説明

ジグザグ状エアフィルタ用濾材およびエアフィルタ

【課題】 本発明は、圧力損失の上昇を防止したジグザグ状エアフィルタ用濾材を提供することを目的とする。
【解決手段】不織布からなる濾材の表裏両面の少なくとも両端部近傍に樹脂を塗付して樹脂層を形成し、固化した樹脂層によって折山間隔が保持されるように濾材をジグザグ状に折り畳んだジグザグ状エアフィルタ用濾材において、ジグザグ状の濾材の頂部から離れた位置から頂部にかけて前記樹脂層が徐々に幅広かつ厚くなるように形成されていることを特徴とするジグザグ状エアフィルタ用濾材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折山間隔を樹脂層で保持したジグザグ状エアフィルタ用濾材およびエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアフィルタ用濾材として、図6に示すように、濾材10の表裏面に樹脂を塗布して樹脂層11を形成し、固化した樹脂層によって蛇行状に折り曲げられた濾材10の折山間隔を保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。このエアフィルタ用濾材は、蛇行状に折り曲げられた濾材10の頂部10aが曲面となっているため、図7に示すように、樹脂層が形成されていない部分の頂部10aと頂部10aの間の濾材は空気の流通方向に対して平行に配置されている。従って、図7の矢印で示したように、濾材の一方の側から流入した空気は、濾材の他方の側から排出される際に気流方向が濾材に対して直交することになり、流通させる空気の圧力を高くしなければ所定の気流圧を得られないという問題があった。このような問題を解決するための方法としては、図8に示すように、頂部12aが鋭角状となるようにジグザグ状に濾材12を折り畳み、頂部12aと頂部12aの間の濾材を空気が斜めに横切って流通するように傾斜させて配置することで、空気を流通しやすくする方法がある。
【0003】
濾材の頂部を鋭角状とするために、例えば、特許文献2には、図9に示すように、少なくとも両側縁の両面に各々接着剤層を形成した濾材13を三角形押型14、15で押し曲げながら、該接着剤層を固化させることによるジグザグ状エアフィルタ用濾材を形成する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、図10に示すように、濾材16の表裏両面に第1の樹脂層17(17´)を塗付し、さらに頂部近傍において樹脂層が厚くなるように第1の樹脂層17(17´)上に第2の樹脂層18(18´)を塗り重ねた樹脂層17、18(17´、18´)を形成し、この樹脂層によって隣接する折山の頂部16a、16b(16a´、16b´)となる部位を押圧して、頂部16a、16b(16a´、16b´)を鋭角状になるようにしたジグザグ状エアフィルタ用濾材が開示されている。
【特許文献1】特公昭54−30144号公報
【特許文献2】特開平4−300612号公報
【特許文献3】特開2003−284914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の方法でジグザグ状エアフィルタ用濾材を製造すると、専用の押型を使用しなければならず、製造コストがあがってしまうという問題があった。
また、特許文献3に記載されたジグザグ状エアフィルタにあっては、第1の樹脂層上に、第1の樹脂層と同一の幅と厚さで第2の樹脂層を形成するのが困難であることから、第2の樹脂層が第1の樹脂層よりも幅が狭くかつ薄く塗り重ねられがちであり、隣接する頂部を押圧するのに適した厚さの第2の樹脂層を形成できなかった。また、第1の樹脂層を塗付した後に、第2の樹脂層を塗付するためには、塗付機が2台必要となり、装置が複雑化してコストアップにつながるという問題もあった。
そこで、本発明は、空気の流通方向に対して濾材を傾斜させ、スムーズに空気を濾材に流通させるようにすることができ、圧力損失の上昇を防止したジグザグ状エアフィルタ用濾材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、請求項1記載の通り、不織布からなる濾材の表裏両面の少なくとも両端部近傍に樹脂を塗付して樹脂層を形成し、固化した樹脂層によって折山間隔が保持されるように濾材をジグザグ状に折り畳んだジグザグ状エアフィルタ用濾材において、ジグザグ状の濾材の頂部から離れた位置から頂部にかけて前記樹脂層が徐々に幅広かつ厚くなるように形成されていることを特徴とする。
また、請求項2記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、請求項1記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材において、前記樹脂層がジグザグ状に折り畳んだ濾材の頂部から離れるに従って段差を有して薄くなるように形成されていることを特徴とする。
また、請求項3記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、請求項1または2記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材において、前記樹脂層がジグザグ状に折り畳んだ濾材の折山線を挟んで対称な形状となるように形成されていることを特徴とする。
また、請求項4記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、請求項1または2記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材において、前記樹脂層がジグザグ状に折り畳んだ濾材の折山線を挟んで非対称な形状となるように形成されていることを特徴とする。
本発明のエアフィルタは、請求項5記載の通り、請求項1乃至4のいずれかに記載されたジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、ジグザグ状の濾材の頂部から離れた位置から頂部にかけて幅広かつ厚くなるように形成した樹脂層を設けたことによって、ジグザグ状に折り曲げられた濾材の折山間の頂部近傍で隣接する樹脂層同士が接触し、頂部を確実に押圧するので、頂部を鋭角状にすることができる。また、この樹脂層は濾材の頂部から離れた位置から頂部にかけて徐々に幅広になっているために、頂部から離れた位置から頂部にかけて同一の幅で形成された樹脂層に比べて、安定した状態で頂部を鋭角状に保持することができる。さらに、樹脂層同士が融着固化している場合は、ジグザグ状エアフィルタ用濾材の強度が向上するという利点を有する。従って、本発明のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、頂部と頂部の間の濾材が空気の流通方向に対して傾斜した状態で配置されるので、空気が傾斜している濾材をスムーズに流通するため、圧力損失の上昇を防止することができる。また、この樹脂層は、例えば、ジグザグ状に折り畳んだ際に頂部から離れた位置となる部位から頂部となる部位にかけて多量の樹脂を塗付機から濾材に供給し塗付することによって形成することができる。従って、1台の塗付機で目的とする樹脂層を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のジグザグ状エアフィルタ用濾材の一実施の形態を図1と図2に基づき説明する。図1は、塗付機のノズル5から濾材1の表裏両面に樹脂層2、2´が塗付された状態を示す濾材1の平面図である。図2は、図1に示す濾材をジグザグ状に折り畳んだ状態を示す断面図である。
濾材1の表裏両面には、濾材を挟んで対向するように塗付機のノズル5が設置されている(図1において濾材1の下面に設置されたノズルは図略)。塗付機は、図略の少量の樹脂を供給するためのギヤポンプAと多量の樹脂を供給するためのギヤポンプBを備えており、電磁バルブによって、ノズル5に連結するポンプを瞬時に切り替えることができるようにしている。
先ず、ギヤポンプAによってノズル5から少量の樹脂を長手方向に移動している濾材1の表面に塗付し、幅狭かつ薄い樹脂層2bを形成する。次に、所定の時間経過後に、電磁バルブを切り替えて、ギヤポンプBによってノズル5から多量の樹脂を濾材1の表面に続けて塗付し、樹脂層2bに続いて幅広かつ厚い樹脂層2aを形成する。そして、所定の時間経過後に、電磁バルブを再び切り替えて、ギヤポンプAによってノズル5から少量の樹脂を続けて塗付し、再び幅狭かつ薄い樹脂層2bを形成する。この工程を繰り返すことによって、濾材1の表面に、濾材1をジグザグ状に折り畳んだ際の折山頂線となる折山線1a、1bを中心線として、この折山線1a、1bを挟んで対称となるように幅広かつ厚い樹脂層2aと幅狭かつ薄い樹脂層2bが段差を有して連続した樹脂層2を形成している。濾材1の裏面にも、濾材1を挟んでノズル5に対向するように設置したノズル(図略)から樹脂を同様に供給し、折山頂線(濾材1の表面からみた谷底線)となる折山線1a´、1b´を中心線として、この折山線1a´、1b´を挟んで対称となるように幅広かつ厚い樹脂層2a´と幅狭かつ薄い樹脂層2b´が段差を有して連続した樹脂層2´を形成している。
尚、本実施の形態においては、濾材1の幅方向に3列の樹脂層を形成したが、樹脂層の列数は3列に限らない。樹脂層は少なくとも濾材1の両端部にそれぞれ1本ずつ形成することが好ましい。
尚、ジグザグ状の濾材の頂部から離れた位置から頂部にかけて樹脂層を徐々に幅広かつ厚くなるように形成するために、電磁バルブでギヤポンプを切り替えて樹脂の塗付量を変えることに加え、濾材1を長手方向の先に送るための駆動ロール(フィードロール)の速度を変えることを行ってもよい。これらを組み合わせることで、幅方向と厚さ方向についてよりなだらかな勾配を有する樹脂層を形成することができる。
【0009】
表裏両面に樹脂層2、2´が形成された濾材1をジグザグ状に折り畳むと、濾材1の表面側の折山間の頂部近傍では、隣接する幅広かつ厚い樹脂層2aの端部の段差の角部同士が接触し、隣接する頂部1a、1bを押圧する。また、折山間の谷部側では、隣接する幅狭かつ薄い樹脂層2bの端部の段差の角部同士が接触し、隣接する折山を押圧する。さらに、濾材1の裏面側の折山間の頂部近傍でも、隣接する幅広かつ厚い樹脂層2a´の端部の段差の角部同士が接触し、隣接する頂部1a´、1b´を押圧する。また、折山間の谷部側では、隣接する幅狭かつ薄い樹脂層2b´の端部の段差の角部同士が接触し、隣接する折山を押圧する。従って、ジグザグ状に折り畳まれた濾材1は、頂部1a、1b(1a´1b´)が鋭角状となり、頂部と頂部(1aと1a´、1a´と1b、1bと1b´)の間の濾材が空気の流通方向に対して傾斜した状態で配置される。このため、空気が濾材をスムーズに流通し、圧力損失の上昇を防止することができる。
【0010】
尚、本明細書において頂部近傍とは、ジグザグ状に折り畳まれた濾材の折山の頂部と谷部の間の長さを4等分した場合の頂部側の1/4未満の間に位置する部位を意味するものとする。また、樹脂層は、幅狭かつ薄い樹脂層の端部が折山の頂部と谷部の間の長さを2等分した場合の頂部側の1/2未満の間の位置することが好ましい。谷部側に至るまで樹脂層を形成すると、隣接する頂部に押圧力がかかりにくくなるからである。
【0011】
また、濾材としては、ガラス、ポリエステル、ポリプロピレン等からなる不織布を用いることができるが、濾過機能を有するものであれば、特に限定されない。
【0012】
また、樹脂層としては、樹脂層同士が固化した後に接触して間隔保持する非融着タイプと、樹脂層同士が接触した後に融着固化して間隔保持する融着タイプのものを用いることができる。この樹脂層には、例えば、EVA樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができるが、製造工程中に固化させる点を考慮すると、ポリエステル樹脂のようなホットメルトタイプの樹脂を用いることが好ましい。
【0013】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。図3に示す実施の形態では、ノズルから濾材1の表裏両面に塗付する樹脂量を調節して、折山線1a,1b(1a´、1b´)を中心線として、この折山線を挟んで対称となるように幅広かつ厚い第1の樹脂層3a、3a´、樹脂層3a、3a´よりも幅狭かつ薄い第2の樹脂層3b、3b´、樹脂層3b、3b´よりも幅狭かつ薄い第3の樹脂層3c、3c´の3段階の段差を有して連続した樹脂層からなる樹脂層3、3´を形成している。こうすることで、濾材1の表面側の折山間では、頂部側から順に隣接する第1の樹脂層3aの端部の段差の角部同士、第2の樹脂層3bの端部の段差の角部同士、第3の樹脂層3cの端部の段差の角部同士が接触する。これにより、折山間の谷部側から頂部側に向かって徐々に強く隣接する頂部が押圧される。また、濾材1の裏面側の折山間でも、頂部側から順に隣接する第1の樹脂層3a´の端部の段差の角部同士、第2の樹脂層3b´の端部の段差の角部同士、第3の樹脂層3c´の端部の段差の角部同士が接触する。これにより、折山間の谷部側から頂部側に向かって徐々に強く隣接する頂部が押圧される。このように、折山間に形成する樹脂層の段階数を増やすことによって、隣接する頂部を押圧する力を強くすることができるため、頂部が確実に鋭角状となり、濾材1が空気の流通方向に対して傾斜した状態で配置されるようになるので、空気が濾材をスムーズに流通し、圧力損失の上昇を防止することができる。
【0014】
図4と図5は、本発明の他の実施の形態を示し、濾材1の表面には、折山線1a、1bを挟んで非対称となるように幅広かつ厚い樹脂層4aと幅狭かつ薄い樹脂層4bが段差を有して連続した樹脂層4を形成している。同様に、濾材1の裏面には、折山線1a´、1b´を挟んで非対称となるように幅広かつ厚い樹脂層4a´と幅狭かつ薄い樹脂層4b´が段差を有して連続した樹脂層4´を形成している。こうすることで、濾材1の表面側の折山間では、一方の幅狭かつ薄い樹脂層4bの端部の段差の角部が他方の幅狭かつ薄い樹脂層4bの平面部に接触する。さらに、一方の幅広かつ厚い樹脂層4aの端部の段差の角部が他方の幅広かつ厚い樹脂層4aの平面部に接触する。このように、樹脂層4、4´を折山線1a、1b(1a´、1b´)を挟んで非対称な形状となるように形成すれば、折山間で隣接する樹脂層の接触点が増えるので、折山間の谷部側から頂部側に向かって徐々により強く隣接する頂部を押圧するため、頂部がより確実に鋭角状となる。
【実施例】
【0015】
次に、本発明の実施例1、2と比較例において、ジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いて作製したエアフィルタの圧力損失を測定した。
(実施例1)
実施例1のジグザグ状エアフィルタ用濾材として、図2に示すようにして折山線1a、1b(1a´、1b´)を挟んで対称となるように樹脂層2(2´)を形成した。
濾材1としては、厚さ0.6mmのガラス繊維からなる不織布を用いた。樹脂層2(2´)は、ポリエステル樹脂を用い、濾材1の表裏両面に、折山線1a、1b(1a´、1b´)を中心線として、その両側に長さ25mm(全長50mm)、幅3.0mm、厚さ2.0mmの幅広かつ厚い樹脂層2a(2a´)と、長さ25mm、幅1.0mm、厚さ1.0mmの幅狭かつ薄い樹脂層2b(2b´)を連続的に形成した。樹脂層2、2´は、濾材1の幅方向に24列形成した。
実施例1のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、濾材1を折り畳み幅125mmの間隔でジグザグ状に折り畳むことで、120山、幅610mm、高さ605mm、厚さ125mmのフィルタパックの形状とした。
このフィルタパックの両側にアルミニウム製側枠を配置し、ウレタン樹脂シール剤aで両者を接着固定した。さらに、フィルタパックの上下側にアルミニウム製上下枠を配置し、ウレタン樹脂シール剤bで両者を接着固定し、縦610mm×横610mm×奥行150mmのエアフィルタを作製した。
実施例1のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、ジグザグ状に折り畳まれた濾材1の折山間の頂部近傍で、隣接する幅広かつ厚い樹脂層2a(2a´)の端部の段差の角部同士が接触し、隣接する頂部1a、1bを押圧する。また、折山間の谷部側で、隣接する幅狭かつ薄い樹脂層2b(2b´)の端部の段差の角部同士が接触し、隣接する折山を押圧する。従って、実施例1のジグザグ状エアフィルタ用濾材1は、樹脂層2、2´によって頂部1a、1b(1a´、1b´)が鋭角状となり、頂部と頂部の間の濾材が空気の流通方向に対して傾斜した状態で配置される。
実施例1のジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いて作製したエアフィルタに対して、風量56m3/minの気流を通過させたところ、比色法90%時における圧力損失は100Paであった。
【0016】
(実施例2)
実施例2のジグザグ状エアフィルタ用濾材として、図5に示すようにして折山線1a、1b(1a´、1b´)を挟んで非対称となるように樹脂層4(4´)を形成した。
濾材1としては、厚さ0.6mmのガラス繊維からなる不織布を用いた。樹脂層4(4´)は、ポリエステル樹脂を用い、濾材1の表裏両面に、折山線1a、1b(1a´、1b´)を中心線として、その両側に長さ20mm(図4に示す折山線の左側)と長さ30mm(図4に示す折山線の右側)(全長50mm)、幅3.0mm、厚さ2.0mmの幅広かつ厚い樹脂層4a(4a´)と、長さ25mm、幅1.0mm、厚さ1.0mmの幅狭かつ薄い樹脂層4b(4b´)を連続的に形成した。樹脂層4、4´は、濾材1の幅方向に24列形成した。
実施例2のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、濾材1を折り畳み幅125mmの間隔でジグザグ状に折り畳むことで、120山、幅610mm、高さ605mm、厚さ125mmのフィルタパックの形状とした。そして、このフィルタパックを用いて、実施例1と同様にして、縦610mm×横610mm×奥行150mmのエアフィルタを作製した。
実施例2のジグザグ状エアフィルタ用濾材は、ジグザグ状に折り畳まれた濾材1の折山間の頂部近傍で、隣接する樹脂層4の一方の幅広かつ厚い樹脂層4a(4a´)の端部の段差の角部が他方の幅広かつ厚い樹脂層4a(4a´)の平面部に接触する。さらに、一方の幅狭かつ薄い樹脂層4b(4b´)の端部の段差の角部が、他方の幅狭かつ薄い樹脂層4b(4b´)の平面部に接触する。これにより、この折山間隔は、折山間の谷部側から頂部側に向かって順に、1mm、2mm、3mm、4mmと広くなり、谷部側から頂部側に向かって徐々により強く隣接する頂部を押圧するため、頂部がより確実に鋭角状となり、濾材1が空気の流通方向に対して傾斜した状態で配置される。
実施例2のジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いて作製したエアフィルタに対して、風量56m3/minの気流を通過させたところ、比色法90%時における圧力損失は90Paであり、実施例1のジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いて作製したエアフィルタよりも圧力損失は低かった。
【0017】
(比較例)
比較例のエアフィルタ用濾材として、図6に示すようにして蛇行状に折り曲げた濾材10の間隔を樹脂層11で保持したものを用いた。
濾材1としては、厚さ0.6mmのガラス繊維からなる不織布を用いた。樹脂層11は、ポリエステル樹脂を用い、濾材1の表裏両面に、長さ100mm、幅1.5mm、厚さ1.0mmで連続的に形成した。樹脂層11は、濾材1の幅方向に24列形成した。
比較例の蛇行状エアフィルタ用濾材は、濾材10を折り畳み幅125mmの間隔で濾材と濾材の間が5mmとなるように蛇行状に折り畳むことで、120山、幅610mm、高さ605mm、厚さ125mmのフィルタパックの形状とした。そして、このフィルタパックを用いて、実施例1と同様にして、縦610mm×横610mm×奥行150mmのエアフィルタを作製した。
比較例のジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いて作製したエアフィルタに対して、風量56m3/minの気流を通過させたところ、比色法90%時における圧力損失は140Paであり、実施例1や2のジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いて作製したエアフィルタよりも圧力損失は高かった。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、空気の流通方向に対して濾材を傾斜させ、スムーズに空気を濾材に流通させるようにすることができ、圧力損失の上昇を防止したジグザグ状エアフィルタ用濾材を提供することができる点において、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態の濾材の平面図
【図2】図1の濾材からなるジグザグ状エアフィルタ用濾材の断面図
【図3】本発明の他の実施の形態のジグザグ状エアフィルタ用濾材の断面図
【図4】本発明のその他の実施の形態の濾材の平面図
【図5】図4の濾材からなるジグザグ状エアフィルタ用濾材の断面図
【図6】従来例の蛇行状エアフィルタ用濾材の断面図
【図7】図6の濾材に空気が流通する状態を示す説明図
【図8】本発明のジグザグ状エアフィルタ用濾材に空気が流通する状態を示す説明図
【図9】従来例の押型でジグザグ状エアフィルタ用濾材を作製する方法の説明図
【図10】従来例のジグザグ状エアフィルタ用濾材の断面図
【符号の説明】
【0020】
1 濾材
1a、1a´ 頂部、折山線
1b、1b´ 頂部、折山線
2、2´ 樹脂層
2a、2a´ 幅広かつ厚い樹脂層
2b、2b´ 幅狭かつ薄い樹脂層
3、3´ 樹脂層
3a、3a´ 第1の樹脂層(幅広かつ厚い樹脂層)
3b、3b´ 第2の樹脂層(第1の樹脂層よりも幅狭かつ薄い樹脂層)
3c、3c´ 第3の樹脂層(第2の樹脂層よりも幅狭かつ薄い樹脂層)
4、4´ 樹脂層
4a、4a´ 幅広かつ厚い樹脂層
4b、4b´ 幅狭かつ薄い樹脂層
5 ノズル
10 濾材
10a 蛇行状の頂部(曲面)
11 樹脂層
12 濾材
12a 頂部
13 濾材
14、15 押型
16 濾材
16a、16a´ 頂部
16b、16b´ 頂部
17、17´ 第1の樹脂層
18、18´ 第2の樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布からなる濾材の表裏両面の少なくとも両端部近傍に樹脂を塗付して樹脂層を形成し、固化した樹脂層によって折山間隔が保持されるように濾材をジグザグ状に折り畳んだジグザグ状エアフィルタ用濾材において、ジグザグ状の濾材の頂部から離れた位置から頂部にかけて前記樹脂層が徐々に幅広かつ厚くなるように形成されていることを特徴とするジグザグ状エアフィルタ用濾材。
【請求項2】
前記樹脂層がジグザグ状に折り畳んだ濾材の頂部から離れるに従って段差を有して薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材。
【請求項3】
前記樹脂層がジグザグ状に折り畳んだ濾材の折山線を挟んで対称な形状となるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材。
【請求項4】
前記樹脂層がジグザグ状に折り畳んだ濾材の折山線を挟んで非対称な形状となるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のジグザグ状エアフィルタ用濾材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたジグザグ状エアフィルタ用濾材を用いたことを特徴とするエアフィルタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−98233(P2007−98233A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289341(P2005−289341)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】