説明

シート給送装置

【課題】 原稿の分離を行うための分離ローラと、分離ローラにより分離された原稿を分離ローラから引き抜くための引き抜きローラとを1つのモータで選択的に駆動する構成で、1枚原稿を分離してから次の原稿の分離開始までの時間を短縮し、生産性の低下を防ぐ。
【解決手段】 分離モータ823を逆転駆動すると分離ローラ2が回転し、分離モータ823を正転駆動すると引き抜きローラが回転するよう構成し、分離ローラ2で分離された原稿の後端を引き抜きローラ3とレジストローラ4で搬送中に、分離ローラの下流の分離後センサ15により検知されると、引き抜きローラ3の搬送速度を増加させ、シート後端が引き抜きローラを抜けると、次のシートの分離のために、分離モータ823を逆転駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置におけるシートの分離に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像読み取り装置は、原稿台の下方に備えられた光学式ユニットを用いて、原稿台に載せられた原稿の画像を読み取る。もしくは、画像読取装置に設けられる自動原稿給送装置(以下、ADFと記載する。)によって、原稿トレイから搬送されるシート原稿の画像を読み取る。
【0003】
ADFの原稿分離給紙機構では、分離ローラおよび給紙ローラを、それぞれ独立したモータで制御したり、1つのモータでクラッチを接続して制御したりする事が一般的である。しかし、モータやクラッチを多用すると、装置が大型化したりコストアップになるため、様々な工夫がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1では、正転・逆転駆動する1つのモータと、正転時に駆動する駆動軸1と逆転時に駆動する駆動軸2を設けている。駆動軸1には分離ローラが接続され、駆動軸2のレジストローラ(給紙ローラ)が接続されており、モータを正転・逆転させることで、分離・給紙搬送を行い、装置の小型化およびローコスト化を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−199556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つのモータの回転方向の変化により分離と給紙(引き抜き)を行う分離給紙機構にした場合、原稿後端が給紙ローラを抜けるまではモータの回転方向を変化させる事ができない。そのため、原稿後端が給紙ローラを抜けてモータを停止させるまで次原稿の分離ができなくなり、原稿の給送間隔が長くなってしまう。その結果、原稿読取の生産性が低下してしまうといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のシート給送装置は、給送されるべき複数のシートが積載される給送トレイと、前記給送トレイに積載される複数のシートを1枚ずつ分離するための分離ローラと、シートの搬送方向で前記分離ローラの下流に配置され、前記分離ローラにより分離されたシートを前記分離ローラから引き抜いて搬送するための引き抜きローラと、前記分離ローラと前記引き抜きローラを駆動する共通のモータと、前記モータとは別のモータで駆動されるとともに、前記引き抜きローラの下流に配置され、前記引き抜きローラにより搬送されたシートを一時的に停止させ、所定のタイミングで再搬送するためのレジストローラと、前記引き抜きローラを停止させた状態で前記分離ローラを駆動する制御と前記分離ローラを停止させた状態で前記引き抜きローラを駆動する制御を行うよう前記モータを制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記分離ローラを停止させた状態で前記引き抜きローラと前記レジストローラとによりシートを搬送中に、該シートの後端が前記分離ローラを抜けると、前記引き抜きローラの搬送速度を前記レジストローラの搬送速度よりも大きくなるように増速させ、該シートの後端が前記引き抜きローラを抜けると、前記引き抜きローラを停止した状態で前記分離ローラを駆動するよう前記モータを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
積載されたシートの分離する分離ローラと分離ローラからシートを引き抜く引き抜きローラとを共通のモータで駆動する構成でも、シート後端が引き抜きローラを抜けるまでの時間を短縮することが可能になり、次シートの分離開始タイミングを前倒しできる。そのため、生産性の低下を軽減する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ADFを含む画像読取装置の断面図
【図2】ADFを含む画像読取装置の制御ブロック図
【図3】分離給紙制御の動作説明図
【図4】給紙ローラで原稿後端を引き抜く時の動作説明図
【図5】原稿位置を示す図
【図6】ADFの各部の信号のタイムチャート
【図7】分離給紙制御の動作を示すフローチャート
【図8】原稿のレジストレーション制御を示すフローチャート
【図9】原稿情報入力画面を示す図
【図10】原稿坪量を考慮した分離給紙制御の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態の原稿給送部(以下、ADF)を含む画像読取装置の構成を示す断面図である。画像読取装置500は、画像読取部200、自動原稿給送部100、及び図1には図示しないコントローラ部から構成されている。
【0011】
ADF100の動作について、図1を用いて説明する。ADF100は、1枚以上の原稿シートで構成される原稿束Sを積載する給送トレイとしての原稿トレイ30と、分離機構として原稿束Sが原稿トレイ30より突出して下流への進出を規制する分離ローラ2・分離パッド21と、ピックアップローラ1とを有する。ピックアップローラ1は、原稿トレイ30に積載された原稿束Sの表面に落下して回転する。これにより、原稿束の最上面の原稿が給紙される。ピックアップローラ1によって給送された原稿は、分離ローラ2と分離パッド21の作用によって1枚に分離される。この分離は周知のパッド分離技術によって実現されている。
【0012】
分離ローラ2と分離パッド21によって分離された原稿は、引き抜きローラ対3により引き抜かれ、レジストレーションローラ(以下レジストローラと略す)4に原稿を突き当てられる。分離ローラ2と引き抜きローラ3とは後述するように共通のモータで、その回転方向に応じて排他的に回転駆動される。レジストローラ4の上流にはループ空間60があり、レジストローラ4に突き当てられた原稿の先端側に撓みが生じることにより、原稿の斜行が解消される。レジストローラ4は、分離ローラ2、引き抜きローラ3を駆動するモータとは別のモータで駆動される。原稿の先端はレジストローラの位置で一時的に搬送が停止され、その後所定のタイミングでレジストローラ4が駆動され、原稿は再搬送される。レジストローラ4の下流側には、レジストローラ4を通過する原稿を流し読みガラス201へ搬送する搬送路(給紙パス)が配置されている。
【0013】
給紙パスに送られた原稿は、表面読み取り搬送ローラ対5及び表面読み取り上流ローラ51、表面読み取り下流ローラ52によって表面流し読み位置に搬送される。表面流し読みガラス201と表面ガラス対向部材6の間を通過する原稿の表面は表面LED203a、203bで照射される。その反射光が表面用ラインセンサ208に結像されることによって原稿の表面の画像が読み取られる。表面読み取り下流ローラ対52により搬送された原稿は、裏面読み取り搬送ローラ7及び裏面読み取り上流ローラ53、裏面読み取り下流ローラ54によって裏面読み取り位置に搬送される。裏面流し読みガラス101と裏面ガラス対向部材8の間を通過する原稿の裏面は裏面LED103a、103bで照射される。その反射光が裏面用ラインセンサ108に結像されることによって原稿の裏面の画像が読み取られる。裏面読み取り下流ローラ対54により搬送された原稿は排紙センサ11を通過しながら排紙ローラ対12によって排紙トレイ13まで搬送される。
【0014】
また、原稿トレイ30には、積載された原稿束の搬送方向に直交する幅方向にスライド可能なガイド規制板(不図示)が設けられているとともに、このガイド規制板に連動して原稿幅を検出する原稿幅検知センサ(不図示)が設けられている。上記原稿幅検知センサにより原稿の幅が検知される。また、搬送パス内に設けられた分離後センサ15や、リードセンサ18の原稿通過時間と原稿搬送速度から原稿の搬送後方長さが検出される。そして、これらの組み合わせから原稿サイズが判別される。
【0015】
また、原稿トレイ30には原稿有無検知センサ14があり、原稿トレイ上の原稿の有無が判断できるようになっている。
【0016】
図2は、ADFを含む画像読取装置の制御ブロック図である。画像読取部200およびADF100は、中央演算処理装置である制御部(以下、CPU)801、リードオンリーメモリ(以下、ROM)802、ランダムアクセスメモリ(以下、RAM)803を備えている。ROM802には制御用プログラムが格納されており、RAM803には入力データや作業用データが格納されている。読み取り部02は、図1の表面LED203a、203b、表面用ラインセンサ208、裏面LED103a、103b、裏面用ラインセンサ108等を含み、原稿の読取を行う。分離モータ823は、ピックアップローラ1の昇降および、ピックアップローラ1、分離ローラ2、引き抜きローラ対3を回転させる。レジストモータ824はレジストローラ対4を回転させる。リードモータ825は、表面読み取り搬送ローラ対5、表面読み取り上流ローラ51、表面読み取り下流ローラ52、裏面読み取り搬送ローラ対7及び裏面読み取り上流ローラ53、裏面読み取り下流ローラ54、排紙ローラ対12を回転させる。分離後センサ15は、分離ローラ2によって搬送された原稿端部を検知する。原稿有無検知センサ14は、原稿トレイ30上の原稿の有無を検知する。レジストセンサ17は、レジストローラ対4により搬送された原稿を検知する。
【0017】
コントローラ300は、CPU901、ROM902、RAM903を備えており、ROM902には制御用プログラムが格納されており、RAM903には入力データや作業用データが格納されている。CPU901は、CPU801とのシリアル通信ラインを介して画像読取制御に関するデータの授受を行う。また、原稿情報入力部904を備えており、CPU901は、原稿情報入力部904で入力された原稿情報をCPU801に通知する。
【0018】
図3は、分離給紙制御の動作を説明するための図である。まず、原稿トレイ30に積載された原稿束Sから1番上の原稿を分離するため、分離モータ823が第1の方向(逆回転方向)に回転する。分離モータ823が逆回転すると、ギア(不図示)を介して接続されたピックアップローラ1と分離ローラ2が搬送方向に回転する。この時、引き抜きローラ対3もギア(不図示)を介して分離モータ823と接続されているが、分離モータ823が逆回転時には駆動が伝達しないようなギア構成になっているため回転しない。そして、ピックアップローラ1と分離ローラ2の回転により原稿は搬送方向下流側へ引き込まれる。原稿の状態等によっては複数枚引き込まれるが分離ローラ2と分離パッド21によって1番上側の原稿のみが分離される。
【0019】
分離された原稿は、ピックアップローラ1と分離ローラ2の搬送により、引き抜きローラ対3に到達する。引き抜きローラ対3に到達した時点で分離モータ823が停止し、ピックアップローラ1と分離ローラ2の回転が停止する。原稿先端が引き抜きローラ対3に到達した事は、分離後センサ15で原稿先端を検知してから所定時間の経過で判断される。
【0020】
次に、図3(b)のように分離モータ823が第1の方向とは反対の第2の方向(正回転方向)に回転すると、引き抜きローラ対3が搬送方向に回転し、引き抜きローラ対3に到達していた原稿が内部に引き抜かれる。この時、ピックアップローラ1と分離ローラ2は、分離モータ823が正回転時には駆動が伝達しないようなギア構成になっているため、モータ駆動による回転はしない。ただし、引き抜かれている原稿によって搬送方向へ回転する。
【0021】
引き抜かれている原稿の先端は、回転していないレジストローラ対4に到達する。到達後も所定時間引き抜きローラ対3で原稿を押しこむことによりループ領域60内で原稿に撓みが生じる。そして、原稿の先端側が所定量撓むタイミングで、図3(c)のようにレジストモータ824が駆動すると、レジストローラ対4が搬送方向に回転し、原稿はさらに内部に引き込まれる。この時、原稿はレジストローラ対4と引き抜きローラ対3の回転によって搬送される。
【0022】
図4は引き抜きローラ3で原稿後端を引き抜く時の動作を説明するための図である。図4(a)のように、原稿はレジストローラ対4と引き抜きローラ対3による原稿搬送中に、原稿後端が分離後センサ15を通過したタイミングで、引き抜きローラ3の搬送速度が所定速度まで増速するように分離モータ823が加速する。このときの所定速度は、レジストローラ4の搬送速度<引き抜きローラ3の速度の関係となる。分離モータ823が加速することで、原稿後端が引き抜きローラ対3を抜けるタイミングを早めることができる。搬送速度を加速させるタイミングをこのタイミングとする理由は、この時点で初めて原稿の搬送方向の長さが判るからである。もし、原稿後端が分離ローラ2を抜ける前に分離モータ823を加速させてしまうと、原稿後端が分離ローラ2を抜けるタイミングが不明なため、原稿のたわみがループ空間60に収まりきらなくなってしまう。
【0023】
分離モータ823の加速によって、原稿は、後ろから押し込み気味に搬送されるが、原稿後端は既に分離ローラ2を通過しており、図4(b)のように原稿の撓みがループ空間60に収まるため、原稿にしわ等は発生しない。上述した所定速度は、原稿撓み量がループ空間60に収まる速度になるように算出される。
【0024】
原稿後端が引き抜きローラ対3を抜けると、分離モータ823が停止し、図4(c)のように分離モータ823が逆回転を開始し、次の原稿の給紙が行われる。原稿後端が引き抜きローラ対3を抜けたことは、引き抜きセンサ16が原稿後端を検知してから所定時間経過することにより判定される。
【0025】
図5は、本実施形態における制御実施時と未実施時(従来)の給紙原稿位置の比較を示す図であり、図6は、分離モータ823の駆動信号、分離後センサ15、引き抜きセンサ16の出力を示すタイミングチャートである。
【0026】
t1は原稿後端が分離後センサ15を通過するタイミングであり、従来は分離モータの速度を変化させないが、本実施形態では、分離モータ823を加速させている。 本実施形態では、分離モータ823を加速させていることにより、従来よりも早いタイミングt2で原稿後端が引き抜きセンサ16を抜ける。t3から所定時間後に原稿後端が引き抜きローラ対3を抜ける。従来は、タイミングt2とt3の間のタイミングで原稿後端が引き抜きセンサ16を抜け、タイミングt3で原稿後端が引き抜きローラ対3を抜ける。本実施形態では、タイミングt3で既に次原稿の分離が開始されている。本実施形態では、タイミングt4で次原稿先端が引き抜きセンサ16に到達する。従来は、タイミングt4の時点では、次原稿はまだ引き抜きセンサ16には到達していない。このように本実施形態の構成では、給紙間隔を短縮することができ、原稿読取の生産性を向上させることができる。
【0027】
図7は原稿の分離給紙制御を表すフローチャートである。このフローチャートは、ROM802に格納されたプログラムに従ってCPU801により実行される。
【0028】
CPU901によって紙搬送指令があるとこのフローチャートが実行される。CPU801は、分離モータ823を逆回転で駆動させてピックアップローラ1と分離ローラ2を搬送方向に回転させることにより、原稿トレイ30に積載されている原稿を分離する(S601)。次にCPU801は、原稿先端が引き抜きローラ対3に到達したか否かを判断する(S602)。到達の判断は、原稿先端が引き抜きセンサ16を通過してから所定時間が経過することにより判断される。次に、原稿先端が引き抜きローラ対3に到達すると、CPU801は、分離モータ823を停止させる(S603)。次にCPU801は、分離モータ823を正回転で駆動させて引き抜きローラ対3を搬送方向に回転させることにより、分離された原稿の引き抜きを開始する(S604)。次にCPU801は、原稿の後端が分離後センサ15を通過したかを判断する(S605)。次に、原稿後端が分離後センサ15を通過したら、CPU801は、分離モータ823を所定速度まで加速させる(S606)。次にCPU801は、原稿後端が引き抜きローラ対3を抜けたかを判断する(S607)。抜けたことの判断は、原稿先端が引き抜きセンサ16を通過してから所定時間が経過することにより判断される。所定時間経過すると、原稿後端が分離後センサ15を通過したことになるので、CPU801は、分離モータ823を停止させる。(S608)。次に、CPU801は、原稿トレイ30に次の原稿が存在するかを原稿有無検知センサ14により判断する(S609)。次の原稿があれば、CPU801は、トレイ30上の原稿がなくなるまでS601〜S608の処理を繰り返す。
【0029】
図8は原稿のレジストレーション制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、ROM802に格納されたプログラムに従ってCPU801により実行される。
【0030】
CPU901によって紙搬送指令があるとこのフローチャートが実行される。なお、図7の分離給紙制御のフローチャートと時分割で実行される。
【0031】
まず、CPU801は、レジストセンサ17に原稿が到達したかを判断する(S701)。レジストセンサ17に原稿が到達すると、CPU801は、原稿に所定量の撓みを形成させるための撓み形成時間が経過するのを待つ(S702)。この時レジストローラ対4は停止している。撓み形成時間はレジストセンサ17に到達したときの原稿の搬送速度によって変わる。撓み形成時間が経過すると、CPU801は、レジストモータ824を駆動しレジストローラ4を回転させ、原稿の搬送を再開させる(S703)。次に、CPU801は、原稿後端がレジストローラ対4を抜けたかを判断し(S704)、後端が抜けたらレジストモータ824の駆動を停止する(S705)。原稿がレジストローラ対4抜けたことの判断は、原稿先端がレジストセンサ17を通過してから所定時間が経過したことで判断される。次に、CPU801は、搬送した原稿が最終原稿か否か判断し(S706)、最終原稿でなければ、次の原稿がレジストセンサ17に到達するのを待つ。
【0032】
これにより、1つのモータの回転方向を変えて原稿の分離と給紙を行う原稿搬送装置であっても、原稿後端が引き抜きローラを抜けるまでの時間を短縮することが可能になり、次原稿の分離開始タイミングを早めることができるため、生産性の低下を軽減できる。
【0033】
(第2の実施の形態)
厚紙の様に原稿の坪量が比較的大きい原稿の場合、原稿が分離後センサを通過した後加速搬送させると、ループ空間60で原稿の摩擦音が発生することがある。そこで、第2の実施形態では、原稿の坪量の情報を取得し、坪量に応じた分離制御を行う。図9は原稿情報入力部904における原稿の坪量の設定をする画面を示す図である。この画面によってユーザが原稿の坪量を設定することが可能である。ここで設定された坪量は、図10に示す制御に反映される。
【0034】
図10は、第2の実施形態における分離給紙制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、ROM802に格納されたプログラムに従ってCPU801により実行される。CPU901によって紙搬送指令があるとこのフローチャートが実行される。
【0035】
まず、S801〜S804の処理は、図6のS601〜S604の処理と同じなので説明を省略する。S805において、CPU801は、原稿情報入力部904で入力された原稿坪量が所定値(例えば127g/m)よりも小さいか否かを判断する(S805)。坪量が所定値より小さい場合、CPU801は、原稿の後端が分離後センサ15を通過したかを判断する(S806)。その後のS807〜S810の処理は図6のS606〜S609の処理と同じなので説明を省略する。S805において坪量が所定値以上の場合は、CPU801は、上述したS806,S807も処理をスキップして、S808の処理を実行する。即ち、坪量が所定値以上の場合は、CPU801は、分離モータ823の加速を行わないことによりループ空間60での原稿摩擦音の発生を防止している。なお、比較する坪量の値は上記の値に限るものではなく、搬送経路の形状や搬送速度に応じて適宜設定すればよい。
【0036】
これにより、1つのモータの回転方向を変化させることで原稿の分離と給紙を行う原稿搬送装置であっても、坪量が所定値よりも小さい原稿であれば、原稿後端が引き抜きローラを抜けるまでの時間を短縮することが可能になる。次原稿の分離開始タイミングを前倒しできるため、生産性の低下を軽減できる。また、坪量が所定値より大きい場合、分離モータを加速することによって原稿を撓ませるときに発生しやすい原稿摩擦音の発生を回避できる。
【0037】
上述した各実施形態ではシート給送装置として原稿給送装置について説明したが、画像形成装置における記録シートの給送やインサータにおけるインサートシートの給送にも上述した制御を適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ピックアップローラ対
2 分離ローラ
3 引き抜きローラ対
4 レジストローラ対
14 原稿有無検知センサ
15 分離後センサ
16 引き抜きセンサ
17 レジストセンサ
60 ループ空間
823 分離モータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送されるべき複数のシートが積載される給送トレイと、
前記給送トレイに積載される複数のシートを1枚ずつ分離するための分離ローラと、
シートの搬送方向で前記分離ローラの下流に配置され、前記分離ローラにより分離されたシートを前記分離ローラから引き抜いて搬送するための引き抜きローラと、
前記分離ローラと前記引き抜きローラを駆動する共通のモータと、
前記モータとは別のモータで駆動されるとともに、前記引き抜きローラの下流に配置され、前記引き抜きローラにより搬送されたシートを一時的に停止させ、所定のタイミングで再搬送するためのレジストローラと、
前記引き抜きローラを停止させた状態で前記分離ローラを駆動する制御と前記分離ローラを停止させた状態で前記引き抜きローラを駆動する制御を行うよう前記モータを制御する制御手段と、
を有し、前記制御手段は、前記分離ローラを停止させた状態で前記引き抜きローラと前記レジストローラとによりシートを搬送中に、該シートの後端が前記分離ローラを抜けると、前記引き抜きローラの搬送速度を前記レジストローラの搬送速度よりも大きくなるように増速させ、該シートの後端が前記引き抜きローラを抜けると、前記引き抜きローラを停止した状態で前記分離ローラを駆動するよう前記モータを制御することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記分離ローラと前記引き抜きローラとの間に配置され、シートを検知するセンサを有し、前記制御手段は、前記センサがシートの後端を検知すると前記引き抜きローラの搬送速度を増速させることを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記引き抜きローラと前記レジストローラとの間の搬送路は、前記引き抜きローラの搬送速度を増速させることによりシートに生じる撓みが収まるための空間を有することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項4】
シートの坪量を取得する取得手段を有し、
前記制御手段は、シートの坪量が所定値以上であれば前記引き抜きローラの搬送速度の増速を実行することなく、前記引き抜きローラをシートが抜けるまで搬送するよう前記モータを制御することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記モータを第1の方向に回転させることにより前記引き抜きローラを停止させた状態で前記分離ローラを回転させ、前記モータを前記第1の方向とは反対の第2の方向へ回転させることにより前記分離ローラを停止させた状態で前記引き抜きローラを回転させることを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のシート給送装置を有し、前記給送装置で原稿を給送することを特徴とする原稿給送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−112498(P2013−112498A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262135(P2011−262135)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】