説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】ジャムやシワを発生させることなくシートを給送することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の吸着搬送ベルト25a,25bのシート吸着面のシートの吸着が可能な吸着領域のシート搬送方向下流の、複数の吸着搬送ベルト25a,25bの間の位置に、シート案内リブ33a,33bを吸着搬送ベルト25a,25bのシート吸着面よりも下方に突出して設け、最上位シートの吸着時、紙面検知フラグ28を押圧する部分が下方に撓んだ状態の最上位シートを搬送する際、最上位シートの撓み部分を紙面検知フラグ28に当接させて最上位シートの撓み量を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシートにエアを吹き付けることによりシートを分離給送するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真技術を応用した複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、画像形成部に設けられた感光体ドラム等の像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像をシートに転写した後、定着手段によってシートに定着させるようにしている。そして、この画像形成装置には、シートを収納するシート収納部と、シート収納部に収納されたシートを1枚ずつ送り出すシート給送装置を備えており、シート給送装置から送り出された後、シートは、画像形成部へ搬送される。
【0003】
ところで、従来のシート給送装置としては、シート収納部内のトレイに積載されたシート束にエアを吹き付け、シート束上部のシートを浮上させると共にシートを1枚ずつ捌き、捌いたシートを吸着搬送ベルトにより吸着搬送するものがある(特許文献1参照)。なお、このようなエア給送方式のシート給送装置において、シートを確実に吸着搬送ベルトに吸着させるためには、エアによって浮上して捌かれた最上位シートの位置を所定の高さに維持する必要がある。このため、最上位シートの位置を検知するための紙面検知手段を設け、紙面検知手段による検知結果に基づいて、トレイの昇降やエア流の調整を行うことで、最上位シートの位置を一定の範囲内に維持させている。
【0004】
ここで、紙面検知手段は、最上位シートの上面に接触する紙面検知部材を備えており、紙面検知部材の位置を検知センサにより検知することにより最上位シートの位置を検知するものが多く用いられている。さらに、従来のシート給送装置としては、複数の吸着搬送ベルトを並列配置すると共に、紙面検知部材を吸着搬送ベルト間の内部空間に収納可能に設けることで、装置の小型化を図るようにしたものがある(特許文献2参照)。
【0005】
図7は、このような従来のエア給送方式のシート給送装置の例を示す図である。従来のシート給送装置は、図7の(a)に示すように、矢印69方向へのエアを吹き付け、不図示のトレイに積載されたシート束PAの上部のシートを浮上させて捌くエア吹き付け部70を備えている。また、シート給送装置は、シート束PAの上方に配置され、浮上したシートを吸着して搬送する吸着搬送部50と、吸着搬送部50により吸着・搬送されるシートを搬送する中継搬送部71を備えている。中継搬送部71は、シートを案内する中継ガイド72,73と、シートを搬送する引き抜きローラ対74とを備えている。
【0006】
吸着搬送部50は、プーリ51a,52aに並列に懸架され、矢印60方向に走行する2本の無端状の吸着搬送ベルト53a,53bを備えている。また、吸着搬送部50は、吸着搬送ベルト53a,53bの内部に配置され、シートPに面した開口部から負圧によりシートPを吸引する吸着ダクト54を備えている。さらに、吸着搬送部50は、2本の吸着搬送ベルト53a,53bの間でリンク55,56に支持され、吸着ダクト54に設けられた図7の(b)に示す収納部57に収納可能な紙面検知フラグ58を備えている。また、リンク56の回動位置によりON/OFFされる検知センサSが吸着搬送ベルト53a,53bのシート搬送方向の上流に配置されている。
【0007】
このような構成のシート給送装置では、シート給送時、エア吹き付け部70によるエア流によってシート束上部のシートが浮上すると、浮上したシート束上部のシートのうちの最上位シートP1の紙面の高さが紙面検知フラグ58の位置に基づいて検知される。そして、この検知結果に基づき、吸着搬送ベルト53a,53bによる最上位シートP1の吸着が可能な所定の紙面高さ範囲内になるようにトレイが昇降制御される。最上位シートP1が所定の紙面高さ範囲内に位置するようになった後、吸着ダクト54の内部は不図示の負圧付与手段により負圧状態となり、所定の紙面高さにある最上位シートP1は、吸着搬送ベルト53a,53bのシート吸着面に向けて吸引される。
【0008】
ところで、このように最上位シートP1が吸着搬送ベルトに向けて吸引されると、紙面検知フラグ58は負圧付与手段による負圧と、上方に移動する最上位シートP1により、図8に示すように吸着ダクト54に設けられた収納部57に収納される。これにより、最上位シートP1は吸着搬送ベルト53a,53bのシート吸着面に吸着する。次に、このように最上位シートP1がシート吸着面に吸着した状態で吸着搬送ベルト53a,53bが矢印60方向に移動すると、最上位シートP1は吸着搬送ベルト53a,53bと一体的に搬送される。
【0009】
そして、吸着搬送ベルト53a,53bにより搬送される最上位シートP1が中継ガイド72,73に沿って案内され、最上位シートP1の先端が中継搬送部71の引き抜きローラ対74に到達すると、負圧付与手段による吸着ダクト54内の負圧状態が解除される。この後、吸着搬送ベルト53a,53bの回転が停止して、引き抜きローラ対74によって最上位シートP1が引き抜かれる。
【0010】
そして、この引き抜きローラ対74によって吸着搬送部50から引き抜かれた最上位シートP1は画画像形成部へ搬送される。以後、同様の動作を繰り返し、積載されたシートPは1枚ずつ順次画像形成部へ給送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−196187号公報
【特許文献2】特開2007−267910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、このような従来のエア給送方式のシート給送装置においては、最上位シートP1の紙面検知フラグ58が当接している部分と当接していない部分とでは、浮上条件が異なるため、紙面制御時のシートの浮上高さが異なる場合がある。すなわち、最上位シートP1の紙面検知フラグ58に当接する部分では、紙面検知フラグ58の重力などにより上方から押されて浮上高さが低くなる。特に、吸着・搬送するシートが剛度の低い場合は、その傾向が顕著である。例えば、シートが剛度の低い薄紙の場合は、図9の(a)に示すように、最上位シートP1の紙面検知フラグ58が当接していない部分の紙面高さが、紙面検知フラグ58が当接している部分よりも高くなり、吸着搬送ベルト53a,53bに近い浮上状態となる。
【0013】
ここで、このような浮上状態で最上位シートP1を吸引すると、最上位シートP1の吸着搬送ベルト53a,53bに近い位置にある、紙面検知フラグ58が当接していない部分が先に吸着面に到達する。この結果、図9の(b)に示すように、最上位シートP1の紙面検知フラグ58が当接している部分が下方に撓んだ状態で、最上位シートP1が吸着搬送ベルト53a,53bに吸着されてしまう。
【0014】
そして、このような状態で最上位シートP1を搬送すると、最上位シートP1の下方に撓んでいる部分Tが図9の(c)に示すように、中継ガイド73の入り口部に衝突することがある。この結果、シートの先端にダメージを与えたり、シートのジャムが発生してしまったりする。また、撓んだ部分がシート搬送方向下流のガイド部や搬送ローラを通過する際にシワを発生させてしまったりする。
【0015】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、ジャムやシワを発生させることなくシートを給送することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、昇降可能なトレイに支持されたシートにエアを吹き付けてシートを浮上させ、浮上させたシートをシート搬送方向と平行に並列に配置された複数の吸着搬送ベルトに負圧によって吸着して搬送するシート給送装置において、前記トレイに支持された最上位シートに当接するように前記複数の吸着搬送ベルトの間に配置され、前記吸着搬送ベルトのシート吸着面から下方に出没可能に設けられ、エアを吹き付けられて浮上し、負圧により前記吸着搬送ベルトに吸着されるシートにより押圧されて前記吸着搬送ベルトのシート吸着面から突出しない位置に移動可能な紙面高さ検知部材と、前記複数の吸着搬送ベルトのシート吸着面のシートの吸着領域のシート搬送方向下流で、かつ前記複数の吸着搬送ベルトの間の位置に、前記吸着搬送ベルトのシート吸着面よりも下方に突出して設けられたシート案内部材と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のように、最上位シートの吸着時に下方に撓んだ状態の最上位シートを搬送する際、最上位シートの撓み部分をシート案内部に当接させて最上位シートの撓み量を減少させることにより、ジャムやシワを発生させることなくシートを給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記シート給送装置の構成を説明する第1の図。
【図3】上記シート給送装置の構成を説明する第2の図。
【図4】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する第1の図。
【図5】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する第2の図。
【図6】上記シート給送装置に設けられたシート案内リブの設置位置を説明する図。
【図7】従来のシート給送装置の構成を説明する図。
【図8】上記従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する図。
【図9】上記従来のシート給送装置によりシートを吸着搬送する際の、シートの状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。
【0020】
図1において、100はプリンタ、101はプリンタ本体である。このプリンタ本体101の上部には自動原稿給送装置120により原稿載置台としてのプラテンガラス120aに載置された原稿Dを読み取る画像読取部130が設けられている。また、画像読取部130の下方には画像形成部102と、画像形成部102にシートPを給送するシート給送装置12が設けられている。
【0021】
ここで、画像形成部102には、感光ドラム112、現像器113、レーザスキャナユニット111等が設けられている。また、シート給送装置12は、OHT等のシートPを収容してプリンタ本体101に着脱自在な複数のシート収納部11及びシート収納部11に収納されたシートPを送り出すシート給送手段の一例としての吸着搬送ベルト25等を備えている。
【0022】
次に、このような構成のプリンタ100の画像形成動作について説明する。プリンタ本体101に設けられている不図示の制御装置から画像読取部130に画像読取信号が出力されると、画像読取部130により画像が読み取られる。この後、レーザスキャナユニット111から、この電気信号に対応したレーザ光が感光ドラム112上に照射される。このとき感光ドラム112は、予め帯電されおり、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いで静電潜像を現像器113によって現像することにより、感光ドラム上にトナー像が形成される。
【0023】
一方、制御装置から給紙信号がシート給送装置12に出力されると、シート収納部11からシートPが給送される。この後、給送されたシートPはレジストローラ117により感光ドラム上のトナー画像と同期を取って感光ドラム112と転写帯電器118とにより構成される転写部に送られる。
【0024】
次に、このように転写部に送られたシートは、トナー像が転写され、この後、定着部114に搬送される。さらにこの後、定着部114により加熱及び加圧されることにより、シートPに未定着転写画像が永久定着される。そして、このように画像が定着されたシートは排出ローラ116によりプリンタ本体101から排紙トレイ119に排出される。
【0025】
図2は、シート給送装置12の構成を示す図である。ここで、シート給送装置12は、矢印39方向へエアを吹き付け、シート収納部11に昇降可能に設けられた不図示のトレイに積載されたシート束PAの上部シートを浮上させて捌くエア吹き付け部40を備えている。また、シート給送装置21は、シート束PAの上方に配置され、浮上したシートを吸着して搬送する吸着搬送部22と、吸着搬送部22によって吸着・搬送されるシートを搬送する中継搬送部41とを備えている。中継搬送部41は、シートを案内する中継ガイド42,43と、シートを搬送する引き抜きローラ対44とを備えている。
【0026】
吸着搬送部22は、図3に示すようにプーリ23a,24aに並列に懸架されると共に無数の通気孔hが形成され、矢印30方向に走行する2本の無端状の吸着搬送ベルト25a,25bを備えている。また、吸着搬送部22は、シート給送方向に平行に並列配置された吸着搬送ベルト25a,25bの内部に配置され、シートPに面した開口部から負圧によりシートPを吸引する吸着ダクト27を備えている。
【0027】
さらに、吸着搬送部22は、トレイに支持された最上位シートの上面の高さ位置を検知する紙面検知手段を備え、紙面検知手段は、最上位シートP1が当接する紙面高さ検知部材である紙面検知フラグ28を備えている。ここで、この紙面検知フラグ28は、2本の吸着搬送ベルト25a,25bの間でリンク26a,26bに支持されると共に、吸着搬送ベルト25a,25bのシート吸着面から下方に出没可能に突出している。また、紙面検知手段は、リンク26bの回動によりON/OFFする検知センサSを備えている。そして、紙面検知フラグ28の高さ方向の位置に応じて検知センサSが発生する信号により最上位シートの位置が検知される。
【0028】
また、この紙面検知フラグ28は、吸着されるシートより押圧されて吸着搬送ベルト25a,25bから突出する突出位置から、吸着ダクト27に設けられた収納部31に移動可能(収納可能)に設けられている。なお、収納部31は下面に開口部31aが設けられている。そして、シートを吸着搬送する際、後述するように吸着搬送ベルト25a,25bのシート吸着面から下方に突出している紙面検知フラグ28は、浮上されたシートにより押圧されて開口部31aから退避位置である収納部内部に収納される。
【0029】
このような構成のシート給送装置21において、シートを給送する際は、まず図2に示すようにエア吹き付け部40により矢印39方向へエアを吹き付けて、図示しないトレイ上に積載されているシート束PAの上部を浮上させる。そして、浮上したシートPの最上位シートP1は、紙面検知フラグ28の位置に基づいて紙面(上面)の高さが検知される。その検知結果に基づき、不図示の制御部により、最上位シートP1の上面の高さ位置が吸着搬送ベルト25a,25bによる吸着が可能な高さ範囲内に位置するようにトレイを昇降制御される。
【0030】
次に、最上位シートP1が吸着搬送ベルト25a,25bによる吸着が可能な高さ範囲内に位置し、給紙開始信号が入力されると、吸着ダクト27の内部は不図示の負圧付与手段により負圧状態となる。これにより、所定の紙面高さにある最上位シートP1は、吸着搬送ベルト25a,25bの、吸着ダクト27の開口部29に対応する吸着領域に吸引され、吸着搬送ベルト25a,25bの表面のシート吸着面に吸着される。なお、この最上位シートP1の吸着により紙面検知フラグ28が、負圧付与手段による負圧と、上方に移動する最上位シートP1により図4の(a)に示すように収納部31に収納される。
【0031】
次に、このように最上位シートP1がシート吸着面に吸着した状態で吸着搬送ベルト25a,25bが矢印30方向に移動すると、最上位シートP1は吸着搬送ベルト25a,25bと一体的に搬送される。そして、吸着搬送ベルト25a,25bにより搬送される最上位シートP1が中継ガイド42,43に沿って案内され、最上位シートP1の先端が中継搬送部41の引き抜きローラ対44に到達すると、負圧付与手段による吸着ダクト27内の負圧状態が解除される。その後、吸着搬送ベルト25a、25bの回転が停止して、引き抜きローラ対44によって最上位シートP1が引き抜かれる。
【0032】
そして、最上位シートP1は引き抜きローラ対44によって吸着搬送部22から引き抜かれると共に、画像形成部102へ搬送される。以後、同様の動作を繰り返し、積載されたシート束PAは1枚ずつ順次画像形成部102へ給送される。
【0033】
ところで、吸着搬送ベルト25a,25bがシートを吸着・搬送する際、最上位シートP1の紙面検知フラグ28が当接していない部分の紙面高さが、紙面検知フラグ28が当接している部分よりも高くなり、吸着搬送ベルト25a,25bに近い浮上状態となる。ここで、このような浮上状態で最上位シートP1を吸引すると、最上位シートP1の吸着搬送ベルト25a,25bに近い位置にある、紙面検知フラグ28が当接していない部分が先に吸着面に到達する。
【0034】
この結果、最上位シートP1の紙面検知フラグ28が当接している部分が下方に撓んだ状態で、最上位シートP1が吸着搬送ベルト25a,25bに吸着してしまう。ここで、吸着・搬送するシートPが薄紙のように剛度の低いシートPの場合、既述した図9の(b)及び(c)で示したように、シートPが吸着搬送ベルトに吸着する際に撓みが発生することがある。
【0035】
そこで、本実施の形態においては、図3に示すように収納部31の開口部31aのシート搬送方向と直交する幅方向の両側縁部のシート搬送方向下流端部に、開口部31aに沿ってシート案内リブ33a,33bを吸着ダクト27に設けている。つまり、2本の吸着搬送ベルト25a,25bの間に、シート案内部材として一対のシート案内リブ33a,33bが配置されている。また、一対のシート案内リブ33a,33bは、図3及び図5(b)に示されているように、開口部31aの開口面の両縁部から下流に延びるように配置されている。したがって、一対のシート案内リブ33a,33bは、正面方向から見て(図5の(b)の状態)、紙面検知フラグ28の左右に配置されている。
【0036】
そして、このシート案内リブ33a,33bは、図2に示すように、吸着搬送ベルト25a,25bのシート吸着面より下方に突出するように設けられている。また、このシート案内リブ33a,33bのシート搬送方向上流端の位置は、吸着搬送ベルト25a,25bの、シートのシート搬送方向下流端に対応する位置、すなわちシートの吸着開始位置Aの下流となっている。言い換えれば、吸着搬送ベルトのシート吸着面のシートの吸着が可能な吸着領域の下流部分となっている。なお、シートの吸着開始位置Aは、不図示のシート先端規制部材によりシートの下流端部(先端)の位置が規制される位置である。
【0037】
また、シート案内リブ33a,33bのシート搬送方向下流端の位置は、中継搬送部41に設けられたガイド部材である中継ガイド43の上方まで延びている。つまり、シート案内リブ33a,33bは、シートの吸着開始位置Aの下流から中継ガイド43のガイド領域にわたって吸着搬送ベルト25a,25bのシート吸着面より下方に突出するように設けられている。
【0038】
そして、このようなシート案内リブ33a,33bを設けることにより、吸着搬送ベルト25a,25bにより吸着搬送される際、最上位シートP1は、まず図4の(a)に示すように、シート搬送方向下流端である先端がシート案内リブ33a,33bに達する。この後、最上位シートP1は、図4の(b)に示すように、シート案内リブ33a,33bに乗り上げながら吸着ダクト27の吸着領域である開口部29を通過し、吸着搬送ベルト25a,25bから離間される。
【0039】
ここで、このようにシート案内リブ33a,33bに乗り上げながら通過する際、それまで図5の(a)に示すように紙面検知フラグ28による押圧により生じた最上位シートP1の撓み部分Tの撓み量が、図5の(b)に示すように高さ方向の量が減少する。このように、下方に撓んだ状態でシート案内リブ33a,33bを通過する際、最上位シートP1の紙面検知フラグ28を押圧する部分に生じた局所的な撓み(変形)が左右方向(シート搬送方向と直交する方向)に分散される。そして、このように最上位シートP1の局所的な撓みが分散されることにより、最上位シートP1が中継ガイド43に当接することを防止することができる。そして、ジャムやシワを発生させることなく最上位シートP1を中継ガイド43に搬送することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態では、シート搬送時、最上位シートP1をシート案内リブ33a,33bに当接させながら搬送するようにしている。これにより、最上位シートP1が吸着搬送ベルト25a,25bに吸着される時に生じる撓みを分散及び均等とすることができ、ジャムやシワを発生させることなくシートを搬送することができる。つまり、吸着時に下方に撓んだ状態の最上位シートP1を搬送する際、最上位シートP1の撓み部分Tをシート案内リブ33a,33bに当接させて撓み部分Tの撓み量を減少させることにより、ジャムやシワを発生させることなくシートを搬送することができる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、シート案内リブ33a,33bを、シート吸着位置Aの下流から中継ガイド43のガイド領域にわたって設けたが、本発明は、これに限らない。シート案内リブ33a,33bは、少なくとも吸着ダクト27の負圧による吸引力が作用する吸着領域よりも下流から、分離したシートP1の下面をガイドする中継ガイド43の入り口までの領域に存在していれば良い。つまり、図6に示すように、吸着ダクト27の開口部29の下流端部Bより下流から中継ガイド43の入り口Cまでの領域に存在していれば良い。
【0042】
また、吸着ダクト27によるシートの吸引力に余裕があれば、シート案内リブ33a,33bを、吸着ダクト27の開口部29の下流端部Bからさらに上流へ延伸することができるため、より確実に局所的な撓みを分散・均等化することができる。また、本実施の形態では、紙面検知フラグ28の両側方である収納部31の開口部31aの両縁部から下流に向けて一対のシート案内リブ33a,33bを延設している。しかし、紙面検知フラグ28の一方の側方、つまり収納部31の開口部31aの一方の縁部にシート案内リブを設けるようにしても、局所的な撓みを分散・均等化する効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
11…シート収納部、12…シート給送装置、22…吸着搬送部、25a,25b…吸着搬送ベルト、26a,26b…リンク、27…吸着ダクト、28…紙面検知フラグ、31…収納部、31a…開口、33a,33b…シート案内リブ、40…エア吹き付け部、41…中継搬送部、43…中継ガイド、100…プリンタ、101…プリンタ本体、102…画像形成部、P…シート、PA…シート束、P1…最上位シート、T…撓み部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能なトレイに支持されたシートにエアを吹き付けてシートを浮上させ、浮上させたシートをシート搬送方向と平行に並列に配置された複数の吸着搬送ベルトに負圧によって吸着して搬送するシート給送装置において、
前記トレイに支持された最上位シートに当接するように前記複数の吸着搬送ベルトの間に配置され、前記吸着搬送ベルトのシート吸着面から下方に出没可能に設けられ、エアを吹き付けられて浮上し、負圧により前記吸着搬送ベルトに吸着されるシートにより押圧されて前記吸着搬送ベルトのシート吸着面から突出しない位置に移動可能な紙面高さ検知部材と、
前記複数の吸着搬送ベルトのシート吸着面のシートの吸着領域のシート搬送方向下流で、かつ前記複数の吸着搬送ベルトの間の位置に、前記吸着搬送ベルトのシート吸着面よりも下方に突出して設けられたシート案内部材と、
を備えることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記吸着搬送ベルトにより吸着搬送され、前記吸着搬送ベルトから分離したシートの下面を案内するガイド部材を備え、
前記シート案内部材を、少なくとも前記吸着搬送ベルトの吸着領域のシート搬送方向下流から前記ガイド部材の上方までの領域に設けたことを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
下方に開口部を有し、前記紙面高さ検知部材が前記吸着搬送ベルトのシート吸着面から突出しない位置に移動したときに収納される収納部を備え、
前記シート案内部材は、前記収納部の開口部のシート搬送方向と直交する幅方向の、少なくとも一方の縁部に沿って配置されたリブであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
画像形成部と、前記画像形成部にシートを給送する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−166864(P2012−166864A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26763(P2011−26763)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】