説明

スクリーン印刷装置

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明はスクリーン印刷装置に係り、スキージを摺動させて基板にクリーム半田を印刷しながら、クリーム半田の練り合わせを行うようにしたものである。
(従来の技術)
基板の回路パターン上に、電子部品の電極を接着するクリーム半田を印刷するスクリーン印刷装置は、スクリーンマスクと、前後一対のスキージから構成されており、スキージとスキージの間にクリーム半田を投入し、スキージを往復摺動させながら、スクリーンマスクに開孔されたパターン孔を通して、基板の電極にクリーム半田を印刷するようになっている。
(発明が解決しようとする課題)
ところが、クリーム半田は粘性が大きいことから、スキージの摺動によってパターン孔に充填されたクリーム半田は、パターン孔の縁部に強く付着して基板に転写されにくく、このため基板に印刷されるクリーム半田の量不足や形状不良を生じやすい問題点があった。
ところでクリーム半田はチキソ性を有しており、十分に練り合わせると、粘性が低下して、基板に転写されやすくなる特性を有している。
そこで本発明は、クリーム半田のこのような特性を利用し、上記従来手段の問題点を解消できるスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、スクリーンマスク上を摺動する前後一対のスキージと、このスキージの摺動駆動手段と、このスキージの間にあって、このスキージと一体的に摺動するクリーム半田の撹拌子と、この撹拌子を回転させる回転駆動手段とからスクリーン印刷装置を構成している。
(作用)
上記構成において、スキージを往復摺動させて、基板にクリーム半田を積極的に印刷するが、その際、撹拌子が回転して、クリーム半田を練り合わせることから、クリーム半田の粘性は低下し、クリーム半田は基板に良好に印刷される。
(実施例)
(実施例1)
次に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
第1図はスクリーン印刷装置の斜視図、第2図は断面図である。1は箱形の本体ケースであり、その内部にスクリーンマスク2が配設されている。19はスクリーンマスク2に開孔されたパターン孔である。3はスキージ装置であって、本体ケース1に架け渡された台板4と、この台板4の下部に装着された前後一対のスキージ5と、台板4上にあって、スキージ5を昇降させてスクリーンマスク2に接離させるシリンダ6から成っている。
台板4の両側部にはスライダ7が設けられており、このスライダ7は、本体ケース1の上面に設けられたガイドレール8に摺動自在に嵌合している。また台板4の側部にはナット9が装着されており、このナット9は本体ケース1上に上記ガイドレール8と平行に配設されたボールねじ10に螺合している。モータ11が駆動してボールねじ10が回転すると、スキージ装置3は往復摺動する。
第3図において、12は台板4の側部に設けられたプラケットである。13はこのブラケット12を貫通する回転軸であり、その両端部にはピニヨン14と、タイミングプーリ15が装着されている。ピニヨン14は、上記本体ケース1の内面に水平に設けられたラック杆16に係合している。またタイミングプーリ15の下方にも、タイミングプーリ17が設けられており、両プーリ15、17にはタイミングベルト18が調帯されている。
20は撹拌子であって、タイミングプーリ17と同軸的に設けられた棒状体21に、突起22を多数個突設して形成されている。この撹拌子20は、上記スキージ5の間にあって、スキージ5と平行に設けられており、スキージ5と一体的に摺動する。撹拌子20はこのような形状に限定されず、例えば棒状体に深いねじ溝を形成したものでもよい。23はクリーム半田、24はスクリームマスク2に近接して設けられた基板である。
このスクリーン印刷装置は上記のような構成より成り、次に動作の説明を行う。
スキージ5とスキージ5の間にクリーム半田23を投入し、モータ11を正逆駆動する。するとスキージ装置3はガイドレール8に沿って往復摺動し、パターン孔19を通して、基板24の回路パターンの電極上に、クリーン半田23が印刷される。
スキージ装置3が摺動すると、ピニヨン14はラック杆16上を転動し、その回転はタイミングプーリ15、17に伝達され、撹拌子20はスキージ5と一体的に往復摺動しながら、クリーム半田23を練り合わせる。このようにクリーム半田23を積極的に練り合わせることにより、クリーム半田23の粘性は低下し、クリーム半田23はパターン孔19を通して基板24に良好に転写される。
(実施例2)
第4図において、台板4に垂設されたブラケット25に、撹拌子20が保持されている。ブラケット25の背面には、この撹拌子20を回転させるモータ26が設けられている。したがってスキージ5を摺動させながら、モータ26を駆動することにより、撹拌子20を撹拌させ、クリーム半田23を練り合わせる。この場合、スキージ5の往復摺動に対応して、モータ26を正逆駆動し、撹拌子20を正逆回転させれば、より一層練り合わせ効果をあげることができる。
(発明の効果)
以上説明したように本発明は、スクリームマスク上に摺動する前後一対のスキージと、このスキージの摺動駆動手段と、このスキージの間にあって、このスキージと一体的に摺動するクリーム半田の撹拌子と、この撹拌子を回転させる回転駆動手段とからスクリーン印刷装置を構成しているので、クリーム半田を十分に練り合わせながら、基板に良好に印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施例を示すものであって、第1図はスクリーン印刷装置の斜視図、第2図は断面図、第3図は要部断面図、第4図は他の実施例の断面図である。
2……スクリーンマスク
5……スキージ
9〜11……摺動駆動手段
14、16、26……回転駆動手段
20……撹拌子
23……クリーム半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】スクリーンマスク上を摺動する前後一対のスキージと、このスキージの摺動駆動手段と、このスキージの間にあって、このスキージと一体的に摺動するクリーム半田の撹拌子と、この撹拌子を回転させる回転駆動手段とから成ることを特徴とするスクリーン印刷装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【特許番号】第2792230号
【登録日】平成10年(1998)6月19日
【発行日】平成10年(1998)9月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−333932
【出願日】平成2年(1990)11月29日
【公開番号】特開平4−199779
【公開日】平成4年(1992)7月20日
【審査請求日】平成9年(1997)1月27日
【出願人】(999999999)松下電器産業株式会社