説明

シードカートリッジバレルアセンブラ

【課題】 ブラキテラピーカートリッジマガジンにキャップを螺合する際に、カートリッジマガジンに加え得るトルク量を制限するアセンブラの提供。アセンブラは、キャップとマガジンを螺合する際に、破壊的トルクが加わる前に、ブラキテラピーカートリッジがアセンブラ内部で回転するように構成される。
【解決手段】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は密封小線源治療装置の分野に関する。具体的には、本発明はブラキテラピーカートリッジに加えられる破壊的なトルクを防止するためのアセンブラに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラキテラピーシードカートリッジは、I−125又はPd−103シードのような放射性ブラキテラピーシードを備えており、シードアプリケータに装填すべきシードの供給源として用いられる。シードアプリケータは、患者の体内にシードを埋め込むのに用いられる。図1及び図2A〜図2Cは、Mick Radio−Nuclear Instruments社(米国ニューヨーク州マウントヴァーノン)製の代表的な市販シードカートリッジ10を示す。カートリッジ10はマガジン12とキャップ14とを備える。マガジン12は、ブラキテラピーシード18を横方向に整列して収容するための細長いシードチャネル16と、シードをアプリケータに装着するための装着開口20とを備える。キャップ14は細長いプランジャ22を支持しており、プランジャ22はバネ付勢されてチャネル16内に延び、シード18を装着開口20に向けて推す。マガジン12は、キャップ14内の螺旋雌ネジ(図示せず)と螺合する螺旋雄ネジ24をさらに有する。キャップ14は、組立カートリッジ10を蒸気滅菌用Vブロックに固定する雄ネジ26を有する。
【0003】
使い捨て(つまりシングルユーズ)カートリッジ10の形成には、マガジン12及びキャップ14は通例、蒸気滅菌に耐え得る適当なプラスチック材料製である。或いは、キャップ14は、追加の遮蔽手段を与えるため、ステンレス鋼又は真鍮から形成することもできる。これは、技術者がカートリッジ部品を各々の手に持って2つの部品を螺合する際に、放射性シードが手や指に近接するため、被曝のおそれをさらに抑制するようにしたものである。
【0004】
さらに、当技術分野では、技術者がプラスチックマガジン12の捩り限界を超える締付けトルクをキャップ14に加えたときに、マガジン12が変形及び/又は破壊する事例が起きている。通例、マガジンボディはチャネル16を挟みつぶすように変形して、機能に支障をきたし、プランジャのバネ張力の下でシードが適切に下がらなくなる。マガジン12の変形又は破壊は放射性シードの封じ込めに支障をきたすおそれがあり、装填シードの損失及びカートリッジを取扱う従事者に潜在的な危険をもたらしかねない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のニーズに鑑みて、本発明は、組立時にキャップをマガジンに螺合する際に、ブラキテラピーカートリッジに加え得るトルク量を制限するアセンブラを提供する。アセンブラは、キャップとマガジンを螺合する際に、キャップによって破壊的トルクがマガジンに加わる前にブラキテラピーカートリッジがアセンブラ内部で回転するように構成される。アセンブラは片手で操作することができ、カートリッジも片手だけで組み立てることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本アセンブラは、細長いブロックボディを含むカートリッジ収容ブロックを備えており、該ブロックボディはカートリッジ開口と、ボディの長手方向軸の周囲に延在する細長いカートリッジレセプタクルとを画成する。ボディの長手方向軸は、好ましくは、ボディ及びカートリッジ双方の長手方向回転軸と近接する。カートリッジレセプタクルは、カートリッジ開口と流体連通して延在する。カートリッジ開口及びカートリッジレセプタクルは、カートリッジキャップをマガジンに螺合できるように、マガジンの一部を収容する寸法及び形状を有する。ブロックは長手方向軸の周りで回転できる。キャップを螺合してカートリッジを完成させる際に、キャップからカートリッジに破壊的トルクが加わる前に、ブロックボディとカートリッジが軸の周りを回転し始める。アセンブラは、その上にブロックを回転可能に載置する平坦な底盤を備えていてもよい。追加的又は代替的実施形態として、アセンブラは、その内部でブロックが回転し得るハウジングを備えていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図3〜図5に、本発明のシードカートリッジアセンブラ100を示す。アセンブラ100の部品は好ましくはステンレス鋼から形成されるが、その他の適切な材料でも代用できる。アセンブラ100は、細長いブロックボディ104を有するカートリッジ収容ブロック102(図3に破線で示す)を備えており、ブロックボディ104は、カートリッジ開口106と、該ボディ104の長手方向軸xの周囲に延在する細長いカートリッジレセプタクル108とを画成する。カートリッジレセプタクル108はカートリッジ開口106と流体連通して延在する。さらに、カートリッジ開口106及びカートリッジレセプタクル108は、マガジン12のネジ24が露出されてカートリッジキャップ14をマガジン12に螺合できるように、マガジン12の少なくとも一部を収容できる寸法及び形状を有する。カートリッジレセプタクル108の深さは、最上端のシードが露出されて、キャップ14を螺合する前にマガジンに正しい数のシードが装填されていることの視覚的手掛かりを与えるように、マガジン12に通常装填すべきシードの数に応じて選定すればよい。
【0008】
アセンブラ12は平坦な底盤110も備えており、その上でブロック102が長手方向軸xの周りを回転できる。図6及び図7も参照すると、平坦な底盤110は、対向する主要面112及び114とそれらの間に延在する段付通路116を含む。通路は、両端の自由端120とヘッド部122とそれらの間に延在する細長いピン本体124とを有するピボットピン118を収容する。ブロックボディ106は、ピン開口126と、長手方向軸xの周囲に延在する細長いピンレセプタクル128とを画成する。ピンレセプタクル128はピン開口126と流体連通して延在し、底盤110の通路116と整合する位置にある。ピボットピンのヘッド部122は底盤110内の段130に着座し、ピンの自由端120はピンレセプタクル128の内部に収容される。
【0009】
アセンブラ100は、底盤110に取り付けられたハウジング132も備える。ハウジング132は、好ましくは、ステンレス鋼その他適当な放射線遮蔽材料から形成される。図8及び図9も参照すると、ハウジング132は、周縁から垂下する細長い平坦な壁136a〜dを支持する横方向に延在する平坦なカバー面134を有する。壁136a及び136dは、さらに、壁136a〜dが底盤110から直立するようにハウジング132を底盤110に固定するためのフランジ138及び140を有する。ハウジング132のカバー134は、カートリッジ開口106及びカートリッジレセプタクル108と流体連通したハウジング開口142を画成する。ブロック102及びカバー134は、好ましくは、ハウジング開口142全域で同一平面にある。ハウジング132は、さらに、カートリッジブロック102が軸xの周りを回転できるブロックキャビティ144をその内部に画成する。
【0010】
特に図3、図5及び図10に示すように、ブロックボディ102は円筒形突起部150を有しており、該突起部150は、ハウジングカバー134とブロックボディ102の間をばらけたブラキテラピーシードが通らないようにハウジング開口142と同延のカートリッジ開口106を画成する。
【0011】
特に図10を参照すると、ブロックボディ102は、細長い矩形ボディ200と、その上半分を形成するコーナキャップ202とを含む。好ましくは、ブロックボディ102は、まず上面204に円筒形突起部150が形成されるように機械加工される。突起部150は、好ましくは、ハウジング132のカバー面134と同一平面上に延在し、かつ開口142でハウジング132と摺動当接する寸法に形成される。次いで、ボディ200からコーナキャップ202を切り離して、カートリッジ開口106及びカートリッジレセプタクル108の露出面206を機械加工できるようにする。カートリッジレセプタクル108は、さらに、横方向に延在する平坦な段面208及びそれに隣接してカートリッジ開口106から下降する平坦面210,212,214によって画成される。カートリッジ開口106とカートリッジレセプタクル108は、ボディ200の面206及び218に対してコーナキャップ202の平坦面216を設けることによって完全に画成される。カートリッジレセプタクル108は、好ましくは、その内部に挿入されるカートリッジ10のマガジン12部分と一致する。図示したボルト220は、コーナキャップ202で画成されたボルト通路を通って、キャップ202をボディ210に保持するため面206に設けられた雌ネジ付ボルトレセプタクル222に延びている。図では、コーナキャップ202はボディ200にボルト止めされているが、任意の公知の締結手段を用いてブロックボディ102の2つの部品を再組み立てすればよいことは明らかであろう。
【0012】
そこで、本発明では、ブロック102は任意の形状のものでよい。さらに、本発明では、本発明のブロックは無拘束の状態、つまり取付けプレート又はハウジングなしで提供することもできる。好ましくは、キャップ14をマガジン12に螺合する際にブロック102の回転が起きたときにカートリッジ部品での剪断又は非軸荷重が最小限となるように、ボディ104の軸xはブロック102の回転軸及びその内部に挿入されるカートリッジの回転軸のいずれかと近接する。例えば、限定的なものではなく単なる例示として挙げると、本発明では、アセンブラは、開放された円筒壁を平坦な底盤上に取り付けてもよい。円筒壁は、ブロック102が軸xの周りを回転できるようにブロック102の周囲に延在する。円筒壁は、カートリッジレセプタクルを画成する円筒ブロックを収容するものであってもよい。さらに、円筒壁とブロックは、円筒壁がブロックを底盤に確実に保持し、ピボットピンが必要でなくなるような形状に形成することもできる。上記では、カートリッジレセプタクル108は、その内部に挿入されるカートリッジ10の部分にぴったりと合うものとして記載したが、レセプタクル108は、マガジン12へのキャップ14の螺合によってマガジン12が破損する前に確実にブロック102が回転し始めるようにする任意の形状を取り得る。上記その他の修正が本発明の技術的範囲に属することは当業者には明らかであろう。
【0013】
本発明の使用方法によれば、ブラキテラピーシード18を装填したマガジン12を、カートリッジレセプタクル108に挿入する。次いで、プランジャ22をチャネル16に挿入し、キャップ14をネジ24に螺合すれば、キャップ14をマガジン12に取り付けることができる。キャップ14をマガジン12に締め付けると、カートリッジ10に加わるトルクがマガジン12のボディの構造限界を超える前にブロック102が回転し始める。Mickカートリッジでの試験は、マガジン12とキャップ14に加わるトルクは、1in・lbf(11.3N・cm)未満とすべきであることが判明した。ただし、本発明の回転慣性は、螺合すべき2つの部品を有するブラキテラピーシードカートリッジに応じて選択すればよい。
【0014】
さらに、マガジン内の放射線シードによる被曝のおそれを軽減するため、本発明では、技術者が片手だけでカートリッジ部品を組み立てることができる。装填カートリッジをアセンブラ内部に配置し、キャップをカートリッジネジの上に置き、所定の位置まで螺合すればよい。重さと慣性、又は底盤とその上に置かれる面との摩擦力が十分であれば、技術者はこの組立作業を片手だけで行うことができる。技術者は、キャップをマガジンに螺合しながら、空いた手で底盤をつかんでアセンブラを保持することもできる。或いは、キャップをマガジンに螺合しながら、技術者は空いた手でハウジングをつかんでアセンブラを保持することもできる。
【0015】
本発明の特定の実施形態について例示し説明してきた、本発明の教示内容から逸脱せずに、様々な変更及び修正を加えることができることは当業者には自明である。以上開示してきた説明及び添付の図面は、もっぱら例示を目的とするものにすぎず、限定的なものではない。本発明の範囲は、従来技術に照らして特許請求の範囲を適切に解釈することによって定まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を用いて組み立てられるブラキテラピーシードカートリッジを示す図。
【図2A】図1のブラキテラピーシードカートリッジにおいてブラキテラピーシードを装填したマガジンを示す図。
【図2B】図1のブラキテラピーシードカートリッジにおいてブラキテラピーシードが空のマガジンを示す図。
【図2C】図1のブラキテラピーシードカートリッジにおいてマガジンからキャップが分離した状態を示す図。
【図3】本発明のブラキテラピーシードカートリッジアセンブラを示す図。
【図4】図3のアセンブラの上面図。
【図5】図4の線5−5で切り取った図3のアセンブラの断面図。
【図6】図3のアセンブラの底盤を示す図。
【図7】図3のアセンブラの底盤を示す図。
【図8】図3のアセンブラのハウジングを示す図。
【図9】図3のアセンブラのハウジングを示す図。
【図10】図3のアセンブラのカートリッジ収容ブロックの分解図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブラキテラピーシードが装填されたシードマガジンとカートリッジキャップとを有するブラキテラピーシードカートリッジ用のトルク制限シードカートリッジバレルアセンブラであって、当該アセンブラが、細長いブロックボディを含むカートリッジ収容ブロックを備えており、上記ブロックボディがカートリッジ開口と、該ボディの長手方向軸の周囲に延在する細長いカートリッジレセプタクルとを画成していて、上記カートリッジレセプタクルがカートリッジ開口と流体連通しており、上記カートリッジ開口及び上記レセプタクルが、カートリッジキャップをマガジンに螺合できるように、マガジンの一部を収容する寸法及び形状を有する、アセンブラ。
【請求項2】
前記ボディの長手方向軸が前記ボディの回転軸と整合している、請求項1記載のアセンブラ。
【請求項3】
前記ボディの長手方向軸が、カートリッジレセプタクル内に一部が挿入されているカートリッジの回転軸と整列する、請求項1記載のアセンブラ。
【請求項4】
平坦な底盤をさらに備えており、その上で前記ブロックがその長手方向軸の周りに回転し得る、請求項1記載のアセンブラ。
【請求項5】
細長いピボットピンをさらに備えており、前記ブロックボディがピン開口と、ブロックボディの長手方向軸の周囲に延在する細長いピンレセプタクルを画成し、ピンレセプタクルがピン開口と流体連通し、底盤が底盤の主要面の少なくとも一方の面に開口した細長いピン通路を画成し、ピボットピンがピンレセプタクル及びピン通路の内部に延在する、請求項1記載のアセンブラ。
【請求項6】
底盤に取り付けられたハウジングをさらに含み、ハウジングが、カートリッジ開口及びブロックボディのカートリッジレセプタクルと流体連通するハウジング開口を画成する直立壁を含み、直立壁が、その内部でカートリッジブロックが長手方向軸の周りで回転できるブロックキャビティをさらに画成する、請求項4記載のアセンブラ。
【請求項7】
前記ハウジングが放射線遮蔽材から形成される、請求項6記載のアセンブラ。
【請求項8】
前記ハウジングがハウジング開口を画成する横方向の平坦なハウジングカバーをさらに含む、請求項6記載のアセンブラ。
【請求項9】
前記ハウジングカバーと、カートリッジ開口を画成するブロックボディの部分とが同一平面にある、請求項8記載のアセンブラ。
【請求項10】
前記カートリッジ開口を画成するブロックボディの部分が、ハウジングカバーとブロックボディの間をばらけたブラキテラピーシードが通らないように、ハウジング開口と同延である、請求項8記載のアセンブラ。
【請求項11】
前記ブロックボディが細長い矩形ボディをさらに含む、請求項1記載のアセンブラ。
【請求項12】
前記ハウジングカバーが平坦な矩形ボディを含み、前記直立壁が、ハウジングカバーの周縁から垂下する4面の平坦な矩形壁を含む、請求項8記載のアセンブラ。
【請求項13】
前記カートリッジ通路が、さらに、横方向に延在する平坦な段面とそれに隣接してカートリッジレセプタクルから下降する4つの平坦面によって画成される、請求項1記載のアセンブラ。
【請求項14】
前記カートリッジ通路が前記ボディによってさらに画成され、その内部に挿入されるカートリッジの部分に実質的に適合する、請求項13記載のアセンブラ。
【請求項15】
カートリッジキャップを螺合する際にブラキテラピーカートリッジマガジンに加え得るトルク量を制限するトルク制限シードカートリッジバレルアセンブラであって、当該アセンブラが、カートリッジマガジンの一部を収容するレセプタクルを画成する回転可能なカートリッジ収容ブロックを備えており、キャップとマガジンを螺合するときにキャップから破壊的トルクが加わる前に上記収容ブロックがブラキテラピーカートリッジと共に回転するように構成されたアセンブラ。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2009−519782(P2009−519782A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545990(P2008−545990)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/062158
【国際公開番号】WO2007/070871
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(500436053)メディ−フィジックス・インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】