説明

スイッチングハブ接続段数検出方法および装置

【課題】特別な機能を有するスイッチングハブで統一しなくても、通信経路上に接続されているスイッチングハブの接続段数を容易に検出する。
【解決手段】スイッチングハブ接続段数検出装置10と相手装置20との間で、メッセージを往復させることにより、所要時間計時部13で、スイッチングハブ接続段数検出装置10におけるメッセージの送信から受信までの所要時間TAを計時し、通信遅延時間計算部14で、相手装置20でのメッセージの送信から受信までに要するメッセージ返信処理時間TBを、所要時間TAから減算することにより、通信経路Lに関する通信遅延時間TDを計算し、接続段数特定部15で、この通信遅延時間TDとスイッチングハブH1〜Hnにおけるメッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間THとを比較することにより、通信経路Lを構成するスイッチングハブH1〜Hnの接続段数nを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御技術に関し、特にノード間を結ぶ通信経路上に接続されているスイッチングハブの接続段数を検出するスイッチングハブ接続段数検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル設備やプラント設備を監視制御する監視制御システムでは、情報収集機能や制御機能などの各種機能を有する通信機器をノードとして、Ethernet(登録商標)などの通信ネットワークを介して接続し、これらノードからの情報に基づき中央監視装置で個々の設備を監視制御するものとなっている。このような監視制御システムでは、多くのノードを通信ネットワークに接続するため、複数のスイッチングハブを多段接続した通信ネットワークを計装する。
【0003】
このような多くのノードが接続された通信ネットワークでは、ネットワーク構成の変更やメンテナンスなどに際し、通信ネットワークの構成を確認するため、任意のノード間を結ぶ通信経路上にいくつのスイッチングハブが接続されているのか、すなわち、スイッチングハブ接続段数を効率よく検出する手段が必要となる。IPアドレスを持つ通信を行うことが可能なパソコンやノード機器については、容易に確認することは可能であるが、安価なノンインテリジェントスイッチングハブについては、容易に確認することができない。
【0004】
従来、通信ネットワークを構成するハブの接続構成を認識する技術として、上位のハブから下位のハブに対して、周波数分周を利用して接続段数を確認するための段数信号を順次送信し、下位のハブから上位のハブに対して、下位のハブと自己との接続段数を通知する構成認識信号を順次送信する機能を、すべてのハブに搭載することにより、ハブの接続構成を認識するものが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−084158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来技術では、通信ネットワークを構成するスイッチングハブとして、特定の段数信号や構成認識信号を他のスイッチングハブとの間で送受信する特別な機能を有するものを用いる必要がある。したがって、このような機能を持たない、安価なノンインテリジェントスイッチングハブを利用した通信ネットワークについては、スイッチングハブの接続構成を検出することができず、通信ネットワークを計装する際、予め、このような特別な機能を有するスイッチングハブで統一する必要がある。このため、各種のスイッチングハブを用いる、ビル計装やフィールド計装などの通信ネットワークには、適用が難しいという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、特別な機能を有するスイッチングハブで統一しなくても、通信経路上に接続されているスイッチングハブの接続段数を容易に検出できるスイッチングハブ接続段数検出技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかるスイッチングハブ接続段数検出方法は、複数のスイッチングハブが多段接続されてなる通信経路の一端に接続された第1の端末と、当該通信経路の他端に接続された第2の端末との間で、メッセージを往復させることにより、第1の端末におけるメッセージの送信から受信までの所要時間を計時する所要時間計時ステップと、第2の端末でのメッセージの受信から返信までに要するメッセージ返信処理時間を、所要時間から減算することにより、通信経路に関する通信遅延時間を計算する通信遅延時間計算ステップと、通信遅延時間とスイッチングハブにおけるメッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間とを比較することにより、通信経路を構成するスイッチングハブの接続段数を特定する接続段数特定ステップとを備えている。
【0009】
この際、所要時間計時ステップで、メッセージの往復を複数回実行することにより、複数の所要時間を計時し、通信遅延時間計算ステップで、所要時間ごとに計算した通信遅延時間のうちから最小の通信遅延時間を選択し、接続段数特定ステップで、通信遅延時間に基づいて、スイッチングハブ接続段数を特定するようにしてもよい。
【0010】
また、接続段数特定ステップで、メッセージ返信処理時間をメッセージの長さに基づいて補正し、補正後のメッセージ返信処理時間に基づいて、スイッチングハブの接続段数を特定するようにしてもよい。
【0011】
また、接続段数特定ステップで、予め設定されている通信遅延時間の範囲とスイッチングハブ接続段数との対応関係に基づいて、通信遅延時間に対応するスイッチングハブの接続段数を特定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置は、複数のスイッチングハブが多段接続されてなる通信経路の一端に接続されて、当該通信経路の他端に接続された相手装置までの間に接続されているスイッチングハブの接続段数を検出するスイッチングハブ接続段数検出装置であって、相手装置との間でメッセージを往復させることにより、当該メッセージの送信から受信までの所要時間を計時する所要時間計時部と、相手装置でのメッセージの受信から返信までに要するメッセージ返信処理時間を、所要時間から減算することにより、通信経路に関する通信遅延時間を計算する通信遅延時間計算部と、通信遅延時間とスイッチングハブにおけるメッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間とを比較することにより、通信経路を構成するスイッチングハブの接続段数を特定する接続段数特定部とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特別な機能を有するスイッチングハブで統一しなくても、計測により得られるメッセージの往復所要時間に基づいて、通信経路上に接続されているスイッチングハブの接続段数を容易に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】スイッチングハブ接続段数特定方法を示す説明図である。
【図3】通信遅延時間とスイッチングハブ接続段数の関係を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
このスイッチングハブ接続段数検出装置10は、複数のスイッチングハブH1〜Hn(nは2以上の整数)が多段接続されてなる通信経路Lの一端に接続されて、通信経路Lの他端に接続された相手装置20までの間に接続されているスイッチングハブH1〜Hnの接続段数を検出する装置である。
【0017】
本実施の形態は、スイッチングハブ接続段数検出装置(第1の端末)10と、相手装置(第2の端末)20との間で、メッセージを往復させることにより、スイッチングハブ接続段数検出装置10におけるメッセージの送信から受信までの所要時間を計時し、相手装置20でのメッセージの送信から受信までに要するメッセージ返信処理時間を、所要時間から減算することにより、通信経路Lに関する通信遅延時間を計算し、この通信遅延時間とスイッチングハブH1〜Hnにおけるメッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間とを比較することにより、通信経路Lを構成するスイッチングハブH1〜Hnの接続段数を特定するようにしたものである。
【0018】
スイッチングハブ接続段数検出装置10には、主な機能部として、通信I/F部11、記憶部12、所要時間計時部13、通信遅延時間計算部14、および接続段数特定部15が設けられている。
【0019】
通信I/F部11は、一般的なデータ通信回路からなり、通信経路Lを介して接続された相手装置20などの端末装置との間でメッセージを送受信する機能を有している。
記憶部12は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、各機能部で処理する処理データを記憶する機能を有している。
【0020】
所要時間計時部13は、スイッチングハブ接続段数検出装置10と相手装置20との間で、通信I/F部11を介してメッセージを往復させることにより、スイッチングハブ接続段数検出装置10におけるメッセージの送信から受信までの所要時間を計時する機能を有している。メッセージの送受信時刻については、例えばCPUに設けられたタイマを利用すればよい。
【0021】
通信遅延時間計算部14は、相手装置20でのメッセージの送信から受信までに要するメッセージ返信処理時間を、所要時間計時部13で計時した所要時間から減算することにより、通信経路Lに関する通信遅延時間を計算する機能を有している。
【0022】
接続段数特定部15は、通信遅延時間計算部14で計算した通信遅延時間とスイッチングハブH1〜Hnにおけるメッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間とを比較することにより、通信経路を構成するスイッチングハブの接続段数を特定する機能を有している。
【0023】
また、相手装置20には、主な機能として、通信I/F部21とメッセージ返信部22とが設けられている。
通信I/F部21は、一般的なデータ通信回路からなり、通信経路Lを介して接続されたスイッチングハブ接続段数検出装置10などの端末装置との間でメッセージを送受信する機能を有している。
メッセージ返信部22は、通信I/F部21で受信したスイッチングハブ接続段数検出装置10からのメッセージを返信する機能を有している。
【0024】
[スイッチングハブ接続段数特定方法]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数の特定方法について説明する。図2は、スイッチングハブ接続段数特定方法を示す説明図である。
時刻T1にスイッチングハブ接続段数検出装置10からリクエストメッセージを送信した場合、最初のスイッチングハブH1でリクエストメッセージの転送処理が実行される。この際、スイッチングハブH1におけるメッセージの転送処理には、メッセージの長さ、すなわちデータ量に応じた分だけ、メッセージ転送処理時間THが発生する。例えば100baseTの通信経路で、メッセージが1500バイトの場合、一般的なスイッチングハブでは120.96[μsec]のメッセージ転送処理時間THが発生する。
【0025】
したがって、リクエストメッセージには、スイッチングハブH1においてメッセージ転送処理時間THだけ遅延が生じる。このメッセージ転送処理時間THは、各スイッチングハブH1〜Hnでほぼ共通している。このため、n個のスイッチングハブH1〜Hnが多段接続されている場合、これらスイッチングハブH1〜Hnでの遅延は、TH×nとなる。
【0026】
一方、リクエストメッセージの受信に応じて、相手装置20からレスポンスメッセージを返信する際、メッセージ返信処理にも、メッセージ返信処理時間TBが発生する。
さらに、このレスポンスメッセージに対して、リクエストメッセージと同様に、スイッチングハブH1〜Hnのメッセージ転送処理に応じた分だけ、TH×nの遅延が発生する。
【0027】
したがって、時刻T2において、スイッチングハブ接続段数検出装置10でレスポンスメッセージを受信した場合、時刻T1から時刻T2までのメッセージの往復に要した所要時間をTA(=T2−T1)とすると、スイッチングハブH1〜Hnでの通信遅延時間TDは、TD=TA−TB≒2×TH×nとなる。
【0028】
ここで、前述したように、100baseTの通信経路で、メッセージが1500バイトの場合、2×THは、2×120.96[μsec]=241.92[μsec]となる。また、メッセージ返信処理時間TBは、ほぼ一定であり、予め計時しおくことができる。また、通信ケーブルでの遅延時間は極めて小さく無視できる程度ある。
このため、通信遅延時間TDに基づいて、スイッチングハブH1〜Hnの接続段数nを特定することができる。
【0029】
図3は、通信遅延時間とスイッチングハブ接続段数の関係を示す説明図である。
前述したように、1つのスイッチングハブでのメッセージ転送処理時間THは、100baseTの通信経路で、メッセージが1500バイトの場合、120.96[μsec]である。このため、通信経路L上にスイッチングハブが1つ増えるごとに、通信遅延時間TDは、2×THずつ増加することになる。
【0030】
このため、図3に示すように、2×THをしきい値とする通信遅延時間TDの範囲に対して、スイッチングハブの接続段数を対応させることができる。
例えば、通信遅延時間TDが241.92(=2×TH)[μsec]未満の範囲では、スイッチングハブ接続段数n=0となり、241.92[μsec]以上で483.84[μsec]未満の範囲では、スイッチングハブ接続段数n=1となり、483.84[μsec]以上で725.76[μsec]未満の範囲では、スイッチングハブ接続段数n=2となる。
【0031】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置10の動作について説明する。図4は、第1の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出処理を示すフローチャートである。
【0032】
まず、スイッチングハブ接続段数検出装置10の所要時間計時部13は、通信I/F部11から通信経路Lへ、リクエストメッセージを送信し(ステップ100)、これに応じて相手装置20から返信されたレスポンスメッセージを受信待機する(ステップ101)。
ここで、レスポンスメッセージを受信した場合(ステップ101:YES)、所要時間計時部13は、リクエストメッセージを送信した時刻T1と、レスポンスメッセージを受信した時刻T2とから、所要時間TA(=T2−T1)を計算する(ステップ102)。
【0033】
続いて、通信遅延時間計算部14は、所要時間TAから、予め記憶部12に設定されている相手装置20でのメッセージ返信処理時間TBを減算することにより、スイッチングハブH1〜Hnでの通信遅延時間TD(=TA−TB)を計算する(ステップ103)。
この後、接続段数特定部15は、通信遅延時間TDと予め記憶部12に設定されているスイッチングハブでのメッセージ転送処理時間THとを比較することにより、スイッチングハブH1〜Hnの接続段数nを特定し(ステップ104)、一連の処理を終了する。
【0034】
通信遅延時間TDとメッセージ転送処理時間THとを比較する場合、例えば、前述の図3で示した通信遅延時間とスイッチングハブ接続段数の関係を示すテーブルを記憶部12に予め設定しておき、このテーブルを参照して、スイッチングハブ接続段数nを特定してもよい。あるいは、通信遅延時間TDを2×THで除算し、その整数部をスイッチングハブ接続段数nとして特定してもよい。
【0035】
一方、所要時間計時部13は、レスポンスメッセージの受信待機中、リクエストメッセージの受信タイムアウトを監視しており(ステップ105)、リクエストメッセージの送信から規定時間内に、レスポンスメッセージを受信できず、受信タイムアウトとなった場合(ステップ105:YES)、計測エラーと判定して(ステップ106)、一連の処理を終了する。
【0036】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、スイッチングハブ接続段数検出装置10と相手装置20との間で、メッセージを往復させることにより、所要時間計時部13で、スイッチングハブ接続段数検出装置10におけるメッセージの送信から受信までの所要時間TAを計時し、通信遅延時間計算部14で、相手装置20でのメッセージの送信から受信までに要するメッセージ返信処理時間TBを、所要時間TAから減算することにより、通信経路Lに関する通信遅延時間TDを計算し、接続段数特定部15で、この通信遅延時間TDとスイッチングハブH1〜Hnにおけるメッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間THとを比較することにより、通信経路Lを構成するスイッチングハブH1〜Hnの接続段数nを特定している。
【0037】
これにより、特別な機能を有するスイッチングハブで統一しなくても、計測により得られるメッセージの往復所要時間TAに基づいて、通信経路L上に接続されているスイッチングハブの接続段数nを容易に検出することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態では、接続段数特定部15で、予め設定されている通信遅延時間TDの範囲とスイッチングハブ接続段数nとの対応関係に基づいて、通信遅延時間TDに対応するスイッチングハブの接続段数nを特定するようにしたので、テーブルを参照するという極めて簡素な処理でスイッチングハブの接続段数nを特定できる。
【0039】
また、本実施の形態では、所要時間計時部13で、所要時間TAを計時する場合、メッセージの送受信時刻の時刻差T2−T1から所要時間TAを計算する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、リクエストメッセージの送信時にタイマをスタートし、レスポンスメッセージの受信時にタイマをストップさせて、このタイマの計数値から所要時間TAを計算するようにしてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、所要時間計時部13、通信遅延時間計算部14、および接続段数特定部15を、ノードN1とは別個のスイッチングハブ接続段数検出装置10に実装した場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、ノードN1に実装してもよい。
また、本実施の形態では、ノードN2とは別個の相手装置20で、スイッチングハブ接続段数検出装置10からのメッセージを返信する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、ノードN2にメッセージ返信部22を実装してもよい。
【0041】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置10について説明する。本実施の形態では、所要時間計時部13で、メッセージの往復を複数回実行することにより、複数の所要時間TAを計時し、通信遅延時間計算部14で、これら所要時間TAの通信遅延時間TDをそれぞれ求め、これら通信遅延時間TDのうちから選択した最小通信遅延時間TDminに基づいて、接続段数特定部15で、スイッチングハブ接続段数nを特定するようにしたものである。
【0042】
通信遅延時間TDは、各スイッチングハブの動作状態により、僅かではあるが変動する。この変動は、スイッチングハブでのメッセージ転送処理が遅れる方向へ変動し、早まる方向へは変動しない。このため、通信遅延時間TDのうち、最も小さいものを選択すれば、各スイッチングハブにおける変動のない通信遅延時間TDを得ることができる。
【0043】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置10の動作について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出処理を示すフローチャートである。
【0044】
まず、スイッチングハブ接続段数検出装置10の所要時間計時部13は、通信I/F部11から通信経路Lへ、リクエストメッセージを送信し(ステップ200)、これに応じて相手装置20から返信されたレスポンスメッセージを受信待機する(ステップ201)。
ここで、レスポンスメッセージを受信した場合(ステップ201:YES)、所要時間計時部13は、リクエストメッセージを送信した時刻T1と、レスポンスメッセージを受信した時刻T2とから、所要時間TA(=T2−T1)を計算する(ステップ202)。
【0045】
続いて、通信遅延時間計算部14は、所要時間TAから、予め記憶部12に設定されている相手装置20でのメッセージ返信処理時間TBを減算することにより、スイッチングハブH1〜Hnでの通信遅延時間TD(=TA−TB)を計算する(ステップ203)。
一方、所要時間計時部13は、レスポンスメッセージの受信待機中、リクエストメッセージの受信タイムアウトを監視しており(ステップ204)、リクエストメッセージの送信から規定時間内に、レスポンスメッセージを受信できず、受信タイムアウトとなった場合(ステップ204:YES)、通信遅延時間計算部14は、通信遅延時間TDとして予め設定されている最大値を設定する(ステップ205)。
【0046】
続いて、通信遅延時間計算部14は、得られた通信遅延時間TDと、記憶部12に保持している通信遅延時間TDの最小値TDminとを比較し(ステップ206)、通信遅延時間TDが最小値TDminより小さい場合(ステップ206:YES)、通信遅延時間TDで最小値TDminを更新する(ステップ207)。
【0047】
この後、通信遅延時間計算部14は、通信遅延時間を規定回数だけ繰り替えし計算したか確認し(ステップ208)、規定回数に達していない場合には(ステップ208:NO)、ステップ200へ戻る。
一方、規定回数に達している場合(ステップ208:YES)、接続段数特定部15は、通信遅延時間TDと予め記憶部12に設定されているスイッチングハブでのメッセージ転送処理時間THとを比較することにより、スイッチングハブH1〜Hnの接続段数nを特定し(ステップ209)、一連の処理を終了する。
【0048】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、所要時間計時部13で、メッセージの往復を複数回実行することにより、複数の所要時間TAを計時し、通信遅延時間計算部14で、所要時間TAごとに計算した通信遅延時間TDのうちから最小の通信遅延時間TDminを選択し、接続段数特定部15で、最小通信遅延時間TDminに基づいてスイッチングハブ接続段数nを特定するようにしたので、極めて誤差の少ない通信遅延時間TDminを計算することができ、より正確にスイッチングハブ接続段数nを特定することが可能となる。
【0049】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態にかかるスイッチングハブ接続段数検出装置10について説明する。本実施の形態では、接続段数特定部15で、メッセージ転送処理時間THをメッセージの長さに基づいて補正し、補正後のメッセージ転送処理時間TH’に基づいて、スイッチングハブの接続段数を特定するようにしたものである。
【0050】
スイッチングハブにおけるメッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間THは、メッセージの長さ、すなわちデータ量に応じて変化する。したがって、予めメッセージ長とメッセージ転送処理時間THとの対応関係を実測あるいは計算により、例えば1500バイト長などの規定メッセージ長に対する補正値を導出して記憶部12へ設定しておき、通信遅延時間計算部14で、この対応関係に基づいて、メッセージの長さに対応した補正値で補正したメッセージ転送処理時間TH’を用いてスイッチングハブの接続段数を特定する。
【0051】
この場合、リクエストメッセージとレスポンスメッセージとの長さが異なる場合には、それぞれメッセージ長に応じて、片道分のメッセージ転送処理時間THを補正し、これらメッセージ転送処理時間THの合計を、スイッチングハブ接続段数を特定する際のしきい値として用いればよい。
【0052】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、接続段数特定ステップは、メッセージ返信処理時間をメッセージの長さに基づいて補正し、補正後のメッセージ返信処理時間に基づいて、スイッチングハブの接続段数を特定するようにしたので、極めて正確にスイッチングハブの接続段数を特定することができる。
【0053】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
10…スイッチングハブ接続段数検出装置、11…通信I/F部、12…記憶部、13…所要時間計時部、14…通信遅延時間計算部、15…接続段数特定部、20…相手装置、H1〜Hn…スイッチングハブ、N1,N2…ノード、L…通信経路、TA…所要時間、TB…メッセージ返信処理時間、TD…通信遅延時間、TH…メッセージ転送処理時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチングハブが多段接続されてなる通信経路の一端に接続された第1の端末と、当該通信経路の他端に接続された第2の端末との間で、メッセージを往復させることにより、前記第1の端末における前記メッセージの送信から受信までの所要時間を計時する所要時間計時ステップと、
前記第2の端末での前記メッセージの受信から返信までに要するメッセージ返信処理時間を、前記所要時間から減算することにより、前記通信経路に関する通信遅延時間を計算する通信遅延時間計算ステップと、
前記通信遅延時間と前記スイッチングハブにおける前記メッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間とを比較することにより、前記通信経路を構成する前記スイッチングハブの接続段数を特定する接続段数特定ステップと
を備えることを特徴とするスイッチングハブ接続段数検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチングハブ段数検出方法において、
前記所要時間計時ステップは、前記メッセージの往復を複数回実行することにより、複数の所要時間を計時し、
前記通信遅延時間計算ステップは、前記所要時間ごとに計算した通信遅延時間のうちから最小の通信遅延時間を選択し、
前記接続段数特定ステップは、前記通信遅延時間に基づいて、前記スイッチングハブ接続段数を特定する
ことを特徴とするスイッチングハブ接続段数検出方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスイッチングハブ段数検出方法において、
前記接続段数特定ステップは、前記メッセージ返信処理時間を前記メッセージの長さに基づいて補正し、補正後のメッセージ返信処理時間に基づいて、前記スイッチングハブの接続段数を特定することを特徴とするスイッチングハブ接続段数検出方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のスイッチングハブ段数検出方法において、
前記接続段数特定ステップは、予め設定されている通信遅延時間の範囲とスイッチングハブ接続段数との対応関係に基づいて、前記通信遅延時間に対応する前記スイッチングハブの接続段数を特定することを特徴とするスイッチングハブ接続段数検出方法。
【請求項5】
複数のスイッチングハブが多段接続されてなる通信経路の一端に接続されて、当該通信経路の他端に接続された相手装置までの間に接続されている前記スイッチングハブの接続段数を検出するスイッチングハブ接続段数検出装置であって、
前記相手装置との間でメッセージを往復させることにより、当該メッセージの送信から受信までの所要時間を計時する所要時間計時部と、
前記相手装置での前記メッセージの受信から返信までに要するメッセージ返信処理時間を、前記所要時間から減算することにより、前記通信経路に関する通信遅延時間を計算する通信遅延時間計算部と、
前記通信遅延時間と前記スイッチングハブにおける前記メッセージの転送に要するメッセージ転送処理時間とを比較することにより、前記通信経路を構成する前記スイッチングハブの接続段数を特定する接続段数特定部と
を備えることを特徴とするスイッチングハブ接続段数検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−21631(P2013−21631A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155459(P2011−155459)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】