説明

ジェットポンプ感知ライン支持具をクランプ留めするための方法および装置

【課題】ジェットポンプ感知ライン支持具をクランプ留めするための方法および装置を提供すること。
【解決手段】例示の実施形態のクランプが、回転運動および並進運動の両運動を含む、クランプ留めされる構成要素間における運動のある自由度を有しつつ、2つの構成要素を共にクランプ留めするために、使用され得る。例示の実施形態のクランプは、感知ライン支持具の修理または設置の際に、ディフューザにBWRジェットポンプ感知ラインをクランプ留めすることができる。例示のクランプは、構成要素を保持し、クランプ内におけるこの構成要素の回転および巻付きを許容する、ボール下位アセンブリを備えてよい。さらに、例示のクランプは、ボール下位アセンブリを保持する顎部と、クランプの締付けを可能にする付勢要素とを備えてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示の実施形態および方法は、概して原子力発電プラントの構成要素に関し、具体的には、ジェットポンプ感知ライン支持具クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、沸騰水型原子炉(BWR)は、冷却材および減速材を、炉心を通過させて効果的に移動させるために、再循環システムの一部としてジェットポンプを備える。炉心内の稼動条件を評価するために、ジェットポンプからの冷却材の流量を含む、炉心を通過する流量をモニタリングすることが望ましい場合がある。典型的には、ジェットポンプにおける差圧を測定することによってジェットポンプからの流量を測定するために、ジェットポンプ感知ラインが使用される。
【0003】
図1および図2は、ディフューザシェル110およびジェットポンプ感知ライン100の両方に溶接される感知ライン支持具120によって、ジェットポンプの基部の下方ディフューザシェル110に結合された、関連技術のジェットポンプ感知ライン100の図である。感知ライン100は、支持具120に従来式に溶接される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1および図2に図示されるジェットポンプ感知ライン100は、BWR炉心内に設置することが可能であり、燃料補給および修理のための計画プラント運転停止の際にのみアクセス可能となる。これらの運転停止は、数カ月間隔で実施され、したがって、ジェットポンプおよびジェットポンプ感知ライン100を含む炉心内の構成要素は、調査または修理の実施まで、非常に長い間稼動しなければならない。
【0005】
BWR炉心稼動条件には、高レベルの振動および放射能が含まれる場合がある。ジェットポンプ感知ライン100および感知ライン支持具120を含む炉心内の構成要素は、応力腐食および振動誘発割れによる早期損傷を被る場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示の実施形態は、クランプ留めされる構成要素間における運動のある自由度を有しつつ、2つの構成要素をクランプ留めする際に使用するためのクランプを対象とする。例示の実施形態のクランプは、感知ライン支持具の修理または設置の際に、ディフューザにBWRジェットポンプ感知ラインをクランプ留めすることができる。例示のクランプは、構成要素を保持し、クランプ内におけるこの構成要素の回転および巻付きを許容する、ボール下位アセンブリを備えてよい。さらに、例示のクランプは、ボール下位アセンブリを保持する顎部と、クランプの締付けを可能にする付勢要素とを備えてよい。例示の方法は、原子炉を含む多様な環境内において例示の実施形態のクランプを設置および使用する方法を含む。
【0007】
添付の図面を詳細に説明することにより、例示の実施形態がより明らかになろう。これらの図面においては、同様の要素は、同様の参照番号によって表される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ジェットポンプ感知ラインを有する関連技術のBWRジェットポンプノズルの図である。
【図2】図1に図示されるジェットポンプ感知ラインおよび支持具の詳細図である。
【図3】例示の一実施形態のクランプの等角図である。
【図4】図3の例示の実施形態のクランプの断面図である。
【図5】例示の一実施形態のクランプを組み立てる1つの例示的な方法の流れ図である。
【図6】例示の一実施形態のクランプを組み立てる例示の一実施形態の方法の図である。
【図7】使用時の例示の一実施形態のクランプの正面図である。
【図8】使用時の例示の一実施形態のクランプの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示の実施形態の中から詳細な例示的な実施形態を本明細書において開示する。しかし、本明細書において開示される特定の構造的詳細および機能的詳細は、もっぱら例示の実施形態を説明するための代表的なものに過ぎない。例えば、革新型単純化沸騰水型原子炉(ESBWR:Economic Simplified Boiling Water Reactor)を参照として例示の実施形態を説明する場合があるが、例示の実施形態は、他のタイプの原子力プラントにおいて使用可能であり、他の技術分野において使用可能であり得ることが理解される。例示の実施形態は、多数の代替的な形態で具現化することが可能であり、本明細書において示される例示の実施形態のみに限定されるものとして見なされるべきではない。
【0010】
本明細書において、種々の要素を説明するために、第1の、第2の、等々の語が使用されることがあるが、これらの要素は、これらの語によって限定されるべきでないことが理解されよう。これらの語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ用いられる。例えば、例示の実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことが可能であり、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことが可能である。本明細書において使用される際に、「および/または」という語は、関連付けされる列挙されたアイテムの中の1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0011】
ある要素が、別の要素に「連結されている」、「結合されている」、「対合されている」、「装着されている」、もしくは「固定されている」と表現される場合には、それは、直接的に他方の要素に連結もしくは結合されてよく、または介在要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接的に連結されている」もしくは「直接的に結合されている」と表現される場合には、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の語が、同様に解釈されるべきである(例えば、「間で」に対して「間で直接的に」、「隣接して」に対して「直接的に隣接して」、等々)。
【0012】
本明細書において使用される際に、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、それらの言葉がその他のことを明示しない限り、複数形をも含むように意図される。本明細書において使用される際に、「備える」、「備えている」、「含む」および/または「含んでいる」という語は、述べられた機能部、完全体、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の機能部、完全体、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在あるいは追加を除外しないことが、さらに理解されよう。
【0013】
本発明者は、流れ誘発振動、非常に長期の運転サイクル、および放射線劣化の組合せにより、従来型のジェットポンプ感知ラインおよび溶接部が、機能不全に陥る場合があり、それにより、ジェットポンプ感知ライン100(図1および図2)がそれらの支持具120(図1および図2)への着座状態から離れ、損傷を被るおよび/または他の炉心構成要素に損傷を与える可能性が生じ得ることを、認知している。さらに、本発明者は、流れ誘発振動およびその結果による損傷が、ジェットポンプを含む発電プラントが、エネルギーコストの上昇に伴い一般的であり望ましいことであるさらなる電力および電気の生成のために、出力を高められるにつれて、増加し得ることを認知している。関連技術の修理は、典型的には、プラントの運転停止の際の破損支持具の再溶接を含むが、本発明者は、これらの関連方法が、流れ誘発振動を悪化させる場合があり、ジェットポンプ感知ラインを最適未満の位置および構成に限定し得ることを、認知している。例示の実施形態および方法は、新規のおよび予期されない態様で、これらの問題に対応する、および/またはこれらの問題を解消する。
【0014】
例示の実施形態のクランプの様々な可能な特徴が、図3〜図4を参照として説明され、クランプの作動および組立ての例示の方法が、図5および図6を参照として説明される。図3は、例示の実施形態のジェットポンプ感知ラインクランプ300の等角図である。図3に図示されるように、クランプ300は、ボール下位アセンブリ310、クランプ顎部321および322、クランプポスト330、および付勢機構340を備える。
【0015】
ボール下位アセンブリ310は、実質的に球形または楕円形であってよく、代替としては、ボール下位アセンブリ310は、例示の実施形態のクランプ300内において所望のタイプの運動が可能となる他の形状であってもよい。ボール下位アセンブリ310は、実質的に固体および/または連続体であってよい。代替としては、ボール下位アセンブリ310は、複数の別個のセクションを備えてよく、および/または、ギャップもしくは欠損セクションを有してよい。図3に図示されるように、ボール下位アセンブリは、2つの半球部310aおよび310bに分割されてよく、これらは、以下において説明されるように、例示の実施形態のクランプの容易な組立ておよび使用を可能にし得る。半球部310aおよび310bは、同一平面内に位置してよく、または、ボール下位アセンブリ310の内部部分へのアクセスが可能となるギャップ312によって、若干隔てられてよい。
【0016】
ボール下位アセンブリ310は、ジェットポンプ感知ライン(図示せず)が、少なくともボール下位アセンブリ310に対してラジアル方向において、中を貫通し、ジェットポンプ感知ラインを中に保持することが可能となるようにサイズ設定された孔311を備える。例えば、孔311は、ジェットポンプ感知ラインの外径よりも若干大きな内径を有してよく、それにより、感知ラインは、ジェットポンプ感知ラインに沿って直線方向に孔311内において「摺動する」ことが可能となるが、ボール下位アセンブリ310に対してラジアル方向には「摺動する」ことは可能ではない。代替としては、孔311は、ジェットポンプ感知ラインの外径と実質的に同様の内径を有してよく、それによって、直線方向におけるジェットポンプ感知ラインのいかなる「摺動」または移動も防止され得る。孔311は、円周方向に閉じられてよく、ボール下位アセンブリ310内に完全に位置してよく、または、図3に図示されるように、ジェットポンプラインへのアクセスは可能となるが、ボール下位アセンブリ310内にジェットポンプ感知ラインを依然として保持する範囲において、円周方向に開口してよい。孔311は、円筒状である必要はなく、孔311は、ボール下位アセンブリ310内にジェットポンプ感知ラインを保持する限りにおいて、正方形、三角形、長円形、等々の断面を有してよい。
【0017】
図4は、例示の実施形態のクランプ300の断面図であり、同様の番号を付けられたものが、同様の機能部を示しており、それらの機能部に関する冗長的な説明は、省略される場合がある。図4に図示されるように、ボール下位アセンブリ310は、ボール下位アセンブリ310の内方端部によって画成された中央空洞部315と、ボール下位アセンブリ310の各端部の穴316aおよび316bを備える。中央空洞部315と、穴316aおよび316bとは、クランプポスト330をボール下位アセンブリ310に貫通させることが可能であり、したがって、中央空洞部315と、穴316aおよび316bとは、クランプポスト330の外径よりも少なくとも幾分大きなものとなる。中央空洞部315と、穴316aおよび316bとは、ボール下位アセンブリ310および/またはボール下位アセンブリ310の中を貫通するクランプポスト330の所望の移動度を許容するように、多様な形状およびサイズを有してよい。
【0018】
例えば、空洞部315は、図4に図示されるような部分的円錐形状または「砂時計」形状を有してよく、この形状により、ボール下位アセンブリ310は、所望の度合いで任意の中心軸の周囲において回転することが可能となり、クランプポスト330が空洞部315および穴316a、bを貫通する際に、ボール下位アセンブリは、クランプポスト330から離れるように並進移動することを制限される。空洞部315によって許容される所望の回転度合いによって、孔311およびジェットポンプ感知ラインは、クランプポスト330の周囲にて回転する、巻き付く、および/または再配向することが可能となるが、クランプ顎部321および322を越えて回転するまたは巻き付くことは、防止される。代替としては、中央空洞部315は、概ね円筒状であり、クランプポスト330の長さ方向軸の周囲にのみ、ボール下位アセンブリ310、孔311、およびジェットポンプ感知ラインが中で回転するのを限定してよい。さらなる代替としては、中央空洞部315および/または穴316a、bは、クランプポスト330内へとロックすることができ、それにより、クランプポスト330に対する、ボール下位アセンブリ310、孔311、および/またはジェットポンプ感知ラインのいかなる移動も防止され得る。当然ながら、例示の実施形態のクランプに装着される、ボール下位アセンブリ、クランプポスト330、孔311、および/またはジェットポンプ感知ライン間の所望のタイプの移動に基づいて、空洞部315および穴316a、bの、他の形状および構成も可能である。
【0019】
例示の実施形態のクランプが、例えば半球部310aおよび310bなどの複数の別個のセクションを有するボール下位アセンブリを備える場合には、内部ピン318およびソケット319が使用されて、互いにそれぞれ異なるセクションの所望の配向を維持することができる。例えば、空洞部315および/または穴316a、bにより、半球部310aおよび310bが、逆方向に回転することが可能となり、または、他の望ましくない特殊な関係が実現され得る場合には、各半球部310bおよび310a中のピン318およびソケット319により、望ましくない移動が防止され、さらに、例えばラジアル方向への拡張などの他の移動が可能となる。ボール下位アセンブリ310の内部または外部の要素間において、例えばスロット/溝、舌部/リセプタ、接着剤、等々を含む他の接合機構を、例示の実施形態において使用することができる。
【0020】
図4に図示されるように、例示の実施形態のクランプ300が、一対のクランプ顎部321および322を備える。クランプ顎部321および/または322は、ボール下位アセンブリ310、および付勢セクション、および/または、例えば半球部310aおよび310bなどを含むボール下位アセンブリ310の可動部品に当接して着座するように構成される。クランプ顎部321および322は、例えば、ボール下位アセンブリ310の表面と合致するまたは対合する凹面を備える。このような表面は、滑らかになされてよく、ボール下位アセンブリ310と顎部321および/または322との間の平滑移動を促進するために、玉軸受または同様のものを備えてよい。さらに、クランプ顎部321および322は、クランプポスト330が中を貫通し、クランプ顎部321および322とボール下位アセンブリ310とを保持し整列させることが可能となる、中央通路326をさらに備えてよい。図4におけるクランプ顎部322などの各クランプ顎部は、例えばジェットポンプディフューザシェル110(図1)などの、ジェットポンプ感知ラインがクランプ留めされることとなる構成要素に当接するように、十分におよび均一に着座するように形状設定された表面を備えてよい。図4のクランプ顎部322などの各クランプ顎部は、端部331がクランプ顎部322内に収容され得るように形状設定された凹部を備えてよい。クランプ顎部321および322は、代替的に、例えばボール下位アセンブリ310および/または装着される構成要素との結合体の所望の移動度を実現するように、様々な態様で形状設定および構成されてよい。
【0021】
さらに、例示の実施形態のクランプは、ボール下位アセンブリ310とクランプ顎部321および322とを含む、上述の様々な構成要素を軸方向に貫通して延在するクランプポスト330を備える。クランプポスト330は、クランプポスト330が中を貫通するクランプ構成要素を整列させ、保持することができる。クランプポスト330は、クランプ留めされることとなる構成要素中のスロットを貫通し、例示の方法に関連して以下で説明されるように、90度回転されると、スロットを通り引き戻され得ないようにこの構成要素中のスロット内にロックするように形状設定された、T字形状装着端部331を備えてよい。他の形状および装着構成および装着機構が、装着端部331に関して可能であり、依然として所望の構成要素に例示の実施形態のクランプを固定することが可能である。クランプポスト330は、クランプポスト330に沿って顎部クランプ321の移動範囲を制限するために、顎部クランプ321の一部分が中において着座し得る凹部状区域332を備えてよい。交互の凹部および/または停止部が、クランプポスト330が中を貫通する他の構成要素の移動を制御および/または制限するために、クランプポスト330の上に配置されてよい。さらに、クランプポスト330は、例えば、ラチェットナット340(以下において説明される)などの付勢要素を例示の実施形態のクランプに対して締め付けるためなどに、適切なサイズのねじ山を有するねじ山付き端部333を備えてもよい。
【0022】
図4に図示されるように、さらに、例示のクランプアセンブリは、ラチェットナット340およびラチェットナットロック345などの付勢要素を備えてよい。ラチェットナット340は、例えばねじ山付き端部333に係合するねじ山を有するなど、クランプポスト330に係合する内側面を備えてよい。さらに、ラチェットナットは、鋸歯ラチェット表面341(図3)を有するフランジを備えてよい。ラチェットナットロック345は、鋸歯表面341に係合し、表面341およびポスト346が噛み合わされた際にラチェットナットロックに対するラチェットナット340の一方向回転を可能にする、ポストおよびばね346を備えてよい。例えば、ポスト346は、一方向に移動する際には表面341の歯の上で摺動し得るが、表面341の歯の形状により、逆方向への歯の移動が限定または防止される。ポストおよびばね346と、ラチェットナットロック345の表面341との間のこの関係により、ラチェットナット340に対して力が加えられない場合でも逆回転または緩みが生じない、ラチェットナット340の回転および締付けが可能となり得る。リリーススロット347により、ポスト346へのアクセスが可能となり、ポスト346をラチェットナット346の歯から解放し、それにより、ラチェットナット340を逆回転させるおよび緩めることが可能となり得る。単純なナット、ねじ、ばね、等々を含む、他の付勢要素を、例示の実施形態と共に使用することが可能である。
【0023】
付勢プレート349が、付勢要素とクランプ顎部321との間に配置されてよい。付勢プレート349は、着座を強化し、付勢要素とクランプ顎部との間の磨耗を低減させる、カラーまたはワッシャであってよい。例えば、ラチェットナット340は、付勢プレート349に当接して付勢してよく、ラチェットナットロック345は、ラチェットナット340の回転に対して静止状態に留まるように、付勢プレート349および/または顎部クランプ321に装着されてよい。
【0024】
例示の実施形態のクランプが、原子炉において使用されることとなる場合には、例示の実施形態のクランプの各構成要素は、原子炉環境内にてそれらの物理的特性を実質的に維持する材料から製造されてよい。例えば、ボール下位アセンブリ310、顎部321および322、および/またはクランプポスト330は、オーステナイトステンレス鋼および/または同様の材料から製造されてよい。腐食および/または摩損を低減させるために、様々な材料を構成要素に対して使用することが望ましい場合がある。例えば、ボール下位アセンブリ310は、316タイプオーステナイトステンレス鋼から製造されてよく、顎部321および322、および/またはクランプポスト330は、316タイプオーステナイトステンレス鋼との摩損を防止するために、XM−19タイプステンレス鋼から製造されてよい。
【0025】
例示の一実施形態のクランプ300を説明したが、以下、図5を参照として、例示のクランプの設置および使用の例示の方法を説明する。図5に図示されるように、例示の一方法は、ステップS100においてクランプ留めされることとなる構成要素の付近に対してクランプ留めされることとなる構成要素中にスロット600(図6)を機械加工するステップを含む。図6は、ジェットポンプ感知ライン100およびディフューザシェル110を使用する例示の一方法を図示する。スロット600は、例えば放電加工などを含む任意の既知の態様において、機械加工されてよい。スロット600は、クランプポスト330(図4)が中を貫通することが可能となる態様で形状設定されてよい。さらに、スロット600は、クランプポスト330が挿入され回転された後に、クランプポストを保持し、その移動を防止するように、形状設定されてよい。例えば、スロット600は、矩形状になされてよく、それにより、クランプポスト330のT字形状端部331(図4)が、スロット600を貫通することが可能となり得る。
【0026】
ステップS110において、クランプポスト330は、スロット600内に取り付けられる。このステップは、複数の様式にて達成され得る。例示の実施形態において上述したように、クランプポスト330は、ディフューザシェル110のスロット600を通り挿入されてよく、次いで、回転されて、スロット600を貫通してT字形状端部331を「ロックして」よい。さらに、T字形状端部331により、図7に図示されるように直交方向においてスロット600に沿ったクランプポスト330の移動が可能となり得るが、クランプポスト330がスロット600から完全に出ることが防止される。あるいは、例えば、クランプポスト330およびスロット600は、クランプポスト330の所望のタイプの移動を可能にするように他の様式で形状設定されてよい。同様に、例えば、舌部/溝、溶接部、ボルト締め、等々を含む、他の装着デバイスおよび方法を使用することもできる。
【0027】
ステップS120においては、例示の一実施形態のクランプの構成要素が、スロット600内に取り付けられたクランプポスト330に位置合わせされる、および/またはクランプポスト330上に配置される。例えば、第1のクランプ顎部322、ボール下位アセンブリ310、第2のクランプ顎部321、付勢プレート349、および/または345ラチェットナットロック(全て図4を参照)が、クランプポスト330の上に配置されてよく、クランプポスト330は、これらの構成要素を順次貫通する。上述のように、第1のクランプ顎部322は、スロット600を有する構成要素に当接して着座するように形状設定されてよい。追加の、またはさらに少数のクランプ構成要素が、クランプポスト330の上に配置されてよく、ボール下位アセンブリ310の各セクションが、個別にクランプポスト330の上に配置されてよく、孔311を形成するように配列されてよい。
【0028】
ステップS130においては、ジェットポンプ感知ライン100などのクランプ留めされることとなる構成要素が、孔311などのボール下位アセンブリ310内に配置される。例示の一実施形態のクランプが、スロット600内で回転され、移動されて、クランプ内においてクランプ留めされることとなる構成要素を適切に位置決めすることができる。
【0029】
ステップS140においては、クランプは、次いで、付勢要素によって付勢されて、このクランプ留めされた構成要素を、クランプ留めされることとなる構成要素に固定する。さらに、この付勢により、クランプが、クランプ留めされることとなる構成要素に固定され得る。例えば、ラチェットナット340は、クランプポスト330に対して下方に、ねじ山付き端部333上にねじ式に取り付けられてよく、クランプ顎部321および322に当接して付勢し、クランプ顎部321および322をボール下位アセンブリ310に対してクランプ締めしてよく、孔311内にジェットポンプ感知ライン100を保持し、その一方でさらに、T字形状端部331をジェットポンプディフューザシェル110の内部に対して付勢し、クランプ300をジェットポンプディフューザシェル110に固定してよい。例示の実施形態のクランプは、例示の実施形態のクランプの構成および、クランプ締めされた構成要素に加えられる力の所望の度合いに応じて、ステップS140において、任意の所望の度合いで締め付けられてよい。
【0030】
例示の実施形態および方法を介して、2つの構成要素が、これらの構成要素間における移動の所望の自由度を有しつつ、保持またはクランプ留めされ得る。これにより、剛体的クランプ締めまたは溶接によって引き起こされる振動およびクランプ応力の影響を低減させることができる。図7に図示されるように、ジェットポンプ感知ライン110は、例示の実施形態のクランプにおいて、方向αに自由に回転することができ、α方向に剛体的に保持される場合に生じ得る、感知ライン100またはディフューザシェル110に対する応力および振動損傷を防止することができる。さらに、例示の実施形態のクランプ300は、スロット600およびT字形状端部331の形状設定によって、x方向に並進移動することが可能となり、これにより、感知ライン100は、ディフューザシェル110に対して並進移動することが可能となる。図8に図示されるように、さらに、ジェットポンプ感知ライン110が、異なる方向βに回転しつつ、例示の実施形態のクランプによりクランプ締めされることが可能であり、これにより、感知ライン100またはディフューザシェル110に対する応力および振動損傷を防止することができる。したがって、例示の実施形態および方法により、他のクランプ締めされた構成要素の付近にて感知ラインを保持しつつ、感知ラインにおける複数の移動自由度を与えることができる。これらの自由度により、感知ラインおよび/または他のクランプ締め構成要素における振動誘発損傷を低減させるまたは防止することができる。
【0031】
このように、例示の実施形態および方法を説明したが、例示の実施形態は、慣例的な実験を介して、および他の本発明による作用を伴わずに、多様化され得ることが、当業者には理解されよう。例えば、例示の実施形態は、ディフューザおよびジェットポンプ感知ラインを参照として説明されたが、他の構成要素を例示の実施形態および方法によりクランプ留めすることができる。変形形態は、例示の実施形態の趣旨および範囲から逸脱するものとして見なされるべきではなく、当業者には明らかであろう全てのそのような実施形態が、以下の特許請求の範囲内に含まれるように意図される。
【符号の説明】
【0032】
100 ジェットポンプ感知ライン
110 下方ディフューザシェル、ディフューザシェル、
120 感知ライン支持具
300 ジェットポンプ感知ラインクランプ、クランプ、
310 ボール下位アセンブリ
310a 半球部
310b 半球部
311 孔
312 ギャップ
315 中央空洞部、空洞部
316a 穴
316b 穴
318 内部ピン、ピン
319 ソケット
321 クランプ顎部
322 クランプ顎部
326 中央通路
330 クランプポスト
331 許容端部、T字形状装着端部、装着端部、
332 凹部状区域
333 ねじ山付き端部
340 付勢機構、ラチェットナット
341 鋸歯ラチェット表面
345 ラチェットナットロック
346 ポストおよびばね
347 リリーススロット
349 付勢プレート
600 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成要素および第2の構成要素を可動式にクランプ留めするためのクランプにおいて、
前記第1の構成要素に装着するように構成されたクランプポストと、
前記クランプポスト上のボール下位アセンブリであって、このボール下位アセンブリに前記第2の構成要素を固定するように構成された、ボール下位アセンブリと、
前記クランプポスト上の第1のクランプ顎部および第2のクランプ顎部であって、これら両クランプ顎部は、前記ボール下位アセンブリに当接して着座するように構成され、これら両クランプ顎部内における前記ボール下位アセンブリの回転を調節可能な状態で許容する、第1のクランプ顎部および第2のクランプ顎部と、
前記ボール下位アセンブリに当接するように前記第1のクランプ顎部および前記第2のクランプ顎部を付勢するように構成された、前記クランプポスト上の付勢要素と
を備えるクランプ。
【請求項2】
前記ボール下位アセンブリは、孔を画成し、前記孔は、前記第2の構成要素が前記孔を貫通するのを許容するように形状設定される、請求項1記載のクランプ。
【請求項3】
前記ボール下位アセンブリは、中央空洞部を画成し、前記クランプポストは、前記中央空洞部を貫通する、請求項1記載のクランプ。
【請求項4】
前記付勢要素は、前記クランプポスト上に、ラチェットナットおよびラチェットナットロックを備え、前記クランプポストの少なくとも一部分は、前記ラチェットナットが前記クランプポストに対してねじ式に取り付けられ得るように、ねじ山を付けられる、請求項1記載のクランプ。
【請求項5】
前記付勢要素と前記クランプ顎部の一方との間に付勢プレートをさらに備える、請求項1記載のクランプ。
【請求項6】
前記ボール下位アセンブリは、互いに対して付勢されるように構成された複数のセクションを備える、請求項1記載のクランプ。
【請求項7】
前記ボール下位アセンブリは、前記第2の構成要素が、前記クランプポストの少なくとも2つの垂直方向軸の周囲にて回転するのを許容するように形状設定される、請求項1記載のクランプ。
【請求項8】
前記クランプポストは、ジェットポンプディフューザシェルに装着するように構成され、前記ボール下位アセンブリは、前記ボール下位アセンブリにジェットポンプ感知ラインを固定するように構成される、請求項1記載のクランプ。
【請求項9】
ジェットポンプディフューザシェルおよびジェットポンプ感知ラインを可動式にクランプ留めするためのクランプにおいて、
前記ジェットポンプディフューザシェルに装着するための第1の端部のT字形状部、およびねじ山付き第2の端部を備える、クランプポストと、
孔を画成するボール下位アセンブリであって、前記孔は、前記孔内において前記ジェットポンプ感知ラインを保持するように形状設定され、このボール下位アセンブリは、円錐状中央空洞部を画成し、前記クランプポストは、前記空洞部を貫通する、ボール下位アセンブリと、
前記クランプポスト上の第1のクランプ顎部および第2のクランプ顎部であって、これら両クランプ顎部は、前記ボール下位アセンブリに当接して着座し、前記両クランプ顎部内における前記ボール下位アセンブリの回転を許容する、少なくとも1つの凹部状表面を有する、第1のクランプ顎部および第2のクランプ顎部と、
前記クランプポスト上のラチェットナットロックと、
前記クランプポストの前記第2の端部上にねじ式に取り付けられたラチェットナットであって、前記ボール下位アセンブリに当接させて前記第1のクランプ顎部および前記第2のクランプ顎部を付勢するように構成された、ラチェットナットと、
前記ラチェットナットロックと前記クランプ顎部の一方との間の付勢プレートと
を備える、クランプ。
【請求項10】
原子炉内のジェットポンプディフューザシェルにジェットポンプ感知ラインを固定する方法であって、
前記ジェットポンプディフューザシェル中にスロットを機械加工するステップと、
前記スロット中にクランプポストを取り付けるステップと、
クランプを組み立てるために、前記クランプポストの上に、第1のクランプ顎部、ボール下位アセンブリ、第2のクランプ顎部、および付勢要素を配置するステップと、
前記ボール下位アセンブリ内に前記ジェットポンプ感知ラインを配置するステップと、
前記クランプを付勢するステップと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−249822(P2010−249822A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96565(P2010−96565)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC