説明

スクラッチカード

【課題】秘密情報隠蔽層のスクラッチ後もスクラッチに対する関心を低下させることがなく、かつ、スクラッチ後のスクラッチカードに対する意匠性を高めることのできるスクラッチカードを提供すること。
【解決手段】基材と、基材上の一の領域に第1秘密情報が印刷されることにより設けられる第1秘密情報印刷部と、前記第1秘密情報印刷部を覆うように設けられる第1秘密情報隠蔽層と、前記基材上の他の領域に直接又は間接的に所定の形状で設けられ、第2秘密情報の画線部を形成する剥離層と、前記剥離層を覆うように設けられる第2秘密情報隠蔽層とを有し、当該スクラッチカードをスクラッチすることにより、前記第1秘密情報隠蔽層と、前記第2秘密情報隠蔽層のうち前記剥離層上に位置する部分のみ除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラッチカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙や合成樹脂からなる基材と、画像や文字データ等の様々な秘密情報を印刷形成してなる秘密情報印刷部と、秘密情報印刷部上に設けられる剥離層と、剥離層上に設けられ、アルミ粉にバインダー成分を加えた銀インキを主成分とし秘密情報印刷部を隠蔽するための秘密情報隠蔽層とからなり、秘密情報隠蔽層を爪やコインで削る(スクラッチする)ことにより、秘密情報の内容を確認することができるスクラッチ式の印刷物(以下、スクラッチカードと略称する。)が知られている。
【0003】
かかるスクラッチカードは、秘密情報隠蔽層を爪やコインで削るだけで簡単に秘密情報の内容を確認することができ、その利便性からインスタント宝くじや、カードくじとして用いられる他、食品等を扱う業種(例えば、ファーストフード店、コンビニエンスストア)におけるイベントくじ等の様々な分野で利用されている。このような、スクラッチカードの利用分野の拡大に伴い、近時、高い意匠性を有し注目を高めることのできるスクラッチカードに対する要求も多くなってきている。
【0004】
しかしながら、一般的にスクラッチされる部分である秘密情報を隠蔽した秘密情報隠蔽層は、スクラッチカードの目立つ主要部分に設けられているものの地味で意匠性の低いものである。このような状況下、特許文献1には、発色性染料(ロイコ染料)を含むカプセル層からなる秘密情報印刷部と、発色性染料と接触することにより発色する顕色剤を印刷してなる顕色剤層からなる秘密情報隠蔽層とからなり、秘密情報隠蔽層に熱や圧力を加えることで秘密情報を発色させることができるスクラッチカードについて開示がされている。また、特許文献2には、秘密情報隠蔽層上にホログラム層を形成しセキュリティー性と意匠性を高めたスクラッチカードについて開示がされている。特許文献1〜2に開示がされているスクラッチカードによれば、秘密情報隠蔽層に意匠性を付与することが可能となる。
【特許文献1】特許第2944861号公報
【特許文献2】特開2008−137307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1〜2によれば、秘密情報隠蔽層は、スクラッチ前は高い意匠性を有するもののスクラッチにより剥離された後には、その意匠性を維持することができない。また、スクラッチを行う者は、秘密情報の内容に最も関心を抱いていることから秘密情報隠蔽層をスクラッチし、秘密情報を確認した後にはスクラッチカードに対する関心が著しく低下することとなる。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、秘密情報隠蔽層のスクラッチ後もスクラッチに対する関心を低下させることがなく、かつ、スクラッチ後のスクラッチカードに対する意匠性を高めることのできるスクラッチカードを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、基材と、基材上の一の領域に第1秘密情報が印刷されることにより設けられる第1秘密情報印刷部と、前記第1秘密情報印刷部を覆うように設けられる第1秘密情報隠蔽層と、前記基材上の他の領域に直接又は間接的に所定の形状で設けられ、第2秘密情報の画線部を形成する剥離層と、前記剥離層を覆うように設けられる第2秘密情報隠蔽層とを有し、当該スクラッチカードをスクラッチすることにより、前記第1秘密情報隠蔽層と、前記第2秘密情報隠蔽層のうち前記剥離層上に位置する部分のみ除去されることを特徴とする。
【0008】
また、前記剥離層が、所定の間隔を配して形成されていてもよく、前記基材と前記剥離層との間に、第3秘密情報が印刷されることにより形成される第3秘密情報印刷部が形成されていてもよい。
【0009】
また、前記第2秘密情報隠蔽層は、前記剥離層の少なくとも一部を残すように覆われており、前記基材がインキ組成物による着色が可能な材料からなり、前記剥離層がインキ組成物による着色が不能な材料からなっていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一の領域をスクラッチするのみならず、全ての秘密情報の内容を確認するためには他の領域をもスクラッチ必要があることから、一の領域をスクラッチし第1秘密情報を認識した後にもスクラッチに対する関心を低下させることはない。さらには、一の領域と他の領域とで発現する秘密情報の形態が異なることからスクラッチ後のスクラッチカードに高い意匠性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず初めに、図1(A)を参照して、本願第1の実施形態のスクラッチカードについて説明する。なお、図1(A)は本実施形態のスクラッチカードの概略断面図である。
【0012】
(本願第1の実施形態)
図1(A)に示すように、本願第1の実施形態のスクラッチカード10は、基材11上の一の領域に、第1秘密情報(図1(A)に示す場合には「当たり」の文字)が印刷されることにより形成される第1秘密情報印刷部12、第1秘密情報印刷部12を覆うように形成される第1秘密情報隠蔽層15がこの順で形成されており、他の領域には第2秘密情報(図1に示す場合には「星」の画像)の画線部を構成する剥離層14が所定の間隔を配して形成されており、剥離層14を覆うように(図1に示す場合には剥離層全部を覆うように)第2秘密情報隠蔽層16が形成されている。
【0013】
(基材)
基材11は、基材11上に第1秘密情報印刷部12及び剥離層14を形成するための土台として用いられるものであり、第1秘密情報印刷部12及び剥離層14を形成することができるものであれば特に限定されることはなく、従来公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、このような基材11の材質として、一般上質紙、コート紙、合成紙、アルミ箔ラミネート紙の他プラスチックシートであるポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等からなる延伸、無延伸のシートなどが挙げられる。また、基材11の厚みとしては、25μm〜200μmが一般的である。
【0014】
(第1秘密情報印刷部)
第1秘密情報印刷部12は、基材11の一の領域上に「当たり」、「はずれ」等のくじの当否、文字データ、画像、マーク、個人情報等の第1秘密情報を基材11上に印字することにより形成され、後述する第1秘密情報隠蔽層15がスクラッチされることで視認可能となる。
【0015】
第1秘密情報を印字するためのインキ組成物は、従来公知のインキ組成物を適宜選択して用いることができる。また、第1秘密情報印刷部12の形成方法についても特に限定されず、従来公知のインキ組成物を適宜選択し、基材11上の一の領域にフレキソ印刷機、オフセット印刷機、グラビア印刷機、活版印刷機、凹版印刷機、熱転写プリンタ、レーザープリンタ、ドットプリンタ、IJプリンタ等により印字することで形成することができる。
【0016】
(保護層)
また、図示するように第1秘密情報印刷部12上に、必要に応じて保護層13を設けることとしてもよい。保護層13は本発明のスクラッチカード10における任意の層であり、後述する第1秘密情報隠蔽層15をスクラッチにより剥離する際に、第1秘密情報隠蔽層15に剥離適性を持たせ、また、第1秘密情報が剥離しないように第1秘密情報表示部12を保護するための層である。上記効果を奏することのできる保護層13であれば、その材料について特に限定はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂と他の熱可塑合成樹脂(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体やニトロセルロース樹脂等)との混合物、ポリメチルメタクリレート樹脂とポリエチレンワックスとの混合物、酢酸セルロース樹脂と熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂やアクリル樹脂等)との混合物を適宜選択して用いることができる。保護層13の形成方法についても特に限定されないが、例えば、第1秘密情報印刷部12上にコーティング等して形成することができる。
【0017】
(第1秘密情報隠蔽層)
第1秘密情報印刷部12上(図1に示す場合にあっては保護層13上)には、第1秘密情報印刷部12を覆うように第1秘密情報隠蔽層15が形成されている。第1秘密情報隠蔽層15は、第1秘密情報印刷部12を隠蔽するために設けられ、スクラッチ前は第1秘密情報を視認させず、スクラッチにより第1秘密情報を視認可能とするための層である。
【0018】
第1秘密情報隠蔽層15は、上述したようにスクラッチ前は第1秘密情報を視認させず、スクラッチにより剥離され第1秘密情報を視認させる機能を発揮することができれば、第1秘密情報隠蔽層15を構成する材料について特に限定されず従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。例えば、ゴム系天然樹脂(天然ゴム、塩酸ゴム等)、ジエン系樹脂(ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等)や、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂をビヒクル(顔料を被印刷面に転移、固着させるための成分)としたものに、着色剤としての金属系微粉末(アルミニウム粉末、黄銅微粉末、銅微粉末)やそれらの酸化微粉末等を40〜60重量%含有することにより形成される。また、第1秘密情報隠蔽層15の下地の隠蔽性を向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を1〜2重量%含有させてもよい。第1秘密情報隠蔽層15を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足させることができる。第1秘密情報隠蔽層15の形成方法についても特に限定されないが、例えば、上記の組成物を溶剤で希釈したものを基材11上にコーティング等して形成することができる。
【0019】
第1秘密情報(第1秘密情報印刷部12)が形成された基材上の一の領域とは異なる他の領域には、第2秘密情報の画線部を形成する剥離層14が所定の形状で(図1(A)に示す場合には「星」の形状)設けられている。剥離層14は、後述する第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチする前は視認することはできず、第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチすることで、図1(C)に示すように剥離層14上に設けられた第2秘密情報隠蔽層16のみ除去され視認可能となる。また、剥離層14は第2秘密情報の画線部を形成するような形状で基材11上に設けられていることから、スクラッチすることで視認可能となる剥離層14により第2秘密情報の内容を確認することが可能となる。
【0020】
剥離層14を構成する材料は、剥離層14上に設けられる第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチにより剥離することができれば、その材料について特に限定はない。このような材料として、例えば弗素系樹脂、シリコーン、各種のワックスなどの離型剤を添加または共重合させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂、ワックス、メラミン系樹脂等が挙げられる。また、上記材料に、無機顔料や有機顔料等の顔料や、塩基性染料や酸性染料等の染料を添加し剥離層14に色彩を付与させてもよい。
【0021】
なお、剥離層14の色彩について特に限定されず、透明であってもよく色彩を有していてもよい。色彩を有する剥離層14とした場合には、後述する第2秘密情報隠蔽層16のスクラッチ後に当該色彩にて第2秘密情報を視認させることができ、透明性を有する剥離層14とした場合には剥離層14を介して基材11の色彩にて第2秘密情報を視認させることができ、第2秘密情報に高い意匠性を付与することができる。なお、透明とは透明及び半透明をも包含するものである。
【0022】
また、第2秘密情報の画線部を構成する剥離層14の形状については第2秘密情報を示すことができる形状であれば特に限定されることはなく、スクラッチカードの用途に応じて適宜選択することができ、図1に示すように図形等を示す形状であってもよく、また文字や記号等の情報を示す形状であってもよい。また、図1に示すように基材11上に剥離層14を所定の間隔を配して設けることとしてもよい。このように、所定の形状の剥離層14を所定の間隔を配して基材上に設けることで、第2秘密情報の内容を確認するためには、第2秘密情報隠蔽層16の全ての部分をスクラッチする必要があり、情報の内容を確認するためのスクラッチに対する関心を高めることができる。
【0023】
さらにまた、第2秘密情報の画線部となる剥離層14の形状を第1秘密情報と関連性を有する情報を示す形状としてもよい。第1秘密情報と第2秘密情報とを相互に関連性を有する情報とした場合には、情報の内容を確認するためには、第1秘密情報隠蔽層15をスクラッチするだけでは足りず、第2秘密情報隠蔽層16をもスクラッチする必要があり、情報の内容を確認するためのスクラッチに対する関心を高めることができる。なお、相互に関連性を有する情報とは、例えば、くじ等に用いられるスクラッチカードにあっては、「あたり」、「はずれ」の当否情報や「1等」、「2等」等が挙げられ、関連性を有する情報であればその内容について特に限定はされない。
【0024】
上記形状の剥離層14を基材11上に形成する方法についても特に限定はなく、上記材料をオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷方式等の印刷により形成することができる。
【0025】
(第2秘密情報隠蔽層)
第2秘密情報隠蔽層16は、前記他の領域における前記基材11及び前記剥離層14を覆うように形成され、スクラッチ前は剥離層14を視認させず、スクラッチにより剥離層14上に位置する第2秘密情報のみが除去されることで、第2秘密情報の画線部を形成する剥離層14が視認可能となり、これにより第2秘密情報を視認可能とせしめるための層である。
【0026】
第2秘密情報隠蔽層16は、上述したようにスクラッチ前は第2秘密情報となる剥離層14を視認させず、スクラッチにより剥離層14上に位置する第2秘密情報隠蔽層16のみを剥離させることができ、一方、基材11上に直接設けられる第2秘密情報隠蔽層16はスクラッチにより剥離させない機能を発揮することができれば、第2秘密情報隠蔽層16を構成する材料について特に限定はされず、基材11の材質及び剥離層14の成分に応じて従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。例えば、基材11として印刷用紙を用い、剥離層14の材料としてシリコーン離型剤を添加したアクリル系樹脂を用いた場合には、第2秘密情報隠蔽層16の材料として塩酸ビニルと酢酸ビニルの共重合体の樹脂を用いることで、スクラッチにより基材11上に位置する第2秘密情報隠蔽層16が剥離されることなく、剥離層14上に位置する第2秘密情報隠蔽層16のみが剥離される。
【0027】
また、基材11上に位置する第2秘密情報隠蔽層16との密着性を高めるために、他の領域における基材11上の一部又は全部に、接着層を設けることとしても良い(図示しない)。基材11上に接着層を設けることで接着層を介して基材11と第2秘密情報隠蔽層16とを強固に密着させることができスクラッチにより第2秘密情報隠蔽層16が剥離されることを効果的に防止することができる。また、接着層上に剥離層14を形成することで基材11と剥離層14とを強固に密着させることができ、これにより、剥離層14上に位置する第2秘密情報隠蔽層16のみをスクラッチにより選択的に剥離することができる。
【0028】
接着層を構成する材料については、基材11、剥離層14及び第2秘密情報隠蔽層16の材料に応じて従来公知の材料の中から適宜選択することができ、例えば、樹脂組成物、溶媒、その他の添加剤とから構成される接着層用塗工剤により形成される。溶媒は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の非水溶性有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤、水、またはこれらの混合溶剤等が用いることができる。なお、接着層用塗工剤として、溶媒を用いない無溶剤タイプの塗工剤を用いることも可能である。
【0029】
接着層は、上述した接着層用塗工剤(接着剤)を基材11上に塗工し、乾燥、硬化させることにより形成される。塗工方法としては、従来公知の各種方法、例えば、ロールコート、グラビアコート、エアナイフコート、コンマコート等を用いることができる。
【0030】
また、第1秘密情報隠蔽層15及び第2秘密情報隠蔽層16の一部又は全部を覆うように表面保護層を形成することとしてもよい(図示しない)。表面保護層を形成することで第1秘密情報隠蔽層15及び第2秘密情報隠蔽層16の耐擦過性を向上させ、秘密情報隠蔽層が何らかの接触により剥離してしまい、第1秘密情報及び第2秘密情報がスクラッチ前に視認可能となってしまうことを効果的に防止することができる。このような表面保護層として、シリコーンワックス、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス等の剥離性成分を含む保護層や、UV硬化膜やEB硬化膜からなる保護層が挙げられる。また、第1秘密情報隠蔽層15及び第2秘密情報隠蔽層16を構成する材料に剥離性成分を添加することにより秘密情報隠蔽層自体に表面保護層としての機能を持たせることとしてもよい。
【0031】
ここで、本願第1の実施形態におけるスクラッチカード10のスクラッチ前後の表面状態を、図1(B)、図1(C)、図1(D)を用いて説明する。なお、図1(B)はスクラッチ前のスクラッチカード10を図1(A)に示す矢印Xの方向から見た表面状態図であり、図1(C)は本実施形態におけるスクラッチカード10のスクラッチ後の概略断面図であり、図1(D)はスクラッチ後のスクラッチカード10を図1(D)に示す矢印Xの方向から見た表面状態図である。
【0032】
図1(A)に示すように一の領域における基材11上の最表面には第1秘密情報隠蔽層15が、また、他の領域における基材11上の最表面には第2秘密情報隠蔽層16が形成されていることから、図1(B)に示すように、スクラッチ前には第1秘密情報印刷部12及び第2秘密情報の画線部を構成する剥離層14は視認することはできず、第1秘密情報隠蔽層15及び第2秘密情報隠蔽層16のみが視認可能となっている。なお、基材11上の一の領域には第1秘密情報として「当たり」の文字が印刷された第1秘密情報印刷部12が形成されており、基材11上の他の領域には、第2秘密情報を形成する剥離層14が所定の形状(図1に示す場合には「星」の画像)にてパターン状に複数形成されている。
【0033】
ここで、図1(C)に示すように、第1秘密情報隠蔽層15をスクラッチすることで第1秘密情報隠蔽層15が剥離され、スクラッチ前は視認することができなかった第1秘密情報を視認することが可能となる(図1(D)に示す「当たり」の文字)。また、当該一の領域とは異なる他の領域に形成された第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチすることで、剥離層14上に位置する第2秘密情報隠蔽層16のみが剥離され剥離層14(第2秘密情報)が視認可能となる(図1(D)に示す複数の「星」の画像)。このように、第1秘密情報及び第2秘密情報をそれぞれ異なる領域に形成し、かつ第1秘密情報と第2秘密情報の発現方法を異ならせることでスクラッチ後のスクラッチカードの意匠性を高めることができる。また、第1秘密情報隠蔽層15が設けられた領域のみならず第2秘密情報隠蔽層16が設けられた他の領域もスクラッチすることで全ての秘密情報を確認することができることから、秘密情報隠蔽層15のスクラッチ後にもスクラッチに対する関心を低下させることはない。
【0034】
(本願第2の実施形態)
次に、図2(A)〜図2(C)を参照して、本願第2の実施形態について説明する。なお、図2は、本願第2の実施形態におけるスクラッチカード20の例を示す図であり、図2(A)は、スクラッチ前のスクラッチカード20の概略断面図であり、図2(B)は、本願第2の実施形態におけるスクラッチカード20のスクラッチ後の概略断面図であり、図2(C)はスクラッチ後のスクラッチカードを図2(B)に示す矢印Xの方向から見た表面状態図である。
【0035】
図2(A)に示すように本願第2の実施形態のスクラッチカード20は、基材11上の他の領域において、第2秘密情報(図2に示す場合には「星」の画像)の画線部を構成する剥離層14と基材11との間に第3秘密情報(図2に示す場合には「1等」の文字)が印刷されることにより形成される第3秘密情報印刷部22が形成されている。すなわち、本願第2の実施形態のスクラッチカード20は、前記剥離層14と基材11との間に第3秘密情報印刷部22が設けられていることに特徴を有し、他の構成については特にことわりの無い限り同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0036】
(第3秘密情報印刷部)
第3秘密情報印刷部22は、基材11の他の領域上に「当たり」、「はずれ」等のくじの当否、文字データ、画像、マーク、個人情報等の第3秘密情報を基材11上に印字することにより形成され、後述する第2秘密情報隠蔽層16がスクラッチされることで第2秘密情報の画線部を形成する剥離層14が視認可能となるとともに、剥離層14を介して第3秘密情報が視認可能となる。
【0037】
第3秘密情報を印字するためのインキ組成物は、上述の第1秘密情報印刷部12と同様従来公知のインキ組成物を適宜選択して用いることができる。また、第3秘密情報印刷部22の形成方法についても第1秘密情報印刷部12と同様の方法で形成することができ、詳細な説明は省略する。
【0038】
ここで、剥離層14が第3秘密情報を視認できる程度の透明性を有していない場合には、第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチすることで剥離層14は視認可能となるものの、剥離層14を介して第3秘密情報を視認することができない。このような点を考慮すると当該実施形態の剥離層14は、第3秘密情報を視認できる程度の透明性を有することが必要となる。
【0039】
次に、本願第2の実施形態のスクラッチカード20におけるスクラッチ前後の表面状態を、図2(A)〜図2(C)を用いて説明する。
【0040】
図2(A)に示すように一の領域における基材11上の最表面には第1秘密情報隠蔽層15が、他の領域における基材11上には第3秘密情報印刷部22が形成され、第3秘密情報印刷部を覆うように剥離層14が設けられ、最表面(図2に示す場合には剥離層14を覆うように)に第2秘密情報隠蔽層16が形成されている。したがって、スクラッチ前には第1秘密情報印刷部12、第2秘密情報の画線部を構成する剥離層14及び第3秘密情報を視認することはできず、第1秘密情報隠蔽層15及び第2秘密情報隠蔽層16のみが視認可能となっている。(図示しない。図1(B)参照)。なお、基材11上の一の領域には第1秘密情報として「当たり」の文字が印刷された第1秘密情報印刷部12が形成されており、基材11上の他の領域には、透明性を有し第2秘密情報の画線部を形成する剥離層14が所定の形状(図1に示す場合には「星」の画像)にて形成され、基材11と剥離層14との間に第3秘密情報として「1等」の文字が印刷された第3秘密情報印刷部が形成されている。
【0041】
ここで、図2(B)に示すように、第1秘密情報隠蔽層15をスクラッチすることで第1秘密情報隠蔽層15が剥離され、スクラッチ前は視認することができなかった第1秘密情報を視認することが可能となる(図2(C)に示す「当たり」の文字)。また、当該一の領域とは異なる他の領域に形成された第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチすることで、剥離層14上に位置する第2秘密情報隠蔽層16のみが剥離され剥離層14(第2秘密情報)が視認可能となる(図2(C)に示す複数の「星」の画像)。さらに透明性の剥離層14を介して第3秘密情報を視認することが可能となる(図2(C)に示す「1等」の文字)。このように、当該実施形態によれば、第2秘密情報と第3秘密情報を異なる発現形態により同時に視認可能とすることができ、スクラッチ後のスクラッチカード20に高い意匠性を付与することができる。
【0042】
(本願第3の実施形態)
次に、図3(A)〜図3(E)を参照して、本願第3の実施形態について説明する。なお、図3は、本願第3の実施形態におけるスクラッチカード30の例を示す図であり、図3(A)は、スクラッチ前のスクラッチカード30の概略断面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す矢印Xの方向から見た表面状態図であり、図3(C)は、本願第3の実施形態におけるスクラッチカード30のスクラッチ後の概略断面図であり、図3(D)はスクラッチ後のスクラッチカード30を図3(C)に示す矢印Xの方向から見た表面状態図であり、図3(E)は、スクラッチ後に筆記具にて筆記を行った後の表面状態図である。
【0043】
図3(A)に示すように本願第3の実施形態のスクラッチカード30は、基材11上の他の領域において、第2秘密情報(図2に示す場合には「星」の画像)の画線部を構成する剥離層14がパターン状に形成され、剥離層14の少なくとも一部を残すように第2秘密情報隠蔽層16が覆われている。特に、本願第3の実施形態のスクラッチカード30は、剥離層14の少なくとも一部を残すように第2秘密情報隠蔽層16が設けられ、かつ剥離層14はインキ組成物により着色が不能な材料からなり、基材11はインキ組成物による着色が可能な材料からなる点に特徴を有し、他の構成については特にことわりの無い限り同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0044】
当該実施形態におけるスクラッチカード30によれば、秘密情報隠蔽層16に覆われていない剥離層14及び、その周辺に位置し第2秘密情報隠蔽層16に覆われていない基材11を筆記具等で筆記した場合には、剥離層14が着色されることなく剥離層14の周辺に位置する基材11がインキ組成物の色彩にて着色され潜像であった第2秘密情報の一部を視認することが可能となる。
【0045】
ここで、インキ組成物とは一般に用いられている筆記具用のインキ組成物に分類されているものであれば、いずれでもよく、例えば、水性顔料インキ、水性染料インキ、油性顔料インキ、油性染料インキ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0046】
当該実施形態における基材11の材料は、上述のインキ組成物を着色することが可能な材料であれば特に限定されることはなく、例えば、一般上質紙などの印刷用紙、合成紙、フィルム等を好適に用いることができる。
【0047】
また、当該実施形態における剥離層14の材料は、剥離層14上に位置する第2秘密情報隠蔽層16を剥離することができるとともに、上述のインキ組成物を着色することができない(インキをはじく)材料で形成されていればその材料について特に限定はない。例えば、弗素系樹脂、シリコーン、各種のワックスなどの離型剤を添加または共重合させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂、ワックス、メラミン系樹脂等からなる剥離層14は、インキ組成物による着色を受けつけず、剥離層14にインキ組成物の色彩を着色することができず、当該実施形態の剥離層14の材料として好適に用いることができる。
【0048】
また、スクラッチ前に第2秘密情報隠蔽層16に覆われていない剥離層14が視認できる場合には、秘密情報としての機能を発揮することができないことから、剥離層14はスクラッチ前に潜像であることが好ましい。このような点を考慮すると剥離層14は透明性を有していることが好ましい。また、剥離層14が透明性を有していない場合であっても基材11の色彩と同一の色彩で剥離層14を形成することで、剥離層14を潜像とすることも可能である。
【0049】
次に、本願第2の実施形態のスクラッチカード20におけるスクラッチ前後の表面状態及び筆記具にて筆記した際の表面状態を図3(A)〜図3(E)を用いて説明する。
【0050】
図3(A)に示すように一の領域における基材11上の最表面には第1秘密情報隠蔽層15が、他の領域における基材11上には所定形状(図3に示す場合には「星」の画像)の剥離層14がパターン状に設けられ、剥離層14の一部を残すように第2秘密情報隠蔽層16が覆われている。なお、図3(B)は、説明の都合上、第2秘密情報隠蔽層16に覆われていない剥離層14を破線で示すが、剥離層14を基材と同色のインク組成物または透明性を有する材料を用いて形成することで剥離層14を潜像とすることができスクラッチ前には第1秘密情報印刷部12、及び第2秘密情報の画線部を構成する剥離層14、さらには第2秘密情報隠蔽層16に覆われていない剥離層14を視認することはできず、第1秘密情報隠蔽層15及び第2秘密情報隠蔽層16のみが視認可能となっている。(図3(B)参照)。
【0051】
ここで、図3(C)に示すように、第1秘密情報隠蔽層15をスクラッチすることで第1秘密情報隠蔽層15が剥離され、スクラッチ前は視認することができなかった第1秘密情報を視認することが可能となる(図3(D)に示す「当たり」の文字)。また、当該一の領域とは異なる他の領域に形成された第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチすることで、剥離層14上に位置する第2秘密情報隠蔽層16のみが剥離され剥離層14(第2秘密情報)が視認可能となる(図3(D)に示す複数の「星」の画像)。
【0052】
次いで、第2秘密情報隠蔽層16に覆われていない剥離層14の近傍(図3(E)に示す場合には領域Y)を筆記具にて筆記した場合には、図3(E)に示すように、剥離層14にはインキ組成物の色彩が着色されず、その近傍の基材11がインキ組成物の色彩にて着色され、第2秘密情報隠蔽層16に覆われていない剥離層14が視認可能となり、これにより第2秘密情報を完全に視認することが可能となる。このように、第2秘密情報の全てを確認するためには、秘密情報隠蔽層16のみならずその近傍の領域もスクラッチすることが必要となり、秘密情報隠蔽層15及び第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチした後にもスクラッチに対する関心を低下させることはない。また、第2秘密情報隠蔽層16をスクラッチすることで視認可能となる剥離層14と、その近傍を筆記具にて筆記することで視認可能となる剥離層14とが組み合わされることで第2秘密情報が発現することからスクラッチ後のスクラッチカードに対する意匠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願第1の実施形態のスクラッチカードである。
【図2】本願第2の実施形態のスクラッチカードである。
【図3】本願第3の実施形態のスクラッチカードである。
【符号の説明】
【0054】
10、20、30…スクラッチカード
11…基材
12…第1秘密情報印刷部
13…保護層
14…剥離層
15…第1秘密情報隠蔽層
16…第2秘密情報隠蔽層
22…第3秘密情報印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、基材上の一の領域に第1秘密情報が印刷されることにより設けられる第1秘密情報印刷部と、前記第1秘密情報印刷部を覆うように設けられる第1秘密情報隠蔽層と、
前記基材上の他の領域に直接又は間接的に所定の形状で設けられ、第2秘密情報の画線部を形成する剥離層と、前記剥離層を覆うように設けられる第2秘密情報隠蔽層とを有し、
当該スクラッチカードをスクラッチすることにより、前記第1秘密情報隠蔽層と、前記第2秘密情報隠蔽層のうち前記剥離層上に位置する部分のみ除去されることを特徴とするスクラッチカード。
【請求項2】
前記剥離層が、所定の間隔を配して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクラッチカード。
【請求項3】
前記基材と前記剥離層との間に、第3秘密情報が印刷されることにより形成される第3秘密情報印刷部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクラッチカード。
【請求項4】
前記第2秘密情報隠蔽層は、前記剥離層の少なくとも一部を残すように覆われており、
前記基材がインキ組成物による着色が可能な材料からなり、
前記剥離層がインキ組成物による着色が不能な材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスクラッチカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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