説明

スイッチ装置

【課題】主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置に関し、簡易な構成で、安価に小音化を図ることが可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】操作体12の左端下方に消音用のプッシュスイッチ14を設けると共に、操作体12の左端下面に、係止部12Aがケース11の保持部11Bに当接する前に、消音用のプッシュスイッチ14を押圧する突起部12Cを設けることによって、操作体12を揺動操作して指を離した際、保持部11Bに係止部12Aが当接する前に、突起部12Cが消音用のプッシュスイッチ14を押圧することで、保持部11Bへの係止部12Aの衝突が緩和され、衝突音の発生を防ぐことができるため、簡易な構成で、安価に小音化が可能なスイッチ装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車の車室内の各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車内のステアリングホイールやフロントパネルに様々な操作方式のスイッチ装置を装着し、これによって車室内の音響機器や空調機器等の各種電子機器の操作を行うものが増えている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置について、図6〜図8を用いて説明する。
【0004】
図6は従来のスイッチ装置の断面図、図7は同分解斜視図であり、同図において、1は下面開口で絶縁樹脂製のケースで、上面には開口部1Aが形成されると共に、この開口部1Aの左端には上方へ延出する保持部1Bが設けられている。
【0005】
そして、2は絶縁樹脂製の操作体で、ケース1の開口部1A内に中間部を支点として揺動可能に装着されると共に、操作体2左端下面の下方へ延出して形成された係止部2Aが、ケース1の保持部1B上面に当接している。
【0006】
また、3は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板、4は自動復帰式の操作用のプッシュスイッチで、配線基板3上面の操作体2右端下方にプッシュスイッチ4が実装装着されると共に、プッシュスイッチ4の筐体4A内には皿ばね等によってスイッチ接点(図示せず)が形成され、これらによって上方へ付勢された押釦4Bが、筐体4A上面から上方へ突出している。
【0007】
さらに、5は絶縁樹脂製の押ピン、6は同じくカバーで、押ピン5下面がプッシュスイッチ4の押釦4B上面に、上面が操作体2右端下面の下方へ延出した突出部2Bに各々当接して、操作体2が中立位置に保持されると共に、ケース1下面をカバー6が覆って、スイッチ装置が構成されている。
【0008】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、操作体2上面を手前にして、車室内のステアリングホイールのスポーク(図示せず)に取付けられて、自動車に装着されると共に、操作用のプッシュスイッチ4が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0009】
以上の構成において、ステアリングホイールを握りながら親指を伸ばし、操作体2右端上面を押圧操作すると、図8の断面図に示すように、操作体2が中間部を支点として右方向へ揺動し、右端下面の突出部2Bに押圧された押ピン5が下方へ移動して押釦4Bを押圧し、プッシュスイッチ4のスイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0010】
そして、このプッシュスイッチ4の電気的接離を車両の電子回路が検出し、これに応じて電子回路が、自動車に搭載された様々な機器の制御を行い、例えば、CDプレーヤ等の音響機器の音量や、エアコン等の空調機器の温度の増減が行われる。
【0011】
また、操作体2右端上面から指を離すと、押釦4Bが上方へ自動復帰して押ピン5を押し上げ、操作体2が左方向へ揺動して、左端下面の係止部2Aがケース1の保持部1Bに当接した、図6の中立位置に復帰する。
【0012】
つまり、ステアリングホイールにスイッチ装置を装着し、ステアリングホイールから手を離すことなく、例えば親指のみを伸ばして操作体2を揺動操作して、車両内の様々な機器を制御することで、特に運転中の機器の操作を容易に行えるように構成されている。
【0013】
なお、上記のように操作体2右端上面を押圧操作して指を離す際、特に弾くように急激に指を離した場合、押ピン5を介して押釦4Bに押圧された操作体2が左方向へ揺動し、左端下面の係止部2Aがケース1の保持部1Bに衝突して、衝突音が生じる場合がある。
【0014】
そして、この衝突音は、ケース1や操作体2の形状や材料、操作体2の揺動量やプッシュスイッチ4の操作力等によっても異なるが、85〜92dB前後の割と大きな音となり、耳障りなものとなってしまうため、別途ゴム等のダンパー部材を設け、これによってケース1と操作体2の衝撃を緩和して、小音化を図ることが一般に行われているものであった。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−43524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置においては、操作体2を揺動操作して指を離す際、係止部2Aがケース1の保持部1Bに衝突して、衝突音が発生する場合があり、この対策としてダンパー部材等を設ける必要があるため、構成が複雑になると共に、製作にも手間が掛かり、安価に小音化を図ることが困難であるという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で、安価に小音化を図ることが可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、操作体の左端下方に消音用のプッシュスイッチを設けると共に、操作体の左端下面に、ケースの保持部に係止部が当接する前に、消音用のプッシュスイッチを押圧する突起部を設けてスイッチ装置を構成したものであり、操作体を揺動操作して指を離した際、保持部に係止部が当接する前に、突起部が消音用のプッシュスイッチを押圧することで、保持部への係止部の衝突が緩和され、衝突音の発生を防ぐことができるため、簡易な構成で、安価に小音化が可能なスイッチ装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、安価に小音化を図ることが可能なスイッチ装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同断面図
【図4】同断面図
【図5】同断面図
【図6】従来のスイッチ装置の断面図
【図7】同分解斜視図
【図8】同断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0023】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0024】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は下面開口でポリカーボネートやABS等の絶縁樹脂製のケースで、上面には開口部11Aが形成されると共に、この開口部11Aの左端には上方へ延出する保持部11Bが設けられている。
【0025】
そして、12はポリカーボネートやABS等の絶縁樹脂製の操作体で、ケース11の開口部11A内に中間部を支点として揺動可能に装着されると共に、操作体12左端下面の下方へ延出して形成された係止部12Aが、ケース11の保持部11B上面に当接している。
【0026】
また、3は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板、4は自動復帰式の操作用のプッシュスイッチで、配線基板3の上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、配線基板3上面の操作体12右端下方にプッシュスイッチ4が実装装着されている。
【0027】
なお、この操作用のプッシュスイッチ4の筐体4A内には、皿ばね等によってスイッチ接点(図示せず)が形成され、これらによって上方へ付勢された押釦4Bが、筐体4A上面から上方へ突出している。
【0028】
さらに、14はプッシュスイッチ4と同様の、自動復帰式の消音用のプッシュスイッチで、配線基板3上面の操作体12左端下方に実装装着されると共に、上方へ付勢された押釦14Bが、筐体14A上面から上方へ突出している。
【0029】
そして、5と15はポリオキシメチレンやポリカーボネート等の絶縁樹脂製の押ピンで、押ピン5下面がプッシュスイッチ4の押釦4B上面に、上面が操作体12右端下面の下方へ延出した突出部12Bに各々当接すると共に、押ピン15下面はプッシュスイッチ14の押釦14B上面に、上面は操作体12左端下面の係止部12Aよりやや内方の、下方へ延出形成された突起部12Cに各々当接している。
【0030】
なお、この操作体12の係止部12A下面がケース11の保持部11B上面に当接した状態では、消音用のプッシュスイッチ14の押釦14Bは、押ピン15を介して、突起部12Cにやや下方へ押圧された状態となって、操作体12が中立位置に保持されている。
【0031】
また、6はポリオキシメチレンやポリカーボネート等の絶縁樹脂製のカバーで、このカバー6が配線基板3や操作用のプッシュスイッチ4、消音用のプッシュスイッチ14等を収納したケース11下面を覆って、スイッチ装置が構成されている。
【0032】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、操作体12上面を手前にして、車室内のステアリングホイールのスポーク(図示せず)に取付けられて、自動車に装着されると共に、操作用のプッシュスイッチ4が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0033】
以上の構成において、ステアリングホイールを握りながら親指を伸ばし、操作体12右端上面を押圧操作すると、図3の断面図に示すように、操作体12が中間部を支点として右方向へ揺動し、右端下面の突出部12Bに押圧された押ピン5が下方へ移動して押釦4Bを押圧し、プッシュスイッチ4のスイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0034】
なお、この時、操作体12左端下面の係止部12Aが、ケース11の保持部11Bから離れると共に、突起部12Cも押ピン15上面から離れるため、自動復帰した押釦14Bに押し上げられた押ピン15は、やや上方へ移動した状態となる。
【0035】
そして、この操作用のプッシュスイッチ4の電気的接離を車両の電子回路が検出し、これに応じて電子回路が、自動車に搭載された様々な機器の制御を行い、例えば、CDプレーヤ等の音響機器の音量や、エアコン等の空調機器の温度の増減が行われる。
【0036】
つまり、ステアリングホイールにスイッチ装置を装着し、ステアリングホイールから手を離すことなく、例えば親指のみを伸ばして操作体12を揺動操作して、車両内の様々な機器を制御することで、特に運転中の機器の操作を容易に行えるように構成されている。
【0037】
また、操作体12右端上面から指を離すと、押釦4Bが上方へ自動復帰して押ピン5を押し上げ、操作体12が左方向へ揺動して、図1の中立位置に復帰するが、この時、図4の断面図に示すように、先ず、操作体12左端下面の突起部12Cが押ピン15上面に当接する。
【0038】
そして、この係止部12A下面と保持部11B上面にやや隙間のある状態から、押ピン15がやや下方へ移動して、消音用のプッシュスイッチ14の押釦14Bを押圧した後、係止部12Aがケース11の保持部11Bに当接して、図1の中立位置の状態に復帰する。
【0039】
つまり、操作体12を揺動操作して指を離した際には、操作体12左端下面の係止部12Aが保持部11Bに当接する前に、突起部12Cが押ピン15を介して弾性復帰力のある消音用のプッシュスイッチ14を押圧し、押釦14Bをやや下方へ押圧することで、保持部11Bへの係止部12Aの衝突を緩和し、衝突音を50dB前後の大きさに抑えることができるようになっている。
【0040】
すなわち、操作体12の左端下方に消音用のプッシュスイッチ14を設けると共に、操作体12の左端下面に、係止部12Aが保持部11Bに当接する前に、消音用のプッシュスイッチ14を押圧する突起部12Cを設け、操作体12を揺動操作して指を離した際、突起部12Cが消音用のプッシュスイッチ14を押圧して、あたかもダンパー部材のような作用をすることによって、保持部11Bへの係止部12Aの衝突による衝突音の発生を防ぎ、消音用のプッシュスイッチ14を一つ増やすだけという比較的簡易な構成で、安価に小音化が図れるように構成されている。
【0041】
なお、以上の説明では、突起部12Cを操作体12左端下面の係止部12Aよりやや内方に設けた構成について説明したが、係止部12Aを内方、突起部12Cを外方に各々形成した構成としても、本発明の実施は可能である。
【0042】
また、図5の断面図に示すように、操作体17の右端下面と左端下面の両方に突出部17Aと17Bを設け、操作体17右端上面を揺動操作してプッシュスイッチ4を、左端上面を揺動操作してプッシュスイッチ14を、各々押圧操作するように構成することも容易にできる。
【0043】
つまり、ケース11やプッシュスイッチ4、14等の他の構成部品はそのままで、操作体をやや形状の異なる操作体17に取り替えるだけで、上述したような右端上面のみの操作に加え、右端及び左端上面を押圧操作し、左右両方向へ揺動操作可能なスイッチ装置とすることも可能なようになっている。
【0044】
このように本実施の形態によれば、操作体12の左端下方に消音用のプッシュスイッチ14を設けると共に、操作体12の左端下面に、係止部12Aがケース11の保持部11Bに当接する前に、消音用のプッシュスイッチ14を押圧する突起部12Cを設けることによって、操作体12を揺動操作して指を離した際、保持部11Bに係止部12Aが当接する前に、突起部12Cが消音用のプッシュスイッチ14を押圧することで、保持部11Bへの係止部12Aの衝突が緩和され、衝突音の発生を防ぐことができるため、簡易な構成で、安価に小音化が可能なスイッチ装置を得ることができるものである。
【0045】
なお、以上の説明では、スイッチ接点が形成された筐体4Aや14A上面から押釦4Bや14Bが突出した、単品のプッシュスイッチ4や14を用いた構成について説明したが、配線基板3上面にカーボン等によって固定接点を形成し、この上方に下面に可動接点が形成された略ドーム状の可撓性のゴムシートを載置したもの等、様々なプッシュスイッチを用いても本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によるスイッチ装置は、簡易な構成で、安価に小音化を図ることが可能なものが得られ、主に自動車の各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0047】
3 配線基板
4、14 プッシュスイッチ
4A、14A 筐体
4B、14B 押釦
5、15 押ピン
6 カバー
11 ケース
11A 開口部
11B 保持部
12、17 操作体
12A 係止部
12B、17A、17B 突出部
12C 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の左端に保持部が形成されたケースと、このケースの開口部に中間部を支点として揺動可能に装着され、左端下面に上記保持部に当接する係止部が形成された操作体と、この操作体の右端下方に配置され、操作体下面の突出部に押圧されて電気的接離を行う操作用のプッシュスイッチからなり、上記操作体の左端下方に消音用のプッシュスイッチを設けると共に、上記操作体の左端下面に、上記保持部に上記係止部が当接する前に、上記消音用のプッシュスイッチを押圧する突起部を設けたスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−129339(P2011−129339A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286124(P2009−286124)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】