説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】圧接部の位置が変動しても安定してシートを分離することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート積載台に積載されたシートに圧接する方向に付勢された給送ローラと、給送ローラに圧接し、給送ローラにより送り出されるシートを1枚ずつ分離する分離部材の圧接部に、ガイド部により、シートを下方より支持して案内する。そして、このガイド部を、ローラ付勢部材により付勢された給送ローラの下方への移動に伴って分離部材と共に直線的に下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成に関し、特に給送ローラにより給送されたシートを分離する分離部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機等の画像形成装置には、シートを積載するシート収納部である給紙カセットと、給紙カセットに収納されたシートを1枚ずつ分離して給送する給送部とを備えたシート給送装置が設けられている。そして、このようなシート給送装置は、給紙カセットに積載されているシートを1枚ずつに分離する分離機構として、例えばフィードローラとリタードローラとを用いたリタード分離機構がある。また、ピックアップとフィード機能を兼ねる給紙ローラと分離部材(分離ローラや摩擦パッド)とを用いた分離機構がある。
【0003】
その中でシートをピックアップしてから分離部まで搬送するためのガイド構成は、安定した分離搬送を行うために重要な役割を担っている。そして、このような分離部のガイド構成に関する提案として、リタードローラを支持するローラ支持部材に、フィードローラとリタードローラとで形成するニップ部にシートを案内するガイドを設けたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
図9は、このような従来の分離部の一例を示す図である。図9において、201はピックアップとフィード機能を兼ねる給紙ローラであり、この給紙ローラ201は、バネ220により付勢されてシートSに圧接している。なお、このような分離部を備えたシート給送装置では、シートSの給送に伴い下がった紙面位置を不図示の紙面高さ位置検知手段により検知するようにしている。そして、紙面高さ位置検知手段の検知結果を不図示のリフトアップ駆動源にフィードバックすることにより、シートを上昇させ、シートの紙面位置を一定の範囲に保つようにしている。
【0005】
ところで、給紙ローラ201により送り出されたシートは、給紙ローラ201と分離部材の一例である分離ローラ202で形成される圧接部203により、1枚ずつ分離されて搬送される。ここで、分離ローラ202は、支点200を中心に回動可能なローラ支持部材204により支持されている。なお、このローラ支持部材204の回動端には、給紙ローラ201と分離ローラ202とで形成する圧接部203にシートを案内するガイド部204aが設けられている。そして、給紙ローラ201により送り出されたシートは、このガイド部204aにより、給紙ローラ201と分離ローラ202とで形成する圧接部203に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−222330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような従来のシート給送装置において、シートの紙面高さ位置の変動に伴い、ローラ支持部材204が破線に示す位置に移動し、これに伴って圧接部203の位置が変動すると共にシート搬送方向に対するガイド部204aの姿勢が変わる。このとき、リフトアップ駆動の制御バラツキや部品公差などの影響により、シートの紙面高さ位置の変動幅Hは3mm程度を考慮する必要がある。
【0008】
ここで、ガイド部204aが実線で示す位置から破線で示す位置に移動した場合、ガイド部204aと水平方向とのなす角度は33°から43°に変化する。また、ローラ支持部材204の支点200とガイド部204aとの距離αを、例えば30mmに設定すると、給紙ローラ201とガイド部204aとのクリアランスは1.2mmから3.3mmに広がる。
【0009】
そして、このようにガイド部204aと水平方向とのなす角度が大きくなると共に、給紙ローラ201とガイド部204aとのクリアランスが広がった場合、例えばシートの先端が下方にカールしていると、シートが搬送される際の抵抗力が大きなくる。この結果、シートを圧接部203に安定して搬送することができなくなる。
【0010】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、給送ローラ及び分離部材の圧接部の位置が変動しても安定してシートを分離することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シートを積載する昇降可能なシート積載台を有するシート収納部と、前記シート積載台の上方に設けられ、前記シート積載台に積載されたシートを給送する給送ローラとを備え、シートを給送する際には、前記給送ローラにシートを圧接させるように前記シート積載台を上昇させるシート給送装置において、前記給送ローラを上下方向に移動可能に支持する支持部と、前記給送ローラを前記シート積載台に積載されたシートに圧接する方向に付勢するローラ付勢部材と、前記給送ローラに圧接し、前記給送ローラにより送り出されるシートを1枚ずつ分離する分離部材と、前記給送ローラ及び前記分離部材の圧接部にシートを下方より支持して案内するガイド部と、を備え、前記ガイド部を、前記ローラ付勢部材により付勢された前記給送ローラの下方への移動に伴って前記分離部材と共に直線的に下降させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、給送ローラと分離部材の圧接部にシートを案内するガイド部を、給送ローラの下方への移動に伴って分離部材と共に直線的に下降させることにより、圧接部の位置が変動しても安定してシートを分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記カラーレーザプリンタのシート給送装置の構成を説明する図。
【図3】上記シート給送装置に設けられた給紙ローラの位置を検知する給紙ローラ位置検知センサの構成を説明する図。
【図4】上記シート給送装置の制御ブロック図。
【図5】上記シート給送装置に設けられた分離ローラと分離ローラ支持台の斜視図。
【図6】上記シート給送装置の給紙カセットをプリンタ本体へ挿入した後、シートを上昇させるリフトアップ制御を示すフローチャート。
【図7】上記シート給送装置の給紙動作制御及び給紙動作中のリフトアップ動作制御を示すフローチャート。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図。
【図9】従来の分離手段な従来の分離部の一例を示す図を使用した一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図である。図1において、10はカラーレーザプリンタ、10Aはカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。このプリンタ本体10AにはシートSに画像を形成する画像形成部10Bと、中間転写部10Cと、定着装置5と、画像形成部10BにシートSを給送するシート給送部10Dが設けられている。なお、このカラーレーザプリンタ10は、シートの裏面に画像を形成することができるようになっており、このため表面(一面)に画像が形成されたシートSを反転させて再度、画像形成部10Bに搬送する再搬送部10Eが設けられている。
【0015】
画像形成部10Bは、略水平方向に配置され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスステーション16(16Y,16M,16C,16K)を備えている。このプロセスステーション16は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像を担持すると共に不図示のステッピングモータにより駆動される像担持体である感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)を備えている。
【0016】
また、感光体ドラム表面を一様に帯電する帯電装置12(12Y,12M,12C,12K)を備えている。さらに、画像情報に基づいてレーザビームを照射して一定速度で回転する感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置13(13Y,13M,13C,13K)を備えている。また、感光体ドラム上に形成された静電潜像にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像装置14(14Y,14M,14C,14K)を備えている。そして、これら帯電装置12、露光装置13、現像装置14等は感光体ドラム11の周囲に回転方向に沿ってそれぞれ配されている。
【0017】
シート給送部10Dは、プリンタ本体下部に設けられ、シートSを収納するシート収納部である給紙カセット61〜64に積載収納されたシートSを送り出すシート給送装置71〜74を備えている。そして、画像形成動作が開始されると、シート給送装置71〜74によりシートSは給紙カセット61〜64から一枚ずつ分離給送される。この後、一枚ずつ分離給送されたシートSは、搬送縦パス81を通過して搬送水平パス88に達し、この後、搬送水平パス88に設けられたレジストローラ76に搬送される。
【0018】
ここで、このレジストローラ76は、シートSが突き当られてループを作成することにより、シートSの先端を倣わせ斜行を修正する機能を有している。また、シートSへの画像形成のタイミング、即ち、後述する中間転写ベルト上に担持されたトナー像に合わせて、所定のタイミングにてシートSを二次転写部へ搬送する機能を有している。なお、シートSが搬送される際、レジストローラ76は停止しており、このような停止状態のレジストローラ76にシートSを突き当てることにより、シートに撓みが形成される。そして、この後、シートSの剛性により、シート先端がレジストローラ76のニップに揃うようになることにより、シートSの斜行が補正される。
【0019】
中間転写部10Cは、感光体ドラム11の外周速度と同期して矢印に示す各プロセスステーション16の配列方向に沿って回転駆動される中間転写ベルト31を備えている。ここで、この中間転写ベルト31は、駆動ローラ33、中間転写ベルト31を挟んで二次転写領域を形成する従動ローラ32及び不図示のばねの付勢力によって中間転写ベルト31に適度な張力を与えるテンションローラ34に張架されている。
【0020】
この中間転写ベルト31は、内側には4個の、それぞれ感光体ドラム11と共に中間転写ベルト31を挟持し、一次転写部を構成する一次転写ローラ35(35Y,35M,35C,35K)が配されている。なお、これら一次転写ローラ35は不図示の転写バイアス用電源に接続されている。そして、この一次転写ローラ35から中間転写ベルト31に転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト31に多重転写され、中間転写ベルト31上にフルカラー画像が形成される。
【0021】
また、従動ローラ32に対向するように二次転写ローラ41が配置されており、この二次転写ローラ41は中間転写ベルト31の最下方の表面に当接すると共に、レジストローラ76により搬送されたシートSを中間転写ベルト31と共に挟持搬送する。そして、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31のニップ部をシートSが通過する際、この二次転写ローラ41にバイアスを印加することにより、シートSに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。定着装置5は中間転写ベルト31を介してシート上に形成されたトナー画像をシートSに定着させるものであり、トナー像を保持したシートSは、この定着装置5を通過する際に熱及び圧力が加えられることによりトナー像が定着される。
【0022】
次に、このように構成されたカラーレーザプリンタ10の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず中間転写ベルト31の回転方向において一番上流にあるプロセスステーション16Yにおいて、感光体ドラム11Yに対し、露光装置13Yによりレーザ照射を行い、感光体ドラム上にイエローの潜像を形成する。この後、現像装置14Yにより、この潜像をイエローのトナーにより現像してイエローのトナー像を形成する。次に、このようにして感光体ドラム11Y上に形成されたイエローのトナー像が、高電圧が印加された一次転写ローラ35Yにより、一次転写領域において中間転写ベルト31に一次転写される。
【0023】
次に、トナー像は中間転写ベルト31と共に、プロセスステーション16Yよりもトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像が形成される次のプロセスステーション16Mの感光体ドラム11Mと転写ローラ35Mとにより構成される一次転写領域に搬送される。そして、中間転写ベルト上のイエロートナー像上に画像先端を合わせて次のマゼンタトナー像が転写される。以下、同様の工程が繰り返され、この結果、4色のトナー像が中間転写ベルト31上において一次転写され、中間転写ベルト上にフルカラー画像が形成される。なお、感光体ドラム上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ15(15Y,15M,15C,15K)により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0024】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット61〜64に収容されたシートSは、シート給送装置71〜74により一枚ずつ分離給送された後、搬送ローラ77を経てレジストローラ76まで搬送される。この時、レジストローラ76は停止しており、停止状態のレジストローラ76にシートSを突き当てることにより、シートSの斜行が補正される。また、斜行が補正された後、シートSは、シート先端と中間転写ベルト31に形成されたトナー像とが一致するタイミングで回転を開始するレジストローラ76により、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31とのニップ部に搬送される。そして、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31により挟持搬送されると共に、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31のニップ部を通過する際、二次転写ローラ41に印加されるバイアスにより、シートSに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。
【0025】
次に、トナー像が二次転写されたシートSは、定着前搬送装置42により定着装置5へと搬送される。そして、定着装置5は、対向するローラ、もしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナー像を溶融固着させる。ここで、本カラーレーザプリンタ10は、シートSの片面に画像形成する片面モードと、シートの表裏両面に画像形成を行う両面モードを有している。そして、片面モードの場合には定着画像を有するシートSを排紙搬送パス82に、両面モードの場合には定着画像を有するシートSを反転誘導パス83に搬送すべく不図示の切換部材による経路選択が行われる。
【0026】
ここで、片面モードの場合には、定着画像を有するシートSは排紙搬送パス82を経て排紙ローラ80により、排紙トレイ65に排出される。また、両面モードの場合は、シートSは反転誘導パス83を経て第1反転ローラ対78及び第2反転ローラ対79によりスイッチバックパス84へと引き込まれる。この後、シートSは、第2反転ローラ対79の正逆転によるスイッチバック動作により、先後端が反転した状態で両面搬送パス85へと搬送される。
【0027】
次に、両面搬送パス85を搬送されたシートSはシート給送装置71〜74により搬送されてくる後続ジョブのシートSとのタイミングを合わせて搬送縦パス81に合流し、同様に搬送水平パス88からレジストローラ76を経て二次転写部へと送られる。なお、この後の裏面(2面目)に対する画像形成プロセスに関しては、既述した表面(1面目)の場合と同様である。
【0028】
図2は、シート給送装置71の構成を示す図である。なお、他のシート給送装置72〜74も同様の構成を有している。シート給送装置71は、シートSを積載する昇降可能なシート積載台である中板110を有し、シート給送装置本体を兼ねるプリンタ本体10Aに着脱自在に装着されるシート収納部である給紙カセット61を備えている。また、シート給送装置71は、中板110の上方に上下方向に移動可能に設けられ、中板110に積載されたシートSを給送する給送ローラである給紙ローラ101を備えている。
【0029】
なお、図2において、105は給紙ローラ101に接離可能に圧接し、給紙ローラ101により送り出されたシートを分離する分離部材である分離ローラである。そして、この分離ローラ105と給紙ローラ101とにより、シートを1枚に分離・給送する分離部が構成される。
【0030】
ここで、中板110は、後述する図4に示すリフタモータ140と、不図示の駆動ギアと、リフタ軸111aを支点として上下方向に回動するリフタ111によって構成される昇降機構により、不図示の支点を中心に上下方向に回動する。なお、シートを給送する際にはリフタ111を上方回動させて中板110を上昇させ、給紙カセット61が引き出される際には、給紙カセット61の引き出し動作に連動して中板110をリフタ111と一体に自重又はシートの荷重により下降させる。さらに、シートSが給紙されて最上位シートの高さが低くなると、リフタモータ140が駆動され、最上位シートの高さが給紙可能高さになるように中板110を上昇させる。
【0031】
また、給紙ローラ101は、給紙ローラ軸受け102により回転自在に支持されている。ここで、この給紙ローラ軸受け102は給紙フレーム104により、ローラ付勢部材である給紙ローラ加圧バネ103により矢印101bで示す略下向きに加圧された状態で上下にスライド可能に支持されている。つまり、本実施の形態において、給紙ローラ101は、給紙ローラ軸受け102を介して給紙ローラ加圧バネ103により略下向きに加圧された状態で給紙フレーム104により上下に直線的にスライド可能に支持されている。なお、本実施の形態において、給紙ローラ軸受け102と給紙フレーム104により、給紙ローラ101を上下方向に直線的に移動可能に支持する支持部71aが構成される。
【0032】
これにより、後述するようにシートが順次給送されると、給紙ローラ101は、給紙ローラ軸受け102と一体に徐々に下降する。なお、給紙ローラ軸受け102には突起部102aが設けられている。また、プリンタ本体10Aには、図3に示すように、センサフラグである突起部102aを検知するセンサ部である給紙ローラ位置検知センサ130が設けられており、給紙ローラ101が所定量下降すると、給紙ローラ位置検知センサ130は、これを検知する。
【0033】
そして、この給紙ローラ位置検知センサ130の検知信号は、図4に示すように、シート給送装置71のシート給送動作を制御するCPU150に入力される。なお、このCPU150には、給紙ローラ位置検知センサ130、既述したリフタモータ140の他、給紙ローラ101を駆動させる給紙モータ131が接続されている。また、CPU150には、プリンタ本体10Aに給紙カセットが装着されているかを検知するカセット有無検知センサ141が接続されている。また、不図示の外部PCから給紙動作を開始される給紙信号が入力される。
【0034】
そして、このように給紙ローラ101の位置を検知することにより、中板110に積載された最上位シートの高さを検知する紙面検知部である給紙ローラ位置検知センサ130から検知信号が入力されると、CPU142は所定時間リフタモータ140を駆動する。これにより、中板110が上昇し、このように中板110が上昇することにより、給紙ローラ101は給紙ローラ加圧バネ103により、シートSに圧接し、シートSに対し給紙可能な加圧力が与えられる。
【0035】
また、分離ローラ105は、不図示のトルクリミッタを内蔵している。そして、分離ローラ105は給紙ローラ101の回転力に連れ回り、シートSが給紙ローラ101及び分離ローラ105の圧接部である分離ニップ120まで一枚だけ送り出されたときはそのまま連れ回る。また、シートSが二枚以上送り出された場合には、トルクリミッタにより分離ローラ105の連れ回りが停止する。これにより、略分離ニップ120の位置にてシートSが1枚ずつ分離搬送される。
【0036】
なお、この分離ローラ105は、図5に示すように、シートSを分離ニップ120へ誘導するガイド部106aを有する分離ローラ支持台106により上下方向に移動可能に保持されると共に、分離加圧バネ107により給紙ローラ101に圧接している。ここで、分離ローラ支持台106は、図2に示すプリンタ本体10Aに固定されている分離フォルダ108に直線的にスライド可能に保持されている。つまり、分離ローラ105は、分離ローラ支持台106及び分離フォルダ108を介してプリンタ本体10Aに直線的にスライド可能に保持されている。
【0037】
なお、分離ローラ105を付勢する分離加圧バネ107のバネ力は、給紙ローラ101を付勢する給送ローラ付勢部である給紙ローラ加圧バネ103のバネ力よりも小さく設定されている。これにより、後述するようにシートが順次給送され、最上位のシートの位置が低くなると、給紙ローラ101は、分離ローラ105を押し下げながら下降することができるようになっている。
【0038】
ここで、分離ローラ支持台106は、プリンタ本体10Aに直線的にスライド可能に設けられているので、給紙ローラ101が下降すると、分離ローラ105と共に分離ローラ支持台106も直線的に下降する。そして、このように分離ローラ支持台106が直線的に下降する場合、シートを下方より支持して分離ニップ120へ案内するガイド部106aは同じ姿勢を保ったまま下降する。
【0039】
なお、図2において、115は分離ローラ支持台106のシート給送方向と直交する幅方向の側方に配置され、分離ニップ120の上流から下流にわたってシートSを案内する固定ガイドである。この固定ガイド115はプリンタ本体10Aに固定され、分離ニップ120の図2の破線で示す給紙動作中の最下点位置よりも下方向に配置されている。言い換えれば、給紙動作中に下限となる分離ニップ120を通る給紙ローラ101の接線よりも下方に配置されている。そして、このような位置に固定ガイド115を設けることにより、分離ニップ120が最下点位置に移動した場合でも、シートを確実に分離ニップ120に案内することができる。
【0040】
次に、このように構成されたシート給送装置71の、給紙カセットをプリンタ本体10Aへ挿入した後、シートSを上昇させるリフトアップ制御について図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0041】
シートSが積載された給紙カセット61がプリンタ本体10Aに挿入されると、カセット有無検知センサ141がONになり(S50)、リフタモータ140が駆動を開始(ON)する(S51)。そして、このリフタモータ140の駆動力はリフタ111に伝達されてシートSが積載されている中板110が上方回動し、シートSをリフトアップする。この後、最上紙のシートSが給紙ローラ101に当接する。
【0042】
ここで、給紙ローラ101は、既述したように給紙ローラ加圧バネ103により略下向きに加圧され、かつ給紙フレーム104により上下にスライド可能に支持されている。これにより、給紙ローラ101は、シートが当接した後は、給紙ローラ加圧バネ103の加圧力に抗して持ち上げられる。そして、このように給紙ローラ101が持ち上げられると、図3に示すように、給紙ローラ位置検知センサ130が突起部102aを検知してONとなる(S52)。
【0043】
ここで、このように、給紙ローラ位置検知センサ130がONになると、CPU150は、この後、所定時間が経過すると、リフタモータ140の駆動を停止(OFF)する(S53)。これにより、初期のリフトアップが完了する。なお、このようにリフトアップが完了したとき、給紙ローラ加圧バネ103により、給紙ローラ101はシートSに対し給紙可能な加圧力が与えられている。
【0044】
次に、シート給送装置71の給紙動作制御及び給紙動作中のリフトアップ動作制御について図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0045】
初期のリフトアップ動作が完了した後、不図示の外部PC等から給紙信号を受け取ると、CPU150は、給紙モータ131の駆動を開始する。ここで、給紙モータ131の駆動力は給紙ローラ101に伝達され、給紙ローラ101は図2に示す矢印101cの方向に回転する。これにより、シートは給紙ローラ101により送り出され、この後、給紙ローラ101と分離ローラ105で形成される分離ニップ120に搬送される。そして、この分離ニップ120を通過する際、シートは略分離ニップ120の位置にて1枚ずつ分離搬送される。その後、上述したように搬送縦パス81へ送り出され、1枚の給紙動作が完了する。
【0046】
このとき、給紙ローラ位置検知センサ130がOFFでない場合(S60のN)、すなわち給紙ローラ位置検知センサ130がONの場合には、リフタモータ140は駆動せず、給紙モータ131をONのままとする(S61)。そして、1枚のシートの給紙が終了すると(S62)、給紙モータ131をOFFとする(S63)。この後、JOBが終了したかを判断し(S64)、JOBが終了していない場合には(S64のN)、S60〜S64を繰り返す。
【0047】
ところで、このように1枚のシートの給紙が終了する都度、最上位のシートの紙面位置はシート1枚分下がる。このとき、給紙ローラ101は給紙ローラ加圧バネ103の加圧力により最上位のシートの紙面位置に追従して下降する。
【0048】
そして、給紙ローラ101が図2に示す距離Lだけ下降して破線で示した位置まで下がると、給紙ローラ位置検知センサ130がOFFになる。このように給紙ローラ位置検知センサ130がOFFになると(S60のY)、リフタモータ140を駆動(ON)する(S65)。これにより、中板110が上方回動し、シートSをリフトアップする。この後、最上位のシートSが給紙ローラ101に当接し、給紙ローラ101は、給紙ローラ加圧バネ103の加圧力に抗して持ち上げられる。
【0049】
次に、このように持ち上げられた給紙ローラ101の位置を検知して給紙ローラ位置検知センサ130がONとなると(S66)、所定時間経過してからリフタモータ140の駆動を停止する(S67)。そして、このように制御することにより、シート給送動作中の中板110上に積載されたシートSの最上紙のシートの上面の位置は図2の距離Lの範囲内に維持される。
【0050】
ところで、既述したように1枚のシートの給紙が終了する都度、給紙ローラ101は給紙ローラ加圧バネ103の加圧力により最上位のシートの紙面位置に追従して下降する。そして、既述したように分離加圧バネ107のバネ力は、給紙ローラ加圧バネ103のバネ力よりも小さく設定されているので、給紙ローラ101が下降すると、分離ローラ105及び分離ローラ支持台106の位置も下がると共に、分離ニップ120の位置も下がる。
【0051】
ここで、分離ローラ105と共に分離ローラ支持台106が直線的に下降する場合、既述したようにガイド部106aは同じ姿勢を保ったまま下降する。このため、分離ニップ120の位置が下がっても、給紙ローラ101により給送されるシートは、ガイド部106aにより安定して分離ニップ120へ案内される。これにより、分離ニップ120の位置が変動しても安定してシートを分離することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態においては、分離ニップ120にシートを案内するガイド部106aを、給紙ローラ101の下方への移動に伴って分離ローラ105と共に直線的に下降させるようにしている。これにより、ガイド部106aは分離ニップ120の位置に対し同じ姿勢を保つことができるので、最上位のシートの紙面位置の変化に伴って分離ニップ120の位置が変動しても安定してシートSを分離することができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図8において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0054】
図8において、160は支点160bを回動中心として回動する給紙ローラフォルダであり、給紙ローラ101は、この給紙ローラフォルダ160の回動端部に回転自在に支持されている。また、162は給紙ローラ101と圧接して分離ニップ164を形成する摩擦パッドである。
【0055】
ここで、上下方向に移動可能な分離部材支持部である給紙ローラフォルダ160は、給送ローラ付勢部である給紙ローラ加圧バネ103によって下方に付勢されている。これにより、給紙ローラ101は、給紙ローラフォルダ160を介して給紙ローラ加圧バネ103により略下向きに加圧されて上下方向に回動可能となっている。また、摩擦パッド162は、シートSとの間の摩擦抵抗がシート間の摩擦抵抗より大きいため、略分離ニップ164の位置にてシートを1枚ずつ分離することができる。
【0056】
ここで、この摩擦パッド162は、シートSを下方から支持して分離ニップ164へ案内するガイド部165aを有する摩擦パッド支持台165により保持されると共に、分離加圧バネ107により給紙ローラ101に圧接している。ここで、摩擦パッド支持台165は装置本体に固定されている分離フォルダ108に直線的にスライド可能に保持されている。つまり、摩擦パッド162は、摩擦パッド支持台165及び分離フォルダ108を介して装置本体に直線的にスライド可能に保持されている。
【0057】
なお、摩擦パッド162を付勢する分離加圧バネ107のバネ力は、給紙ローラ101を付勢する給紙ローラ加圧バネ103のバネ力よりも小さく設定されている。これにより、シートが順次給送され、最上位のシートの位置が低くなると、給紙ローラ101は、摩擦パッド162を押し下げながら下降することができるようになっている。
【0058】
ここで、摩擦パッド支持台165は、直線的にスライド可能に設けられているので、給紙ローラ101が下降すると、摩擦パッド162と共に摩擦パッド支持台165も直線的に下降する。そして、このように摩擦パッド支持台165が直線的に下降する場合、シートを下方より支持して分離ニップ120へ案内するガイド部106aは同じ姿勢を保ったまま下降する。このため、分離ニップ120の位置が下がっても、給紙ローラ101により給送されるシートは、ガイド部106aにより安定して分離ニップ120へ案内される。これにより、分離ニップ120の位置が変動しても安定してシートを分離することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態においては、ガイド部106aを、給紙ローラ101の下方への移動に伴って摩擦パッド162と共に直線的に下降させるようにしている。これにより、ガイド部106aは分離ニップ120の位置に対し同じ姿勢を保つことができるので、最上位のシートの紙面位置の変化に伴って分離ニップ120の位置が変動しても安定してシートSを分離することができる。
【0060】
なお、これまでの説明においては、給紙ローラ101を加圧する2つの加圧構成と、2つの分離手段を説明したが、これらの組み合わせは、既述した第1及び第2の実施の形態に限定するものではない。また、これまでの説明においては、分離ローラはトルクリミッタを内蔵するものであったが、トルクリミッタと分離ローラが別体であっても良い。また、リフタモータ140の制御に関して、給紙ローラ101の位置の検知結果をフィードバックして制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、最上位のシートSの位置を、フラグセンサとフォトインタラプタで検知し、その結果をリフタモータ140の制御にフィードバックしても良い。
【0061】
また、分離手段は直線的にスライドする構成であれば良く、鉛直方向に限定するものではない。また、ガイド部106aの形状は図2に示したものに限定されるものではなく、分離ニップ120の位置よりもシート給送方向上流側に設けられ、分離ニップ位置にシートを案内できる形状であれば良い。
【符号の説明】
【0062】
10…カラーレーザプリンタ、10A…カラーレーザプリンタ本体、10B…画像形成部、10D…シート給送部、61〜64…給紙カセット、71〜74…シート給送装置、101…給紙ローラ、102…給紙ローラ軸受け、102a…突起部、103…給紙ローラ加圧バネ、104…給紙フレーム、104a…回動支点、105…分離ローラ、110…中板、120,164…分離ニップ、130…給紙ローラ位置検知センサ、140…リフタモータ、142…CPU、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する昇降可能なシート積載台を有するシート収納部と、前記シート積載台の上方に設けられ、前記シート積載台に積載されたシートを給送する給送ローラとを備え、シートを給送する際には、前記給送ローラにシートを圧接させるように前記シート積載台を上昇させるシート給送装置において、
前記給送ローラを上下方向に移動可能に支持する支持部と、
前記給送ローラを前記シート積載台に積載されたシートに圧接する方向に付勢するローラ付勢部材と、
前記給送ローラに圧接し、前記給送ローラにより送り出されるシートを1枚ずつ分離する分離部材と、
前記給送ローラ及び前記分離部材の圧接部にシートを下方より支持して案内するガイド部と、を備え、
前記ガイド部を、前記ローラ付勢部材により付勢された前記給送ローラの下方への移動に伴って前記分離部材と共に直線的に下降させることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記分離部材を支持する上下方向に移動可能な分離部材支持部を備え、
前記分離部材支持部の、前記給送ローラ及び前記分離部材の圧接部のシート給送方向上流側に前記ガイド部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記給送ローラ及び前記分離部材の圧接部にシートを下方より支持して案内する固定ガイドを備え、
前記固定ガイドを、前記圧接部が下限となるときの前記給送ローラの接線よりも下方に配置することを特徴とする請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−6660(P2013−6660A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140347(P2011−140347)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】