー52と、検知部65を備えている。
【0032】
センサレバー52は、第1シート面センサ54の受光部を遮光し位置を検出する第1検出部52Bと、第2シート面センサ55の受光部を遮光し位置を検出する第2検出部52Cを備えている。また、センサレバー52は、支持軸53に揺動自在に支持されている。
【0033】
検知部65の構成を、図5(b)を用いて詳細に説明する。検知部65は、一端側がセンサレバー52に関節52Dにより回動可能に接続され、他端側がシート搬送方向下流側に延設され、先端は連結部材60に関節60Aで回動自在に接続された基部65Aを備えている。連結部材60は吸引ダクト51内で支持軸60Bにより回動自在に取り付けられており、複数の吸着搬送ベルト21の間から吸引ダクト51の内部に収納可能に設けられている。そして、センサレバー52と検知部65と連結部材60によって関節52Dと関節60Aを関節とするリンク機構が構成される。なお、検知部65の基部65Aは、最上位のシートが吸着搬送ベルト21に吸着されたときには、複数の吸着搬送ベルト21の間から吸引ダクト51内に格納可能に構成されている。
【0034】
検知部65の基部65Aのシート搬送方向下流側には、下方向に突出し、昇降トレイに支持された最上位のシートと当接可能な突出部66が形成されており、突出部66は検知部65の下流側端部に固定されている。そして、検知部65は、突出部66又は基部65Aに、昇降トレイ12に支持された最上位のシートが当接して上下に移動可能である。また、検知部65の上下の移動に伴い、センサレバー52は支持軸53を中心に揺動して第1シート面センサ54および第2シート面センサ55をON/OFFする。
【0035】
なお、図5(a)に示すように、吸着搬送ベルト21のベルト面から突出部66の下端66Aまでの距離が所定の範囲S1内であれば、エア吹き付け部30によるエアの吹き付けと、吸着搬送機構50による吸着搬送を適正に行うことができる。したがって、シートを確実に給送することができる。
【0036】
次に、シート面検知機構49の紙面制御動作を説明する。
【0037】
収納庫11に収納されているシートが昇降トレイ12の上昇により持上げられて、最上位のシートSaの上面が検知部65の突出部66に当接する。そして、この後、さらに昇降トレイ12が上昇すると、検知部65が上昇し、この検知部65の上昇に伴ってシート面センサレバー52は支持軸53を中心に関節52Dが上方に向かう方向に揺動する。
【0038】
そして、図6に示すように、検知部65を上昇させながら上昇した最上位のシートSaの上面と吸着搬送ベルト21のベルト面との距離がSLになると、センサレバー52の各検出部52B、52Cにより各シート面センサ54、55が遮光される。これにより、第1シート面センサ54及び第2シート面センサ55はON信号を出力し、このように第1シート面センサ54及び第2シート面センサ55がON信号を出力すると、このON信号に基づき制御装置は、昇降トレイ12の上昇を停止する。ここで、この位置をシートの浮上領域の下限とし、この後、制御装置はエア吹き付け部30によるエアの吹き付けを開始してシートを浮上させる。
【0039】
次に、このようにシートを浮上させた後、図7(a)に示すように、吸着搬送ベルト21のベルト面と最上位のシートSaの上面との距離がSHになり、シート面センサレバー52の第1の検出部52Bによる第1シート面センサ54の遮光が解除される。これにより、第2シート面センサ55がON信号を出力した状態で第1シート面センサ54はOFF信号を出力する。この場合は、最上位のシートSaの上面が「高すぎる」と判断し、第1シート面センサ54のON信号が得られるまで昇降トレイ12を下降させる。そして、第1シート面センサ54からON信号が出力されると制御装置は昇降トレイ12の上昇を停止する。ここで、この位置をシートの浮上領域の上限とする。シートの浮上領域の下限(SL)と上限(SH)との間に昇降トレイ12上のシートの最上位のシートSaの先端側を位置させることによりシートを確実に吸着搬送ベルト21が搬送することができる。このシートの浮上領域の下限(SL)と上限(SH)がシートを確実に給送できる高さ方向の範囲S1である。
【0040】
なお、吸着搬送ベルト21のベルト面と最上位のシートSaの上面との距離がSLよりも低くなると、図7(b)に示すように、第2シート面センサ55がOFF信号を出力する。この場合には、最上位のシートSaの位置が「低すぎる」と判断し、第1シート面センサ54がON信号を出力した状態で第2シート面センサ55のON信号が得られるまで昇降トレイ12を上昇させる。
【0041】
このように、昇降トレイ12上のシートの最上位のシートSaの位置がシートの浮上領域の下限と上限との間に維持するように第1シート面センサ54および第2シート面センサ55の検知信号に基づいて昇降トレイ12が昇降される。これにより、シートが給送されてシートの量が徐々に減っても昇降トレイ12が上昇して最上位のシートSaの位置は給送可能な範囲S1内に維持される。
【0042】
下表は、エアの吹き付けを開始した後の一連の動作をまとめたものである。
【0043】
【表1】

【0044】
このように、本実施の形態では、第1及び第2シート面センサ54,55の信号に基づいて昇降トレイ12を上昇及び下降させるようにしている。これにより、制御装置は、エアの吹き付け状態での昇降トレイ12の位置を最上位のシートSaのみを吸着搬送ベルト21が吸着して分離搬送できる位置に維持するように制御することができる。この結果、吸着搬送ベルト21によりシートを吸着する際、シートSを1枚ずつ分離して画像形成部に向けて給送することができ、安定したシートの給送が可能となる。
【0045】
また、吸着搬送領域の上流側まで延在する検知部65を用いることにより、吸着搬送機構50の吸着搬送ベルト21の吸着搬送領域から後方に外れた位置に第1及び第2シート面センサ54,55を設けた場合でも、シート面検知を行うことができる。
【0046】
さらに、シート搬送方向の下流側において、検知部65の基部65Aから下方向に突出した突出部66がシートと当接することで行われるので、下カールが生じているシートに対しても、確実に給送することができる。すなわち、昇降トレイ12に支持されているシートに下カールが生じている場合には、最上位のシートSaの下カールをしている部分(シートの先端側)に突出部66が当接する。そして、最上位のシートSaの先端側の位置が吸着搬送ベルト21のベルト面からの距離がS1の範囲内になるように第1及び第2シート面センサ54,55の信号に基づいて昇降トレイ12が昇降する。これにより、最上位のシートSaの先端側は吸着搬送ベルト21に確実に吸着され、分離ノズル34から吹き付けられるエアによって確実にシートを分離することができる位置となるため、下カールしたシートでもジャムの発生や不送りの発生を防止することができる。
【0047】
また、図8に、上カールが生じているシートの場合を示す。この場合も紙面制御が、シート搬送方向の下流側において、下方向に突出した突出部66が浮上された最上位のシートSaと当接することで行われるので、シートの先端側の位置が吸着搬送ベルト21のベルト面からの距離がS1の範囲に維持される。これによって、上カールが生じているシートでも確実に給送することができる。なお、カールが生じていないシートも従来通り確実に給送することができる。
【0048】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施形態は、検知部の構成のみが第1の実施の形態とは異なり、それ以外の構成は第1の実施形態と同じである。
【0049】
図9に示すように本発明の第2の実施形態は、検知部65の突出部66は、連結部材60が関節60Aを超えて下方に延設させた構成である。したがって、突出部66の先端66Aは、関節52D、関節60Aよりも下方に位置する。
【0050】
下カールしたシートは、突出部66の先端66A又は基部65Aに当接して検知部65を持ち上げて、センサ部の検知に基づいて昇降トレイ12を昇降させ、最上位のシートを適正な位置に移動させる。そして、第2の実施形態も第1の実施形態と同じ効果を奏する。
【0051】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施形態は、検知部の構成のみが第1の実施の形態とは異なり、それ以外の構成は第1の実施形態と同じである。
【0052】
図10に示す本発明の第3の実施形態では、第2の実施形態の検知部65に対して、センサレバー52及び検知部65の少なくとも一方の長さを変更するように、センサレバー52及び検知部65を交換可能に取り付けることができるようにしたものである。具体的には、センサレバーをセンサレバー520Aとセンサレバー520Bの長さの異なるものを選択的に使用したり、検知部65の基部を基部65AAと基部65ABの長さの異なるものを選択的に使用したりする。
【0053】
この構成により、関節52Dの高さを変更することが可能となる。例えば、下カールが大きなシートを給送する場合には、センサレバー52を短いものと交換して関節52Dの位置を高くすることにより、突出部66の先端66Aと関節52Dとの高さ方向の距離を大きくする。これにより、下カールが大きなシートでも突出部66の先端66Aに当接することによって、最上位のシートの先端を、吸着搬送ベルト21が適正に吸着可能な位置に移動させることができる。
第3の実施形態も第1及び第2の実施形態と同じ効果を奏する。
【符号の説明】
【0054】
12 昇降トレイ
21 吸着搬送ベルト
30 エア吹き付け部
49 シート面検知機構
50 吸着搬送機構
51 吸引ダクト
52 センサレバー
52B 第1検出部
52C 第2検出部
52D 関節
53 支持軸
54 第1シート面センサ
55 第2シート面センサ
60 連結部材
60A 関節
60B 支持軸
65 検知部
65A 基部
66 突出部
66A 突出部66の先端


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持して昇降可能な昇降トレイと、
前記昇降トレイに支持されたシートにエアを吹き付けてシートを浮上させるエア吹き付け部と、
前記エア吹き付け部により吹きつけられたエアにより浮上したシートの最上位のシートを吸着して搬送する吸着搬送機構と、
前記昇降トレイに支持されたシートの最上位のシートの上面を検知するシート面検知機構と、を備え、
前記シート面検知機構は、前記吸着搬送機構よりもシート搬送方向上流側に配置されたセンサ部と、前記センサ部をON/OFFするセンサレバーと、一端側が前記センサレバーに接続され、他端側がシート搬送方向下流側に延設された検知部を備え、
前記検知部は、シート搬送方向の下流側に、下方向に突出し前記昇降トレイに支持された最上位のシートと当接可能な突出部を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記検知部の下流側端部に一端側が回動可能に接続され、他端側が前記吸着搬送機構に回動可能に接続された連結部を有し、前記シート面検知機構は、前記センサレバーと、前記検知部と、前記連結部材とによりリンク機構を構成することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記検知部の下流側端部に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記連結部を、前記検知部との関節よりも下方に延設させて設けたことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項5】
シートを支持して昇降可能な昇降トレイと、
前記昇降トレイに支持されたシートにエアを吹き付けてシートを浮上させるエア吹き付け部と、
前記エア吹き付け部により吹きつけられたエアにより浮上したシートの最上位のシートを吸着して搬送する吸着搬送機構と、
前記昇降トレイに支持されたシートの最上位のシートの上面を検知するシート面検知機構と、を備え、
前記シート面検知機構は、前記吸着搬送機構よりもシート搬送方向上流側に配置されたセンサ部と、前記センサ部をON/OFFするセンサレバーと、一端側が前記センサレバーに関節により接続され、他端側がシート搬送方向下流側に延設された検知部と、一端側が前記吸着搬送機構に接続され、他端側が前記検知部に関節により接続された連結部と、でリンク機構を構成し、
前記検知部は、シート搬送方向の下流側端部に、前記各関節よりも下方に位置する突出部を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記検知部の下流側端部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記連結部を、前記検知部との関節よりも下方に延設させて設けたことを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置から給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−107738(P2013−107738A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253960(P2011−253960)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】