説明

ジャッキ

【課題】フレームの高さが低いジャッキを提供する。
【解決手段】両側にフレーム2、2を設け、該フレーム2、2間にアーム7を設け、該アーム7の一端側を前記ケース2に対して回動可能に設け、該アーム7の他端側に受皿10を設け、前記アーム7を昇降動させるシリンダー8を設け、前記シリンダー8に油を供給する油タンク25をシリンダー8とは別に設ける。該油タンク25を、操作ハンドル5の支点よりも後方に設けたり、フレーム2、2の外側部に設けたり、シリンダー8の上部で、かつ、アーム軸9と操作ハンドル5との間に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジャッキに関するもので、より詳しくは、自動車の修理、点検時において自動車をジャッキアップする場合などに使用するジャッキに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の低床化によりジャッキのフレームの高さを低くする構造が求められているために、図15に示すような、シリンダー101をできるだけ低く搭載し、かつ、該シリンダー101の近傍にアーム102のアーム軸103を設けたジャッキ100が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来のジャッキ100は、シリンダーバレル104の外周部に油タンク105が配置されているために、油タンク105の外周径とアーム軸103の外径との総径よりもジャッキ100のフレーム106の高さを低くすることはできないとう問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、フレームの高さが低い低床ジャッキを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、両側にフレームを設け、該フレーム間にアームを設け、該アームの一端側を前記フレームに対して回動可能に設け、該アームの他端側に受皿を設け、前記アームを昇降動させるシリンダーを設け、前記フレームの後部に操作ハンドルを設け、前記シリンダーに油を供給する油タンクを、前記操作ハンドルの支点よりも後方に設けたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、両側にフレームを設け、該フレーム間にアームを設け、該アームの一端側を前記フレームに対して回動可能に設け、該アームの他端側に受皿を設け、前記アームを昇降動させるシリンダーを設け、前記フレームの後部に操作ハンドルを設け、前記シリンダーに油を供給する油タンクを、前記フレームの外側部に設けたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、両側にフレームを設け、該フレーム間にアームを設け、該アームの一端側を前記フレームに対して回動可能に設け、該アームの他端側に受皿を設け、前記アームを昇降動させるシリンダーを設け、前記アームのフレームに対する回動中心であるアーム軸を前記シリンダーの上部で、かつ、該シリンダー近傍に設け、前記油タンクを前記シリンダーの上部で、かつ、前記アーム軸と前記操作ハンドルとの間に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、油タンクをシリンダーとは別体に設けたことにより、油タンクの厚み分ジャッキのフレームの高さを低く設定することができ、前記従来のジャッキよりもフレームの高さを低くすることができる。
【0009】
上記のようにジャッキの大きさがコンパクトになったことで、ジャッキの小回り性が向上し、作業性が向上する。また、不使用時の収納スペースも少なく収納性が向上する。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、更に、油タンクをフレームの外側部に設けたことにより、前記従来のジャッキの全長と略同長とすることができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様の効果を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図8は、本発明の実施例1を示す。
図1は受皿を下降(収納)した状態のジャッキ1の側面図、図2は図1の状態における後面図である。以下、操作ハンドル5側を後側とし、他方を前側として説明する。
【0014】
該ジャッキ1は、図4に示すように、両側に設けたフレーム2、2を有し、各フレーム2の側部には前輪3aと後輪3bが設けられている。ジャッキ1の後部におけるフレーム2、2間には、ハンドルケース4が回動可能に設けられ、該ハンドルケース4の上部には操作ハンドル5が起立して設けられている。したがって、操作ハンドル5は、図1、図3に示すように、下側を中心として前後方向(上下方向)に回動(起倒)することができるようになっている。
【0015】
フレーム2、2間にはアーム7が配設されている。該アーム7は、両側に設けられた腕部7a、7bを有し、該腕部7a、7bの端部は、アーム軸9により、フレーム2に対して回動可能に設けられている。
【0016】
腕部7a、7bが収納された状態における上部で、かつ、腕部7a、7b間に亘ってアーム板7cが設けられ、該アーム板7cは、腕部7a、7bに固設されている。フレーム2に対する前記アーム軸9は、図5に示すように、フレーム2、2間の後部のハンドル5の付近で、かつ、後述するシリンダー8の上部近傍に設けられている。また、アーム7に対するアーム軸9は、図8(a)に示すように、腕部7a、7bの後部で、かつ、前記アーム板7cの近傍に設けられている。
【0017】
前記腕部7a、7bの他端部間には受皿10が支軸11により回転可能に備えられ、アーム7の腕部7a、7bは、図1、図5、図6に示すように、アーム軸9を中心として上下方向に回動するようになっている。
【0018】
受皿10には、2本のアームリンク12、12の端部が支軸13により回転可能に備えられ、該アームリンク12、12の他端部はフレーム2に対して支軸14により回動可能に設けられている。アームリンク12、12は、図4に示すように、アーム7の腕部7a、7bの外側で、腕部7a、7bとフレーム2、2との間に位置するように配置されている。前記受皿10は地面と略平行に配置され、アーム7、アームリンク12、アーム軸9、支軸11、13、14により構成される平行リンク15により、受皿10が昇降動しても、受皿10は地面と略平行状態に保持されるようになっている。
【0019】
前記フレーム2、2の後部の間には油圧力を発生させるシリンダー8が地面と略平行に配置されており、該シリンダー8のピストンロッド20の先端(前端)には、ナックル21が連結されている。該ナックル21の両側部には、図6、図8(b)に示すように、リンクバンド22、22の一端が回動可能に設けられている。該リンクバンド22の他端部には、前記アーム7の腕部7a、7bの端部が支軸23により回動可能に設けられている。該リンクバンドの外側には、図7、図8(b)に示すように、前記腕部7a、7bが設けられ、該腕部7a、7bとリンクバンド22との間には、スペーサ23bが設けられている。
【0020】
該リンクバンド22、22とシリンダー8との間には、図7、図8に示すように、略三角形状の板状部材24、24が設けられている。該板状部材24、24の一端部は、図8に示すように、支軸23により、リンクバンド22、22に回動可能に設けられている。また、前記アーム板7cに、板状部材24、24が固設されているため、板状部材24、24とアーム7a、7bとは一体となって、アーム軸9、支軸23を中心として回動するようになっている。また、板状部材24、24は、アーム7が昇降動する際に、前記ナックル21と干渉しない形状に形成されている。
【0021】
また、前記フレーム2、2の後部で、かつ、操作ハンドル5の後部には、油タンク25がフレーム2に対して固定して設けられている。該油タンクは、図2、図4に示すように、フレーム2、2間全体に亘って設けられている。
【0022】
次に、動作について説明する。
前記操作ハンドル5の上部に設けたリリースバルブ27を閉め、図1、図3に示すように、前記操作ハンドル5を上下動(起倒)させることにより、操作ハンドル5の下端部に連結された手動ピストン28のピストン軸28aが上下動して、油タンク25内の油を図示しないホースによりシリンダー8内に圧入し、ピストンロッド20が前進駆動する。これにより、ピストンロッド20に連結されたナックル21が前進し、リンクバンド22を介してアーム7に設けた支軸23が前進する。これにより、図5、図6に示すように、アーム7がアーム軸9を中心として上昇し、受皿10が地面と平行状態を保ったまま上昇する。
【0023】
そして、受皿10を自動車のジャッキポイントに当てた状態で更に上昇させ、自動車を所望の位置までジャッキアップさせる。
【0024】
また、図6の状態から、リリースバルブ27を緩めてシリンダー8内の油圧を解除することにより、自動車及びアーム7の等自重によりピストンロッド20が後退し、受皿10は下降する。
【0025】
上記の構造を有するので次のような作用、効果を奏する。
本発明は、前記のように油タンク25をピストン28とは別体に設けて、該油タンク25をフレーム2、2の後部で、かつ、操作ハンドル5の後部に位置するように配置したことで、前記従来のジャッキと比較して、油タンクの厚み分フレーム2の高さを低くすることができる。
【0026】
上記のようにジャッキの大きさがコンパクトになったことで、ジャッキの小回り性が向上し、作業性が向上する。また、不使用時の収納スペースも少なく収納性が向上する。
【実施例2】
【0027】
図9及び図10は本発明の実施例2を示す。
前記実施例1においては、油タンク25をフレーム2、2の後部で、かつ、操作ハンドル5の後部に設けたが、本実施例2では、油タンク30をフレーム2、2間の外側で、かつ、側部に設けたものである。
【0028】
すなわち、油タンク30を、図9、図10に示すように、をフレーム2、2の外側部であるフレーム2の外面に設け、油タンク30の後部に油ホース30aを接続し、油タンク30内の油を、油ホース30aを通ってシリンダー8内に供給するようになっている。
【0029】
その他の部材、構造は前記実施例1と同様であるため前記実施例1と同一部は前記と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
本実施例2においても前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
本実施例2においては、更に、油タンク30をフレーム2の外側部に設けたことで、前記実施例1よりも、ジャッキ1の前後長を短くすることができる。
【実施例3】
【0031】
図11及び図12は本発明の実施例3を示す。
本実施例3は、前記実施例1、2とは、油タンク25、30の位置が異なるものである。
【0032】
すなわち、油タンク40を、図11、図12に示すように、シリンダー8の上部で、かつ、アーム軸9と操作ハンドル5との間に設けたものである。該油タンク40内の油は、油ホース40aを通ってシリンダー8内に供給されるようになっている。
【0033】
その他の部材、構造は前記実施例1と同様であるため前記実施例1とと同一部は前記と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
本実施例3においても前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【実施例4】
【0035】
図13及び図14は本発明の実施例4を示す。
前記実施例1乃至3は、操作ハンドル5を手動により上下動することにより、油タンク25、30、40内の油を、油ホース30a、40aを通じてシリンダー8内に圧入したが、この手動式とともにエアーポンプを併用して行ってもよい。
【0036】
図13、図14は、前記実施例1にエアーポンプを付加的に設置した図である。
エアーポンプ45は、図13、図14に示すように、フレーム2の後部で、かつ、操作ハンドル5の後方に配設されている。該エアーポンプ45には、図14に示すように、エアーホース46の一端が接続され、該エアーホース46の他端のエアー口46aは、操作ハンドル5に配置されている。該エアー口46aには、図示しないコンプレッサを接続するようになっている。
【0037】
操作バルブ47をオン操作して、コンプレッサからエアーをエアーポンプ45に供給することにより、エアーポンプ45を駆動して油タンク25、30、40から油をシリンダー8内に圧入し、ピストンロッド20を前進駆動させ、受皿10、アーム7等が上昇する。
【0038】
受皿10、アーム7等を下降させる方法は、前記実施例1と同様である。
その他の部材、構造は前記実施例1と同様であるため前記実施例1と同一部は前記と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
なお、本実施例4においても、前記実施例1と同様に、手動で操作ハンドル5を上下させることにより、受皿10、アーム7等を上昇させることができる。
【0040】
本実施例4においても前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
また、本実施例4のエアーポンプを前記実施例2及び3に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1のジャッキを示すもので、操作ハンドルが起立し、受皿が下降(収納)した状態の側面図で、鎖線は受皿が上昇した状態を示す。
【図2】図1の後面図。
【図3】図1の状態から操作ハンドルを倒伏した状態の側面図。
【図4】図1の状態の上面図。
【図5】図1の状態の内部構造を示す部分側断面図。
【図6】図5の状態から受皿を上昇させた状態の部分側断面図。
【図7】図1の状態から受け皿を上昇した状態の前面図。
【図8】本発明の実施例1に用いるアームとリンクバンドとナックルの関係を示す図で、(a)は側面図、(b)は下面図。
【図9】本発明の実施例2を示すジャッキの受皿を下降(収納)した状態の上面図。
【図10】図8の状態の側面図で、鎖線は受皿が上昇した状態を示す。
【図11】本発明の実施例3を示すジャッキの受皿を下降(収納)した状態の上面図。
【図12】図11の状態の内部構造を示す部分側断面図。
【図13】本発明の実施例4を示すジャッキの受皿を下降(収納)した状態の上面図。
【図14】図13の状態の後面図。
【図15】従来のジャッキの内部構造を示す部分側断面図。
【符号の説明】
【0042】
1 ジャッキ
2 フレーム
5 操作ハンドル
7 アーム
7a、7b 腕部
8 シリンダー
9 アーム軸
10 受皿
25、30、40 油タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側にフレームを設け、該フレーム間にアームを設け、該アームの一端側を前記フレームに対して回動可能に設け、該アームの他端側に受皿を設け、前記アームを昇降動させるシリンダーを設け、前記フレームの後部に操作ハンドルを設け、前記シリンダーに油を供給する油タンクを、前記操作ハンドルの支点よりも後方に設けたことを特徴とするジャッキ。
【請求項2】
両側にフレームを設け、該フレーム間にアームを設け、該アームの一端側を前記フレームに対して回動可能に設け、該アームの他端側に受皿を設け、前記アームを昇降動させるシリンダーを設け、前記フレームの後部に操作ハンドルを設け、前記シリンダーに油を供給する油タンクを、前記フレームの外側部に設けたことを特徴とするジャッキ。
【請求項3】
両側にフレームを設け、該フレーム間にアームを設け、該アームの一端側を前記フレームに対して回動可能に設け、該アームの他端側に受皿を設け、前記アームを昇降動させるシリンダーを設け、前記アームのフレームに対する回動中心であるアーム軸を前記シリンダーの上部で、かつ、該シリンダー近傍に設け、前記油タンクを前記シリンダーの上部で、かつ、前記アーム軸と前記操作ハンドルとの間に設けたことを特徴とするジャッキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−223724(P2007−223724A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46513(P2006−46513)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(394023931)長崎ジャッキ株式会社 (5)