説明

スクリュプレス

【課題】スクリュプレスの原料搬送の過程において脱水効率を高める。
【解決手段】脱水すべき含水原料を入口部12から濾過筒8内に投入すると、含水原料はスクリュ羽根6によって搬送される際に生ずる抵抗により機械的な脱水作用を受ける。原料はその進行に伴い圧搾されて水分が分離され、濾過筒8の濾過孔から漏出する。スクリュ羽根6には1/10〜1ピッチ分程度切欠した切欠部6aが設けられており、この切欠部6aにおいて原料の搬送が一時的に停滞し、後方から押し込まれる原料によって、前方からの圧力に打ち勝たなければ前方に進むことはない。この切欠部6aで原料の圧力は高まり、濾過筒8の濾過孔からの漏水が、他の部分の濾過孔よりも多くなり、全体的な脱水効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば魚粕、パルプ、汚泥のような大量の水分を含む含水原料から水分を分離するために用いられるスクリュプレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスクリュプレスにおいては、内部の回転スクリュと円筒状に構成した濾過筒とを相対的に回転させながら、濾過筒の入口部から水分を大量に含んだ含水原料を投入する。そして、濾過筒の濾過孔を介して水分を圧搾脱水した後に、脱水された残りの原料は脱水ケーキとして、出口部から排出するようにしたものが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、原料の種類によっては十分な圧搾力を与えることができず、脱水効率が十分に得られないことがある。
【0004】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、簡便な機構により脱水効率を向上させ得るスクリュプレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するための本発明に係るスクリュプレスは、駆動手段により回転するスクリュ軸と、該スクリュ軸の外周に螺旋状に巻回したスクリュ羽根と、該スクリュ羽根を囲む円筒状の濾過筒とから成り、該濾過筒の両端部に入口部と出口部を設け、前記スクリュ軸と前記スクリュ羽根と前記濾過筒によって囲んだ空間部を前記入口部から前記出口部に向けて減少させ、前記入口部から投入した含水原料を圧搾脱水して前記出口部から脱水ケーキとして排出するスクリュプレスにおいて、前記スクリュ羽根の螺旋状の連結を切欠した少くとも1個所の切欠部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るスクリュプレスは、脱水すべき原料の搬送過程において、搬送を中断するためにスクリュ羽根に切欠部を設けたので、この切欠部における圧搾力が向上し、全体の脱水効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例のスクリュプレスの縦断面図であり、左右の支持台1、2には軸受3、4が設けられ、これらの軸受3、4にはスクリュ軸5が回転自在に支持されている。スクリュ軸5は下流側に進むにつれ太くなるテーパ状とされ、スクリュ軸5の周囲にスクリュ羽根6が螺旋状に巻回されている。なお、スクリュ軸5を等径とし、スクリュ羽根6は左方の下流側に進むにつれ、小さくなるピッチでスクリュ軸5に取り付けてもよい。
【0008】
スクリュ軸5の例えば左端側にはスプロケット7が取り付けられ、このスプロケット7は図示しない駆動モータにチェーンを介して連結されている。なお、スプロケット7を介さずに、駆動モータをスクリュ軸5に直結することもできる。
【0009】
スクリュ羽根6の外方には、多数の濾過孔を有する例えばパンチングメタルから成る円筒状の濾過筒8が固定的に設けられ、多数の補強環9により補強されている。スクリュ羽根6の外周は濾過筒8の内周にほぼ接しており、濾過筒8の上流側、下流側にはそれぞれ側板10、11が設けられ、スクリュ軸5はこれらの側板10、11を貫通している。
【0010】
スクリュ羽根6には、その中間部において、1/10〜1ピッチ分程度切欠した切欠部6aが設けられている。また、濾過筒8の両端部に、原料の入口部12と脱水ケーキの出口部13が設けられ、濾過筒8の下方には搾液受皿14が設けられている。
【0011】
更に、出口部13付近には、搬送された原料の圧縮程度を調整するためのテーパコーン15がシリンダ16によりスクリュ軸5の長手方向に移動自在とされ、調整機構として設けられている。
【0012】
脱水すべき含水原料を入口部12から濾過筒8内に投入すると、含水原料はスクリュ羽根6によって搬送される際に生ずる抵抗により機械的な脱水作用を受ける。つまり、スクリュ軸5、スクリュ羽根6、濾過筒8で囲まれた空間部の体積は、出口部13側に進むにつれ徐々に減少されるために、原料はその進行に伴い圧搾されて水分が分離され、分離した水分は濾過筒8の濾過孔から搾液受皿14に漏出する。
【0013】
このようにして、出口部13に到達した脱水された原料は、出口部13においてテーパコーン15によって圧縮程度を調整されながら、テーパコーン15との隙間から脱水ケーキとして排出される。
【0014】
通常のスクリュプレスにおいては、テーパコーン15により圧縮程度を調整しても、この端末における調整だけでは十分でないことがあり、本実施例ではスクリュ羽根6に切欠部6aを設けて、原料の圧縮を助長している。
【0015】
脱水過程において、スクリュ羽根6に設けた切欠部6aにおいては、原料の搬送が一時的に停滞する。つまり、この切欠部6aはポケットとなって原料が滞留し、この原料は後方から押し込まれる原料によって、前方からの圧力に打ち勝たなければ前方に進むことはない。
【0016】
従って、この切欠部6aにおいて原料の圧力は高められ、濾過筒8の濾過孔からの漏水が、他の部分の濾過孔よりも多くなされ、全体的な脱水効率が向上する。この切欠部6aの存在により、脱水効率が高まった分だけ、従来装置よりもスクリュプレスの全長を短くしたり、濾過筒8の径を小さくできる。
【0017】
実施例においては、切欠部6aを1個所に設けたが、1個所に限ることはなく複数個所であってもよい。また、スクリュ羽根6の切欠部6aの切欠すべきピッチ分は任意でよい。更に、切欠部6aの切欠は任意の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例のスクリュプレスの縦断面図である。
【符号の説明】
【0019】
5 スクリュ軸
6 スクリュ羽根
6a 切欠部
8 濾過筒
10、11 側板
12 入口部
13 出口部
15 テーパコーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段により回転するスクリュ軸と、該スクリュ軸の外周に螺旋状に巻回したスクリュ羽根と、該スクリュ羽根を囲む円筒状の濾過筒とから成り、該濾過筒の両端部に入口部と出口部を設け、前記スクリュ軸と前記スクリュ羽根と前記濾過筒によって囲んだ空間部を前記入口部から前記出口部に向けて減少させ、前記入口部から投入した含水原料を圧搾脱水して前記出口部から脱水ケーキとして排出するスクリュプレスにおいて、前記スクリュ羽根の螺旋状の連結を切欠した少くとも1個所の切欠部を設けたことを特徴とするスクリュプレス。
【請求項2】
前記切欠部は前記スクリュ羽根の1/10〜1ピッチ分としたことを特徴とする請求項1に記載のスクリュプレス。

【図1】
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【公開番号】特開2009−142875(P2009−142875A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324257(P2007−324257)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(391044351)富国工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】