説明

スキーストック

【目的】 シャフトの先端に近い部分に設けられる雪面受け用のリング部材の全体を発光させることにより、スキー走行最中のスキーヤーが容易にスキーストックの動作状態を視認できるようにする。
【構成】 スキーヤーが握る握り部51と、握り部51から延びるシャフト52と、シャフト52の先端部に設けられたリング部材53とを有するスキーストックである。リング部材53は透明若しくは半透明で透光性を備えた材料によって形成され、さらにそのリング部材53の近傍に光源61を配設する。光源61は、シャフト52の外部であって、シャフト52を中心とする円周方向に複数個、防振ゴム46を介して固定できる。光源61は、握り部51内の電源63から給電線55を通して電力の供給を受ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、スキーの際に使用するスキーストックに関する。
【0002】
【従来の技術】
発光手段や、発音手段等を設けたスキーストックは、従来より、種々知られている。例えば、実開平3−85070号公報によれば、握り部内に発音体を配設し、パラレル滑走やウェーデルン滑走等に合わせて音声を発生するようにしたスキーストックが開示されている。しかしながら、音声だけのリズムでは十分な効果が得られなかった。
【0003】
また、特開平5−177027号公報によれば、スキーストックの全部又は一部を半透明体によって構成し、内蔵する発光装置からの光をその半透明体から放射する構造が開示されている。しかしながら、この公報には具体的なスキーストックの構造は示されておらず、よって、スキーストックのどの部分を発光させるかについては特定されていない。また、スキーストックを発光させる理由は、危険防止のためにスキーストックの存在を明らかにするためのものであり、スキーに際してのスキーストック操作の練習のためにスキーストックを部分的に発光させるという考えは全くない。
【0004】
また、実開平2−94586号公報によれば、握り部内に配設した光源からの光をバンドルファイバーによってスキーストックのポールリングへ導いてそこから発光するようにしたスキーストックが開示されている。しかしながらこのスキーストックでは、外部から視認される発光は、あくまでも、バンドルファイバーの先端の微少面積の部分に限られ、よって、そのスキーストックを実際に握っているスキーヤーがその発光を視認することは非常に困難であった。特に、光がポールリングまで導かれて外部へ放射されるといっても、その発光部はポールリングの外周側面の極めて狭い部分に限られているので、スキーヤーがそれを視認することは非常に難しい。また、この公報においても、スキーに際してのスキーストック操作の練習のためにスキーストックを発光させるという考えは全くない。
【0005】
また、バンドルファイバーを用いて光を導くという構造は非常に複雑であり、それを製造することは非常に面倒であった。そのため、製造コストが非常に高かった。さらに、バンドルファイバー等の導光手段をスキーストックの内部の長い範囲にわたって配線すると、スキーストックに関して重量的なバランスが崩れてストック操作がし難くなること及びバンドルファイバが切れるという故障が発生しやすいこと等といった問題があった。
【0006】
上記以外にも、スキーストックを部分的に発光させるようにした構造が、実開昭57−116265号公報、実開昭60−102072号公報、実開昭63−148375号公報、実開平2−136677号公報、実開平3−31480号
公報、特開昭53−79634号公報、特開平2−299676号公報及び実公昭61−13029号公報等の各公報に開示されているが、いずれの公報でも、ストックの先端に近い部分に設けられる面積の広いリング部材それ自体を発光させるという技術は示されていない。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
以上のように、従来のスキーストックでは、そのいずれかの一部分を発光させるという考えは公知であるものの、実際にスキーストックを握ってスキーを行っている最中のスキーヤーにとって視認しやすい部分を発光させるという技術的思想は知られていない。
【0008】
本考案は、上記の問題を解消するためになされたものであって、シャフトの先端に近い部分に設けられる面積の広いリング部材の全体を発光させることにより、実際にスキーストックを操っている最中のスキーヤーが容易にスキーストックの動作状態を視認できるようにすることを目的とする。また、そのようにリング部材を発光させるための構造をスキーストックの内部に設置する場合でも、スキーストックの重量的なバランスを崩すことがないようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本考案に係るスキーストックは、スキーヤーが握る握り部と、握り部から延びるシャフトと、シャフトの先端部に設けられたリング部材とを有するスキーストックにおいて、リング部材を透明若しくは半透明で透光性を備えた材料によって形成し、シャフトを中空の管材によって形成し、握り部の内部に光源を配置し、そしてシャフトのうちリング部材の取付位置に光を通過させるためのスリットを設けることを特徴とする。
【0010】
リング部材を透明若しくは半透明で透光性を備えた材料によって形成するというのは、リング部材の表面又は裏面からそのリング部材へ光が照射されるとき、その照射された光をリング部材の半径方向からそれと直角方向である軸線方向にわたって全ての方向へ導く、すなわち拡散できるということである。光源からの光を効率良くリング部材へ導くため、リング部材と交差する部分のシャフトの所に光散乱反射部材を設けることが望ましい。また、光源を握り部の内部に配置すれば、重量的なバランスを崩すこともなく、また、光源を破損する危険性も少なくなる。
【0011】
リング部材のシャフトへの取り付け方は種々考えられるが、本考案では、シャフトのうちリング部材の取付位置に光を通過させるためのスリットを設ける必要があるので、次のように構成するのが好ましい。すなわち、シャフトをシャフト本体部及びそのシャフト本体部に接続される石突き部によって構成し、シャフト本体部と石突き部との間にリング部材を挟んで保持する。
【0012】
光源は、所定時間間隔で点滅発光させることもできるし、あるいは、連続して点灯させることもできる。パラレル滑走やウェーデルン滑走等に際してのペースメーカーとして用いる場合には点滅発光させることが望ましい。スキーストックが雪面のどの位置に刺さるかをスキーヤーに知らせるためには連続点灯させることが望ましい。光源を点滅発光させる場合には、ツマミ、レバー等といった操作入力部材の操作によって光源の点滅時間間隔が変更できるようにしておくことが望ましい。また、光源を点滅発光させる場合の基も効果的な利用方法は、スキーを行うスキーヤーがストックを繰り返して雪面に突き刺す際の理想的なストック操作タイミングに同期するように光源の点滅時間間隔を調節することである。これにより、光源の点滅発光、従ってリング部材の点滅発光をストック操作のためのペースメーカーとして活用できる。
【0013】
また、他の構成のスキーストックとして、スキーヤーが握る握り部と、握り部から延びるシャフトと、シャフトの先端部に設けられたリング部材とを有するスキーストックにおいて、(1)リング部材を半透明で透光性を備えた材料によって形成し、(2)シャフトを中空の管材によって形成し、(3)握り部の内部に光源を配置し、(4)外部から視認できるように握り部に発光手段を設け、(5)握り部の適所に発音手段を設け、そして(6)上記光源、発光手段及び発音手段のいずれか又は全てを選択して通電する給電選択回路及びそれらを選択するための機能選択用操作入力部材を設けたスキーストックも考えられる。この構成のスキーストックでは、上記光源を連続して点灯発光させると同時に、上記発光手段を点滅発光させるように両発光部を発光制御できる。こうすれば、スキーヤーは、リング部材の連続点灯によってストック位置の位置確認を行うと同時に、点滅発光する発光手段をパラレル滑走又はウェーデルン滑走等のためのペースメーカーとして活用できる。
【0014】
リング部材の表面は単なる平滑面であっても良いが、望ましくは、光散乱用の模様溝、例えば断面三角形状の模様溝をその表面に形成しておく。この模様溝は、シャフトを中心とする同心円状の模様溝とすることができ、あるいは、直線状の溝等とすることができる。このように、リング部材の表面に模様溝を設けておけば、リング部材の発光がより鮮明になり、よって、スキーヤーにとってより視認し易くなる。
【0015】
また、他の構成のスキーストックとして、スキーヤーが握る握り部と、握り部から延びるシャフトと、シャフトの先端部に設けられたリング部材とを有するスキーストックにおいて、 リング部材は透明若しくは半透明で透光性を備えた材料によって形成し、さらに そのリング部材の近傍に光源を配設するという構成も考えられる。
【0016】
この構成のスキーストックでは、光源をシャフトの外部に設けることができる。また、光源をシャフトを中心とする円周方向に複数個設けることもできる。また、光源を防振ゴムを介してシャフトに固定することもできる。さらにこの構成のスキーストックでは、握り部又はシャフトの上部に電源を配置し、そして、シャフトの内部に配置した給電線を通してその電源からの電力を光源へ供給するように構成することが望ましい。
【0017】
(作用)
請求項1記載のスキーストックでは、光源から放射される光がシャフト内の空間中を進行する。この光がリング部材の取付部分に到達するとその光は、該部に設けたスリットを介してシャフトの外部へ放出される。この部分には透明若しくは半透明で透光性を備えたリング部材が取り付けられているから、放出された光はそのリング部材の全面に拡散して外部へ発光する。また、請求項13記載のスキーストックでは、リング部材の近傍に配設された光源が発光するとその光がリング部材の内部へ導かれ、さらにその内部で拡散してリング部材の全面に広がり、そしてリング部材の外部へ発光する。このように本考案では、リング部材の全面が発光するので、このスキーストックを持ってスキーを行っているスキーヤーは、スキーの最中であってもスキーストックの動作状態を明確に視認できる。
【0018】
特に、リング部材は、雪面を受けるためのものであってシャフトの先端に近い部分に設けられるので、そのリング部材が全面的に発光するということは、スキーヤーがストックの先端の動作を確認することに関して非常に有利である。スキーを行っている最中のスキーヤーは自分の手元部分を見ることは非常に難しいので、この手元部分に発光部を配設した場合には、スキーヤーにその発光を視認させることがかなり難しい。これに対して、本考案のように、シャフトの先端部分に取り付けられるリング部材を発光させるようにすれば、スキーヤーが発光を明確に確認できる。
【0019】
請求項1記載のスキーストックでは、光源からの光をリング部材へ導くための構成は、単に、シャフトのうちのリング部材の取付部分に対応した所に光通過用のスリットを設けるだけでよいので、構造が非常に簡単で、しかも安価である。
また、握り部内に設けた光源からの光をリング部材まで導くために光ファイバ等といった導光手段を使っていないので、スキーストックの重量的なバランスを崩すことがなく、また、光ファイバが切れる等といった故障の心配もない。
【0020】
また、請求項13記載のスキーストックでは、光源をリング部材の近傍に配置したので、リング部材に強度の強い光を導入でき、従って、リング部材から強い光を発光できる。
【0021】
【考案の実施の形態】
(第1の実施形態) 図1は、本考案に係るスキーストックの一実施形態を示している。このスキーストックは、スキーヤーが握る握り部1と、シャフト本体部2a及び石突き部2bとから成るシャフト2と、そしてシャフト2の先端部に近い部分に取り付けられたリング部材3とを有している。リング部材3は、雪面を受けることを主たる働きとする部品であって、例えば図4に示すように、円形状の平板によって形成される。本実施形態ではこのリング部材3は、透明若しくは半透明で且つ透光性を備えた材料、例えば塩化ビニール等によって3mm程度の厚さに形成される。
ここで透光性といっているのは、リング部材の内部で光を自由に通過させることができる性質のことである。
【0022】
シャフト本体部2aは、例えば、中空のアルミニウム製のパイプによって形成される。また、本実施形態では、図3に示すように、シャフト本体部2aと石突き部2bとが互いに分離可能となっている。シャフト本体部2aの下端には、図5にも示すように、リング押え4が設けられ、さらにそのリング押え4の下方に複数、実施形態の場合は4個の連結片6が円軌跡上に設けられる。リング押え4は、リング部材3を上方から押さえるために円周方向の全域に半径方向の外側へ突出するように設けられる。各連結片6は、光通過用のスリットSを隔てて設けられ、さらにそれらの連結片6の内側にはネジNa が設けられる。石突き部2bは、例えばアルミニウムによって形成されていて、その上部にはシャフト本体部2aの連結片6に設けたネジNa に噛み合うネジNb が設けられ、さらにその上端には円盤状の光散乱反射板8が固着されている。光散乱反射板8は、いわゆるギザギザの凹凸表面を有していて、そこに当たった光をあらゆる方向へ散乱状態に反射することができる。
【0023】
リング部材3の中心部には、図4に示すように、4個の円弧状の開口7が円軌跡上に開けられている。このリング部材3をシャフト本体部2aに装着する場合には、それらの開口7をシャフト本体部2aの各連結片6に差し込んでリング押え4の所まで差し入れ、その後、石突き部2bのネジ部Nbを連結片6のネジ部Na にねじ込んで、シャフト本体部2aと石突き部2bとを連結する。リング部材3は、石突き部2bの上端とリング押え4とによって挟まれた状態で保持される。この状態で、爪付きリング9を石突き部2bへ差し込んでリング部材3の下面に押しつける。爪付きリング9の爪は石突き部2bの表面へ食い込むので、この爪付きリング9によってリング部材3の落下が防止される。また、爪付きリング9は、連結片6がシャフト本体部2aの半径方向の外側へ広がるのを防止する補強部材としての働きも兼ねている。
【0024】
図2に示すように、握り部1の内部には、シャフト本体部2aの上端に固着された反射鏡10と、その反射鏡10の中心部に設けられた光源としての内蔵ランプ11と、電源としての乾電池12と、そして電気制御ユニット13とが格納されている。また、握り部1の上端部を構成するキャップ14の上面には、手元ランプ15と、点滅間隔調整ダイヤル16と、そして電源/機能選択ダイヤル17とが設けられる。キャップ14は、握り部1の本体部分に対して着脱可能になっている。
【0025】
電気制御ユニット13の中には、図7に示すように、制御回路18、発振回路19、スイッチング回路20、給電選択回路21、音声信号発生回路22、そしてスピーカ23が設けられる。制御回路18は、電源/機能選択ダイヤル17の出力信号に基づいて給電選択回路21の動作を制御する。給電選択回路21の入力側には、乾電池12からの給電線及びスイッチング回路20を経由した乾電池12の給電線が並列的に接続される。給電選択回路21の出力側の給電線には、内蔵ランプ11、手元ランプ15及び音声信号発生回路22が個別的に接続される。給電選択回路21は、制御回路18からの指示に基づいて、内蔵ランプ11、手元ランプ15又は音声信号発生回路22のいずれか又は全てを選択し、その選択した要素に乾電池電流を直接に又はスイッチング回路20を経由した乾電池電流を通電する。
【0026】
また、制御回路18は、点滅間隔調整ダイヤル16の出力信号に従って発振回路19による発振周期を制御する。スイッチング回路20は、発振回路19の発振周期に従ってスイッチング動作を行って乾電池12からの電源電流を所定の周期でON/OFFする。
【0027】
本実施形態のスキーストックは以上のように構成されてるので、スキーヤーが電源/機能選択ダイヤル17を操作して電源をON状態にすると、内蔵ランプ11、手元ランプ15及びスピーカ23のいずれか又は全部が作動する。具体的には、以下の動作のいずれかが選択される。
【0028】
(1)内蔵ランプ11の点滅発光 内蔵ランプ11が所定時間間隔で点滅発光する。点滅時間間隔は点滅間隔調整ダイヤル16を操作することによって自由に設定できるが、例えば、スキーを行うスキーヤーがストックを繰り返して雪面に突き刺す際の理想的なストック操作タイミングに同期した間隔に設定される。この間隔は、パラレル滑走、ウェーデルン滑走等の滑走形態に応じて適宜に設定する。
【0029】
内蔵ランプ11の点滅発光は、図1において、シャフト本体部2aの中空部を通ってリング部材3の付根部分Aに到達し、図4に示すように該部において、スリットSに対応する部分を通してリング部材3の内部全面へ拡散する。リング部材3は塩化ビニールその他の透光性を備えた材料によって形成されているので、光は効率的にリング部材3の内部に拡散し、その結果、リング部材3の全体が点滅発光する。リング部材3の中心部Aに光散乱反射板8を設けておけば、付根部分Aに到達した光のほとんど全てがリング部材3の内部へ散乱するので、リング部材3の発光強度を高めることができる。
【0030】
スキーヤーは、リング部材3の点滅発光を視覚によって確認しながら、その発光タイミングに従ってストック操作を行う。これにより、リング部材3の点滅発光をペースメーカーとして理想的なタイミングでストック操作を行うことができる。点滅間隔調整ダイヤル16の操作によって点滅時間間隔を調節すれば、あらゆる種類の滑走形態に適応した点滅間隔の発光を実現できる。リング部材3はスキーストックの先端部分に設けられていると共に大きな面積を有しているので、滑走中のスキーヤー自身が容易且つ瞬間的に発光を視認できる。
【0031】
(2)内蔵ランプ11の点滅発光及びスピーカ23の音声発生 上記のように内蔵ランプ11を点滅発光させてリング部材3を点滅発光させるのと同期して、スピーカ23から音声を間欠的に発生する。これにより、スキーヤーは視覚的及び聴覚的な指示に従って理想的なタイミングでストック操作を行うことができる。
【0032】
(3)内蔵ランプ11の連続点灯発光 内蔵ランプ11を連続的に発光、すなわち点灯する。スキーヤーは、点灯するリング部材3を視認することにより、スキーストックの先端が雪面のどの位置に突き刺さるかを正確に判断できる。リング部材3は、握り部1と異なって、スキーヤーにとって容易に確認できる視野内にあるから、スキーヤーは瞬時にストック位置を判断できる。
【0033】
(4)内蔵ランプ11の連続点灯発光、手元ランプ15の点滅発光及びスピーカ23の音声発生 内蔵ランプ11の点灯によってリング部材3を連続点灯させ、手元ランプ15を理想的なストック操作に合わせて点滅発光させ、同時に、理想的なストック操作に合わせてスピーカ23により間欠的に音声を発生する。以上により、スキーヤーは、リング部材3の連続点灯によってストック位置を正確に確認しながら、手元ランプ15の点滅発光及びスピーカ23からの間欠音声をペースメーカーとして、理想的なストック操作を実行できる。
【0034】
(リング部材の改変例) 図8は、リング部材の改変例を示している。ここに示したリング部材33はその表面に、中心点Oを中心とする複数、実施形態の場合は2個の同心円状の模様溝25を有している。これらの模様溝25の断面形状は、図6に示すように、逆三角形状になっている。リング部材3の発光は、これらの模様溝25の所で他の部分と異なった方向へ放射されて結果的に強調されるので、スキーヤーはより確実にリング部材3を確認できるようになる。なお、模様溝25の数は任意である。
【0035】
図9は、リング部材の他の改変例を示している。このリング部材43はその表面に、中心点Oへ向かう複数、実施形態の場合は4個の直線状の溝35を有している。これらの溝35の断面形状も図6に示すような逆三角形状になっている。
これらの模様溝35を用いても、リング部材43の発光をスキーヤーにとって目立ち易くできる。
【0036】
以上、好ましい実施形態を挙げて本考案を説明したが、本考案はそれらの実施形態に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改変できる。
【0037】
例えば、上記実施形態では図3に示すように、シャフト本体部2a及び石突き部2bの分割可能な2個の部分によって1個のシャフト2を形成したが、もちろん、シャフト2を1本の円筒状部材によって形成することもできる。但しその場合には、リング部材3,33,43を取り付ける位置に、スリットS(図3参照)に対応する光通過用のスリット、すなわち開口を予め設けておくことが必要である。
【0038】
また、図7に示した回路図は、内蔵ランプ11、手元ランプ15及びスピーカ23の3個の要素を組み合わせて使用する場合を想定しているが、内蔵ランプ11のみを使用する場合も本考案に含まれるものであり、その場合には給電選択回路21及び機能選択ダイヤル17は不要である。但し、機能選択ダイヤル17に関しては、電源をON/OFFするための機能は必要であることはもちろんである。
【0039】
(第2の実施形態) 図10は、本考案に係るスキーストックの他の実施形態を示している。このスキーストックは、スキーヤーが握る握り部51と、上端部が握り部51の中にはめ込まれたシャフト52と、そしてシャフト52の先端部すなわち石突き部52bに近い部分に固着されたリング部材53とを有している。このリング部材53は、例えば図11に示すように、円形状の平板によって形成される。本実施形態でもこのリング部材53は、透明若しくは半透明で且つ透光性を備えた材料、例えば塩化ビニール等によって3mm程度の厚さに形成される。
【0040】
握り部51の上端にはコントロールスイッチ56が設けられる。このコントロールスイッチ56は、図1に示した点滅間隔調整ダイヤル16及び電源/機能選択ダイヤル17と同様の機能を持っている。握り部51の内部にはめ込まれた部分のシャフト52の内部には、図1に示した電気制御ユニット13と同様の機能を持った電気制御ユニット63が内蔵される。握り部51の直下のシャフト52の外周部には、バッテリーケース49が設けられ、そのバッテリーケース49の中に電源としての乾電池62が格納されている。また、バッテリーケース49の上部には、電源のON/OFFを司るメインスイッチ48が設けられる。
【0041】
リング部材53の直上位置のシャフト52の外周上に、ランプケース47が固定設置される。このランプケース47の内部において、シャフト52の外周上に防振ゴム46が固着され、さらにその防振ゴム46の外周上にランプ支持板45が固定支持される。そして、そのランプ支持板45によって複数、例えば4個(図11参照)のランプ61が光源として支持されている。防振ゴム46は、それ自身が振動し難い性質のゴムによって形成されていて、石突き部2bを地面に突き当てたときの振動がランプ61へ伝わることを防止する。ランプケース47は、少なくともその底面47aが透明に形成され、その側面部は通常内部が視認できないように不透明に形成される。もちろん、ランプケース47の側面も透明に形成することもできる。各ランプ61への給電は、シャフト52の内部を貫通した後にシャフト52に設けた穴54から外部へ露出する給電線55によって行われる。
【0042】
以上の構成より成るスキーストックによっても、図1に示した実施形態に係るスキーストックと同様のランプ点滅機能及び音声発生機能を実行できる。すなわち、スキー滑降時のペースメーカとして好適な点滅発光や、それに同期した音声の発音や、あるいは、スキーストックの先端位置の確認のための連続点灯発光などを実行できる。特に本実施形態では、リング部材53の直上位置にランプ61を設置したので、リング部材53の内部へ強い光を導入でき、よって、リング部材53から強い光を発光できる。また、防振ゴム46を介して各ランプ61を支持することにより、シャフト52の振動がランプ61へ伝わってランプ61内の発光線、例えばニクロム線が切れることを防止できる。
【0043】
図10に示した実施形態に関しても種々の改変例が考えられる。例えば、ランプ61の数は、4個以上又は4個以下の任意の数とすることができる。ランプ61をリング部材53の下方位置に配置することもできる。
【0044】
【考案の効果】
請求項1、請求項10及び請求項13記載のスキーストックによれば、シャフトの先端に近い部分に設けられるリング部材の全体を発光させるようにしたので、実際にスキーストックを操っている最中のスキーヤーにとってスキーストックの操作状態を容易且つ瞬時に視認できる。このことは、スキーストックの握り部に近い所を発光させたり、あるいは光ファイバ等を用いてスキーストックの微少部分を発光させるようにした従来のスキーストックでは実現できない効果である。
【0045】
また、請求項1及び請求項10記載のスキーストックに関しては、リング部材の全体を発光させるための構成は、リング部材を透明又は半透明であって透光性を備えた材料によって形成すると共に、そのリング部材を取り付ける位置のシャフトの所に光通過用のスリットを設けておくだけという非常に簡単な構成で済むので、構造が非常に簡単でしかも安価である。また、握り部内に設けた光源からの光をリング部材まで導くために光ファイバ等といった特別な導光手段を使っていないので、スキーストックの重量的なバランスを崩すことがなく、また、光ファイバが切れる等といった故障の心配もない。
【0046】
請求項2及び請求項4記載のスキーストックによれば、光散乱反射部材の働きにより、より多くの光を散乱状態でリング部材へ導くことができるので、リング部材の発光をより一層目立ち易くできる。
【0047】
請求項3記載のスキーストックによれば、シャフトを分割可能な構造としので、請求項1の構成を簡単に実現できる。
【0048】
請求項5記載のスキーストックによれば、リング部材を単に連続的に発光させる場合に比べて、スキーストックの存在及びその操作状態をスキーヤー自身にとっても、あるいはそのまわりの者にとっても、はっきりと表示できる。また、点滅時間間隔を適宜に設定することにより、リング部材の発光をペースメーカーとして活用したり、ファッション性を高めるために活用したり等といった種々の用途に使用できる。
【0049】
請求項6記載のスキーストックによれば、リング部材の点滅発光の時間間隔を目的に応じて変更できるので、非常に便利である。
【0050】
請求項7記載のスキーストックによれば、リング部材の発光をスキー滑走時のストック操作のためのペースメーカーとして活用できる。
【0051】
請求項8記載のスキーストックによれば、リング部材の連続点灯により、特に夜間のスキー滑走時などにおいて便利である。
【0052】
請求項9記載のスキーストックによれば、視覚的表示と共に聴覚的表示も行うので、スキーヤーに対してより一層効果的にストック操作状態を知らせることができる。
【0053】
請求項10及び請求項11記載のスキーストックによれば、発光手段の発光、発音手段の音声及びリング部材の発光の各要素の組み合わせにより、スキーヤーに対してストック操作状態に関する種々の表示を的確に行うことができる。
【0054】
請求項12記載のスキーストックによれば、リング部材の発光状態をより一層目立ち易くできる。
【0055】
請求項13記載のスキーストックによれば、リング部材の内部へ強い光を導入でき、よって、リング部材から強い光を発光できる。
【0056】
請求項14及び請求項15記載のスキーストックによれば、光源を多数個設置できるので、発光強度より一層高めることができる。
【0057】
請求項16記載のスキーストックによれば、スキーストックを激しく操作する場合にも光源の損傷を回避できる。
【0058】
請求項17記載のスキーストックによれば、比較的重量の大きい電源をスキーストックの上端部に配置することにより、スキーストックに関して重量的なバランスが崩れることを防止できる。
【0059】
【提出日】平成7年11月8日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 スキーヤーが握る握り部と、握り部から延びるシャフトと、シャフトの先端部に設けられたリング部材とを有するスキーストックにおいて、リング部材は透明若しくは半透明で透光性を備えた材料によって形成され、シャフトは中空の管材によって形成され、握り部の内部に光源を配置し、そしてシャフトのうちリング部材が取り付けられる位置に光を通過させるためのスリットを設けたことを特徴とするスキーストック。
【請求項2】 請求項1記載のスキーストックにおいて、シャフトのうちリング部材が取り付けられる位置に光散乱反射部材を設けたことを特徴とするスキーストック。
【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のスキーストックにおいて、シャフトは、シャフト本体部及びそのシャフト本体部に接続される石突き部によって構成され、シャフト本体部と石突き部との間にリング部材が挟まれて保持されることを特徴とするスキーストック。
【請求項4】 請求項3記載のスキーストックにおいて、石突き部の上端に光散乱反射部材を設けたことを特徴とするスキーストック。
【請求項5】 請求項1から請求項4のうちのいずれか1つに記載のスキーストックにおいて、光源は所定時間間隔で点滅発光することを特徴とするスキーストック。
【請求項6】 請求項5記載のスキーストックにおいて、操作入力部材の操作によって光源の点滅時間間隔が変更可能であることを特徴とするスキーストック。
【請求項7】 請求項5又は請求項6記載のスキーストックにおいて、光源の点滅時間間隔はスキーを行うスキーヤーがストックを繰り返して雪面に突き刺す際の理想的なストック操作タイミングに同期するように調節されることを特徴とするスキーストック。
【請求項8】 請求項1から請求項4のうちのいずれか1つに記載のスキーストックにおいて、光源は連続して点灯することを特徴とするスキーストック。
【請求項9】 請求項5から請求項7のうちのいずれか1つに記載のスキーストックにおいて、音声発生手段を設け、その音声発生手段の作用により光源の点滅発光に同期して間欠的に音を発することを特徴とするスキーストック。
【請求項10】 スキーヤーが握る握り部と、握り部から延びるシャフトと、シャフトの先端部に設けられたリング部材とを有するスキーストックにおいて、リング部材は透明若しくは半透明で透光性を備えた材料によって形成され、シャフトは中空の管材によって形成され、握り部の内部に光源を配置し、シャフトのうちリング部材が取り付けられる位置に光を通過させるためのスリットを設け、外部から視認できるように握り部に発光手段を設け、握り部の適所に発音手段を設け、さらに上記光源、発光手段及び発音手段のいずれか又は全てを選択して通電する給電選択回路及びそれらを選択するための機能選択用操作入力部材を設けたことを特徴とするスキーストック。
【請求項11】 請求項10記載のスキーストックにおいて、上記光源は連続して点灯発光し、上記発光手段は点滅発光することを特徴とするスキーストック。
【請求項12】 請求項1から請求項11のうちのいずれか1つに記載のスキーストックにおいて、リング部材は光散乱用の模様溝を有することを特徴とするスキーストック。
【請求項13】 スキーヤーが握る握り部と、握り部から延びるシャフトと、シャフトの先端部に設けられたリング部材とを有するスキーストックにおいて、リング部材は透明若しくは半透明で透光性を備えた材料によって形成され、さらにそのリング部材の近傍に光源を配設したことを特徴とするスキーストック。
【請求項14】 請求項13記載のスキーストックにおいて、光源は、シャフトの外部に設けられることを特徴とするスキーストック。
【請求項15】 請求項14記載のスキーストックにおいて、光源は、シャフトを中心とする円周方向に複数個設けられることを特徴とするスキーストック。
【請求項16】 請求項14又は請求項15記載のスキーストックにおいて、光源は、防振ゴムを介してシャフトに固定されることを特徴とするスキーストック。
【請求項17】 請求項13から請求項16のうちのいずれか1つに記載のスキーストックにおいて、握り部又はシャフトの上部に配置された電源と、シャフトの内部に配置されていて電源からの電力を光源へ供給する給電線とを有することを特徴とするスキーストック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【登録番号】第3025605号
【登録日】平成8年(1996)4月3日
【発行日】平成8年(1996)6月21日
【考案の名称】スキーストック
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平7−10840
【出願日】平成7年(1995)9月18日
【出願人】(000134855)株式会社ナムコ (1,157)