説明

スクリーン印刷用電解質組成物およびそれを用いた小型酸素電極およびその製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、隔膜型の小型酸素電極およびその製造方法に関し、更に詳しくは、種々の分野において溶液等の溶存酸素濃度の測定に好適な小型酸素電極、スクリーン印刷によりこの小型酸素電極の感応部を構成するのに適した電解質組成物、およびこの小型酸素電極を均一な品質で大量に製造することができる小型酸素電極の製造方法に関する。
【0002】酸素電極は、種々の分野における溶存酸素濃度の測定用として非常に有用である。例えば、水質保全の見地から、水中の生化学的酸素要求量(BOD)が測定される。また醗酵・醸造工業においては、効率良くアルコール等の醗酵を進めるために、醗酵槽中の溶存酸素濃度を調整する必要がある。これらの測定に酸素電極が用いられる。
【0003】更に、酸素電極を酵素と組み合わせることにより酵素電極を構成し、糖やビタミン等の濃度測定に用いることもできる。一例として、酸素電極とグルコースオキシダーゼと呼ばれる酵素とを組み合わせることにより、グルコース(ぶどう糖)の濃度を測定することができる。この測定は、グルコースがグルコースオキシダーゼの触媒作用により溶存酸素と反応して酸化されグルコノラクトンになり、これに対応して酸素電極内部に拡散してくる溶存酸素量が減少することを利用したものである。
【0004】酸素電極は溶液中の溶存酸素以外に、気相中の酸素濃度の管理にも非常に有用である。例えば、大気中の酸素濃度が18%未満に低下すると、酸欠状態になり極めて危険である。また、酸素ボンベ吸引やガス麻酔等の治療処置では、使用するガスの酸素濃度を厳密に管理する必要がある。このように酸素電極は、環境計測、醗酵工業、臨床医療、労働安全等の各種の分野で高い利用価値がある。
【0005】
【従来の技術】従来の酸素電極は、典型的には図1に示す構造のものであった。ガラス、プラスチック、ステンレス等から成る容器118は、開放端(下部)がシリコーン樹脂やフッ素樹脂等から成るガス透過膜107で覆われている。塩化カリウム(KCl)や水酸化ナトリウム(NaOH)等の水溶液119を封入した容器118の内部には、銀(Ag)や鉛(Pb)等から成るアノード104と、白金(Pt)や金(Au)等から成るカソード105とが配置されている。
【0006】上記従来の酸素電極は、このように構造が複雑であるため、小型化が困難なばかりでなく大量生産も容易ではないという問題があった。そこで本発明者らは、半導体製造プロセスで用いられているフォトリソグラフィー技術および異方性エッチング技術を利用した新しいタイプの小型酸素電極を提案した(特開昭第63−238548号公報および米国特許第4,975,175号公報を参照)。
【0007】この酸素電極の構造の一例を図2および図3R>3に示す。ただし、図2(b)はガス透過膜形成前の未完成状態を示す。図示した酸素電極は次のようにして製造される。すなわち、シリコンウェハ201に異方性エッチングにより2個の電解質含有体収容溝202を形成した後、表面をSiO2 絶縁膜203で被覆して絶縁性基板とする。絶縁膜203上に2本の電極(アノード204およびカソード205)を形成する。アノード204は、一端に外部との電気的接続を行う端部204Aを有し、他端は2個に分岐して上記溝202内に至る。カソード205は、一端が外部との電気的接続を行う端部205Aであり、他端は溝202間に残された台地状領域上に至る。上記電解質含有体収容溝202内に電解質含有体206を充填する。充填された電解質含有体206は、溝202内のアノード204および台地上のカソード205に接触している。次に、上記充填された電解質含有体206の上面をガス透過膜207で被覆する。
【0008】この小型酸素電極の製造においては、大量生産を可能とするために、半導体製造プロセスを積極的に用いている。しかし、電解質含有体収容溝202内に電解質含有体206を充填する工程および充填された電解質含有体206の上面をガス透過膜で被覆する工程は、半導体製造プロセスでは実施が困難であるため、基板(ウェハ)を各酸素電極の形成領域毎に切り分けてチップ状にした後、各チップ毎に一つ一つ手作業で行っていた。このような手作業は、大量生産を可能とする上で大きな障害となるばかりでなく、作業のばらつきが大きいため均一な特性の小型酸素電極を得ることが困難であった。
【0009】そこで、チップ状に切り分ける前の一体のウェハの状態で、電解質含有体の充填とガス透過膜の被覆とを一括して均一に行うことができる小型酸素電極の構造およびその製造方法が望まれていた。まず電解質含有体の充填については次の点に問題があった。本発明者らは、塩化カリウム水溶液を含有する各種ゲルおよび高分子電解質を研究してきた。しかし、これらの多くは感光性が無いため、半導体製造プロセスで用いられるフォトリソグラフィー技術を電解質含有体収容溝内への充填に適用することが困難であった。
【0010】電解質含有体は、充填時には流動性の有る液体状であることが必要であるが、充填後には乾燥して緻密な膜状になることが必要である。充填された電解質含有体の上にガス透過膜を塗布するので、電解質含有体が含水しているか乾燥しているかが、ガス透過膜の品質に大きく影響する。ガス透過膜の塗布時には、電解質含有体が乾燥していることが望ましい。酸素濃度測定に必要な水分は、測定開始直前にガス透過膜を通して水蒸気の形で供給する。製造中に電解質含有体が水分を含んでいる必要はない。
【0011】ウェハ上に多数形成した小型酸素電極に、電解質含有体を一括して充填する方法として、スクリーン印刷が望ましいと考えられる。一般にスクリーン印刷の印刷パターンに使用されるのは、エマルジョンマスクとメタルマスクである。エマルジョンマスクは、ステンレス等のメッシュ上に感光性の樹脂(エマルジョン)を塗布して、印刷パターンを形成するものである。樹脂の種類によっては透明のものもあり、これは上下のウェハが透けて見えるため、精密な位置合わせを必要とする小型酸素電極には有利である。しかし、エマルジョンの現像には水を使用していることからも分かるように、水に対して非常に弱く、水分を含むものを印刷することは困難である。一方、メタルマスクは、ステンレス等の板にエッチングにより孔を開けて印刷パターンとしたものである。したがって、水には強い。しかし、不透明であるため、精密な位置合わせには不利である。更に、印刷インクの材質によっては、エマルジョンマスクよりも印刷品質が劣る場合がある。
【0012】本発明者らは、電解質含有ゲルをスクリーン印刷で塗布する方法を提案した(特願平1−56902)。この方法は、塩化カリウム水溶液を含有するアルギン酸カルシウムゲル、ポリアクリルアミドゲルおよびアガロースゲルを印刷するものである。この方法においては水性ゲルを印刷するため、メタルマスクを使用しており、前記のように小型酸素電極にはあまり適していなかった。さらに、湿潤したゲルの上にガス透過膜を形成するため、強固な膜を形成することができなかった。
【0013】塩化カリウムは、一般に酸素電極において電解質としてよく用いられている。塩化カリウム自体は電解質として優れたものであるが、水にしか溶解せず、また、水溶液として充填した後に乾燥させると結晶化して脆い白色粉末となり、小型酸素電極に適していない。一方、本発明者らは高分子電解質を開発した(特開平2−240556)。これは製膜性は良好であるが、やはり水にしか溶解しない。更に、高分子であるため、希薄な溶液でも高粘度を停止、扱いが困難であった。
【0014】次に、ガス透過膜の被覆については次の点に問題があった。ガス透過膜は既述のようにシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の絶縁性物質から成る。したがって、ガス透過膜は基板全面を覆うのではなく、図2(a)に示したように各電極の外部との電気的接続端204Aおよび205A(「パッド」)の部分が露出した状態になるようにガス透過膜をパターニングする必要がある。基板の上記露出予定領域以外の所定領域にのみ選択的にガス透過膜を形成する方法として、樹脂を所定領域にのみ塗布する方法と、まず基板全面にガス透過膜を形成した後に露出予定領域のガス透過膜を除去する方法とがある。
【0015】前者の方法として、スクリーン印刷により液体状の樹脂を塗布する方法が知られている。この方法は、印刷という一操作により塗布と同時にパターニングが行えるという利点がある。しかし、空気中の水分によってガス透過膜用のシリコーン樹脂の硬化が進行するため、印刷作業中に樹脂の粘度が変化して印刷むらを生じたり、最悪の場合には印刷用刷版の目詰まりを起こしてしまうという問題があった。
【0016】後者の方法としては、フォトレジストを用いたリフトオフ法が知られている。この方法は、半導体製造プロセスに良く適合し、且つ複雑なパターンでも容易に形成できるという利点がある。しかし、小型酸素電極の製造に適用した場合、完全に硬化したガス透過膜は強固な膜を形成しており、露出予定領域にある部分を剥離することが困難で、例えば超音波処理によっても剥離しない。したがって、小型酸素電極の製造にリフトオフ法を適用することは実用的でない。
【0017】J.F.Butlerは、シリコン基板上に形成する薄膜型電気化学電極を提案した(米国特許第4,062,750号)。その特徴は、シリコン基板を貫通する導電層を設け、表面に形成したセンサの信号を裏面から取り出すことにある。この電極の場合、本発明の小型酸素電極にあるパッド部分が存在しないため、ガス透過膜を表面全体に形成することが可能であり、パッド部分を露出するためのパターニングが不要である。しかし、非常に複雑な製造工程を必要とするため、コスト面から実用性に疑問がある。一方、電解質の充填は真空蒸着法で行っている。塩化ナトリウムや塩化カリウムの真空蒸着は可能であるが、緩衝液成分として用いられる無機塩は加熱すると脱水や縮合をおこして変質するものが多い。そのため、緩衝化された電解質が得られたとしても、得られるpHが期待した値から大きくはずれる可能性が高く、その組成もかなり制限されるはずであり、必ずしも最適な方法ではなかった。また、製造工程において、電解質を蒸着する真空蒸着装置を、電極用金属を蒸着する蒸着装置と兼用することは問題が多く、専用の装置を用意する必要があった。
【0018】M.J.Madou らはマイクロ電気化学センサを提案した(米国特許第4,874,500号、AIChE SYMPOSIUM SERIES, No.267, Vol.85, pp.7-13(1989))。このセンサも、シリコン基板を貫通する導電層を設け、表面に形成したセンサの信号を裏面から取り出すことに特徴があり、同じ欠点があった。電解質の充填は、ポリ(ヒドロキシエチルメタアクリレート)のアルコール溶液等をペイントし、溶媒を蒸発させた後に、電解質溶液を含ませてゲル化させ、乾燥する方法をとっていた。この方法は、ポリマーを塗布した後に電解質を含ませているため、前述の問題点が解消されているかのように見える。しかし、塩化カリウム溶液を蒸発させると結晶が成長する。塩化カリウムの量が少なければポリマーの中に囲まれているが、量が多いと大きな結晶が多数成長してポリマーが結晶を保持しきれなくなる可能性がある。一方、電解質の量は酸素電極の寿命に影響するため、できるだけ多量の電解質を充填する必要がある。すなわち、この方法では充填できる電解質の量が制限されるため、短寿命となってしまうという問題があった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の問題を解消し、基板を一体のまま一括且つ均一に処理することにより高い効率で大量生産が可能な小型酸素電極、その製造方法およびそれに適した電解質組成物を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本願第1の発明は、有機溶媒中に、スクリーン印刷用のメッシュを通過し得る微細粉末状無機塩を分散状態で含み、且つポリビニルピロリドンを溶解状態で含むことを特徴とするスクリーン印刷用電解質組成物である。この電解質組成物をスクリーン印刷することにより、電解質の充填を行う。上記無機塩は、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムであることが望ましい。電解質としての上記無機塩はスクリーン印刷用のメッシュを通過する微細な粉末である必要があり、例えば50μm以下の微粒子であることが望ましい。有機溶剤としては、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコールを用いることが望ましい。
【0021】本発明の組成物は、優れた電解質である塩化カリウム等の無機塩を、スクリーン印刷が可能なように微細な粉末状にして、有機溶媒に溶解した高分子樹脂中に分散させたものである。高分子樹脂として、水および有機溶媒の両方に溶解するポリビニルピロリドンを用いる。塩化カリウム等の無機塩を微細な粉末の形で得るには、固形物を機械的に粉砕してもよく、無機塩を飽和または飽和に近い高濃度に溶解した水溶液を、アルコールまたはアセトン等の水と任意の割合で混合し得る有機溶媒中に注入することにより、微細粒子として析出させてもよい。これらの方法により、微細で粒子径の揃った粉末が得られる。
【0022】本発明の組成物は、更に緩衝剤を含有することにより、電解質のpH値(水素イオン濃度)を一定に保ことができる。この緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、四ホウ酸塩、グリシン塩、トリス(ヒドロキシメチル)アメノメタン塩等のpH緩衝効果を有する塩を、塩化カリウムと同様の微細な粉末状にして用いる。
【0023】本願第2の発明は、絶縁性基板上に配置された、電解質含有体と、この電解質含有体に接触した1組の電極と、上記電解質含有体を被覆したガス透過膜とを有する隔膜型小型酸素電極において、上記電解質含有体は、本願第1発明の電解質組成物が上記基板表面にスクリーン印刷されて成ることを特徴とする小型酸素電極である。
【0024】本願第3の発明は、絶縁性基板上に、電解質含有体と、該電解質含有体に接触した1組の電極と、該電解質含有体を被覆したガス透過膜とを形成する隔膜型小型酸素電極の製造方法において、本願第1発明の電解質組成物を上記基板にスクリーン印刷することにより、上記電解質含有体を形成することを特徴とする小型酸素電極の製造方法である。
【0025】すなわち、本願第2および第3の発明においては、微細粉末状無機塩、ポリビニルピロリドン、および有機溶媒を配合してペースト状にした電解質組成物を、スクリーン印刷により基板の所定位置に一括して充填する。印刷された電解質組成物は、乾燥すると緻密な膜を形成し、その上にガス透過膜を適正に形成することができる。
【0026】本願第4の発明は、絶縁性基板上に配置された、電解質含有体と、該電解質含有体との接触端および外部との電気的接続端をそれぞれ備えた1組の電極と、該電解質含有体を含む領域で上記基板を被覆したガス透過膜とを有する隔膜型小型酸素電極において、上記外部接続端を含む基板領域は、ガス透過膜がその下の剥離可能な被覆膜と一緒に剥離されていることを特徴とする小型酸素電極である。
【0027】本願第5の発明は、絶縁性基板上に、電解質含有体と、該電解質含有体との接触端および外部との電気的接続端をそれぞれ備えた1組の電極と、該電解質含有体を被覆したガス透過膜とを形成する隔膜型小型酸素電極の製造方法において、上記基板上の上記外部接続端を含む露出予定領域に剥離可能な被覆膜を形成し、該被覆領域を含む上記基板表面を覆うガス透過膜を形成した後、該被覆膜を剥離して該露出予定領域を露出させることにより、所定パターンのガス透過膜を形成することを特徴とする小型酸素電極の製造方法である。この方法においては、前記基板の露出予定領域に熱硬化性樹脂をスクリーン印刷により塗布した後に加熱して硬化させ、該樹脂膜形成領域を含む基板表面を覆うガス透過膜を形成した後に、該樹脂膜を剥離して該露出予定領域を露出させることにより、所定パターンのガス透過膜を形成することができる。
【0028】すなわち本願第4および第5の発明においては、ガス透過膜の形成方法として、基板表面のうち露出すべき部分を剥離可能な被覆膜で覆った後に、ガス透過膜形成用の樹脂を基板全面にスピンコートにより一括して塗布し、次いで被覆膜を剥離することにより、この被覆膜と一緒に上記露出予定部分のガス透過膜を除去する。これにより必要な部分のみを被覆するようにガス透過膜を選択的に形成(パターニング)する。本発明の剥離可能な被覆膜の材料として、熱硬化性樹脂または有機溶媒に溶解した塩化ビニル樹脂等の各種樹脂を用いる。これをスクリーン印刷により所定の部分に塗布した後、加熱または乾燥により硬化させて被覆膜を形成する。
【0029】本発明の小型酸素電極に用いる絶縁性基板は、小型酸素電極を形成するのに十分な平坦性および平滑性を有し半導体製造プロセスを適用できる電気絶縁性の基板であればよい。現在最も広く行われているシリコン半導体の製造プロセスを適用する観点からは、シリコンウェハを用いることが最も有利である。本発明はシリコンウェハ以外の絶縁性平面基板を用いた小型酸素電極にもそのまま適用できる。すなわち、電極パターンを形成したガラス、石英、セラミック、プラスチック等の絶縁性平面基板を用い、本発明によるスクリーン印刷用電解質組成物を酸素感応部にスクリーン印刷することによる電解質含有体の充填と、パッド部分すなわち外部との電気的接続端に熱硬化性樹脂等をスクリーン印刷して剥離可能な被覆膜を形成することによるガス透過膜の選択形成(パターニング)を行うことにより、本発明の小型酸素電極を製造することができる。この場合にも基板を一体として全面に一括して小型酸素電極を形成する本発明の利点が得られることは勿論である。
【0030】
【作用】本発明においては、電解質としての無機塩が有機溶媒中に溶解せず微細粉末状で分散した電解質組成物をスクリーン印刷するので、乾燥後にも無機塩が脆い結晶となることがなく粉末状態のまま維持される。そのため、乾燥すると緻密な固形物としての電解質含有体が形成される。得られた電解質含有体は実質的に無機塩とポリビニルピロリドンとから構成されている。小型酸素電極の使用時には、電解質含有体に水分を導入する。無機塩とポリビニルピロリドンは共に水溶性であるため、導入された水分に完全に溶解する。すなわち本発明の電解質含有体は、ガス透過膜の形成時には乾燥した緻密な固形物であり、使用時には水溶液になる、という本発明の小型酸素電極に必要な条件を満たしている。
【0031】本発明の無機塩として、優れた電解質である塩化カリウムまたは塩化ナトリウムを用いることにより、小型酸素電極の性能を最も高めることができる。更に、リン酸塩等のpH緩衝効果を有する塩類を本発明の組成物に添加することにより、電解質のpH値を一定に保つことができる。酸素電極における電気化学反応はpH値に依存するので、pH値を一定に維持することにより小型酸素電極の特性を更に安定化することができる。
【0032】本発明の小型酸素電極は、電解質である無機塩を微細な粉末として含有する電解質組成物を、スクリーン印刷によって基板上の所要位置の全てに一括して充填することにより製造されるので、充填の均一性および高い生産性が得られる。本発明の小型酸素電極の製造方法においては、電解質である無機塩を微細な粉末として含有する電解質組成物を、スクリーン印刷によって基板上の所要位置の全てに一括して充填するので、充填部分の形状が複雑な小型酸素電極であっても、充填の均一性を確保し且つ効率的に小型酸素電極を大量生産することができる。更に、基板の大型化に伴う充填箇所の増大にも容易に対応することができる。
【0033】本発明の小型酸素電極においては、所定の形状に形成した被覆膜の剥離によりガス透過膜がパターニング(選択形成)されているため、ガス透過膜あるいは露出部分の形状が複雑であっても高い生産性を得ることができる。更に、基板表面へのガス透過膜の塗布をスピンコートにより基板全面に一括して行うことができるので、高い生産性が得られると同時に基板全面にわたって均一な厚さのガス透過膜を形成することができる。
【0034】本発明の小型酸素電極においては、露出すべき部分を被覆膜で覆った後、ガス透過膜を基板全面にスピンコートにより一括形成し、次いでこの被覆膜を剥離することにより、ガス透過膜を選択的に形成する(パターニングする)ことができるので、ガス透過膜あるいは露出部分の形状が複雑であっても、基板全面にわたって均一な厚さのガス透過膜を効率良く形成し、高い生産性で小型酸素電極を生産することができる。
【0035】更に、本発明の小型酸素電極の製造方法においては、露出すべき部分にスクリーン印刷により熱硬化性樹脂または有機溶媒に溶解した樹脂を塗布し、次いで加熱または乾燥により硬化させて剥離可能な被覆膜を形成し、この被覆膜を剥離することによりガス透過膜のパターニングを行うので、複雑なパターンにも容易に対応可能であり、またシリコンウェハ等の基板の大型化に伴う露出部分の増大にも容易に対応可能である。
【0036】以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0037】
【実施例】
〔実施例1〕図4〜図18を参照して、シリコンウェハを用いて本発明の小型酸素電極を製造する手順の一例を説明する。図面を簡単にするために2インチシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する場合を説明するが、より大型のウェハを用いた場合にも本質的に同様の製造工程を採用できる。以下の各工程に対応した図は、それぞれの工程を完了した後の状態を示す。
工程1:ウェハ洗浄2インチシリコンウェハ301(厚さ400μm、(100)面)を、過酸化水素とアンモニアの混合水溶液と濃硝酸で良く洗浄した。
工程2:SiO2 膜の形成(図4)ウェハ301を1000℃で200分間ウェット熱酸化し、その両面全体に厚さ0.8μmのSiO2 膜312を形成した。SiO2 膜312は、工程4でパターニングされた後、工程5でシリコンウェハを異方性エッチングする際にマスクとして用いられる。
工程3:レジストパターンの形成(図5)ネガ型フォトレジスト(東京応化製OMR−83,粘度60cP)をウェハ301上面全体に塗布した後、フォトリソグラフィー処理により、レジストパターン313を形成した。レジストパターン313は、電解質含有体収容溝302(図7)を形成すべき位置302A以外はウェハ301上面を被覆しており、次の工程4でSiO2 膜312をエッチングする際のマスクとして作用する。ウェハ301の下面にも同じレジストを塗布し、130℃で30分間ベークした。
工程4:SiO2 膜のエッチング(図6)ウェハ301をSiO2 用エッチング液(50%HF/1ml+NH4 F/6ml)に浸漬し、フォトレジスト313でマスクされていない部分302AのSiO2 膜312を除去した。引き続いて、ウェハ301を濃硫酸と過酸化水素水の混合溶液により、レジスト313を除去した。
工程5:シリコンウェハの異方性エッチング(図7)ウェハ301を80℃のシリコン用エッチング液(35%KOH水溶液)に浸漬することにより、SiO2 膜312をマスクとするシリコンの異方性エッチングを行い、深さ300μmの電解質含有体収容溝302を2つ形成した。異方性エッチング完了後、ウェハ301を純水で洗浄した。
工程6:SiO2 膜の除去(図8)上記洗浄に続いて、工程4と同様の操作によりSiO2 膜312を除去した。工程7:SiO2 膜の形成(図9)工程1および工程2と同様な操作により、ウェハ301の両面全体に熱酸化による厚さ0.8μmのSiO2 膜303を形成した。SiO2 膜303は、最終的に得られる小型酸素電極において絶縁膜として機能する。
工程8:クロム薄膜および銀薄膜の形成(図10)ウェハ301の上面全体に、真空蒸着によりクロム薄膜314(厚さ400Å)とその上の銀薄膜315(厚さ4000Å)とを形成した。銀薄膜315は電極の実質部分を構成するための導電体膜であり、クロム薄膜314は銀薄膜315をウェハ301上のSiO2 絶縁膜303に密着させるための下地膜である。工程9:フォトレジストパターンの形成(図11)この工程で形成されるフォトレジストパターン316は、小型酸素電極の各電極(アノードおよびカソード)をパターニングするために、後の工程10および11で上記銀薄膜315およびクロム薄膜314をエッチングする際のマスクとして用いられる。
【0038】まず、ウェハ301上にポジ型フォトレジスト(東京応化製OFPR−800,粘度20cPまたはOFPR−5000、粘度50cP)を滴下し、ウェハ301上に満遍なく行き渡らせた。フォトレジストの量は、丁度ウェハ周縁まで行き渡る程度が望ましい。80℃で30分間プリベークを行った。次に、マスクアライナでガラスマスクとパターンを合わせて、露光・現像処理を行い、フォトレジストパターン316を得た。本実施例のようにポジ型フォトレジストが厚く塗布されている場合には、フォトレジストを一度で感光させることができないため、露光・現像サイクルを繰り返した。
工程10:銀薄膜およびクロム薄膜のエッチング(図12)ウェハ301を銀用エッチング液(NH3 水/1ml+H2 2 /1ml+水/20ml)に浸漬することにより、銀の露出部分を除去し、電極の実質部分を形成した。
【0039】次に、ウェハ301をクロム用エッチング液(NaOH/0.5g+K3 Fe(CN)6 /1g+水/4ml)に浸漬することにより、クロム薄膜314の露出部分を除去した。
工程11:フォトレジストパターンの形成(図13)この工程で形成するフォトレジストパターン317は、小型酸素電極の酸素感応部を確定するためのものである。
【0040】酸素感応部の領域309(2つの溝302およびこれらの間の平坦部310)と、各電極304および305のパッド部分(外部との電気的接続端)304Aおよび305Aの形成されるパッド領域311とを除いた領域を、ネガ型フォトレジスト317(東京応化製OMR−83、粘度60cP)で被覆した。これは、ウェハ表面にフォトレジストを塗布し、80℃で30分間プリベークした後、露光・現像を行うことにより実施した。更に、150℃で30分間ポストベークを行った。
工程12:電解質組成物のスクリーン印刷(図14および図15)上記フォトレジスト317により確定された酸素感応部309(2つの溝302とその間の平坦部310)に、電解質組成物をスクリーン印刷して電解質含有体306を形成した。用いた電解質組成物の調製方法については後述する。
工程13:パッド領域被覆膜の形成(図16)パッド領域311に熱硬化性剥離塗料(藤倉化成製XB−801)を厚さ100μmにスクリーン印刷した。次に、150℃で10分間加熱して硬化させ、被覆膜308を形成した。
工程14:ガス透過膜の形成(図17)ウェハ上面全体に上下2層から成るガス透過膜307を被覆した。まず下層のガス透過膜として、ネガ型フォトレジスト(東京応化製OMR−83、粘度100cP)をスピンコートにより塗布し、80℃で30分間プリベークした後、ウェハ全面に対して露光を行い、150℃で30分間ポストベークを行った。次に上層のガス透過膜として、シリコーン樹脂(トーレ・ダウコーニング・シリコーン製SE9176)をスピンコートにより塗布し、加湿した恒温槽内で70℃で30分間加熱して硬化させた。加湿は、恒温槽内に水の入ったシャーレまたはビーカーを設置することにより行った。
工程15:パッドの露出(図18)パッド領域311に形成した被覆膜308をピンセットで剥離することにより、その部分のガス透過膜307を選択的に除去し、小型酸素電極のパッド304Aおよび305Aを露出させた。
工程16:小型酸素電極の切り出し以上の工程により2インチシリコンウェハ301上に一括して形成された多数の小型酸素電極をダイシングソーでチップ状に切り分けた。図示した例では一度に40個の小型酸素電極を得ることができる。
〔実施例2〕実施例1と同様な手順で本発明の小型酸素電極を製造した。ただし、パッド領域被覆膜の形成工程(前記工程13)は、下記工程13’のように変更した。
工程13’:パッド領域被覆膜の形成(変更態様)パッド領域311に、テトラヒドロフランに溶解した塩化ビニル樹脂を厚さ50μmにスクリーン印刷した後、70℃で10分間加熱して硬化させ、被覆膜308を形成した。上記実施例1および2において工程12で用いた本発明の電解質組成物は以下のように調製した。
調製手順1:無機塩微粒子の作製塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの微粒子を、下記(a)または(b)のいずれかの方法により作製した。
【0041】(a)塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの固形物を、粉砕機(フリッチュ製P−5)により粉砕して粒子径10μm以下の微粒子を得た。
(b)塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの飽和水溶液を調製した。これをテフロンボールフィルタ(井内盛栄堂製、孔径10μm)を通して、水溶液の10倍量のエタノール、プロパノール、またはアセトン等の有機溶媒中に注入した。その際に有機溶媒をスターラーで良く攪拌した。析出した無機塩の微粒子をグラスフィルターで捕集し、新鮮な同種の有機溶媒で2〜3回洗浄後、乾燥して、粒子径10μm以下の微粒子を得た。
調製手順2:電解質組成物の調製上記無機塩微粒子、ポリビニルピロリドン、および有機溶媒を調合して、ペースト状の電解質組成物を得た。下記にその組成例を示す。
【0042】電解質組成物の組成例1塩化カリウム微粒子 0.25gポリビニルピロリドン 1gペンタノール 5gまた別の調合例としては、電解質組成物のうち固形分を30〜70%、残りを有機溶媒とし、固形分の50〜90%を無機塩微粒子とする。下記にその組成例を示す。
【0043】電解質組成物の組成例2塩化カリウム微粒子 4ポリビニルピロリドン 1gペンタノール 5g本発明の望ましい態様に従えば、電解質組成物はpH緩衝効果のある塩類を更に含有する。下記の例ではリン酸塩を添加したが、本発明に用いる緩衝剤はリン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、四ホウ酸塩、グリシン塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩等から選択することができる。
【0044】緩衝剤としてリン酸塩を添加した電解質組成物の調製は、例えば下記の手順により行う。
調製手順1:無機塩微粒子の作製塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの微粒子を、下記の(a)または(b)のいずれかの方法で作製した。
【0045】(a)塩化カリウム74.55gおよびリン酸カリウム(K2HPO4 )8.71gを秤量し、粉砕機(フリッチュ製P−5)により粒子径10μm以下に粉砕した。
(b)塩化カリウム74.55gおよびリン酸カリウム(K2 HPO4 )8.71gを秤量し、230mlの水に溶解した。これをテフロンボールフィルター(井内盛栄堂製、孔径10μm)を通して、水溶液の10倍量のエタノール中に注入した。その際にエタノールをスターラーで良く攪拌した。析出した無機塩の微粒子をグラスフィルターで捕集し、エタノールで2〜3回洗浄後、乾燥して、粒子径10μm以下の微粒子を得た。
【0046】また別の方法として、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの微粒子と緩衝剤としてのリン酸塩微粒子とを別個に作製してもよい。例えば、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの高濃度水溶液を調整する。一方、リン酸二水素カリウム:リン酸水素二ナトリウム=4:6(モル比)の水溶液を別途調整する。いずれの水溶液もできるだけ飽和水溶液とした方が、多くの微粒子が得られるため効率が良い。ただし、pHの決定には両リン酸塩成分の比率が重要なため、秤量したリン酸塩は完全に溶解させる必要がある。各水溶液をそれぞれ別個に上記と同様エタノール等の有機溶媒中に注入し、析出した微粒子を捕集する。
調製手順2:電解質組成物の調製上記無機塩の微粒子、ポリビニルピロリドン、および有機溶剤を調合してペースト状の電解質組成物を得た。下記にその組成例を示す。
【0047】電解質組成物の組成例3リン酸塩を含む塩化カリウム微粒子 0.25gポリビニルピロリドン 1gペンタノール 5g電解質組成物の組成例4(緩衝剤微粒子を別途作製した場合の例)
塩化カリウム微粒子 3.5gリン酸塩微粒子(緩衝剤) 0.5gポリビニルピロリドン 1gペンタノール 5g実施例1および2により製造した本発明の小型酸素電極の特性を調べた。印加電圧0.6V、温度25℃において、pH7.0の10mMのリン酸緩衝液中の溶存酸素を測定した。
【0048】図19に、溶存酸素が100%飽和している状態に、亜硫酸ナトリウムを添加して溶存酸素を瞬時に0にした場合の応答曲線を示す。90%応答時間は40秒であり、溶存酸素濃度の変化に応じた出力電流を示している。図20に、この場合の検量線を示す。溶存酸素濃度0ppmから飽和濃度の8ppmまでの全範囲で良好な直線性を示している。
〔実施例3〕図21〜図26を参照して、本発明に従ってシリコンウェハ以外の絶縁性平面基板上に小型酸素電極を作製する例を説明する。
工程1:電極パターンの形成(図21)60mm角で厚さ1.6mmの清浄な絶縁性平面基板401を用意した。絶縁性基板401としては、ガラス板、石英板、セラミック板、プラスチック板等を用いることができる。
【0049】絶縁性基板401上に、下記の方法(a)および(b)のいずれかによりアノード404およびカソード405から成る電極パターンを形成した。
(a)実施例1および2と同様に、真空蒸着により銀薄膜を形成した後、これをエッチングして所定の電極パターンにする。
(b)導電性ペースト(藤倉化成製D−1230改)をスクリーン印刷する。
【0050】各電極404および405はそれぞれ一端に外部との電気的接続端(パッド)404Aおよび405Aを有する。なお、パッド404Aと405Aとの間に設けた420は、酸素電極を3極構成にする等のため予備パッドである。
工程2:電解質組成物のスクリーン印刷(図22)酸素感応部の領域409に、実施例1と同じ電解質組成物をスクリーン印刷により充填して電解質含有体406を形成した。
工程3:パッド領域被覆膜の形成(図23)パッド404Aおよび405Aと予備パッド420を含むパッド領域411に、熱硬化性剥離塗料(藤倉化成製XB−801)をスクリーン印刷して被覆膜408を形成した。
工程4:ガス透過膜の形成(図24)基板401の全面に上下2層から成るガス透過膜407を被覆した。下層のガス透過膜としてはネガ型フォトレジスト(東京応化製OMR−83、粘度100cP)を、上層のガス透過膜としてはシリコーン樹脂(トーレ・ダウコーニング・シリコーン製SE9176)を、それぞれスピンコートにより塗布した後、硬化させた。
工程5:パッド領域の露出(図25)パッド領域411に形成した被覆膜408をピンセットで剥離することにより、その部分のガス透過膜407を選択的に除去し、小型酸素電極のパッド404Aおよび405Aを露出させた。同時に予備パッド420も露出された。
工程6:小型酸素電極の切り出し(図26)
以上の工程により60mm角の絶縁性平面基板401上に一括して形成された小型酸素電極をダイシングソーで各チップ毎に切り分けた。図示した例では、一枚の基板から同時に7個の小型酸素電極418を得ることができる。
【0051】以上の実施例では電極を銀で形成したが、電極を金で形成することもできるし、またカソードを金電極とし、アノードを銀電極とすることもできる。例えば次のように、実施例1の工程を一部変更することにより、電極を銀の代わりに金で形成することができる。
〔実施例4〕実施例1の工程8および工程10においてそれぞれ下記の変更を行った。工程8(図10)において、銀薄膜315(厚さ4000Å)の代わりに金薄膜315(厚さ4000Å)を真空蒸着により形成する以外は実施例1と同様な操作を行った。次の工程9(図11R>1)は実施例1と同様に行う。工程10(図12)において、ウェハ301を実施例1の銀用エッチング液の代わりに金用エッチング液(KI/4g+I2 /1g+水/40ml)に浸漬する以外は実施例1と同様な操作を行った。これにより電極が金で形成された小型酸素電極が作製された。
【0052】またカソードを金、アノードを銀で形成した小型酸素電極は次のようにして作製できる。
〔実施例5〕図27〜図38を参照して、本発明に従って金カソード/銀アノードを有する小型酸素電極をガラス基板上に作製する手順の一例を説明する。なお、図27R>7〜図34は、簡潔のため1個の小型酸素電極の形成領域を示したものである。
工程1:ウェハ洗浄(図27)60mm角、厚さ1.6mmのガラス基板511を洗剤(例えばフルウチ化学製セミコクリーン56)およびアセトンで充分に洗浄した。
工程2:クロム薄膜、金薄膜および銀薄膜の形成(図28)真空蒸着により、クロム薄膜(厚さ例えば400Å)、金薄膜(厚さ例えば4000Å)、および銀薄膜512(厚さ例えば4000Å)を順に形成した。クロム薄膜はガラス基板511と電極との密着性を良好にするために介在させた。工程3:フォトレジストパターンの形成(図29)銀薄膜512上にポジ型フォトレジスト(例えば、東京応化製OFPR−800、20cPまたはOFPR−5000,50cP)を塗布し、80℃で30分間ポストベークした。形成されたポジ型フォトレジスト膜の露光および現像を行って、全電極に対応するフォトレジスト・パターン513を形成した。
工程4:金薄膜および銀薄膜のエッチング(図30)基板511を銀用エッチング液(例えば、29%NH4 OH/1ml+31%H2 2 /1ml+水/20ml)に浸漬して、銀薄膜512をパターニングした。次に、基板511を金用エッチング液(例えば、KI/4g+I2 /1g+水/40ml)に浸漬して、金薄膜をパターニングした。
【0053】これにより、フォトレジスト膜で覆われている部分以外の領域ではクロム薄膜514が露出される。
工程5:フォトレジストパターンの再パターニング(図31)再びポジ型フォトレジスト膜の露光および現像を行った。これにより、アノード形成予定部分のフォトレジスト・パターン513のみを残し、他の部分はフォトレジスト513を除去して銀薄膜512を露出させた。
工程6:電極のパターニング(図32)基板511を銀用エッチング液に浸漬して、上記工程5で露出した銀薄膜512を除去し、その下にある金薄膜を露出させた。これにより、金カソード504およびそれに連なるカード・エッジ部分(パッド)503の一部とフローティングのカード・エッジ部分(パッド)503の一部が露出した。次に、基板511をクロムエッチング液(例えば、NaOH/0.5g+K3 Fe(CN)6 /1g+水/4ml)に浸漬して、クロム薄膜514の露出部分を除去した。そして基板511をアセトンに浸漬してフォトレジストパターン513を全て除去して、銀アノード505およびそれに連なるカード・エッジ部分(パッド)503の一部を露出させた。
【0054】これにより金カソード504および銀カソード505を含む電極構成全体が形成された。
工程7:フォトレジストパターンの形成(図33)基板511上面全体にネガ型フォトレジスト(例えば、東京応化製OMR−83、60cP)をスピンコートにより塗布し、70〜80℃で30分間プリベークした。露光・現像の後、150℃で30分間ポストベークしてフォトレジストパターン516を形成した。フォトレジストパターン516に覆われずに露出しているのは、銀アノード505における酸素感応部515、金カソード504の一部、およびカード・エッジ部分(パッド)503である。
工程8:電解質組成物のスクリーン印刷(図34)次に、フォトレジスト516により確定された酸素感応部515に、電解質組成物をスクリーン印刷して電解質含有体517を形成した。
工程9:パッド領域被覆膜の形成(図35)パッド領域(カード・エッジ部分)503に熱硬化性剥離塗料(藤倉化成製XB−801)を厚さ100μmにスクリーン印刷した。次に、150℃で10分間加熱して硬化させ、被覆膜508を形成した。
工程10:ガス透過膜の形成(図36)ガラス基板511上面全体に上下2層から成るガス透過膜507を被覆した。まず下層のガス透過膜として、ネガ型フォトレジスト(東京応化製OMR−83、粘度100cP)をスピンコートにより塗布し、80℃で30分間プリベークした後、ウェハ全面に対して露光を行い、150℃で30分間ポストベークを行った。次に、上層のガス透過膜として、シリコーン樹脂(トーレ・ダウコーニング・シリコーン製SE9176)をスピンコートにより塗布し、加湿した恒温槽内で70℃で30分間加熱して硬化させた。加湿は、恒温槽内に水の入ったシャーレまたはビーカーを設置することにより行った。
工程11:パッドの露出(図37)パッド領域503に形成した被覆膜508をピンセットで剥離することにより、その部分のガス透過膜507を選択的に除去し、小型酸素電極のパッド(カード・エッジ)504Aおよび505Aを露出させた。
【0055】被覆膜508が剥離される際に、上下2層のガス透過膜は被覆膜上にある部分とそれ以外の部分とが被覆膜508の縁で切断され、上記選択除去が行われる。一方、ガラス基板上に残留したガス透過膜は基板に強固に密着しており、後述する水蒸気処理等にも剥離することはなかった。更に、酸素電極をカテーテルに装着して医療に用いた場合にも、また温度120℃、差圧1.2気圧で約15分間の滅菌処理に晒される醗酵槽中での酸素濃度モニタに用いた場合にも、ガス透過膜は破壊せず高い信頼性が得られた。
工程12:小型酸素電極の切り出し(図38)以上の工程により60mm角のガラス基板511上に一括して形成された小型酸素電極を、ダイシングソーで各チップ毎に切り分けた。図示した例では、一枚の基板から同時に7個の小型酸素電極548を得ることができる。
【0056】小型酸素電極をスクライブラインに沿って切り出す際にも、ガス透過膜はウェハに強固に密着しており、剥離あるいは信頼性試験における信頼性低下を生ずることがなかった。本発明の小型酸素電極は、電気化学的に酸素を検出する装置であれば、クラーク型、ガルバニ型、三極構成型等、型式によらず適用することができる。
【0057】三極構成型小型酸素電極の構造の一例を図3939および図40に示す。ただし、図39(b)はガス透過膜形成前の未完成状態を示す。シリコンウェハ701に作用極702、対極703および参照極704が形成されており(図39(b))、各極のパッド部分702A、703Aおよび704Aを残してガス透過膜705が表面を覆っている。図40は酸素感応部のI−I断面を示しており、シリコンウェハに形成された溝内に電解質組成物713が充填されて電解質含有体を構成している。
〔実施例6〕本発明に従って、図39および図40に示した基本構造を有する本発明の三極構成型小型酸素電極を下記手順により作製した。
工程1:電解質含有体収容溝の形成(図41)実施例1の工程1〜工程7と同様の手順により、シリコンウェハ701の片面に電解質含有体収容溝706およびSiO2 絶縁膜707を形成した。
工程2:電極パターンの形成(図42)実施例5の工程2〜工程6と同様の手順により、金から成る作用極702および対極703、および銀から成る参照極704を形成した。
工程3:フォトレジストパターンの形成(図43)実施例1の工程11と同様の操作により、酸素感応部の領域712とパッド領域713とを除いた部分をフォトレジスト711で被覆した。
工程4:電解質組成物のスクリーン印刷(図44)実施例1の工程12と同様の操作により、酸素感応部領域712に電解質組成物715をスクリーン印刷した。
工程5:小型酸素電極の切り出し(図45)実施例1の工程16と同様の操作により、シリコンウェハ上に多数形成された小型酸素電極をチップ状に切り出した。
【0058】以上の各実施例において、完成した小型酸素電極の歩留りは98%以上であった。酸素で飽和した水中で測定した応答特性は、出力変動が±3%以内であった。以上のようにして作製した小型酸素電極は、乾燥状態で保存し、使用直前に水蒸気滅菌(例えば121℃、2.2気圧)、水中浸漬、飽和水蒸気中暴露(例えば25℃、180分)等を行うと、ガス透過膜を通して内部に水分が供給され、使用可能な状態になる。
【0059】小型酸素電極をファーメンタに使用する場合、培地の滅菌と同時に上記の使用準備処置を行うと良い。ファーメンタに用いる場合、図46に示すように本発明の小型酸素電極801をファーメンタ専用アダプタ802(本発明者らによる特願平1−231708)に取りつけて用いると便利である。通常、外部との電気的接続は、小型酸素電極のカード・エッジ部分(パッド部分)503をカード・エッジ・コネクタ(例えば富士通製760型)に差し込むことにより行える。
【0060】図47を参照して、本発明の小型酸素電極を適用した酸素濃度測定装置の一構成例を説明する。酸素濃度測定装置810は、本発明の小型酸素電極819とそのコントローラ820とから構成されている。コントローラ820は、酸素電極819に供給する電圧を発生する電圧供給部821、酸素電極819からの出力電流を電圧に変換する電流/電圧変換部822、変換部822からの出力電圧を酸素濃度0%および100%において構成する校正する校正部823、および表示器824から構成されている。この酸素濃度測定装置810は、種々の溶液中の溶存酸素濃度、および気相中の酸素濃度を測定することができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、基板を一体のまま一括且つ均一に処理することにより高い効率で大量生産が可能な小型酸素電極、その製造方法およびそれに適した電解質組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の酸素電極の構造を示す断面図である。
【図2】従来の小型酸素電極の構造を示す平面図であり、(a)は完成した状態、(b)はガス透過膜を形成する前の状態を示す。
【図3】図2に示した従来の小型酸素電極の酸素感応部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、後に行なうシリコンウェハの異方性エッチングでマスクとして用いるSiO2 膜をウェハ全体について一括して形成する工程を、1チップ分の領域について示す断面図である。
【図5】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、後に行なうSiO2 膜のエッチングでマスクとして用いるフォトレジストパターンをウェハ全体について一括して形成する工程を、1チップ分の領域について示す断面図である。
【図6】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、SiO2 膜をウェハ全体について一括してエッチングする工程を、1チップ分の領域について示す断面図である。
【図7】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、シリコンウェハ全体について一括して異方性エッチングする工程を、1チップ分の領域について示す断面図である。
【図8】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、ウェハ全体について一括してSiO2 膜を除去する工程を、1チップ分の領域について示す断面図である。
【図9】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、最終的に得られる小型酸素電極の絶縁膜となるSiO2 膜をウェハ全体について一括して形成する工程を、1チップ分の領域について示す断面図である。
【図10】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、電極(アノード、カソード)を構成する銀薄膜およびクロム薄膜をウェハ全体について一括して形成する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図11】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、各電極(アノード、カソード)のパターニングのためのフォトレジストパターンをウェハ全体について一括して形成する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図12】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、ウェハ全体について一括して銀薄膜およびクロム薄膜をエッチングして電極(アノード、カソード)を形成する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図13】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、酸素感応部を確定するためのフォトレジストパターンをウェハ全体について一括して形成する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図14】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、ウェハ全体について一括してスクリーン印刷により本発明の電解質組成物を酸素感応部に充填する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図15】図14と同じ工程をウェハ全体について示す平面図である。
【図16】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、ウェハ全体について一括してパッド領域被覆膜を形成する工程を、(1)1チップ分の領域について示す断面図および(2)ウェハ全体について示す平面図である。
【図17】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、ウェハ全体について一括してガス透過膜を形成する工程を、(1)1チップ分の領域について示す断面図および(2)ウェハ全体について示す平面図である。
【図18】本発明に従ってシリコンウェハ上に小型酸素電極を作製する手順のうち、パッド領域の被覆膜を剥離することにより各電極(アノード、カソード)のパッド部分を露出させる工程を、(1)1チップ分の領域について示す断面図および(2)ウェハ全体について示す平面図である。
【図19】溶存酸素が100%飽和している状態に、亜硫酸ナトリウムを添加して溶存酸素を瞬時に0にした場合の応答曲線を示すグラフである。
【図20】図19の場合の検量線を示すグラフである。
【図21】本発明に従ってシリコンウェハ以外の絶縁性基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、基板上に電極パターンを形成する工程を基板全体について示す平面図である。
【図22】本発明に従ってシリコンウェハ以外の絶縁性基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、スクリーン印刷により酸素感応部に本発明の電解質組成物を充填する工程を基板全体について示す平面図である。
【図23】本発明に従ってシリコンウェハ以外の絶縁性基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、パッド領域に被覆膜を形成する工程を基板全体について示す平面図である。
【図24】本発明に従ってシリコンウェハ以外の絶縁性基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、ガス透過膜を形成する工程を基板全体について示す平面図である。
【図25】本発明に従ってシリコンウェハ以外の絶縁性基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、パッド領域の被覆膜を剥離することにより各電極(アノード、カソード)のパッド部分を露出させる工程を基板全体について示す平面図である。
【図26】本発明に従ってシリコンウェハ以外の絶縁性基板上に作成した小型酸素電極の1チップを示す平面図である。
【図27】本発明に従って小型酸素電極を作製するために用いるガラス基板を示す平面図である。
【図28】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、クロム薄膜、金薄膜、および銀薄膜を順に形成する工程を、1チップ分の領域について示す平面図である。
【図29】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、電極パターニングに用いるフォトレジストパターンを形成する工程を、1チップ分の領域について示す平面図である。
【図30】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、銀薄膜おび金薄膜を順にエッチングする工程を、1チップ分の領域について示す平面図である。
【図31】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、フォトレジストパターンを再パターニングする工程を、1チップ分の領域について示す平面図である。
【図32】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、各電極をパターニングするためのエッチング工程を、1チップ分の領域について示す平面図である。
【図33】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、酸素感応部およびカード・エッジ部分を確定するためのフォトレジストパターンを形成する工程を、1チップ分の領域について示す平面図である。
【図34】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、酸素感応部に電解質組成物をスクリーン印刷して電解質含有体を形成する工程を、1チップ分の領域について示す平面図である。
【図35】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、パッド領域に被覆膜を形成する工程を、基板全体について示す平面図である。
【図36】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、ガス透過膜を形成する工程を、基板全体について示す平面図である。
【図37】本発明に従ってガラス基板上に小型酸素電極を作製する手順のうち、パッド領域の被覆膜を剥離することによりパッド部分(カード・エッジ部分)を露出させる工程を、基板全体について示す平面図である。
【図38】本発明に従ってガラス基板上に作製した小型酸素電極の1チップを示す平面図である。
【図39】三極構成型小型酸素電極の構造を示す平面図であり、(a)は完成した状態、(b)はガス透過膜を形成する前の状態を示す。
【図40】図39に示した三極構成型小型酸素電極の酸素感応部を拡大して示す断面図である。
【図41】本発明に従って三極構成型小型酸素電極を作製する手順のうち、電解質含有体収容溝および絶縁膜を形成する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図42】本発明に従って三極構成型小型酸素電極を作製する手順のうち、各電極パターンを形成する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図43】本発明に従って三極構成型小型酸素電極を作製する手順のうち、酸素感応部確定用フォトレジストパターンを形成する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図44】本発明に従って三極構成型小型酸素電極を作製する手順のうち、酸素感応部に電解質組成物をスクリーン印刷する工程を、1チップ分の領域について示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図45】本発明に従って図41〜図44の工程により作製した三極構成型小型酸素電極の1チップ示す(1)断面図および(2)平面図である。
【図46】本発明の小型酸素電極をファーメンタに用いるためにアダプタに装着した状態を示す断面図である。
【図47】本発明の小型酸素電極を適用した酸素濃度測定装置の構成例を示す配置図である。
【符号の説明】
104…銀(Ag)や鉛(Pb)等から成るアノード
105…白金(Pt)や金(Au)等から成るカソード
107…シリコーン樹脂やフッ素樹脂等から成るガス透過膜
118…ガラス、プラスチック、ステンレス等から成る容器
119…塩化カリウムや水酸化ナトリウム等の水溶液
201…シリコンウェハ
202…電解質含有体収容溝
203…SiO2 絶縁膜
204…アノード
204A…アノード204のパッド部分(外部との電気的接続端)
205…カソード
205A…カソード205のパッド部分(外部との電気的接続端)
206…電解質含有体
207…ガス透過膜
301…2インチシリコンウェハ
302…電解質含有体収容溝
303…SiO2 膜(小型酸素電極において絶縁膜として機能する)
304…アノード
304A…アノード304のパッド部分(外部との電気的接続端)
305…カソード
305A…カソード305のパッド部分(外部との電気的接続端)
306…電解質含有体(電解質組成物の充填部)
307…ガス透過膜(上下2層から成る)
308…被覆膜(熱硬化性剥離塗料)
309…酸素感応部
310…2つの溝302間の平坦部
311…パッド領域
312…SiO2 膜(シリコンウェハ異方性エッチング時のマスク)
313…フォトレジストパターン
314…真空蒸着によるクロム薄膜
315…真空蒸着による銀薄膜
316…フォトレジストパターン(電極パターニング用)
317…フォトレジストパターン(小型酸素電極の酸素感応部を確定する)
401…絶縁性平面基板(ガラス、石英、セラミック、プラスチック等)
404…アノード
404A…アノード404のパッド(外部との電気的接続端)
405…カソード
405A…カソード405のパッド(外部との電気的接続端)
406…電解質含有体(電解質組成物の充填部)
407…ガス透過膜(上下2層から成る)
408…被覆膜(熱硬化性剥離塗料)
409…酸素感応部
411…パッド領域
420…予備パッド
428…小型酸素電極(1チップ)
503…カード・エッジ部分(パッド領域)
504…金カソード
504A…カソード504のパッド部分
505…銀アノード
505A…アノード505のパッド部分
507…ガス透過膜
508…被覆膜(熱硬化性剥離塗料)
511…ガラス基板
512…真空蒸着による銀薄膜
513…フォトレジスト・パターン
514…真空蒸着によるクロム薄膜
515…酸素感応部
516…フォトレジストパターン
517…電解質含有体
548…小型酸素電極(1チップ)
701…シリコンウェハ
702…金の作用極
702A…作用極702のパッド部分
703…金の対極
703A…対極703のパッド部分
704…銀の参照極
704A…参照極704のパッド部分
705…ガス透過膜
706…電解質含有体収容溝
707…SiO2 絶縁膜
711…フォトレジスト
712…酸素感応部の領域
713…パッド領域
715…電解質含有体(電解質組成物の充填部)
801…小型酸素電極
802…ファーメンタ専用アダプタ
810…酸素濃度測定装置
819…小型酸素電極
820…小型酸素電極819のコントローラ
821…電圧供給部
822…電流/電圧変換部
823…校正部
824…表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機溶媒中に、スクリーン印刷用のメッシュを通過し得る微細粉末状無機塩を分散状態で含み、且つポリビニルピロリドンを溶解状態で含むことを特徴とするスクリーン印刷用電解質組成物。
【請求項2】 前記無機塩が塩化カリウムまたは塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 更に緩衝剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】 前記緩衝剤が、リン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、四ホウ酸塩、グリシン塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】 絶縁性基板上に配置された、電解質含有体と、該電解質含有体に接触した1組の電極と、該電解質含有体を被覆したガス透過膜とを有する隔膜型小型酸素電極において、上記電解質含有体は、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物が上記基板表面にスクリーン印刷されて成ることを特徴とする小型酸素電極。
【請求項6】 絶縁性基板上に、電解質含有体と、該電解質含有体に接触した1組の電極と、該電解質含有体を被覆したガス透過膜とを形成する隔膜型小型酸素電極の製造方法において、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物を上記基板にスクリーン印刷することにより、上記電解質含有体を形成することを特徴とする小型酸素電極の製造方法。
【請求項7】 絶縁性基板上に配置された、電解質含有体と、該電解質含有体との接触端および外部との電気的接続端をそれぞれ備えた1組の電極と、該電解質含有体を含む領域で上記基板を被覆したガス透過膜とを有する隔膜型小型酸素電極において、上記電解質含有体は、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物が上記基板表面にスクリーン印刷されて成り、上記外部接続端を含む基板領域は、ガス透過膜がその下の剥離可能な被覆膜と一緒に剥離されていることを特徴とする小型酸素電極。
【請求項8】 絶縁性基板上に、電解質含有体と、該電解質含有体との接触端および外部との電気的接続端をそれぞれ備えた1組の電極と、該電解質含有体を被覆したガス透過膜とを形成する隔膜型小型酸素電極の製造方法において、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物を上記基板にスクリーン印刷することにより上記電解質含有体を形成し、上記基板上の上記外部接続端を含む露出予定領域に剥離可能な被覆膜を形成し、該被覆領域を含む上記基板表面を覆うガス透過膜を形成した後、該被覆膜を剥離して該露出予定領域を露出させることにより、所定パターンのガス透過膜を形成することを特徴とする小型酸素電極の製造方法。
【請求項9】 前記基板の露出予定領域に熱硬化性樹脂をスクリーン印刷により塗布した後に加熱して硬化させ、該樹脂膜形成領域を含む基板表面を覆うガス透過膜を形成した後に、該樹脂膜を剥離して該露出予定領域を露出させることにより、所定パターンのガス透過膜を形成することを特徴とする請求項8に記載の小型酸素電極の製造方法。

【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図3】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図15】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【図12】
image rotate


【図13】
image rotate


【図21】
image rotate


【図26】
image rotate


【図27】
image rotate


【図14】
image rotate


【図28】
image rotate


【図29】
image rotate


【図30】
image rotate


【図16】
image rotate


【図17】
image rotate


【図18】
image rotate


【図31】
image rotate


【図32】
image rotate


【図33】
image rotate


【図34】
image rotate


【図19】
image rotate


【図20】
image rotate


【図40】
image rotate


【図46】
image rotate


【図38】
image rotate


【図22】
image rotate


【図23】
image rotate


【図24】
image rotate


【図25】
image rotate


【図35】
image rotate


【図36】
image rotate


【図37】
image rotate


【図39】
image rotate


【図41】
image rotate


【図42】
image rotate


【図43】
image rotate


【図44】
image rotate


【図45】
image rotate


【図47】
image rotate


【特許番号】第2650552号
【登録日】平成9年(1997)5月16日
【発行日】平成9年(1997)9月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−32120
【出願日】平成4年(1992)2月19日
【公開番号】特開平5−87766
【公開日】平成5年(1993)4月6日
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−238548(JP,A)
【文献】特開 平2−236154(JP,A)