説明

スクラッチ部付きカード

【課題】ボール紙などの厚紙より強靭で剛性が高く、異なる風合いを持ち、質感が高いバルカナイズドファイバーを用いたスクラッチ部付きカードを提供すること。
【解決手段】少なくとも基材の一方の面に、平坦化層と、機密情報層と、少なくとも隠蔽層を備えたスクラッチ部と、が設けられたカードにおいて、前記基材がバルカナイズドファイバーからなることを特徴とするスクラッチ部付きカードであり、スクラッチ部には、隠蔽層のほかに、保護層、透明な易剥離層、接着層、接着増強層などが適宜含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密情報の上に隠蔽層を積層してこの機密情報を隠蔽すると共に、スクラッチすることによって前記隠蔽層を除去して前記機密情報を可視化するスクラッチ部付きカードに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなスクラッチ部付きカードは、くじや抽選券、あるいはプリペイドカードとして利用されている。例えば、スクラッチ宝くじ、電話料金のプリペイドカード、販促キャンペーン用のスクラッチカード等である。このようなスクラッチ機能付きカードは、一般に、紙などの基材上に機密情報を印刷し、この機密情報上に隠蔽層を設けて構成され、隠蔽部分全体を爪やコインなどで擦り取ることにより、隠蔽層の下に隠蔽されていた機密情報を認識することができる。
【0003】
従来、このようなスクラッチ部付きカードの基材としては、カードとしての腰の強さを出す為、ボール紙などの厚紙が使用されて来た。
【0004】
スクラッチ部付きカードの基材として、ボール紙などの厚紙はある程度の強度があり、カードとしての用途に耐え得るものであるが、更に強靭性や剛性を求める用途やボール紙とは異なる風合いや質感を求めるニーズには応えることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001− 39069号公報
【特許文献2】特開2003−159889号公報
【特許文献3】特開2005−313505号公報
【特許文献4】特開2007−130846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ボール紙などの厚紙より強靭で剛性が高く、異なる風合いを持ち、質感が高いバルカナイズドファイバーを用いたスクラッチ部付きカードを提供することにある。
【0007】
バルカナイズドファイバーを用いたシートなどの表面は、木材パルプや綿パルプの繊維を用いている天然素材であるため、非常に粗い。スクラッチ部付きカードとして使用するためには、表面粗さを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において上記課題を解決するため、第1の発明は、少なくとも基材の一方の面に、平坦化層と、機密情報層と、少なくとも隠蔽層が備えたスクラッチ部と、が設けられたカードにおいて、前記基材がバルカナイズドファイバーからなることを特徴とするスクラッチ部付きカードである。
【0009】
また第2の発明は、スクラッチ部がカードの表面に部分的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクラッチ部付きカードである。
【0010】
また第3の発明は、スクラッチ部が、カードの周囲の端から1mm以上内側の領域で、
任意のサイズで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラッチ部付きカードである。
【0011】
また第4の発明は、スクラッチ部付きカードのスクラッチ部が形成された領域以外の領域の表面状態が、カード本来の表面状態と同等であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカードである。
【0012】
また第5の発明は、少なくとも一方の面に絵柄が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカードである。
【0013】
また第6の発明は、平坦化層が紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカードである。
【0014】
また第7の発明は、平坦化層の上に接着力増強層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカードである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スクラッチ部付きカードの基材として、バルカナイズドファイバーを用いたシートを紙基材の代わりに使用できるようになる。その結果、バルカナイズドファイバーを用いたシートの特徴である強靭性や剛性を、またボール紙などとは異なる風合いや質感があるスクラッチ部付きカードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態として示したスクラッチ部付きカードの斜視図であり、(b)は(a)の実線Sでの断面を示した模式図である。
【図2】本発明に係るカード基材の例を示す模式図である。
【図3】本発明を説明するための比較例を示す模式図である。
【図4】本発明のスクラッチ部付きカードの一実施形態を示す断面模式図である。
【図5】本発明のスクラッチ部付きカードの一実施形態を示す断面模式図である。
【図6】(A)は成形スタンプを用いて平坦化層上にスクラッチ部を貼着する概念の一例を示す断面模式図である。(B)は圧着ロールを用いて平坦化層上にスクラッチ部を貼着する概念の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態として示したスクラッチ部付きカード1の斜視図であり、図1(b) は、図1(a)の本発明の実施形態の実線Sでの断面を示した模式図である。図1では、カード基材2の一方の面に矩形のスクラッチ部3を配置した構成である。スクラッチ部3の配置構成については、図1の構成に限定されるものではない。両面に配置してもよく、一面に複数のスクラッチ部3を配置してもよい。またスクラッチ部3以外の構成をカード基材2に加えても良い。
【0018】
本発明の実施の形態に係るカード基材2は、少なくともスクラッチ部3の配置面が、多孔質基材からなる。また、多孔質基材の意匠性を生かすために、カード基材のスクラッチ部3の配置面のスクラッチ部3を配置する多孔質基材表面の領域(スクラッチ部配置領域)以外の全てあるいは一部の領域において、多孔質基材の凹凸面が露出している。ここで多孔質基材とは、紙基材等の繊維性材料や微小な空隙を有する多孔性材料を含むことで、表面に凹凸を有する基材である。このような多孔質基材としては、例えばteslin(登録商標:PPGインダストリーズ製)やユポ(登録商標:ユポ・コーポレーション製) 等のポリオレフィン系多孔質基材やその他発泡プラスチックフィルムや生分解が可能な紙基材
やポリ酸などの生分解製樹脂からなる多孔質基材が挙げられる。本発明では、基材としてはバルカナイズドファイバーを用いた基材を用いる。スクラッチ部配置領域には平坦化層5が設けられ、平坦化層5上にスクラッチ部3が形成されている。
【0019】
カード基材2の構成としては、図2(a)のように剛性の高いコア基材2aの片面又は両面に外装基材2bとして多孔質基材を貼り合わせたものや、図2(b) のように剛性の高い多孔質基材の単一基材2cからなるものが挙げられる。
【0020】
カード基材2の材料のうち、少なくともコア基材2aあるいは単一基材2cの材料としては剛性の高い材料を用いることが望ましい。その例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等の一般的な樹脂材料、ポリ乳酸などの生分解性樹脂や、剛性を有するように加工された紙基材を用いることができる。外装基材2bとしては、例えばt e s 1in(登録商標:PPGインダストリーズ製)やユポ(登録商標:ユポ・コーポレーション製)等のポリオレフィン系多孔質基材やその他発泡プラスチックフィルムやセルロースなどの生分解性の繊維を主成分とする紙基材やポリ乳酸などの生分解性樹脂からなる多孔質基材が挙げられる。特に生分解性材料のコア基材2aと、生分解性材料の多孔質基材による外装基材2bとでカード基材2を構成すれば、生分解性の材料のみでカード基材を構成することができる。
【0021】
一方、本発明では後述するように所定の平坦化層を設けることで、凹凸を有し、剛性が高い多孔質基材でも、スクラッチ部配置領域の研磨等を行わずに、特に、バルカナイズドファイバのように剛性の高い生分解性の多孔質基材を用いれば、単一基材2cとしてカード基材2を構成できることから、環境及び製造コストの両面から好ましい。上述のJISX6301:2005によれば、カード基材の剛性(静的曲げ強さ)はJIS X6305・1:2003に規定された試験での荷重によって生じる変形が13mm〜35mmであれば良いので、このような剛性を持つ多孔質基材を採用することで、好適に単一基材でカード基材を構成することができる。
【0022】
スクラッチ部付きカード1の表面に露出する多孔質基材面は、平坦化層表面粗さをある程度均一にするためにプレス加工、カレンダー加工を施しても良い。また防水、環境耐性向上のため、カード表面に表面処理や保護層を施してもよい。カード面の意匠として絵柄層を設けても良い。
表面処理や絵柄層形成の工程は、平坦化層5の形成前あるいはスクラッチ部形成後に行うことができる。ただし多孔質基材の凹凸等の質感を損なわない、言い換えると少なくとも凹凸面が露出している範囲とする。具体的には、多孔質基材の表面粗さが最大粗さRmaxで50μmあるいは中心線平均粗さRで10μmよりも大きい状態、特に一般的な紙基材の表面粗さであるRが10μmより大きく、50μm以下となるよう保持された範囲とすることが好ましい。
【0023】
多孔質基材は、上述のように表面に凹凸を生じるために独特の質感を備えるが、スクラッチ部を多孔質基材表面に貼着する場合、この凹凸により、スクラッチ部の平滑性が損なわれてしまう。これは、図3に示すように、スクラッチ部3を多孔質基材からなるカード基材2上に配置する際に、スクラッチ部を多孔質基材に重ねてプレスするため、カード基材の凹凸の影響を受けてしまうからである。例えば、パルカナイズドファイバを単一のカード基材に用いた場合、その剛性が高いために、表面をプレスしても表面粗さは、最大粗さRmaxで50μm、中心線平均粗さRで9μmを超えてしまう。このため、多孔質基材上に貼着したスクラッチ部の平滑性が低下し、きれいに擦り落とすことができないなど、スクラッチ特性が悪化してしまう。
【0024】
そこで本発明では、スクラッチ部3を配置する多孔質基材表面の領域(スクラッチ部配置
領域) に、平坦化層5を設けておくことで、スクラッチ部配置領域を平坦化し、スクラッチ部を平滑な状態で形成することが可能としている。図4の本発明構成例に示すように、平坦化層5は、少なくともスクラッチ部配置領域に対応する多孔質基材表面の領域に形成される。対応する領域は、少なくともスクラッチ部配置領域を覆い、スクラッチ部配置領域との面積比で110%以下、より好ましくは105%以下であることが好ましい。また平坦化層表面の表面粗さは、中心線平均粗さRで5μm以下、最大高さRmaxで10μm以下であることが望ましい。
【0025】
平坦化層5は、単層でも良く、後述のように多層積層しても良い。平坦化層5は、アクリル系、ポリエステル系等の各種樹脂材等、スクラッチ部のスクラッチ特性を阻害しない材料であれば良く、公知一般のパターン形成方法により形成することができる。中でも多孔質基材に接して設けられる層については、液状の形成材料をスクラッチ部配置領域に塗布し、これを硬化させて形成することが好ましい。例えば、光や熱で硬化する硬化性樹脂を液状の形成材料(インキ) としてスクリーン印刷法やグラビア印刷法等の各種印刷法によりパターン印刷する。インキのレべリング作用により、多孔質基材の凹凸に影響されずに表面が平滑化された平坦化層を形成することができる。また多孔質基材上に印刷するため、多孔質基材の平坦化層との界面において、平坦化層の一部が多孔質基材に含浸させることができる。本発明における含浸とは、液状の材料(平坦化屑材料) により繊維間や微小孔を充填していることを意味している。ただし多孔質基材の表面から平坦化層が浸透した領域において繊維間や微小孔が充填されていれば良い。これにより繊維間や微小孔が平坦化層材料で埋められるので、繊維や微小孔に起因する凹凸が抑制され、かつ密着性の良い平坦化層が形成できる。 このように、本発明のスクラッチ部付きカードは、平坦化層によってカード基材表面の凹凸が緩和されている。これは特にスクラッチ部を圧着して設ける場合に効果的である。一般的に接着層のみを介して凹凸面に貼着した場合と異なり、予め多孔質基材の凹部を硬化性樹脂で充填し平滑化するように硬化させているため、加圧してもスクラッチ部がカード基材表面の凹凸の影響を与えることがない。
【0026】
上述のように塗布された硬化性樹脂インキは多孔質基材に含浸していくため、インキが全て含浸しきってしまうと、凹凸が露出してしまうおそれがある。このため硬化性樹脂層6の一部は含浸させずに多孔質基材上に嵩高に盛られ、レべリングされた状態で硬化させることが望ましい。言い換えると、硬化性樹脂層は、多孔質基材側で含浸し、反対側では多孔質基材の表面が平坦となるように凹凸を被覆している。このため、特に硬化速度の速い紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。硬化性樹脂層6の硬化後の平均膜厚は、少なくとも多孔質基材の中心線平均粗さRよりも大きいことが好ましい。Rよりも小さいと凹凸が露出してしまう。しかし膜厚が大きいとカード基材上でスクラッチ部3がカード基材上に突出して使用時にスクラッチ部を損傷するおそれがある。硬化性樹脂層6の形成方法としては、塗布膜厚や多孔質基材の印刷特性の点から、スクリーン印刷法を用いて1回、又は重ね刷りで印刷することが好ましい。
【0027】
さらに、図5の本発明構成例に示すように、平坦化層5を多孔質基材に接して設けられた硬化樹脂層6と、硬化樹脂層6上の接着力増強層7からなる構成としても良い。接着力増強層7は、硬化樹脂層6上に別の層として形成するので、硬化性樹脂以外の材料を選択することも可能である。例えば溶剤に溶解させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂等の各種樹脂材料のインキでスクリーン印刷法やグラビア印刷法等の各種印刷法によりパターン形成することができる。スクラッチ部3との密着性が良いものを接着力増強層として選択することで、スクラッチ部3の平坦化層の密着性を向上させることができる。
【0028】
スクラッチ部3は、機密情報を隠蔽する役目であり、シルバーあるいはグレイ系統の不透明な全ベタ(注:印刷面に濃淡の差や白く抜けた部分がなく、印刷インキで完全に覆われている部分)であり、厚さ4〜10μm程度に形成されている。そのインキの材料として
は、例えばアルミニウム粉15〜25重量部、アルミナ白等体質顔料を含めた着色顔料15〜25重量部、凝集性のあるSRB、NBR等合成ゴム系樹脂15〜25重量部、さらにこれらにトルエンやキシレン、メチルイソブチルケトン等芳香族炭化水素系溶剤35〜45重量部と消泡剤等助剤5〜15重量部を加えたスクリーン印刷用インキとし、このインキを用いたスクリーン印刷で厚さが4〜10μm程度と厚く印刷したものである。スクラッチ部3は、例えば、厚紙などの基材の上に絵柄、文字、数字などの機密情報が印刷などにより形成された機密情報と、その機密情報を覆うように透明な剥離ニスなどにより形成され易剥離層と、その易剥離層の上に形成された隠蔽層とから構成されている。さらには、その上に保護層を形成することもある。本発明では、基材の表面の平坦化のため、まず基材に平坦化層を形成した上に、スクラッチ部を形成する。
【0029】
図6は、テープ状のスクラッチ部3を平坦化層上に接着する工程を説明している。図6に示すように、テープ状のスクラッチ部3を接着層3’を介して平坦化層に接触させ、圧着ロールB(図6(B))や形成スタンプA(図6(A))を用いて加熱圧着により平坦化層上に貼着することができる。図5には、接着力増強層7を平坦化層6上に形成した例を示しているが、適宜、スクラッチ部3と平坦化層として、硬化樹脂層6の上に接着力増強層7を形成することもある。また、形成方法としてはこれに限られるものではなく、例えばスクラッチ部を塗布または蒸着により形成しても良い。カード基材上に設けられたスクラッチ部3のスクラッチ特性が良好な特性を満たすことが好ましい。
【0030】
なおスクラッチ部3を加圧してカード基材の平坦化層上に貼り合わせる場合には、圧
着時の加圧により平坦化層にクラックを生じさせないように平坦化層にある程度の柔軟性を有する材料を選択することが好ましい。具体的には、JIS K7161・1994(ISO5271:1993) に規定される引張弾性率が下限〜上限MPaの範囲の材料を、少なくとも硬化樹脂層6について用いることが好ましい。
【0031】
カード基材2はその片面あるいは両面に絵柄層を形成してもよい。絵柄層は前述したよ
うに凹凸表面を露出させた状態を保持する膜厚とするか、あるいは凹凸面露出領域と、絵柄層領域のそれぞれがカード基材表面に現れるように印刷形成してもよい。絵柄印刷層はオフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等を用いて形成することができる。インキはUV硬化性インキ、油性インキ、水性インキ等を用いることができるがこれに限られるものではない。
【0032】
本発明では、スクラッチ部を配置したカード基材シートを作成し、打ち抜き加工により個々のカードサイズに個片化してもよいし、予め個片化したカード基材を用いて積層してもよい。個片化の方法としては雄雌型のパンチや刃などにより切り出す方法を用いることができる。
【実施例】
【0033】
<実施例1>
以下、本発明の具体的な実施例を示す。なお、表面粗さの測定はJISB061:2001に基づくものとする。表面粗さの範囲は、10点測定したうちの最大値、最小値を示す。
まずカード基材として、生分解性の多孔質単一基材として厚み0.8mmのバルカナイズドファイバ基材(北越製紙製) を用い、このバカナイズドファイバ基材をプレスしてバルカナイズドファイバ表面の凹凸を緩和した。プレス前のカード基材の表面粗さRmaxが70〜76μmに対してプレス後のカード基材の表面粗さRmaxは56から59μmであった。
【0034】
次に、スクラッチ部を配置する領域に、ポリエスチル系のUV硬化型樹脂塗液をスクリー
ン印刷法により、硬化後の膜厚が約20μmとなるようにパターン印刷し、紫外線を照射して硬化し、硬化樹脂層とした。その硬化樹脂層を形成した領域にインクジェットプリンタにより秘密データを印刷した。
【0035】
次に、スクラッチ部として厚さ20μmの接着層を有するテープ(転写支持体/保護層/隠蔽層/接着層20μm)を用いて、加熱温度120℃ 、プレス圧力2.0N/mmで硬化樹脂層6上に加熱圧着した。
【0036】
以上の工程で作製したカードのスクラッチ部の表面粗さを測定したところ、Rが0.3μm、Rmaxが2〜6μmであった。また、このカードは良好にスクラッチでき、印刷された秘密データを問題なく読み取ることができた。
【0037】
<比較例>
比較例として、硬化樹脂層6を設けずにパルカナイズドファイバを用いた基材上に直接スクラッチ部を形成したテープ((転写支持体/保護層/隠蔽層/接着層20μm)を粘着した以外は、実施例1と同じ工程でカードを作製した。作製したカードのスクラッチ部の表面粗さを測定したところ、Rが2.8μm、Rmaxが35〜59μmであった。このカードは良好にスクラッチできなかった。
【符号の説明】
【0038】
1・・・スクラッチ部付きカード
2・・・カード基材
2a・・コア基材
2b・・外装基材
2c・・単一基材
3・・・スクラッチ部
3’・・接着層
5・・・平坦化層
6・・・硬化型樹脂層
7・・・接着力増強層
A・・・成形スタンプ
B・・・圧着ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材の一方の面に、平坦化層と、機密情報層と、少なくとも隠蔽層を備えたスクラッチ部と、が設けられたカードにおいて、前記基材がバルカナイズドファイバーからなることを特徴とするスクラッチ部付きカード。
【請求項2】
スクラッチ部がカードの表面に部分的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクラッチ部付きカード。
【請求項3】
スクラッチ部が、カードの周囲の端から1mm以上内側の領域で、任意のサイズで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラッチ部付きカード。
【請求項4】
スクラッチ部が形成された領域以外の領域の表面状態が、カード本来の表面状態と同等であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカード。
【請求項5】
少なくとも一方の面に絵柄が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカード。
【請求項6】
平坦化層が紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカード。
【請求項7】
平坦化層の上に接着力増強層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスクラッチ部付きカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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