説明

スキャナ支持台、スキャナユニット、および画像形成装置

【課題】制御ユニットを別体とすることで生じる問題を解決できるスキャナ支持台の提供。
【解決手段】スキャナを支持する支持枠体1と、支持枠体1から下方に向かって垂直に延びた一対の側板2A、2Bと、側板2A、2Bを連結する背面板3と、を備え、側柱2A,2Bと背面板3とによって形成された基板収納部7に、スキャナ制御基板8が収納されているスキャナ支持台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ支持台、スキャナユニット、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタのような画像形成装置では、原稿を読み取るスキャナユニットと、スキャナユニットで原稿を読み取って得られた画像データに基いて画像を印刷するプリンタユニットとを備えるものが一般的である。
【0003】
しかし、近年、前記画像形成装置においては、デジタル信号方式のものが一般化している。従来のアナログ方式の画像形成装置とは異なり、デジタル信号方式の画像形成装置においては、スキャナユニットとプリンタユニットとを必ずしも1つのケーシングに収納する必要はない。そこで、スキャナユニットとプリンタユニットとを別個のケーシングに収納し、配置の自由度を拡大することが広く行われている。
【0004】
このような画像形成装置としては、たとえば、原稿を読み取るスキャナユニットと、該スキャナユニットで読み取られた画像情報を用紙にプリントするプリンタユニットと、前記スキャナユニットおよび前記プリンタユニットを制御する制御基板を有する制御ユニットと、支持台とを備えた画像形成装置がある(特許文献1)。
【0005】
前記画像形成装置においては、支持台は、前記スキャナユニットを支持する支持部と、前記支持部の四隅部の2つの隅部から下方に固定された2本の支持側部と、前記支持側部の下端部からそれぞれほぼ水平に延設された支持足部と、前記支持足部を連結する連結側部とを備える。
【0006】
そして、前記制御ユニットは、前記支持部、2本の前記支持足部および前記連結側部により囲まれた矩形状の空間の全面を塞ぐように固定されている。
【特許文献1】特許第3912353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、制御ユニットを支持台とは別体として形成し、これを支持台に嵌挿する構成をとると、制御ユニットが支持台に確実に接地されないことがある。また、制御ユニットの支持台への締結が不十分であると、支持台が剛性不足となることがある。また、別体として仕上げられた制御ユニットを支持台に嵌め込むのは作業性の面でも好ましくない。
【0008】
本発明は、制御ユニットを別体とすることで生じる前記諸問題を解決できるスキャナ支持台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、スキャナ支持台において、スキャナを支持する支持枠体と、前記支持枠体から下方に向かって垂直に延びた一対の支柱と、前記一対の支柱を連結する板状の部材である背面板と、を備え、前記一対の支柱と前記背面板とによって形成された空間である基板収納部に前記スキャナを制御するスキャナ制御基板が収納されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスキャナ支持台において、前記支柱が、コの字型の断面を有するように金属板を屈曲させて形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスキャナ支持台において、前記背面板が側縁において前記支柱に接合されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のスキャナ支持台において、前記背面板が、前記一対の支柱にレーザ熔接されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のスキャナ支持台において、前記基板収納部を挟んで前記背面板に相対するように設けられたシールド蓋によって前記基板収納部が覆蓋されているとともに、前記シールド蓋に、前記シールド蓋と電気的な接触を保持した状態で開閉可能な扉が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載のスキャナ支持台において、前記基板収納部に収納されたスキャナ制御基板は、前記スキャナからの画像信号を処理する画像信号処理回路が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、スキャナユニットにおいて、請求項1〜6の何れか1項に記載のスキャナ支持台と、前記スキャナ支持台の支持枠体に載置されたスキャナと、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、画像形成装置において、請求項7に記載のスキャナユニットと、前記スキャナユニットの備えるスキャナで画像を読み取って得られる画像データに基いて画像を形成し、印刷するプリンタユニットとを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記プリンタユニットが電子写真方式のプリンタユニットであることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記プリンタユニットがインクジェット方式のプリンタユニットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、スキャナ支持台の一対の支柱は背面板で接続され、しかも前記一対の支柱と背面板とで形成される空間である基板収納部に基板が収納されているから、剛性が高く、しかもスキャナ制御基板の接地が確実に取れるスキャナ支持台が提供される。
【0020】
請求項2の発明によれば、金属板をコの字型に屈曲させて支柱を形成しているから、支柱として角パイプまたは丸パイプを用いる場合に比較してスキャナ支持台を安価に提供できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、背面板を側縁において支柱に接合しているから、たとえば背面板の面を支柱に接合した形態のスキャナ支持台と比較して剛性の高いスキャナ支持台が提供される。
【0022】
請求項4の発明によれば、背面板と支柱との接合にレーザ熔接を用いているから、電磁シールド性の高いスキャナ支持台が得られる。
【0023】
請求項5の発明によれば、前記基板収納部はシールド蓋で覆蓋され、しかも前記シールド蓋には、電気的な接触を保持した状態で開閉可能な扉が設けられているから、前記基板が確実に電磁シールドされる上、開閉に拘らず、扉の接地を確実に取ることのできるスキャナ支持台が提供される。
【0024】
請求項6の発明によれば、スキャナ支持台の基板収納部に収納されたスキャナ制御基板には、前記スキャナからの画像信号を処理する画像信号処理回路が設けられているから、スキャナ、複写、およびファックス機能を有するスキャナ制御基板を省スペースで配置できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、スキャナとスキャナ制御回路とがスキャナ支持台で一体化された省スペースで堅牢なスキャナユニットが提供される。
【0026】
請求項8の発明によれば、プリンタユニットと省スペースで堅牢なスキャナユニットとからなり、配置の自由度の高い画像形成装置が提供される。
【0027】
請求項9の発明によれば、配置の自由度の高い電子写真方式の画像形成装置が提供される。
【0028】
請求項10の発明によれば、配置の自由度の高いインクジェット方式の画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
1.実施形態1
【0030】
本発明のスキャナ支持台の一例について以下に説明する。
【0031】
実施形態1に係るスキャナ支持台100は、図1〜4に示すように、スキャナ(図示せず。)が載置される長方形状の支持枠体1と、支持枠体1の1の短辺から下方に延びる一対の側板2A、2B(支柱)と、側板2A、2Bを連結する背面板3とを備える。
【0032】
背面板3の上縁は、支持枠体1の下面まで延在している。
【0033】
側板2A、2Bは、背面板3の上縁近傍において上板4で、上板4よりも下方で下板5で接合されている。上板4の上面には支持枠体1が固定されている。
【0034】
側板2A,2Bは、図2〜4に示すように、上板4とともに支持枠体1の下面に取り付けられている。
【0035】
側板2A,2Bと上板4と下板5と背面板3とで形成された空間である基板収納部6には、図4に示すようにスキャナ制御基板7が収納されている。そして、基板収納部6は、シールド蓋8によって覆蓋されている。シールド蓋8の中央部左寄りには、基板収納部6に収納されたスキャナ制御基板7を点検等するための扉9が設けられている。
【0036】
支持枠体1は、図5および図6に示すように、スキャナを下方から支持する一対の支持梁10と、支持梁10を連結する一対の連結梁11とから構成される。連結梁11の図5における手前側の面には、スキャナが嵌合する嵌合ピン12が一対ずつ立設されている。
【0037】
図6に示すように、支持梁10と連結梁11とは、何れも角パイプから構成され、レーザビード熔接で組み立てられて支持枠体1とされている。
【0038】
図7および図8に示すように、側板2A、2Bと上板4と下板5と背面板3とにより、スキャナ支持台100の胴体部20が構成される。
【0039】
側板2A、2B、上板4、下板5は、何れも金属板をコの字型にプレスして形成される。また、上板4は、端面において側板2A、2Bの上端に突き当てられ、レーザビード熔接およびレーザパルス熔接で接合されている。ここで、レーザビード熔接はレーザ光による所謂ベタ付けであり、パルス熔接は、5〜10mmピッチでレーザ光を貫通させて熔接する熔接法である。レーザビード熔接は、上板4の短い方の辺を接合する場合のように熔接長が短い部分、たとえば熔接長が50mm未満の部分の接合に使用され、レーザパルス熔接は、上板4の長い方の辺を接合する場合のように熔接長が長い部分、たとえば熔接長が50mm以上の部分の接合に使用される。
【0040】
同様に、下板5は、端面において側板2A、2Bの中央よりも下側に突き当てられ、レーザビード熔接およびレーザパルス熔接で接合されている。
【0041】
背面板3は、側縁において側板2A、2Bに突き当てられるとともに、面で上板4および下板5に突き当てられ、何れもレーザパルス熔接で接合されている。
【0042】
胴体部20の上端には、図2〜図4に示すように支持枠体1が突き当てられてレーザビーム熔接およびレーザパルス熔接で接合され、スキャナ支持台100が構成される。
【0043】
シールド蓋8は、図1に示すように、胴体部20の背面にビス13で固定されている。
【0044】
図10および図11に示すように、シールド蓋8にはスキャナ制御基板7に近接するための開口部15が形成され、開口部15は、扉9によって覆蓋されている。
【0045】
扉9は、図9〜図11に示すように、一側縁部において一対の蝶番14によってシールド蓋8に軸支されている。
【0046】
扉9には、蝶番14のシャフト14Aに係合している係合部9Aと、扉9の蝶番14によって軸支されている側の側縁に突設され、扉9を閉じたときに開口部15の縁部に係合する一対のフック9Bと、扉9の蝶番14によって軸支されている側とは反対側の側縁に突設され、扉9を閉じたときに胴体部20の側板2Bに係合するフック9Cと、扉を閉じたときにシールド蓋8のフック8Aに係合する開口部9Dと、フック9Cが突設された側の側縁部に設けられ、扉9を閉じたときにシールド蓋8と電気的に接触して導通をとる接続片9Eと、扉9の上下の側縁近傍に設けられ、扉9を閉じたときにシールド蓋8と電気的に接触して導通をとる接続片9Fとを備える。
【0047】
接続片9E、9Fの中央部には小孔9Gが設けられ、図13、14に示すように、シールド蓋8には、扉9を閉じたときに接続片9E、9Fの小孔9Gに係合するエンボス部8Bが設けられている。
【0048】
なお、扉9のフック9Bが突設された側の側縁には、図10の紙面から突出する方向に把手9Hが3個形成されている。
【0049】
図11に示すように、扉9の係合部9Aは、扉9の面方向に対して平行に延在するとともに、蝶番14のシャフト14Aが係合するための長孔9Iが係合部9Aの延在方向に設けられている。そして、扉9を閉めた状態においては、シャフト14Aは長孔9Iの図11における右側の端部に位置している。
【0050】
扉9を開けるときは、先ず、フック9Cと側板2Bとの係合を解除し、図11および図12において矢印aで示すように、扉9を、シールド蓋8の面に沿ってフック9Cが側板2Aから遠ざかる方向にスライドさせる。扉9を矢印aの方向にスライドさせた状態においては、接続片9E、9Fはシールド蓋8に接触した状態なので、扉9とシールド蓋8との電気的な接続は保たれる。図11において、実線は扉9が閉じた状態を、二点鎖線は扉9が開いた状態を示す。
【0051】
扉9をシールド蓋8の面に沿ってスライドさせ、長孔9Iの他端部が蝶番14のシャフト14Aに係合した状態になったら、図11および図13において矢印bで示すように、シャフト14Aを中心にしてシールド蓋8から遠ざかる方向に扉9を回動させて開ける。
【0052】
実施形態1に係るスキャナ支持台100においては、側板2A、2B、上板4、下板5、および背面板3をレーザビーム熔接およびレーザパルス熔接で接合して胴体部20を構成し、胴体部20の内部空間である基板収納部6にスキャナ制御基板7が収納されている。そして、基板収納部6はシールド蓋8で覆蓋されている。したがって、スキャナ制御基板7は外界から確実に電磁遮蔽されるから、外部の電界によって悪影響を受けることもないし、スキャナ制御基板がスキャナと画像データを授受することによって生じる高周波信号が外部に漏洩することも防止される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、実施形態1に係るスキャナ支持台の全体的な構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るスキャナ支持台からシールド蓋およびスキャナ制御基板を除いたところを示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態1に係るスキャナ支持台における胴体部と支持枠体との接続を示す斜視図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るスキャナ支持台における基板収納部にスキャナ制御基板を収納したところを示す斜視図である。
【図5】図5は、実施形態1に係るスキャナ支持台の備える支持枠体の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示す支持枠体を構成する部材を示す斜視図である。
【図7】図7は、実施形態1に係るスキャナ支持台の胴体部を図面斜め左方から見た構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、実施形態1に係るスキャナ支持台の胴体部を図面斜め右方から見た構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、実施形態1に係るスキャナ支持台におけるシールド蓋および扉の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、実施形態1に係るスキャナ支持台における扉の構成の詳細を示す斜視図である。
【図11】図11は、実施形態1に係るスキャナ支持台における扉の開閉動作を示す説明図である。
【図12】図12は、実施形態1に係るスキャナ支持台において扉をスライドさせたところを示す斜視図である。
【図13】図13は、実施形態1に係るスキャナ支持台において扉をスライド後、回動させたところを示す斜視図である。
【図14】図14は、実施形態1に係るスキャナ支持台において扉を全開したところを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 支持枠体
2A 側板
2B 側板
3 背面板
4 上板
5 下板
6 基板収納部
7 スキャナ制御基板
8 シールド蓋
8A フック
9 扉
9A 係合部
9B フック
9C フック
9D 開口部
9E 接続片
9F 接続片
9G 小孔
9H 把手
9I 長孔
10 支持梁
11 連結梁
12 嵌合ピン
14 蝶番
14A シャフト
15 開口部
20 胴体部
100 スキャナ支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナを支持する支持枠体と、
前記支持枠体から下方に向かって垂直に延びた一対の支柱と、
前記一対の支柱を連結する板状の部材である背面板と、
を備え、
前記一対の支柱と前記背面板とによって形成された空間である基板収納部に、前記スキャナを制御するスキャナ制御基板が収納されているスキャナ支持台。
【請求項2】
前記支柱は、コの字型の断面を有するように金属板を屈曲させて形成されている請求項1に記載のスキャナ支持台。
【請求項3】
前記背面板は、側縁において前記支柱に接合されている請求項1または2に記載のスキャナ支持台。
【請求項4】
前記背面板は、前記一対の支柱にレーザ熔接されている請求項1〜3の何れか1項に記載のスキャナ支持台。
【請求項5】
前記基板収納部を挟んで前記背面板に相対するように設けられたシールド蓋によって前記基板収納部が覆蓋されているとともに、前記シールド蓋には、前記シールド蓋と電気的な接触を保持した状態で開閉可能な扉が設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載のスキャナ支持台。
【請求項6】
前記基板収納部に収納されたスキャナ制御基板は、前記スキャナからの画像信号を処理する画像信号処理回路が設けられている請求項1〜5の何れか1項に記載のスキャナ支持台。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のスキャナ支持台と、前記スキャナ支持台の支持枠体に載置されたスキャナと、を備えるスキャナユニット。
【請求項8】
請求項7に記載のスキャナユニットと、前記スキャナユニットの備えるスキャナで画像を読み取って得られる画像データに基いて画像を形成し、印刷するプリンタユニットとを備える画像形成装置。
【請求項9】
前記プリンタユニットは、電子写真方式のプリンタユニットである請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記プリンタユニットは、インクジェット方式のプリンタユニットである請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−229573(P2009−229573A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72081(P2008−72081)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】