説明

スクランブル・ビット送信のための送信機および方法

簡潔に述べると、スクランブル・データ・ビットおよび制御ビットをフィルタするためにデータ・ビットおよび制御ビットをスクランブルするスクランブラ(231)およびフィルタ(227、228)を含む装置(200)が提示される。その装置は、さらにフィルタの利得を調整するためのプロセッサ(210)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクランブル・ビット送信のための送信機および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広帯域符号分割多重接続(WCDMA)システムに使用され、またITU IMT−2000拡散範囲標準規格として当技術中に知られている、送信機アーキテクチャは、直交可変拡散係数(OVSF:Orthogonal Variable Spreading Factor)コードを使用してデータおよび制御ビットを拡散し、異なる利得をデータと制御ビットに適用し、そしてデータ・チップを生成するために拡散されかつ利得されたデータと制御ビットにスクランブルをかけることによって、データ・シンボルのチップを生成する。
【0003】
本発明と考えられる主題は、明細書の完結する部分において特に指摘されかつ明確に要求される。しかしながら、本発明の目的、特徴および利点と共に、動作における構成および方法の両方に関して、本発明は添付の図面を参照して次の詳細な説明を読むことにより最も良く理解されるであろう。
【0004】
図示の単純化および明瞭化のために、図中で示される要素は必ずしも実寸どおりに描かれていないことを認識するであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明瞭化のための他の要素に比べて誇張されることがある。さらに、適切であると考えられる場合、参照番号は対応または類似する要素を示すために図中で繰り返されることがある。
【発明の開示】
【0005】
以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解するために多数の特定の詳細説明が提供される。しかしながら、本発明はこれらの特定の詳細説明がなくても実施できることを、当業者は理解するであろう。他の実施例では、周知の方法、手順、コンポーネントおよび回路について、本発明を不明瞭にさせないために詳細には述べられていない。
【0006】
以下の詳細な説明におけるいくつかの部分は、コンピュータ・メモリ内のデータ・ビットまたは2進デジタル信号に対する動作アルゴリズムおよびシンボル表現で示される。これらのアルゴリズムの記述および表現は、データ処理技術の当業者によって使用される技法であり、仕事の成果を他の当業者に伝えるために用いられる。
【0007】
本発明が様々なアプリケーションに使用されることを理解すべきである。ここに示された回路と技術は、無線システムの送信機のような多くの装置の中で使用されるが、本発明はこの点に制限されることはない。本発明の範囲内に含まれると考えられる送信機は、実施例のみでいうと、セルラー方式の無線電話送信機、双方向無線送信機、デジタル・システム送信機、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク送信機、広帯域送信機、超広帯域送信機および同種の装置を含む。
【0008】
本発明の範囲内に含まれると考えられるセルラー方式の無線電話送信機のタイプは、符号分割多重接続(CDMA)、スペクトラム拡散信号を受信するためのCDMA−2000および広帯域CDMA(WCDMA)のセルラー方式無線電話送信機、移動通信(GSM)用のグローバルなシステムのための送信機、第3世代セルラー・システム(3G)用送信機、直交周波数分割多重(OFDM)送信機、および同種の装置を含むが、これらに制限されることはない。
【0009】
まず、図1に移って、本発明の典型的な実施例によるワイヤレス通信システム100の概要図が示される。ワイヤレス通信システム100は、少なくとも1つの基地局110および少なくとも1つの移動局140を含むが、本発明の範囲はこの実施例に制限されることはない。本発明のいくつかの実施例では、基地局110は送信機120を含み、また、移動局140は送信機150を含む。送信機120,150は、WCDMA通信システムに適しているアーキテクチャを有しているが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。
【0010】
もし所望されるなら、基地局110は、チャンネル160を介してチップを含むシンボルを所要のチップ速度で送信することができるが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。もし所望されるなら、移動局140は、さらにチャンネル160を介してチップを含むシンボルを基地局110へ所要のチップ速度で送信することができる。
【0011】
図2に移って、本発明の典型的な実施例による送信機200のブロック図が示される。本発明のいくつかの実施例では、送信機200は、プロセッサ210、ベースバンド・ユニット220、デジタル・アナログ(D/A)変換器240,245、変調器(MOD)250、電力増幅器(PA)260および少なくとも1つのアンテナ270を含むが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。
【0012】
ベースバンド・ユニット220は、デジタル・ベースバンド・ユニットであり、データ・ビット・ソース221、制御ビット・ソース222、加算器223、加算器224、拡散生成器225、擬似ランダム・コード(PRC)生成器226、形状フィルタ227、形状フィルタ228、加算器229、加算器230、および、スクランブラ231を含むが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。スクランブラ231は加算器235を含むが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。
【0013】
プロセッサ210は、デジタル信号プロセサ(DSP)、制御装置または他の適切なタイプのプロセッサでもよいが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。もし所望されるなら、プロセッサ210は、形状フィルタ227、形状フィルタ228およびPA260の利得を制御してもよい。
【0014】
ベースバンド・ユニット220は、デジタル・ベースバンドであり、もし所望されるなら、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはソフトウェアとハードウェアの任意の組合せによって実現することができるが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。本発明のいくつかの実施例では、データ・ビット・ソース221は、例えば、パケット・スイッチ・ソースによって生成されたデータ・ビット、および、コンピュータ通信ネットワーク(例えば、インターネット、あるいは、例えばオーディオ・ボコーダ、ビデオボコーダまたはその他同種のもののような回路ソースによって生成されたデータ・ビットを提供することができる。更に、データ・ビットは、さらに例えばチャンネル符号化、暗号化、インタリービングまたは当技術で既知の他のビット操作のような様々な操作を行うことができる。制御ビット・ソース222は、パイロット・ビット、同期パターン、電源制御用の制御情報、データ構造、または当技術で既知の他の適切な制御情報を提供することができる。本発明の実施例では、拡散コード生成器225は、例えばウォルシュ・シーケンス、アダマール・シーケンスまたは同種の拡散シーケンスを生成する。拡散コード生成器225は、同相(I)拡散ビットを加算器224へ、および、直角位相(Q)ビットを加算器223へ提供する。本発明のいくつかの実施例中で、PRC生成器226、例えばゴールド(Gold)生成器、疑似雑音(PN)生成器または擬似ランダム・シーケンスの他のタイプの生成器は、IおよびQ PRCビットをスクランブラ231に提供する。
【0015】
スクランブラ231は、例えば、4つの加算器235を含むが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。本発明のいくつかの実施例中で、もし所望されるなら、加算器235は、Iおよび/またはjQ PRCビットを加算器223および/または加算器224の出力ビットに加え、スクランブルされた制御ビットおよびスクランブルされたデータ・ビットであるスクランブルされた出力、例えばスクランブルされたI+jQ信号を形状フィルタ227および形状フィルタ228にそれぞれ提供する。
【0016】
形状フィルタ227は、デジタルI形状の信号をD/A245へ、また、形状フィルタ228は、デジタルQ形状の信号をD/A240へ提供するが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。本発明のいくつかの実施例では、D/A245,240は、デジタルIおよびQ信号をそれぞれアナログIおよびQ信号に変換し、それは変調器250に提供される。本発明のいくつかの実施例では、変調器250は、IおよびQアナログ信号を、当技術の中で知られているように、変調し結合し、変調RF信号を生成する。PA260は変調RF信号を増幅し、アンテナ270を介して送信する。
【0017】
変調器250は、所要の変調方法、例えば、2進位相シフト・キーイング(BPSK)、直角位相シフト・キーイング(QPSK)、異なる次元、例えばQAM16、QAM32、QAM64、QAM128、QAM256などを備えた直交振幅変調(QAM)、差動BPSK(DBPSIZ)、差動QPSK(DQPSK)、あるいは同種の方法に従って、I,Qアナログ信号を変調するが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。
【0018】
少なくとも1つのアンテナ270に使用されるアンテナのタイプは、内部アンテナ、ダイポールアンテナ、無指向性アンテナ、モノポールアンテナ、エンドフェッドアンテナ、円偏波アンテナ、マイクロ・ストリップ・アンテナ、ダイバーシティ・アンテナおよび同種アンテナを含むが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。本発明のいくつかの実施例では、もし所望されるなら、より多くの複数のアンテナが使用されてもよい。
【0019】
プロセッサ210は、ベータ値βd(例えば、制御線212経由)およびβc(例えば、制御線214経由)をフィルタ227,228にそれぞれ提供するが、本発明の範囲がこの点に制限されることはないと理解される。本発明のいくつかの実施例では、ベータ値が広範囲、例えば以下に提供される典型的なベータ値の範囲に亘るため、フィルタ227,228の係数は広いダイナミック・レンジを有する。一定の2乗平均平方根(RMS)レベルのIおよびQ信号、および所望の誤りベクトル度(EVM)比を提供するために、ベータ値にフィルタ227,228の係数を乗じ、所望のEVM比を提供する。加えて、プロセッサ210は、PA260の電力を所望の電力レベルに変えるために、制御線216を使用する。
【0020】
典型的なベータ値および所望の電力レベルに基づく計算が以下に与えられるが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。例えば、βc=1/15およびβd=1で、名目上の電力レベルが2の場合、PA260に提供されるその対応する制御値は、βC’=1/15*3.98=0.26およびβd’=1*3.98であると計算され、また、この例におけるRF補償は、−27.6デシベル(つまり、20log(3.98))に等しい。本発明のいくつかの実施例では、もし所望されるなら、D/A245,240の出力におけるRMS値は、実質的に一定であり、例えば予想利得値の範囲上で最大となる。
【0021】
図3へ移り、本発明の別の典型的な実施例による送信機300のブロック図が示される。本発明のいくつかの実施例では、送信機300は、プロセッサ310、ベースバンド・ユニット320、デジタル/アナログ(D/A)変換器345,340、変調器(MOD)350、電力増幅器(PA)360および少なくとも1つのアンテナ370を含むが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。
【0022】
ベースバンド・ユニット320は、デジタル・ベースバンド・ユニットであり、データ・ビット・ソース321、制御ビット・ソース322、拡散生成器325、擬似ランダム・コード(PRC)生成器326、形状フィルタ327および形状フィルタ328、および論理ユニット380を含むが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。送信機300が、上述されるように、図2の送信機200によって実現された機能に実質的に類似する機能を行ない、同様のコンポーネントを含むと理解される。例えば、もし所望されるなら、論理演算ユニット380は、図2の加算器223、加算器224、加算器229、加算器230およびスクランブラ231に類似か同一のコンポーネントを含む。
【0023】
いくつかの実施例では、ベースバンド・ユニット320の少なくとも1つのデータ・ビット・ソース321は、複数のデータ・ビット・ソース321を含み、もし所望されるなら、それはデータ・ビットを複数のデータ・チャネル、および、制御ビットを制御チャンネルへ提供する制御ビット・ソース322へ提供するが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。本発明のいくつかの実施例では、もし所望されるなら、フィルタ327,328の利得は、プロセッサ310によって調整されるが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。
【0024】
本発明のある機能がここに図示されかつ説明される一方、多くの修正、代替、変更および均等が当業者に想起されるであろう。したがって、添付された請求項は、本発明の思想の範囲内にあるすべての修正、代替、変更および均等をカバーするものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の典型的な実施例によるワイヤレス通信システムの概要図である。
【図2】本発明の典型的な一実施例による送信機のブロック図である。
【図3】本発明の典型的な別の実施例による送信機のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ・ビットおよび制御ビットを擬似ランダムのコード・ビットでそれぞれスクランブルすることにより、スクランブルされたデータ・ビットおよびスクランブルされた制御ビットを提供するスクランブラと、
前記スクランブルされたデータ・ビットをフィルタする第1フィルタと、
前記スクランブルされた制御ビットをフィルタする前記フィルタと、
前記第1および第2フィルタの第1および第2利得をそれぞれ制御するプロセッサと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記擬似ランダムのコード・ビットを提供する擬似ランダム・コード生成器を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記擬似ランダム・コード生成器は、ゴールド・コードに従ってビットを生成することができることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記データ・ビットに加えられる同相拡散ビット、および、前記制御ビットに加えられる直角位相拡散ビットを提供する拡散生成器を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記スクランブラは、前記データ・ビットにおよび前記制御ビットに前記擬似ランダムのコード・ビットを加えるための2またはそれ以上の加算器を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
少なくとも前記スクランブラおよび前記第1および第2フィルタを含むベースバンド・ユニットを含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記ベースバンド・ユニットのデジタル出力をアナログ信号に変換するためのデジタル・アナロク変換器を含むことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
第1および第2フィルタの第1および第2利得をそれぞれ制御する段階であって、前記第1フィルタはスクランブルされたデータ・ビットをフィルタし、前記第2フィルタはスクランブルされた制御ビットをフィルタする、段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
データ・ビットおよび制御ビットを擬似ランダムのコードでスクランブルする段階を含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記データ・ビットにおよび前記制御ビットに前記擬似ランダムのコードを加えることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
スクランブルされたデータおよび制御ビットを含む無線周波数信号を送信する内部アンテナと、
データ・ビットおよび制御ビットを擬似ランダムのコード・ビットでそれぞれスクランブルすることにより、前記スクランブルされたデータ・ビットおよび前記スクランブルされた制御ビットを提供するスクランブラと、
前記スクランブルされたデータ・ビットをフィルタする第1フィルタと、
前記スクランブルされた制御ビットをフィルタする第2フィルタと、
前記第1および第2フィルタの第1および第2利得をそれぞれ制御するプロセッサと、
を含むことを特徴とするワイヤレス通信装置。
【請求項12】
前記擬似ランダムのコード・ビットを提供する擬似ランダム・コード生成器を含むことを特徴とする請求項11記載のワイヤレス通信装置。
【請求項13】
前記擬似ランダム・コード生成器は、ゴールド・コードに従ってビットを生成することができることを特徴とする請求項12記載のワイヤレス通信装置。
【請求項14】
前記データ・ビットに加えられる同相拡散ビット、および、前記制御ビットに加えられる直角位相拡散ビットを提供する拡散生成器を含むことを特徴とする請求項11記載のワイヤレス通信装置。
【請求項15】
前記スクランブラは、前記データ・ビットにおよび前記制御ビットに前記擬似ランダムのコード・ビットを加えるための2またはそれ以上の加算器を含むことを特徴とする請求項11記載のワイヤレス通信装置。
【請求項16】
少なくとも前記スクランブラおよび前記第1および第2フィルタを含むベースバンド・ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項11記載のワイヤレス通信装置。
【請求項17】
前記ベースバンド・ユニットのデジタル出力をアナログ信号に変換するためのデジタル・アナロク変換器をさらに含むことを特徴とする請求項16記載のワイヤレス通信装置。
【請求項18】
ワイヤレス通信システムにおいて、
データ・ビットおよび制御ビットを擬似ランダムのコード・ビットでそれぞれスクランブルすることにより、スクランブルされたデータ・ビットおよびスクランブルされた制御ビットを提供するスクランブラと、
前記スクランブルされたデータ・ビットをフィルタする第1フィルタと、
前記スクランブルされた制御ビットをフィルタする第2フィルタと、
前記第1および第2フィルタの第1および第2利得をそれぞれ制御するプロセッサと、
を含むワイヤレス通信装置からなることを特徴とするワイヤレスに通信システム。
【請求項19】
前記ワイヤレス通信装置は、
前記擬似ランダムのコード・ビットを提供する擬似ランダム・コード生成器と、
前記データ・ビットに加えられる同相拡散ビット、および、前記制御ビットに加えられる直角位相拡散ビットを提供する拡散生成器と、
を含むことを特徴とする請求項18記載のワイヤレス通信システム。
【請求項20】
前記ワイヤレス通信装置は、前記データ・ビットにおよび前記制御ビットに前記擬似ランダムのコード・ビットを加えるための2またはそれ以上の加算器を含むことを特徴とする請求項18記載のワイヤレス通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−514372(P2007−514372A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543908(P2006−543908)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/040688
【国際公開番号】WO2005/067187
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】