説明

ジンバル駆動装置

【課題】本発明は、保持体及び第1枠体の外面にディンプルを形成することによって空気抵抗を低減させると共に、保持体及び第1枠体の回動時のモータの駆動電流を抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明によるジンバル駆動装置は、支持台(4)に回動自在に設けられた保持体(17)と、この保持体(17)の内側に設けられピッチ方向(B)に沿って回動自在とした第1枠体(20)と、前記第1枠体(20)内に設けられた1個又は複数のカメラ(2,28)とを備え、前記保持体(17)及び第1枠体(20)の外面(17a,20a)にはディンプル(40)が形成されている構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジンバル駆動装置に関し、特に、保持体及び第1枠体の外面にディンプルを形成することによって、空気抵抗を低減させると共に、保持体及び第1枠体の回動時のモータの駆動電流を抑制するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のジンバル駆動装置としては、例えば、特許文献1及び特許文献2の構成があるが、特許文献1の従来例及び特許文献2の構成を第1従来例として図3に示し、特許文献1の図1の構成を第2従来例として図4に示している。
図3において符号1で示されるものは、ヘリコプタ、飛行機等の移動体1Aの下部等に塔載された空間安定装置であり、この空間安定装置1の支持台4は支持片4aを介して移動体1Aに固定されている。尚、移動体1Aに取付ける空間安定装置1の姿勢は、上向きと下向きの両方がある。
【0003】
前記支持台4には、保持体17が図示しないモータを介して回動自在に設けられており、この保持体17の内側には、カメラ28及び29を有する第1枠体20が、前記保持体17の回動方向に対して直交する方向に回動するように設けられている。
従って、移動体1Aの移動中に保持体17及び第1枠体20を回動させることにより、カメラ28及び29によるターゲットの捕捉等を行うことができる。
【0004】
また、図4の第2従来例においては、空間安定装置1の構成は図4と同一であるため、同一部分には同一符号を付してその説明は省略しているが、図4の構成と異なる部分は、保持体17及び第1枠体20の外面に多数の突起30が設けられていることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−333554
【特許文献2】特開2008−145166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のジンバル駆動装置は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図3の第1従来構成においては、保持体17及び第1枠体20の外面が曲面のみで形成されていたため、移動体が高速移動した場合、空気の流れが円滑でないため、風圧加重が大きくなり、この大きい風圧加重下で保持体17及び第1枠体20を回動させるためには、通常よりも大きいトルクで回動しなければならず、そのためには、より大型で強大なトルクを有するモータを用いることになるため、空間安定装置自体の形状寸法が大きくならざるを得ないことになっていた。
【0007】
また、図4の第2従来構成においては、空間安定装置自体の空間抵抗を小さくするために、保持体17及び第1枠体20の外面に多数の突起30を取付け、この突起30によって気流の渦を生じさせ、気流の剥離を遅らせて圧力を高め、空気抵抗を低減させることができるが、空間安定装置の振動の減少には効果的であるが、空気抵抗を低減させるためには十分な効果を得ることができず、保持体17及び第1枠体20の回動を行うためのモータの小型化を達成するには十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるジンバル駆動装置は、支持台にヨー方向に沿って往復回動自在に設けられた保持体と、前記保持体の内側に設けられピッチ方向に沿って回動自在とした第1枠体と、前記第1枠体内に設けられ固定又は回動自在に設けられた1個又は複数のカメラと、を少なくとも備えたジンバル駆動装置において、前記保持体及び第1枠体の外面には、多数のディンプルが形成されている構成であり、また、前記外面には突起が形成されている構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるジンバル駆動装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、保持体及び第1枠体の外面に多数のディンプルが形成されているため、移動体と共に高速移動した場合、この保持体及び第1枠体を通過する空気が流れやすくなり、風圧加重を減らすことによって保持体及び第1枠体の回動が容易となる。
そのため、保持体及び第1枠体を回動させるためのモータ及びトルカは小型のもので済むことになり、ジンバル駆動装置の小型化に大きく寄与することができることになっていた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるジンバル駆動装置を示す外観図である。
【図2】図1の内部構成を示すための断面を模式的に示すための断面図である。
【図3】従来のジンバル駆動装置の第1従来例を示す構成図である。
【図4】従来のジンバル駆動装置の第2従来例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、保持体及び第1枠体の外面にディンプルを形成することによって、空気抵抗を低減させると共に、保持体及び第1枠体の回動時のモータの駆動電流を抑制するようにしたジンバル駆動装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明によるジンバル駆動装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において符号1で示されるものは空間安定装置であり、この空間安定装置1の支持台4は複数の支持片4aを介して移動体1Aの上部又は下部に取付けることができるように構成されている。
【0013】
前記支持台4上には、アウタヨー用のモータ3(図2)を介して全体形状がU字型をなす保持体17が左右回動自在に設けられている。
前記保持体17の内側には、第1支軸9A(図2)を介して前記保持体17のヨー方向Aとは90度異なるピッチ方向Bに沿って図示しないモータを介して回動するように第1枠体20が設けられている。
【0014】
図2は、図1の空間安定装置1の内部構造を示す断面図であり、前記第1枠体20の内側には、インナヨー用のトルカ22及び第2支軸21を介して第2枠体23がヨー方向Aに沿って回動自在に設けられ、この第2枠体23の内側には、インナピッチ用のトルカ25及び第3支軸24を介して第3枠体26が回動自在に設けられている。
【0015】
前記第3枠体26の内壁26aには、カメラ2,28及びレーザ測距装置29が設けられており、各カメラ2,28は、個別に回動することができるように構成されている。
前記保持体17及び第1枠体20の外面17a,20aには、多数のディンプル40が形成されており、この各ディンプル40は、丸形凹部で形成され、周知のゴルフボールと同様の外面が形成されている。
また、さらに、前記各外面17a,20aには、従来から周知の突起30が設けられている。
【0016】
前述の構成において、図1の空間安定装置1を移動体1Aの上部又は下部に取付けた状態で、移動体1Aが高速で飛翔すると、空間安定装置1の保持体17及び第1枠体20の外面17a,20aには風圧加重がかかるが、前述の多数のディンプル40によって空気が流れやすくなって空気抵抗が小さくなり、各モータが小型のものに変更しても十分に保持体17と第1枠体20を回動させることができる。
尚、前述の場合、前記保持体17の外面に前記突起30が形成されているため、前述の高速移動状況下において、さらに空気抵抗が低減され、前記保持体17及び第1枠体20を回動させるためのモータ3及びトルカ22の駆動が容易となり、より小型のモータ3及びトルカ22でも機能を達成することができ、空間安定装置1の小型化に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によるジンバル駆動装置は、空間安定装置だけではなく、高速で移動する船舶等のカバー体等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 空間安定装置
1A 移動体
2 カメラ
3 モータ
4 支持台
4a 支持片
9A 第1支軸
17 保持体
20 第1枠体
17a,20a 外面
21 第2支軸
22 トルカ(インナヨー用)
23 第2枠体
24 第3支軸
25 トルカ(インナピッチ用)
26 第3枠体
26a 内壁
28 カメラ(赤外線カメラ)
29 レーザ測距装置
30 突起
40 ディンプル
A ヨー方向
B ピッチ方向
C ロール方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台(4)にヨー方向(A)に沿って往復回動自在に設けられた保持体(17)と、前記保持体(17)の内側に設けられピッチ方向(B)に沿って回動自在とした第1枠体(20)と、前記第1枠体(20)内に設けられ固定又は回動自在に設けられた1個又は複数のカメラ(2,28)と、を少なくとも備えたジンバル駆動装置において、
前記保持体(17)及び第1枠体(20)の外面(17a,20a)には、多数のディンプル(40)が形成されていることを特徴とするジンバル駆動装置。
【請求項2】
前記外面(20a)には突起(30)が形成されていることを特徴とする請求項1記載のジンバル駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−103030(P2012−103030A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249525(P2010−249525)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】