説明

ジアリルジアルキルアンモニウム誘導体のブロックコポリマー

【課題】ジアリルジアルキルアンモニウム誘導体のブロックコポリマーの提供。
【解決手段】本発明は、疎水性ブロックと親水性ブロックを含む新規な両親媒性ブロックコポリマーであって、親水性ブロックがジアリルジアルキルアンモニウム塩から形成され、疎水性ブロックがポリオレフィンを含むブロックコポリマーを含む。更に、両親媒性ブロックコポリマーの簡便な製造方法を開示する。両親媒性ブロックコポリマーは、プラスチック表面の湿潤性及び印刷適性を向上させるために使用し得る。両親媒性ブロックコポリマーはまた、熱可塑性物質と溶融ブレンドされて、帯電防止仕上げされたポリマー物質を形成し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性ブロック及び親水性ブロックを含み、該親水性ブロックはジアリルジアルキルアンモニウム塩モノマー単位を含み且つ該疎水性ブロックがポリオレフィンを含むところの両親媒性ブロックコポリマー、及び、これらの両親媒性ブロックコポリマーの製造方法に関係する。同様に開示されるものは、帯電防止剤及びポリマー表面の表面特性を変えるための薬剤のような、前記両親媒性ブロックコポリマーの種々の使用である。
本発明は、ジアリルジアルキルアンモニウムブロック及びポリオレフィンブロックから形成される新規な両親媒性ブロックコポリマーを対象とする。
【背景技術】
【0002】
疎水性ブロック及び親水性ブロックを含む両親媒性ブロックコポリマーは、本技術分野において周知である。更に、カチオン性ブロック及び中性の疎水性ブロックから導かれる両親媒性ブロックコポリマーもまた、既知である。
【0003】
米国特許第6,579,947号明細書は、ブロックの1つがカチオン性モノマーから形成され得るところのブロックコポリマーを含む水圧破砕液を記載する。米国特許出願公開第2006/0205827号明細書、2003/0219397号明細書、2006/0258756号明細書、2004/0202634号明細書、2004/0039101号明細書、2005/0053569号明細書及び米国特許第7,105,579号明細書も、カチオン性モノマーを含み得る両親媒性ブロックコポリマーを記載する。
【0004】
米国特許第6,413,306号明細書はABCブロックポリマーを含む顔料分散剤を開示する。該Bブロックは、四級化アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマーから形成され得る。
【0005】
米国特許第6,559,233号明細書は、少なくとも2種のアニオン性ブロック又は少なくとも2種のカチオン性ブロック及び少なくとも1種の非イオン性ブロックを含む水性組成物を記載する。
【0006】
米国特許第6,437,040号明細書は、親水性ブロックと疎水性ブロックを含む水溶性ブロックコポリマーであって、該疎水性ブロックはまた、該疎水性ブロックのユニットの総質量に関して33ないし99質量%の量で親水性ユニットをも含むところの水溶性ブロックコポリマーを開示する。開示されたブロックコポリマーは湿潤剤又は接着促進剤として使用される。
【0007】
炭化水素ブロックとカチオン性ブロックから形成されるブロックコポリマーが特に知られている。例えば、特許第3481733号公報は、四級アンモニウムを含むモノマーから形成されるカチオン性ブロック及びポリオレフィンブロックを含む疎水性ブロックを含む両親媒性ブロックコポリマーを開示する。該ブロックコポリマーは、ポリオレフィン樹脂における帯電防止剤として使用され得る。米国特許第6,552,131号明細書は、ポリオレフィンからの疎水性ブロック及びカチオン性ブロックを含むブロックポリマーを記載する。更に、英国特許第1,169,017号明細書は、ポリオレフィン性ブロック及びカチオン性ブロックを有するブロックコポリマーを開示する。
【0008】
米国特許第7,196,142号明細書は、ポリイソブチレン及びポリ(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレートを含むブロックコポリマーを記載する。ポリ(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレートは、該ブロックコポリマーが合成された後に、四級化さ
れてカチオン性ブロックコポリマーが形成される。
【0009】
ジアリルジアルキルアンモニウム塩が配合されたブロックコポリマーが既知である。例えば、幾つかの文献論説は、ポリエチレングリコールブロック及びポリジアリルジアルキルアンモニウムブロックを含むブロックコポリマーを記載する。ティレリ(Tirelli)N等のMacromol.Chem.Phys.,200,1068−1073頁及びリースケ(Lieske)A等のMacromol,Chem.Phys.,199,255−260頁(1998年)参照。
【0010】
タルローズ(Tal´Rose)等、Macromol.Rapid Commun.19巻,517−522頁(1998年)は、塩化ポリジアリルジメチルアンモニウム及びセチルアクリレートのブロックコポリマーを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,579,947号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0205827号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0219397号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0258756号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0202634号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0039101号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0053569号明細書
【特許文献8】米国特許第7,105,579号明細書
【特許文献9】米国特許第6,413,306号明細書
【特許文献10】米国特許第6,559,233号明細書
【特許文献11】米国特許第6,437,040号明細書
【特許文献12】特許第3481733号公報
【特許文献13】米国特許第6,552,131号明細書
【特許文献14】英国特許第1,169,017号明細書
【特許文献15】米国特許第7,196,142号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ティレリ(Tirelli)N等のMacromol.Chem.Phys.,200,1068−1073頁
【非特許文献2】リースケ(Lieske)A等のMacromol,Chem.Phys.,199,255−260頁(1998年)
【非特許文献3】タルローズ(Tal´Rose)等、Macromol.Rapid Commun.19巻,517−522頁(1998年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
多数の両親媒性ブロックコポリマーが該文献中に記載されているものの、非常に異なる特性のブロックを組合せた新規な両親媒性ブロックコポリマー及びそのような両親媒性ブロックコポリマーの製造方法に対する要求が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は幾つかの組成物の態様及び方法の態様を含む。
組成物の態様は:
両親媒性ブロックコポリマー;
前記両親媒性ブロックコポリマーを含む帯電防止剤;
前記両親媒性ブロックコポリマー及び熱可塑性樹脂の溶融ブレンドを含む帯電防止仕上げされたポリマー性物品;
である。
方法の態様は:
前記両親媒性ブロックコポリマーの製造方法;及び
プラスチック表面の湿潤性、印刷適性又は帯電防止性を増加する方法;
である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
両親媒性ブロックコポリマーは、少なくともAポリマーブロック及びBポリマーブロックを含むブロックコポリマーであって、ブロックAは、式(I)
【化1】

(式中、R1及びR2は独立して、分岐の又は非分岐の炭素原子数1ないし22のアルキル基、アリール基、ベンジル基又はヒドロキシアルキル基を表し、Z-は、いずれかの対イ
オンを表し、nは2以上を表す。)で表されるモノマー単位を含む親水性ポリマーであり、
ブロックBは、ポリオレフィンを含む疎水性ポリマーであるところの両親媒性ブロックコポリマーである。
【0016】
興味深いものはまた、少なくともAブロック及びBブロックを含むブロックコポリマー組成物である両親媒性ブロックコポリマーであって、ブロックAは、式(Ia)
【化2】

(式中、R1及びR2は独立して、分岐の又は非分岐の炭素原子数1ないし22のアルキル基、アリール基、ベンジル基又はヒドロキシエチル基を表し、Z-は、いずれかの対イオ
ンを表す。)により定義されるジアリルジアルキルアンモニウムから形成されるポリマーを表し、
ブロックBは、ブロックAとは異なるポリマーブロックを表すところの両親媒性ブロックコポリマーである。
【0017】
上記の両親媒性ブロックコポリマーの製造方法は、開始剤及び疎水性Bブロックポリマー(該疎水性Bブロックは官能基又は連鎖移動基で末端化されている。)の存在下で、カチオン性モノマー又は潜在的カチオン性モノマーを重合する工程を含む。
プラスチック表面の湿潤性、印刷適性又は帯電防止性を増加する方法は、両親媒性ブロ
ックコポリマーを熱可塑性基材ポリマーと溶融ブレンドする工程を含む。
【0018】
ここで使用されている“ブロックコポリマー”とは、一つのポリマー分子を形成するために結合される2種以上の異なるポリマー単位を包含することを意図する。典型的には、ブロックコポリマーは、ジ−、トリ−及びマルチ−ブロックポリマーの形態にある。例えば、ブロックコポリマーは、ブロックA−ブロックBのようなジブロックコポリマー又はブロックA−ブロックB−ブロックA若しくはブロックB−ブロックA−ブロックBのようなトリブロックコポリマーを含み得る。AB−AB構造もまた可能である。
【0019】
従って、本発明の更なる観点は、式(I)で表される繰り返し単位を含む、親水性ブロックに結合したポリオレフィンブロックを含む両親媒性ブロックコポリマーを提供すること、又は、ポリオレフィンブロックに結合した式(I)で表される繰り返し単位を含む多くの親水性ブロックを含む両親媒性ブロックコポリマーを提供することである。
【0020】
ブロックは、ポリマーを指定することにより又はそれが誘導されるモノマーを指定することにより定義され得る。
本発明の目的のために、モノマー単位は、重合後に形成された単位として定義される。例えば、式(I)で表されるモノマー単位は、親水性ブロックAの少なくともある程度の部分を構成する繰り返し単位である。用語“繰り返し単位”又は“モノマー単位”は、同義語として使用される。
用語“モノマー”はそれだけで、重合前のモノマーを言及する。
【0021】
ブロックは、幾つかのモノマーから誘導される、数種の繰り返し単位又はモノマー単位を含むコポリマーであり得る。ブロックA及びブロックBは、異なるモノマーから誘導される異なるポリマーであるが、しかし、それらは幾つかの共通の繰り返し単位又はモノマー単位を含み得る(コポリマー)。
【0022】
ブロックコポリマーは、線状構造、グラフト構造、櫛形構造、架橋構造又は星形構造であり得る。
線状構造は、通常、架橋構造が除外される。
星形構造は一般に、少なくとも3つの官能基を放射状に広げているコアを必要とする。コアの官能基は、ブロックA又はブロックBの何れかと共有結合を形成するために反応され得る。ブロックA又はBを含む形成されたアームは、その後、コアから放射状に広がる最初の配列を形成するブロックに依存して、交互AB又はBA構造を組み込むために更に反応される。
【0023】
本発明の目的のために、用語“ポリマーブロック”は、ブロックコポリマーのブロックの一つ(親水性ブロック又は疎水性ブロックの何れか)を言及する。
両親媒性ブロックコポリマーは、通常、疎水性ブロック及び親水性ブロック又は疎水性セグメント及び親水性セグメントを含むブロックコポリマーとして定義される。
本発明のブロックコポリマーにおいて、ブロックAは親水性であり、ブロックBは疎水性である。ブロックの親水性の又は疎水性の特性とは、他のブロックが無い場合に前記ブロックが有する特性、即ち、前記ブロックとして同じ繰り返し単位からなり且つ同じ平均分子量を有するポリマーの特性を言及する。
【0024】
用語“疎水性”及び“親水性”は、本発明のブロックコポリマーに適用される場合、それらの通常の意味において使用される。即ち、親水性は、それがポリマーに言及される場合、該ポリマーが、水と結合するか又は水を吸収する強い傾向を有し、結果としてポリマーの溶液となり得るか或いは膨潤し及び/又はゲルを形成し得ることを意味する。この特性は、極性モノマー又はイオン性モノマーから調製されるポリマーの特徴である。同様に
、疎水性は、それが疎水性ブロックに言及される場合、該ポリマーが、水に対して拮抗し、一般に、水に溶解し得ないか又は水で膨潤し得ないことを意味する。この特性は、比較的非−極性のモノマーから調製されるポリマーの特徴である。
【0025】
形成された両親媒性ブロックコポリマーは、水中に溶解され得るか又は分散され得る。該両親媒性ブロックコポリマーは、例えば、その中に分散され得る。該両親媒性ブロックコポリマーは、ミセルを形成し得る。
【0026】
親水性ブロックA
式(I)に関して、炭素原子数1ないし22のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖
の炭素原子数1ないし22のアルキル基、例えば、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数1ないし16のアルキル基、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし6のアルキル基又は好ましくは、炭素原子数1ないし4のアルキル基を意味する。或いは、炭素原子数1ないし22のアルキル基は、炭素原子数4ないし22のアルキル基、炭素原子数6ないし22のアルキル基、炭素原子数8ないし22のアルキル基、炭素原子数10ないし22のアルキル基又は炭素原子数12ないし22のアルキル基であり得る。例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ラウリル基、ステアリル基、セチル基、ベヘニル基又はそれらの混合物である。炭素原子数8ないし22のアルキル基は、例えば、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ラウリル基、ステアリル基、セチル基、ベヘニル基又はそれらの混合物である。
【0027】
ヒドロキシアルキル基は、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基又はヒドロキシブチル基のような炭素原子数1ないし4のヒドロキシアルキル基である。
アリール基は、例えば、置換されたか又は未置換のフェニル基である。フェニル環は、ハロゲン原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換され得る。
【0028】
-は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、置換されたか又は未置換のアリールスルホネー
ト、スルフェート、メチルスルホネート、エチルスルホネートのようなアルキルスルホネート、カルボキシレート、ニトレート、ホスフェート、テトラフルオロボレート、テトラアルキルボレート、テトラアリールボレート、パークロレート及びヘキサフルオロホスフェートにより表されるが、しかしこれらに限定されないアニオンであり得る。
【0029】
BF4-、PF6-、SbF6-、AsF6-、TlF6-、BF3Cl-、PF5Cl-、SbF5
Cl-、AsF5Cl-、TlF5Cl-、BF3Br-、PF5Br-、SbF5Br-、AsF5Br-、TlF5Br-、BF3-、PF5-、SbF5-、AsF5-及びTlF5-
ような超強酸アニオンは、ブロックコポリマーの四級アンモニウム基に耐熱性を与える。従って、例えば、Z-が、BF4-、PF6-、BF3Cl-及びPF5Cl-からなるアニオン
の群から選択される場合、本発明の両親媒性ブロックコポリマーの熱安定性が改善される。
【0030】
カチオン性基に対する対イオンとして超強酸アニオンを導入する方法は、ポリジアリルジメチルアンモニウムの塩化物の水性分散液を0.025M四フッ化ホウ素酸ナトリウム溶液で処理し、続いて、水で洗浄して濃縮することにより達成され得る。
置換されたアリールスルホネートは、例えば、p−トルエンスルホネートである。
【0031】
式(I)のnは、少なくとも2つのモノマー単位を表し、好ましくは、nは、3又は4つのモノマー単位より大きいことを表し得る。nには特に上限は存在せず、要求される両親媒性ブロックコポリマーの特徴に依存し得るが、しかし通常5000を超えない。モノマー単位又は繰り返し単位の数の代表的な範囲は、2ないし約4000、2ないし約3000、2ないし約2000又は2ないし約500のモノマー単位であり得る。
【0032】
アンモニウムポリマーブロックは、何れの分子量でもあり得る。しかしながら、好ましい平均分子量は、約200g/モルないし約1,000,000g/モル、約200g/モルないし約500,000g/モル、約200g/モルないし約50,000g/モル、及び、より好ましくは、約200g/モルないし約100,000g/モル、例えば、約200g/モルないし約10,000g/モル、約200ないし約5,000、又は、約200ないし約3000で変化し得る。
【0033】
式(I)で表されるモノマー単位は、例えば、以下に示す式(II)で表されるカチオン性モノマー又は式(III)で表される潜在的なカチオン性モノマーから形成され得る。
【化3】

ここで、R1、R2及びZ-は、上記式(I)中と同じに定義される。
例えば、モノマーのカチオン性基は、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、リン酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジ(β−ヒドロキシエチル)アンモニウム及び塩化ジアリルメチルベンジルアンモニウムからなる群より選択され得る。
【0034】
ジアリルアルキルアミンのような対応するアミンを取り上げ、重合し、その後、典型的なアルキル化剤で四級化して、式(I)により記載されるモノマー単位に至ることを採用することにより、式(I)で表されるモノマー単位を形成することもまた可能である。
四級化は、典型的には、塩化ベンジル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル及びヨウ化ベンジルのようなアルキル化剤を介して行われる。
親水性のAは、式(I)で表されるモノマー単位を含む必要がある一方で、該親水性ブロックはまた、更に、カチオン性モノマー単位、潜在的なカチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位、潜在的なアニオン性モノマー単位、非イオン性モノマー単位、両性イオン性モノマー単位又はそれらの混合物を含み得る。
従って、親水性ブロックAは、例えば、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0035】
好ましくは、両親媒性ブロックコポリマーの親水性ブロックAは、カチオン電荷を有し得る。例えば、親水性ブロックは式(I)で表されるモノマー単位と非イオン性モノマー単位を含み得るか又は親水性ブロックAは、式(I)で表されるモノマー単位とアニオン性モノマー単位(ここで、式(I)で表されるモノマー単位は、アニオン性モノマー単位を上回る。)を含み得る。更なる親水性ブロックAポリマーのための組合せは、式(I)で表されるモノマー単位と両性イオン性モノマー単位であり得る。
【0036】
カチオン性モノマー単位は、潜在的なカチオン性モノマー又はカチオン性モノマーから形成され得る。例えば、更なるカチオン性モノマー又は潜在的なカチオン性モノマーは、
プロトン化若しくは四級化されたN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はプロトン化若しくは四級化されたN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、プロトン化若しくは四級化されたN,N−ジアルキルアミノアルキルマレイミド又はプロトン化若しくは四級化されたビニルピリジンであり得る。
本発明の目的のために、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレート誘導体を含む。
【0037】
代表的な例は、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレート硫酸メチル四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化ベンジル四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート硫酸メチル四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化ベンジル四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級塩、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド硫酸メチル四級塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩酸塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアリルアミン及びビニルピリジンを含む好適なカチオン荷電したモノマー又は潜在的にカチオン荷電したモノマーからなる群より選択され得る。
【0038】
非イオン性モノマー単位は、非イオン性モノマーから形成され得る。
非イオン性モノマーは、重合可能なアリル化合物、ビニル化合物であり、電気的に中性である。代表的な非イオン性モノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、フマルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、グリセロールモノ((メタ)アクリレート)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルメチルスルホン、酢酸ビニル、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸、フマル酸、コハク酸及びイタコン酸のジエステルを含む。
【0039】
非イオン性モノマーは、ビニル官能基又はアリル官能基を含むマクロマーであり得る。マクロマーは、アリル官能基又はビニル官能基で末端が官能化されたポリマーとして定義され得る。例えば、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレートはマクロマーである。従って、両親媒性ブロックコポリマーは、コポリマーであり且つ更にアルキレングリコール単位を含む親水性ブロックAを含み得る。
疎水性の非イオン性モノマーもまた、親水性ブロックA中に組み込まれ得、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ステアリルエトキシ(メタ)アクリレート、ステアリルエトキシアリルエーテル及びそれらの混合物のようなアクリレートを含む。
【0040】
疎水性の非イオン性モノマーは、親水性ブロックA中に含まれ得るものの、ブロックAは親水性の性格を依然維持するべきである。従って、ポリマーブロックA中における、式
(I)で表されるモノマー単位の質量%は、非イオン性の疎水性モノマー単位の質量%を上回る。例えば、親水性ブロックA中の疎水性の非イオン性モノマーの質量%は、ポリマーブロックAの総質量の約0ないし約30質量%、ポリマーブロックAの総質量の約1ないし約20質量%、約1ないし約10質量%又は約1ないし約5質量%の範囲であり得る。
【0041】
アニオン性モノマー単位又は潜在的なアニオン性モノマー単位は、アニオン性モノマー又は潜在的なアニオン性モノマーから形成される。アニオン性モノマー又は潜在的なアニオン性モノマーは、ホスフェート又はホスホネート基を含むαエチレン性不飽和モノマー、αエチレン性不飽和モノカルボン酸、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、スルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物、スルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物の塩及びそれらの混合物からなる群より選択されるαエチレン性不飽和モノマーから誘導される。
【0042】
アニオン性モノマー又は潜在的なアニオン性モノマーの代表例は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、α−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、α−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、2−スルホエチルメタクリレート、2−スルホエチルメタクリレートの塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、スチレンスルホネート及びその塩又はそれらの混合物を含む。
【0043】
両性イオン性モノマー又は(iv)のモノマーは、エチレン性不飽和モノマー(単数)又はモノマー(複数)から誘導される。本発明の目的のための両性イオン性モノマーは、アニオン性の荷電及びカチオン性の荷電或いは潜在的なアニオン性の荷電及び潜在的なカチオン性の荷電の両方を含むモノマーとして定義される。
【0044】
代表例は、
N,N−ジメチル−N−アクリロイルオキシエチル−N−(3−スルホプロピル)−アンモニウムベタイン、
N,N−ジメチル−N−アクリロイルオキシエチル−N−(2−カルボキシメチル)−アンモニウムベタイン、
N,N−ジメチル−N−アクリルアミドプロピル−N−(3−スルホプロピル)−アンモニウムベタイン、
N,N−ジメチル−N−アクリルアミドプロピル−N−(2−カルボキシメチル)−アンモニウムベタイン、
2−(メチルチオ)エチルメタクリロイル−S−(スルホプロピル)−スルホニウムベタイン、
2−[(2−アクリロイルエチル)ジメチルアンモニオ]エチル2−メチルホスフェート、
2−(アクリロイルオキシエチル)−2´(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート、
[(2−アクリロイルエチル)ジメチルアンモニオ]メチルホスホン酸、
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、
2−[(3−アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]エチル2´−イソプロピルホスフェート(AAPI)、
1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウムヒドロキシド、
(2−アクリロイルエチル)カルボキシメチルメチルスルホニウムクロリド、
1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタイン、
N−(4−スルホブチル)−N−メチル−N,N−ジアリルアミンアンモニウムベタイン
(MDABS)、
N,N−ジアリル−N−メチル−N−(2−スルホエチル)アンモニウムベタイン又はそれらの混合物である。
親水性ポリマーブロックは、ホモポリマー或いはランダムコポリマー、ブロックコポリマー又はグラフトポリマー若しくはグラフトコポリマーであり得る。
【0045】
疎水性ブロックB
疎水性ブロックBは、ポリオレフィンから形成される。
本発明の目的のためのポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、ビニルシクロヘキセン、シクロペンタジエン、β−ピネン、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−メチルスチレン、塩化ビニル及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーから形成される。
【0046】
疎水性ポリマーブロックは、何れの分子量でもあり得る。しかしながら、好ましい分子量は、200g/モルないし約1,000,000g/モル、約200g/モルないし約500,000g/モル、約200g/モルないし約50,000g/モル及びより好ましくは、200g/モルないし約10,000g/モル、又は約200g/モルないし約5000g/モルで変化し得る。
【0047】
疎水性ポリマーブロックは、ホモポリマー或いはランダムコポリマー、ブロックコポリマー又はグラフトポリマー若しくはグラフトコポリマーであり得る。従って、例えば、疎水性ポリマーブロックは、エチレン及びブチレンの線状コポリマーから形成され得る。
疎水性ブロックBはまた、更に、カチオン性モノマー単位、潜在的なカチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位、潜在的なアニオン性モノマー単位、非イオン性モノマー単位、両性イオン性モノマー単位又はそれらの混合物を含み得る。
これらの更なるモノマーは上記で定義された通りである。
【0048】
疎水性ブロックBは、更なる親水性モノマーを含み得るものの、疎水性ブロックBは疎水性の性格を維持するべきである。従って、疎水性ブロックを構成するオレフィン性モノマー単位は、カチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位、非イオン性モノマー単位(上記で列挙されたオレフィンとは異なる)、両性イオン性モノマー単位を上回り得る。例えば、疎水性ブロックB中の親水性の非イオン性モノマーの質量%は、ポリマーブロックBの総質量の約0ないし約30質量%、ポリマーブロックBの総質量の約1ないし約20質量%、約1ないし約10質量%又は約1ないし約5質量%の範囲であり得る。
【0049】
疎水性ブロックBは、好ましくは非荷電又は中性であり得る。本発明の目的のために、このことは、疎水性ブロックBが、好ましくは、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー又は両性イオン性モノマーのように荷電されているものではないエチレン性不飽和モノマーから形成され得ることを意味する。
疎水性ポリマーブロックは、ホモポリマー或いはランダムコポリマー、ブロックコポリマー又はグラフトポリマー若しくはグラフトコポリマーであり得る。
【0050】
疎水性ブロックBを構成するポリオレフィンは、末端官能基又は連鎖移動剤を含み得る。
例えば、米国特許第6,552,131号明細書は、その全てを参照としてここに組み込むが、熱分解により得られる低分子量ポリオレフィンを記載する。それにより得られるポリオレフィンは、1分子当り平均で1ないし1.5個の末端二重結合を含む。これらの末端が不飽和化したポリオレフィンは、不飽和末端を官能化するために変性され得る。
【0051】
末端官能化ポリオレフィンは、サイエンティフィックポリマープロダクツ(Scientific Plymer Products)、三井化学(Mitsui Chemicals)、ベーカーペトロライト(Baker Petrolite)及びアルドリッチ(Aldrich)のような供給者から直接購入し得る。例えば、モノ又はジヒドロキシで末端化された、エチレンとブチレンとのコポリマー、エチレン、ブチレン及びプロピレンのコポリマー及びスチレンのホモポリマーは、平均分子量(1,700−4,200)の範囲において、サイエンティフィックポリマープロダクツ(Scientific Plymer Products)から市販で入手可能である。ポリエチレンモノ−オールは、Mn〜700でベーカーペトロライト(Baker Petrolite)から入
手可能である。ポリエチレン−コ−1,2−ブチレンモノ−オールは、アルドリッチ(Aldrich)から入手可能である、CASナンバー 68954−09−6、Mn〜3
750。
【0052】
チオール末端化疎水性ブロックは、例えば、その末端に二重結合又はヒドロキシル基を有する疎水性樹脂を、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸、第二アルコール又はチオ吉草酸のような試剤で処理することにより合成され得る。該合成は、当業者に周知であり、例えば、日本特許第3481733号公報及びウィンジュンデュ(Ying Jun Du)等J.Appli.Polym.Sci.,2003年、594頁中にある。
親水性ポリマーブロックは、あらゆる好適な重合プロセスにより独立して合成され得る。ジアリルジアルキルアンモニウムポリマーは、溶液重合、油中水(water−in−oil)懸濁重合により又は油中水(water−in−oil)乳化重合により、例えば、ゲルポリマーとして製造され得る。溶液重合によりゲルポリマーが製造される場合、開始剤は、一般に、モノマー溶液中に導入される。
【0053】
親水性ブロックポリマーは、例えば、欧州特許第150933号明細書、欧州特許第102760号明細書又は欧州特許第126528号明細書により特定されたプロセスに従って、懸濁重合によりビーズとして、又は、油中水(water−in−oil)乳化重合により油中水(water−in−oil)エマルジョン又は分散液として、独立して製造され得る。
親水性ブロックポリマーは、慣用のラジカル重合によって又は制御重合によって合成され得る。
【0054】
親水性ブロック及び疎水性ブロックは最初に各々が形成され、その後、末端官能基を反応させることにより共有結合されて最終的なブロックコポリマーが形成される。
しかしながら、上述の両親媒性ブロックコポリマーの製造方法は、好ましくは、開始剤の存在下及び疎水性Bブロックポリマー(該疎水性Bブロックは、官能基又は連鎖移動基で末端化されている。)の存在下で、カチオン性モノマー又は潜在的なカチオン性モノマーを重合する工程を含む。
【0055】
上記方法の一つの利点は、連鎖移動基で末端化された疎水性ブロックポリマーの存在下でカチオン性モノマーを直接重合する能力であり、それにより、直接的に荷電を有する両親媒性ブロックコポリマーに到達する。
本発明者等は、ジアリルジアルキルアンモニウム塩ブロック(親水性)及びポリオレフィン(疎水性)ブロックを含む両親媒性ブロックコポリマーの形成は、新規であると確信している。そのような両親媒性ブロックコポリマーが幾つかの理由のために今迄実際に製造されなかったことは、大して驚くべきことではない。第一に、ジアリルジアルキルアンモニウム塩は、他の(メタ)アクリレートと較べた場合、容易に重合せず、第二に、カチオン性塩からの直接的な両親媒性ブロックコポリマーの形成は、反応成分(疎水性の予備
形成ブロック及びカチオン性塩モノマー)が非常に異なる溶解特性を有するため困難である。
【0056】
もちろん、潜在的なカチオン性モノマーを重合し、それに続き、重合後に四級化により荷電させて式(I)で表されるモノマー単位を形成することもまた、可能である。
例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムモノマーは、好適に末端化された予備形成Bブロックの存在下で重合される。好ましくは、Bブロックは連鎖移動基で末端化される。本発明の目的のための、好適に連鎖移動基で末端化されるとは、チオール、キサンテート、ジチオエステル、トリチオエステル、ジチオカールバメート、第二アルコール又はニトロキシルで末端化又はペンダント末端化することを意味する。ブロックコポリマーはその後、例えば、チオールで末端化された疎水性ブロック及び開始剤の存在下で、カチオン荷電したビニルモノマーを重合することにより、直接形成され得る。
従って、親水性ブロックA及び疎水性ブロックBは、例えば、その後、硫黄原子を介して共有結合して両親媒性ブロックコポリマーを形成する。
【0057】
連鎖移動剤が硫黄原子で且つモノマーがカチオン性の場合、結果として生じる両親媒性ブロックコポリマーは、例えば、以下の式(II)
【化4】

(式中、R1、R2、n及びZ-は、請求項1で定義されたのと同じであり、
Sは硫黄原子を表し、
POはポリオレフィンを表す。)により定義される。
【0058】
疎水性ブロックがチオールのような垂れ下がった連鎖移動基でグラフト化されることもまた可能である。カチオン性モノマー、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウム塩は、その後、チオールペンダント基を有する疎水性ポリマーの存在下で重合され、グラフトブロックコポリマーを与える。
従って、疎水性ブロックBは、カチオン性ブロックAでグラフト化されて、櫛形構造の両親媒性ブロックコポリマーを形成し得る。
重合開始剤は、熱、光又は電磁放射により活性化されるような、あらゆる開始剤であり得る。
【0059】
典型的な開始剤は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩、ジメチルアゾビスイソブチレート、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩及び4,4´−アゾビス−4−シアノ吉草酸のようなアゾビス化合物、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイル2,4−ジクロロペルオキシド、ジ−第三ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ジイソプロピルジカルボネートペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボネート、第三ブチルペルオキシラウレート、ジ−第三ブチルペルオキシフタレート、ジベンジルオ
キシド及び2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシドのようなペルオキシド開始剤並びにベンゾイルペルオキシド−N,N−ジメチルアニリン、ペルオキソジ硫酸−亜硫酸水素ナトリウム及び過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム又は過硫酸アンモニウムのような過硫酸の塩のようなレドックス開始剤等のラジカル開始剤である。
光開始剤がまた想定される。
【0060】
反応溶媒は、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン及びテトラデカンのような脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン及びシクロヘキセンのような脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及び2,4−ジクロロトルエンのようなハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルのようなエステル、アセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン、並びに、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド並びにエタノール、プロパノール、n−ブタノール及び第二ブタノールのようなアルコールを含む。
【0061】
溶媒への界面活性剤の添加がまた想定される。
これらは単独で又はそれらの混合物として使用され得る。溶媒の混合物は、ブロックが似ていない場合に好ましい。そのような溶媒は、好ましくは、炭素原子数2ないし6のアルコール及び/又はN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はN,N−ジメチルアセトアミドを含み、トルエン又はテトラヒドロフランのような他の溶媒と組み合わされ得る。
炭素原子数2ないし6のアルコールは、例えば、n−プロパノール、n−ブタノール、第二ブタノール、シクロペンタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール及びシクロヘキサノールである。
【0062】
疎水性ブロックは、大方の場合、溶媒の選択を決定し得る。例えば、ポリオレフィン(ブロックB)がポリスチレンの場合、ポリスチレンブロックを分散させるためにN,N−ジメチルホルムアミドが使用され得る。ジアリルジアルキルアンモニウム塩モノマーは、炭素原子数2ないし6のアルコール中に分散され、その後、分散されたポリスチレンに添加され及び重合されて両親媒性ブロックコポリマーを形成する。
反応が溶媒系中で行われる場合、該溶媒系が疎水性ブロック及び形成される親水性ブロックの両方の良好な分散を許容することが重要である。特定の溶媒系は、各々のブロックの組成及び分子量に大きく依存し、そして実験的に決定される必要がある。
界面活性剤を添加する水ベースの系もまた、本ブロックコポリマーの合成に使用され得る。
【0063】
形成された両親媒性ブロックコポリマーは、用途に依存して何れの平均分子量でもあり得る。該平均分子量は、約500g/モルないし約1,000,000g/モル、約1000g/モルないし約1,000,000g/モル、約500g/モルないし約500,000g/モル、約1000g/モルないし80,000g/モル、約1000g/モルないし約20,000g/モル、約100g/モルないし10,000g/モル及び約100g/モルないし約6,000g/モルの範囲であり得る。
【0064】
両親媒性ブロックコポリマーの使用:
本発明の両親媒性ブロックコポリマーは、レオロジー変性剤、乳化剤、ラテックスの安定剤、乳化破壊剤、疎水性染料又は顔料の可溶化剤、顔料分散剤、化粧品組成物、硬質表面洗浄剤及び帯電防止剤のような用途に使用され得る。
更に、両親媒性ブロックコポリマーは、織物、布地、不織布及びプラスチックのような
基材の表面特性を変えるために使用され得る。これらの基材の表面は、特にプラスチック材料又はポリマー材料から形成された場合、しばしば、非常に疎水性である。これらのプラスチック材料又はポリマー材料は、静電気を蓄える。更に、該材料は、印刷又は濡らすのが困難である。プラスチック材料又はポリマー材料の上又は中への両親媒性ブロックコポリマーの組み込みは、疎水性材料の改善された帯電防止性、湿潤性及び印刷特性をもたらす役目をする。
【0065】
例えば、両親媒性ブロックコポリマーは、浸責、塗布又は噴霧によりプラスチック材料又はポリマー材料を処理するために使用することができ、それにより、表面の湿潤性、印刷適性又は帯電防止特性を改善する。
帯電防止仕上げされたポリマー物品は、両親媒性ブロックコポリマーを熱可塑性樹脂と溶融ブレンドすることにより形成され得る。該ポリマー物品は、カレンダ加工、押出加工、噴霧塗布、紡績、圧縮溶融、回転成形、熱成形又は押出ブロー加工により形成され得る。
帯電防止仕上げされたポリマー物品は、繊維、フィルム、成形品又は発泡品であり得る。
例えば、本発明の両親媒性ブロックコポリマーの組み込みは、家庭の電化製品のための包装材料及び筐体製品のために有用であり得る。両親媒性ブロックコポリマーは、例えば、コンピューターの筐体中に溶融ブレンドされ得る。
両親媒性ブロックコポリマーはまた、合成繊維製造の間に、例えば、繊維形成の間の溶融添加剤として添加され得る。
【0066】
本発明は、:
両親媒性ブロックコポリマーと熱可塑性物質の溶融ブレンドを含む、帯電防止仕上げされたポリマー物品を具現する。
本発明の両親媒性ブロックコポリマーは塩であり、それ自体は親水性ブロックと疎水性ブロックの実際の組成物に依存して実際には溶融し得ないか又は部分的に溶融し得る。しかしながら、該ブロックコポリマーは熱可塑性物質マトリックス中に少なくとも分散可能である。
両親媒性ブロックコポリマーが帯電防止剤として使用される場合、その平均分子量は、例えば、約1000g/モルないし約30,000g/モル、約1000g/モルないし約8000g/モル又は1000g/モルないし約5000g/モルの範囲であり得る。
更に、プラスチック表面の湿潤性又は印刷適性を増加する方法或いはプラスチック表面の帯電防止特性を改善する方法は、両親媒性ブロックコポリマーを熱可塑性基材ポリマーと溶融ブレンドする工程を含む。
熱可塑性物質は、例えば、ポリオレフィン又はポリスチレン樹脂のようなビニル樹脂、ABS、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン及びそれらの混合物のようなゴム様ポリマーである。
【0067】
ポリオレフィンの例は、以下の通りである:
1.モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテ−1−エン、ポリ−4−メチルペンテ−1−エン、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、並びにシクロオレフィン、例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度および高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度および超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)および(ULDPE)。
【0068】
ポリオレフィン、すなわち前段落において例示されたモノオレフィンのポリマー、好ま
しくはポリエチレンおよびポリプロピレンは、異なった、および特に以下の方法によって製造され得る。
i)ラジカル重合(通常、高圧下および高温で)。
ii)通常一種または一種より多くの周期表のIVb、Vb、VIbまたはVIII群の金属原子を含む触媒を使用する触媒重合。これらの金属原子は通常1個または1個より多くの、代表的にはπ−またはσ−配位され得るオキシド、ハライド、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニルおよび/またはアリールのような配位子を有する。これらの金属錯体は遊離状態であり得るか、あるいは代表的には活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナまたは酸化ケイ素のような基材上に固定され得る。これらの触媒は重合媒体中に可溶または不溶であり得る。触媒は重合において単独で使用されることができ、または代表的には金属アルキル、金属ヒドライド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシドまたは金属アルキルオキサンのようなさらなる活性化剤が使用されることができ、該金属原子は周期表のIa、IIaおよび/またはIIIa群の元素である。活性化剤はさらなるエステル、エーテル、アミンまたはシリルエーテル基を用いて都合よく変性され得る。これらの触媒系は通常、フィリップス(Phillips)、スタンダード オイル インディアナ(Standard Oil Indiana)、チグラー(−ナッタ)(Ziegler(−Natta))、TNZ(デュポン(DuPont))、メタロセンまたはシングルサイト触媒(single site
catalyst)(SSC)と命名される。
【0069】
2.1)に記載されたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)および異なるタイプのポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0070】
3.モノオレフィンおよびジオレフィンの相互または他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびそれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテ−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテ−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー及びそれらの一酸化炭素又はエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩(アイオノマー)とのコポリマー、並びにエチレンとプロピレンおよびヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン−ノルボルネンのようなジエンとのターポリマー、およびそのようなコポリマーの相互のおよび上記1)に記載されたポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマーおよびそれらと例えばポリアミドのような他のポリマーとの混合物。
【0071】
本発明のポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレンホモ−及びコポリマー並びにポリエチレンホモ−及びコポリマーである。例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)並びにポリプロピレンランダムコポリマー及び衝撃コポリマーである。
【0072】
ポリエステルの例は:
ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸から又は対応するラクトンから誘導されるポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフ
タレート(PAN)、例えば、ポリエチレンナフタレート及びポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシ−末端化ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;同様にポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステルである。
【0073】
本発明の組成物に使用され得るポリエステルは、1種以上のジオールと1種以上のジカルボン酸から慣用の重合技術により製造された線状の、熱可塑性の、結晶の又は非晶質のポリエステルを含む。例えば、ポリエステルは、少なくとも約50モル%のテレフタル酸残基と少なくとも少なくとも約50モル%のエチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む。
【0074】
記載されたポリエステルのジオール成分は、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、X,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ−[5.2.1.0]−デカン(ここでXは3、4又は5を表す。);及び鎖中に1個以上の酸素原子を含むジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等から選択され得る。一般に、これらのジオールは、2ないし18個の、例えば2ないし8個の炭素原子を含む。脂環式ジオールは、それらのシス又はトランスの立体配置で採用され得るか又は両形態の混合物として採用され得る。
【0075】
線状ポリエステルの酸成分(脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸)は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、2,6−ナフタレン−ジカルボン酸等から選択される。ポリマー製造において、ジカルボン酸のジメチル、ジエチル又はジプロピルエステルのようなそれらの官能酸誘導体がしばしば用いられる。これらの酸の無水物又は酸ハロゲン化物もまた、差し支えなければ用いられ得る。
【0076】
線状ポリエステルは、本技術分野において周知の手順に従って製造され得る。例えば、1種以上のジカルボン酸、例えば、芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成誘導体と1種以上のジオールの混合物が、150ないし300℃の範囲の温度及び大気圧ないし0.2mmHgの圧力において、エステル化及び/又はポリ−エステル化触媒の存在下で加熱され得る。通常、ジカルボン酸又はそれらの誘導体が、大気圧において及び指定範囲の下端の温度において、ジオールとエステル化又はトランスエステル化される。その後、重縮合が温度を上昇させ且つ圧力を低下させることにより行われ、その間過剰のジオールが混合物から除去される。固体重合が、フィルム及び成形容器のための有用な範囲において、最終ポリマーI.V.を達成するために用いられ得る。
【0077】
ポリアミドの例は以下のものである:
ジアミシとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリマー及びコポリマー、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/9、ポリアミド6/12、ポリアミド4/6、ポリアミド12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から及び変性剤としてのエラストマーを用いて又は用いずに調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド:及び上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合されたか又はグラフト化された
エラストマーとの;又は例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルとのブロックコポリマー;ならびにEPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0078】
含まれるポリアミドは、アミノ基とカルボン酸基の間に少なくとも2個の炭素原子を有するモノアミノ−モノカルボン酸又はそのラクタムの重合、アミノ基とジカルボン酸の間に少なくとも2個の炭素原子を含む実質的に等モル比率のジアミンの重合又は実質的に等モル比率のジアミンとジカルボン酸のと一緒の上に定義されるとおりのモノアミノカルボン酸又はそのラクタムの重合により製造されるものである。用語“実質的に等モル”比率は、厳密に等モルの比率、及び生成したポリアミドの粘度を安定化させる為の従来技術に併う、該比率からのわずかなずれの両方を含む。ジカルボン酸は、その官能性誘導体、例えばエステル又は酸塩化物の形態で使用されてもよい。
【0079】
ポリアミドを製造する上で有用である前述のモノアミノ−モノカルボン酸又はそのラクタムの例は、アミノ基とカルボン酸基の間に2ないし16個の炭素原子を含有し、前記炭素原子はラクタムの場合には−CO−NH−基を含有する環を形成する、それら化合物を含む。アミノカルボンカルボン酸及びラクタムの具体例として、ε−アミノカプロン酸、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタム及び3−及び4−アミノ安息香酸を挙げ得る。
【0080】
ポリアミドの製造における使用のために好適なジアミンは、直鎖及び分岐鎖のアルキル、アリール及びアルカリル(alkaryl)ジアミンである。ジアミンの例は、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(これがしばしば好ましい)、トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−フェニレンジアミン及びm−キシリレンジアミンである。
【0081】
ジカルボン酸は、式
HOOC−B−COOH
(式中、Bは少なくとも2個の炭素原子を含む二価の脂肪族又は芳香族基を表す。)により表され得る。脂肪酸の例は、セバシン酸、オクタデカン二酸、スベリン酸、グルタル酸、ピメリン酸及びアジピン酸である。
【0082】
結晶及び非晶質の両方のポリアミドが用いられ得るが、その結晶種がしばしばその溶剤耐性の理由により好まれる。それらは、しばしばポリアミド又はナイロンと呼ばれるが、その典型的な例は、例えば、ポリアミド−6(ポリカプロラクタム)、6,6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、11、12、4,6、6,10及び6,12並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミン由来の;アジピン酸とm−キシリレンジアミン由来の;アジピン酸、アゼライン酸と2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン又は2,2−ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパン由来の及びテレフタル酸と4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン由来の、ポリアミドを含む。前
述のポリアミド又はそのプレポリマーの2つ又はそれ以上の混合物及び/又はコポリマーはそれぞれ、また本発明の範囲内にある。好ましいポリアミドは、ポリアミド−6、4,6、6,6、6,9、6,10、6,12、11及び12であり、最も好ましくは、ポリアミド−6,6である。
【0083】
ポリスチレンの例は:
ポリスチレン、ポリビニルトルエン等;スチレンと、メチルメタクリレート、アクリロニトリル及びブタジエンからなる群より選択された少なくとも1種のモノマーとのコポリ
マー、例えば、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS樹脂)、スチレン−メチルメタクリレート−アクリロニトリルコポリマー、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンコポリマー(MBS樹脂)、スチレン−ブタジエンコポリマー等である。
【0084】
ゴム様の(コ)ポリマーの例は:
ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー等である。
アクリル樹脂は例えば:
炭素原子数1ないし20のアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリルのような1種より多いアクリルモノマーの(コ)ポリマー、並びに1種より多いこれらのモノマーと少なくとも1種の共重合可能なビニルモノマーとのコポリマーである。
共重合可能なビニルモノマーとして、前記アクリルモノマー以外のモノマー、例えば、ビニルエステル、ジエン及びハロゲン含有ビニルモノマーがあり得る。
【0085】
ポリアセタール樹脂は例えば:
ホルムアルデヒド又はトリオキサンのホモポリマー、例えば、ポリオキシメチレンホモポリマー並びにホルムアルデヒド又はトリオキサン及び環状エーテル(上述の、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのようなアルキレンオキシド或いはジオキソラン)のコポリマー、例えば、ポリオキシメチレン−ポリオキシエチレンコポリマーである。
【0086】
ポリカーボネート樹脂は例えば:
ビスフェノール骨格−含有ポリカーボネート、例えば、ビスフェノールAとホスゲンの縮合物及びビスフェノールAと炭酸ジエステルの縮合物である。
熱可塑性ポリウレタン樹脂は例えば:
ジイソシアネートと高分子量ジオール、ポリエステルジオール及び/又はポリエーテルジオールから誘導される。
両親媒性ブロックコポリマーは、熱可塑性樹脂と溶融ブレンドされ得るが、該両親媒性ブロックコポリマーは、帯電防止仕上げされたポリマー物品の約0.1質量%ないし約25質量%、約1.0ないし約20質量%又は約1.0ないし約10質量%を構成し得る。
【0087】
本発明の目的のための溶融ブレンドは、熱可塑性樹脂及びブロックコポリマーが、樹脂材料の混合のために一般的に使用される、一軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ニーダー及びバンベリー混合機のような融合混練機を用いて融合及び混練され得ることを意味する。
両親媒性ブロックコポリマーと共に溶融ブレンドされた熱可塑性物質は、ホットメルト成形及び熱加工され得、種々のタイプの成形製品が、射出成形、押出成形、膨張フィルム成形及び吹き込み成形により円滑に製造され得る。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は本発明を更に説明する。特段の指示がない限り、量は質量%として報告される。
実施例1a:チオール官能化エチレンオリゴマーの製造
ビニル末端官能性エチレンオリゴマー(F−140、三井化学(Mitsui Chemicals)、平均分子量1400)10g、AIBN700mg、トルエン20mL及びメルカプト酢酸1.0mLの混合物を80℃、N2下で4.5時間攪拌した。混合物
をその後冷却し、メタノール中に注いだ。沈殿物をろ過し、メタノールで洗い、真空下で乾燥した。生成物をトルエン40mL及び10%NaOHメタノール溶液5mLと合わせて5時間還流した。その後メタノール中に注ぎ、ろ過し真空下で乾燥した。
【0089】
実施例1b:チオール官能化ポリ(エチレン−コ−ブチレン)の製造
ポリ(エチレン−コ−ブチレン)モノ−オール(サイエンティフィックポリマープロダク
ツ(Scientific Plymer Products)、55g、平均分子量3800)をトルエン80mL中に溶解した。メルカプト酢酸(3.0mL)及び濃硫酸の
2滴を添加した。混合物を30分間窒素を用いて拡散し、その後2時間還流した。生成物をメタノールで沈殿させ、トルエン中に溶解し、再度沈殿させ、メタノールで3回洗浄し、真空下で乾燥した。
【0090】
実施例2a:チオール末端官能性ポリスチレンの製造
ヒドロキシ末端官能性ポリスチレン(サイエンティフィックポリマープロダクツ(Sc
ientific Plymer Products)、MW〜4000−5000)25.80g、トルエン40mL、メルカプト酢酸1.37mL及び硫酸(1+1)1滴の混合物を30分間拡散し、その後、2時間還流した。混合物を氷浴中で冷却し、メタノール中に注いだ。沈殿物をろ過し、メタノールで洗い、真空下で乾燥した。
【0091】
実施例2b:チオール末端官能性ポリスチレンの製造
100mLのフラスコにフェニルエーテル25g、スチレン25mL、2,2´−ビピリジル10.2g、臭化銅(I)3.12g及びアリルブロミド1.9mLを入れた。混合物を30分間拡散し、その後、100℃で5時間、窒素下で加熱した。生成物をメタノールで沈殿させ、THF中に溶解し、塩基性アルミナを通過させた。溶液を濃縮し、メタノールで沈殿させ、残存溶媒を真空下で除去した。生成物をトルエン50mL中に溶解し、チオ酢酸3.0mL及びアゾビスイソブチロニトリル2.05gを添加した。混合物を窒素を用いて45分間拡散し、80℃で5時間加熱した。生成物をメタノールで沈殿させ、残存溶媒を真空下で除去した。
生成物(平均分子量〜1400)をトルエン120mLに溶解し、水酸化ナトリウムのメタノールにおける飽和溶液2mLを添加した。混合物を攪拌し、6時間窒素を用いて拡散し続けた。その後、メタノールで沈殿させ、残存溶媒を真空下で除去した。
【0092】
実施例3a:エチレン−コ−ブチレンと塩化ジアリルジメチルアンモニウムとのブロックコポリマーの製造
実施例1bのチオールで末端官能化されたポリ(エチレン−コ−ブチレン)(22.5g)をトルエン56mL中に溶解し、n−ブタノール56mL中塩化ジアリルジメチルアンモニウム45gの溶液へ添加した。2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩開始剤(1.125g)を添加し、混合物を3時間窒素を用いて拡散した。その後、70℃で48時間攪拌した。冷却し、アセトンで沈殿させ、ろ過し及び真空下で乾燥した。生成物をテトラヒドロフラン1000mLで処理し遠心分離した。固体を集め、テトラヒドロフランで洗い、真空下で乾燥した。
【0093】
実施例3b:エチレン−コ−ブチレンと塩化ジアリルジメチルアンモニウムとのブロックコポリマーの製造
500mLのフラスコに塩化ジアリルジメチルアンモニウム水溶液(77.5質量%)32.5gを入れた。モノマーが溶解した後、トルエン125mL中実施例1bのチオールで末端官能化されたポリ(エチレン−コ−ブチレン)25gの溶液を添加し、続いてn−ブタノール125mL及び2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩開始剤1.25gを添加した。混合物を45分間窒素を用いて拡散し、その後、70℃で24時間攪拌した。混合物はその後、アセトン中に注ぎ、ろ過し及び真空下で乾燥した。
【0094】
実施例4a:スチレンと塩化ジアリルジメチルアンモニウムとのブロックコポリマーの製造
実施例2aのチオール末端官能化ポリスチレン(1.0g)をトルエン2.0mL中に
溶解した。これにn−ブタノール4.0mL中塩化ジアリルジメチルアンモニウム1.0gの溶液及び2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩開始剤51mgを添加した。混合物を30分間窒素を用いて拡散し、その後70℃で24時間攪拌した。24時間後、混合物を氷浴中で冷却し、アセトンで沈殿させた。沈殿物をろ過し、アセトンで洗い、真空下で乾燥した。
【0095】
実施例4b:スチレンと塩化ジアリルジメチルアンモニウムとのブロックコポリマーの製造
ジメチルホルムアミド10mL中上記実施例2bのチオール末端官能性ポリスチレン2gの攪拌溶液へ、n−ブタノール10mL中乾燥塩化ジアリルジメチルアンモニウム4gの分散液をゆっくり添加した。2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩開始剤320mgを添加し、混合物を30分間窒素を用いて拡散し、続いて70℃で24時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した。
【0096】
実施例5:ポリスチレンにおける実施例4Aのブロックコポリマーの溶融ブレンド
プラスチックの添加剤としての実施例4bの化合物の表面特性及び帯電防止特性を評価するために、以下の手順を用いた:
ポリスチレン粉末[ダウ(Dow)からのスチロン(STYRON)484]を80℃で8時間真空オーブン中で乾燥した。実施例4bの化合物の適当量を、60℃で8時間真空オーブン中で乾燥した。配合物を混合し、平ダイを備えた2軸スクリュー押出機(サーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Scientific)からのミニラブ(MINILAB)押出機)で押出した。このようにして、5mmの幅で約0.5mmの厚さのテープを製造した。加工温度は約200℃であった。製造された全てのテープは、乳白色の外観を有していた。
添加剤は、ブレンドの総質量に基づき10及び20質量%の量でポリスチレンとブレンドされた。
製造されたテープの接触角度CAは、液滴法及び測定液として水を使用して、データフィジックス(DATAPHYSICS)OCA 30接触角度機器を用いて測定された。相対湿度(r.h.)50%及び15%r.h.で1週間室温で貯蔵した後、試料の表面抵抗SR(Ω/□)をDIN53482に準拠してスプリングリード電極(spring
reed electrode)を使用して測定した。
【0097】
実施例6:ポリスチレン中に実施例4bの化合物を含有する射出成形プラークの加工
添加剤としての実施例4bの化合物の表面特性及び帯電防止特性を評価するために、以下の手順を用いた:
ポリスチレン粉末[ダウ(Dow)からのスチロン(STYRON)484]を80℃で8時間真空オーブン中で乾燥した。実施例4bの化合物の適当量を、乾燥したポリスチレン粉末に添加した。配合物を、ターボミキサーにて混合し、2軸スクリュー押出機(サーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Scientific)からのミニラブ(MINILAB))にてペレットに配合し、更にミクロ射出成形機(クロノプラスト(CronoPlast)からのベビープラスト(BABYPLAST))を使用して幅30mm、長さ40mm及び厚さ2mmのプラークに射出成形した。加工温度は約200℃であった。製造された全てのプラークは、乳白色の外観を有していた。
添加剤は、ブレンドの総質量に基づき10及び20質量%の量でポリスチレンとブレンドされた。
製造されたプラークの接触角度は、液滴法及び測定液として水を使用して、データフィジックス(DATAPHYSICS)OCA 30接触角度機器を用いて測定された。相対湿度(r.h.)50%及び15%r.h.で1週間室温で貯蔵した後、試料の表面抵抗SR(Ω/□)をDIN53482に準拠してスプリングリード電極(spring
reed electrode)を使用して測定した。
【0098】
実施例7及び8:ポリプロピレン中に実施例4bの化合物を含有する押出テープ又は射出成形プラークの加工
ポリプロピレン:ボレアリス(Borealis)からのHC115MO
乾燥:80℃
加工:220℃
添加剤は、ブレンドの総質量に基づき10及び20質量%の量でポリプロピレンとブレンドされた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともAポリマーブロック及びBポリマーブロックを含む両親媒性ブロックコポリマーであって、ブロックAは、式(I)
【化1】

(式中、R1及びR2は独立して、分岐の又は非分岐の炭素原子数1ないし22のアルキル基、アリール基、ベンジル基又はヒドロキシエチル基を表し、Z-は、いずれかの対イオ
ンを表し、nは2以上を表す。)で表されるモノマー単位を含む親水性ポリマーであり、そして
ブロックBは、ポリオレフィンを含む疎水性ポリマーであるところの両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項2】
式(I)のR1及びR2が独立して、炭素原子数1ないし6のアルキル基又はベンジル基を表す請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項3】
-が、Cl-、Br-、I-、F-、置換された又は未置換のアリールスルホネート、スル
フェート、アルキルスルホネート、カルボキシレート、ニトレート、PO4-、テトラフルオロボレート、テトラアルキルボレート、テトラアリールボレート、ClO4-、PF6-、SbF6-、AsF6-、TlF6-、BF3Cl-、PF5Cl-、SbF5Cl-、AsF5Cl-、TlF5Cl-、BF3Br-、PF5Br-、SbF5Br-、AsF5Br-、TlF5Br-、BF3-、PF5-、SbF5-、AsF5-及びTlF5-からなる群より選択される請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、ビニルシクロヘキセン、シクロペンタジエン、β−ピネン、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−メチルスチレン、塩化ビニル及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーから形成される請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項5】
前記ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン又はこれらの混合物から形成される請求項4記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項6】
式(I)で表されるモノマー単位が、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、リン酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジ(β−ヒドロキシエチル)アンモニウム及び塩化ジアリルジ(β−エトキシエチル)アンモニウムからなる群より選択されるモノマーから形成される請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項7】
親水性ブロックAの平均分子量が、約200g/モルないし500,000g/モルである請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項8】
親水性ブロックAの平均分子量が、約200g/モルないし50,000g/モルである請求項7記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項9】
疎水性ブロックBの平均分子量が、約200g/モルないし500,000g/モルである請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項10】
疎水性ブロックBの平均分子量が、約200g/モルないし50,000g/モルである請求項9記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項11】
ブロックBが、非荷電であるか又は中性である請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項12】
ブロックコポリマーが、線状、櫛形、星形又はグラフトブロックコポリマーである請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項13】
ブロックコポリマーが、線形A−B又はA−B−A構造である請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項14】
親水性ブロックAがホモポリマーである請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項15】
前記親水性ブロックはコポリマーであり、該親水性ブロックは更に非イオン性単位を含む両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項16】
前記非イオン性単位が、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、N−メチルオールアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、フマルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、グリセロールモノ((メタ)アクリレート)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルメチルスルホン、酢酸ビニル、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸、フマル酸、コハク酸及びイタコン酸のジエステルからなる群より選択されるモノマーから形成される請求項15記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項17】
前記非イオン性単位が、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート又はポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレートである請求項16記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項18】
親水性ブロックAと疎水性ブロックBが硫黄原子を介して共有結合されている請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項19】
両親媒性ブロックコポリマーが、式(IV)
【化2】

(式中、R1、R2、n及びZ-は、請求項1で定義されたのと同じであり、
Sは硫黄原子を表し、
POはポリオレフィンを表す。)により定義される請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項20】
請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマーと熱可塑性物質の溶融ブレンドを含む帯電防止仕上げされたポリマー物品。
【請求項21】
前記熱可塑性物質が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ゴム状ポリマー、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群より選択される請求項20記載の帯電防止仕上げされたポリマー物品。
【請求項22】
請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマーの製造方法であって、開始剤及び疎水性Bブロックポリマー(該疎水性Bブロックは官能基又は連鎖移動基で末端化されている。)の存在下で、カチオン性モノマー又は潜在的カチオン性モノマーを重合する工程を含む製造方法。
【請求項23】
重合されるモノマーがカチオン性である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
重合されるモノマーが潜在的カチオン性であり且つ重合後に四級化により荷電される請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記モノマーが、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、リン酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジ(β−ヒドロキシエチル)アンモニウム及び塩化ジアリルジ(β−エトキシエチル)アンモニウムからなる群より選択されるカチオン性モノマーから形成される請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記連鎖移動基で末端化された疎水性Bブロックは、ヒドロキシ基で末端化された疎水性Bブロックを、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸又はチオ吉草酸で処理することにより形成される請求項22記載の方法。
【請求項27】
請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマーを熱可塑性樹脂と溶融ブレンドすることによる、ポリマー表面の湿潤性及び/又は印刷適性を増加する方法。
【請求項28】
請求項1記載の両親媒性ブロックコポリマーを熱可塑性樹脂と溶融ブレンドすることによる、ポリマー物品を帯電防止仕上げする方法。

【公表番号】特表2009−545641(P2009−545641A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522219(P2009−522219)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057657
【国際公開番号】WO2008/015136
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】