説明

シート資材の処理方法

【課題】 各工程中及びその前後における資材ロールの取扱方法を改善することにより、従来に較べてシート資材に皺が発生しにくいシート資材の処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明のシート資材の処理方法は、シート資材22を巻芯21に巻回してなる資材ロール20を処理機に装着して処理を行い、処理済みのシート資材22を巻芯21に巻取して再び資材ロールとする処理工程を含むシート資材の処理方法であって、処理機への装着前若しくは処理機からの取り外し後において、処理前若しくは処理後の資材ロール20が横倒し姿勢で宙吊りとなるように巻芯21が架設された状態で資材ロール20の保管を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート資材の処理方法に係り、特に、グラビア印刷機などの輪転機によって印刷物を製造する場合に好適な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、合成樹脂フィルムにグラビア印刷を施し、袋などの印刷物を製造する場合には、合成樹脂フィルムを紙管に巻回してなるロールをグラビア印刷機の巻出部に装着し、合成樹脂フィルムを巻き出しながら印刷を施すとともに、巻取部に装着された別の紙管に巻き取って印刷済のロールを形成する。また、印刷済のフィルムに対して、例えば、ロールをラミネート機に装着して印刷済フィルムに他の合成樹脂フィルムをラミネートしたり、ロールを切断機に装着して印刷済フィルムに対してその巻き付け方向にスリットを入れたり、ロールを製袋機に装着して袋にしたりといった各種処理を施すようにしている。
【0003】
また、従来においては、上記の印刷工程の前後などにおいてロールが工場内で保管されるが、その保管態様としては、紙管の軸線を垂直にした姿勢で工場内に設置し、或いは、立体倉庫などに紙管の軸線を水平に(すなわち横倒しに)した姿勢で設置している(例えば、以下の特許公報1参照)。
【特許文献1】特開平1−139477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のように紙管の軸線を垂直にした姿勢でロールを保管する場合には、紙管とフィルムの間にフィルム重量に起因する垂直方向の重力が加わったり、フィルムの端縁が保管時の設置面に当接することにより、フィルムに幅方向の応力が印加された状態になったりするため、印刷やその後の各種処理時においてフィルムに皺が形成されやすくなり、この皺になった部分は除去する必要があることから、製品ロスが発生したり、除去作業などの手間が余分にかかったりすることにより印刷物の製造コストが増大するという問題点がある。
【0005】
また、紙管の軸線を水平にした姿勢でロールを立体倉庫などにおいて保管する場合には、ロールを支持する棚部分からロールの自重に起因する応力をフィルムが受けることになるため、当該応力を受ける部分にあるフィルムに皺が発生したり、ロール形状が変形することによって印刷その他の各種処理時におけるフィルムの繰出時及び巻取時に皺が発生したりするという問題点がある。また、従来のロールでは、比較的変形しやすい紙管をその巻芯として用いているため、紙管の変形に起因してフィルムの保管時、繰出時、巻取時などにおいて皺が発生する場合もある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、各工程中及びその前後における資材ロールの取扱方法を改善することにより、従来に較べてシート資材に皺が発生しにくいシート資材の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる実情に鑑み、本発明のシート資材の処理方法は、シート資材を巻芯に巻回してなる資材ロールを処理機に装着して処理を行い、或いは、処理後に処理済みのシート資材を巻芯に巻取して資材ロールとする処理工程を含むシート資材の処理方法であって、前記処理機への装着前若しくは前記処理機からの取り外し後において、処理前若しくは処理後の前記資材ロールが横倒し姿勢で宙吊りとなるように前記巻芯が架設された状態で前記資材ロールの保管を行うことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、処理機への装着前若しくは処理機からの取り外し後において資材ロールが横倒し姿勢で宙刷りとなるように巻芯が架設された状態で保管が行われるので、資材ロールには巻芯以外に大きな応力が加わることがなく、ロール軸線方向の応力も低減されるので、処理時若しくはその後の工程におけるシート資材の皺の発生を抑制することができる。ここで、取り扱い性を高めるために、資材ロールを回転可能な状態とすることが更に望ましい。
【0009】
本発明において、前記保管は、前記資材ロールが横倒し姿勢で宙吊りとなるように前記巻芯を架設する台車に前記資材ロールを搭載した状態で行われることが好ましい。これによれば、資材ロールを保管された状態でそのまま移動させることが可能となるので、保管場所の変更などが容易になるとともに、処理機への搬入時若しくは処理機からの搬出時において、台車を移動させて適宜の移載場所で処理機との間の移載作業を行うことが可能になり、資材ロールの移載時の移動作業などの手間が省けるため、作業の省力化及び迅速化を図ることができる。
【0010】
本発明において、前記処理工程は、前記処理機として印刷機を用いた印刷工程である場合があり、また、前記処理機としてラミネータを用いたラミネート工程である場合がある。いずれの場合でも、工程中或いは処理後にシート資材に皺が発生する可能性が高いため、本発明を適用することがきわめて効果的である。
【0011】
本発明において、前記巻芯の巻き付け面が金属で構成され、或いは、金属で支持されていることが好ましい。これによれば、巻芯の巻き付け面(シート資材が巻き付けられる外周面)が金属で構成され、或いは、金属で支持されていることにより、巻芯の剛性を高めることが可能になるので、巻芯の変形によるシート資材の皺の発生を低減することが容易になる。また、巻芯の巻き付け面を金属で構成し若しくは金属で支持された状態にすると、シート資材の幅に合わせて多種の軸線方向の長さを有する巻芯を準備したり、シート資材の幅に合わせて巻芯の軸線方向の長さを変更したりする際にコスト上不利になるが、本発明では、シート資材の幅が変化しても横倒し姿勢で宙刷りとなるように台車に支持されるので、シート資材の幅が巻芯の軸線方向の長さより大幅に小さくなっても何等支障が生じないから、巻芯の軸線方向の長さを予め長めに設定しておくことにより、巻芯の種類を削減することができるため、巻芯の巻き付け面を金属で構成し若しくは金属で支持する場合の付加コストを抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記巻芯は、円筒外周面を備えた部材の両端部に前記処理機に装着可能な構造を有する端板を固定したものであることが好ましい。このように円筒外周面を備えた部材(例えば円筒部材)の両端部に処理機に装着可能な構造を有する端板を固定したもので巻芯を構成することにより、処理機などの装着に適合する装着構造を構成しつつ、この装着構造に制約を受けずに円筒外周面を備えた部材の外径を大きくすることが可能になるため、処理機に対する装着性を維持しつつ、巻き付け径の増大によりシート資材の皺の発生をさらに低減できる。上記装着構造としては開口が挙げられ、また、その開口縁に切り欠き部が設けられることが望ましい。さらに、この場合においても、巻芯を上記のように構成するための付加コストを抑制することができる。
【0013】
本発明において、前記巻芯は軸方向に貫通した構造を有し、前記巻芯に挿通させた芯棒を支持することが好ましい。これによれば、巻芯に芯棒を挿通させ、この芯棒を支持する場合には、巻芯の内面と芯棒とが軸線方向のより幅広い範囲に亘って当接するように構成することなどにより、巻芯を直接支持する場合に較べて、巻芯に加わる応力を分散させることが可能になり、しかも、資材ロールを回転可能な状態で支持できるので、保管時、並びに、処理機への装着時及び処理機からの取り外し時などにおける資材ロールの取り扱いが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るシート資材の処理方法の実施形態を図示例と共に説明する。図1は本実施形態に用いる台車の概略斜視図、図2は同台車に印刷資材ロールを搭載した様子を示す概略斜視図である。この台車10は、下部フレーム11に複数の車輪12が取り付けられ、移動可能に構成されている。下部フレーム11上には一対の支持フレーム13,14が相互に離間して固定され、支持フレーム13の上部には係合受部15が設けられ、支持フレーム14の上部には係合受部16が設けられている。これらの係合受部15,16は、左右に伸びるように配置される芯棒17の端部をそれぞれ受け入れ可能に構成されている。具体的には、係合受部15,16は上方及び内側(他方の支持フレーム側)に開放された構造を有し、芯棒17の延長方向と直交する方向両側に芯棒17の端部を保持するための保持面を有する。この保持面の上部は、上記方向両外側にそれぞれ開いて傾斜した面となるように構成されている。このような構造により、芯棒17を上方から下降させるだけでその両端部が係合受部15,16の内部に案内され、芯棒17の両端部が容易に保持されるようになっている。
【0015】
台車10の一端部(支持フレーム13)には、仕様書や伝票などを保持するための保持受部18が設けられている。図2に示すように、この保持受部18に仕様書や伝票などの情報記録媒体19を保持させておく(入れておく)ことにより、台車10に保管中の印刷資材ロール20がどのようなシート資材を巻回させてなるものであるかを示す情報(例えば、仕向け先、処理内容、用途、仕様、処理済みの作業内容など)を知ることができるようになっている。
【0016】
図2に示すように、印刷資材ロール20は巻芯21に印刷資材22を巻回させてなるものである。巻芯21は、円筒部材21aの両端部にそれぞれ開口21cを有する端板21bを固定したものであり、端板21bに設けられた開口21cによって軸線方向に貫通した構造となっている。開口21cの開口縁には切り欠き部21dが設けられている。図示例では、切り欠き部21dは一対設けられ、図示例では開口21cの軸線を挟んだ両側位置にそれぞれ形成されている。
【0017】
上記の巻芯21は、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄、銅などの金属で構成されることが好ましい。特に、印刷資材22が巻回される巻き付け面を構成する円筒部材21aを金属で構成することにより、巻き付け面の剛性を十分に高めることができる。この場合、円筒部材21aの表面を樹脂などによって被覆した場合でも、金属で上記巻き付け面を支持している状態となるので、巻き付け面の剛性を高めることができる点では変わりがない。また、円筒部材21aの両端部に端板21bを固定した構造とし、この端板21bに印刷機や処理機に対応する既定形状の装着構造(上記の開口21cや切り欠き部21d)を設けることで、印刷機や処理機に対する装着性を維持したまま、巻き付け径(円筒部材21aの外径)を大きくすることができる。本実施形態の巻芯21は、3インチ径の紙管に対応する寸法の開口21cを有するとともに、6インチの巻き付け径を備えたものとなっている。
【0018】
また、上記の印刷資材22は、合成樹脂フィルム、紙、布、不織布など、可撓性を備えたシート状若しくはフィルム状のものであれば如何なるものであってもよい。特に、包装資材を構成するための印刷資材としては、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成樹脂フィルムが望ましい。
【0019】
印刷資材ロール20は、芯棒17を巻芯21に挿通した状態で、芯棒17の両端部を上記係合受部15,16に係合させることによって、横倒し姿勢で宙刷り状態となるように架設される。ここで、印刷資材ロール20の横倒し姿勢としては、巻芯21の軸線が水平になる姿勢であることが最も望ましいが、当該軸線が多少傾斜していても構わない。また、印刷資材ロール20は、台車10上において回転自在に支持された状態で搭載されている。このようにすると、印刷資材ロール20の台車10上における取り扱い性が向上する。例えば、印刷資材ロール20を回転させることによって印刷資材22の巻き付け端の位置を自由に変えることができる。
【0020】
次に、本実施形態を適用する印刷機100の構造について図3乃至図5を参照して説明する。図3は印刷機100の巻取部における巻芯21を装着する部分の主要部を示す概略部分斜視図、図4は印刷機100の印刷部110に設けられた各印刷ユニット110−1,110−2,110−3の概略構造を示す概略構成図、図5は印刷部110に隣接した、印刷資材の巻出部120及び巻取部130の概略構造を示す概略構成図である。
【0021】
本実施形態で例示する印刷機100は輪転機(グラビア印刷機)であり、図4に示すように、その印刷部110には、印刷資材に対して順次に印刷を施す複数の印刷ユニット110−1,110−2,110−3を有する、多色刷り印刷の可能な構造を備えている。ただし、印刷ユニットの数は図示例に限定されるものではない。また、印刷資材22の巻出部120には、図示しない紙継機構(ベースタ機構)を備えた巻出ユニット121が設けられ、この巻出ユニット121には二つの巻芯装着部122,123が構成されている。これらの巻芯装着部122,123は、図3を参照して以下に説明する巻取ユニットと同様の巻芯装着機構を備え、上記の巻芯21の両端部に固定され、巻芯21を回転可能な状態で軸支するように構成されている。二つの巻芯装着部122,123は巻出ユニット121の回動によってその位置を交代可能に構成されている。したがって、複数の印刷資材ロール20′を切り替えて印刷資材22を連続して巻き出すことができるようになっている。
【0022】
巻出ユニット121に装着された印刷資材ロール20′からは印刷資材22が巻き出され、巻出部121に設けられた既定の架設経路に沿って印刷部110の最初の印刷ユニット110−1に送られる。なお、巻出ユニット121に装着された印刷資材ロール20′は、本実施形態の場合、上述の巻芯21を用いたものであってもよく、或いはまた、従来から用いられていた紙管を巻芯として用いたものであってもよい。なお、上記巻出ユニット121に設けられた紙継機構は、巻芯の巻き付け径が変化しても対応できるように、切替可能若しくは調整可能に構成されていることが好ましい。例えば、本実施形態では、或る(3インチの)巻き付け径を有する巻芯(例えば紙管)と、別の(6インチの)巻き付け径を有する巻芯(例えば上記巻芯21)のいずれを用いることもできるように、適宜の操作によって制御状態を電気的に切り替え可能に構成されている。
【0023】
印刷ユニット110−1に供給された印刷資材22には印刷が施され、さらに順次印刷ユニット110−2,110−3へ送られ、それぞれにおいても印刷が施される。なお、図4及び図5に示す各印刷ユニットには、紙や樹脂フィルム等で構成される印刷資材22を導入する導入経路111と、この導入経路111によって導入された印刷資材22を版に押し付ける圧胴112と、外周面に版が形成されてなる版胴113と、版胴113に付着されるインキを収容するインキパン114と、版胴113の表面の余分なインキを掻き落とすドクター115と、印刷後の印刷資材22を乾燥させながら送る導出経路116とを備えている。
【0024】
複数の印刷ユニット110−1,110−2,110−3を通過して印刷が完了した印刷資材22は、図5に示す巻取部130に戻り、巻取部130内の所定の巻取経路途中で適宜検査(例えば、印刷面及び非印刷面のカメラ等による外観検査など)を受けた後、巻取ユニット131に装着された巻芯21に巻き取られる。巻取ユニット131には、二つの巻芯装着部132,133が設けられている。これらは、図示しないフィルム切断手段若しくはフィルム剥離手段により二つの巻芯装着部132,133のうちの一方に装着されている巻芯21に印刷資材22が巻回されている状態から他方の巻芯21に巻回される状態に移行させる図示しない巻取切替機構を備え、また、巻取ユニット131の回動により二つの巻芯装着部132,133の位置が交代可能に構成されている。したがって、複数の印刷資材ロール20を切り替えて印刷資材22を連続して巻き取ることができるように構成されている。なお、上記巻取ユニット131に設けられた巻取切替機構は、巻芯の巻き付け径が変化してもこれに対応できるように、切替可能若しくは調整可能に構成されていることが好ましい。例えば、本実施形態では、或る(3インチの)巻き付け径を有する巻芯(例えば紙管)と、別の(6インチの)巻き付け径を有する巻芯(例えば上記巻芯21)のいずれを用いることもできるように、適宜の操作によって制御状態を電気的に切り替え可能に構成されている。
【0025】
本実施形態では、巻取ユニット131の巻芯装着部132,133にそれぞれ図2に示す巻芯21が装着され、印刷済みの印刷資材22が巻き取られ、最終的に図2に示す印刷資材ロール20が形成されるようになっている。ただし、この巻取ユニット131の代わりに、上記巻出ユニット121の巻芯装着部122,123にそれぞれ図2に示す巻芯21を備えた印刷資材ロール20を装着するようにしてもよく、また、巻出ユニット121と巻取ユニット131の双方に巻芯21を用いても構わない。
【0026】
巻取ユニット131の巻芯装着部132,133には、図3に示す巻芯固定構造が設けられている。ここで、巻芯装着部132と133は同一構造を有するので、図3には巻芯装着部132の巻芯固定構造のみを示してある。巻芯装着部132の巻芯固定構造には、巻芯21の両端部に設けられた端板21bの開口21cに対して挿脱可能に構成されたコーン形状(実際には多角錐状若しくは多角錐台状)の巻芯固定部132a,132bが設けられている。これらの巻芯固定部132a,132bは、巻芯21の開口21cに挿入されることによって開口21cの開口縁や上記切り欠き部21dに係合し、巻芯21と同軸に固定された状態になる。また、巻芯固定部132a,132bは図示しない軸支構造によって回転自在に軸支されていて、図示しない回転駆動機構によって回転駆動され、これによって巻芯21を回転させて印刷資材22を巻き取ることができるように構成されている。
【0027】
巻芯装着部132には巻芯21に巻き取られる印刷資材22の表面を押圧するタッチローラ132cが設けられ、このタッチローラ132cは常時印刷資材22に対して巻芯21の軸線側へ所定の押圧力を付与するように構成されている。タッチローラ132cは弾性変形可能な素材(合成ゴムなど)で構成され、支軸132dに対して回転自在に取り付けられている。
【0028】
次に、上述のように構成された台車10、印刷資材ロール20及び印刷機100を用いた本実施形態のシート資材の処理方法について図6を参照して説明する。図6は本実施形態の製造方法の概略工程を示す概略フローチャートである。
【0029】
最初に、外部購入若しくは保管庫からの移送などにより印刷資材22を工場内に導入する。この印刷資材22は、通常、巻芯に巻回された状態で印刷資材ロールとして導入される(S1)。この場合、図5に示すように巻芯として紙管を用いた印刷資材ロール20′でもよく、或いは、図2に示す巻芯21を用いた印刷資材ロール20であってもよい。導入される印刷資材22は、予め図2に示すように印刷資材ロールを台車10に搭載した状態で保管される(S2)。
【0030】
次に、上記の印刷資材ロールを台車10から印刷機100の上記巻出ユニット121の巻芯装着部122,123に装着する(S3)。ここで、図2に示す台車10から図示しないフォークリフト等の移載機(例えば、中部産業株式会社製のサントカー(商品名))を用いて印刷資材ロールを台車10から取り外し、芯棒17を引き抜いて、巻芯装着部122,123に装着する。このとき、台車10を保管位置に配置したまま移載機で印刷資材ロールを印刷機100まで移動させてもよく、或いは、台車10を印刷機100の近傍まで移動させてから移載機100を用いてもよい。また、印刷開始前には、巻取ユニット131の巻芯装着部132,133には巻芯21が装着される。そして、この状態で、印刷機100において印刷資材ロールから引き出された印刷資材22に対して所定の印刷が行われ、印刷済みの印刷資材22は巻取ユニット131にセットされた巻芯21に巻き取られる(S4)。
【0031】
印刷が終了すると、巻芯21に印刷済みの印刷資材22が巻き取られてなる印刷資材ロール20を巻取ユニット131から取り外し、再び台車10に搭載する(S5)。すなわち、上記と同様の移載機を用いて印刷資材ロール20を支持した状態で印刷資材ロール20を巻芯装着部132,133から取り外し、芯棒17を巻芯21に挿通させた後に、この芯棒17の両端部を上記係合受部15,16に係合させる。このとき、移載機で印刷資材ロール20を印刷機100から保管位置まで移動させてから保管位置に配置された台車10に移載してもよく、或いは、台車10を印刷機100の近傍まで移動させてから移載機100を用いて印刷資材ロール20を台車10に搭載し、その後、台車10を保管位置まで移動させてもよい。この後、上記のようにして台車10に搭載した印刷資材ロール20を台車10に搭載した状態のまま保管する(S6)。
【0032】
その後、上記の印刷済みの印刷資材22を巻回してなる印刷資材ロール20を台車10から第1処理機(例えば、上記印刷資材22に別の樹脂フィルム等を貼り合わせるためのラミネータなど)に装着し(S7)、第1処理及び別の巻芯21への巻き取りを行い(S8)、この巻き取りによって形成された印刷資材ロール20を第1処理機から取り外して再び台車10に搭載し(S9)、保管する(S10)。これらの一連のプロセス(ラミネート工程)は、処理の実体的な内容を除いて、上記の印刷機100に対する操作(装着時や取り外し時、或いは保管時の作業)と同様に行うことができる。
【0033】
また、その後、必要に応じて第2処理機(例えば、印刷資材22を幅方向に分割するスリット処理を行うスリッターなど)に対しても上記第1処理機と同様に装着し(S11)、第2処理及び別の巻芯21への巻き取りを行い(S12)、この巻き取りによって形成された印刷資材ロール20を第2処理機から取り外して再び台車10に搭載し(S13)、その後、保管する(S14)。これらの一連のプロセスは、上記の印刷機100に対する操作と同様に行うことができる。
【0034】
上記のようにして最終的に形成された印刷資材ロール20が最終製品形態(すなわち印刷物の製品形態)である場合には、通常、そのまま資材ロールの形態で適宜に梱包して納品するが、台車10に搭載した状態で納品することもできる。また、最終的に形成された印刷資材ロール20をさらに他の処理機に装着して処理し、その結果、印刷資材ロール20という形態ではない袋などの他の最終製品(ロール以外の印刷物の製品形態)を得るようにしてもよい。
【0035】
なお、本実施形態における印刷資材ロールの保管は、印刷工場における所定の保管場所で上記台車を多数配列させて行うことができる。この保管場所では上記の情報記録媒体19に基づいて目的の印刷資材ロールが選択される。このとき、当該ロールを搭載した台車10が保管場所から引き出され、上記保管場所の外で上記移載機による移載作業が行われるようにすることが好ましい。このようにすることで、保管場所に移載作業のための空間を確保する必要がなくなるので、保管場所において高密度に台車を配置させることができ、工場のスペース効率を高めることができる。
【0036】
本実施形態では、印刷資材ロール20が横倒し姿勢で宙刷りとされた状態で保管が行われるので、印刷資材22に加わる応力を低減することができ、その結果、印刷資材22の皺の発生を抑制することができる。また、横倒し姿勢で宙刷り状態となることにより、印刷資材ロール20に対する取り扱い性も向上するため、印刷資材ロール20に対する各種作業や印刷機や他の処理機に対する装着及び取り外し作業の省力化及び迅速化を図ることができる。
【0037】
一方、本実施形態では、金属製の円筒部材21aで構成される巻き付け面を備えた巻芯21を用いることによって、巻芯21の変形を低減することができ、巻芯21の変形により印刷資材22に皺が形成されることを抑制できる。また、この巻芯21は、円筒部材21aの両端部に端板21bが固定されたもので、この端板21bに既定形状の開口21cが形成されているので、印刷機100やその他の処理機に対する装着性を維持したまま、巻き付け径を増大させることが可能であり、その結果、印刷資材22の皺の発生をさらに抑制できる。さらに、上記のような巻芯21の構造は必然的に従来の紙管を用いる場合よりもコストを増大させるが、印刷資材22の幅が種々多様であっても、巻芯21の軸線方向の長さを大きくしておき、全ての印刷資材22に対応可能に構成しておくことで、コストの上昇を抑制できる。また、このようにした場合、本実施形態では、台車10に搭載した状態で印刷資材ロール20を保管するため、印刷資材22の幅よりも巻芯21の軸線方向の長さが過大であったとしても、何等問題を生じない。
【0038】
尚、本発明のシート資材の処理方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各工程の前後において保管される資材ロール20の全てが巻芯21を用いたものであってもよく、一部のロールにおいてのみ巻芯21が用いられてもよい。同様に、上記各工程間の前後の保管期間の全てにおいて上記のように横倒し姿勢で宙刷りとなるように架設した状態で保管が行われてもよく、一部の保管期間においてのみ上記状態で保管が行われるようにしても構わない。また、上記実施形態では印刷工程を例として挙げ、他の処理(例えば、ラミネート処理)については印刷工程に付随した態様でのみ説明しているが、印刷工程以外の他の処理(例えば、ラミネート処理)のみを有する場合でも同様に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施形態に用いる台車の構造を示す概略斜視図。
【図2】実施形態に用いる台車に印刷資材ロールを搭載した状態を示す概略斜視図。
【図3】実施形態に用いる印刷機の巻芯装着部の構造を印刷資材ロールとともに示す概略部分斜視図。
【図4】実施形態に用いる印刷機における複数の印刷ユニットの配列態様を示す概略構成図。
【図5】実施形態に用いる印刷機における巻出部及び巻取部の構造を示す概略構成図。
【図6】実施形態の工程手順の概略を示す概略フローチャート。
【符号の説明】
【0040】
10…台車、11…下部フレーム、12…車輪、13,14…支持フレーム、15,16…係合受部、17…芯棒、20…印刷資材ロール、21…巻芯、21a…円筒部材、21b…端板、21c…開口、21d…切り欠き部、100…印刷機、110…印刷部、110−1,110−2,110−3…印刷ユニット、120…巻出部、121…巻出ユニット、122,123…巻芯装着部、130…巻取部、131…巻取ユニット、132,133…巻芯装着部、132a,132b…巻芯固定部、132c…タッチローラ、132d…支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート資材を巻芯に巻回してなる資材ロールを処理機に装着して処理を行い、或いは、処理後に処理済みのシート資材を巻芯に巻取して資材ロールとする処理工程を含むシート資材の処理方法であって、
前記処理機への装着前若しくは前記処理機からの取り外し後において、処理前若しくは処理後の前記資材ロールが横倒し姿勢で宙吊りとなるように前記巻芯が架設された状態で前記資材ロールの保管を行うことを特徴とするシート資材の処理方法。
【請求項2】
前記保管は、前記資材ロールが横倒し姿勢で宙吊りとなるように前記巻芯を架設する台車に前記資材ロールを搭載した状態で行われることを特徴とする請求項1に記載のシート資材の処理方法。
【請求項3】
前記処理工程は、前記処理機として印刷機を用いた印刷工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート資材の処理方法。
【請求項4】
前記処理工程は、前記処理機としてラミネータを用いたラミネート工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート資材の処理方法。
【請求項5】
前記巻芯の巻き付け面が金属で構成され、或いは、金属で支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート資材の処理方法。
【請求項6】
前記巻芯は、円筒外周面を備えた部材の両端部に前記処理機に装着可能な構造を有する端板を固定したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート資材の処理方法。
【請求項7】
前記巻芯は軸方向に貫通した構造を有し、前記保管は、前記巻芯に挿通させた芯棒を支持することにより行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート資材の処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−103915(P2006−103915A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294411(P2004−294411)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(598043939)三洋グラビア株式会社 (1)
【Fターム(参考)】