説明

シーリングプラグ取り外し装置

シーリングプラグをボア(11)から取り外すための装置(4)であって、シーリングプラグは外側スリーブ(13)及び外側スリーブ内に保持される内側ステム(14)を備え、取り外しは、適切な孔がステムの途中まで形成された後に行われ、取り外し装置(4)は、ステム(14)の孔に強制的に挿入されてステム(14)との間の締まり嵌めを形成し、その後、締まり嵌めによりステム(14)を保持しながら、ステム(14)をスリーブ(13)の外へ移動するためのテーパ付パンチ(15)と、パンチ(15)がステム(14)をスリーブ(13)から取り外した後にスリーブ(13)と係合可能であるスリーブ係合手段(16)とを備え、スリーブ係合手段(16)及びパンチ(15)はその後、ボアから取り外し可能であり、それによりスリーブ(13)及びステム(14)の双方を装置の適切な部分に保持しながら、スリーブ(13)及びステム(14)の双方をボアから取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリングプラグをボアから取り外すための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シーリングプラグは通常、初めから永久的に設置されたままになることを意図してボア内に設置される。しかしながら、例えばこのようなシーリングプラグが設置された設備の保守及び修理のために、シーリングプラグを取り外すことが必要な場合がある。本発明は、シーリングプラグを取り外すための装置に関する。より詳細には、本発明は、外側スリーブ及び当該外側スリーブ内に保持される内側ステムを備えるタイプのシーリングプラグを取り外すための装置に関する。例えば、1つのこのようなプラグは、登録商標AVSEALの下で市販されているプラグである。
【発明の開示】
【0003】
本出願人が認識する、本発明のプラグに最も近い従来技術は、後述する英国公開特許第2319200号である。
【0004】
本発明は、その態様のうちの1つにおいて、添付の請求項1に記載の装置を提供する。本発明のさらなる好適な特徴は、後続の請求項に記載されている。
【0005】
これより、本発明の具体的な実施形態を例示として、また添付の図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、被加工物(workpiece)12のボア11内に設置されているAVSEAL(登録商標)タイプのプラグを軸方向の断面で示す。当業者によく知られているように、プラグは比較的柔軟な金属製のスリーブ13を備え、スリーブ13内に、比較的硬い金属製のステム14が引き込まれ、それによりステムの拡大したヘッドがスリーブに入り、スリーブを径方向に拡張させてボア11の壁にシール接触及び係合接触させ、ステムに対する張力が増加し、スリーブの幾分内側の位置においてステムが破壊される。
【0007】
図3は、プラグ取り外し器具4を示し、プラグ取り外し器具4は硬鋼製の単体構造である。その先端には、テーパ付きパンチ15があり、テーパ付きパンチ15の背部には雄ねじ部16がある。雄ねじ部16の背部には、円筒状の本体部分17、強固な外側フランジ18、及び正方形の断面のレンチ部分19がこの順に続いている。テーパ15及びねじ部16の寸法は、後述される方法でプラグに係合するのに適したものである。
【0008】
取り外し器具4を使用する前に、図2に示すように、プラグステム内に適切な孔を形成することが必要である。ドリルガイド2が、その中央に突出形成されたスピゴットがボア11内に位置するように配置される(あるいは、プラグの上面が被加工物の表面と同一高さとなる形態においては、代替的に、スピゴットはプラグスリーブのボア内に嵌まるような寸法を有する)。ドリルビット1(まだドリルチャックに挿入されていない)がドリルガイドを貫通してボアに挿入され、プラグの端部内に入り、プラグスリーブ13の内側のプラグステム14の端部面に接触する。中心開口を有する取り外し可能なスペーサ3がドリルビットの上端から配置され、ドリルガイド2の上面に接触している。次に、ドリルチャックの前端がスペーサ3と接触するようにドリルチャックがドリルビット1の上から配置されてチャックがドリルビットに締付けられて、これにより、ドリルビットの先端部がプラグステムに接触したまま、ドリルガイドとスペーサとが接触した状態となる。ここで、ドリルビット1が引き出され、スペーサ3が開放されて取り外される。ドリルビットはドリルガイド内に再挿入されてプラグステムと接触し、ドリルビットは、ドリルチャックの前端がドリルガイドと接触するまで、プラグステム内に孔をあけるように作動される。これにより、プラグステム内に形成される孔の長さが、後述する取り外し器具のパンチによる係合に適したものとなる。ドリルビット1及びドリルガイド2はここで取り外され、切屑が生じていたら、それもボア11の上部から完全に除去される。
【0009】
ここで、取り外し器具4が用いられるが、プラグを取り外すための取り外し器具4の使用における連続的な工程が図4のステップ1〜ステップ4に示される。
【0010】
ステップ1において、テーパ付パンチ15の先端部が、プラグステム内に形成されたばかりの孔内に挿入される。この孔の直径は、パンチの細い端部の直径と太い端部の直径の中間であり、ドリルビットの直径はそれに従って選択される。ステップ2において、槌(図示せず)を用い、テーパ付パンチがプラグステムに形成された孔内に完全に入るように、取り外し器具がプラグに向けて打ち込まれる。ステップ3において、さらなる打ち込みにより、プラグステムがスリーブとの係合から外される。プラグステムは、テーパ付パンチとプラグとの締まり嵌めによりテーパ付パンチに保持される。パンチのテーパ部分は、スリーブを完全に通過し、取り外し器具のねじ部16の下端がスリーブの上部に達するまで、テーパ部分のすぐ上側の平行部分が容易にスリーブに押し込まれる。正方形断面部分19に適切なレンチを適用して、ステップ4に示すように、ねじ部がスリーブ内に入り、スリーブの中にねじ山を形成してスリーブが取り外し器具に係合するように、取り外し器具が回転される。ねじ山は、切断によってではなく、変形のみによってプラグスリーブ内に形成され、このため切屑は形成されないことに留意されたい。
【0011】
ここで、取り外し器具は、プラグステム及びプラグスリーブの双方を被加工物のボアから取り外すように、被加工物から引き抜かれる。これは、プラグを設置するために使用される器具と同じタイプの引っ張り器具を使用し、プラグ設置装置を引っ張り器具の前端から取り外し、それに換えて適切な連結アダプターをその前端に連結して取り外し器具4を被加工物に対して引っ張ることによって行うことができる。このような器具は、GENESISの商標で市販されている器具のように、空気圧を動力源とすることができる。図5を参照すると、ステップ1において、取り外し本体9は動力器具のピストンに取り付けられており、アダプター6、取り外しスリーブ8及びロッキングリング7も動力器具に連結されている。これらの各々は、その側部に沿って延びるスロットを有し、スリーブ8は、スリーブ8のスロットが取り外し本体9のスロットと整列するように回転調整される。動力器具が空気源に連結され、動力器具の前端がプラグ取り外し器具4にまで至るように動力器具が移動され、プラグ取り外し器具の後端が側部のスロットを通して、完全に取り外し本体の中に入る。次に、取り外しスリーブ8が被加工物の面と接触するまで伸ばされ、その位置に固定される。その後、動力器具が作動され、ピストンストロークが最大とされ、図5のステップ2に示すように、プラグを被加工物から強制的に取り外す。ピストンストロークがプラグスリーブを被加工物から完全に取り外すのに不十分である場合に、必要であれば、動力器具に第2の作動を与えることができる。その後、動力器具は空気源から連結解除され、取り外し器具及びプラグが動力器具から取り外されることができるように、取り外しスリーブの位置が調整される。プラグスリーブが取り外し器具のねじ部から手動で緩めて外され、ステムヘッドがパンチから取り外される。
【0012】
上記の実施の形態で使用された取り外し器具及び方法は実用的な利点を有している。取り外されたプラグの双方の部品が取り外し器具によってしっかりと保持され、ボアに落ちることがなく、また、切屑又は破壊された部分が生成されない。取り外し器具は繰り返し再使用可能であるが、英国公開特許第2319200号に開示されている器具は、プラグステムを器具の部分に固定するための接着剤の使用を必要とし、この部分はその後廃棄されて別の使い捨て可能な部分に交換される。さらに、上記の実施の形態で説明されたドリル穿孔及び切屑除去の準備動作は、従来技術において必要とされる洗浄段階、脱脂段階、接着剤塗布段階及び硬化段階よりも実行が迅速且つ容易である。本発明の他の実用的な利点は、テーパ付パンチが従来技術の接着剤パッチよりもはるかにしっかりとステム部分を保持し、したがって、ボアからの取り外し前にステム部分が偶発的に損失するおそれが回避されることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ボア内に設置されているプラグを示す図である。
【図2】プラグステムの途中までドリル穿孔することを示す図である。
【図3】プラグ取り外し器具の正面図及び斜視図である。
【図4】プラグに係合するための装置を使用する際の4つの連続的なステップを示す図である。
【図5】プラグをボアから取り外すための装置を使用する際の2つのさらなるステップを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリングプラグをボアから取り外すための装置であって、前記シーリングプラグは外側スリーブと外側スリーブ内に保持される内側ステムとを備え、前記シーリングプラグの取り外しは、適切な孔が前記ステムの途中まで形成された後に行われ、前記取り外すための装置は、
前記ステムの前記孔に強制的に挿入されて前記ステムとの間に締まり嵌めを形成し、締まり嵌めにより前記ステムを保持しながら前記ステムを前記スリーブから取り外すためのテーパ付パンチと、
前記パンチが前記ステムを前記スリーブから取り外した後に前記スリーブと係合可能なスリーブ係合手段と
を備え、前記スリーブ係合手段及び前記パンチを前記ボアから取り外すことにより前記スリーブ及び前記ステムの双方を適切な部分に保持しながら前記ボアから取り外すことを特徴とするシーリングプラグ取り外し装置。
【請求項2】
前記スリーブ係合手段は、回転することで相互に係合するねじ山を前記スリーブ内に形成するねじを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パンチ及び前記スリーブ係合手段は単体構造である請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
規定されたタイプのシーリングプラグを設置するための設置装置と併用して使用することもできる引っ張り装置に取り付け可能である請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
実質的に本明細書において添付の図面を参照して説明され、添付の図面に図示された、シーリングプラグ取り外し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−537910(P2008−537910A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505948(P2008−505948)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001294
【国際公開番号】WO2006/109029
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(391034961)アブデル・ユーケイ・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Avdel UK Limited
【住所又は居所原語表記】Pacific House, 2 SwiftFields, Watchmead Industrial Estate,WelwynGarden City,Hertfordshire AL7 1LY, UK
【Fターム(参考)】