説明

スクラッチ双六ポイントカード

【課題】 サイコロなど補助具を必要とせず、すべての遊戯者に有利不利が生じないゲーム遊戯を楽しみながらポイントを獲得できるようにしたスクラッチ双六ポイントカードを提供する。
【解決手段】スクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったサイコロ情報が振ったサイコロの目に相当するサイコロ領域と、サイコロ情報に基づいてスタートからゴールまでコマを進めるマスの複数個を連鎖させたコースにおいて、前記コマが進んだマスのスクラッチ隠蔽層を除去し視認可能となったポイント情報に基づいて獲得ポイントが決定するスゴロク領域と、を有するスクラッチ双六ポイントカード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム遊戯および特殊形印刷物の技術分野に属する。特に、サイコロ、ルーレット等を使用せずに、目(または目の個数に相当する数値)を出現させ、その目(または数値)に応じて進行させることによりポイントを獲得することができるようにした双六に関する。
【背景技術】
【0002】
卓上ゲーム遊戯の一つとして双六が知られている。双六は、紙面に描かれた一定のコース上で遊戯者を代表するコマ(駒)を進め、最初にゴール(終着マス)へコマを到着させた遊戯者を勝者とする遊戯である(特許文献1、特許文献2)。この双六においては、サイコロ、ルーレットなどの補助具を使用し、出た目の数だけコマを進めることになっている。
このような従来のゲーム遊戯においては以下のような問題がある。
(1)サイコロ(ルーレット)など補助具が必要
(2)サイコロ(ルーレット)のクセを知って使用する遊戯者が有利になる。
【0003】
一方、商店街ぐるみのイベントや販売店単独で販売を促進するツールとしてスクラッチカードが抽選券、くじ引き、等に利用され、さらにスクラッチカードをポイントカードとして利用する提案がある(特許文献3)。また、ポイントを付与することを目的としたシステムの提案がある(特許文献4)。しかし、従来のポイントカード、ポイントシステムにおいては、単にポイントを付与することだけを目的としている。そのため、ポイントを獲得するプロセスは味気ないものであった。
【特許文献1】実開昭58−182775
【特許文献2】実開昭60−52879
【特許文献3】特開2002−175458
【特許文献4】特開2004−206400
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、サイコロ(ルーレット)など補助具を必要とせず、すべての遊戯者に有利不利が生じないゲーム遊戯を楽しみながらポイントを獲得できるようにしたスクラッチ双六ポイントカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るスクラッチ双六ポイントカードは、サイコロの目に相当するサイコロ情報すなわちサイコロの目そのものまたは目の個数を表す数値の複数個が印刷され、前記サイコロ情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されており、前記スクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったサイコロ情報が振ったサイコロの目に相当するサイコロ領域と、前記サイコロ情報に基づいてスタートからゴールまでコマを進めるマスの複数個を連鎖させたコースが印刷され、前記マスにはポイント情報が印刷され、それらのポイント情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されており、前記コマが進んだマスのスクラッチ隠蔽層を除去し視認可能となったポイント情報に基づいて獲得ポイントを決定するスゴロク領域と、を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係るスクラッチ双六ポイントカードは、請求項1に係るスクラッチ双六ポイントカードにおいて、前記スゴロク領域の前記コースとは別の部位に獲得ポイントを増減させるオプション情報が印刷され、その部位がスクラッチ隠蔽層で被覆されており、前記部位のスクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったオプション情報に基づき獲得ポイントを増減させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係るスクラッチ双六ポイントカードによれば、サイコロの目に相当するサイコロ情報すなわちサイコロの目そのものまたは目の個数を表す数値の複数個が印刷され、前記サイコロ情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されているサイコロ領域において、そのスクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったサイコロ情報を振ったサイコロの目とすることができ、その個数に基づいてスタートからゴールまでコマ(駒)を進めるマス(升)の複数個を連鎖させたコースが印刷され、それらのマスにはポイント情報が印刷され、それらのポイント情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されているスゴロク領域において、前記コマが進んだマスのスクラッチ隠蔽層を除去し視認可能となったポイント情報に基づいて獲得ポイントが決定される。したがって、サイコロ(ルーレット)など補助具を必要とせず、すべての遊戯者に有利不利が生じないゲーム遊戯を楽しみながらポイント情報を獲得できるようにしたスクラッチ双六ポイントカードが提供される。
本発明の請求項2に係るスクラッチ双六ポイントカードによれば、請求項1に係るスクラッチ双六ポイントカードにおいて、前記スゴロク領域の前記コースとは別の部位に獲得ポイントを増減させるオプション情報が印刷され、その部位がスクラッチ隠蔽層で被覆されており、前記部位のスクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったオプション情報に基づき獲得ポイントが増減される。したがって、獲得したポイントをさらに増減させる楽しみを味合うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明のスクラッチ双六における構成の一例を図1に示す。図1において、1はサイコロ領域、2はスゴロク領域、P11〜P66は隠蔽パッチ、M1はスタート(のマス)、M2〜M19は(コースの途中の)マス、M20はゴール(のマス)である。
サイコロ領域1はサイコロの目に相当する情報すなわちサイコロの目そのものまたは目の個数を表す数値の複数個が印刷され、それらの情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されている領域である。サイコロ領域1は、たとえば、印刷用紙に設けられたものであって、その印刷用紙にはサイコロの目そのものの画像またはサイコロの目の個数に相当する数値が印刷されている。さらに、サイコロの目に相当する情報が印刷された部位はスクラッチ隠蔽層で被覆されている。スクラッチ隠蔽層は印刷された情報を被覆して隠蔽するが、その層はコイン等を使用して引っ掻いたり擦ったり(スクラッチ)することにより容易に削られて取り除くことができる隠蔽層である。スクラッチ隠蔽層を取り除くことにより隠蔽された情報は開示され視認可能とすることができる。
【0008】
印刷面にスクラッチ隠蔽層を設ける方法については周知であるからここでは詳細を省略する。多くの場合、クラッチ隠蔽層との間に印刷面を保護しスクラッチ隠蔽層に対する剥離を適度に有する透明アンカーコート層を設ける。透明アンカーコート層としては、たとえば、メタクリレート樹脂と他の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との混合物、電磁放射線の照射によって硬化する透明インキ、等の材料を使用することができる。その上に形成するスクラッチ隠蔽層としては、たとえば、透明アンカーコート層に対して低接着性を有し、層内において凝集破壊し易い樹脂材料を溶剤に溶かした樹脂バインダー中に隠蔽製の高い顔料としてアルミニウム紛等の金属粉末を混合した材料を使用することができる。
【0009】
隠蔽パッチP11〜P66は、サイコロ領域1において、サイコロの目に相当するサイコロ情報が印刷された部位である。図1においては6行6列に行列配置されており、36個の隠蔽パッチが示されているが、配置、個数について本発明は限定されない。隠蔽パッチP11〜P66の各々は、個別に手作業で削り取ることができるように適度の間隔をおいて配置されている。図1に示す一例においては、たとえば、サイコロを振る行為の一回に対して隠蔽パッチP11〜P66における一行を割当て、その一行の属する6つの隠蔽パッチ(たとえば隠蔽パッチP11〜P16)に対してサイコロの目の1つから6つをランダムに割当てる。
【0010】
スゴロク領域2は、サイコロ情報に基づいてスタートからゴールまでコマを進めるマスの複数個を連鎖させたコースが印刷されている。また、そのマスにはポイント情報が印刷され、それらのポイント情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されている。そして、コマが進んだマスのスクラッチ隠蔽層を除去し視認可能となったポイント情報に基づいて獲得ポイントが決定される。スゴロク領域2は、たとえば、サイコロ領域1が印刷されている印刷用紙に設けられたものである。その印刷用紙には、コマの到達地点等を示す複数のマスとマス間の進行方向を示す線だけでなく、周知の双六と同様に、その他の情報が印刷されていてもよい。たとえば、その他の情報としては、獲得ポイントに相当する賞品の一例、ボーナスポイントが付与されたマスの明示、等の運用内容や宣伝を表現した文字情報、それを視覚表現した絵柄情報、等である。その印刷面にスクラッチ隠蔽層を設ける方法については前述のとおりである。
【0011】
スタートM1は、スクラッチ双六におけるコマのスタート地点を示すマスである。マスM2〜M19はコース(進路)の途中のコマの到達地点を示すマスである。ゴールM20はスクラッチ双六におけるコマのゴール地点を示すマスである。マスM2〜M19にはポイント情報が印刷されている。ポイント情報は、ポイントを直接的に表した数値、またはポイントを間接的に表した文字(語句)、絵柄、等である。数値の具体例としては「+200」「−100」、文字(語句)の具体例としては「金賞」、「銀賞」、「銅賞」、等である。
【0012】
以上、構成について説明した。次に、本発明のスクラッチ双六におけるサイコロ領域1の使用方法について説明する。サイコロ領域1の使用方法について説明図を図2に示す。図2に一例を示すように、1回目の試行において1行目の隠蔽パッチP11〜P16の中から1つの隠蔽パッチP12が選択され、スクラッチ隠蔽層が削り取られると、隠蔽パッチP12にはサイコロの目に相当するサイコロ情報として「5」が印刷されている。また、2回目の試行において2行目の隠蔽パッチP21〜P26の中から1つの隠蔽パッチP24が選択され、スクラッチ隠蔽層が削り取られると、隠蔽パッチP24にはサイコロの目に相当するサイコロ情報として「5」が印刷されている。このように、1回目に試行において1行目の隠蔽パッチ1が使用され、2回目に試行において2行目の隠蔽パッチが使用され、・・・、というようにサイコロ領域1が使用される。図2に示す一例においては、サイコロの目は、「5」→「4」→「6」→「2」の順番で出現したことになるから、コマの進め方としては、「5マス」→「4マス」→「6マス」→「2マス」というコマの進数と順番が決定する。
【0013】
次に、本発明のスクラッチ双六におけるスゴロク領域2の使用方法について説明する。使用方法の一例について説明図を図3に示す。図3(A)に示すスクラッチ双六は図1に示したスクラッチ双六と同一のものである。図3(B)にはスクラッチ層を削り取ったマスM18の拡大図が示されている。図3(A)に示すスクラッチ双六はスタートM1とゴールM20を含めてマスは20個であり、マスとマスの間の個数は19個である。これに対して、図2に示した前述の試行回数4回においては、サイコロの目は「5」、「4」、「6」、「2」であり、合計のコマの進数は17となる。したがって、この結果ではゴールできないことになる。しかし、コマを進めるマスを連鎖させたコースの途中に、「6つ進む」、「マスM15にジャンプ」、等の特別なマスを設けることにより試行回数が少ない場合においても、ゴールに到達する確立を高めることができる。
【0014】
その試行回数4回において、図3においては、コマはマスM18まで進んでいる。このマスM18のスクラッチ層を削り取ると、図3(B)に示すように、「もう一息」「+20pt」というメッセージとポイントの文字が顕れる。したがって、マスM18において20ポイントを獲得したことになる。このような文字はマスM2〜M19に印刷されており、コマが進められたマスにおいてはスクラッチ層が削り取られその文字が視認可能となる。この一例においては、マスM6、マスM10、マスM16、マスM18が視認可能となっており、そこに印刷されているポイントの合計が獲得ポイントとなる。
【0015】
次に、使用方法の別の一例について図4を参照して説明する。図4(A)に示すスクラッチ双六は図1に示したスクラッチ双六とほぼ同一であるが、スゴロク領域2のコースとは別に、その下方に「ダブルチャンス」と書かれており、その右側に2つのマスが配置されている点で異なっている。図4(B)には、それら2つのマスであるマスO1とマスO2の拡大図が示されている。マスO1とマスO2には、獲得ポイントを増減させるオプション情報が印刷され、その部位がスクラッチ隠蔽層で被覆されている。そして、その部位のスクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったオプション情報に基づき獲得ポイントを増減させる。図4(B)に示す一例において、マスO1には「獲得ポイント3倍!」というメッセージの文字が印刷されている。また、マスO2には「獲得ポイント0.5倍!」というメッセージの文字が印刷されている。このオプション情報を実施するしない、すなわち「ダブルチャンス」に挑戦するかしないかは、たとえば利用者(このゲーム遊戯を行なう者の)自由とする。
【0016】
なお、スクラッチ双六のルールの1つとして、サイコロの目とゴールまでの残りの進数とが一致したときにだけゴールと認め、オーバーしたときにはオーバーした進数だけ後戻するというルールがある。そのルールを適用することができるスクラッチ双六の一例を図5に示す。そのルールを本発明のスクラッチ双六ポイントカードに適用するときには、複数回のゴールへの挑戦を可能とするためにマスを分割することができる。図5に示す一例においては、マスは4分割されており、4回の挑戦が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のスクラッチ双六における構成の一例を示す図である。
【図2】本発明のスクラッチ双六におけるサイコロ領域の使用方法についての説明図である。
【図3】本発明のスクラッチ双六におけるスゴロク領域の使用方法の一例についての説明図である。
【図4】本発明のスクラッチ双六におけるスゴロク領域の使用方法の別の一例についての説明図である。
【図5】サイコロの目とゴールまでの残りの進数とが一致したときにだけゴールと認めるルールを適用することができるスクラッチ双六の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1、1a、1b サイコロ領域
2、2a、2b スゴロク領域
P11〜P66 隠蔽パッチ
M1 スタート(のマス)
M2〜M19 (コースの途中の)マス
M20 ゴール(のマス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイコロの目に相当するサイコロ情報すなわちサイコロの目そのものまたは目の個数を表す数値の複数個が印刷され、前記サイコロ情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されており、前記スクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったサイコロ情報が振ったサイコロの目に相当するサイコロ領域と、
前記サイコロ情報に基づいてスタートからゴールまでコマを進めるマスの複数個を連鎖させたコースが印刷され、前記マスにはポイント情報が印刷され、それらのポイント情報がスクラッチ隠蔽層で被覆されており、前記コマが進んだマスのスクラッチ隠蔽層を除去し視認可能となったポイント情報に基づいて獲得ポイントを決定するスゴロク領域と、
を有することを特徴とするスクラッチ双六ポイントカード。
【請求項2】
請求項1記載のスクラッチ双六ポイントカードにおいて、前記スゴロク領域の前記コースとは別の部位に獲得ポイントを増減させるオプション情報が印刷され、その部位がスクラッチ隠蔽層で被覆されており、前記部位のスクラッチ隠蔽層の1つを選択して除去し視認可能となったオプション情報に基づき前記獲得ポイントを増減させることを特徴とするスクラッチ双六ポイントカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−230165(P2008−230165A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76229(P2007−76229)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】