説明

ジェットポンプビームの取り付け方法

【課題】ジェットポンプビーム(単に、ビームという)によりインレットミキサに付加される押し付け力をさらに精度良く確認できるジェットポンプビームの取り付け方法を提供する。
【解決手段】ビームは、ジェットポンプのノズルにつながるエルボに作用する流体反力に抗するために設けられ、ライザ管に設けられたトランジションピースの一対の突出部に取り付けられる。このビームの取り付けに際し、ビームの取り付け部における異物の存在を確認する(S1)。異物がないとき、ビームを各突出部に形成した溝内に嵌め込む(S3)。このビームにたわみを付与する(S4)。ビームに噛み合うビームボルトを締め付け(S5)、たわみを付与したビームのたわみ量を測定する(S6)。所定のたわみ量が付与されているとき、ビームの取り付け方法が終了する。所定のたわみ量が付与されていないとき、S7,S8を実行し、さらに、S1〜S6を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェットポンプビームの取り付け方法に係り、特に、沸騰水型原子炉に適用するのに好適なジェットポンプビームの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉は、再循環系配管が接続された原子炉圧力容器(以下、RPVという)とRPV内の炉心を取り囲む円筒状の炉心シュラウドの間に形成された環状領域であるダウンカマ内に複数のジェットポンプを設置している。ジェットポンプは、エルボ、ノズル、ベルマウス、スロート及びディフューザを備える。再循環ポンプの駆動によって昇圧された冷却水は、再循環系配管内を流れて、駆動水としてライザ管、トランジションピース及びエルボ内を通り、ノズルからベルマウス及びスロート内に噴出される。ノズルは駆動水の速度を増加させる。ダウンカマ内のノズル周囲に存在する冷却水が、噴出された駆動水の作用によって、被駆動水としてスロート内に吸込まれ、駆動水と運動量を交換しながらディフューザ内に流入する。ディフューザから排出された冷却水は、RPV内の下部プレナムを通って炉心に供給される。
【0003】
原子炉圧力容器内に設置されているジェットポンプは、検査及び修理等のため、エルボ、ノズル、ベルマウス及びスロートが一体化されて取り外し可能なインレットミキサを構成している。ライザ管内を上昇した駆動水は、エルボで流れ方向が180°変えられて下向きの流れになってジェットポンプのノズルに流入する。この結果、上向きの流体反力がエルボに加わるため、ジェットポンプビーム(以下、単にビームという)によってエルボの上面を押さえている。ビームは、ライザ管の上端に接続されたトランジションピースの上方に向かって伸びている一対の突出部のそれぞれに形成された溝に両端部が挿入され、たわみ状態で保持されている。
【0004】
特開昭63−168594号公報は、沸騰水型原子炉に用いられるジェットポンプを記載している。このジェットポンプは、ライザ管、インレットミキサ及びディフューザを備えている。インレットミキサは、ライザ管に接続されたエルボ、エルボに接続されたノズル、ノズルの下方に配置されたベルマウス、及びベルマウスの下端に設けられたスロートを有している。エルボを挟んで対向して配置された一対の突出部を有するトランジションピースが、ライザ管に取り付けられる。ビームが、一対の突出部に形成されたそれぞれの溝内に挿入されている。テンショナがビームとエルボの頂部との間に配置され、テンショナによって、ビームにたわみ量δが付与される。
【0005】
特許第4052377号公報は、ジェットポンプビーム固定装置を記載している。このジェットポンプビーム固定装置は、ジェットポンプビームと噛み合ってこのビームを固定する際に用いられるビームボルトの周囲に形成されたラチェット歯と噛み合う固定装置をジェットポンプビームに取り付けている。
【0006】
特許第4052377号公報に記載された従来のジェットポンプビームの取り付け方法等では、ジェットポンプビーム、トランジションピースに形成された溝及びビームに取り付けられたビームボルトの下端部が挿入される、エルボ頂部に形成された窪みにおける異物の有無を確認し、異物が存在する場合にそれを取り除くことが行われる。その後、ジェットポンプビームをトランジションピースの一対の突出部に形成された各溝内に挿入している。ジェットポンプビームの中央部をテンショナで引っ張り上げてジェットポンプビームに所定のたわみ量を付与し、ビームボルトを締め付けている。
【0007】
ジェットポンプビームによるエルボ、すなわち、インレットミキサへの押しつけ力は、一般的にテンショナの水圧及びビームボルトの締め付けトルクを管理し、ジェットポンプビーム取り付け後の取り付け状態を確認することによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−168594号公報
【特許文献2】特許第4052377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ビームの取り付け時におけるたわみ量は一般的に0.5mm以下と小さく、取り付け時の異物の噛み込み等によりそのたわみ量が減少し、エルボに作用する流体反力に抗するためのビームのたわみ復元力(押し付け力)が不足する可能性がある。ビームによって押し付け力がエルボに付加されていない場合には、流体反力を抑えられずにインレットミキサが浮き上がり、これに伴うインレットミキサの振動の増加をもたらす。このため、ビームによりインレットミキサに付加される押し付け力を、さらに精度良く確認することが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、ジェットポンプビームによりインレットミキサに付加される押し付け力をさらに精度良く確認することができるジェットポンプビームの取り付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉圧力容器内に設置されたディフューザに一端部が挿入され、原子炉圧力容器内に配置されたライザ管に他端部が連絡されたインレットミキサを、ライザ管に接続されたトランジションピースの一対の突出部間に配置した状態で、一対の突出部にそれぞれ形成された溝内に、インレットミキサの上方に配置したジェットポンプビームの両端部を別々に嵌めこみ、
ジェットポンプビームの中央部を上方に移動させてジェットポンプビームにたわみを付与し、
たわみが付与されたジェットポンプビームに噛み合ったネジ部材をインレットミキサに押し付け、
ネジ部材がインレットミキサに押し付けられている状態で、たわみが付与されたジェットポンプビームのたわみ量を測定することにある。
【0012】
一対の突出部にそれぞれ形成された溝内に、両端部が別々に嵌め込まれてたわみが付与されているジェットポンプビームのたわみ量を、ジェットポンプビームに噛み合ったネジ部材がインレットミキサに押し付けられている状態で、測定するので、ジェットポンプビームによりインレットミキサに付加される押し付け力をさらに精度良く確認することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ジェットポンプビームによりインレットミキサに付加される押し付け力をさらに精度良く確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1のジェットポンプビームの取り付け方法の工程を示すフローチャートである。
【図2】図1に示すジェットポンプビームのたわみ量測定の概念を示す説明図である。
【図3】図1に示すジェットポンプビームのたわみ量測定の具体例を示す説明図である。
【図4】たわみ量を測定している状態でのジェットポンプビームの側面図である。
【図5】実施例1のジェットポンプビームの取り付け方法が適用されるジェットポンプが設けられた沸騰水型原子炉の縦断面図である。
【図6】図5に示されたジェットポンプの拡大図である。
【図7】ジェットポンプビームが取り付けられたエルボ付近の斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【図9】ジェットポンプビームを有するビームアセンブリの正面図である。
【図10】本発明の他の実施例である実施例2のジェットポンプビームの取り付け方法におけるジェットポンプビームのたわみ量測定を示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施例である実施例3のジェットポンプビームの取り付け方法におけるジェットポンプビームのたわみ量測定を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施例である実施例4のジェットポンプビームの取り付け方法におけるジェットポンプビームのたわみ量測定を示す説明図である。
【図13】本発明の他の実施例である実施例5のジェットポンプビームの取り付け方法におけるジェットポンプビームのたわみ量測定を示す説明図である。
【図14】本発明の他の実施例である実施例6のジェットポンプビームの取り付け方法におけるジェットポンプビームのたわみ量測定を示す説明図である。
【図15】本発明の他の実施例である実施例7のジェットポンプビームの取り付け方法におけるジェットポンプビームのたわみ量測定を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の好適な一実施例である実施例1のジェットポンプビームの取り付け方法を、図1から図4を用いて説明する。
【0017】
まず、本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法を説明する前に、このジェットポンプが適用される沸騰水型原子炉の概略の構造を、図5及び図6を用いて以下に説明する。
【0018】
沸騰水型原子炉(BWR)は、原子炉圧力容器1を有し、原子炉圧力容器1内に炉心シュラウド4を設置している。炉心シュラウド4は、RPV1の内面に取り付けられたシュラウド支持構造物6によって支持される。原子炉圧力容器は、以下、RPVと称する。RPV1は、底部に下部鏡板である底部ヘッド2を有し、上端部に取り外し可能な上部ヘッド(上蓋)3を取り付けている。複数の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心5が、炉心シュラウド4内に配置される。気水分離器15及び蒸気乾燥器16がRPV1内で炉心5の上方に配置される。
【0019】
複数のジェットポンプ9が、RPV1と炉心シュラウド4の間に形成される環状のダウンカマ7内に配置され、シュラウド支持構造物6に設置される。RPV1に設けられる再循環系は、再循環系配管19及び再循環系配管19に設置された再循環ポンプ(図示せず)を有する。再循環系配管19の一端はRPV1のノズルに接続されてダウンカマ7に連絡される。再循環系配管19の他端は、RPV1の入口ノズル8に接続されてライザエルボ20に連絡される。ライザエルボ20はダウンカマ4内に配置されたライザ管21の下端に接続され、ライザ管13の上端はトランジションピース22に接続される。トランジションピース22は、実質的には、ライザ管13の一部である。
【0020】
ジェットポンプ9は、ディフューザ13及びインレットミキサ24を有する。インレットミキサ24は、エルボ23、ノズル10、ベルマウス及びスロート12を有し、これらが一体になって構成されている。トランジションピース22はジェットポンプ9のエルボ23に接続される。エルボ23の他端がノズル10に接続され、エルボ23で流路が180°曲げられている。ノズル10は、複数の支持板によってベルマウスに取り付けられ、このベルマウスの下端にスロート12が接続される。ディフューザ13の下端がシュラウド支持構造物6に接合される。スロート12とディフューザ13はスリップジョイントで接続され、このスリップジョイントにおいてスロート12の下端部がディフューザ13の上端部内に挿入されている。
【0021】
RPV1の内面に取り付けられて水平方向に伸びるライザブレース32は、ライザ管21を支持している。ライザ管13に取り付けられて水平方向に伸びているブラケット33が、ライザ管21の両隣に位置している2基のジェットポンプ9のそれぞれのスロート12を保持する。ブラケット33に取り付けられたサポート部材34が、スロート12を鉛直方向に固定している。
【0022】
トランジションピース22は上方に向かって伸びる対となる突出部25A,25Bを有しており、トランジションピース22に接続された一つのエルボ23が、突出部25Aと突出部25Bの間に配置される(図7及び図8参照)。このエルボ23は、1本のライザ管21に連絡される2基のジェットポンプ9のうちの1つのジェットポンプ9のエルボ23である。トランジションピース22の他の一対の突出部25A,25Bの間に、このトランジションピース22に接続された他のエルボ23が配置される(図7参照)。このエルボ23は、上記した2基のジェットポンプ9のうちの残りのジェットポンプ9のエルボ23である。トランジションピース22の内部には、ライザ管21と2本のエルボ23をそれぞれ連絡する駆動水通路が形成されている。水平方向に伸びる溝30Aが2本の突出部25Aに形成され、水平方向に伸びて溝30Aと対向する溝30Bが2本の突出部25Bに形成される(図8参照)。ビームアセンブリ26が、対向して配置された一対の突出部25A,25Bに形成された溝30A,30B内に挿入されている。他のビームアセンブリ26が、対向して配置された他の一対の突出部25A,25Bに形成された溝30A,30B内に挿入されている。ビームアセンブリ26のビームボルト28を締め付けることによって、インレットミキサ24がトランジションピース22、すなわちライザ管21に押しつけられる。
【0023】
インレットミキサ24は、保守点検を行うとき、ビームボルト28を緩めてビームアセンブリ26を突出部25A,25Bから取り外し、ブラケット33からサポート部材34を取り外すことによって、ディフューザ13、及びライザ管21、すなわちトランジションピース22から取り外すことができる。
【0024】
ビームアセンブリ26を、図8及び図9を用いて説明する。ビームアセンブリ26は、ジェットポンプビーム(以下、単にビームという)27及びビームボルト28を有する。ビーム27は、対向する突出部25A,25Bにおいて、突出部25Aに形成された溝30Aの垂直な面と、突出部25Bに形成された溝30Bの垂直な面との間の長さを有している。ビーム27は、その長手方向での中央部の両側面に水平方向に伸びる突起部27A及び27Bを形成している。ビーム27のこの中央部において、ビームボルト28が取り付けられている。ビームボルト28は、上下方向に伸びており、ビーム27に形成された上下方向に貫通するネジ穴と噛み合っている。キーパ29がビーム27の上面に設けられる。ビーム27の両端部が、対向する突出部25Aの溝30A及び突出部25Bの溝30Bに挿入されている。
【0025】
RPV1内の上部に存在する被駆動水である冷却水(被駆動流体、冷却材)は、給水配管18からRPV1に供給された給水と混合されてダウンカマ7内を下降する。ダウンカマ7内の冷却水は、再循環ポンプの駆動によって再循環系配管19内に吸引され、再循環ポンプによって昇圧される。この昇圧された冷却水を、便宜的に、駆動水(駆動流体)という。この駆動水は、再循環系配管19、ライザエルボ20、ライザ管21、トランジションピース22及びエルボ23内を流れてノズル10に達し、ノズル10からベルマウス及びスロート12内に噴出される。ダウンカマ7内でノズル10の周囲に存在する被駆動水である冷却水は、ノズル10からの駆動水の噴出によって、ノズル10とベルマウスの間に形成される冷却水通路を通り、ベルマウスを経てスロート12内に吸い込まれる。この冷却水は、駆動水と共にスロート12内を下降し、ディフューザ13の下端から吐出される。ディフューザ13から吐出された冷却水は、下部プレナム14を経て炉心5に供給される。
【0026】
冷却水は、炉心5を通過する際に加熱されて水及び蒸気を含む気液二相流となる。気水分離器15は気液二相流を蒸気と水に分離する。分離された蒸気は、更に蒸気乾燥器16で湿分を除去されて主蒸気配管17に導かれる。この蒸気は、主蒸気配管17により蒸気タービン(図示せず)に導かれ、蒸気タービンを回転させる。蒸気タービンに連結された発電機が回転し、電力が発生する。蒸気タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水となる。この凝縮水は、給水として給水配管18によりRPV1内に供給される。気水分離器15及び蒸気乾燥器16で分離された水は、落下して冷却水としてダウンカマ7内に達する。
【0027】
エルボ14、ノズル16、ベルマウス17、スロート18及びディフューザ19を主要な構成要素とするジェットポンプ15は、ノズル16の周囲の冷却水を吸込むことにより、少ない駆動水の流量でより多くの冷却水を炉心5に送り込むことができる。
【0028】
所定のたわみ量が付与されたビーム27は、エルボ23、すなわち、インレットミキサ24をライザ管21側に押圧する押しつけ力をエルボ23に加えている。具体的には、ビーム27は、エルボ23内を駆動水が流れる際に流体反力が作用するエルボ23に押しつけ力を付与する。
【0029】
例えば、インレットミキサ24の振動が増大したときには、沸騰水型原子炉の定期検査の期間中において、ビーム27を新しいビーム27に交換する場合がある。この時におけるジェットポンプビームの取り付け方法を例に挙げて、本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法を説明する。ビームボルト28を緩めてビーム27を一対の突出部25A,25Bの溝30A,30Bから抜き取る。その後、新しいビーム27を一対の突出部25A,25Bに取り付ける本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法が実施される。この取り付け方法を、図1を用いて説明する。
【0030】
異物が取合い部に存在しているかを確認する(ステップS1)。作業員は、新しいビーム27を取り付ける突出部25A,25Bの溝30A,30B、及びビーム27に設けられたビームボルト28の先端28Aが挿入される、エルボ23の上部に形成された窪み31をそれぞれ点検する。また、作業員は、取り付けるビーム27の表面も点検する。それらにおいて異物が存在しているかを判定する(ステップS2)。異物が存在すると判定されたときには、該当する部分からその異物を除去する(ステップS8)。異物を除去した後、ステップS1における確認を再度行う。
【0031】
ステップS2において、異物が存在しないと判定された場合には、ビームアセンブリを据え付ける(ステップS3)。図9に示すように、ビーム27にビームボルト28を取り付けているビームアセンブリ26を、対向する一対の突出部25A,25Bに装着する。ビームアセンブリ26はキーパ29を有している。ビームアセンブリ26のビーム27の一端部を突出部25Aの溝30Aに嵌め込み、そのビーム27の他端部をその突出部25Aと対向している突出部25Bの溝30Bに嵌め込む。その後、ビーム27を水平方向で溝30A,30Bに沿って移動させ、ビーム27の両端部を溝30A,30B内の所定の位置に位置決めする。ビームテンショニング(たわみ付与)を実施する(ステップS4)。テンショナ(図示せず)をビーム27の突起部27A及び27Bに引っ掛けて、テンショナにより、ビーム27の長手方向での中央部を上方に向かって引っ張り上げる。ビーム27の両端部が溝30A,30Bに嵌め込まれているので、ビーム27は、図2に示すように、二点鎖線で示す、テンショナでたわみを付与する前の27Cの状態から、実線で示す、テンショナでたわみを付与した状態に変形し、ビーム27の端部に比べて長手方向での中央部での上方に向かう変位36が大きくなる。結果的に、ビーム27には、ビーム27の長手方向において、図2に実線で示すように、たわみが付与される。変位36は、ステップS4におけるビーム27へのたわみの付与によって生じる。
【0032】
その後、ビームボルトが締め付けられる(ステップS5)。ビーム27をテンショナで引っ張り上げている状態で、ビーム27に形成されて上下方向に貫通するネジ穴に噛み合っているビームボルト28を締め付ける。この締め付けは、ビームボルト28の先端28Aが窪み31の底に接触するまで行われる。ビームボルト28の締め付けが終了した後、突起部27A,27Bからテンショナが外される。テンショナが外された後においても、ビーム27に噛み合っているビームボルト28の先端28Aが、エルボ23に形成された窪み31の底面に接触しているので、ステップS4でビーム27に付与されたたわみが保持される。
【0033】
ビーム27のたわみを測定する(ステップS6)。ビーム27のたわみ量の測定の概要を、図2を用いて説明する。テンショナでたわみを付与した状態では、ビーム27の両端部が、前述したように、突出部25A,25Bの溝30A,30Bに嵌め込まれているので、ビーム27の両端部での変位よりも、長手方向における中央ビーム27の上下方向における変位36が大きくなる。このため、ビームの長手方向において、中央部での上下方向におけるビーム27の変位と端部での上下方向におけるビーム27の変位の差を求めることによって、ビーム27の中央部での変位量を求めることができる。この求められたたわみ量を、例えば、解析及び試験などで得られたたわみ量と比較することによって、ビームボルト28の締め付け状態の良否を確認することができる。
【0034】
本実施例で実施されるビーム27のたわみ測定を、図3及び図4を用いて説明する。ビーム27のたわみ量は、接触子37を取り付けた測定アーム38を用いて行われる。測定アーム38は、図4に示すように、直角に折れ曲がっており、水平部及びこの水平部につながる垂直部を有する。接触子37は水平部の上面に取り付けられる。変位計50が測定アーム38の垂直部に取り付けられる。ビーム27が突出部25A,25Bの溝30A,30Bに嵌め込まれて突出部25A,25Bに取り付けられた状態で、接触子37が取り付けられた面を上にして接触子37がビーム27の下面の真下に位置するように、測定アーム38の水平部をビーム27とエルボ23の間に差し込む。測定アーム38を上方へ移動させ、接触子37をビーム27の下面に接触させて、その下面の、上下方向における変位量を測定する。この上下方向におけるこの変位量は、基準点からの変位量であって、測定アーム38の軸方向での移動量を変位計50で求めることによって得られる。ビーム27の下面の、上下方向における変位量は、図3に示すように、ビーム27の長手方向において所定間隔にて4箇所(例えば、長手方向の中央部で2箇所及びビーム27の両端部でそれぞれ1箇所)で測定される。変位計50で計測された変位量は、演算装置51に入力され、演算装置51のメモリ(図示せず)に格納される。上記の4箇所でのビーム27の変位量の測定は、測定アーム38をビーム27の長手方向に移動させて行う。1本の支持部材に上下方向に移動可能に取り付けられた4本の測定アーム38のそれぞれの水平部を、ビーム27とエルボ23の間に挿入して、これらの測定アーム38を上方へ順番に移動させ、それぞれの測定アーム38に設けられた各接触子37をビーム27の下面に接触させ、それぞれの位置での変位を測定しても良い。
【0035】
ビームアセンブリの据え付け(ステップS3)の後でビーム27へのたわみの付与(ステップS4)の前において、ステップS6でビーム27の下面の軸方向における変位量を測定した、ビーム27の長手方向の同じ位置で、ステップS6と同様に、測定アーム38及び変位計50を用いてビーム27の下面の軸方向における変位量を測定する。ここで測定された変位量は、ビーム27にたわみを付与する前での変位量であり、演算装置51のメモリに格納される。演算装置51は、ビーム27へのたわみ付与後におけるビーム27下面の変位量から、ビーム27へのたわみ付与前におけるビーム27下面の変位量を差し引くことによって、ステップS4でビーム27に付与されたたわみ量を求める。このたわみ量は、ビーム27の長手方向の上記した4箇所でそれぞれ求められる。
【0036】
それぞれのたわみ量を求めた後、演算装置51は、ステップS6で得られたそれぞれのたわみ量をそれぞれの設定値と比較し、ビーム27の長手方向の4箇所でのそれぞれのたわみ量がそれぞれの設定値になっているかを判定する。これらの判定結果は、演算装置51から表示装置52に出力され、表示装置52に表示される。
【0037】
ステップS6において、演算装置51が、ビーム27のたわみ量が設定値になっていないと判定したとき、「ビームのたわみ量が不良」との表示が表示装置52に表示される。この表示がなされたとき、作業員は、突出部25A,25Bからビームアセンブリ26を取り外し(ステップS7)、異物除去を行う(ステップS8)。その後、ステップS1〜S6の各工程を実行し、ステップS6で「ビームのたわみ量が正常」と判定されたとき、回り止めのキーパ29をビーム27及びビームボルト28に溶接にて取り付け、本実施例におけるビームの取り付け方法の全工程が終了する。
【0038】
演算装置51及び表示装置52を用いないで、演算装置51で行う処理を、変位計50の側定値に基づいて、作業員が行っても良い。
【0039】
ビーム27へのたわみ付与後におけるビーム27下面の変位量及びビーム27へのたわみ付与前におけるビーム27下面の変位量を用いる替りに、前述したように、ビーム27へのたわみ付与後におけるビーム27の中央部での軸方向における変位量とビーム27の端部での軸方向の変位量の差を用いて、演算装置51により、ビーム27の軸方向におけるたわみ量を求めても良い。
【0040】
本実施例によれば、トランジションピース22に設けられた突出部25A,25Bに取り付けられたビーム27のたわみ量を測定するため、ビーム27によりインレットミキサ23に付加される押し付け力を、さらに精度良く確認することができる。このため、より適切な押しつけ力をインレットミキサ23に付加することができ、沸騰水型原子炉の運転時におけるインレットミキサの振動をさらに抑制することができる。
【0041】
本実施例、後述の実施例2、実施例3及び実施例5のいずれの実施例も、たわみを付与した状態でのビーム27の変位36を測定し、この変位36に基づいてビーム27のたわみ量を求める実施例である。
【実施例2】
【0042】
本発明の他の実施例である実施例2のジェットポンプビームの取り付け方法を、図10を用いて説明する。
【0043】
本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法は、実施例1で行った図1に示すステップS1〜S5、S7及びS8の各工程が実行される。本実施例では、実施例1とステップS6の工程が異なっている。本実施例では、ステップS6のビーム27のたわみ測定において、図10に示す測定装置が用いられる。この測定装置は、長尺の支持部材40の上に複数(例えば4個)のレーザー送受信器39を取り付けた構成を有する。支持部材40上に設置した各レーザー送受信器39の間隔は、測定対象であるビーム27の長手方向における複数のたわみ測定箇所の間隔に合わせる。
【0044】
4個のレーザー送受信器39を取り付けた支持部材40を、たわみを付与されて突出部25A,25Bに取り付けられたビーム27とエルボ23の間に挿入する。支持部材40の水平度を保って、各レーザー送受信器39から、たわみ付与後のビーム27の下面の測定箇所に向かってレーザーを送信する。送信されたレーザーは、ビーム27の下面で反射され、反射したレーザーがレーザー送受信器39で受信される。レーザー送受信器39は、レーザーの送信時間及び反射したレーザーの受信時間を演算装置(図示せず)に入力する。この演算装置は、反射したレーザーの受信時間とレーザーの送信時間の差を算出し、この時間差、及び空気中でのレーザーの伝播速度に基づいて、各レーザー送受信器39と、レーザーが反射した、ビーム27の下面の位置との間のそれぞれの第1距離を算出する。同様にして、たわみ付与前における各レーザー送受信器39と、レーザーが反射した、ビーム27の下面の位置との間のそれぞれの第2距離を算出する。演算装置は、各第1距離及び各第2距離に基づいて、ビーム27の軸方向の4箇所におけるたわみ量を求める。
【0045】
求められたたわみ量が設定値を満足している場合には、実施例2のジェットポンプビームの取り付け方法が終了する。求められたたわみ量が設定値を満足していない場合には、図1に示すステップS7,S8及びS1〜S6の各工程が実行される。
【0046】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、実施例1と異なり、複数のレーザー送受信器39からビーム27の下面の複数の測定箇所に同時にレーザーを送信することができるので、実施例1よりも、ビーム27のたわみ量の測定に要する時間を短縮することができる。
【0047】
実施例1と同様に、たわみ付与後の状態において、ビーム27の中央部とレーザー送受信器39の距離、及びビーム27の端部とレーザー送受信器39の距離を用いても、ビーム27のたわみ量を求めることができる。
【0048】
レーザー送受信器39の替りに複数の超音波送受信器を支持部材40に取り付けた測定装置を用いても、レーザーと同様に、ビーム27の複数個所におけるたわみ量を測定することができる。
【実施例3】
【0049】
本発明の他の実施例である実施例3のジェットポンプビームの取り付け方法を、図11を用いて説明する。
【0050】
本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法は、実施例1で行った図1に示すステップS1〜S5、S7及びS8の各工程が実行される。本実施例では、実施例1とステップS6の工程が異なっている。本実施例では、ステップS6のビーム27のたわみ測定において、図11に示すカメラ41が用いられる。
【0051】
たわみを付与されて突出部25A,25Bに取り付けられたビーム27の正面を、カメラ41で撮影する。カメラ41で撮影されたビーム27の正面の映像信号が、画像処理装置(図示せず)に入力される。カメラ41により、たわみ付与前のビーム27の正面の映像、及びたわみ付与後でのビーム27の正面の映像が撮影され、それぞれの映像が画像処理装置に入力される。ステップS6において、これら2つの映像情報が画像処理装置内で比較され、これら2つの映像情報に基づいてビーム27の下面の各位置でのたわみ量が求められる。たわみ付与後の映像情報だけを用い、ビーム27の中央部の画像情報とビーム27の端部の画像情報により、ビーム27の画像情報を求めても良い。
【0052】
求められたたわみ量が設定値を満足している場合には、実施例3のジェットポンプビームの取り付け方法が終了する。求められたたわみ量が設定値を満足していない場合には、図1に示すステップS7,S8及びS1〜S6の各工程が実行される。
【0053】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、実施例1と異なり、カメラ41で撮影した映像信号に基づいてたわみ量を求めているので、実施例1よりもビーム27のたわみ量の測定に要する時間を短縮することができる。カメラ41を、突出部25またはビームボルト28に取り付けることによって、検出感度を向上させることができる。カメラ41を、突出部25またはビームボルト28に取り付けることによって、撮影中のブレを防ぐことができ、鮮明な映像を得ることができる。これにより、たわみ量の検出感度を向上させることができる。
【実施例4】
【0054】
本発明の他の実施例である実施例4のジェットポンプビームの取り付け方法を、図12を用いて説明する。
【0055】
本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法は、実施例1で行った図1に示すステップS1〜S5、S7及びS8の各工程が実行される。本実施例では、実施例1とステップS6の工程が異なっている。本実施例では、ステップS6のビーム27のたわみ測定において、図12に示す測定装置が用いられる。この測定装置は、電気絶縁体42、この電気絶縁体42の両側に取り付けられた長尺の一対の支持部材44、一方の支持部材44に設けた電極端子43A、及び他方の支持部材44に設けた電極端子43Bを有している。電極端子43A,43Bは支持部材44の上面に取り付けられ、絶縁体の上面と支持部材44の上面の間の寸法は、ビーム27の長手方向の中央部でのビーム27のたわみ量が設定値になったときにおける寸法になっている。長手方向において、電気絶縁体42の電極端子43Aに面する側面と電極端子43Aとの間の寸法は、電気絶縁体42の電極端子43Bに面する側面と電極端子43Bとの間の寸法と同じになっている。
【0056】
電極端子43A及び43Bのそれぞれが配線により電源に接続され、一方の電極端子と電源を接続する配線に開閉器及び電流計が直列に接続される。電気絶縁体42が設けられているので、電極端子43Aと電極端子43Bは支持部材44を介して導通されることはない。
【0057】
ステップ6において、上記の測定装置がビーム27とエルボ23の間に挿入し、電気絶縁体42の上端面が、ビーム27の長手方向の中央部でビーム27の下面に接触するまでその装置を上昇させる。電気絶縁体42の上端面が、ビーム27の長手方向の中央部でビーム27の下面に接触したとき、上記の開閉器を閉じる。この状態で、電極端子43A,43Bがビーム27の下面に接触した場合には、電源から供給される電流が、電極端子43A、ビーム27及び電極端子43Bへと流れる。この電流の流れは、配線に接続されている電流計により計測することができる。電流計で電流が計測されたときは、ビーム27のたわみ量が設定値になっており、ステップS6の判定結果が「ビームのたわみ量が正常」となる。このとき、実施例4のジェットポンプビームの取り付け方法が終了する。
【0058】
ビーム27のたわみ量が設定値になっていないときには、電気絶縁体42の上端面が、ビーム27の中央部の下面に接触した場合であっても、電極端子43A及び43Bの少なくとも1つがビーム27の下面に接触しない。このとき、その電流計には電流が流れない。この状態は、「ビームのたわみ量が不良」であり、図1に示すステップS7,S8及びS1〜S6の各工程が実行される。
【0059】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例において、ビーム27のたわみ量の測定に要する時間は、実施例1よりも短縮される。
【実施例5】
【0060】
本発明の他の実施例である実施例5のジェットポンプビームの取り付け方法を、図13を用いて説明する。
【0061】
本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法は、実施例1で行った図1に示すステップS1〜S5、S7及びS8の各工程が実行される。本実施例では、実施例1とステップS6の工程が異なっている。本実施例では、ステップS6のビーム27のたわみ測定において、図13に示す測定装置が用いられる。この測定装置は、支持部材40の上面に複数の電磁誘導センサ45を取り付けている。これらの電磁誘導センサ45は、たわみが付与されたビーム27の下面のたわみ量を測定する複数の位置に対応して配置される。
【0062】
この測定装置は突出部25A,25Bに取り付けられてたわみが付与されたビーム27とエルボ23の間に挿入され、各電磁誘導センサ45はビーム27の下面と対向する。各電磁誘導センサ45に電流を供給する。これらの電磁誘導センサ45の出力信号の強度は、電磁誘導センサ45とビーム27の下面との間の距離により変化する。各電磁誘導センサ45の出力信号が演算装置(図示せず)に入力される。演算装置は、入力した各電磁誘導センサ45の出力信号の強度に基づいて、電磁誘導センサ45とビーム27の下面との間のそれぞれの距離を求める。突出部25A,25Bに取り付けられてたわみが付与される前においても、同様に、電磁誘導センサ45とビーム27の下面との間のそれぞれの距離を求める。演算装置は、たわみ付与後の電磁誘導センサ45とビーム27の下面の間の距離、及びたわみ付与前の電磁誘導センサ45とビーム27の下面の間の距離を用いて、突出部25A,25Bに取り付けられたビーム27の、長手方向の各位置でのたわみ量を求める。
【0063】
ステップS6の判定結果が「ビームのたわみ量が正常」となったとき、実施例5のジェットポンプビームの取り付け方法が終了する。ビーム27のたわみ量が設定値になっていないときには、「ビームのたわみ量が不良」となり、図1に示すステップS7,S8及びS1〜S6の各工程が実行される。
【0064】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例において、ビーム27のたわみ量の測定に要する時間は、実施例1よりも短縮される。
【実施例6】
【0065】
本発明の他の実施例である実施例6のジェットポンプビームの取り付け方法を、図14を用いて説明する。
【0066】
本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法は、実施例1で行った図1に示すステップS1〜S5、S7及びS8の各工程が実行される。本実施例では、実施例1とステップS6の工程が異なっている。本実施例では、ステップS6のビーム27のたわみ測定において、図14に示すように、超音波送受信器47が用いられる。本実施例では、ステップ6においてビーム27のたわみ量を測定する場合には、超音波送受信器47をビームボルト28の上端面に接触させる。
【0067】
ビーム27のたわみによりインレットミキサ24に付与される押し付け力が適切に付加されている場合には、ビームボルト28にも同じ値の圧縮力が作用している。したがって、ビームボルト28の縮み量を測定することによって、ビーム27のたわみによるインレットミキサ24への押しつけ力、すなわち、ビーム27に付与されたたわみ量を測定することができる。
【0068】
ビームボルト28の縮み量は、たわみをビーム27に付与する前におけるビームボルト28の長さ、及びたわみをビーム27に付与した後におけるビームボルト28の長さを測定することによって求められる。ビームボルト28の軸方向における長さは、超音波送受信器47を用いることによって測定が可能である。
【0069】
超音波送受信器47を、たわみを付与したビーム27に取り付けられているビームボルト28の上端面に接触させ、超音波送受信器47からビームボルト28に超音波を入射させる。この超音波は、ビームボルト28内を軸方向に伝播して、窪み31の底に接触している先端28Aで反射される。先端28Aで反射した反射波は、ビームボルト28内を伝播して超音波送受信器47で受信される。超音波送受信器47で受信した反射波信号が、デジタル信号に変換された後、演算装置(図示せず)に入力される。演算装置は、超音波送受信器47で超音波を受信したときの受信時間と超音波送受信器47から超音波を送信したときの送信時間との時間差、及びビームボルト28内での伝播する超音波の速度を用いて、ビーム27にたわみを付与した状態でのビームボルト28の軸方向の長さを測定する。たわみを付与する前のビーム27に取り付けられているビームボルト28の軸方向の長さを、同様に、演算装置で求める。演算装置は、たわみを付与する前の状態でビーム27に取り付けられているビームボルト28の軸方向長さから、たわみを付与したビーム27に取り付けられているビームボルト28の軸方向長さを引くことによって、たわみを付与したビーム27に取り付けられているビームボルト28の軸方向における縮み量を算出する。
【0070】
ステップ6において、算出された縮み量が設定値になっているとき、判定結果が「ビームのたわみ量が正常」となる。このとき、実施例6のジェットポンプビームの取り付け方法が終了する。算出された縮み量が設定値より小さいとき、判定結果が「ビームのたわみ量が不良」となり、図1に示すステップS7,S8及びS1〜S6の各工程が実行される。
【0071】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例において、ビーム27のたわみ量の測定に要する時間は、実施例1よりも短縮される。
【実施例7】
【0072】
本発明の他の実施例である実施例7のジェットポンプビームの取り付け方法を、図15を用いて説明する。
【0073】
本実施例のジェットポンプビームの取り付け方法は、実施例1で行った図1に示すステップS1〜S5、S7及びS8の各工程が実行される。本実施例では、実施例1とステップS6の工程が異なっている。本実施例では、ステップS6のビーム27のたわみ測定において、図15に示すように、ひずみゲージ(ひずみ測定装置)46が用いられる。ひずみゲージ46が、突出部25A,25Bに取り付けられたビーム27の上面に張り付けられる。このひずみゲージ46はビーム27の下面またはビーム27の側面、またはビームボルト28に張り付けてもよい。
【0074】
ステップS6において、たわみが付与されたビーム27で発生しているひずみを、ひずみゲージ41により測定する。演算装置(図示せず)は、ひずみゲージ41の出力信号を入力して、ビーム27で発生しているひずみを求め、求めたひずみからビーム27のたわみ量を算出する。
【0075】
ステップ6において、算出されたたわみ量が設定値になっているとき、判定結果が「ビームのたわみ量が正常」となる。このとき、実施例7のジェットポンプビームの取り付け方法が終了する。算出されたたわみ量が設定値より小さいとき、判定結果が「ビームのたわみ量が不良」となり、図1に示すステップS7,S8及びS1〜S6の各工程が実行される。
【0076】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例において、ビーム27のたわみ量の測定に要する時間は、実施例1よりも短縮される。
【0077】
ビーム27のひずみは、ひずみゲージ46以外に、レーザーひずみ測定方法及びモアレ法等を適用して測定することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…原子炉圧力容器、4…炉心シュラウド、5…炉心、9…ジェットポンプ、10…ノズル、12…スロート、13…ディフューザ、21…ライザ管、22…トランジションピース、23…エルボ、24…インレットミキサ、25,25A.25B…突出部、26…ビームアセンブリ、27…ジェットポンプビーム、28…ビームボルト、30A,30B…溝、37…接触子、38…測定アーム、39…レーザー送受信器、40,44…支持部材、41…カメラ、42…電気絶縁体、43A,43B…電極端子、45…電磁誘導センサ、46…歪みセンサ、47…超音波送受信器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器内に設置されたディフューザに一端部が挿入され、前記原子炉圧力容器内に配置されたライザ管に他端部が連絡されたインレットミキサを、前記ライザ管に設けられたトランジションピースの一対の突出部の間に配置した状態で、前記一対の突出部にそれぞれ形成された溝内に、前記インレットミキサの上方に配置したジェットポンプビームの両端部を別々に嵌めこみ、
前記ジェットポンプビームの中央部を上方に移動させて前記ジェットポンプビームにたわみを付与し、
たわみが付与された前記ジェットポンプビームに噛み合ったネジ部材を前記インレットミキサに押し付け、
前記ネジ部材が前記インレットミキサに押し付けられている状態で、たわみが付与された前記ジェットポンプビームのたわみ量を測定することを特徴とするジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項2】
前記測定されたたわみ量が設定値になっているかを判定する請求項1に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項3】
前記たわみ量を、たわみが付与された前記ジェットポンプビームの第1変位、及びたわみが付与される前における前記ジェットポンプビームの第2変位に基づいて求める請求項1または2に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項4】
前記たわみ量を、たわみが付与された前記ジェットポンプビームの長手方向における中央部での第1変位、及び前記ジェットポンプビームの長手方向における端部での第2変位に基づいて求める請求項1または2に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項5】
前記第1変位及び前記第2変位を、カメラで撮影した前記ジェットポンプビームの画像情報に基づいて求める請求項3または4に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項6】
前記第1変位及び前記第2変位を、距離測定装置で測定した前記距離測定装置と前記ジェットポンプビームの下面との間の距離に基づいて求める請求項3または4に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項7】
前記ネジ部材の縮み量を測定し、前記たわみ量を、前記ネジ部材の縮み量に基づいて求める請求項1または2に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項8】
前記たわみ量を、前記ジェットポンプビームおよび前記ネジ部材に取り付けられたひずみ測定装置により測定されたひずみに基づいて求める請求項1または2に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。
【請求項9】
電気絶縁体、前記電気絶縁体に取り付けられて前記電気絶縁体から反対方向に伸びる一対の支持部材、およびそれぞれの支持部材の先端部にそれぞれ取り付けられた電極端子を有する測定装置を用い、前記電気絶縁体の上面を前記ジェットポンプビームの下面に接触させ、この状態でそれぞれの電極端子に電流を供給し、それぞれの電極端子が前記ジェットポンプビームの下面に接触してそれらの電極端子間に電流が流れたとき、前記たわみ量の測定においてこのたわみ量が正常であるとする請求項1に記載のジェットポンプビームの取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−177645(P2012−177645A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41439(P2011−41439)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)