説明

スイング速度計測装置

【課題】従来のスイング速度計測装置は、打球具に模した器具本体にセンサ装置と表示手段とが取付けられる構成であるので、予め決定された競技のスイング速度しか計測することができず、汎用性に欠けている。
【解決手段】本発明によるスイング速度計測装置は、筒状の本体1に両端が開口された貫通孔2が設けられ、操作部6の操作により計測開始信号6aが処理部4に入力された場合に、貫通孔2に挿通された状態の被計測体のスイング速度が処理部4によって求められて表示部7に表示される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイング速度計測装置に関し、特に、様々な競技用途に対応でき、汎用性を向上できるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種のスイング速度計測装置としては、例えば特許文献1等に示されているスイング速度計測装置を挙げることができる。すなわち従来装置は、グリップ部と本体部とからなる打球具に模した器具本体に、例えば遠心力検出センサや風速検出センサ等からなるセンサ装置と表示手段とが取付けられ、センサ装置によって検出された器具本体のスイング速度が表示手段に表示されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−285206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のスイング速度計測装置では、打球具に模した器具本体にセンサ装置と表示手段とが取付けられる構成であるので、予め決められた競技用途にしか利用できず、汎用性に欠けている。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、様々な競技用途に対応でき、汎用性を向上できるスイング速度計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスイング速度計測装置は、処理部及び慣性センサを有する本体と、前記本体に一体に設けられた装着部と、前記本体の外面に設けられた操作部及び表示部とを備え、前記本体は、前記装着部に被計測体が取付けられることにより前記被計測体とともにスイングされるようになっており、前記処理部は、前記操作部からの計測開始信号を検出した場合に、前記装着部に取付けられた状態の前記被計測体のスイング速度を前記慣性センサからの信号に基づいて求め、求めたスイング速度を前記表示部に表示させる。
また、前記本体は筒状に形成され、前記装着部は前記本体に設けられた両端開口の貫通孔であり、前記被計測体は前記装着部に挿通されるようになっている。
さらに、前記慣性センサは、ジャイロ及び加速度計の少なくとも一方から構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスイング速度計測装置によれば、本体に装着部が一体に設けられ、装着部に取付けられた被計測体のスイング速度を求めるように構成しているので、被計測体に対して取外し可能とすることができ、被計測体を任意に変更できる。これにより、様々な競技用途に対応でき、汎用性を向上できる。
また、本体は筒状に形成され、装着部は本体に設けられた両端開口の貫通孔であり、被計測体は装着部に挿通されるようになっているので、より簡単な構成で様々な競技用途に対応でき、利便性を向上できる。
さらに、慣性センサがジャイロ及び加速度計の少なくとも一方から構成されるので、より高精度にスイング速度を計測でき、信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1によるスイング速度計測装置を示す斜視図である。
【図2】図1のスイング速度計測装置の使用例を示す説明図である。
【図3】図1のスイング速度計測装置の他の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるスイング速度計測装置を示す斜視図であり、図2は図1のスイング速度計測装置の使用例を示す説明図であり、図3は図1のスイング速度計測装置の他の使用例を示す説明図である。図1において、本体1は両端開口の装着部である貫通孔2が一体に設けられた筒状部材であり、この貫通孔2にはスイング速度(スイング角速度)が計測される被検出体が挿通されるようになっている。図2及び図3に示すように、被検出体には、ゴルフクラブや竹刀等のスポーツ用具11、及び該スポーツ用具11をスイングさせる利用者の手首12が含まれる。本体1は、例えばスポンジ等の伸縮性を有する素材によって構成されており、貫通孔2の形状は被計測体の形状に沿って変形可能である。
【0010】
本体1は、処理部4と慣性センサ5とを有している。具体的には、これら処理部4及び慣性センサ5は、本体1の壁部3に埋設されている。壁部3の外面3aには、操作部6及び表示部7が設けられている。処理部4は、例えばマイクロコンピュータ等から構成されており、慣性センサ5、操作部6、及び表示部7に接続されている。慣性センサ5は、ジャイロ及び加速度計の少なくとも一方から構成されており、空間に対する本体1の変位を検出するためのものである。周知のように、ジャイロは角速度を測定するセンサであり、加速度計は加速度を計測するセンサである。操作部6は、利用者によって操作されるボタンであり、処理部4に対して計測開始信号6aを入力するためのものである。
【0011】
処理部4は、操作部6からの計測開始信号6aを検出した場合に、貫通孔2に挿通された状態の被計測体のスイング速度を、慣性センサ5からの信号5aに基づいて求める。具体的に説明すると、慣性センサ5がジャイロから構成される場合には、ジャイロからの信号からスイング速度を直接求め、慣性センサ5が加速度計から構成される場合には、加速度計からの信号を積分することでスイング速度を求め、慣性センサ5がジャイロ及び加速度計の組み合わせから構成される場合には、ジャイロからの信号と加速度計からの信号とをミキシング処理することでスイング速度を求める。これらジャイロ及び加速度計の少なくとも一方から求められるスイング速度は、例えば風量計やバネ(遠心力)等から求められるスイング速度よりも直接に求められるものであり、より高精度なものとなる。
【0012】
また、処理部4は、表示部7に対して表示指令4aを入力して、求めたスイング速度を表示部7に表示させる。具体的には、処理部4は、計測開始信号6aを検出した後に、慣性センサ5からの信号5aに基づいて被計測体の変位方向を監視し、変位方向の反転を検出した後の最大のスイング速度を表示部7に表示させる。なお、計測開始信号6aを検出した後に、一定時間内の最高速度を表示部7に表示させてもよい。
【0013】
このようなスイング速度計測装置では、筒状の本体1に貫通孔2が設けられ、貫通孔2に挿通された状態の被計測体のスイング速度を求めるように構成しているので、被計測体に対して取外し可能とすることができ、被計測体を任意に変更できる。これにより、様々な競技用途に対応でき、汎用性を向上できる。
また、本体1は筒状に形成され、装着部は本体に設けられた両端開口の貫通孔2であり、被計測体は貫通孔2に挿通されるようになっているので、より簡単な構成で様々な競技用途に対応でき、利便性を向上できる。
さらに、慣性センサ5がジャイロ及び加速度計の少なくとも一方から構成されるので、より高精度にスイング速度を計測でき、信頼性を向上できる。
【0014】
なお、実施の形態では、本体1が筒状に形成され、装着部は本体に設けられた両端開口の貫通孔2であると説明したが、この形態に限定されず、例えば板状の本体1にベルトからなる装着部が一体に設けられた形態等の他の形態でもよい。
【符号の説明】
【0015】
1 本体
2 貫通孔(装着部)
3 壁部
3a 外面
4 処理部
5 慣性センサ
6 操作部
6a 計測開始信号
7 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部(4)及び慣性センサ(5)を有する本体(1)と、
前記本体(1)に一体に設けられた装着部(2)と、
前記本体(1)の外面(3a)に設けられた操作部(6)及び表示部(7)と
を備え、
前記本体(1)は、前記装着部(2)に被計測体が取付けられることにより前記被計測体とともにスイングされるようになっており、
前記処理部(4)は、前記操作部(6)からの計測開始信号(6a)を検出した場合に、前記装着部(2)に取付けられた状態の前記被計測体のスイング速度を前記慣性センサ(5)からの信号(5a)に基づいて求め、求めたスイング速度を前記表示部(7)に表示させることを特徴とするスイング速度計測装置。
【請求項2】
前記本体(1)は筒状に形成され、前記装着部(2)は前記本体(1)に設けられた両端開口の貫通孔(2)であり、前記被計測体は前記装着部(2)に挿通されるようになっていることを特徴とする請求項1記載のスイング速度計測装置。
【請求項3】
前記慣性センサ(5)は、ジャイロ及び加速度計の少なくとも一方から構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイング速度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−72518(P2011−72518A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226539(P2009−226539)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)