説明

ジャンクションブロック

【課題】回路基板やカバーへのヒューズ接続用のブロックの組付性を高める。
【解決手段】一枚の回路基板2と、回路基板の回路にハンダ接続される一方の端子部19bと、ヒューズ39に接続される他方の端子部19aとを有する複数のバスバー19と、複数のバスバーを配設した状態で回路基板の上側に搭載される絶縁性のブロック本体18とで構成される接続用ブロック4と、接続用ブロックの上側から回路基板を覆うカバー9と、接続用ブロックの他方の端子部に接続される複数のヒューズ39と、を備え、ブロック本体に孔部27を設け、孔部に挿通係合するピン28をカバー9に設け、ピンにねじ部材31を螺合するための小孔30を回路基板に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズ接続用のブロックと回路基板とこれらを覆うカバーとを備えるジャンクションブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来のジャンクションブロックの一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
このジャンクションブロック71は、各種電子部品72を搭載した回路基板73と、回路基板73の左右両側に端子74で接続されたコネクタブロック75と、回路基板73の前側に端子76で接続されたヒューズブロック77とを備えるものである。これら回路基板73や各ブロック75,77は、各ブロック75,77の開口75a,77a側を露出させた状態で上下のカバー(図示せず)で覆われて保護される。
【0004】
コネクタブロック75は絶縁樹脂製のコネクタハウジング(符号75で代用)と、コネクタハウジング内に一端側を挿着され、回路基板73に他端側をハンダ接続された略L字状の端子74とで構成されている。また、ヒューズブロック77は、絶縁樹脂製のヒューズブロック本体(ヒューズホルダ)78内に一端側を挿着され、回路基板73に他端側をハンダ接続された略L字状の端子76と、ヒューズブロック本体78内に挿着された導電金属製の櫛歯状のバスバー(図示せず)と、バスバーの一側部を収容した電源入力用のコネクタ80とで構成されている。
【0005】
このヒューズブロック本体78には上下二段に且つ左右方向に並列に複数のブレード型のヒューズ(図示せず)が装着され、ヒューズの上下一対の端子に対応して、上下の収容室77a内に上下一対の端子76と上下一対のバスバーとの各音叉状端子部(挟持端子)が挿着される。コネクタ80にはバッテリ電源やオルタネータ電源が入力される。
【0006】
なお、上記特許文献1には、ヒューズブロック本体(ヒューズホルダ)78に別体の端子ホルダ(図示せず)を接合して、端子ホルダ内に各段のL字状の端子76(上記バスバーに代えて端子を使用する)を収容する構成例も記載されている。回路基板73には厚さ方向中間部に銅コア層(図示せず)を配設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−333583号公報(図6,図1〜図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のジャンクションブロック71にあっては、車両のグレードに応じて電源回路等が増加するに伴って、ヒューズブロック77の段数の異なる形態のものを新たに製造し直さなければならず、また、ヒューズブロック77が多段になるに伴って、回路基板73やカバーへのヒューズブロック(ヒューズ接続用のブロック)77の組付作業性が低下するという懸念があった。
【0009】
また、ヒューズを挿入した際に(特に複数のヒューズを一本の端子の複数のヒューズ接続端子部に同時に挿入した際に)、端子に挿入方向の強い押圧力がかかり、回路基板73のハンダ接続部に悪影響を及ぼし兼ねないという懸念があった。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、回路基板やカバーへのヒューズ接続用のブロックの組付性を高めることができ、それに加えて、ヒューズの挿入時におけるバスバーや端子の基板接続部への悪影響を防ぐことのできるジャンクションブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るジャンクションブロックは、一枚の回路基板と、前記回路基板の回路にハンダ接続される一方の端子部と、ヒューズに接続される他方の端子部とを有する複数のバスバーと、該複数のバスバーを配設した状態で前記回路基板の上側に搭載される絶縁性のブロック本体とで構成される接続用ブロックと、前記接続用ブロックの上側から前記回路基板を覆うカバーと、前記接続用ブロックの前記他方の端子部に接続される複数の前記ヒューズと、を備え、前記ブロック本体に孔部が設けられ、該孔部に挿通係合するピンが前記カバーに設けられ、該ピンにねじ部材を螺合するための小孔が前記回路基板に設けられたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、接続用ブロックが絶縁性のブロック本体とバスバーとで構成され、バスバーは主に電源バスバーとして作用し、回路基板の導電金属製のコア層又はプリント回路に接続される。
【0013】
接続用ブロックがピンでカバーに位置決めされ、ピンに回路基板がねじ締めで位置決め及び固定され、接続用ブロックと回路基板とが位置決めされる。これにより、接続用ブロックのバスバーの基板接続用の端子部が回路基板の小孔に位置決めされつつスムーズに挿入されて回路基板にハンダ等で接続される。基板固定部をバスバーブロックの位置決めにも利用しているため、ジャンクションブロックの小型化が図られる。
【0014】
請求項2に係るジャンクションブロックは、請求項1記載のジャンクションブロックにおいて、前記接続用ブロックのバスバーの屈曲部分の背面を当接させるリブが前記カバーに設けられ、該リブが前記ヒューズの挿入力を受けることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、ヒューズを挿入する際に、すなわちヒューズをバスバーのヒューズ接続用の端子部に挿入する際に、バスバーがヒューズ挿入方向に押されるが、バスバーがカバーのリブに当接することで、その押し力をリブが受け止めて、バスバーと回路基板との接続部(ハンダ部)への力の伝播を阻止し、ハンダ部への過大な応力の負荷を防止する。
【0016】
請求項3に係るジャンクションブロックは、請求項2記載のジャンクションブロックにおいて、前記リブが低い突出部分と高い突出部分とで段差状に形成され、該低い突出部分が前記バスバーを支持し、該高い突出部分が前記屈曲部分の背面に当接することを特徴とする。
【0017】
上記構成より、リブの低い突出部分がバスバーを水平に支持してバスバーの板厚方向の曲がり(撓み)を阻止し、リブの高い突出部分がバスバーの垂直な背面に当接してヒューズ挿入方向(水平方向)のバスバーの力を受け止める。
【0018】
請求項4に係るジャンクションブロックは、請求項1〜3の何れかに記載のジャンクションブロックにおいて、前記回路基板の回路にハンダ接続される一方の端子部と、ヒューズに接続される他方の端子部とを有する複数の端子が端子ブロックのブロック本体に挿通保持され、該端子ブロックが前記接続用ブロックと重ねて配置され、該端子ブロックのブロック本体の背面を当接させるリブが前記カバーに設けられ、該リブが前記ヒューズの挿入力を受けることを特徴とする。
【0019】
上記構成により、ヒューズを挿入する際に、すなわちヒューズを端子のヒューズ接続用の端子部に挿入する際に、端子が端子ブロック本体と一体的にヒューズ挿入方向に押されるが、端子ブロック本体がカバーのリブに当接することで、その押し力をリブが受け止めて、端子と回路基板との接続部(ハンダ部)への力の伝播を阻止し、ハンダ部への過大な応力の負荷を防止する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、カバーと接続用ブロックと回路基板との三部品が相互に位置決めされるから、接続用ブロックのバスバーを回路基板に位置ずれなくスムーズ且つ確実に接続することができ、三部品の組付作業性が高まると同時に、回路基板へのバスバーの電気的接続の信頼性が高まる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、ヒューズの挿入時に接続用ブロックのバスバーがカバーのリブに当接することで、回路基板への過大な応力の伝播が阻止され、バスバーと回路基板との接続部の品質が良好に維持される。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、リブの低い突出部分と高い突出部分とが協働してヒューズ挿入時のバスバーへの応力負荷を確実に防止するから、請求項2記載の発明の効果が促進される。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、ヒューズの挿入時に端子ブロックのブロック本体がカバーのリブに当接することで、回路基板への過大な応力の伝播が阻止され、端子と回路基板との接続部の品質が良好に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るジャンクションブロックの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】ローグレード用の回路基板組立体の一形態を示す、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図3】ハイグレード用の回路基板組立体の一形態を示す、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図4】ハイグレード用のバスバーブロックの一形態を示す斜視図である。
【図5】ローグレード用の回路基板組立完成品の一形態を示す斜視図である。
【図6】ハイグレード用の回路基板組立完成品の一形態を示す斜視図である。
【図7】インナカバーの一形態を示す斜視図である。
【図8】インナカバーにバスバーブロックを配置した状態の斜視図である。
【図9】回路基板にバスバーブロックを配置した状態の平面図である。
【図10】インナカバーにハイグレード用の回路基板組立体を組み付けた状態の縦断面図である。
【図11】インナカバーにハイグレード用の回路基板組立体を組み付けた状態の横断面図である。
【図12】インナカバーにローグレード用の端子ブロックを配置した状態の平面図である。
【図13】インナカバーにローグレード用の端子ブロックを配置した状態の断面図である。
【図14】従来のジャンクションブロックの一形態を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係るジャンクションブロックの一実施形態を示すものである。
【0026】
このジャンクションブロック1は、厚さ方向中間部に銅コア層(図示せず)を配設したプリント回路基板2と、回路基板2の前部側に接続されるローグレード用の端子ブロック3と、回路基板2の長手方向中間部に接続され、端子ブロック3に重ねて配設されるハイグレード用のバスバーブロック(接続用ブロック)4と、端子ブロック3とバスバーブロック4との組立体5(図3)に組み付けられる絶縁樹脂製のヒューズホルダ6と、回路基板2に装着接続される複数のリレー7と、回路基板2の左右両側に接続配置されるコネクタブロック8と、端子ブロック3とバスバーブロック4とコネクタブロック8とヒューズホルダ6とを支持する絶縁樹脂製のインナカバー(カバー)9と、インナカバー9とは上下反対側で回路基板2を支持する絶縁樹脂製のアウタカバー10とを備えたものである。
【0027】
図1においては、バスバーブロック4を下側に配置し、その上に端子ブロック3を配置し、さらにその上に回路基板2を配置しているが、これらを上下反転して使用することも可能である。
【0028】
図1でインナカバー9の下側には箱状の電子制御ユニット(図示せず)が配置され、回路基板2の後端側に、電子制御ユニット接続用のコネクタ部11(図5)が配置される。インナカバー9は別体のブラケット(図示せず)で車両ボディ等に固定される。ヒューズホルダ6は蓋部6aを有する。
【0029】
なお、明細書で上下前後左右の方向性は説明の便宜状のものであり、必ずしもジャンクションブロック1の搭載方向と一致するとは限らない。明細書においては主に図1を上下反転した形態で上下関係を説明する。ジャンクションブロック1はジャンクションボックス又は電気接続箱と呼称することもある。インナカバー9とアウタカバー10を一方のカバーと他方のカバーと呼称してもよい。
【0030】
図2(a)(b)は、ローグレード用の回路基板組立体12を示すものである。
【0031】
上記端子ブロック3は、絶縁樹脂製のブロック本体(端子ホルダ)13と、ブロック本体13に複数段(本例で四段)で且つ左右方向に並列に配設された略L字状の(L字状に屈曲された)端子14とで構成されている。端子14は例えば下(基板側)から二層目と三層目が音叉状の挟持端子部(端子部)14aを有する一本ずつの端子で、四層目が複数の挟持端子部14aを有する幅広の端子となっており、幅広の端子に電源入力用のタブ端子15が一体に形成されている。
【0032】
各端子14はブロック本体13の縦溝ないし縦孔(図示せず)に挿入されて、端子14の中間の屈曲部の近傍の水平部分14cがブロック本体13の水平な壁面で当接支持される。各端子14をブロック本体13に一体モールド成形することも可能である。本例のブロック本体13は二部品で構成され、両部品13a,13bは係止手段で接合され、上側の部品13bが各端子14を下側の部品13aとの間に挟んで固定する。
【0033】
ブロック本体13の底面が回路基板2の表面2aに接合し、各端子14の一方の挟持端子部(ヒューズ接続部)14aがブロック本体13の前端から突出し、各端子14の他方のピン状の端子部14bが回路基板2のスルーホール16に挿通されて回路基板2の表裏のプリント回路(図示せず)又は中間の銅コア層に接続され、電源入力用のタブ端子15がブロック本体13の側端から突出する。銅コア層は表裏の絶縁基板に挟まれて位置する。
【0034】
図3(a)(b)は、ハイグレード用の回路基板組立体17を示すものである。ハイグレード用の回路基板組立体17はローグレード用の回路基板組立体12にハイグレード用のバスバーブロック4を付加して構成される。
【0035】
図4にも示す如く、バスバーブロック4は、側面視で略クランク状に段差状に屈曲した絶縁樹脂製のブロック本体18と、ブロック本体18の表裏面に二層に並列に配設される複数本の電源バスバー19とで構成されている。
【0036】
ブロック本体18は、前部側の厚肉で水平な上層の板状の壁部20と、薄肉で水平な下層の板状の壁部21と、両壁部20,21を連結する垂直な板状の壁部22とで構成され、下層の壁部21は上下のバスバー19が長く延長されている部分21aのみ、バスバー19に沿って延長されている。下層(第五層)のバスバー19は短く、上層(第六層)のバスバー19は長い。上層のバスバー19は種々の長さで回路基板2(図3)の長手方向に直線的に配索される。第一〜四層には前記端子ブロック3の各層の端子14が配置される。
【0037】
各バスバー19はブロック本体18に沿って略クランク状に屈曲され、前端側に水平なヒューズ接続用の挟持端子部(端子部)19aを有し、後端側に垂直なピン状の基板接続端子部19bを有している。挟持端子部19aは水平部19cに同一面で続き、水平部は垂直部(屈曲部分)19dに続き、垂直部19dは下層の水平部19eに続き、水平部19eは下向きの垂直部19fに続き、垂直部19fに基板接続端子部19bが延設されている。
【0038】
基板接続端子部19bは回路基板2(図3)の主に中間のコア層又は回路基板2のプリント回路(図示せず)にハンダ接続される。コア層は電源を分配供給するためのものである。本例ではブロック本体18に上層のバスバー19がインサート成形され、下層のバスバー19がブロック本体18に熱溶着で固定されている。両層のバスバー19ともにインサート成形で固定することも可能である。各バスバー19はブロック本体18の横断方向のリブ23で浮き上がりが防止されている。
【0039】
図3の如く、ローグレード用の端子ブロック本体13の上側の部品13bの上面にハイグレード用のバスバーブロック本体18の上層の壁部20の下面が当接した状態で、各バスバー19の端子部19bが回路基板2にハンダ固定され、端子ブロック本体13の上側の部品13bによる端子14の押圧保持が確保される。
【0040】
図5は、ローグレード用のジャンクションブロックの要部をなす回路基板組立完成品24、図6は、ハイグレード用のジャンクションブロックの要部をなす回路基板組立完成品25をそれぞれ示すものである。
【0041】
図5の如く、回路基板2の前部に端子ブロック3が配置され、回路基板2の左右にコネクタブロック8が配置され、左右のコネクタブロック8の間で複数のリレー7が回路基板2に接続され、回路基板2の後端側に制御ユニット接続用のコネクタ11が配置される。
【0042】
図6の如く、バスバーブロック4から後方に延びた各バスバー19は、コネクタブロック8の端子26やリレー7の上方を水平に通過して、端子26やリレー7の間の空間を利用して回路基板2の孔部16に挿入接続されている。
【0043】
図3において、端子ブロック3のブロック本体13は耐熱性の高い合成樹脂材で形成され、バスバーブロック4のブロック本体18は耐熱性の低い安価な合成樹脂材で形成されている。端子ブロック3は回路基板2に直接接触するので、ハンダの熱影響を受けて変形しやすいことから、耐熱性の高い樹脂を用い、端子ブロック3の上にバスバーブロック4が載るので、バスバーブロック4のブロック本体18は熱影響を受けず、耐熱性の低い安価な樹脂材(例えばPP)を使用可能となる。耐熱性の高い樹脂材としては、例えばスーパーエンプラとして一般的に知られているPPSやPSF、PES等を使用可能である。
【0044】
図4において、バスバーブロック4のブロック本体18の下層の壁部21には、左右に大きく離間したバスバー19の間において矩形状(好ましくは正方形)の孔部27が設けられており、図7の如く、インナカバー9には、孔部27に挿入されるピン28が垂直に突設されている。図8の如く、ピン28を孔部27に挿入することで、バスバーブロック4がインナカバー9に正確に位置決めされる。ピン28の外径は孔部27の内幅より若干小さく設定される。ピン28はバスバーブロック14の下層の壁部21(図4)からバスバー19の基板接続端子部19bの突出方向に突出している。
【0045】
ピン18の先端部には雌ねじ孔29が設けられており、図9の如く、回路基板2にビス挿通用の小さな小孔30が設けられている。図8においてピン28の先端で回路基板2を支持し、その状態でビス(雄ねじ部材)31で回路基板2をピン28にねじ締め固定する。支持用のピン28はインナカバー9の後部にも配置されている。
【0046】
本例で図4のバスバーブロック4の孔部27は一つであるが、一例として孔部を各バスバー19の間で複数並列に設け、各バスバー19を並び方向に連結する一体の連結片(図示せず)を切断するための孔部として共通利用することが好ましく、位置決め用の孔部27はそのなかで大きいものが適用される。
【0047】
図7の如く、インナカバー9は、バスバーブロック4(図4)の段部形状に合わせて、水平な広い基板部32の前端側で深く掘り下げられた膨出部33を有し、膨出部33にバスバーブロック4の上層の壁部20(図4)が位置し、基板部32に沿って下層の壁部21が位置する(図8参照)。
【0048】
膨出部33は、基板部32の前端に続く垂直な壁部34(図7)と、垂直な壁部34から前方に短く続く水平な壁部(第二の基板部)35と、水平な壁部35の側方に立設された側壁36とを備え、水平な壁部35の内面に複数のリブ37が並列に立設され、垂直な壁部34に沿って柱状部38が立設され、柱状部38の先端に前記ピン28が立設されている。
【0049】
リブ37は、水平な壁部35に沿って長く延びる低い突出部分37aと、垂直な壁部34に交差して続く短く高い突出部分(リブ)37bとで構成され、低い突出部分37aに段差状に高い突出部分37bが続いている。柱状部38の前端は高い突出部分37bの前端と同一面に位置している。
【0050】
図10〜図11に示す如く、インナカバー9にハイグレード用の回路基板組立体17(図3)を組み付けた際に、バスバーブロック4の上層(第六層)の各バスバー19の垂直部(屈曲部分)19dの後端面(背面)がリブ37の高い突出部分37bの前端に当接することで、ヒューズ39の挿入時における押圧力がリブ37の高い突出部分37bで受け止められて、押圧力(応力)がバスバー19と回路基板2とのハンダ接続部(19bで代用)に伝わることが防止され、ハンダ接続部の品質が確保される。
【0051】
本例の上層のバスバー19はブロック本体18にインサート成形で固定されており、ヒューズ挿入力を回路基板2に伝えにくいが、上記構成により、一層確実に回路基板2との接続品質が高められる。
【0052】
バスバーブロック4の下層(第五層)の各バスバー19’の垂直部19d’の後端面はブロック本体18の垂直な壁部22の前端面に当接するから、ヒューズ挿入力は垂直な壁部22で受け止められて、回路基板2へのヒューズ挿入力の伝播は阻止される。第五層とは回路基板2側から数えて五層目という意味であり、第一〜四層には端子ブロック3の端子14が配置されている。
【0053】
下層の端子ブロック3と上層のバスバーブロック4との各ブロック本体13,18の前端部には合成樹脂製のヒューズホルダ6が装着され、ヒューズホルダ6の各キャビティ(収容室)内に各ヒューズ39が装着されることで、ヒューズブロック40が構成されている。明細書で下層とは回路基板2に近い側を言う。
【0054】
バスバーブロック4の上層(第六層)の各バスバー19はリブ37の低い突出部分37aに当接されて、バスバーブロック4と一体で支持され、リブ37の高い突出部分37bと協同でヒューズ挿入時のバスバー19への応力負荷が防止される。低い突出部分37aでバスバー19の板厚方向の曲がり(撓み)が阻止される。また、上層の各バスバー19は低い突出部分37aでインナカバー9の外面(上面)との間に絶縁のための沿面距離を確保される。ヒューズ39の上下一対のタブ端子39aはバスバー19の挟持端子部19aに圧入接続される。端子ブロック3の各層の端子部14aには一〜二段目のヒューズ39’が接続される。
【0055】
図10において、ローグレード用の回路基板組立体12(図2)を用いた場合は、バスバーブロック4がないので、バスバーブロック4の位置が空間となる。ヒューズホルダ3はロー・ハイで共通使用される。図11において、左右両側のヒューズ41は箱状のヒュージブルリンクであり、端子14の挟持端子部14aではなくタブ端子部に接続される。符号42は端子ブロック3ないしヒューズホルダ6に続く電源入力コネクタである。
【0056】
図12〜図13は、ハイグレード用のバスバーブロック4(図10)を組み付けないローグレード仕様のヒューズブロックを示すものであり、端子ブロック3のブロック本体(ホルダ)13の垂直な後壁面には左端側において突条(リブ)43が設けられ、インナカバー9に、突条43を当接させるリブ44が、前記バスバーブロック当接用のリブ37(図10)から離間して設けられている。リブ44はL字状に屈曲してインナカバー8の膨出部33の側壁36側に続いている。また、ヒューズホルダ6と一体のコネクタ42のハウジング後端面42aを当接させるリブ45がインナカバー9の右端側に設けられている。
【0057】
これらのリブ(少なくともリブ44)に端子ブロック本体13が当接することで、ローグレード仕様においても、ヒューズ挿入がリブ44で受け止められて、端子ブロック3の後方への傾きやそれに伴う端子14と回路基板2とのハンダ接続部への過大な応力の負荷が防止され、ハンダ接続部の品質が維持される。
【0058】
図12において、端子ブロック本体13には高さ方向の複数の溝部46や貫通孔47が前後方向に多層(本例で四層)に且つ左右方向に並列に設けられており、各溝部46と貫通孔47とに各端子14の垂直部が挿通保持され、溝部46や貫通孔47の背面に端子14の垂直部の背面が当接することで、ヒューズ39’の挿入力を受けるようになっている。従って、上記のようにブロック本体13をリブ44で受けることで、ヒューズ39’の挿入力を受けることができる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、インナカバー9のピン28のねじ孔29にビス(ねじ部材)31を螺合させて回路基板2を固定したが、ピン28の先端に雄ねじを突設し、ビス31に代えてナット(ねじ部材)で回路基板2を固定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係るジャンクションブロックは、回路基板やカバーへのヒューズ接続用のブロックの組付性を高め、それに加えて、ヒューズの挿入時におけるバスバーや端子の基板接続部への悪影響を防ぐために利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ジャンクションブロック
2 回路基板
3 端子ブロック
4 バスバーブロック(接続用ブロック)
9 インナカバー(カバー)
13 ブロック本体
14 端子
14a,19a 挟持端子部(端子部)
18 ブロック本体
19 バスバー
19d 垂直部(屈曲部分)
27 孔部
28 ピン
31 ビス(ねじ部材)
30 小孔
37 リブ
37a 低い突出部分
37b 高い突出部分
39,39’ ヒューズ
44 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の回路基板と、
前記回路基板の回路にハンダ接続される一方の端子部と、ヒューズに接続される他方の端子部とを有する複数のバスバーと、該複数のバスバーを配設した状態で前記回路基板の上側に搭載される絶縁性のブロック本体とで構成される接続用ブロックと、
前記接続用ブロックの上側から前記回路基板を覆うカバーと、前記接続用ブロックの前記他方の端子部に接続される複数の前記ヒューズと、を備え、
前記ブロック本体に孔部が設けられ、該孔部に挿通係合するピンが前記カバーに設けられ、該ピンにねじ部材を螺合するための小孔が前記回路基板に設けられたことを特徴とするジャンクションブロック。
【請求項2】
前記接続用ブロックのバスバーの屈曲部分の背面を当接させるリブが前記カバーに設けられ、該リブが前記ヒューズの挿入力を受けることを特徴とする請求項1記載のジャンクションブロック。
【請求項3】
前記リブが低い突出部分と高い突出部分とで段差状に形成され、該低い突出部分が前記バスバーを支持し、該高い突出部分が前記屈曲部分の背面に当接することを特徴とする請求項2記載のジャンクションブロック。
【請求項4】
前記回路基板の回路にハンダ接続される一方の端子部と、ヒューズに接続される他方の端子部とを有する複数の端子が端子ブロックのブロック本体に挿通保持され、該端子ブロックが前記接続用ブロックと重ねて配置され、該端子ブロックのブロック本体の背面を当接させるリブが前記カバーに設けられ、該リブが前記ヒューズの挿入力を受けることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のジャンクションブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−85472(P2013−85472A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6181(P2013−6181)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2007−329989(P2007−329989)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】