説明

スクロール膨張機およびランキンサイクル

【課題】吸入冷媒の圧力を適切な範囲内に維持できるスクロール膨張機およびランキンサイクルを提供する。
【解決手段】スクロール型の膨張機100は、メイン吸入ポート30と、複数のサブ吸入ポート31aおよび31bと、サブ吸入ポート毎に設けられるサブポート弁とを備える。各サブポート弁が開くべき順序をあらかじめ決めておく。吸入冷媒の圧力が上限圧力を超えると各サブポート弁を順に開いてゆき、吸入冷媒の圧力が下限圧力未満になると各サブポート弁をその逆順に閉じてゆく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクロール膨張機に関し、とくに複数のサブ吸入ポートを開閉して容積を可変とする可変容量型のスクロール膨張機に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール膨張機は、ランキンサイクル等において冷媒を膨張させるために用いられ、吸入ポートから冷媒を吸入し、これを膨張室で膨張させて吐出ポートから吐出する。可変容量型のものは、吸入ポートとして、メイン吸入ポートの他にサブ吸入ポートを備え、サブ吸入ポートを開閉することによって容量を変更する。複数のサブ吸入ポートを備え、容量を多段階に変更するスクロール膨張機の例は、特許文献1に示される。また、複数のバイパスポートを開閉することにより容量制御を行なうスクロール圧縮機の例が、特許文献2、3に示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−30386号公報
【特許文献2】特開昭59−105994号公報
【特許文献3】特開昭62−291491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスクロール膨張機では、各サブポートの開閉について特段の配慮がない。このため、吸入冷媒の圧力を適切な範囲内に維持するのが困難という問題があった。膨張機において、吸入冷媒の圧力が高すぎて耐圧限界を超えると、膨張機自身や吸入圧領域の配管等を損傷するおそれがあり、一方、吸入冷媒の圧力が低すぎると、膨張前後の差圧が小さくなって効率が悪化する。
特許文献1〜3に記載される構成のいずれについても、このような吸入冷媒の圧力に関する配慮は必ずしも十分になされていない。少なくとも、吸入冷媒の圧力を適切な範囲内に維持するための具体的なサブポート開閉制御については記載がない。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、吸入冷媒の圧力を適切な範囲内に維持できるスクロール膨張機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題点を解決するため、この発明に係るスクロール膨張機は、メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、サブ吸入ポート毎に設けられてサブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段を備え、
サブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が所定の上限圧力を超えている場合には第1のサブポート弁を開き、
第kのサブポート弁(ただし1≦k≦n−1)が開いており、かつ第k+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が上限圧力を超えている場合には第k+1のサブポート弁を開く。
【0007】
このような構成によれば、吸入冷媒の圧力が高すぎる場合に第1〜第nのサブポート弁が番号の順に開いてゆく。
【0008】
また、この発明に係るスクロール膨張機は、メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、サブ吸入ポート毎に設けられてサブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段を備え、
サブポート弁がいずれも開いている状態において、圧力が所定の下限圧力未満である場合には第nのサブポート弁を閉じ、
第mのサブポート弁(ただし1≦m≦n−1)が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が下限圧力未満である場合には第mのサブポート弁を閉じる。
【0009】
このような構成によれば、吸入冷媒の圧力が低すぎる場合に第1〜第nのサブポート弁が番号の逆順に閉じてゆく。
上述の、上限圧力に基づく制御と下限圧力に基づく制御とを組み合わせてもよい。
【0010】
また、この発明に係るスクロール膨張機は、メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、サブ吸入ポート毎に設けられてサブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段と、膨張機吸入冷媒の温度を検出する温度検出手段とを備え、
サブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が所定の上限圧力を超え、かつ、温度が所定の上限温度を超えている場合には、第1のサブポート弁を開き、
第kのサブポート弁(ただし1≦k≦n−1)が開いており、かつ第k+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が上限圧力を超え、かつ、温度が上限温度を超えている場合には、第k+1のサブポート弁を開く。
【0011】
このような構成によれば、吸入冷媒の圧力および温度が高すぎる場合に第1〜第nのサブポート弁が番号の順に開いてゆく。
【0012】
また、この発明に係るスクロール膨張機は、メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、サブ吸入ポート毎に設けられてサブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段と、膨張機吸入冷媒の温度を検出する温度検出手段とを備え、
サブポート弁がいずれも開いている状態において、圧力が所定の下限圧力未満であり、かつ、温度が所定の下限温度未満である場合には、第nのサブポート弁を閉じ、
第mのサブポート弁(ただし1≦m≦n−1)が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が下限圧力未満であり、かつ、温度が下限温度未満である場合には、第mのサブポート弁を閉じる。
【0013】
このような構成によれば、吸入冷媒の圧力および温度が低すぎる場合に第1〜第nのサブポート弁が番号の逆順に閉じてゆく。
上述の、上限圧力および上限温度に基づく制御と、下限圧力および下限温度に基づく制御とを組み合わせてもよい。
【0014】
スクロール膨張機は少なくとも1つの膨張室を備え、第1〜第nのサブ吸入ポートは、それぞれいずれかの膨張室において、当該膨張室における膨張工程の位相が進行する順序に従って配置されてもよい。
【0015】
また、この発明に係るランキンサイクルは、上述のスクロール膨張機と、冷媒の流量を調節する流量調節手段とを備え、流量調節手段は、温度検出手段によって検出された温度と、圧力検出手段によって検出された圧力に対応する目標温度に調整するように、流量を調節する。
【0016】
このような構成によれば、流量調節が、目標温度に基づいて吸入冷媒の温度を制御する。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係るスクロール膨張機によれば、吸入冷媒の圧力を適切な範囲内に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る膨張機を含むランキンサイクルの構成を示す図である。
【図2】図1の膨張機の構成を示す図である。
【図3】図2のIII−III線による断面図において、メイン吸入ポート周辺を拡大したものである。
【図4】図2のIII−III線による断面図において、可動スクロールが図3とは異なる位置にある状態のメイン吸入ポート周辺を拡大したものである。
【図5】図1のECUによるサブポート弁の制御の例を示す図である。
【図6】実施の形態2に係る膨張機を含むランキンサイクルの構成を示す図である。
【図7】図6のECU8aの制御アルゴリズムの例を示す図である。
【図8】実施の形態3に係る膨張機を含むランキンサイクルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る膨張機100を含むランキンサイクルR1の構成を示す。ランキンサイクルR1はたとえば車両に搭載される。膨張機100はスクロール式の容量可変型膨張機であり、ランキンサイクルR1に流通する冷媒を吸入し、膨張して吐出する。
【0020】
ランキンサイクルR1は、ポンプ1、ボイラー2、膨張機100、コンデンサ3をこの順に環状に接続する循環路を形成しており、作動流体としての冷媒が流通するようになっている。
ポンプ1は、モータ4によって駆動され、液体の冷媒をボイラー2に圧送する。ボイラー2は、ポンプ1によって送られた冷媒と、車両のエンジン5の排気系統6の排気ガスとを内部で互いに熱交換させ、冷媒を加熱する。
【0021】
膨張機100は、その内部で、ボイラー2で加熱された後の高温高圧の冷媒を膨張させ、これによって回転駆動力を取り出す。この回転駆動力は、動力伝達機構7を介してエンジン5に伝達され、エンジン5の回転駆動力を補助する。動力伝達機構7はたとえばプーリおよびベルトによって構成される。コンデンサ3は、膨張機100から吐出された冷媒を内部に流通させてコンデンサ3の周囲の空気と熱交換させ、冷媒を冷却・凝縮させる。そして、ポンプ1は、凝縮した液体の冷媒を再び圧送し、ランキンサイクルR1を循環させる。
【0022】
膨張機100は、膨張機100に吸入される冷媒(膨張機吸入冷媒)の圧力を検出する圧力検出手段として、圧力センサS1を備える。圧力センサS1は、ランキンサイクルR1において膨張機100の上流側に設けられ、冷媒の圧力を電気信号に変換して出力する。
また、膨張機100は、膨張機100自身を制御するECU8を備える。ECU8は、圧力センサS1からの電気信号を受信し、これに基づいて膨張機100の動作を制御する。たとえば、後述するように、膨張機100のサブポート弁の開閉を制御する。
【0023】
図2は膨張機100の構成を示す。膨張機100は、膨張部101と、発電部102とを含んでいる。
膨張機100は、膨張部101の筐体を構成する膨張部ハウジング10と、発電部102の筐体を構成する発電部ハウジング20とを有している。膨張部ハウジング10は、第一膨張部ハウジング10aおよび第二膨張部ハウジング10bからなる。第二膨張部ハウジング10bの両側に、第一膨張部ハウジング10aおよび発電部ハウジング20が連結されている。
【0024】
膨張部101は、第一膨張部ハウジング10aの内部に固定スクロール11を有している。固定スクロール11は、第一膨張部ハウジング10aに固定されている。また、固定スクロール11は、板状の基板11aと渦巻壁11bとによって形成されている。渦巻壁11bは基板11a上に渦巻き状に形成され、基板11aから第二膨張部ハウジング10bに向かう方向に突出する。
【0025】
また、膨張部101は、第二膨張部ハウジング10bの内部から第一膨張部ハウジング10aの内部にわたって、固定スクロール11と対向するように、可動スクロール12を有している。可動スクロール12は、固定スクロール11に対して第二膨張部ハウジング10b側に配置されており、固定スクロール11の基板11aと略平行に配置される基板12aと、渦巻壁12bとによって形成されている。渦巻壁12bは基板12a上に渦巻き状に形成され、基板12aから固定スクロール11の基板11aに向かって突出する。また、可動スクロール12では、基板12aから渦巻壁12bと反対側に、筒状のシャフト支持部12dが突出して形成されている。
【0026】
そして、可動スクロール12は、その渦巻壁12bが固定スクロール11の渦巻壁11b同士の間にはまりこむようにして、配置されている。可動スクロール12の渦巻壁12bは、固定スクロール11の渦巻壁11bと当接することによって、閉鎖された空間である三日月状の膨張室40を形成することができる。
【0027】
また、第一膨張部ハウジング10aの内部では、固定スクロール11に対して可動スクロール12の反対側に、吸入室10cが形成されている。吸入室10cは、第一膨張部ハウジング10aを貫通する吸入通路10dを介して、膨張機100の外部と連通する。
また、第一膨張部ハウジング10aおよび渦巻壁11bには、渦巻壁11bの最も外側の部分と第一膨張部ハウジング10aとを貫通して延びる吐出通路10eが形成されている。可動スクロール12の位置に応じて、膨張室40と膨張機100の外部とが吐出通路10eを介して連通する。
【0028】
また、膨張部101は、可動スクロール12のシャフト支持部12d側に、駆動シャフト13を有している。駆動シャフト13は、第二膨張部ハウジング10b内の軸受14によって回転可能に支持される拡径部13bと、拡径部13bから発電部ハウジング20側に延びるメインシャフト部13aと、拡径部13bから可動スクロール12のシャフト支持部12d内に延びる偏心シャフト部13cとを一体に有している。
【0029】
メインシャフト部13a、拡径部13bおよび偏心シャフト部13cはいずれも略円柱状であり、メインシャフト部13aの中心軸と拡径部13bの中心軸とは同一直線上にある。また、偏心シャフト部13cの中心軸は、メインシャフト部13aおよび拡径部13bの中心軸と平行であるが同一直線上にはない位置に配置される。すなわち、偏心シャフト部13cの中心軸は偏心している。また、偏心シャフト部13cは、ブッシュ15およびその外周の軸受16を介して、シャフト支持部12dと回転自在に嵌合している。
【0030】
よって、偏心シャフト部13cは、メインシャフト部13aおよび拡径部13bの中心軸の周りを旋回するように回転することができる。そして、可動スクロール12は、メインシャフト部13aおよび拡径部13bの中心軸の周りを公転運動することによって、偏心シャフト部13cを介して、メインシャフト部13aおよび拡径部13bをその中心軸周りに回転させることができる。また、可動スクロール12が公転運動することによって、膨張室40がメイン吸入ポート30と連通して形成され、その後メイン吸入ポート30から隔絶されて固定スクロール11の基板11aの周縁に移動しつつ、容積を増大させる。
【0031】
メインシャフト部13aの端部は、発電部ハウジング20に設けられた軸受20bによって回転可能に支持され、さらに発電部ハウジング20から突出して動力伝達機構7のプーリ(図1参照)に連結されている。また、発電部ハウジング20の内部において、メインシャフト部13aの周りにロータ21が設けられ、メインシャフト部13aと一体に回転するように固定されている。さらに、発電部ハウジング20の内周面には、ロータ21を取り囲むようにして、コイル22aを有するステータ22が固定されている。そして、発電部ハウジング20、メインシャフト部13a、ロータ21およびステータ22は、発電部102を構成し、発電部102は、メインシャフト部13aが回転されてロータ21が回転することによってステータ22のコイル22aに電流を発生することができる。
【0032】
図3および図4は、図2のIII−III線による断面図において、固定スクロール11の中央周辺を拡大したものである。なお、図3と図4とでは、可動スクロール12の位置が異なっており、いずれも必ずしも図2における可動スクロール12の位置とは整合しない。
【0033】
固定スクロール11の基板11aには、吸入室10cと膨張室40とを連通する吸入ポートとして、単一のメイン吸入ポート30と、複数のサブ吸入ポート31aおよび31bとが形成されている。メイン吸入ポート30はたとえば基板11aの中央を貫通して設けられる。メイン吸入ポート30は、少なくとも膨張機100の膨張動作中は常に開いている。
【0034】
サブ吸入ポート31aおよび31bには、それぞれ対応するサブポート弁(図示せず)が設けられ、これらのサブポート弁が開閉することによりサブ吸入ポート31aおよび31bが開閉する。本実施形態では、サブ吸入ポート31aを第1のサブ吸入ポートとし、サブ吸入ポート31bを第2のサブ吸入ポートとし、サブ吸入ポート31aのサブポート弁を第1のサブポート弁とし、サブ吸入ポート31bのサブポート弁を第2のサブポート弁とする。
【0035】
サブポート弁はすべてECU8(図1)に接続されており、ECU8からの制御信号に応じて開閉する。なお、サブポート弁の具体的な構成はとくに示さないが、当業者であれば公知技術を用いて適切なサブポート弁を構成することができる。たとえば特許文献1〜3に記載されるようなサブポート弁を用いてもよい。
【0036】
図3は、サブ吸入ポート31aおよび31bのサブポート弁がいずれも閉じている場合の、吸入完了時点に対応する可動スクロール12の位置を示す。固定スクロール11の中央側端が可動スクロール12と接し、同時に可動スクロール12の中央側端が固定スクロール11と接し、これによって膨張室40aおよび40bがメイン吸入ポート30から隔絶されて形成される。この時点が図3の状態に対応する。サブ吸入ポート31aおよび31bがいずれも閉じている場合、この時点で膨張室40aおよび40bは吸入室10cから隔絶されることになり、吸入行程が完了する。
【0037】
図4は、サブ吸入ポート31aおよび31bのサブポート弁がいずれも開いている場合の、吸入完了時点に対応する可動スクロール12の位置を示す。膨張室40aおよび40bがメイン吸入ポート30から隔絶されて形成された時点(図3に対応する時点)では、膨張室40aおよび40bはそれぞれサブ吸入ポート31aおよび31bを介して吸入室10cと連通しているので、いずれも吸入行程は継続中である。その後、可動スクロール12がさらに回転し、サブ吸入ポート31aおよび31bを塞ぐ位置に達する。この時点が図4の状態に対応する。この時点で膨張室40aおよび40bは吸入室10cから隔絶されることになり、吸入行程が完了する。
【0038】
図3および図4に示すように、サブ吸入ポート31aおよび31bが開いている場合(図4)には、これらが閉じている場合(図3)と比較して吸入行程の完了が遅くなるので、吸入容積がより大きくなる。このように、膨張機100の吸入容積は、各サブポートに対応するサブポート弁の開閉により可変となる。
【0039】
次に、図1〜図4を用いて、この発明の実施の形態1に係る膨張機100およびその周辺の動作を説明する。
図1を参照すると、車両のエンジン5の稼動中、エンジン5から排気系統6に排出された排気ガスは、ボイラー2の内部を流通した後、車両の外部に排出される。このとき、エンジン5の回転駆動力が動力伝達機構7を介して膨張機100に伝達され、それによって、膨張部101および発電部102が回転駆動される。
【0040】
また、エンジン5の稼動中、ポンプ1がモータ4によって駆動される。これによって、ポンプ1は、液体状態の冷媒をボイラー2に向かって圧送する。ポンプ1によって断熱加圧作用を受けた冷媒は、ボイラー2において排気ガスと熱交換を行うことによって等圧加熱されて高温高圧の過熱蒸気となり、膨張機100に吸入され、断熱膨張して流出する。流出した冷媒は、コンデンサ3に流入し、コンデンサ3では周囲の空気すなわち外気と熱交換を行うことによって等圧冷却されて凝縮し液体状態となって流出する。さらに、コンデンサ3から流出した冷媒は、ポンプ1に吸入されて再度圧送され、ランキンサイクルR1を循環する。
【0041】
図2をあわせて参照すると、ボイラー2から流出した高温高圧の冷媒は、膨張部101の吸入通路10dを通って吸入室10cに流入する。さらに、吸入室10cからメイン吸入ポート30(および、開いている場合にはサブ吸入ポート31aおよび31b)を通って膨張室40に流入する。膨張室40内の冷媒は、その膨張力によって膨張室40の容積を増大させる方向への回転駆動力を可動スクロール12に付与し、それにより、膨張室40は、固定スクロール11の基板11aの中央のメイン吸入ポート30近傍で形成された後、可動スクロール12の回転に伴ってその容積を増加させつつ基板11aの周縁に向かって移動し、吐出通路10eと連通するようになる。そして、容積を増加させた膨張室40内で膨張した冷媒は、膨張部101の外部に排出される。
【0042】
このとき、冷媒の膨張力による可動スクロール12の回転駆動力が、駆動シャフト13を介して伝達されることで、発電部102のロータ21を回転駆動すると共にエンジン5の回転駆動力を補助する。
ロータ21が回転することによって、ステータ22のコイル22aに交流電流が発生し、発生した交流電流は、図示しないコンバータで直流電流に変換された後、バッテリ等に充電される。
【0043】
図5は、ECU8によるサブポート弁の制御の例を示す。図5に示すように、時間とともに吸入冷媒の圧力が変動しているとする。ECU8(図1)は、圧力センサS1によって検出される吸入冷媒の圧力に応じて各サブポート弁を制御する。たとえば、各サブポート弁が開くべき順序をあらかじめ決めておき、吸入冷媒の圧力が所定の上限圧力PHを超えると順次サブポート弁を開いてゆく。一方、吸入冷媒の圧力が所定の下限圧力PL未満になると、その逆の順でサブポート弁を閉じてゆく。上限圧力PHはたとえば3.3MPaGであり、下限圧力PLはたとえば2.7MPaGである。
【0044】
図5において、時刻t1より前では2つのサブポート弁がいずれも閉じており、また吸入冷媒の圧力は下限圧力PLと上限圧力PHの間にある。この状態において、吸入冷媒の圧力が上昇し、時刻t1において上限圧力PHを超えたとする。これに応じ、ECU8はサブ吸入ポート31aのサブポート弁(第1のサブポート弁)を開く。これによって膨張室40aの吸入容積が大きくなり、結果として吸入冷媒の圧力が低下する。
【0045】
時刻t1と時刻t2の間では、サブ吸入ポート31aのサブポート弁が開いており、サブ吸入ポート31bのサブポート弁は閉じている。この状態において、吸入冷媒の圧力が再び上昇し、時刻t2において上限圧力PHを超えたとする。これに応じ、ECU8はサブ吸入ポート31bのサブポート弁(第2のサブポート弁)を開く。これによって膨張室40bの吸入容積が大きくなり、結果として吸入冷媒の圧力が低下する。
【0046】
時刻t2と時刻t3の間では、2つのサブポート弁がいずれも開いている。この状態において、吸入冷媒の圧力が低下し、時刻t3において下限圧力PL未満になったとする。これに応じ、ECU8はサブ吸入ポート31bのサブポート弁(第2のサブポート弁)を閉じる。これによって膨張室40bの吸入容積が小さくなり、結果として吸入冷媒の圧力が上昇する。
【0047】
時刻t3と時刻t4の間では、サブ吸入ポート31aのサブポート弁が開いており、サブ吸入ポート31bのサブポート弁は閉じている。この状態において、吸入冷媒の圧力が再び低下し、時刻t4において下限圧力PL未満になったとする。これに応じ、ECU8はサブ吸入ポート31aのサブポート弁(第1のサブポート弁)を閉じる。これによって膨張室40aの吸入容積が小さくなり、結果として吸入冷媒の圧力が上昇する。時刻t4より後では2つのサブポート弁がいずれも閉じている。
【0048】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る膨張機100によれば、吸入冷媒の圧力が高すぎる場合に、第1および第2のサブポート弁がこの順に開いてゆくので、吸入冷媒の圧力を適切な範囲内に維持することができる。また、吸入冷媒の圧力が低すぎる場合に、第1および第2のサブポート弁が逆順に閉じてゆくので、吸入冷媒の圧力を適切な範囲内に維持することができる。
【0049】
上述の実施の形態1ではサブ吸入ポートの数は2であるが、3以上のサブ吸入ポートが設けられてもよい。同一の膨張室に複数のサブ吸入ポートが設けられる場合には、それらのサブ吸入ポートの開閉順は、その膨張室における膨張行程の位相が進行する順序に従って決定されてもよい。
【0050】
n個のサブ吸入ポートが設けられている場合のECUの制御は、たとえば次のようになる(ただしn≧2とする。n=2とすると実施の形態1と同等である)。
サブポート弁がいずれも閉じている状態において、吸入冷媒の圧力が上限圧力PHを超えている場合には、第1のサブポート弁を開く。また、第kのサブポート弁(ただし1≦k≦n−1)が開いており、かつ第k+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、吸入冷媒の圧力が上限圧力PHを超えている場合には、第k+1のサブポート弁を開く。(なお、第k+1のサブポート弁と同時に、第k+2またはそれ以降のサブポート弁も開くという制御を除外するものではない。)
【0051】
また、サブポート弁がいずれも開いている状態において、吸入冷媒の圧力が下限圧力PL未満である場合には、第nのサブポート弁(すなわち最後のサブポート弁)を閉じる。また、第mのサブポート弁(ただし1≦m≦n−1)が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、吸入冷媒の圧力が下限圧力PL未満である場合には、第mのサブポート弁(すなわち最後に開いたサブポート弁)を閉じる。(なお、第mのサブポート弁と同時に、第m−1またはそれ以前のサブポート弁も閉じるという制御を除外するものではない。)
【0052】
異なる膨張室のサブ吸入ポートの開閉順序については自由に決定してもよく、たとえば実施の形態1においてサブ吸入ポート31aのサブポート弁を第2のサブポート弁とし、サブ吸入ポート31bのサブポート弁を第1のサブポート弁としてもよい。
いずれかまたは双方の膨張室に複数のサブ吸入ポートが設けられている場合には、たとえば、各膨張室のサブポート弁を交互に開いてゆく制御としてもよいし、一方の膨張室のサブポート弁を順次開いてゆき、すべてのサブポート弁が開かれた後に他方の膨張室のサブポート弁を開きはじめる制御としてもよい。
【0053】
実施の形態1では、各サブポート弁を開く順序と閉じる順序とは互いに逆となっているが、これらは互いに逆でなくともよい。たとえば、サブポート弁を開く場合にだけ実施の形態1と同様の制御を行い、サブポート弁を閉じる場合には同時にすべてのサブポート弁を閉じる制御を行ってもよい。あるいは、サブポート弁を閉じる場合にだけ実施の形態1と同様の制御を行ってもよい。このような制御であっても、サブポート弁を開いてゆく過程または閉じてゆく過程のうち少なくともいずれか一方では、本願発明の効果を得ることができる。
【0054】
なお、実施の形態1では、サブポート弁の開閉に伴う吸入冷媒の圧力の変動は、圧力の測定周期に対して十分に早く進行するものと仮定しているが、そうでない場合には、サブポート弁の開閉直後に所定の余裕時間を設け、この余裕時間はサブポート弁の開閉制御の対象外としてもよい。
【0055】
実施の形態1では、上限圧力PHおよび下限圧力PLはそれぞれ単一の閾値のみが用いられる。変形例として、いずれかまたは双方において複数の閾値を用いてもよい。たとえば、第1上限圧力PH1および第2上限圧力PH2(ただしPH1<PH2)を定義しておき、吸入冷媒の圧力がPH1を超えPH2以下である場合には次のサブポート弁のみを開き、吸入冷媒の圧力がPH2を超えた場合には次およびその次のサブポート弁を2つ同時に開く制御としてもよい。同様に、第1下限圧力PL1および第2下限圧力PL2(ただしPL1>PL2)を定義しておき、吸入冷媒の圧力がPL1未満PL2以上である場合には直前のサブポート弁のみを閉じ、吸入冷媒の圧力がPL2未満となった場合には直前およびその前のサブポート弁を2つ同時に閉じる制御としてもよい。このようにすると、急激な圧力変動に対して短時間で応答可能な制御を実現することができる。
【0056】
膨張機100は、膨張部101のみによって構成され、発電部102を含まないものであってもよい。
【0057】
実施の形態2.
実施の形態2は、吸入冷媒の圧力のみならず温度にも基づく制御を行うものである。
図6は、実施の形態2に係る膨張機100aを含むランキンサイクルR2の構成を示す。膨張機100aは、膨張機100aに吸入される冷媒(膨張機吸入冷媒)の温度を検出する温度検出手段として、温度センサS2を備える。また、ランキンサイクルR2には、ポンプ1と並列に、ポンプ1を経由しないバイパスBが設けられる。バイパスBには、冷媒の流量を調節する流量可変バルブVが設けられる。
【0058】
温度センサS2は、ランキンサイクルR2において膨張機100aの上流側に設けられ、冷媒の温度を電気信号に変換して出力する。また、ECU8aは、圧力センサS1および温度センサS2からの電気信号を受信し、これに基づいて膨張機100aおよび流量可変バルブVの動作を制御する。このように、本実施形態においては、ECU8aおよび流量可変バルブVが流量調節手段を構成する。
【0059】
図7は、ECU8aの制御アルゴリズムの例を示す。ECU8aは、吸入冷媒の状態を、圧力と、温度と、目標温度とに基づいて決定される複数の制御領域に分割し、各制御領域においてそれぞれ特定の制御を実行する。
ECU8aは、所定の目標温度線に基づいて制御領域を決定する。この目標温度線は、吸入冷媒の圧力に応じて最適な温度を決定するものであり、たとえば冷媒の等エントロピ線とすることができる。目標温度線において、所定の上限圧力PHに対応する温度が上限温度THであり、所定の下限圧力PLに対応する温度が下限温度TLである。上限圧力PHはたとえば3.3MPaGであり、下限圧力PLはたとえば2.7MPaGであり、上限温度THはたとえば125℃であり、下限温度TLはたとえば110℃である。
【0060】
図7における右上領域、すなわち吸入冷媒の圧力が上限圧力PHを超えており、かつ、吸入冷媒の温度が上限温度THを超えている領域が、サブポート開弁領域A1である。吸入冷媒の状態がこのサブポート開弁領域A1にある場合、ECU8aは次のサブポート弁を開く。
【0061】
すなわち、サブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が上限圧力PHを超え、かつ、温度が上限温度THを超えている場合には、第1のサブポート弁を開く。また、第kのサブポート弁が開いており、かつ第k+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が上限圧力PHを超え、かつ、温度が上限温度THを超えている場合には、第k+1のサブポート弁を開く。この結果として、吸入冷媒の圧力が低下するとともに温度も低下し、吸入冷媒の状態は図7の左下方向に移動する。
【0062】
図7における左下領域、すなわち吸入冷媒の圧力が所定の下限圧力PL未満であり、かつ、吸入冷媒の温度が所定の下限温度TL未満である領域が、サブポート閉弁領域A2である。吸入冷媒の状態がこのサブポート閉弁領域A2にある場合、ECU8aは直前のサブポート弁を閉じる。
【0063】
すなわち、サブポート弁がいずれも開いている状態において、圧力が下限圧力PL未満であり、かつ、温度が下限温度TL未満である場合には、第nのサブポート弁を閉じる。また、第mのサブポート弁が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、圧力が下限圧力PL未満であり、かつ、温度が下限温度TL未満である場合には、第mのサブポート弁を閉じる。この結果として、吸入冷媒の圧力が上昇するとともに温度も上昇し、吸入冷媒の状態は図7の右上方向に移動する。
【0064】
サブポート開弁領域A1およびサブポート閉弁領域A2以外の部分において、ECU8aは、吸入冷媒の温度と、圧力に対応する目標温度に調整するように、ランキンサイクルR2における冷媒の流量を調節する。
サブポート開弁領域A1およびサブポート閉弁領域A2以外の部分において、温度が目標温度線よりも高い側の領域が、流量増加領域A3である。吸入冷媒の状態がこの流量増加領域A3にある場合、ECU8aは流量可変バルブVを制御して冷媒の流量を増加させる。この結果として、吸入冷媒の温度が低下し、吸入冷媒の状態は図7の左方向に移動して目標温度線に近づく。
【0065】
サブポート開弁領域A1およびサブポート閉弁領域A2以外の部分において、温度が目標温度線よりも低い側の領域が、流量減少領域A4である。吸入冷媒の状態がこの流量減少領域A4にある場合、ECU8aは流量可変バルブVを制御して冷媒の流量を減少させる。この結果として、吸入冷媒の温度が上昇し、吸入冷媒の状態は図7の右方向に移動して目標温度線に近づく。
【0066】
以上のように、実施の形態2に係るランキンサイクルR2によれば、吸入冷媒の温度と、吸入冷媒の圧力に対応する目標温度に調整されるように、ランキンサイクルR2における冷媒の流量が調節される。さらに、実施の形態1と同様に、吸入冷媒の圧力に応じたサブポート弁の開閉制御を行う。この結果、吸入冷媒の状態は、目標温度線上の目標領域A5に向かうよう制御されることになるので、吸入冷媒の圧力および温度を適切な範囲内に維持することができる。
【0067】
実施の形態2では、サブポート開弁領域A1およびサブポート閉弁領域A2においては流量の増減制御を行わないが、変形例として、サブポート開弁領域A1およびサブポート閉弁領域A2においても流量の増減制御を行い、温度を目標温度線に近づける制御としてもよい。
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の変形を施すことができる。
【0068】
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態2において、流量制御手段の構成を変更するものである。
図8は、実施の形態3に係る膨張機100bを含むランキンサイクルR3の構成を示す。ランキンサイクルR3は流量可変ポンプ1aを備える。流量可変ポンプ1aは、回転数可変モータ4aによって駆動され、液体の冷媒をボイラー2に圧送する。温度センサS2は、吸入冷媒の温度を電気信号に変換し、ECU8bおよび8cに出力する。ECU8bは、温度センサS2からの電気信号を受信し、これに基づいて回転数可変モータ4aの回転数を制御し、結果としてランキンサイクルR3における冷媒の流量を調節する。このように、本実施形態においては、ECU8bおよび回転数可変モータ4aが流量調節手段を構成する。
【0069】
ECU8bは、実施の形態2と同様の流量制御を行う。すなわち、吸入冷媒の状態が図7の流量増加領域A3にある場合には回転数可変モータ4aを制御して冷媒の流量を増加させ、吸入冷媒の状態が流量減少領域A4にある場合には回転数可変モータ4aを制御して冷媒の流量を減少させる。この結果として、吸入冷媒の状態は目標温度線に近づく。
【0070】
また、ECU8cは、実施の形態2と同様のサブポート弁開閉制御を行う。すなわち、圧力センサS1および温度センサS2からの電気信号を受信し、吸入冷媒の状態が図7のサブポート開弁領域A1にある場合には次のサブポート弁を開き、サブポート閉弁領域A2にある場合には直前のサブポート弁を閉じる。
【0071】
以上のように、実施の形態3に係るランキンサイクルR3によれば、吸入冷媒の温度と、吸入冷媒の圧力に対応する目標温度に調整されるように、ランキンサイクルR3における冷媒の流量が調節される。さらに、実施の形態1と同様に、吸入冷媒の圧力に応じたサブポート弁の開閉制御を行う。この結果、吸入冷媒の状態は、図7の目標温度線上の目標領域A5に向かうよう制御されることになるので、吸入冷媒の圧力および温度を適切な範囲内に維持することができる。
【0072】
図8ではECU8bおよび8cはそれぞれ独立したECUであるが、これらは単一のECUによって構成されてもよい。
また、実施の形態3においても、実施の形態1および2と同様の変形を施すことができる。
【符号の説明】
【0073】
1 ポンプ、1a 流量可変ポンプ(流量調節手段)、2 ボイラー、3 コンデンサ、4 モータ、4a 回転数可変モータ(流量調節手段)、8、8a、8c ECU、8b ECU(流量調節手段)、30 メイン吸入ポート、31a、31b サブ吸入ポート、40、40a、40b 膨張室、100、100a、100b 膨張機、V 流量可変バルブ(流量調節手段)、R1〜R3 ランキンサイクル、S1 圧力センサ(圧力検出手段)、S2 温度センサ(温度検出手段)、PH 上限圧力、PL 下限圧力、TH 上限温度、TL 下限温度、A1 サブポート開弁領域、A2 サブポート閉弁領域、A3 流量増加領域、A4 流量減少領域、A5 目標領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、前記サブ吸入ポート毎に設けられて前記サブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、前記サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
前記スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段を備え、
前記サブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が所定の上限圧力を超えている場合には第1の前記サブポート弁を開き、
第kのサブポート弁(ただし1≦k≦n−1)が開いており、かつ第k+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が前記上限圧力を超えている場合には第k+1のサブポート弁を開く、スクロール膨張機。
【請求項2】
メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、前記サブ吸入ポート毎に設けられて前記サブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、前記サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
前記スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段を備え、
前記サブポート弁がいずれも開いている状態において、前記圧力が所定の下限圧力未満である場合には第nの前記サブポート弁を閉じ、
第mのサブポート弁(ただし1≦m≦n−1)が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が前記下限圧力未満である場合には第mのサブポート弁を閉じる、スクロール膨張機。
【請求項3】
前記サブポート弁がいずれも開いている状態において、前記圧力が所定の下限圧力未満である場合には第nの前記サブポート弁を閉じ、
第mのサブポート弁(ただし1≦m≦n−1)が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が前記下限圧力未満である場合には第mのサブポート弁を閉じる、請求項1に記載のスクロール膨張機。
【請求項4】
メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、前記サブ吸入ポート毎に設けられて前記サブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、前記サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
前記スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段と、前記膨張機吸入冷媒の温度を検出する温度検出手段とを備え、
前記サブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が所定の上限圧力を超え、かつ、前記温度が所定の上限温度を超えている場合には、第1の前記サブポート弁を開き、
第kのサブポート弁(ただし1≦k≦n−1)が開いており、かつ第k+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が前記上限圧力を超え、かつ、前記温度が前記上限温度を超えている場合には、第k+1のサブポート弁を開く、スクロール膨張機。
【請求項5】
メイン吸入ポートと、第1〜第nのサブ吸入ポート(ただしn≧2)と、前記サブ吸入ポート毎に設けられて前記サブ吸入ポートを開閉する第1〜第nのサブポート弁とを備え、前記サブポート弁の開閉により膨張機吸入容積を可変とする、スクロール膨張機において、
前記スクロール膨張機は、膨張機吸入冷媒の圧力を検出する圧力検出手段と、前記膨張機吸入冷媒の温度を検出する温度検出手段とを備え、
前記サブポート弁がいずれも開いている状態において、前記圧力が所定の下限圧力未満であり、かつ、前記温度が所定の下限温度未満である場合には、第nの前記サブポート弁を閉じ、
第mのサブポート弁(ただし1≦m≦n−1)が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が前記下限圧力未満であり、かつ、前記温度が前記下限温度未満である場合には、第mのサブポート弁を閉じる、スクロール膨張機。
【請求項6】
前記サブポート弁がいずれも開いている状態において、前記圧力が所定の下限圧力未満であり、かつ、前記温度が所定の下限温度未満である場合には、第nの前記サブポート弁を閉じ、
第mのサブポート弁(ただし1≦m≦n−1)が開いており、かつ第m+1〜第nのサブポート弁がいずれも閉じている状態において、前記圧力が前記下限圧力未満であり、かつ、前記温度が前記下限温度未満である場合には、第mのサブポート弁を閉じる、請求項4に記載のスクロール膨張機。
【請求項7】
前記スクロール膨張機は少なくとも1つの膨張室を備え、
前記第1〜第nのサブ吸入ポートは、それぞれいずれかの膨張室において、当該膨張室における膨張工程の位相が進行する順序に従って配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスクロール膨張機。
【請求項8】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のスクロール膨張機、または、請求項4〜6のいずれか一項を引用する場合の請求項7に記載のスクロール膨張機と、
冷媒の流量を調節する流量調節手段と
を備え、
前記流量調節手段は、前記温度検出手段によって検出された前記温度と、前記圧力検出手段によって検出された前記圧力に対応する目標温度に調整するように、前記流量を調節する、ランキンサイクル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113193(P2013−113193A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259328(P2011−259328)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)